JP2007118226A - フィルム状エレメント、積層体の製造方法、積層体を用いたプラズマディスプレイパネル用前面基板及びこれを具備したプラズマディスプレイパネル - Google Patents

フィルム状エレメント、積層体の製造方法、積層体を用いたプラズマディスプレイパネル用前面基板及びこれを具備したプラズマディスプレイパネル Download PDF

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Abstract

【課題】 より高精度の無機物層を形成でき、材料のコストが安く、焼成工程終了時点で基板上に積層される無機物層中に、多量の添加剤由来の残留物を低減することが可能な
フィルム状エレメント、積層体の製造方法、積層体を用いたプラズマディスプレイパネル用前面基板及びこれを具備したプラズマディスプレイパネルを提供する。
【解決手段】 基板上に、分子量40000以上の高分子量バインダポリマー、該高分子量バインダポリマーと同一組成であり、かつ分子量20000以下の低分子量バインダポリマー及び無機粉末を含む無機粉末含有樹脂組成物層を形成してなるフィルム状エレメント、基板上に、無機粉末含有樹脂組成物層を焼成して無機物層を形成することを特徴とする積層体の製造方法、積層体を用いたプラズマディスプレイパネル用前面基板及びこれを具備したプラズマディスプレイパネル。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ガラス、セラミック又は金属等の材質の基板上に、無機粉末含有樹脂組成物層を形成してなるフィルム状エレメント、無機物層を形成するプロセスに用いられる無機粉末含有樹脂組成物を用いた積層体の製造方法、積層体を用いたプラズマディスプレイパネル用前面基板及びこれを具備したプラズマディスプレイパネルに関する。
従来、平板ディスプレイの1つとして、プラズマ放電により発光する蛍光体を設けることによって多色表示を可能にしたプラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel、以下「PDP」という。)が知られている。
PDPは、ガラス基板からなる前面板と背面板とが互いに平行にかつ対向して配設され、両者はその間に設けられたバリアリブにより一定の間隔に保持されてた構造を有しており、前面板、背面板及びバリアリブに囲まれた放電空間には、表示のための電極、誘電体層及び蛍光体等が付設されるとともに、放電のための放電ガスが封入されている。
そして、PDPは、プラズマ放電によって放電ガスから発生した紫外線を吸収した蛍光体が発光することにより、多色表示する。
このような構造を有するPDPは、例えばガラス基板上に電極及び誘電体層が設けられた前面基板を、ガラス基板上に電極及びバリアリブが設けられた背面基板とを、誘電体層及びバリアリブが互いに対向するように貼り合わせて得られる。この場合、背面基板においてバリアリブで形成された溝の底面及びバリアリブの壁面に蛍光体層が形成される。
前記PDPの構造において、例えば誘電体層、バリアリブ、及び蛍光体層は、材料となる無機粉末を含有する樹脂組成物を基板上に積層し、必要な場合は適宜成形する工程を経た後、焼成することで形成される。 樹脂組成物の積層方法については、印刷法又はフィルム法が好適に用いられる。
印刷法としてはスリットコート法、スクリーン印刷法等が挙げられる。
また、フィルム法は、支持体上に樹脂組成物を一定の膜厚で塗布したエレメントの、樹脂組成物側を基板上に積層しつつ二本のロール間を通過させ、ロールから加わる温度及び圧力によって基板上に樹脂組成物層を密着させることで積層する方法であり、前記密着工程の呼称を用いて、ラミネート法とも呼ばれる。
印刷法は、塗布が可能である限りは樹脂組成物の組成に大きな制約は無く、低コストである。
それに対し、フィルム法では、使用されるフィルム状エレメントは樹脂組成物を支持体上に積層し、かつ、積層体の樹脂組成物層側にカバーフィルムを積層する三層構造が一般的であり、そのため、支持体上への塗布性及びカバーフィルムとの密着性すなわちタック性を確保すること。
前記に示すタック性は、ラミネート時にカバーフィルムが比較的容易に剥離できる程度であり、かつラミネート後に樹脂組成物層に大きな変形を促すことなく支持体が剥離できる程度であることが求められ、その点において、樹脂組成物の組成には大きな制約が発生する。
前記樹脂組成物は、印刷法、フィルム法双方とも焼成工程での樹脂成分の分解・脱離が良好であることが求められるが、この点については印刷法、フィルム法それぞれに用いられる樹脂組成物双方に対して同様の要求であるといえる。
印刷法は、使用可能な樹脂組成物の選択範囲が広く、製造コストの低減に効果的であるが、反面、積層する樹脂組成物層の膜厚精度向上が困難である。
それに対し、フィルム法では、樹脂組成物に対する制約が多く、結果的に材料コストが上昇しがちであるが、高い膜厚精度の向上については比較的有利である。
近年、PDPの設計において、高画質化の要求から、より高い膜厚精度の無機物層の形成が要求されている。このため、コスト上昇のデメリットを勘案しても、高い膜厚精度が達成できるフィルム法に関心が集まっている。
このような、フィルム法に関する特許として代表的なものとしては、例えば特許文献1及び2が挙げられる。
特許文献1は、無機物層を基板上に積層する工程に用いられる樹脂組成物をそれを用いたエレメントについてのものである。
特許文献2は、無機粉末含有樹脂組成物の密着性向上についてのものである。
特開平09−102273号公報 特開2005−225914号公報
上記の特許文献記載の発明では、タック性向上のためには、主要な樹脂成分に何らかの可塑剤を添加するものであった。この様に、タック性付与のための可塑剤を用いると、樹脂組成物層を積層した後の焼成工程において、主要な樹脂成分との熱分解性の相違により、焼成結果に悪影響を及ぼす可能性が有る。
すなわち、樹脂組成物の主要な成分は通常、有機系ポリマーであり、熱分解性も検討された上で適用されるものであるが、添加剤は、その樹脂組成物に与える何らかの改質の効果に基づいて添加されるものであり、熱分解性については必ずしも前記ポリマーと同等とは限らない。
そのため、例えばポリマーよりも耐熱性が低く、焼成工程での分解・脱離が早い添加剤を用いた場合には、樹脂組成物層から添加剤由来の分解生成物のみが脱離を開始し、樹脂組成物層の均一性が崩れ、無機物層表面の凹凸が激しくなる可能性が有る。PDPの基板上に形成される無機物層、例えば誘電体層では、このような表面凹凸が激しいと、パネルの放電特性に悪影響を及ぼし、表示品質の低下が懸念される。
それに対し、添加剤の耐熱性がポリマーよりも高い場合には、主要成分であるポリマーの分解・脱離が終了した後、無機粉末と添加剤が基板上に残留し、焼成工程終了時点で基板上に積層される無機物層中に、多量の添加剤由来の残留物が含まれてしまう可能性が有る。この場合、無機物層が当初目的とした特性を有さないことが懸念される。
また、タック性向上には、無機粉末含有量の減量でも対応可能であるが、この場合、相対的に樹脂成分含有量が増加し、焼成工程において加熱コストの上昇及び廃棄物の増加などが生じ、最終的な製品価格の上昇及び環境負荷の増大等の問題が発生する。このため、無機粉末含有樹脂組成物は比較的多量の無機粉末が含有されていることが好ましく、それ故、フィルム状エレメントを得るためには何らかのタック性向上を図ることが必須となる。
以上の考察から、基板上に無機粉末含有樹脂組成物層を積層し、得られた積層体を焼成する工程を経て、基板上に無機物層を積層する工程で用いられる無機粉末含有樹脂組成物を用いたフィルム状エレメントにおいて、主要な樹脂成分と同じ熱分解特性を有するタック性付与剤を添加することが重要であると考えた。
本発明は、より高精度の無機物層を形成でき、材料のコストが安く、焼成工程終了時点で基板上に積層される無機物層中に、多量の添加剤由来の残留物を低減することが可能な
フィルム状エレメント、積層体の製造方法、積層体を用いたプラズマディスプレイパネル用前面基板及びこれを具備したプラズマディスプレイパネルを提供するものである。
本発明者らは、上記の考察に基づいてさらに検討を行なった結果、無機粉末含有樹脂組成物の樹脂組成に着目し、主要な樹脂成分である分子量40000以上の高分子量バインダポリマーと同一の樹脂組成であり、かつ分子量が20000以下の低分子量バインダポリマーをタック性付与剤として添加した組成とすることで、良好なカバーフィルムへのタック性を確保したフィルム状エレメントを作製できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、基板上に、分子量40000以上の高分子量バインダポリマー、該高分子量バインダポリマーと同一組成であり、かつ分子量20000以下の低分子量バインダポリマー及び無機粉末を含む無機粉末含有樹脂組成物層を形成してなるフィルム状エレメントに関する。
また、本発明は、基板上に、無機粉末含有樹脂組成物を積層して無機粉末含有樹脂組成物層を形成した後、該無機粉末含有樹脂組成物層を焼成して無機物層を形成することを特徴とする積層体の製造方法に関する。
また、本発明は、基板の少なくとも一方の面上に電極が設けられ、この電極が設けられた側の面上に無機物層を積層したものである積層体の製造方法に関する。
また、本発明は、前記の積層体を用いたプラズマディスプレイパネル用前面基板に関する。
さらに、本発明は、前記のプラズマディスプレイパネル用前面基板を具備したプラズマディスプレイパネル関する。
本発明のフィルム状エレメント及び本発明の製造方法により得られた積層体を用いることにより、良好な熱分解特性により、高精度の膜厚で、かつ不純物由来の性能欠陥が低減された無機物層が積層されたプラズマディスプレイパネル用前面基板及びこれを具備したプラズマディスプレイパネルを得ることができる。
以下、発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。また各図面の寸法比率は、実際の寸法比率と必ずしも一致するものではない。
図1は、本発明になるフィルム状エレメントの一実施形態を示す模式断面図である。図1に示されるフィルム状エレメント1は、支持フィルム10と、支持フィルム10上に設けられた無機粉末含有樹脂組成物20と、該無機粉末含有樹脂組成物層20上に積層されたカバーフィルム30とから構成されている。該無機粉末含有樹脂組成物層20を構成する無機粉末含有樹脂組成物層21は、主要な樹脂であるポリマー、タック性付与剤として添加するポリマー及び無機粉末を含有する。
なお、本発明において、以下の説明において、高分子量バインダポリマーを単にポリマーといい、タック性付与剤として添加する低分子量バインダポリマーを可塑剤ポリマーという。
無機粉末含有樹脂組成物が含有するポリマーは、分子量が40000以上、好ましくは分子量40000〜200000の範囲、より好ましくは50000〜150000の範囲、さらに好ましくは60000〜100000の範囲とされる。分子量が40000未満では流動し易くなる。上限については特に制限はないが、粘性が高くなり、成膜性が低くなるのを防止する点及びフィルム状エレメントの膜厚均一性との関係で200000程度であることが好ましい。
可塑剤ポリマーは、主要な樹脂であるポリマーと同一組成であり、かつ分子量が20000以下とされ、分子量が20000を超えると、無機粉末含有樹脂組成物に対するタック性付与の効果が低くなる。
本発明において、ポリマーの分子量とは、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法により、ポリスチレン標準物質を用いて作成した検量線を基に推定した重量平均分子量(Mw)である。
ポリマーとしては、ラジカル反応などによる付加反応を受け得る反応性二重結合(エチレン性不飽和二重結合など)を有するポリマーであれば特に限定はないが、樹指組成物中の他の成分との相溶性に優れ、フィルム状エレメント1の保存条件下で安定であるものが好ましい。
具体的には、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、ヒドロキシスチレン樹脂、ノボラック樹指、ポリ工ステル樹脂などのポリマーをベースポリマーとし、このベースポリマーに反応性二重結合を導入したものを、反応性二重結合を有するポリマーとして好適に用いることができる。
ここで、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、メタクリル又はアクリルのことを意味し、「(メタ)アクリル系樹指」とは 、メタクリル基又はアクリル基を有するモノマー由来のモノマー単位で主として構成される重合体のことを意味する。
上記ポリマーとして用いる(メタ)アクリル系樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸−ブチル、(メタ)アクリル酸(2−エチル)ヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、グリシジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルを重合したものが挙げられる。これらのモノマーは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて重合させてもよい。
また、上記ポリマーとしては、上記の(メタ)アクリル酸エステルのようなモノマーの他、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル系モノマ一類、ブタジエン、イソプレン等の共役ジ工ン類、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ベンジル等のポリマ一鎖の一方の末端に(メタ)アクリロイル基等の重合性不飽和基を有するマクロモノマ一類、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、 p−ヒドロキシスチレン等のフェノール性水酸基含有モノマ一類等のモノマーを、単独又は複数種で重合させて得られるポリマーが挙げられる。
本発明において、可塑剤ポリマーは、上記ポリマーと同じ組成であることが特徴であり、組成についてポリマーと異なる点は無い。
無機粉末含有樹脂組成物が含有する無機粉末としては、ガラスフリットなどのガラス粉末、金属酸化物粉末、金属粉末等が挙げられる。例えば、形成される無機物層をPDPの誘電体層として適用する場合には、無機粉末としてガラスフリットを用いることが好ましい
無機粉末の軟化点は、400〜600℃の範囲内にあることが好ましい。無機粉末の軟化点が400℃未満であると、無機粉末含有樹脂組成物層を焼成する際に、樹脂成分が完全に分解除去されない段階で無機粉末が溶融して、形成される無機物層中に樹指成分の一部が残留し、その結果、無機物層が着色してその光透過率が低下する傾向にある。
一方、無機粉末の軟化点が600℃を超えると、600℃より高温で焼成する必要があるために、基板に歪みなどが発生しやすくなる傾向にある。特に、PDPへの適用を考慮すると、軟化点が上記の範囲にある低融点ガラスフリットを無機粉末として用いることが 好ましい。
低融点ガラスフリットとしては、具体的には、酸化鉛−酸化ホウ素−酸化ケイ素系 (PbO−B−SiO系)、酸化鉛−酸化ホウ素−酸化ケイ素−酸化アルミニウム系(PbO−B−SiO−Al系)、酸化亜鉛−酸化ホウ素−酸化ケイ素系(ZnO−B−SiO系)、酸化亜鉛−酸化ホウ素−酸化ケイ素−酸化アルミニウム系(ZnO−B−SiO−Al系)、酸化鉛−酸化亜鉛−酸化ホウ素−酸化ケイ素系 (PbO−ZnO−B−SiO系)、酸化鉛−酸化亜鉛−酸化ホウ素−酸化ケイ素−酸化アルミニウム系(PbO−ZnO−B−SiO−Al系)、酸化ビスマス−酸化ホウ素−酸化ケイ素系(Bi−B−SiO系)、酸化ビスマス−酸化ホウ素−酸化ケイ素−酸化アルミニウム系(Bi−B−SiO−Al系)、酸化ビスマス−酸化亜鉛−酸化ホウ素−酸化ケイ素系(Bi−ZnO−B−SiO系)、酸化ビスマス−酸化亜鉛−酸化ホウ素−酸化ケイ素−酸化アルミニウム系(Bi−ZnO−B−SiO−Al系)等が挙げられる。
無機粉末の平均粒径は、0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜5μmであることがより好ましい。この平均粒径が0.1μm未満であると、無機物層を誘電体層として用いたときにその誘電体層としての効果が低下する傾向にあり、10μmを越えると、無機粉末含有樹脂組成物中での分散性が低下する傾向にある。
無機粉末は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。すなわち、異なる組成、異なる軟化点、異なる形状、異なる平均粒径を有する無機粉末を2種以上組み合わせて用いることができる。
無機粉末含有樹脂組成物における無機粉末の含有割合は、その体積が、樹脂成分の乾燥時の体積に対して同等程度となるような割合であることが好ましい。無機粉末の体積が樹脂成分の乾燥時の体積を上回ると、無機粉末含有樹脂組成物層21の基板40への密着性が低下して、フィルム状エレメントを用いて基板上に無機粉末含有樹脂組成物層を形成することが困難になる傾向にある。
無機粉末の含有割合を上記のような体積比とするためには、樹脂成分、無機粉末それぞれの比重から、所望の体積比となるように算出した質量比でそれぞれの成分を混合すればよい。樹脂成分の乾燥時の比重は概ね0.5〜1.5程度であり、例えば、(メタ)アクリル系樹指では、通常、1.0程度である。
一方、無機粉末の1種である低融点ガラスフリットの場合、その比重は概ね2.5〜5.5程度であり、例えば、酸化鉛含有低誘電ガラスフリットの比重は4.5〜5.0程度である。
又は、上記のような体積比に代えて、質量比に基づいて含有割合を決定してもよい。この場合、無機粉末の含有割合は、樹脂成分の乾燥重量100質量部に対して、100〜600質量部であることが好ましく、200〜500質量部であることがより好ましく、300〜450質量部であることがさらに好ましい。無機粉末の含有割合が100質量部未満であると、焼成により無機物層を形成する際に樹脂成分の分解による空隙が大きくなるため、無機物層の均一性が低下する傾向があり、600質量部を越えると、樹脂組成物層20の基板への密着性が低下する傾向がある。
無機粉末含有樹脂組成物には、上記のような成分に加えて、染料、発色剤、可塑剤、顔料、重合禁止剤、表面改質剤、安定剤、熱硬化剤等を必要に応じて添加することができるが、無機粉末含有樹脂組成物の熱分解特性に悪影響を及ぼす可能性を考慮し、慎重に選定する必要があり、添加しないことが好ましい。
フィルム状エレメント1の支持フィルム10としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ力一ボネート等からなる厚さが5〜100μm程度のフィルムが挙げられる。また支持フィルム10はその表面が離型処理されていることが好ましい。
フィルム状エレメント1のカバーフィルム30としては、ポリエチレン、ポリプロピレ ン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ力一ボネート等からなる厚さが5〜100μm程度 のフィルムが挙げられる。また、カバーフィルム30はその表面が離型処理されていることが好ましい。
フィルム状エレメント1は、例えば、支持フィルム上10に、無機粉末含有樹脂組成物を20塗布するなどして無機粉末含有樹脂組成物層21を形成し、無機粉末含有樹指組成物層21上にカバーフィルムを積層して製造することができる。無機粉末含有樹脂組成物層21は、無機粉末含有樹脂組成物20を溶剤中に溶解又は分散した塗工液を調製し、これを支持フィルム10上に塗布後、塗膜から溶剤を除去する方法で形成することが好ましい。この塗工液に用いる溶剤は、ポリマーを合成する際に用いた溶媒であってもよいし、この溶媒とは別に添加してもよい。
具体的には、溶剤としては、トル工ン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、テトラメチルスルホン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、クロロホルム、塩化メチレン、メチルアルコール、エチルアルコール等が挙げられる。これらは一種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることが出来る。
上記の塗工液を支持フィルム10上に塗布する方法としては、例えば、ナイフコート法、ロールコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、バーコート法、カーテンコート法等の公知の方法が挙げられる。
塗膜からの溶剤の除去は、例えば、熱風対流式乾燥機、ホットプレート乾燥機、遠赤外線乾燥機等で加熱して行うことができる。溶剤を除去するための加熱温度は、60〜130℃とすることが好ましく、加熱時間は、1分〜1時間とすることが好ましい。
無機粉末含有樹指組成物層21の厚さは、最終的に形成される無機物層が所望の厚さになるように適宜設定すればよいが、10〜200μmとすることが好ましく、20〜150μmとすることがより好ましく、30〜100μmとすることが特に好ましい。このような厚さのフィルム状エレメント1はロール状に巻いて保管することができる。
次に、本発明の無機物層の形成方法について図面を用いて説明する。
図2は、本発明になる無機物層の形成方法を説明するための模式断面図、詳しくは、ポリマー、可塑剤ポリマー及び無機粉末を含有する無機粉末含有樹脂組成物からなる無機粉末含有樹脂組成物層を形成する工程と、無機粉末含有樹脂組成物層を焼成して、無機物層を形成する焼成工程とを説明するための模式断面図である。
図2の(a)は、フィルム状エレメント1を用いて、電極45が設けられた基板40上に無機粉末含有樹脂組成物層を形成する工程を示している。この工程では、フィルム状エレメント1のカバーフィルム30を剥離しながら、ラミネータの積層ロール50により樹脂組成物20を基板40上に圧着して積層することにより、図2の(b)に示すように、基板40の電極45が設けられた側の面上に無機粉末含有樹脂組成物層21が形成される。
無機粉末含有樹脂組成物層21形成工程における積層ロール50の圧着圧力は、線圧で50N/m〜1×10N/mとすることが好ましく、2.5×10〜5×10N/mとすることがより好ましく、5×10〜4×10N/mとすることが特に好ましい。この圧着圧力が、50N/m未満では、無機粉末含有樹指組成物層21と基板40とが十分に密着できない傾向にあり、1×10N/mを超えると、フィルム状エレメントがエッジフュージョンを起こし易くなる頃向がある。
無機粉末含有樹脂組成物層形成工程における積層ロール50の温度は、80〜130℃とすることが好ましい。この温度が80℃未満であると、無機粉末含有樹脂組成物層21の基板への密着性が低下する傾向にあり、130℃を超えると、無機粉末含有樹指組成物層21の流動性が過剰となり、ラミネート時にエッジフュージョンを起こし易くなる傾向がある。
また、積層ロール50の移動速度は、0.3〜3m/分が好ましい。この速度が、0.3m/分未満であると、無機粉末含有樹脂組成物層21に対する加熱と加圧の時聞が長いことからエッジフュージョンを起こしやすくなる傾向にあり、3m/分を超えると、無機粉末含有樹脂組成物層21の基板への密着性の確保が困難となる傾向がある。
基板40の種類は、基板上に無機物層22が形成された積層体2の用途に応じて選択されるが 、例えば、積層体2をPDPの前面基板に適用する場合には、基板40としてはガラス基板が好ましい。
電極45は、基板上に金属膜を形成した後、感光性レジストを金属膜上に積層し、適切なパターンを形成した後エッチングにより不要部分を除去して所望の形状の電極を得るフォトリン法、基板上に感光性レジストを積層し、適切なパターンを形成した後基板の露出した部分に金属膜を形成することにより所望の形状の電極を得るアディティブ法、銀粉末を含む無機粉末含有樹指組成物パターンを基板上に形成し、焼成することで所望の電極を得る方法などの公知の方法により形成することができる。
レジスト層形成工程の後、焼成工程において、無機粉末含有樹脂組成物層21を加熱により焼成して樹脂成分を除去し、無機粉末含有樹脂組成物層が含有していた無機粉末に由来し、所定の厚さの無機物層を形成する。図2の(c)は、焼成工程を経た後に得られる積層体2を示しており、積層体2においては、基板40上に、電極45と、焼成により形成された無機物層22とが設けられている。
焼成は、例えば、電気炉中で積層体全体を加熱して行うことができる。焼成の際の加熱温度は、最高温度を400〜700℃とすることが好ましく、450〜600℃とすることがより好ましい。
また、焼成時間は、5分〜6時間程度が好ましい。なお、焼成は大気中で行ってもよい。
無機物層22が、ガラスフリットなどの誘電体材料で形成されている場合、無機物層22は誘電体層として機能する。この場合、積層体2は、プラズマディスプレイパネル用前面基板(PDP用基板)として好適に用いることができる。
本発明のプラズマディスプレイ用前面基板は、本発明の積層体を備えるものである。また、本発明のプラズマディスプレイパネルは、このプラズマディスプレイ用前面基板を具備するものである。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
(合成例1)
<ポリマーの合成 >
撹拌機、還流冷却機、不活性ガス導入口及び温度計を備えたフラスコに、トルエン50質量部を仕込み、80℃に加熱した。ここへ、モノマーとしてメタクリル酸イソブチル60質量部、メタクリル酸ドデシル34質量部及びメタクリル酸2−エチルヘキシル6質量部並びに重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.3質量部を添加して混合した溶液を滴下した。
滴下終了後、80℃を保持したまま4時間撹拌した後、室温まで冷却し、ポリマーのトルエン溶液を得た(溶液100質量部当りの乾燥質量:50質量部)。
得られたポリマーの重量平均分子量は、80000であった。
(合成例2)
<可塑剤ポリマーの合成>
撹拌機、還流冷却機、乾燥空気導入口及び温度計を備えたフラスコに、トルエン133.3質量部を仕込み、80℃に加熱した。ここへ、モノマーとしてメタクリル酸イソブチル60質量部、メタクリル酸ドデシル34質量部及びメタクリル酸2−エチルヘキシル6質量部並びに重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル2質量部を添加して混合した溶液を滴下した。
滴下終了後、80℃を保持したまま4時間撹拌した後、室温まで冷却し、可塑剤ポリマーのトルエン溶液を得た(溶液100質量部当りの乾燥質量:30質量部)。
得られた可塑剤ポリマーの重量平均分子量は18000であった。
実施例1
<ポリマー及び可塑剤ポリマーを樹脂成分とする無機粉末含有樹脂組成物の調製>
合成例1で得られたポリマーのトルエン溶液160質量部(ポリマー乾燥時80質量部)、可塑剤ポリマーのトルエン溶液66.7質量部(可塑剤ポリマー乾燥時20質量部)及びガラスフリット(酸化鉛含有低融点ガラス、比重5.05、平均粒径2.5μm)430質量部を混合した混合物を、ビーズミルを用いて10分間撹拌して、無機粉末としてガラスフリットを含有する無機粉末含有樹脂組成物のトルエン溶液を調製した。
<フィルム状エレメントの作製>
50μmの厚さの離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(支持フィルム)上に、上記で得られた無機粉末含有樹脂組成物のトルエン溶液を均一に塗布し、110℃に設定した熱風対流式乾燥機で10分間加熱して溶剤を除去して、ガラスフリットを含有し厚さ70μmの無機粉末含有樹脂組成物層を形成した。
次いで、この無機粉末含有樹脂組成物層上に離型処理した厚さ30μmのポリエチレンテレフタレートフィルムをカバーフィルムとして積層して、反応性二重結合を有するポリマーを含有する第1の無機粉末含有樹脂組成物で形成された無機粉末含有樹脂組成物層を有するフィルム状エレメン卜を作製した。
フィルム状エレメントは連続的に塗布、乾燥及びカバーフィルム積層を行ない、ロール状に巻き取った。その際、カバーフィルムの積層は良好であり、無機粉末含有樹脂組成物と接する部分は前面に渡り密着し、三層構造の積層体となっていた。
比較例1
<ポリマーのみを樹脂成分とする無機粉末含有樹脂組成物の調製>
合成例1で得られたポリマーのトルエン溶液200質量部(ポリマー乾燥時100質量部)及びガラスフリット(酸化鉛含有低融点ガラス、比重5.05、平均粒径2.5μm)430質量部を混合した混合物を、ビーズミルを用いて10分間撹拌して、無機粉末としてガラスフリットを含有する、ポリマーのみを樹脂成分とする無機粉末含有樹脂組成物のトルエン溶液を調製した。
<フィルム状エレメントの作製(ポリマーのみを樹脂成分とする無機粉末含有樹脂組成物使用)>
上記で得た、ポリマーのみを樹脂成分とする無機粉末含有樹脂組成物の溶液を用いた他は、実施例1と同様にして、フィルム状エレメントを作製した。実施例1と同様にロール状に巻き取ったが、その際、カバーフィルムは密着しておらず、巻取り時に無機粉末含有樹脂組成物層とベースフィルムの積層体と、カバーフィルムの位置が互いに変動し、摩擦によるキズ、フィルムの歪みによる無機粉末含有樹脂組成物層の段差などが全面にわたり発生した。
本発明になるフィルム状エレメントの模式断面図である。 本発明になる無機物層の形成方法を説明するための模式断面図である。
符号の説明
1 フィルム状エレメント
2 積層体
10 支持フィルム
20 無機粉末含有樹脂組成物
21 無機粉末含有樹脂組成物層
22 無機物層
30 カバーフィルム
40 基板
45 電極
50 積層ロール

Claims (5)

  1. 基板上に、分子量40000以上の高分子量バインダポリマー、該高分子量バインダポリマーと同一組成であり、かつ分子量20000以下の低分子量バインダポリマー及び無機粉末を含む無機粉末含有樹脂組成物層を形成してなるフィルム状エレメント。
  2. 基板上に、無機粉末含有樹脂組成物を積層して無機粉末含有樹脂組成物層を形成した後、該無機粉末含有樹脂組成物層を焼成して無機物層を形成することを特徴とする積層体の製造方法。
  3. 基板の少なくとも一方の面上に電極が設けられ、この電極が設けられた側の面上に無機物層を積層したものである請求項2記載の積層体の製造方法。
  4. 請求項3記載の積層体を用いたプラズマディスプレイパネル用前面基板。
  5. 請求項4記載のプラズマディスプレイパネル用前面基板を具備したプラズマディスプレイパネル。


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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010006638A (ja) * 2008-06-27 2010-01-14 Hitachi Powdered Metals Co Ltd 無鉛低温ガラスフリット、それを用いた無鉛低温ガラスフリットペースト材料,画像表示装置及びicセラミックスパッケージ

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