JP2003020252A - プラズマディスプレイパネルの隔壁形成用ガラス組成物 - Google Patents

プラズマディスプレイパネルの隔壁形成用ガラス組成物

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JP2003020252A JP2001204563A JP2001204563A JP2003020252A JP 2003020252 A JP2003020252 A JP 2003020252A JP 2001204563 A JP2001204563 A JP 2001204563A JP 2001204563 A JP2001204563 A JP 2001204563A JP 2003020252 A JP2003020252 A JP 2003020252A
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partition
softening point
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Koichiro Murahashi
浩一郎 村橋
Takashi Kato
隆 加東
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Okuno Chemical Industries Co Ltd
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Okuno Chemical Industries Co Ltd
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    • C03C8/00Enamels; Glazes; Fusion seal compositions being frit compositions having non-frit additions
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 PDPの隔壁形成材料として有用なガラス組成
物、これを利用した隔壁およびPDPを提供。 【解決手段】 PDPの隔壁形成用ガラス組成物であっ
て、軟化点が480-500℃であり且つその組成が重量%でPb
O 65-75%、B2O3 1-10%、SiO2 10-20%、Al2O3 0.1-7%お
よびZnO 1-5%であるガラス粉末30-70重量%と、軟化点が
510-530℃であり且つその組成が重量%でPbO 50-60%、B
2O3 1-5%、SiO2 30-40%、Al2O3 0.1-7%、ZnO 0-5%、TiO
2 0.1-5%、ZrO2 0-5%およびR2O(R=Li, NaまたはK) 3-10
%であるガラス粉末30-70重量%との混合物を隔壁形成ガ
ラス成分として含有することを特徴とする組成物、該組
成物焼成体によって形成されたPDP用隔壁および該隔壁
を有するPDP。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラズマディスプ
レイパネル(以下「PDP」という)の隔壁形成に適した
ガラス組成物およびこれを利用して得られる隔壁および
PDPに関する。
【0002】
【従来の技術】テレビジョン、コンピューターなどの表
示装置に汎用されるPDPは、2枚のガラス基板間に隔壁に
て仕切られた多数のセル(微小放電空間)を形成させ、
各セル内表面に蛍光体を配し、該セル中に放電ガスを充
填した構造を有している。このPDPは、上記セル内の電
極間放電によって放電ガスを励起し、その際発する紫外
線により基底状態にある蛍光体を発光させて画素を形成
させるものである。
【0003】通常AC型PDPは、その前面ガラス基板の片
面(背面基板と向き合う面)に複数のバス電極(維持電
極)とこれを被覆する誘電体ガラス層および保護層を設
け、また背面ガラス基板の片面(前面基板と向き合う
面)に、上記バス電極と直交するように複数のアドレス
電極を形成し、該電極部分を含む基板上全面を誘電体ガ
ラス層で被覆し、更に非電極部分に相当する上記誘電体
層上に、形成されるセル間でのクロストークを防止する
ための隔壁を設置し、最終的に該隔壁の側面および放電
空間の底面に蛍光体を配置して製造されている。
【0004】このPDPの断面構造を模式的に示すと、例
えば図6に示すとおりである。該図において、1は前面ガ
ラス基板、2は透明電極(ITO膜)、3はバス電極、4は前面
誘電体ガラス層、5は保護層、6は隔壁、7は背面誘電体
ガラス層、8はアドレス電極、9は蛍光体、10は背面ガラ
ス基板を示す。
【0005】従来、PDPの隔壁は、低融点ガラス粉末を5
00-600℃程度で焼成メルトして形成されている。この隔
壁形成用ガラス粉末としては、所望の低融点特性(軟化
点が約550℃以下であること)を満足し、しかもガラス特
性を幅広く選択できることから、鉛系ガラス、特にPbO-
SiO2-B2O3系ガラスが汎用されている。このガラス粉末
は一般に、線膨張係数(ガラス単体)が75-90×10-7
℃、誘電率(ガラス単体)が10-16(隔壁としては約9-1
4)の範囲にあり、同軟化点を有する鉛系以外のガラス
と比較すると、耐水性、耐アルカリ性などの耐薬品性が
優れる利点を有している。
【0006】現在、開発、提案されているこの種鉛系ガ
ラス粉末の例としては、例えば、PbO: 60-70%、SiO2: 1
2-17%、B2O3: 8-15%、ZnO: 5-12%、Al2O3: 0.1-5%(wt%,
以下同じ)のガラス粉末(軟化点:500-550℃、特開平8-1
19665号公報参照);PbO: 60-75%、SiO2: 2-7%、B2O3: 1
5-25%、Al2O3: 0-8%、ZnO: 3-15%、CaO, MgO, SrO, Ba
O: 0-6%のガラス粉末(軟化点:450-480℃、特開平10-67
534号公報参照);PbO+Bi2O3: 52-68%、B2O3: 14-28%、S
iO2: 0-5%、ZnO: 6-23%、Al2O3: 0-8%、CeO2: 0-5%、Sn
O2: 0-5%のガラス粉末(軟化点:510℃以下、特開平11-1
80726号公報参照);PbO: 25-55%、B2O3: 10-40%、SiO2:
1-15%、ZnO: 5-35%、BaO+CaO+Bi2O3: 2-20%、Al2O3: 0
-5%のガラス粉末(軟化点:500-580℃、特開平11-21148
号公報参照);PbO: 50-75%、B2O3: 1-15%、SiO2: 10-20
%、Al2O3: 0-5%、ZnO: 0-10%、TiO2+ZrO2: 0.01-6%のガ
ラス粉末(軟化点:490-570℃、特開2000-86275号公報参
照);PbO: 40-60%、B2O3: 1-25%、SiO2: 15-40%、Al
2O3: 0-5%、ZnO: 0-10%、TiO2:0-5%、ZrO2: 0-5%, Na2O
+Li2O+K2O: 0.1-10%のガラス粉末(軟化点:510-595℃、
特開2000-169178号公報参照)などが挙げられる。
【0007】これらガラスの特徴は、PbO-SiO2-B2O3
ガラスに、ZnO、Al2O3、アルカリ土類金属酸化物などを
添加している点にある。特に、ZnO成分は焼成時のガラ
スの透明性向上に効果がある反面、その配合量に応じて
耐電圧、耐薬品性などを低下させる不利がある。
【0008】最近、PDPは益々高精密度化されてきてお
り、これに応じて、隔壁形成用ガラスもまた、緻密性、
形状、強度などの面でより優れた性能を要求されつつあ
る。例えば、緻密性については、隣接するセル間での電
気絶縁性を確保し、プラズマ放電を安定させるために、
焼成後の隔壁内部構造ができるだけ均一且つ緻密であ
り、粗な部分、発泡などのない性能が要求されている。
何故なら、隔壁の粗な部分、発泡などは、セル間の気密
性低下を起こし、電気絶縁性を悪化させ、パネルとして
駆動させた場合に該セルにおいて誤放電が生じて正確な
画像が表示できない不良を起こすおそれがあるからであ
る。
【0009】形状としては、壁面がシャープに切り立っ
ており、しかもその上面は凹も凸もなく、できるだけ平
滑である形状が要求されている。壁面のシャープさは隔
壁によって仕切られる各セルの容量を増加させるために
有効であり、また上面の平滑さは、セル空間を形成する
ために隔壁上部に前面板を合わせる際に、この前面板と
の隙間を最小にするために必要な特性である。
【0010】強度についても、隔壁自体がその幅の縮減
と高さの増加を要望されることを考慮すると、この要望
に合致しておりしかも隔壁形成後の力学的負荷に充分に
耐え得る強度、例えばテンションゲージを用いた引掻試
験において1.20ニュートン(N)以上の強度が要求され
る。
【0011】更に、最近のPDPはより大型化されつつあ
り(最大60インチ)、このような大型PDPの製造に適した
性能も隔壁形成用ガラスに要求されている。即ち、大型
基板に施工された隔壁形成用ガラス組成物は、その焼成
の際、温度分布が不均一になりやすいが、該組成物には
このような温度分布のバラツキに拘わらず、安定して所
望の性能を有する隔壁を形成し得る特性が望まれる。
【0012】現在知られているPbO-SiO2-B2O3系ガラス
は、このような高度の要求性能を満たし得ず、新たな隔
壁形成用ガラスの開発が当業界で要望されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、斯界
で要望される緻密性、形状、強度などに対する厳しい要
求性能を満足し、勿論、PDPの隔壁形成用ガラス乃至隔
壁としての基本性能、即ち、低融点特性、低線膨張係
数、電気的特性(絶縁性、低誘電率など)、化学的耐久性
(耐薬品性)などは損なわれることなく保持する新しい
ガラス組成物並びにこれを利用した隔壁およびPDPを提
供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記目的を達
成するために、まず、従来知られているPbO-SiO2-B2O 3
系ガラスのガラス組成の改良を企画し、この面から多大
な研究を重ねたが、PbO-SiO2-B2O3系ガラスでは、いか
にその組成を変化させようとも、また各種のガラス成分
を組合せて追加しようとも、上記目的に合致する組成を
見出すことはできなかった。
【0015】しかるに、引き続く研究の結果、下記特定
組成を有し且つ近接する軟化点を有する2種のPbO-SiO2-
B2O3系ガラスを混合して利用するときには、上記目的に
合致する隔壁が得られることを見出し、ここに本発明を
完成するに至った。
【0016】本発明は、PDPの隔壁形成用ガラス組成物
であって、軟化点が480-500℃であり且つその組成が重
量%でPbO 65-75%、B2O3 1-10%、SiO2 10-20%、Al2O3 0.
1-7%およびZnO 1-5%であるガラス粉末30-70重量%と、軟
化点が510-530℃であり且つその組成が重量%でPbO 50-
60%、B2O3 1-5%、SiO2 30-40%、Al2O3 0.1-7%、ZnO 0-5
%、TiO2 0.1-5%、ZrO2 0-5%およびR2O(R=Li, Na, また
はK) 3-10%であるガラス粉末30-70重量%との混合物を隔
壁形成ガラス成分として含有することを特徴とするガラ
ス組成物を提供する。
【0017】また本発明は、隔壁形成ガラス成分の70-9
0重量%と共に、無機顔料および無機フィラーから選ばれ
る少なくとも1種の10-30重量%とを含有するPDPの隔壁形
成用ガラス組成物を提供する。
【0018】更に本発明は、上記ガラス組成物の焼成体
によって形成されたPDP用隔壁および該隔壁を有するPDP
を提供する。
【0019】本発明ガラス組成物は、上記構成を採用し
たことに基づいて、即ち近接する軟化点を有する2種の
特定組成のガラス粉末を混合利用したことに基づいて、
現在、隔壁形成用ガラスに要求されている前記した各種
性能の全てを具備する特徴を有するものとなる。
【0020】即ち、本発明ガラス組成物は、600℃以下
の低温で焼付けることができ、所望の低線膨張係数、誘
電率、耐水性、耐アルカリ性などの耐薬品性を有するガ
ラス皮膜(隔壁)を容易に安定して形成することができ
る。しかも得られる隔壁は緻密性、形状、強度などにお
いて、従来のガラスにはみられない優れた性能を具備し
ている。また、本発明ガラス組成物は、2種のガラス粉
末の混合比を変化させることによって、隔壁に要求され
る諸性能の微妙な調整を容易に行うことができる。更
に、本発明ガラス組成物は、隔壁形成条件の変化、例え
ば焼成温度のバラツキなどに拘わらず、常に安定して上
記優れた性能を保持する隔壁を形成させ得る利点を有し
ている。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明ガラス組成物は、前記特定
の軟化点と組成(重量%、以下同じ)を有する2種のガ
ラス粉末を所定割合で混合利用することを必須とする。
【0022】用いられる両ガラス粉末のそれぞれを構成
する各成分は、この種隔壁形成用ガラスの構成成分とし
て既知のものから選ばれ、それらの機能および得られる
ガラスの性質に及ぼす主な影響なども、従来より知られ
ている。
【0023】例えば、PbO成分は、PDPの隔壁に適した所
定の低軟化点のガラスを得るための必須成分であり、そ
の配合は、誘電率、膨張率などを上げ、耐薬品性を下げ
る作用がある。その配合量は、特にSiO2およびB2O3のバ
ランスによって決定することができる。
【0024】B2O3成分は、低融点ガラスの形成に必須の
成分であり、軟化点とともに膨張率を下げる効果があ
り、ガラスの構造を安定化させる働きを有しているが、
多量の配合は化学的強度(耐水性、耐薬品性など)を低
下させるため、その配合量には制約がある。
【0025】SiO2成分は、ガラスの骨格となる成分であ
り、ガラスの化学的および物理的強度の向上に寄与す
る。また、誘電率、膨張率を下げる作用がある。
【0026】Al2O3成分は、ガラスを多成分系とするこ
とによって安定化させるために配合することができ、ま
た低融点ガラスの結晶化を防止する働きがあり、軟化点
を上げる作用もある。
【0027】ZnO成分は、ガラスの軟化点を下げる目的
で配合され得るが、配合量に応じて化学的強度を低下さ
せるものであり、配合量に制限がある。
【0028】TiO2成分は、ガラスの化学的耐久性を高め
る作用があり、またガラスの結晶化傾向を強めたり、軟
化温度を上昇させる傾向がある。
【0029】ZrO2成分は、ガラスを多成分系とすること
によって安定化させる働きがあるが、軟化点を上昇させ
る不利がある。
【0030】R2O成分は、ガラスの軟化点を下げる有効
な成分であるが、膨張率、化学的強度を低下させる不利
もある。この成分の内ではNa2OおよびLi2Oの利用が好適
である。
【0031】本発明の隔壁形成用ガラス組成物に用いら
れる2種のガラス粉末のそれぞれの組成は、上記各ガラ
ス成分の性質、特徴などを考慮して、前記所定の軟化点
となり且つこれら2種のガラス粉末の組合せによって本
発明所期の優れた効果を奏し得るように決定されたもの
である。
【0032】2種のガラス粉末の軟化点および組成とそ
れらの混合割合の範囲(実用範囲)を、それらの好まし
い範囲(好適範囲)と共に下記表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】本発明においては、2種のガラス粉末の組
成自体が重要であるのみならず、これら異なる組成の2
種のガラス粉末を併用することが重要である。即ち、前
記2種のガラス粉末は、それぞれ単独で隔壁形成用ガラ
スとして利用することも可能ではあるが、本発明者は、
これらを所定割合で併用する時には、それぞれを単独で
用いる場合には達成できない特有の前記本発明所期の顕
著な効果(相乗効果)が奏されることを確認している。
しかもこの効果は、両ガラスの混合物から計算によって
割り出される両者の中間的な組成を有するガラス粉末の
利用によっても達成できないものである。これらのこと
は後記実施例および比較例に示すとおりである。
【0035】即ち、例えば後記表2に示す軟化点が480-5
00℃の範囲にある本発明第一ガラス粉末(本発明ガラス
1A)は、これを単独利用した場合、得られる隔壁は、53
0℃焼成の場合、緻密性および隔壁強度は十分である
が、その側壁上部が丸みを帯びた形状となり、シャープ
にならず、また発泡が生じる欠点がある(例えば、図2
参照)。550℃焼成の場合、断面形状がブロードなもの
となり、発泡もより多くなる欠点がある。(図3参
照)。尚、得られる隔壁は線膨張係数が69×10-7と低す
ぎる不利もある。
【0036】第一ガラス粉末と同一のガラス成分からな
り軟化点が480℃を下回るガラス粉末(例えば、比較ガ
ラス1D)の単独利用の場合も、上記本発明ガラス1Aの利
用と略同様の隔壁しか得られない(表3中、比較b参
照)。
【0037】第一ガラス粉末と同一のガラス成分からな
り軟化点が500℃を上回るガラス粉末(例えば、比較ガ
ラス1G)の利用では、得られる隔壁は530℃焼成の場
合、充分に焼結せず、緻密な状態とならない(表3中、
比較c参照、図4参照)。また、これは充分な隔壁強度を
有し得ない。550℃焼成の場合、緻密性は得られるもの
の、発泡が生じる欠点がある(図2と同様)。尚、得ら
れる隔壁は線膨張係数が68×10-7と低すぎる欠点もあ
る。
【0038】軟化点が510-530℃の範囲にある本発明第
二ガラス粉末(例えば、表2中、本発明ガラス2B,2C)は、
これを単独で用いた場合、表3および表4に比較dおよび
比較eとして示すとおり、530℃で焼成した場合、上面に
凹みを有する断面形状の隔壁が得られ、その緻密性およ
び隔壁強度は尚要求性能を満たさない(図5参照)。ま
た、550℃で焼成すると、断面形状はほぼ満足できるも
のとなるが、緻密な隔壁は得られず、しかもこの場合は
新たに発泡が生じる欠点がある。
【0039】第二ガラス粉末と同一のガラス成分からな
るが、軟化点が510℃を下回るガラス粉末(例えば、比
較ガラス2E)の利用では、得られる隔壁は、530℃およ
び550℃焼成のいずれの場合も、断面形状がブロードな
ものとなり、また発泡が生じる(表4中、比較f参照)。
【0040】第二ガラス粉末と同一のガラス成分からな
るが、軟化点が530℃を上回るガラス粉末(比較ガラス2
H)の利用では、得られる隔壁は、530℃焼成の場合、凹
みを有する断面形状となり、緻密性および隔壁強度も不
十分である。550℃焼成の場合、緻密性は改善される
が、断面形状は改善されず、発泡が生じる不利がある
(表4中、比較g参照)。
【0041】また、本発明第一ガラス粉末と第二ガラス
粉末との混合物のガラス組成と計算上合致させたガラス
組成を有する単一のガラス(例えば、表2にその他のガ
ラスとして示す比較3F)の利用では、得られる隔壁は、
530℃焼成の場合、表4に比較hとして示したとおり、上
記比較gと同様に、凹みを有する断面形状となり、緻密
性および隔壁強度も不十分である。550℃焼成の場合、
緻密性は改善されるが、断面形状は改善されず、むしろ
発泡が生じる不利がある。
【0042】以上のように、いずれのガラス粉末もこれ
を単独で用いる場合は、焼成温度をどのように変化させ
ても、得られる隔壁の断面形状、緻密性、発泡性および
強度を全て満足することはできず、そのうちのいずれか
少なくとも一つの点で本発明所期の効果を奏し得ない。
【0043】また、2種のガラス粉末を併用する場合と
いえども、例えば、本発明ガラス1Aと比較ガラス2Eまた
は2Hとの組合せのように、本発明第一ガラス粉末と、本
発明第二ガラス粉末と同一のガラス成分からなるが軟化
点が本発明範囲を外れる比較ガラス粉末との組合せの場
合は、やはり要求性能を満足する断面形状、特性などを
有する隔壁は得られない。即ち、上記1Aと2Eとの組合せ
では、発泡現象が著しく、隔壁形状はブロードである
(表4の比較i参照)。上記1Aと2Hとの組合せでは、550℃
の焼成の場合ですら、充分に焼結できず、緻密状態とな
らない(表4の比較l参照)。
【0044】逆に、例えば比較ガラス1Dと本発明ガラス
2Bとの組合せおよび比較ガラス1Gと本発明ガラス2Bとの
組合せのように、本発明第一ガラス粉末と同一成分から
なるが軟化点が本発明範囲を外れる比較ガラス粉末と、
本発明第二ガラス粉末との併用の場合も、前記と同様
に、要求性能を満たす隔壁は得られない。即ち、上記1D
と2Bとの組合せでは、発泡現象が著しく、隔壁形状はブ
ロードである(表4の比較j参照)。上記1Gと2Bとの組合せ
では、550℃の焼成の場合ですら、充分に焼結できず、
緻密状態とならない(表4の比較k参照)。
【0045】これらに対して、本発明に従い、第一ガラ
ス粉末と第二ガラス粉末とを所定割合で併用するときに
は、上記全ての点において満足する隔壁を得ることがで
きるのである。
【0046】特に、本発明隔壁は、その内部構造が均一
且つ緻密であり、内部および表面に粗な部分、発泡など
がなく、側壁面がシャープで切り立っており且つ上面に
凹みがなく、表面が平滑な形状を有しており、しかもテ
ンションゲージを用いた引き裂き試験において1.20 N以
上の強度を有する特徴を有している。
【0047】また、本発明隔壁は、低融点特性、低線膨
張係数、電気的特性(絶縁性、低誘電率など)、化学的耐
久性(耐薬品性)などにおいても優れたものである。
【0048】本発明において第一ガラス粉末および第二
ガラス粉末は、常法に従い製造することができる。例え
ば、まず前記ガラス成分組成となるように、各原料化合
物を混合し、得られた混合バッチを約1100-1200℃で溶
融し、融液状ガラスを水冷ロールに挟んで冷却してフレ
ーク状ガラスを得る。このガラスフレークをボールミル
などの適当な粉砕機を用いて、例えば湿式粉砕し、得ら
れるスラリーを乾燥後、乾燥ケーキをほぐすことにより
所望のガラス粉末を調製できる。
【0049】かくして得られるガラス粉末は、特に限定
されるわけではないが、通常約0.1-30μmの範囲の粒度
を有しているのが望ましい。かかる粒度は慣用される方
法、例えば粉砕工程の条件を適宜調整することにより容
易に調整できる。また上記に従い得られる粉末粒子は、
更に必要に応じて分級して、適当な粒度、より好ましく
は約0.5-10μmの範囲の粒度に調整することができる。
【0050】尚、第一ガラス粉末および第二ガラス粉末
は、上記各ガラス成分の所定量を必須成分として含有す
ることを前提として、更に必要に応じて、他の適当なガ
ラス成分を含有することもできる。この必要に応じて添
加配合できるガラス成分およびその配合量は、得られる
ガラスの特性に悪影響を与えないものおよび範囲から適
宜選択できる。該ガラス成分の具体例としては、例えば
MnO、Sb2O3、Bi2O3、SnO、WO3、MoO3、Tl2O3、La2O3、R
F(LiF, NaF,KF)(アルカリフッ化物)、RO(CaO, BaO, M
gO)(アルカリ土類金属酸化物)などを例示できる。これ
らは1種または2種以上で用いることができる。その添加
配合量は、いずれも5%以内、好ましくは3%以内であるの
が望ましい。これらの配合は融着温度、耐薬品性の微調
整に役立つ場合がある。特に、RFはガラスの軟化点を低
下させ得る。RO(CaO, BaOまたはMgO)は、ガラスの溶融
状態での粘性を調整(上昇)して、隔壁の形状、収縮
率、緻密性を改善できる場合がある。
【0051】本発明の隔壁形成用ガラス組成物は、第一
ガラス粉末と第二ガラス粉末との所定割合混合物に、常
法に従い、無機顔料および/または無機フィラーの適当
量を配合して調製される。また、引続く基板への施工を
例えば印刷法などにより実施するに当たっては、本発明
組成物は、好ましくは、更に適当量の有機ビヒクルを用
いてペースト状乃至スラリー状形態(以下単に「ペース
ト」という)に調製される。
【0052】隔壁形成用ガラス粉末混合物(第一ガラス
粉末+第二ガラス粉末)と無機顔料および/または無機
フィラーとの配合比率は、前者70-90重量%および後者1
0-30重量%の範囲から選択されるのが好ましい。
【0053】用いられる無機顔料には、例えばTiO2(酸
化チタン)、ZnO(酸化亜鉛)などの白色顔料、CuO-Cr
2O3、CuO-MnO-Cr2O3、Cr2O3-CoO-Fe2O3などの黒色顔料
などが含まれる。これらはその1種を単独で用いること
もでき、また2種以上を適宜組合せて利用することもで
きる。これらの無機顔料は通常粉末形態で利用される。
その粒度は、特に制限されるものではないが、通常約0.
01-3.0μmの範囲から選ばれるのが適当である。
【0054】白色顔料を配合する場合、その配合量は約
1重量%以上とするのがよく、これによって得られる隔
壁は反射層としての役割を充分に演じることができ、PD
Pの輝度アップをはかり得る。また黒色顔料を配合する
場合、その配合量は約1重量%以上とすることができ、
これによってブラックストライプとしての機能を果たし
得、PDPのコントラストアップを行ない得る隔壁を得る
ことができる。上記白色顔料と黒色顔料とは、また両者
を適宜併用して白色に近いグレー色、黒色に近いグレー
色などの隔壁とすることもできる。尚、顔料配合量は、
後述する無機フィラーとの合計量が10-30重量%の範囲
内とされる。この範囲を下回ると隔壁形成は困難とな
る。逆に上記範囲を上回る配合量を採用すると隔壁の焼
上り状態があまくなりすぎ、ポーラスな層となり好まし
くない。通常好ましい顔料配合量は、約2-20重量%の範
囲から選ばれる。
【0055】用いられる無機フィラーとしては、従来よ
りこの種隔壁形成用ガラス組成物に汎用されている各種
のもののいずれでもよい。これらは通常隔壁の焼成時の
形状保持性を向上させる働きを有している。その例とし
ては、例えばシリカ、アルミナ、ジルコニア、マグネシ
ア、チタニア、ジルコニア含有シリカ、マグネシア含有
アルミナ、チタニア含有シリカ、アルミナ含有シリカ、
これらの球状物などを挙げることができる。これらの無
機フィラーも1種を単独で用いることができ、また2種以
上を併用することができる。これらの無機フィラーは、
一般に粉末形態(不定形破砕状物形態、球状形態)で利
用される。該粉末の粒度は、球状物の場合を含めて、特
に制限されるものではないが、通常0.1-10μmの範囲に
あるのが適当である。これらの無機フィラーは、必須成
分ではなく、本発明ガラス組成物中に、必要に応じて通
常30重量%まで、好ましくは5-20重量%となる範囲から
選ばれる量で適宜添加配合することができる。この程度
の添加配合量では、一般には焼成後の隔壁内部がポーラ
スとなって、放電特性や寿命に悪影響を与える弊害はな
い。無機フィラーは、前記無機顔料と併用されるのが普
通である。
【0056】特に、本発明組成物をペーストに調製しこ
れをスクリーン印刷法などに従ってガラス基板に施工す
る場合、調製されるペーストはスクリーンの網目を完全
に通過する印刷適性が望まれる。この印刷適性を考慮す
ると、上記無機フィラーとしては、例えば球状シリカな
どの球状物を利用するのが好ましい。これらの球状フィ
ラーの利用はまた、上記スクリーン印刷の直後に残る波
状のうねりを速やかに消失させ得るものであり、焼成後
に得られる隔壁の表面平滑性を一層良好なものとする利
点もある。
【0057】本発明の隔壁形成用ガラス組成物をペース
トに調製するに当たって用いられる有機ビヒクルとして
は、一般にこの種ガラスペーストに利用されている各種
のもののいずれでもよく、これらは通常樹脂の溶剤溶液
からなっている。該樹脂としては、セルロース系樹脂、
アクリル系樹脂、ブチラール系樹脂などが好ましいもの
として例示できる。セルロース系樹脂には、エチルセル
ロース、ヒドロキシエチルセルロース、ニトロセルロー
スなどが含まれる。アクリル系樹脂には、ポリブチルア
クリレート、ポリイソブチルメタクリレートなどが含ま
れる。また、ブチラール系樹脂には、ポリビニルブチラ
ールが含まれる。上記樹脂は、一般には調製されるガラ
スペースト組成物中にその1種を単独でまたは2種以上を
併用して、合計量が0.5-20重量%程度の範囲で配合され
るのがよい。
【0058】また、該ガラスペーストには、更に必要に
応じて、通常添加配合できることの知られている添加
剤、例えば沈殿防止剤、分散剤、基板ガラスとの接着性
向上剤などを適宜配合することができる。また、フォト
リソグラフィー法で隔壁を形成させる場合には、前記樹
脂の代わりに従来より慣用されている感光性樹脂を使用
することができる。
【0059】上記樹脂の溶剤溶液を構成する溶剤も通常
知られている各種のものでよく、特に限定されない。一
般には、樹脂の溶解性に優れ、粘稠性のオイルを形成し
得るものが好ましい。これには中沸点および高沸点のエ
ステル系、エーテル系、プロピレングリコール系および
石油系の溶剤が含まれる。エステル系溶剤の具体例とし
ては、例えばブチルセロソルブアセテート、ブチルカル
ビトールアセテートなどを例示できる。エーテル系溶剤
の例としては、ブチルカルビトールなどを例示できる。
プロピレングリコール系溶剤としては、プロピレングリ
コールアセテート、プロピレングリコールフェニルエー
テルなどを例示できる。また、石油系溶剤としては、ナ
フサ、ミネラルターペンなどを例示できる。これらは1
種単独で用いてもよく、2種以上を併用することもでき
る。
【0060】ペーストの調製は、例えば上記樹脂を比較
的高沸点の溶剤に溶解したオイル中に、所定量の本発明
ガラス組成物、無機顔料および/または無機フィラー
を、三本ロール、ボールミル、サンドミルなどの分散機
で分散させて、スラリー状乃至ペースト状物にすること
によって実施できる。
【0061】本発明隔壁形成用ペーストは、従来より慣
用されている各種の方法、例えばスクリーン印刷法によ
り直接塗布してパターニングする方法、ドクターブレー
ド法、ロールコート法、スクリーン印刷法、テーブルコ
ーター、リバースコーター、スプレー法、グリーンシー
トの転写などにより塗布施工した後、公知の各種の方
法、例えばサンドブラストによりパターニングする方法
や、フォトリソ埋め込み方法、ガラスペースト中の樹脂
に感光性樹脂を使用したフォトリソグラフィー方法、金
型よりの転写方法、凸部を有するロールによる加圧法な
どのパターニング方法に従って隔壁形状とされ、次いで
常法に従い、約500-600℃程度の温度で焼成されて、所
望の隔壁とされる。
【0062】かくして形成される隔壁は、緻密性、強
度、収縮率、耐水性、耐薬品性などにおいて、非常に優
れたものである。
【0063】
【実施例】以下、本発明を更に詳しく説明するため、実
施例を挙げる。尚、例中、%は重量基準によるものであ
る。
【0064】各例で得られたガラス(焼結体)の特性試
験は以下の方法によった。 (1)線膨張係数 ガラス組成物を棒状に加圧加工成形し、520-550℃にて
焼成し、その後室温まで冷却して得られるガラス試料
(焼結体)を、所定長さに切断後、株式会社リガク製熱分
析装置TAS-100を用いて、10℃/分の速度で昇温し、50-
350℃の温度範囲での伸び率を測定、算出した。結果は
×10-7にて表記する。 (2)軟化点 ガラス試料(焼結体)を白金セル中に投入し、上記熱分
析装置を用いた示差熱分析により、常温-700℃の温度範
囲で軟化点を求めた(昇温速度10℃/分、第3変曲点と
第4変曲点の平均値を軟化点とする)。 (3)誘電率 酸化膜を形成させたステンレススチール板上に、ガラス
試料の層を印刷、焼成して作成(30-50μm)し、該層上に
直径18mmの電極を銀ペーストを用いて作成し、1MHz時の
誘電率を横河ヒューレットパッカード株式会社製モデル
4194Aインピーダンス/ゲインフェーズアナライザーを
用いて測定、算出した。 (4)隔壁の断面形状 2mmのソーダライムガラス基板に形成させたガラス試料
(焼結体、隔壁)を、約1-3cm角に切り出し、金または
カーボンを表面に蒸着させた後、走査型電子顕微鏡(SE
M)を用いてその断面部分を観察、写真撮影した(倍率:40
0-500倍)。
【0065】得られた撮影写真を図1-図5に分類分けす
る。 図1 本発明隔壁1(530℃焼成)の撮影写真およびこれ
と同様に側壁がシャープで切り立っており、上面に凹凸
がなく、側壁および上面に粗な部分も発泡も認められな
いもの。 図2 比較隔壁a(530℃焼成)の撮影写真およびこれと同
様に側壁上部が湾曲して凸部を形成しており、粗な部分
は認められないものの、側壁に沿って発泡が認められる
もの。 図3 比較隔壁a(550℃焼成)の撮影写真およびこれと同
様に側面および上面がかなり大きく湾曲しており、粗な
部分は認められないものの、大きな多数の発泡が中央部
にまでも認められるもの。 図4 比較隔壁c(530℃焼成)の撮影写真およびこれと同
様に側壁上部はシャープで切り立っており、上面に凹凸
は認められないが、側壁に僅かに発泡が認められ、また
隔壁内部が粗な状態にあるもの。 図5 比較隔壁d(530℃焼成)の撮影写真およびこれと同
様に側壁はシャープで切り立っているが、上面に凹部が
あり、隔壁内部が非常に粗であるもの。 (4)隔壁の緻密性および発泡性 焼成後の隔壁断面を5箇所走査型電子顕微鏡(SEM)で観察
し、緻密性については、一つの隔壁断面当たりの全空隙
数を計数し、5つの隔壁断面についての計数値の平均値
を算出し、下記基準により評価した。 ◎:1個以下 ○:2-6個 △:7-10個 ×:11個以上 また発泡特性については、同様に、1隔壁断面当たりの
全泡数を計数し、5断面の平均値を下記基準により評価
した。 ◎:1個以下 ○:2-6個 △:7-10個 ×:11個以上 (5)隔壁の強度 一辺が150mm四方で厚さが2mmのソーダライムガラス基板
上に形成させた隔壁(ガラス試料、隔壁施工部分:100mm
四方、隔壁数:500本、隔壁間隔:120±10μm、隔壁トッ
プ幅55±5μm、隔壁ボトム幅115±10μm、隔壁ピッチ:2
00μm、隔壁厚さ:130±20μm)について、上記基板の中
心から半径20mm以内に存在する任意の5箇所の強度を測
定し、平均値にて表示した。尚、強度の測定は、テンシ
ョンゲージ(株式会社ミツトヨ社製テンションゲージDT
G-150P)の先端部の針を隔壁間に入れ、隔壁に対して垂
直方向にゆっくりとテンションをかけていき、隔壁が欠
ける際のテンションゲージの値(N;ニュートン)にて評
価した。1cm2当たり3箇所の測定を行い、結果はその平
均値にて表した。
【0066】本明細書において、隔壁強度は、このテン
ションゲージを用いた引掻試験において求められた強度
をいうものとする。
【0067】
【実施例1および比較例1】(1) ガラス粉末の調製 鉛丹、珪砂、ホウ酸、亜鉛華、アルミナ、アルカリ炭酸
塩、酸化チタンおよび珪酸ジルコンの各原料を、溶融後
に表2に示す所定のガラス組成となる量で、それぞれ混
合してバッチ原料混合物を調製し、約1100-1200℃で溶
融した。取り出した融液状ガラスを水冷ロールに挟んで
冷却してフレーク状のガラスを得た。
【0068】次いで、得られたガラスをボールミル中、
アルミナボールを用いて水湿式粉砕し、得られたスラリ
ーから水分を濾去し、ケーキ状物を乾燥し、乾燥ケーキ
を解砕し、分級して、最大粒径10μm、平均粒径1-5μm
のガラス粉末を得た。
【0069】
【表2】
【0070】尚、表2には、前記試験に従い得られた各
ガラス粉末の線膨張係数および軟化点を併記する。 (2) 隔壁形成用ガラス組成物の調製 上記(1)で得たガラス粉末の2種をそれぞれ所定割合で混
合するかまたは1種を単独で用い、更に、このガラス粉
末80%に、無機顔料10%および無機フィラーとしてのセラ
ミック粉末(球状アルミナまたは球状シリカ:いずれも
粒度0.1-10μm)10%を混合し、得られる混合粉体72%
と、α−ターピネオール92%にエチルセルロース6%およ
びポリイソブチルメタクリレート2%を溶解した有機ビヒ
クル28%とを、バタフライミキサーにて混練りし、更に
三本ロールを用いて固形分を充分にビヒクル中に分散さ
せてペーストを得た。
【0071】その組成を表3および表4に示す。尚、顔料
としては市販のCr2O3・CuO(黒色顔料、粒度:0.1-3μm)
またはTiO2(白色顔料、粒度:0.01-1μm)を用いた。 (3) 隔壁の形成 上記ペーストを、アプリケーター400μmによりソーダラ
イムガラス基板に塗布し乾燥した。その後、感光レジス
トを貼り、露光機と隔壁パターンのネガ(感光パター
ン:50μm×100mmライン状)を用いてライン状にレジス
トフィルムを露光した。露光後、レジストフィルムの光
により硬化しなかった部分をアルカリ液(0.2%)で除去
し、サンドブラスト処理して隔壁を形成させた。その
後、1%アルカリ液で不要となったレジストフィルムを剥
離除去した。
【0072】得られた隔壁パターン(隔壁数:500本、隔
壁間隔:150μm、隔壁幅:50μm、ピッチ:200μm)を、次
いで厚膜焼成炉中でイン−アウト1時間、最高温度530℃
または550℃にて、10分間維持して焼成体(隔壁数:500
本、隔壁間隔:120±10μm、隔壁トップ幅55±5μm、隔
壁ボトム幅115±10μm、隔壁ピッチ:200μm、隔壁厚さ:
130±20μm)を得た。
【0073】上記実施例1および比較例1で得られた隔壁
の諸特性を前記試験により調べた結果を下記表3および
表4に示す。
【0074】
【表3】
【0075】
【表4】
【0076】表3および表4に示す結果より、本発明隔壁
は、優れた特性を有することが明らかである。即ち、本
発明ガラス組成物は、PDPの隔壁形成ガラスに要求され
る各種の特性を充分に備えており、これを利用して得ら
れる隔壁は、線膨張係数、誘電率、断面形状、緻密性、
発泡特性、隔壁強度などにおいて非常に優れたものであ
り、更に焼成温度幅が広い条件においても安定した特性
が得られることが明らかである。
【0077】また、本発明ガラスを利用して得られた隔
壁は、以下の試験の結果、いずれも耐水性および耐薬品
性においても優れたものであった。 耐水性試験 ソーダライムガラス板上に本発明ガラス組成物試料を焼
付け、該試料を蒸留水中に、60℃で24時間浸漬し、表面
状態を観察し、ラスター色の発生も白化も認められない
ものを耐水性に優れたものと判定する。 耐薬品性試験 隔壁形成法の内でサンドブラスト法およびフォトリソグ
ラフィー法においては、その工程中、マスク樹脂および
隔壁形成用ペーストの現像時にアルカリ水溶液が用いら
れるため、かかるアルカリ水溶液に対するガラスの耐性
を以下の通り試験した。即ち、ガラス組成物試料を用い
て、ソーダライムガラス基板上に約20μmのガラス層を
印刷後、焼成して形成させ、得られる焼成ガラスを100g
/l炭酸ソーダ水溶液中に、30℃で10分間浸漬し、焼成ガ
ラス層表面の変化を肉眼で観察し、ラスター色の発生も
白化も認められないものを耐薬品性に優れたものと評価
した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明隔壁1(530℃焼成)の断面の走査型電子顕
微鏡写真撮影結果を示す図である。
【図2】比較隔壁a(530℃焼成)の断面の走査型電子顕微
鏡写真撮影結果を示す図である。
【図3】比較隔壁a(550℃焼成)の断面の走査型電子顕微
鏡写真撮影結果を示す図である。
【図4】比較隔壁c(530℃焼成)の断面の走査型電子顕微
鏡写真撮影結果を示す図である。
【図5】比較隔壁d(530℃焼成)の断面の走査型電子顕微
鏡写真撮影結果を示す図である。
【図6】PDPの断面構造を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1 前面ガラス基板 2 透明電極 3 バス電極 4 前面誘電体層 5 保護層 6 隔壁 7 背面誘電体層 8 アドレス電極 9 蛍光体 10 背面ガラス基板
フロントページの続き Fターム(参考) 4G062 AA08 AA09 BB01 BB04 DA04 DA05 DB02 DB03 DC03 DD01 DE01 DE02 DE03 DF06 DF07 EA01 EA02 EA03 EA10 EB01 EB02 EB03 EC01 EC02 EC03 ED01 ED02 ED03 EE01 EE02 EE03 EF01 EG01 EG02 EG03 FA01 FB02 FB03 FC01 FC02 FC03 FD01 FE01 FE02 FE03 FF01 FG01 FH01 FJ01 FK01 FK02 FK03 FL01 GA01 GA02 GA03 GA10 GB01 GC01 GD01 GE01 GE02 GE03 HH01 HH03 HH05 HH06 HH07 HH08 HH09 HH10 HH11 HH13 HH15 HH17 HH20 JJ01 JJ03 JJ04 JJ05 JJ07 JJ10 KK01 KK03 KK05 KK07 KK10 MM08 NN30 NN33 NN34 PP02 PP03 PP04 PP11 PP13 PP15 PP16 5C027 AA09 5C040 FA01 GF18 JA12 KA08 KB19 KB28 MA20

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラズマディスプレイパネルの隔壁形成
    用ガラス組成物であって、軟化点が480-500℃であり且
    つその組成が重量%でPbO 65-75%、B2O3 1-10%、SiO2 10
    -20%、Al2O3 0.1-7%およびZnO 1-5%であるガラス粉末30
    -70重量%と、軟化点が510-530℃であり且つその組成が
    重量%でPbO 50-60%、B2O3 1-5%、SiO230-40%、Al2O3
    0.1-7%、ZnO 0-5%、TiO2 0.1-5%、ZrO2 0-5%およびR2O
    (R=Li, NaまたはK) 3-10%であるガラス粉末30-70重量%
    との混合物を隔壁形成ガラス成分として含有することを
    特徴とするガラス組成物。
  2. 【請求項2】 隔壁形成ガラス成分の70-90重量%と共
    に、無機顔料および無機フィラーから選ばれる少なくと
    も1種の10-30重量%を含有する請求項1に記載のガラス組
    成物。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のガラス組成物の焼成体に
    よって形成されたプラズマディスプレイパネル用隔壁。
  4. 【請求項4】 請求項4に記載の隔壁を有するプラズマデ
    ィスプレイパネル。
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