JP2010002109A - 冷凍空調装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】圧縮機3、凝縮器、減圧装置、蒸発器を環状に接続した冷凍サイクルを有する冷凍サイクル装置において、凝縮器出口の冷媒と蒸発器出口の冷媒とを熱交換する高低圧熱交換器7と、高低圧熱交換器7の熱交換量を調整する熱交換量調整手段と、凝縮器出口の冷媒が気液二相状態である場合の冷媒乾き度を推算する乾き度推算手段と、乾き度推算手段により推算された冷媒乾き度が、予め設定された目標値となるように高低圧熱交換器7の熱交換量を制御する制御手段とを備えたものである。
【選択図】図1
Description
また高低圧熱交換器を設けることで、凝縮器出口を二相状態で運転した場合の性能低下を抑制し、運転効率を向上することができる。
本発明の実施の形態1の冷凍空調装置の構成を図1に基づいて説明する。
図1は本発明の実施の形態1に係る冷凍空調装置の冷媒回路図を示す図である。図1に示す冷凍空調装置(以下「装置」ともいう。)は、本発明をセパレート型の空調装置に用いたものである。
図1において、室外機1内には、圧縮機3、暖房と冷房の運転切換を行う四方弁4、室外熱交換器5、減圧装置である第1膨張弁6及び第2膨張弁8、高低圧熱交換器7が搭載される。そして、これらを環状に接続して冷凍サイクルを構成している。
また、暖房運転時の室外熱交換器5及び冷房運転時の室内熱交換器10を「蒸発器」又は「蒸発器となる熱交換器」ともいう。
圧力センサ13aが圧縮機3の吐出側、圧力センサ13bが圧縮機3の吸入側に設けられ、圧力センサ13aは冷凍サイクルの高圧である圧縮機3の吐出圧力、圧力センサ13bは冷凍サイクルの低圧である圧縮機3の吸入圧力を計測する。
室内機2内には温度センサ12hが設置され、室内熱交換器10に吸気される空気温度を計測する。
また、温度センサ12fは、本発明における第2の温度センサに相当する。
また、温度センサ12eは、本発明における第3の温度センサに相当する。
また、圧力センサ13aは、本発明における第1の圧力センサに相当し、圧力センサ13bは、本発明における第2の圧力センサに相当する。
また、計測制御装置14は、後述する動作により、推算した冷媒乾き度が、予め設定された目標値となるように高低圧熱交換器7の熱交換量を制御する。
尚、計測制御装置14は、本発明における乾き度推算手段及び制御手段に相当する。
まず暖房運転時の動作について図1、及び図2に示す暖房運転時のph線図をもとに説明する。
暖房運転時には、四方弁4の流路は図1の点線方向に設定される。そして圧縮機3から吐出された高温高圧のガス冷媒(図2の点1)は四方弁4を経て室外機1を流出しガス管11を経て室内機2に流入する。そして、室内熱交換器10に流入し、凝縮器となる室内熱交換器10で放熱しながら凝縮液化し高圧低温の液冷媒となる(図2の点2)。この際、冷媒から放熱された熱を室内側の空気に与えることで暖房を行う。
冷房運転時には、四方弁4の流路は図1の実線方向に設定される。そして、圧縮機3から吐出された高温高圧のガス冷媒(図2の点1)は四方弁4を経て凝縮器となる室外熱交換器5に流入し、ここで放熱しながら凝縮液化し、高圧低温の冷媒となる(図2の点2)。室外熱交換器5を出た冷媒は第1膨張弁6で若干減圧された後で(図2の点3)、高低圧熱交換器7の高圧熱交換部で圧縮機3に吸入される低温の冷媒に熱を与え冷却される(図2の点4)。その後、冷媒は第2膨張弁8で低圧まで減圧され二相冷媒となり(図2の点5)、その後室外機1を流出し、液管9を経て室内機2に流入する。
まず、冷媒充填量が最適である場合の運転制御動作について図3及び図4を用いて説明する。尚、冷媒充填量が最適であるか否かの判断は後述する。
暖房運転時には、まず計測制御装置14は、圧縮機3の容量、第1膨張弁6の開度、第2膨張弁8の開度、室外熱交換器5、室内熱交換器10のファン送風量を初期値に設定する(ステップS1)。そして、各ファン送風量は初期値設定のまま維持する。室外熱交換器5のファン送風量は、温度センサ12gで検知される外気温度に基づいて設定し、外気温度が高い場合には低風量で運転する。外気温度が所定温度よりも低い場合は、基本的に装置の定格風量で運転する。室内熱交換器10のファン送風量は、冷凍空調装置使用者に設定される風量で運転する。ただし、装置起動時などで、圧力センサ13aで検知される冷凍サイクルの高圧が所定値よりも低い場合は、冷風の吹き出しを抑制するために、低風量で運転する。
即ち、計測制御装置14は、室内機2の空気温度と設定値とを比較する(ステップS3)。そして、空気温度が設定温度と等しいか或いは近接している場合には、圧縮機3の容量をそのまま維持して次のステップに進む。また、空気温度が設定温度より低い場合は、圧縮機3の容量を増加させ、空気温度が設定温度より高い場合は圧縮機3の容量を減少させるように圧縮機3の容量を変更する(ステップS4)。
まず、計測制御装置14は、圧力センサ13aで検知される冷凍サイクルの高圧の圧力値を換算して得られる冷媒の凝縮温度と、温度センサ12dで検知される室内熱交換器10の出口温度との差温で、室内熱交換器10出口の冷媒過冷却度SCを推算する(ステップS5)。
計測制御装置14は、冷媒過冷却度SCが予め設定された目標値、例えば5℃になるように、第2膨張弁8を制御する。
そして、室内熱交換器10出口の冷媒過冷却度SCが目標値と等しいか、或いは近接している場合には、第2膨張弁8の開度はそのまま維持して次のステップに進む。
一方、室内熱交換器10出口の冷媒過冷却度SCが目標値より大きい場合には、第2膨張弁8の開度を大きくし、冷媒過冷却度SCが目標値より小さい場合には、第2膨張弁8の開度が小さくするように制御して、第2膨張弁8の開度を変更する(ステップS7)。
計測制御装置14は、冷媒過熱度SHが予め設定された目標値、例えば2℃になるように、1膨張弁6を制御する。
そして、室外熱交換器5出口の冷媒過熱度SHが目標値と等しいか或いは近接している場合には、第1膨張弁6の開度はそのまま維持して次のステップに進む。
一方、室外熱交換器5出口の冷媒過熱度SHが目標値より大きい場合には、第1膨張弁6の開度は大きくし、冷媒過熱度SHが目標値より小さい場合には、第1膨張弁6の開度は小さくするように制御して、第1膨張弁6の開度を変更する(ステップS10)。
冷房運転時には、まず計測制御装置14は、圧縮機3の容量、第1膨張弁6の開度、第2膨張弁8の開度、室外熱交換器5、室内熱交換器10のファン送風量が初期値に設定する(ステップS11)。そして、各ファン送風量は初期値設定のまま維持する。室外熱交換器5のファン送風量は、温度センサ12gで検知される外気温度に基づいて設定し、外気温度が低い場合には低風量で運転するが、外気温度が所定温度よりも高い場合は、基本的に装置の定格風量で運転する。室内熱交換器10のファン送風量は、冷凍空調装置使用者に設定される風量で運転する。
即ち、計測制御装置14は、室内機2の空気温度と設定温度とを比較する(ステップS13)。そして、空気温度が設定温度と等しいか或いは近接している場合には、圧縮機3の容量はそのまま維持して次のステップに進む。
また、空気温度が設定温度より上昇している場合は、圧縮機3の容量を増加させ、空気温度が設定温度より低くなる場合には、圧縮機3の容量を減少させるように圧縮機3の容量を変更する(ステップS14)。
まず、計測制御装置14は、圧力センサ13aで検知される冷凍サイクルの高圧の圧力値を換算して得られる凝縮温度と、温度センサ12bで検知される室外熱交換器5の出口温度との差温で、室外熱交換器5出口の冷媒過冷却度SCを推算する(ステップS15)。
計測制御装置14は、冷媒過冷却度SCが予め設定された目標値、例えば5℃になるように、第1膨張弁6を制御する。
そして、室外熱交換器5出口の冷媒過冷却度SCが目標値と等しいか或いは近接している場合には、第1膨張弁6の開度はそのまま維持して次のステップに進む。
一方、室外熱交換器5出口の冷媒過冷却度SCが目標値より大きい場合には、第1膨張弁6の開度を大きくし、冷媒過冷却度SCが目標値より小さい場合には、第1膨張弁6の開度が小さくするように制御して、第1膨張弁6の開度を変更する(ステップS17)。
計測制御装置14は、冷媒過熱度SHが予め設定された目標値、例えば2℃になるように、第2膨張弁8を制御する。
そして、室内熱交換器10出口の冷媒過熱度SHが目標値と等しいか、或いは近接している場合には、第2膨張弁8の開度はそのまま維持して次のステップに進む。
一方、室内熱交換器10出口の冷媒過熱度SHが目標値より大きい場合には、第2膨張弁8の開度を大きくし、冷媒過熱度SHが目標値より小さい場合には、第2膨張弁8の開度を小さくするように制御して、第2膨張弁8の開度を変更する(ステップS20)。
冷媒充填量の最適値は、室外機1と室内機2の間に接続される配管長によって異なり、配管長が長い場合には、冷媒充填量の最適値は多く、配管長が短い場合には、冷媒充填量の最適値は少なくなる。本装置において、冷媒に可燃性冷媒が用いられる。装置の配管長が異なる場合、最適冷媒量に調整するには、装置が設置される現地での冷媒量調整作業が必要となるが、作業中に冷媒が漏洩する可能性があるため、安全面から現地での冷媒量調整作業は実施せず、装置出荷時に充填された冷媒量でそのまま動作させる。
この場合の充填量は、できるだけ長い配管であっても性能が維持されるように、可燃性限界などから許容される冷媒量の上限値が充填される。従って、接続される配管長が短い場合には、冷媒が最適値より多く充填されていることになり、接続される配管長が長い場合には、冷媒が最適値より少なく充填されていることになる。
最適値よりも多い余剰の冷媒量は、まず凝縮器となる熱交換器、つまり、暖房運転であれば室内熱交換器10に、冷房運転であれば室外熱交換器5に滞留する。凝縮器の冷媒滞留量の増加に伴い、凝縮器出口の冷媒過冷却度が増加する。冷媒過冷却度の増加に伴い、冷凍サイクル流路の上流側膨張弁、つまり、暖房運転であれば第2膨張弁8、冷房運転であれば第1膨張弁6の開度が大きく制御される。冷凍サイクル流路の上流側膨張弁の開度を増加した場合、減圧装置全体の流動抵抗が維持されるように、冷凍サイクル流路の下流側膨張弁、つまり、暖房運転であれば第1膨張弁6、冷房運転であれば第2膨張弁8の開度が小さく制御される。
そのため、冷凍サイクル流路の上流側膨張弁における減圧量が小さく、下流側膨張弁における減圧量が大きくなり、高低圧熱交換器7の高圧熱交換部での動作圧力が高くなる。
冷媒充填量が最適値に近い場合は、図5の点線の冷凍サイクル動作となり、冷媒充填量が最適値よりも相当量多い場合は、図5の実線の冷凍サイクル動作となる。どちらの動作とも、凝縮器となる熱交換器出口の冷媒過冷却度、蒸発器となる熱交換器出口の冷媒過熱度は目標状態に制御されるが、蒸発器入口の冷媒状態が異なる。冷媒充填量が最適値よりも相当量多い場合、凝縮器の冷媒量が増加するため、前述の膨張弁制御により、高低圧熱交換器7の高圧熱交換部の動作圧力が高くなる。このとき、高低圧熱交換器7では、高圧と低圧間の冷媒温度差が拡大するため、熱交換量が増加し、熱交換に伴う冷媒のエンタルピ変化幅が拡大する。そこで、高圧熱交換部出口の冷媒エンタルピ(図5の点4)が低くなり、それに伴い蒸発器入口の冷媒エンタルピが低下し、二相冷媒の乾き度が低下、すなわち蒸発器に流入する冷媒の液流量比が増加する。冷媒の液流量比の増加に伴い、蒸発器に滞留する冷媒量が増加し、凝縮器に滞留する冷媒量の増加を抑制し、凝縮器となる熱交換器出口の冷媒過冷却度が目標値に維持されるようになる。
図3、図4の制御フローのステップS7及びステップS17において、冷媒回路の上流側にある膨張弁、つまり、暖房運転では第2膨張弁8、冷房運転では第1膨張弁6の制御をそれぞれ凝縮器となる熱交換器出口の冷媒過冷却度SCが目標値となるように制御しているが、この制御目標を凝縮器となる熱交換器出口の状態を気液二相状態とし、その冷媒乾き度を予め設定された目標値、例えば0.1〜0.2になるように制御を実施する。尚、冷媒乾き度の検知動作については後述する。
尚、冷媒回路の下流側にある膨張弁の制御については、冷媒充填量が最適値よりも多く充填されている場合と同様に、蒸発器となる熱交換器出口の冷媒過熱度が、目標値となるように制御を行う。
冷媒充填量が最適値に近い場合は、図6の点線の冷凍サイクル動作となり、冷媒充填量が最適値よりも相当量少ない場合は、図6の実線の冷凍サイクル動作となる。冷媒充填量が最適値よりも相当量少ない場合、凝縮器の冷媒量が減少しているので、凝縮器出口乾き度が高くなる。このとき、前述の膨張弁制御により、高低圧熱交換器7の高圧熱交換部の動作圧力が低くなる。高低圧熱交換器7では、高圧と低圧間の冷媒温度差が縮小するため、熱交換量が減少し、熱交換に伴う冷媒のエンタルピ変化幅が縮小する。そこで、高圧熱交換部出口の冷媒エンタルピ(図6の点4)が高くなり、それに伴い蒸発器入口の冷媒エンタルピが増加し、二相冷媒の乾き度が上昇、すなわち蒸発器に流入する冷媒の液流量比が減少する。冷媒の液流量比の減少に伴い、蒸発器に滞留する冷媒量が減少し、減少分だけ凝縮器に滞留する冷媒量が増加し、凝縮器となる熱交換器出口の冷媒乾き度が目標値に維持されるようになる。
冷媒乾き度の検知は、圧力センサ13、温度センサ12からは直接求められないので、計測制御装置14は、以下のように演算を実施する。以下暖房運転の場合について、図7に基づいて説明する。
高低圧熱交換器7の高圧側出口のエンタルピH4は、圧力センサ13aで検知される冷凍サイクルの高圧の圧力と、温度センサ12cで検知される温度とを用いて、この温度、圧力条件における冷媒液のエンタルピを求める。高低圧熱交換器7の低圧側入口のエンタルピH6は、圧力センサ13bで検知される冷凍サイクルの低圧の圧力と、温度センサ12eで検知される温度とを用いて、この温度、圧力条件における冷媒ガスのエンタルピを求める。同様に、高低圧熱交換器7の低圧側出口のエンタルピH7は、圧力センサ13bで検知される冷凍サイクルの低圧の圧力と、温度センサ12fで検知される温度とを用いて、この温度、圧力条件における冷媒ガスのエンタルピを求める。これらのエンタルピの推算は、予め計測制御装置14に搭載される冷媒の特性式に基づいて実施する。
前述したように、装置の冷媒量が最適値よりも少ない場合は、蒸発器・凝縮器となる各熱交換器に存在する冷媒量も少なくする必要がある。そこで本実施の形態の冷凍空調装置では、蒸発器となる熱交換器の冷媒量は、冷媒充填量が最適値の場合と同様に維持し、凝縮器となる熱交換器の冷媒量を減少させるように運転する。凝縮器となる熱交換器の冷媒量を減少するには、出口状態の過冷却度を減少させるか、出口を気液二相状態とする必要があり、本装置では出口を気液二相状態にすることで、冷媒量が少なく充填されている場合の運転に対応する。
図8に示すように、乾き度に対する冷媒密度変化は、低乾き度域ほど大きく、特に乾き度0〜0.2の範囲で大きく変化する。これは冷媒の流動状態に起因し、乾き度が0.2より大きい範囲では流動状態は概ね環状流となり、液冷媒は管壁面に少量存在するのみとなるので、冷媒密度がガス密度に近づくとともに、液量比が変動しにくくなるため、密度変化は小さくなる。一方、乾き度0.2以下の範囲では、流動状態を概ね分離流となり、液冷媒が一定量存在する流れとなるため、冷媒密度はガス密度に比べて高くなり、液密度に近づくとともに、液量比が変動しやすく、密度変化幅も大きくなる。
また本装置のように、冷媒量が少ない場合に適切な運転を実施するための指標として、冷媒量が少ない場合の運転効率の低下に対してより大きく冷媒量調整が実現できることが重要となる。運転効率の低下は、凝縮器エンタルピ差の減少に起因するので、凝縮器出口の冷媒乾き度で表され、冷媒量の変化については、その乾き度の冷媒密度が大きく寄与する。運転効率の低下に対してより大きく冷媒量調整が実現できることを考慮すると、乾き度変化時の冷媒密度変化が大きい領域まで乾き度を上昇させることが効果的であり、凝縮器の出口乾き度の目標値を0.1〜0.2に設定すると、効率の低下を抑制したままま、冷媒量調整範囲をより大きく拡大できる。
仮に、凝縮器の出口乾き度の目標値を0.3以上に設定した場合、この領域では冷媒乾き度の変化に対して密度変化幅も小さくなるので、凝縮器の出口乾き度の目標値を0.1〜0.2に設定する場合に比べ冷媒量調整範囲をほとんど拡大することなく、効率のみ低下することとなり、不適切な運転となる。
冷凍空調装置のスペックより、充填されている冷媒量が最適冷媒量となる基準の接続配管長を求めることができる。そこで、室外機1、室内機2の位置関係から、実際に接続される配管長が明確である場合は、その配管長と基準の配管長とを比較し、配管長が長い場合には、冷媒充填量が最適値よりも少ないと判断し、配管長が短い場合には、冷媒充填量が多いと判断できる。そこで、計測制御装置14に、その判断結果を設定できるディップスイッチなどを設け、スイッチの設定値に基づいて、凝縮器となる熱交換器出口の制御目標を冷媒過冷却度から二相状態の冷媒乾き度に切り替える。
冷媒充填量が最適値よりも少ないにもかかわらず、最初に冷媒充填量が最適値よりも多い場合の制御を実施させると、目標となる運転状態を実現できなくなる。この場合、冷媒充填量が不足しているので、蒸発器出口の冷媒過熱度が目標値よりも大きい、もしくは、凝縮器出口の冷媒過冷却度が目標値よりも小さい、または気液二相の状態となる。そこで、計測制御装置14は、一定時間運転した後の運転状態を判断し、このような運転状態となる場合には、冷媒充填量が最適値よりも少ないと判断し、凝縮器となる熱交換器出口の制御目標を冷媒過冷却度から二相状態の冷媒乾き度に切り替える。
例えば図9に示すように、高低圧熱交換器7の高圧熱交換部をバイパスするバイパス流路15を設け、バイパス流路15上にバイパス流路を流れる冷媒流量を調整する流量調節弁16を設ける。
尚、バイパス流路15は、発明における高圧側バイパス流路に相当し、流量調節弁16は、本発明における冷媒流量制御手段に相当する。そして、冷媒流量制御手段を、熱交換量調整手段として用いる。
逆に流量調節弁16の開度を小さくすると、バイパス流路15を流れる冷媒流量が減少し、その分、高低圧熱交換器7の高圧熱交換部を流れる冷媒流量が増加し、高低圧熱交換器7の熱交換量が増加する。
そこで、例えば冷媒乾き度を制御する場合、計測制御装置14は、冷媒乾き度が目標値よりも高い場合には、流量調節弁16の開度を大きくし、高低圧熱交換器7の熱交換量を減少させて冷媒乾き度が目標値に近づくように制御し、冷媒乾き度が目標値よりも低い場合には、流量調節弁16の開度を小さくし、高低圧熱交換器7の熱交換量を増加させて冷媒乾き度を目標値に制御する動作を行う。
また、高低圧熱交換器7の熱交換量を制御する手段として例えば図10に示すように、高低圧熱交換器7の低圧熱交換部をバイパスするバイパス流路15を設け、バイパス流路15上にバイパス流路を流れる冷媒流量を調整する流量調節弁16を設けてもよい。
尚、バイパス流路15は、本発明における低圧側バイパス流路に相当し、流量調節弁16は、本発明における冷媒流量制御手段に相当する。そして、冷媒流量制御手段を、熱交換量調整手段として用いる。
例えば冷媒乾き度の制御目標値を当初0.1に設定しておいて運転を行うが、運転状態によっては乾き度の制御目標値を高く0.15、もしくは0.2に設定する運転を行う。あるいは制御目標値を低く0.05、もしくは0に設定する運転を行う。
この制御目標値の変更は、装置に充填される冷媒量が不足又は過剰となるのに伴い、装置の運転効率が低下する場合になされ、冷媒量が不足であると判断される場合には、冷媒乾き度の制御目標値を高く変更し、冷媒量が過剰であると判断される場合には冷媒乾き度の制御目標値を低く変更する。
冷媒過熱度を高い状態で運転を行うと、前述したように冷凍サイクルの低圧が低下し、装置の運転効率が低下するが、凝縮器出口の冷媒乾き度の制御目標値の調整により、蒸発器出口の冷媒過熱度が適切な状態で運転可能となり、装置の運転効率を高く維持することができる。
蒸発器出口の冷媒過熱度が低い、もしくは冷媒過熱度≒0となり冷媒状態が二相状態と判断される場合は、蒸発器での冷媒エンタルピ差が小さくなり、冷媒から十分な冷熱を得られず蒸発器の熱交換量が低下する運転となるので、装置の運転効率が低下するが、凝縮器出口の冷媒乾き度の制御目標値の調整により、蒸発器出口の冷媒過熱度が適切な状態で運転可能となり、装置の運転効率を高く維持することができる。
本装置において、第1膨張弁6、第2膨張弁8の開度制御を実施し、蒸発器出口の冷媒過熱度が適切な状態となるように制御を行うが、各膨張弁の開度が圧縮機3の周波数などによって設定された上限値にまで増加させても冷凍サイクルの低圧の圧力から得られる蒸発温度が所定値より一定量以上、例えば3℃以上低い場合には、充填されている冷媒量が不足であり、冷媒過熱度を目標値に調整できないと判断する。
低圧の判断に用いる所定値は蒸発器での熱交換状態によって規定される。適切な運転がなされる場合は、蒸発器周囲の空気温度から熱交換器の性能により規定される温度差分だけ低い冷媒温度(蒸発温度)を実現する低圧で運転されるが、冷媒量が不足である場合は、蒸発器出口の冷媒過熱度が大きくなり、その過熱度分だけさらに低圧が低下する運転となる。そこで、適切な運転が想定される場合の低圧を、判断に用いる所定値と設定することで、冷媒量の不足を判断可能となる。
図11は本発明の実施の形態2に係る冷凍空調装置の冷媒回路図である。
本発明の実施の形態2の冷凍空調装置の構成を図11に基づいて説明する。
図11では実施の形態1の構成における高低圧熱交換器7に代わって過冷却熱交換器17が設けられており、過冷却熱交換器17の低圧熱交換部を経由するバイパス流路18、及びバイパス流路18上にバイパス流路18を流れる冷媒流量を調整する、第2の減圧装置である第3膨張弁19が設けられる。過冷却熱交換器17では、凝縮器出口の高圧冷媒が高圧熱交換部を流れ、高圧熱交換部と低圧熱交換部が隣接する構造とすることで、高圧冷媒とバイパス流路18を流れる低圧の冷媒とが熱交換を行う。実施の形態2において、その他の構成については実施の形態1と同様となる。
また、暖房運転時の温度センサ12c、又は冷房運転時の温度センサ12dは、本発明における第4の温度センサに相当する。
また、温度センサ12fは、本発明における第5の温度センサに相当する。
また、計測制御装置14は、後述する動作により、推算した冷媒乾き度が、予め設定された目標値となるように高低圧熱交換器7の熱交換量を制御する。
尚、計測制御装置14は、本発明における乾き度推算手段及び制御手段に相当する。
まず暖房運転時の動作について図11、及び図12に示す暖房運転時のph線図をもとに説明する。
暖房運転時には、四方弁4の流路は図11の点線方向に設定される。そして圧縮機3から吐出された高温高圧のガス冷媒(図12の点1)は四方弁4を経て室外機1を流出しガス管11を経て室内機2に流入する。そして、室内熱交換器10に流入し、凝縮器となる室内熱交換器10で放熱しながら凝縮液化し高圧低温の液冷媒となる(図12の点2)。この際、冷媒から放熱された熱を負荷側の空気に与えることで暖房を行う。
また過冷却熱交換器17の入口部で冷媒は分岐され、一部はバイパス流路18に流れる。バイパス流路18に流入した冷媒の状態変化は図12の点線で表され、高圧の液冷媒は、第3膨張弁19で減圧され低圧の二相冷媒となり(図12の点8)、その後過冷却熱交換器17の低圧熱交換部で高圧の冷媒と熱交換し加熱蒸発され、低圧のガス冷媒となり(図12の点9)、その後室外熱交換器5を流出する冷媒と合流する。
冷房運転時には、四方弁4の流路は図11の実線方向に設定される。そして、圧縮機3から吐出された高温高圧のガス冷媒(図12の点1)は四方弁4を経て凝縮器となる室外熱交換器5に流入し、ここで放熱しながら凝縮液化し、高圧低温の冷媒となる(図12の点2)。室外熱交換器5を出た冷媒は第1膨張弁6で若干減圧された後で(図12の点3)、過冷却熱交換器17の高圧熱交換部でバイパス流路18を流れる低温の冷媒に熱を与え冷却される(図12の点4)。その後、冷媒は第2膨張弁8で低圧まで減圧され二相冷媒となり(図12の点5)、その後室外機1を流出し、液管9を経て室内機2に流入する。
また過冷却熱交換器17の出口部で冷媒は分岐され、一部はバイパス流路18に流れる。バイパス流路18に流入した高圧の液冷媒は、第3膨張弁19で減圧され低圧の二相冷媒となり(図12の点8)、その後過冷却熱交換器17の低圧熱交換部で高圧の冷媒と熱交換し加熱蒸発され、低圧のガス冷媒となり(図12の点9)、その後室外熱交換器5を流出する冷媒と合流する。
運転制御動作において、冷凍サイクルの上流側の膨張弁の制御以外は、実施の形態1で説明した、図3、図4における制御動作と同一であるので説明を省略する。
本実施の形態2における計測制御装置14は、実施の形態1における冷凍サイクルの上流側の膨張弁の制御、すなわち暖房運転における第2膨張弁8の制御、冷房運転における第1膨張弁6の制御に代わって、バイパス流路18にある第3膨張弁19の開度制御を実施する。
過冷却熱交換器17での熱交換量が増加すると、蒸発器となる熱交換器入口の冷媒エンタルピは低くなり、過冷却熱交換器17での熱交換量が減少すると、蒸発器となる熱交換器入口の冷媒エンタルピは高くなる。従って過冷却熱交換器17での熱交換量制御における冷凍サイクル内の冷媒量分布の変動は、実施の形態1における高低圧熱交換器7での熱交換量制御実施時と同様となる。
冷媒乾き度は、圧力とエンタルピがわかれば求められるので、冷凍サイクルの高圧とエンタルピH3より、過冷却熱交換器17の高圧側入口の冷媒乾き度が求められ、この値はそのまま凝縮器となる熱交換器出口の冷媒乾き度となる。
尚、暖房運転時には、低圧側入口エンタルピH8は高圧側入口エンタルピH3と等しくなるので、上記演算式のH8をH3に置き換えて、高圧側入口エンタルピH3を、H3=(H4+H9×冷媒流量比)/(1+冷媒流量比)と求める。
図13は本発明の実施の形態3に係る冷凍空調装置の冷媒回路図である。
本発明の実施の形態3の冷凍空調装置の構成を図13に基づいて説明する。
実施の形態3では、圧縮機3にインジェクションポート20を設け、実施の形態2の構成におけるバイパス流路18が、インジェクションポート20に接続されるように構成される。実施の形態3において、その他の構成については実施の形態2と同様となる。
バイパス流路18、圧縮機3の動作以外は実施の形態2と同様であるので説明を省略する。
圧縮機3内部では、低圧のガス冷媒が吸入された後で、圧縮室内で圧縮され、高圧のガス冷媒となって吐出される。この圧縮過程の途中で、冷媒の圧力が高圧と低圧の間の中間圧となっている時点で圧縮室とインジェクションポート20が連通する構成となり、バイパス流路18を流れる冷媒が圧縮室に流入し、いわゆるガスインジェクションがなされる。従ってバイパス流路18の冷媒圧力は、中間圧となり、過冷却熱交換器17では高圧の冷媒と中間圧の冷媒が熱交換する構成となる。
Claims (12)
- 圧縮機、凝縮器、減圧装置、蒸発器を環状に接続した冷凍サイクルを有する冷凍空調装置において、
前記凝縮器出口の冷媒と前記蒸発器出口の冷媒とを熱交換する高低圧熱交換器と、
前記高低圧熱交換器の熱交換量を調整する熱交換量調整手段と、
前記凝縮器出口の冷媒が気液二相状態である場合の冷媒乾き度を推算する乾き度推算手段と、
前記乾き度推算手段により推算された冷媒乾き度が、予め設定された目標値となるように前記高低圧熱交換器の熱交換量を制御する制御手段と
を備えたことを特徴とする冷凍空調装置。 - 前記減圧装置は、前記高低圧熱交換器の高圧側入口に設けられ、冷媒の流動抵抗を可変可能とし、前記熱交換量調整手段として用いることを特徴とする請求項1記載の冷凍空調装置。
- 前記高低圧熱交換器の高圧熱交換部をバイパスする高圧側バイパス流路と、
前記高圧側バイパス流路に流れる冷媒流量を制御する冷媒流量制御手段と
を備え、
前記冷媒流量制御手段を、前記熱交換量調整手段として用いたことを特徴とする請求項1記載の冷凍空調装置。 - 前記高低圧熱交換器の低圧熱交換部をバイパスする低圧側バイパス流路と、
前記低圧側バイパス流路に流れる冷媒流量を制御する冷媒流量制御手段と
を備え、
前記冷媒流量制御手段を、前記熱交換量調整手段として用いたことを特徴とする請求項1記載の冷凍空調装置。 - 前記制御手段は、前記冷媒乾き度の目標値を、0.1〜0.2の範囲に設定されたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の冷凍空調装置。
- 前記制御手段は、前記冷媒乾き度の目標値を、前記蒸発器出口の冷媒が気液二相状態であるか否かに応じて変更することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の冷凍空調装置。
- 前記制御手段は、前記冷媒乾き度の目標値を、前記冷凍サイクルの低圧側の圧力に応じて変更することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の冷凍空調装置。
- 前記高低圧熱交換器の高圧側出口冷媒の温度を測定する第1の温度センサと、
前記高低圧熱交換器の低圧側出口冷媒の温度を測定する第2の温度センサと、
前記高低圧熱交換器の低圧側入口冷媒の温度を測定する第3の温度センサと、
前記冷凍サイクルの高圧側の圧力を測定する第1の圧力センサと、
前記冷凍サイクルの低圧側の圧力を測定する第2の圧力センサと
を備え、
前記乾き度推算手段は、
前記各温度センサ、及び各圧力センサの出力値に基づいて、前記冷媒乾き度を推算することを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の冷凍空調装置。 - 圧縮機、凝縮器、減圧装置、蒸発器を環状に接続した冷凍サイクルを有する冷凍空調装置において、
前記凝縮器出口から分岐し、前記圧縮機吸入側に接続されるバイパス流路と、
前記バイパス流路に流れる冷媒を減圧する第2の減圧装置と、
前記第2の減圧装置出口の冷媒と前記凝縮器出口の冷媒とを熱交換する過冷却熱交換器と、
前記過冷却熱交換器の熱交換量を調整する熱交換量調整手段と、
前記凝縮器出口の冷媒が気液二相状態である場合の冷媒乾き度を推算する乾き度推算手段と、
前記乾き度推算手段により推算された冷媒乾き度が、予め設定された目標値となるように前記過冷却熱交換器の熱交換量を制御する制御手段と
を備えたことを特徴とする冷凍空調装置。 - 前記第2の減圧装置は、冷媒の流動抵抗を可変可能とし、前記熱交換量調整手段として用いることを特徴とする請求項9記載の冷凍空調装置。
- 前記過冷却熱交換器の高圧側出口冷媒の温度を測定する第4の温度センサと、
前記過冷却熱交換器の低圧側出口冷媒の温度を測定する第5の温度センサと
を備え、
前記乾き度推算手段は、
前記各温度センサの出力値と、前記過冷却熱交換器の高圧側冷媒流量と低圧側冷媒流量との流量比とに基づいて、前記冷媒乾き度を推算することを特徴とする請求項9又は10記載の冷凍空調装置。 - 圧縮機、凝縮器、減圧装置、蒸発器を環状に接続した冷凍サイクルを有する冷凍空調装置において、
前記圧縮機は、圧縮過程途中に圧縮室と連通可能なインジェクションポートを備え、
前記凝縮器出口から分岐し、前記圧縮機のインジェクションポートに接続されるバイパス流路と、
前記バイパス流路に流れる冷媒を減圧する第2の減圧装置と、
前記第2の減圧装置出口の冷媒と前記凝縮器出口の冷媒とを熱交換する過冷却熱交換器と、
前記過冷却熱交換器の熱交換量を調整する熱交換量調整手段と、
前記凝縮器出口の冷媒が気液二相状態である場合の冷媒乾き度を推算する乾き度推算手段と、
前記乾き度推算手段により推算された冷媒乾き度が、予め設定された目標値となるように前記過冷却熱交換器の熱交換量を制御する制御手段と
を備えたことを特徴とする冷凍空調装置。
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