JP4421730B2 - セラミックパターン形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、低温で焼成可能な焼成用感光性樹脂組成物及びセラミック材料を用いたセラミックパターン形成方法に関するもので、特に液晶表示装置、蛍光表示装置、プラズマディスプレイパネル(PDP)、混成集積回路等の製造工程に用いられるセラミック隔壁を形成するためのパターン形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、液晶表示素子、蛍光表示装置、PDP、混成集積回路等の分野で高精度のセラミックパターンを得る方法として、感光性樹脂組成物の層を基板上に形成した後、パターンマスクを介して露光及び現像を行い、該基板上に凹凸のレジストパターンを形成させ、次いで該レジストパターンの凹部に有機バインダーを含有するセラミック材料を充填し、その後レジストパターンと有機バインダーを500〜600℃で焼成して除去し、セラミックの隔壁を形成する方法が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のごとくレジストの焼成温度は500〜600℃と非常に高く、セラミック材料中に含まれる有機バインダーも多くの場合500℃以上でないと焼成できないのが現状であり、焼成費のコストダウンの点から焼成温度の低温化が期待されている。しかし、焼成温度が低すぎるとレジストが完全にガス化せず、着色の有機物(タール)あるいは残灰分として残存し製品の質を落す恐れがあるので、低温で焼成しても未焼成レジストが残存しないような工夫が強く要望されている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者はかかる事情に鑑みて鋭意研究をした結果、樹脂、エチレン性不飽和モノマー、光重合開始剤と金属過酸化物を含む感光性樹脂組成物の層を基板上に形成した後、パターンマスクを介して露光及び現像を行い、該基板上に凹凸のレジストパターンを形成し、次いで該レジストパターンの凹部に金属過酸化物を含むセラミック材料を充填し、その後レジストパターンとセラミック材料の両方を焼成し、セラミックの隔壁を形成するとき低温で焼成しても有機物が残存しない純白色のファインセラミックパターンが得られることを見いだし本発明を完成した。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に述べる。
本発明に用いられる感光性樹脂組成物は、樹脂、エチレン性不飽和モノマー、光重合開始剤、金属過酸化物、好ましくは更に貴金属及びその化合物を含有させてなるものである。
【0006】
該樹脂としては、特に(メタ)アクリレートを主成分とし、エチレン性不飽和カルボン酸や他の共重合可能なモノマーを共重合した(メタ)アクリル系共重合体が好ましく、該(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、該エチレン性不飽和カルボン酸は、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸が好ましく、その他、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等のジカルボン酸、あるいはそれらの無水物やハーフエステルも用いることができる。これらの中では、アクリル酸とメタクリル酸が特に好ましく、共重合体の酸価が100〜200mgKOH/g程度になるように重合することが好ましい。更に他の共重合可能モノマーとしては、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、アルキルビニルエーテル等が挙げられる。
【0007】
上記エチレン性不飽和モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性グリセリントリ(メタ)アクリレート、プロピレン変性グリセリントリ(メタ)アクリレート等の多官能モノマーが挙げられ、これらの多官能モノマーと共に、単官能モノマーを適当量併用することもでき、かかる単官能モノマーの例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルフタレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、フタル酸誘導体のハーフ(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0008】
上記光重合開始剤としては、ベンゾフェノン系化合物、アセトフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、アクリジン系化合物、N−フェニルグリシン、ピバロインエチルエーテル、フェニルグリオキシレート、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、ジベンゾスパロン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパノン、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、トリブロモフェニルスルホン、トリブロモメチルフェニルスルホン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上が用いられ、好ましくはベンゾフェノン系化合物、アセトフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、アクリジン系化合物が挙げられる。
【0009】
該ベンゾフェノン系化合物としては、4,4’−ジアルキルアミノベンゾフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンジルジフェニルジスルフィド、ベンジルジメチルケタール、ジベンジル、ジアセチル、アントラキノン、ナフトキノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベンゾフェノン、p,p’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、p,p’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が例示される。
該アセトフェノン系化合物としては、1,1−ジクロロアセトフェノン、p−t−ブチルジクロロアセトフェノン、ヘキサアリールイミダゾール二量体、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン等が例示される。
【0010】
該ベンゾトリアゾール系化合物としては、1,2,3−ベンゾトリアゾール、1−クロロ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、4−カルボキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、5−カルボキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、ビス(N−2−エチルヘキシル)アミノメチレン−1,2,3−ベンゾトリアゾール、ビス(N−2−エチルヘキシル)アミノメチレン−1,2,3−トリルトリアゾール、ビス(N−2−ヒドロキシエチル)アミノメチレン−1,2,3−ベンゾトリアゾール等が例示される。
【0011】
該トリアジン系化合物としては、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−n−プロピル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−4’−メトキシフェニル−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−[4−(2−エトキシエチル)−ナフト−1−イル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4,7−ジメトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(アセナフト−5−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2’,4’−ジクロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−n−ノニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロロエチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−p−メチルスチリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−p−メトキシスチリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等が例示される。
アクリジン系化合物としては、アクリジン、9−フェニルアクリジン等が例示される。
【0012】
上記金属過酸化物とは、感光性樹脂組成物に含有される上記の樹脂を低温で焼成可能とするために使用されるもので、具体的には過酸化マンガン、過酸化鉄、過酸化亜鉛、過酸化カリウム、過酸化カルシウム、過酸化銀、過酸化クロム、過酸化セリウム、過酸化チタン、過酸化鉛、過酸化ニッケル、過酸化リチウム、過酸化ストロンチウム、過酸化サマリウム、過酸化銅、過酸化バリウム、過酸化マグネシウムやこれらの混合物及び錯化合物等が挙げられ、この中でも過酸化銅と過酸化マンガンの混合物や過酸化鉄と過酸化マンガンの混合物や錯化合物が好ましい。
【0013】
該金属過酸化物として具体的には日産ガードラー触媒社製『N−140』(過酸化銅と過酸化マンガンの混合物)、『N−150』(過酸化鉄と過酸化マンガンの混合物)等が挙げられる。
該過酸化物の表面積としては10〜1000m2/gが好ましく、更には100〜1000m2/gの範囲が実用的である。該表面積が10m2/g未満では低温焼成時の活性が弱く、1000m2/gを越えると粒径が細かくなり分散、凝集を引き起したり、コスト面でも高くなり好ましくない。
該過酸化物は微粉末の単体で用いても良いがゼオライトなどの粒子の表面に薄膜として吸着された状態で用いることもできる。
【0014】
感光性樹脂組成物中の各成分の配合量において、エチレン性不飽和モノマーの配合量は、樹脂100重量部に対して10〜200重量部、特に40〜100重量部の範囲から選ぶことが望ましい。かかる配合量が10重量部未満ではセラミックの隔壁を形成する際に好ましいセラミックパターン形状あるいはアスペクト比が得られず、200重量部を越えると未露光時のレジストの粘着性の増大、露光時のコールドフロー、硬化レジストの剥離速度低下を招くことになる。
【0015】
光重合開始剤の配合量は、樹脂とエチレン性不飽和モノマーとの合計量100重量部に対して、1〜20重量部が好ましく、更には1〜10重量部である。かかる配合量が1重量部未満では実用的な感度が得られず、20重量部を越えると解像性が低下することになり好ましくない。
【0016】
金属過酸化物の配合量は、樹脂100重量部に対して0.01〜10重量部、特に0.05〜5重量部の範囲から選ぶことが望ましい。かかる配合量が0.01重量部未満では焼成温度低下の効果が不十分で、10重量部を越えると該過酸化物そのものが焼成残分となるので好ましくない。
【0017】
かくして本発明で用いられる感光性樹脂組成物が得られるが、上記金属過酸化物の低温焼成効果をさらに高めるための助剤として貴金属及びその化合物を含有させることが好ましく、かかる貴金属及びその化合物としては、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、インジウム等及びその化合物が挙げられ、特にゼオライト等の担体表面に白金を蒸着した白金系化合物が好ましい。
該貴金属及びその化合物も微粉末単体、ゼオライトなどの粒子の表面に薄膜として吸着された状態で用いることもできる。
微粉末単体として用いる場合、その表面積も10〜1000m2/gが好ましく、更には100〜1000m2/gの範囲が実用的である。また、ゼオライトなどの粒子の表面に薄膜として吸着させた状態の粒子として用いる場合、ゼオライトの表面積は上記単体の場合と同等が好ましく、その時の貴金属及びその化合物の吸着量は0.01g〜10kg/ゼオライト1g程度が好ましい。
【0018】
感光性樹脂組成物中における貴金属及びその化合物の配合量は、樹脂100重量部に対して、0.01〜10重量部、特に0.05〜5重量部の範囲から選ぶことが望ましい。かかる配合量が0.01重量部未満では焼成温度低下を更に高める効果が不十分で、10重量部を越えると該化合物そのものが焼成残分となるので好ましくない。
【0019】
必要に応じて更に、染料(着色、発色)、密着性付与剤、可塑剤、酸化防止剤、熱重合禁止剤、溶剤、表面張力改質材、安定剤、連鎖移動剤、消泡剤等を適宜添加することができる。該染料としては、例えば、ロイコクリスタルバイオレット、ロイコマラカイトグリーン、ロイコダイアモンドグリーン、ロイコメチレンブルー等の光発色染料を1種以上用いることができ、必要に応じて、マラカイトグリーン、クリスタルバイオレット等のベース染料を1種以上添加して用いられる。
【0020】
次に、本発明で用いられるセラミック材料について説明する。
本発明で使用するセラミック材料とは、ガラスフリット、有機バインダー、必要に応じて骨剤、顔料、溶剤、充填剤、硬化剤、安定剤、分散剤等を配合した有機ペーストに金属過酸化物を配合したものである。
【0021】
該ガラスフリットは、通常平均粒径10μm以下、軟化点が650℃以下の微粒子が好ましい。軟化点が650℃を越えるとガラスが溶融しにくく隔壁強度が得られなくなり好ましくない。軟化点の下限については樹脂と金属過酸化物の種類により適宜選択されるが、使用する有機ペースト中の有機成分の70重量%が焼失する温度よりも高くするのが好ましい。
上記ガラスフリットの含有量は、有機ペースト中(但し溶剤分は除外する)に5〜97重量%含有されることが好ましく、更に好ましくは5〜90重量%、特には10〜70重量%である。かかる含有量が5重量%未満ではガラスによる結着力が不足し隔壁の強度が得られず、97重量%を越えると焼成時に隔壁の形状が保持できなくなり好ましくない。
【0022】
上記の有機バインダーとしては末端に不飽和二重結合を有する熱硬化性樹脂を用いることが好ましく、かかる熱硬化性樹脂を用いることにより、良好なセラミック材料の微細パターンが得られるのである。該樹脂の構造は、主鎖あるいは側鎖末端に不飽和二重結合の骨格を有し、その性質として熱硬化性を有するものであれば、特に限定されず、ポリマーあるいはプレポリマーのいずれでもよい。中でも、ジアリルフタレート樹脂、フェノールノボラック型のエポキシアクリル樹脂、クレゾールノボラック型のエポキシアクリル樹脂、ビスフェノール型のエポキシアクリル樹脂を用いることが好ましい。
有機バインダーの含有量は、有機ペースト中(但し溶剤分は除外する)に、3重量%以上含有されることが好ましく、特に好ましくは10〜30重量%である。該含有量が3重量%未満では焼成後に一部隔壁が崩壊し易くなり好ましくない。
【0023】
上記の骨剤としては、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、ジルコニア、SiC、BN、SUS、マイカ等が用いられ、顔料としては、酸化チタン、アルミナ等が挙げられる。溶剤としては、エチルカルビトール、テルピネオール、ブチルナフタレン、ブチルカルビトールアセテート、ブチルセロソルブアセテート等が挙げられる。
【0024】
上記の有機ペーストに配合される金属過酸化物とは前述した感光性樹脂組成物に含有される金属過酸化物を用いることができ、(但し、同時に同じ金属過酸化物を用いる必要はない)金属過酸化物の配合割合は、有機ペースト(但し溶剤分は除外する)100重量部に対して0.01〜10重量部、特に0.05〜5重量部の範囲から選ぶことが望ましい。かかる配合割合が0.01重量部未満では焼成温度低下の効果が不十分で、10重量部を越えると該過酸化物そのものが焼成残分となるので好ましくない。
【0025】
また、金属過酸化物とともに前述した貴金属及びその化合物を併用することも、低温焼成効果を高めるために有用で、かかる場合の貴金属及びその化合物の配合量は有機ペースト(但し溶剤分は除外する)100重量部に対して、0.01〜10重量部、特に0.05〜5重量部の範囲から選ぶことが望ましい。かかる配合量が0.01重量部未満では焼成温度低下を更に高める効果が不十分で、10重量部を越えると該過酸化物そのものが焼成残分となるので好ましくない。
【0026】
本発明の方法を実施するに当っては、まず、上記の感光性樹脂組成物の層を基板上好ましくはガラス基板上に形成した後、パターンマスクを介して露光及び現像を行い、該基板上に凹凸のレジストパターンを形成する。
該感光性樹脂組成物は、直接基板上に塗工することは勿論可能であるが、塗工乾燥工程を省略できるという作業の簡便化、ハンドリングの容易性、レジスト層厚みの均一性、厚膜成形性等を考慮すれば、あらかじめドライフィルム化しておき、該フィルムを用いてパターン形成を行った方が有利である。ドライフィルム化、即ちドライフィルムレジスト用積層体とするには公知の方法が用いられ、例えば、上記の感光性樹脂組成物をポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルムなどのベースフィルム面に塗工した後、その塗工面の上からポリエチレンフィルム、ポリビニルアルコール系フィルムなどの保護フィルムを被覆してドライフィルムレジスト用積層体とする方法が挙げられる。
【0027】
ドライフィルムレジストによって基板上にパターンを形成させるには、先ず上記のドライフィルムレジスト用積層体のベースフィルムと感光性樹脂組成物との接着力及び保護フィルムと感光性樹脂組成物層との接着力を比較し、接着力の低い方のフィルムを剥離してから感光性樹脂組成物層の側をパターンを形成させようとするガラス等の基板面に貼り付けた後、他方のフィルム上にパターンマスクを密着させて露光する。
【0028】
感光性樹脂組成物が粘着性を有しないときは、前記他方のフィルムを剥離してからパターンマスクを感光性樹脂組成物層に直接接触させて露光することもできる。
尚、100μm以上のパターン形成厚みが必要とされる場合には、該積層体を必要とされる厚みになるようにあらかじめラミネートしておき、これをドライフィルムレジスト用積層体として用いることもできる。この場合は、ラミネートされた感光性樹脂組成物がそれぞれ直接接するように、ベースフィルム或いは保護フィルムを除去しておく。
【0029】
ここで、ガラス基板としては、該基板表面の凹凸の最高点と最低点の差が1μm以上、好ましくは1〜5μmであるガラス基板を用いることが好ましく、かかる凹凸の差が1μm未満では下記の述べるセラミック材料が密着する表面積が不足し密着不良が起こりやすくなり好ましくない。表面にかかる1μm以上の凹凸の差を設けるには、基板表面にスクリーン印刷で白色導電体ペーストの層を設けた後、焼成によって新たに凹凸をもったガラス層を設けたり、サンドブラスト等にて物理的に基板表面を荒らすか、薬液により化学的にエッチングする等の方法が挙げられる。
【0030】
露光は通常紫外線照射により行い、その際の光源としては、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライドランプ、ケミカルランプ等が用いられる。紫外線照射後は、必要に応じ加熱を行って、硬化の完全を図ることもできる。
【0031】
又、上記積層体を用いずに該感光性樹脂組成物を基板面に直接塗工した場合は、その塗工面に直接またはポリエステルフィルム等を介してパターンマスクを接触させ、露光に供する。
【0032】
露光後は、レジスト上のフィルムを剥離除去してから現像を行う。
本発明の感光性樹脂組成物は稀アルカリ現像型であるので、露光後の現像は、炭酸ソーダ、炭酸カリウム等のアルカリ濃度0.1〜2重量%程度の稀薄水溶液を用いて行い、基板上に所定の高さの凹部(雌型)をもつレジストパターンを形成させる。
【0033】
次いで得られたレジストパターンの凹部に金属過酸化物を含有してなるセラミック材料を充填し、その後レジストパターンとセラミック材料の両方を焼成し、セラミックの隔壁を形成するのである。
【0034】
該セラミック材料を充填する方法としては、該レジストパターンの凹部に該セラミック材料を流し込み、ゴム等からなるスクレーバー等をパターン上部に接しながら基板と平行に移動させて、はみ出した余分なセラミック材料を除去すると同時に、該凹部内に過不足なく充填し、次に80〜120℃程度で乾燥を行って、セラミック材料中の溶剤あるいは水分を除去する。この操作、必要に応じて複数回繰り返してもよい。
更に必要に応じて、スクリーンメッシュを介して、セラミック材料をパターン全面を覆うように塗布し、凹部を埋め更にパターン全面にセラミック材料の層を形成して乾燥後、パターンの高さまでセラミック材料をサンドペーパー等で研磨除去し、過不足なくセラミック材料を凹部に充填を行うこともある。
【0035】
最後にセラミック材料の融点以下、通常は400〜550℃の温度で10〜60分程度の条件で焼成を行い、レジストパターン中の樹脂分及びセラミック材料中の有機バインダーを消失せしめると共に、上記セラミック材料を基板上に隔壁として結着させる。
なお、本発明では、かかる焼成の温度は上記の如く550℃以下で充分であるが、焼成後の隔壁中の微量の有機成分の残存をなくすために、550〜600℃の温度で10〜60分程度焼成を行うこともある。
【0036】
又、本発明においては、上記焼成において、用いる焼成炉の体積に対して毎分30%以上、好ましくは30〜120%の体積(20℃、1気圧の条件下)の空気を送り込むことが好ましい。かかる空気の量が毎分30%未満では焼失が遅れ、、隔壁中にガスが内包されてしまうこととなり好ましくない。
【0037】
上記のセラミックパターン形成方法により、低温で焼成しても、精度の高い良好なセラミックパターンを形成することができので、かかる方法は液晶表示装置、蛍光表示装置、PDP、混成集積回路等の製造工程におけるセラミックパターン形成方法として大変有用である。
【0038】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
尚、実施例中「部」、「%」とあるのは断りのない限り重量基準を意味する。
実施例1
メチルメタクリレート/n−ブチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/メタクリル酸の共重合割合が重量基準で35/30/15/20である共重合体(酸価130mgKOH/g、ガラス転移点79℃、重量平均分子量6.8万)50部をメチルエチルケトン100部に溶解し、金属過酸化物〔日産ガードラー触媒社製『N−150』(過酸化鉄と過酸化マンガンの混合物、表面積130m2/g)〕1部、表面積100m2/gのゼオライト粒子表面に白金を蒸着〔10g/ゼオライト1g〕した白金系化合物0.5部、グリセリントリアクリレート(ダイセルユービーシー社製『OTA−480』)40部、p,p’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン 4部、ロイコクリスタルバイオレット0.5部、マラカイトグリーン0.05部を混合して感光性樹脂組成物を得た。
【0039】
かかる感光性樹脂組成物をギャップ10ミルのアプリケーターを用いて厚さ25μmのポリエステルフィルム上に塗工し、70℃で3分間、100℃で3分間乾燥し、レジスト厚52μmのドライフィルムを得た。
(ドライフィルムの積層)
このフィルムの感光性樹脂組成物側をガラス基板にラミネートした後、ポリエステルフィルムを剥ぎ、更に同じく2層目のフィルムをラミネートした。合計3回この操作を繰返し156μm厚のドライフィルムレジスト層を設けた。
【0040】
尚、上記のラミネート工程においては、ガラス基板をオーブンで60℃に予熱し、ラミネート温度100℃、同ロール圧3kg/cm2、ラミネート速度1.5m/minにてラミネートした。
又、上記ガラス基板としては、厚さ2.8mmのソーダライムガラス上に、白色誘電体ペースト(ノリタケカンパニー社製『NP7858』)を200番のスクリーンメッシュを使用してベタ印刷し、120℃で20分間乾燥した後、ピーク温度560℃の焼成炉でペーストを焼結し、面内の最高点と最低点の凹凸差を1.8μmとした微細な凹凸を有するガラス基板を用いた。
【0041】
(露光、現像)
上記のレジストのポリエステルフィルム側表面にライン/スペース=130μm/70μmのパターンマスクを当てて、オーク製作所の露光機HMW−532Dにて2kW超高圧水銀灯で500mJ/cm2で露光した。露光後15分間のホールドタイムを取った後、ポリエステルフィルムを剥離して、1%炭酸ナトリウム水溶液、30℃で最小現像時間の2.5倍の時間で現像して、基板上に開口幅70μm、開口高さ156μmのレジストパターンの凹部(雌型)を形成させた。
【0042】
(セラミック材料の充填)
上記レジストパターンの形成後、パターンの凹部に、下記処方のセラミックス材料を流し込み、ゴム製のスキージーにより、過不足なく充填した後、120℃で60分間乾燥を行った。この操作を2回繰り返して凹部の底部に充填を行った後、その上から#200番のスクリーンメッシュを介して、セラミック材料をパターン全面を覆うように塗布し、凹部を埋め更にパターン全面にセラミック材料の層を形成して乾燥後、パターンの高さまで、セラミック材料を#1000番のサンドペーパーで研磨除去し、過不足なくセラミック材料を凹部に完全に充填した。
【0043】
セラミック材料
低温焼結ガラスフリット〔440℃焼結型、旭硝子社製『ASF1920』、平均粒径6.5μm〕32部、高温焼結ガラスフリット〔560℃焼結型、旭硝子社製『ASF1340』、平均粒径2.0μm〕24部、酸化ジルコニウム16部、酸化チタン8部の混合物と、ジアリルフタレート樹脂(有機バインダー:ダイソー株式会社製『ダップS』)20部、ブチルカルビトールアセテート40部を混合した有機ペースト140部に、金属過酸化物〔日産ガードラー触媒社製『N−150』(過酸化鉄と過酸化マンガンの混合物、表面積130m2/g)〕1部、表面積100m2/gのゼオライト粒子表面に白金を蒸着〔10(g/ゼオライト1g)〕した白金系化合物0.5部を加えてセラミック材料とした。
【0044】
(焼成性)
レジストパターンとセラミック材料の両方を焼成するため、体積600リットルの焼成炉を5℃/minの昇温速度でピーク温度500℃と470℃に設定したメッシュベルト炉に毎分230リットルの空気を送り込みながら、基板を通すことにより焼成を行って、残っていた硬化レジストとガラスペースト中の有機成分を焼失せしめると共に、上記セラミック材料を基板上に結着させてセラミックパターンを形成せしめ、冷却後、セラミックパターンの外観を目視で観察して焼成性をそれぞれ以下のように評価した。
◎・・・ライン状のセラミック微細構造物の全面のガラス部が純白色。
○・・・ライン状のセラミック微細構造物のラインの一部が灰色に変色するか、あるいはライン間の一部に灰分が残存した。
△・・・ライン状のセラミック微細構造物のラインの一部が灰色に変色し、しかもライン間の一部に灰分が残存した。
×・・・ライン状のセラミック微細構造物のラインの全部が灰色に変色するか、あるいは基板上は灰色に変色しライン間の全部に灰分が残った。
【0045】
比較例1
実施例1において、感光性樹脂組成物の調製の際に金属過酸化物の添加を省略して感光性樹脂組成物を調整した。かかる感光性樹脂組成物を用いて実施例1と同様にしてセラミックパターン形成を行い、同様に評価した。
【0046】
比較例2
実施例1において、セラミック材料調製の際に金属過酸化物の添加を省略して実施例1と同様にセラミックパターン形成を行い、同様に評価した。
【0047】
実施例2
実施例1において感光性樹脂組成物及びセラミック材料の調製の際に、いずれもゼオライト表面に白金を蒸着した白金系化合物の添加を省略した以外は実施例1と同様にして、セラミックパターン形成し同様に評価した。
【0048】
実施例3
実施例1においてセラミック材料の調製の際に、白金系化合物の添加を省略した以外は実施例1と同様にして、セラミックパターン形成し同様に評価した。
【0049】
実施例4
実施例1において感光性樹脂組成物の調製の際に、白金系化合物の添加を省略した以外は実施例1と同様にして、セラミックパターン形成し同様に評価した。
【0050】
実施例5
実施例1において感光性樹脂組成物の調製の際に、金属過酸化物を日産ガードラー触媒社製『N−140』(過酸化銅と過酸化マンガンの混合物、ガス精製用触媒、表面積150m2/g)に変更した以外は同様に実施して同様に評価した。
【0051】
実施例6
実施例1においてアクリル系共重合体を以下のものに変更した以外は同様に実施して、同様に評価した。
アクリル系共重合体
メチルメタクリレート/n−ブチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/メタクリル酸の共重合割合が重量基準で30/30/20/20である共重合体(酸価130mgKOH/g、ガラス転移点43℃、重量平均分子量6.6万)
実施例1〜6、比較例1、2の評価結果を表1に示した。
【0052】
【0053】
【発明の効果】
本発明は、樹脂、エチレン性不飽和モノマー、光重合開始剤と金属過酸化物を含有してなる感光性樹脂組成物の層を基板上に形成した後、パターンマスクを介して露光及び現像を行い、該基板上に凹凸のレジストパターンを形成させ、次いで該レジストパターンの凹部に金属過酸化物を含有してなるセラミック材料を充填し、その後レジストパターンとセラミック材料の両方を焼成し、セラミックの隔壁を形成するので、低温で焼成しても未焼成樹脂が全くなく、灰分もほどんどないセラミックパターンが形成できる。
Claims (3)
- 樹脂、エチレン性不飽和モノマー、光重合開始剤と金属過酸化物を含有してなる感光性樹脂組成物の層を基板上に形成した後、パターンマスクを介して露光及び現像を行い、該基板上に凹凸のレジストパターンを形成させ、次いで該レジストパターンの凹部に金属過酸化物を含有してなるセラミック材料を充填し、その後レジストパターンとセラミック材料の両方を焼成し、セラミックの隔壁を形成することを特徴とするセラミックパターン形成方法。
- 感光性樹脂組成物に更に貴金属及びその化合物を含有させてなることを特徴とする請求項1記載のセラミックパターン形成方法。
- セラミック材料に更に貴金属及びその化合物を含有させてなることを特徴とする請求項1あるいは2記載のセラミックパターン形成方法。
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