JP4187294B2 - プラズマディスプレイパネルのバリアリブの形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマディスプレイパネルのバリアリブ用の粘着シート及びバリアリブの形成方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、短い工程で、精度の高いバリアリブを形成することができるプラズマディスプレイパネルのバリアリブ用の粘着シート及びバリアリブの形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
次世代フラットパネルディスプレイとして、プラズマディスプレイが台頭しつつある。図1は、プラズマディスプレイパネルの模式断面図である。本図において、背面ガラス基板1の上にバリアリブ2が形成され、赤色の蛍光体3、緑色の蛍光体4、青色の蛍光体5が、それぞれバリアリブによって仕切られている。蛍光体の部分には、アドレス電極6が設けられている。蛍光体は誘電体層7により覆われ、その外側に前面ガラス基板8が設けられている。前記前面ガラス基板8のガラス基板上には透明ITO電極9が形成されていて誘電体層7と相対し、空間には希ガスが封入され、透明ITO電極とアドレス電極の間の高電圧による放電で発生した紫外線が蛍光体に当たって、カラーが表示される。バリアリブの高さは、通常100〜200μm程度である。
従来、背面ガラス基板上にバリアリブを形成するために、スクリーン印刷を繰り返すことによって、厚さ100〜200μmにガラスフリットを付着させていた。スクリーン印刷を背面ガラス基板の全面に行ったのちに、サンドブラストによりバリアリブ形状を形成して焼成を行ったり、あるいは、バリアリブ形状が形成されるようにスクリーン印刷したのち焼成することにより、バリアリブを形成していた。
しかし、スクリーン印刷では1回に塗工可能な膜厚が薄く、付着させるガラスフリットの量が少ないので、十数回のスクリーン印刷の繰り返しが必要であり、煩雑で長時間を要する工程である。スクリーン印刷のみでバリアリブ形状を形成する場合は、スクリーン印刷の繰り返しのたびごとの位置合わせが、手間のかかる作業である。また、スクリーン印刷は、溶剤の揮散を伴うので、作業環境及び自然環境を悪化させる。さらに、スクリーン印刷を多数回繰り返すと、印刷層間に微量の空気が残存し、バリアリブにピンホールやクラックを生ずる原因となるおそれがある。このため、短い工程で、精度の高いバリアリブを形成し得る方法が求められていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、短い工程で、精度の高いバリアリブを形成することができるプラズマディスプレイパネルのバリアリブ用の粘着シート及びバリアリブの形成方法を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ガラスフリットと熱分解性粘着剤を含有する粘着シートを、プラズマディスプレイパネル用の背面ガラス基板に貼着し、予備焼成したのちサンドブラストによりバリアリブ形状を形成し、さらに焼成することにより、短い工程で精度の高いバリアリブを形成し得ることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)ガラスフリット100重量部とポリメタクリル酸−2−エチルヘキシル又はポリメタクリル酸ラウリルからなる熱分解性粘着剤10〜100重量部を含有するプラズマディスプレイパネルのバリアリブ用の粘着シートであって、可塑剤を0 . 5〜5重量部配合されたものを、プラズマディスプレイパネル用の背面ガラス基板に貼着し、200〜350℃で予備焼成したのち、バリアリブ用の粘着シートの表面にバリアリブの形状に対応するフォトレジストによるパターニングを施してからサンドブラストすることによって、バリアリブ形状を背面ガラス基板の上に形成し、さらに400〜750℃で焼成することを特徴とするプラズマディスプレイパネルのバリアリブの形成方法、及び、
(2)プラズマディスプレイパネルのバリアリブ用の粘着シートが厚さ50〜350μmで、両面に剥離フィルムが積層されてなるものである第 ( 1 ) 項記載のプラズマディスプレイパネルのバリアリブの形成方法、
を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明のプラズマディスプレイパネルのバリアリブ用の粘着シートは、ガラスフリット100重量部と熱分解性粘着剤10〜100重量部を含有する。使用するガラスフリットは、焼成時背面ガラス基板との熱膨張係数のちがいでひずみが生じ難く、背面ガラス基板に変形を生じない温度で焼成し得る低融点ガラスフリットであれば特に制限はなく、例えば、PbO−B2O3−SiO2系ガラス、Na2O−B2O3−SiO2系ガラス、BaO−CaO−SiO2系ガラス、PbO−ZnO−B2O3−SiO2系ガラス等のガラスフリットが挙げられる。また、このガラスフリットの平均粒径は、0.5〜30μmのものが採用される。
本発明のバリアリブ用の粘着シートに使用する熱分解性粘着剤は、背面ガラス基板に対して適度な貼着性を有し、ガラスフリットの焼成条件で熱分解により完全に除去されるものであれば特に制限はなく、例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸プロピル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリメタクリル酸イソブチル、ポリメタクリル酸−2−エチルヘキシル、ポリメタクリル酸ラウリルなどのメタクリル酸エステルの重合体などが挙げられる。これらの中で、ポリメタクリル酸−2−エチルヘキシル、ポリメタクリル酸ラウリルは、適度の貼着性を有し、かつガラスフリットの焼成条件における熱分解性が良好であるので、好適に使用することができ、さらにポリメタクリル酸ラウリルが特に好適に使用することができる。
本発明のバリアリブ用の粘着シートにおいて、熱分解性粘着剤の量がガラスフリット100重量部当たり10重量部未満であると、粘着シートの作製が困難となり、かつ背面ガラス基板への貼着性が不足するおそれがある。熱分解性粘着剤の量がガラスフリット100重量部当たり100重量部を超えると、ガラスフリットの焼成時に熱分解する成分が多すぎて、完全に熱分解されなかったり、バリアリブに欠陥を生ずるおそれがある。
【0006】
本発明のバリアリブ用の粘着シートには、必要に応じて、可塑剤、粘着付与剤、溶剤などを配合することができる。本発明のバリアリブ用の粘着シートに配合する可塑剤には特に制限はなく、例えば、ポリエステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、アジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸エステル系可塑剤などを挙げることができる。これらの中で、フタル酸エステル系可塑剤を好適に使用することができ、例えば、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジラウリルなどを挙げることができる。これらの中で、フタル酸ジ−2−エチルヘキシルを特に好適に使用することができる。可塑剤を配合することにより、加工性が向上し、粘着シートの作製が容易になる。可塑剤の配合量は、ガラスフリット100重量部当たり0.5〜5重量部であることが好ましい。可塑剤の配合量がガラスフリット100重量部あたり0.5重量部未満であると、加工性の向上効果が顕著に発現しないおそれがある。可塑剤の配合量がガラスフリット100重量部当たり5重量部を超えると、粘着シートが軟らかくなりすぎて、加工時ロール形状とした際粘着シートが変形したり、背面ガラス基板への貼着時の作業性が低下したりするおそれがある。
【0007】
本発明のバリアリブ用の粘着シートに配合する粘着付与剤には特に制限はなく、例えば、アルキルフェノール系粘着付与剤、クマロンインデン樹脂系粘着付与剤、ロジン系粘着付与剤などを挙げることができる。これらの中で、ロジン系粘着付与剤を特に好適に使用することができる。粘着シートに粘着付与剤を配合することにより、粘着シートの背面ガラスフリット基板への貼着性が向上する。粘着付与剤の配合量は、ガラスフリット100重量部当たり0.5〜10重量部であることが好ましい。粘着付与剤の配合量がガラスフリット100重量部あたり0.5重量部未満であると、貼着性の向上効果が顕著に発現しないおそれがある。粘着付与剤の配合量がガラスフリット100重量部当たり10重量部を超えると、粘着シートの粘着性が強くなりすぎて、粘着シートの取り扱い作業性が低下するおそれがある。
本発明のバリアリブ用の粘着シートに配合する溶剤には特に制限はなく、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤、メチルセロソルブ、エチルセロソルブなどのセロソルブ系溶剤、ベンゼン、トルエンなどの芳香族系溶剤などを挙げることができる。これらの中で、エステル系溶剤を好適に使用することができ、酢酸エチルを特に好適に使用することができる。塗工液に溶剤を配合することにより、ガラスフリットと熱分解性粘着剤との分散性が向上し、さらに粘着シート組成物の粘度が低下し、粘着シート作製時の加工性が向上する。また、粘着シート作製後、溶剤を蒸発させることにより、粘着シートの粘度を調整することができる。粘着シート作製当初に配合する溶剤は、ガラスフリット100重量部当たり10〜50重量部であることが好ましい。溶剤の配合量がガラスフリット100重量部あたり10重量部未満であると、熱分解性粘着剤とガラスフリットの分散性が悪くなったり、粘着シート作製時の加工性の向上効果が顕著に発現しないおそれがある。溶剤の配合量がガラスフリット100重量部当たり50重量部を超えると、粘着加工適性が低下するおそれがある。
【0008】
本発明のバリアリブ用の粘着シートは、厚さが50〜350μmであることが好ましい。粘着シートの厚さが50μm未満であると、必要な高さのバリアリブを形成するために重ねるべき粘着シートの枚数が多くなり、作業性が低下するおそれがある。バリアリブの高さは通常は100〜200μmであるので、焼成による体積減少を考慮に入れても、厚さが350μmを超える粘着シートは通常は不要である。また、粘着シート組成物の塗布によって、厚さが350μmを超える粘着シートを作製することは、通常は容易ではない。
本発明のバリアリブ用の粘着シートは、両面に剥離フィルムを積層することが好ましい。粘着シートの両面に剥離フィルムを積層することにより、粘着シートの作製時、作製された粘着シートの貯蔵、輸送などの取り扱い時、粘着シートの背面ガラス基板への貼着時の作業性が著しく向上する。両面に積層する剥離フィルムは、一方を支持フィルム、他方を保護フィルムとすることが好ましい。支持フィルム、保護フィルムとも、例えば、シリコーン樹脂により剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルムなどを挙げることができる。図2は、本発明のバリアリブ用の粘着シートの一態様の部分断面図である。バリアリブ用の粘着シート10の両面に、剥離性の支持フィルム11及び剥離性の保護フィルム12が積層されている。又、保護フィルムの剥離性は、支持フィルムの剥離性より大きくした方がよい。
本発明のバリアリブ用の粘着シートの製造方法には特に制限はなく、例えば、ガラスフリットと熱分解性粘着剤、その他必要に応じて、可塑剤、粘着付与剤、溶剤などを混合機を用いて混合して粘着シート組成物を調製し、支持フィルム上にロールコータ、ドクターブレード、カーテンコータ、ワイヤコータなどを用いて塗布し、必要に応じて溶剤を蒸発させたのち、表面に保護フィルムを積層してバリアリブ用の粘着シートを得ることができる。
【0009】
図3は、本発明のプラズマディスプレイパネルのバリアリブの形成方法の説明図である。図3(a)に示す支持フィルム11及び保護フィルム12で積層されたバリアリブ用の粘着シート10から、保護フィルム12を剥がして背面ガラス基板に貼着したのち、さらに支持フィルム11を剥離する。背面ガラス基板1にバリアリブ用の粘着シートが貼着された状態で、予備焼成を行い、粘着シート表面の粘着性がなく、粘着シートがサンドブラストに適した硬さを有する状態とする。予備焼成の温度は、150〜350℃であり、より好ましくは200〜350℃である。予備焼成の温度が150℃未満であると、粘着シート表面の粘着性が消失し、粘着シートがサンドブラストに適した硬さを有する状態になるまでに長時間を要するおそれがある。予備焼成の温度が350℃を超えると、熱分解性粘着剤の分解が進み過ぎて、サンドブラストに適した状態を過ぎてしまうおそれがある。
本発明方法において、予備焼成を終了したバリアリブ用の粘着シートの表面には、フォトレジストなどを用いて、バリアリブの形状に対応するパターニングを施すことが好ましい。パターニングを施すことにより、サンドブラストを効果的に行うことができる。図3(b)は、背面ガラス基板1の上の予備焼成を終了したバリアリブ用の粘着シート10に、パターニング13を施した状態を示す。
予備焼成を終了し、パターニングを施した粘着シートには、サンドブラストによりバリアリブ形状を形成し、さらに焼成を行って、図3(c)に示されるように、背面ガラス基板の上にバリアリブを完成する。焼成温度は、400〜750℃であり、より好ましくは500〜600℃である。焼成温度が400℃未満であると、熱分解性粘着剤が完全に分解除去されずバリアリブ内に残存するおそれがある。焼成温度が750℃を超えると、背面ガラス基板に歪みや変形を生ずるおそれがある。
本発明のプラズマディスプレイパネルのバリアリブ用の粘着シート及びバリアリブの形成方法によれば、粘着シートを背面ガラス基板に1〜3層貼着することにより、バリアリブの高さに必要な量のガラスフリットを付着させることができるので、従来のスクリーン印刷法に比べて、工程を著しく短縮し、製造コストを低減することができる。また、溶剤の揮散量が少ないので、作業環境が改善される。さらに、背面ガラス基板に付着させた粘着シート内には気泡が存在しないので、バリアリブにピンホールやクラックを生ずるおそれがない。
【0010】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
実施例1
熱分解性粘着剤としてポリメタクリル酸ラウリル25重量部、ガラスフリット[PbO−B2O3−SiO2系ガラス、平均粒径1.2μm]100重量部、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル2.5重量部、ロジン系粘着付与剤[理化ハーキュレス(株)、ハーコリンDE]2重量部及び酢酸エチル25重量部を湿式粉砕機の混合機に入れて、密閉系の条件で30分混合した。この混合物を、厚さ125μmの剥離処理されたポリエチレンテレフタレート支持フィルム上に、ロールコータを用いて厚さ220μmに塗布した。次いで、これを乾燥してフィルム化し、厚さ38μmの剥離処理されたポリエチレンテレフタレート保護フィルムを積層して、バリアリブ用の粘着シートを得た。
このバリアリブ用の粘着シートから保護フィルムを剥がし、粘着シートをプラズマディスプレイパネル用の背面ガラス基板に貼着し、さらに支持フィルムを剥がして、270℃で10分間予備焼成を行った。次いで、粘着シート表面にネガ型フォトレジストを塗布し、露光、現像を行ってパターニングを形成した。さらに、サンドブラストによりバリアリブ形状を形成し、580℃で10分間焼成することにより、背面ガラス基板上にバリアリブを形成した。
【0011】
【発明の効果】
本発明によれば、バリアリブ用の粘着シートを背面ガラス基板に貼着することにより、バリアリブの高さに必要な量のガラスフリットを付着させることができるので、従来のスクリーン印刷法に比べて、工程を著しく短縮し、製造コストを低減することができる。また、溶剤の揮散量が少ないので、作業環境が改善される。さらに、背面ガラス基板に貼着した粘着シート内には気泡が存在しないので、バリアリブにピンホールやクラックを生ずるおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、プラズマディスプレイパネルの模式断面図である。
【図2】図2は、本発明のバリアリブ用の粘着シートの一態様の部分断面図である。
【図3】図3は、本発明のバリアリブの形成方法の説明図である。
【符号の説明】
1 背面ガラス基板
2 バリアリブ
3 赤色の蛍光体
4 緑色の蛍光体
5 青色の蛍光体
6 アドレス電極
7 誘電体層
8 前面ガラス基板
9 透明ITO電極
10 バリアリブ用の粘着シート
11 支持フィルム
12 保護フィルム
13 パターニング
Claims (2)
- ガラスフリット100重量部とポリメタクリル酸−2−エチルヘキシル又はポリメタクリル酸ラウリルからなる熱分解性粘着剤10〜100重量部を含有するプラズマディスプレイパネルのバリアリブ用の粘着シートであって、可塑剤を0 . 5〜5重量部配合されたものを、プラズマディスプレイパネル用の背面ガラス基板に貼着し、200〜350℃で予備焼成したのち、バリアリブ用の粘着シートの表面にバリアリブの形状に対応するフォトレジストによるパターニングを施してからサンドブラストすることによって、バリアリブ形状を背面ガラス基板の上に形成し、さらに400〜750℃で焼成することを特徴とするプラズマディスプレイパネルのバリアリブの形成方法。
- プラズマディスプレイパネルのバリアリブ用の粘着シートが厚さ50〜350μmで、両面に剥離フィルムが積層されてなるものである請求項1記載のプラズマディスプレイパネルのバリアリブの形成方法。
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