JP2010001487A - エポキシ樹脂の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】難燃付与成分としてハロゲン化合物、アンチモン化合物を添加することなしに、又は少量添加するだけで優れた難燃性を有し、かつ低吸湿性、密着性に優れた硬化物を与えるエポキシ樹脂組成物用のエポキシ樹脂を提供する。
【解決手段】特定のフェノール樹脂を、該フェノール樹脂のフェノール性水酸基1モル当たり3〜20モルに相当する量のエピハロヒドリンに溶解させ、フェノール性水酸基1モル当たり0.9〜2.0モル量のアルカリ金属水酸化物を加えて反応させることを特徴とする、エポキシ当量が特定のフェノール樹脂の水酸基当量から計算した理論値の1.00倍〜1.50倍であるエポキシ樹脂の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、エポキシ樹脂の製造方法に関する。このエポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物は、難燃付与成分としてハロゲン化合物、アンチモン化合物を添加することなしに、又は少量添加するだけで優れた難燃性を有し、かつ低吸湿性、密着性に優れる硬化物を与えることができ、特に半導体封止の用途に有用である。
半導体素子の封止には、信頼性、生産性及びコストの面から、エポキシ樹脂組成物が広く用いられている。一般のプラスチック材料と同じく、これら組成物にも難燃性が要求されており、そのために主成分とは別に難燃付与成分として、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂やブロム化フェノールノボラック型エポキシ樹脂などのブロム化エポキシ樹脂と酸化アンチモンが組み合わせて配合されている。
近年、環境保護の観点からダイオキシン類似化合物を発生する危惧のある含ハロゲン化合物や毒性の高いアンチモン化合物の使用を量規制する動きが高まっており、半導体封止用組成物に関しては、上述のブロム化エポキシ樹脂をはじめとするハロゲン化合物や酸化アンチモンを使用することなしに難燃性を達成させる技術が検討されるようになった。たとえば、赤リンを配合する方法(特許文献1)、リン酸エステル化合物を配合する方法(特許文献2)、ホスファゼン化合物を配合する方法(特許文献3)、金属水酸化物を配合する方法(特許文献4)などのハロゲン化合物や酸化アンチモンに代わる難燃剤を配合する手法及び充填剤の配合割合を高くする手法(特許文献5)などが検討されている。
しかし、半導体封止用エポキシ組成物に赤リンを用いた場合は耐湿信頼性の低下や赤リンの打撃発火性に起因する安全性の問題、燐酸エステルやホスファゼン化合物を用いた場合は可塑化による成形性の低下や耐湿信頼性の低下の問題、金属水酸化物を用いた場合や充填剤の配合割合を高くした場合は流動性の低下の問題がそれぞれにあり、いずれの場合もブロム化エポキシ樹脂と酸化アンチモンを併用した封止用エポキシ樹脂組成物と同等の成形性、信頼性を得るに至っていない。
一方で、高度化した実装方式に対応するため、封止用エポキシ樹脂組成物にはなお一層の成形性、耐ハンダクラック性が要求されており、これらを達成するためには、組成物の速硬化性、流動性、低熱線膨張化、低吸湿性及び密着性等にも十分配慮する必要がある。
これらの要求を満足させるために、テトラメチルビフェノール型エポキシ樹脂とフェノールアラルキル樹脂など架橋間点の長い硬化物を与えるフェノール樹脂からなる組成物を用い、吸湿性及び低応力性を改良すること(特許文献6)、吸湿性を改善するためにジシクロペンタジエンフェノールを原料とするエポキシ樹脂を主成分に用いること(特許文献7)、耐湿性と耐熱性のバランスを取るためにオルソ−クレゾールとベンズアルデヒドの共縮合ノボラック樹脂のエポキシ物を主成分として用いること(特許文献8)など、種々の検討が提案されている。
また、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性ノボラック型エポキシ樹脂を用いたものでは、通常のエポキシ樹脂と芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性ノボラック型エポキシ樹脂の組成物を用い、耐熱性、接着性を改良すること(特許文献9)、芳香族炭化水素樹脂変性ノボラックエポキシ樹脂と多官能性シアン酸エステル系の組成物を用い、耐熱性を改良すること(特許文献10)、(特許文献11)などが提案されている。
しかし、どの提案も環境に配慮した提案とは言えず、難燃剤としてハロゲン化合物やアンチモン化合物を用いないと十分な難燃性を達成できない。
特開平9−227765号公報 特開平9−235449号公報 特開平8−225714号公報 特開平9−241483号公報 特開平7−82343号公報 特開昭61−47725号公報 特開昭61−123618号公報 特開平1−271415号公報 特開平7−48499号公報 特開平5−222148号公報 特開平6−157721号公報)
本発明は、種々の用途に使用でき、難燃付与成分としてハロゲン化合物、アンチモン化合物を添加することなしに、又は少量添加するだけで優れた難燃性を有し、かつ低吸湿性、密着性に優れた硬化物を与えるエポキシ樹脂組成物用エポキシ樹脂を提供しようとするものである。
本発明者等は、前記の課題を解決するために種々研究を重ねた結果、特定の芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性ノボラック型エポキシ樹脂を製造してエポキシ樹脂成分とし、硬化剤として特定の芳香族基を多く含むフェノール樹脂を用いることによりその目的を達成できたのである。本発明は、以下の各発明を包含する。
(1)下記一般式(1)で表わされるフェノール樹脂を、該フェノール樹脂のフェノール性水酸基1モル当たり3〜20モルに相当する量のエピハロヒドリンに溶解させ、フェノール性水酸基1モル当たり0.9〜2.0モル量のアルカリ金属水酸化物を加えて反応させることを特徴とする、エポキシ当量が下記一般式(1)で表されるフェノール樹脂の水酸基当量から計算した理論値の1.00倍〜1.50倍であるエポキシ樹脂の製造方法。
Figure 2010001487
(式中、R、Rは互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基、アラルキル基である。m、nは平均値で1〜8の数であり、iは0〜3の整数、jは1〜3の整数である。)
(2)前記一般式(1)で表されるフェノール樹脂の水酸基当量が100〜270g/eq.で、150℃における溶融粘度が0.9Pa・s以下であることを特徴とする(1)項記載のエポキシ樹脂の製造方法。
(3)前記一般式(1)で表わされるフェノール樹脂を、該フェノール樹脂のフェノール性水酸基1モル当たり3〜20モルに相当する量のエピハロヒドリンに溶解させ、フェノール性水酸基1モル当たり0.9〜2.0モル量のアルカリ金属水酸化物を加えて反応させてエポキシ樹脂を得、次いで、得られたエポキシ樹脂をアルカリ金属水酸化物で再処理して可鹸化ハロゲン量を低減することを特徴とする、(1)項又は(2)項に記載のエポキシ樹脂の製造方法。
(4)得られるエポキシ樹脂の揮発性成分含有量を0.9質量%以下に低減する処理をさらに有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエポキシ樹脂の製造方法。
上記のように製造される本発明のエポキシ樹脂は、以下のエポキシ樹脂組成物のエポキシ樹脂成分として有用である。
(5)(A)エポキシ樹脂、(B)フェノール系硬化剤、及び(C)硬化促進剤を必須成分とし、(A)エポキシ樹脂が下記一般式(1)で表わされるフェノール樹脂とエピハロヒドリンを反応させることにより得られる、エポキシ当量が150〜330g/eq.、且つ一般式(1)で表わされるフェノール樹脂の水酸基当量から計算した理論値の1.00倍〜1.50倍であるエポキシ樹脂を含有してなるエポキシ樹脂組成物。
Figure 2010001487
(式中、R、Rは互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基、アラルキル基である。m、nは平均値で1〜8の数であり、iは0〜3の整数、jは1〜3の整数である。)
(6)前記(B)フェノール系硬化剤が前記一般式(1)又は下記一般式(2)で表わされるフェノール樹脂であることを特徴とする(5)項記載のエポキシ樹脂組成物。
Figure 2010001487
式中、Rは、互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基、アラルキル基又はアルコキシ基であり、Zは、互いに同一であっても異なっていてもよく、メチレン基又は下記一般式(3)〜(5)で表される2価の基であり、lは、平均値で0〜8の数であり、 kは、互いに同一であっても異なっていてもよく、0〜3の整数である。
Figure 2010001487
(式中、Rは、互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基、又はアラルキル基である。)
Figure 2010001487
(式中、Rは、互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基、又はアラルキル基である。)
Figure 2010001487
(式中、Rは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基、又はアラルキル基であり、Rは、互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基、アラルキル基又はハロゲン原子であり、hは0〜5の整数である。)〕
(7)前記(A)エポキシ樹脂として、下記一般式(6)で表わされる結晶性エポキシ樹脂、又は前記一般式(2)で表わされるフェノール樹脂とエピハロヒドリンを反応させることにより得られるエポキシ樹脂を含有してなる(5)項又は(6)項に記載のエポキシ樹脂組成物。
Figure 2010001487
〔式中、Gはグリシジル基である。Aは直接結合、−C(CH)−、−CH−である。Rは互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基、アラルキル基である。gは0〜4の整数である。〕
(8)前記一般式(1)で表わされるフェノール樹脂とエピハロヒドリンを反応させることにより得られるエポキシ樹脂の加水分解性ハロゲンが1000ppm以下、軟化点が50〜120℃、150℃における溶融粘度が0.9Pa・s以下である(5)項〜(7)項のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
(9)前記一般式(1)で表わされるフェノール樹脂の遊離フェノールが3質量%以下であることを特徴とする(5)項〜(8)項のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
(10)前記(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤の150℃における混合溶融粘度が0.9Pa・s以下である(5)項〜(9)項のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
(11)前記一般式(1)で表わされるフェノール樹脂とエピハロヒドリンを反応させることにより得られるエポキシ樹脂がエポキシ樹脂全体の70質量%より多いことを特徴とする(5)項〜(10)項のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
(12)無機充填材として、破砕型及び/又は球状の、溶融及び/又は結晶シリカ粉末を組成物の70〜95質量%配合してなる(5)項〜(11)項のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
(13)難燃付与成分としてハロゲン化合物及び/又はアンチモン化合物を含まず、その硬化物がUL−94規格のV−0を満足する難燃性を有する(5)項〜(12)項のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
(14)前記(12)項又は(13)項に記載のエポキシ樹脂組成物を含有する硬化性樹脂組成物を硬化してなるエポキシ樹脂硬化物。
本発明のエポキシ樹脂は、難燃付与成分としてハロゲン化合物、アンチモン化合物を添加することなしに、又は少量添加するだけで優れた難燃性を有し、かつ低吸湿性、密着性に優れる硬化物を与えるので、電気電子分野、特に半導体封止の用途のエポキシ樹脂組成物のエポキシ樹脂成分として有用である。
前記一般式(1)で表わされる化合物は、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂、フェノール類及びホルムアルデヒドを反応させることによって得られる。芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂の具体例としては、メシチレン-ホルムアルデヒド樹脂、キシレン-ホルムアルデヒド樹脂、トルエン-ホルムアルデヒド樹脂などが挙げられる。フェノール類としてはフェノール、クレゾール、キシレノールなどが挙げられる。
一般式(1)で表わされる化合物の製造方法としては、前述した芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂とフェノールとを硫酸、塩酸、硝酸などの無機酸、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、シュウ酸などの酸性触媒により反応させた後、更にその酸性触媒を使用するか或いは酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸亜鉛、その他有機酸金属塩、酸化亜鉛などの中性触媒を使用して、ホルムアルデヒドと反応させる方法が挙げられる。また、フェノール類とホルムアルデヒドとを反応させた後、芳香族炭化水素ホルムアルデヒドと反応させる方法や芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂、フェノール類、及びホルムアルデヒドを同時に反応させる方法でも実施できる。
このようにして得られる一般式(1)で表わされる化合物は、この後エポキシ化したものの品質性状を考えると、各成分の種類、使用割合等により変化するが、水酸基当量が100〜270g/eq.、好ましくは120〜240g/eq.、より好ましくは140〜220g/eq.、150℃の溶融粘度が1.1Pa・s以下、好ましくは0.9Pa・s以下、より好ましくは0.7Pa・s以下、軟化点が70〜160℃、好ましくは80〜130℃、より好ましくは80〜100℃、となるよう各種条件等を調整することが好ましい。
また、一般式(1)のフェノール樹脂に含まれる遊離フェノールは3質量%以下、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下が好ましい。遊離フェノールが多すぎるとエポキシ樹脂組成物の硬化物の耐熱性が低下するだけでなく、高温での取り扱い時の作業環境の悪化にもつながる。
水酸基当量はJIS K0070、軟化点はJIS K7234、遊離フェノールはGC法にて測定した。
一般式(1)で表わされる化合物とエピハロヒドリンの反応によって得られるエポキシ樹脂は公知の方法によって製造することができる。代表的な例を以下に詳述する。まず、フェノール性水酸基1モル当たり3〜20モルに相当する量のエピハロヒドリンに溶解させて均一な溶液とする。ついで、その溶液を撹拌しながら、これにフェノール性水酸基1モル当たり0.9〜2.0モル量のアルカリ金属水酸化物を固体又は水溶液で加えて反応させる.この反応は、常圧下又は減圧下で行わせることができ、反応温度は通常、常圧下の反応の場合は30〜150℃であり、減圧下の反応の場合は30〜80℃である。反応は必要に応じて所定の温度を保持しながら反応液を共沸させ、揮発する蒸気を冷却して得られた凝縮液を油/水分離し、水分を除いた油分を反応系へ戻す方法により脱水する。アルカリ金属水酸化物の添加は、急激な反応を抑えるために、1〜8時間かけて少量ずつを断続的もしくは連続的に添加する。その全反応時間は通常、1〜10時間である。
反応終了後、不溶性の副生塩を濾別して除くか、水洗により除去した後、未反応のエピハロヒドリンを減圧留去して除くと、目的のエポキシ樹脂が得られる。この反応におけるエピハロヒドリンとしては、通常、エピクロルヒドリン又はエピブロモヒドリンが用いられる。アルカリ金属水酸化物としては通常、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムが用いられる。
また、この反応においては、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミドなどの第四級アンモニウム塩;ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどの第三級アミン;2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾールなどのイミダゾール類;エチルトリフェニルホスホニウムアイオダイドなどのホスホニウム塩;トリフェニルホスフィンなどのホスフィン類等の触媒を用いても良い。
さらに、この反応においては、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類;メトキシプロパノールなどのグリコールエーテル類;ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなどの非プロトン性極性溶媒等の不活性な有機溶媒を使用しても良い。
さらに、上記のようにして得られたエポキシ樹脂の可鹸化ハロゲン量が多すぎる場合は、再処理して十分に可鹸化ハロゲン量が低下した精製エポキシ樹脂を得ることができる。つまり、その粗製エポキシ樹脂を、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、ジオキサン、メトキシプロパノール、ジメチルスルホキシドなどの不活性な有機溶媒に再溶解しアルカリ金属水酸化物を固体又は水溶液で加えて約30〜120℃の温度で0.5〜8時間再閉環反応を行った後、水洗等の方法で過剰のアルカリ金属水酸化物や副性塩を除去し、さらに有機溶媒を減圧留去して除くと、精製されたエポキシ樹脂が得られる。
以上のようにして製造される一般式(1)とエピハロヒドリンの反応によって得られるエポキシ樹脂の品質性状は、各成分の種類、使用割合等により変化するが、エポキシ当量が150〜330g/eq.、好ましくは180〜300g/eq.、より好ましくは200〜280g/eq.、150℃の溶融粘度が0.9Pa・s以下、好ましくは0.7Pa・s以下、より好ましくは0.5Pa・s以下、軟化点が50〜120℃、好ましくは60〜110℃、より好ましくは62〜100℃、加水分解性ハロゲンが1000ppm以下、好ましくは800ppm以下、より好ましくは600ppm以下、揮発性分(水も含む)は0.9質量%以下、好ましくは0.6質量%以下、より好ましくは0.3質量%以下となるよう各種条件等を調整することが好ましい。
エポキシ当量が小さすぎると低吸湿性に劣り、大きすぎると硬化性が悪化する。溶融粘度が高すぎると成型時の流動性が損なわれる。軟化点が低すぎると固体としての取り扱いが困難になり、高すぎるとフェノール樹脂等との混合が困難になる。加水分解性ハロゲンが多すぎると封止材中のハロゲンイオンなどが原因で半導体集積回路のアルミ配線の腐食による不良を起こしてしまう可能性がある。揮発成分が多いと硬化不良を起こしてしまう可能性があると同時に高温での取り扱い時の作業環境の悪化にもつながる。
さらに、エポキシ当量は一般式(1)のフェノール樹脂の水酸基当量から計算した理論値の1.00〜1.50倍、好ましくは1.00〜1.20倍なるよう各種条件等を調整することが好ましい。ここでの理論値とは、一般式(1)のフェノール樹脂のヒドロキシル基が全てグリシジル化した時の値であり、エポキシ当量が理論値より大きすぎることは、ヒドロキシル基がエピハロヒドリン以外のものと反応し、高分子化している等の原因が考えられ、硬化性の悪化や不純物の存在が懸念される。
揮発成分はGC法で測定した揮発分とJIS K0068で測定した水分の合計とした。
加水分解性ハロゲンは以下の電位差滴定法にて測定した。
ビーカーに試料1.0gを精評し、ジオキサン30mlを加え、完全に溶解した。1Nアルコール性KOH 5mlをホールピペットで加えた後、ビーカーに冷却管をつけ、オイルバス中で30分間煮沸還流した。1Nアルコール性KOHは事前に1Lメスフラスコに水酸化カリウム56.1gを秤量し、95.0%エタノールで溶解し調整した。その後ビーカーを冷却し、メタノール5ml、80%アセトン水100mlを加えた。ビーカーに回転子を入れ、硝酸2mlを加え、0.01N硝酸銀標準溶液を用い、電位差滴定装置にて滴定した。次式より加水分解性ハロゲンを計算した。
加水分解性ハロゲン(ppm) =〔(A−B)×C×F×10〕/W
但し、A:試料の滴定に要した0.01N硝酸銀標準溶液の量(ml)、B:空試験の滴定に要した0.01N硝酸銀標準溶液の量(ml)、C:ハロゲンの原子量、N:硝酸銀標準
溶液の規定度、F:硝酸銀標準溶液の力価、W:サンプル量(g)。
本発明のエポキシ樹脂をエポキシ樹脂成分として含有するエポキシ樹脂組成物は、一般式(1)で表わされるフェノール樹脂とエピハロヒドリンから得られるエポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂を混合することができるが、それぞれを個別に製造した後、混合しても良いし、一般式(1)で表わされるフェノール樹脂とその他のエポキシ樹脂の原料である化合物を混合使用してエピハロヒドリンと反応させ、混合エポキシ樹脂として同時に製造しても良い。
その混合することができるエポキシ樹脂としては、公知のものが使用できるが、具体例としては、次のフェノール類あるいはフェノール樹脂とエピハロヒドリンから製造されるエポキシ樹脂;ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビフェノール、テトラメチルビフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、テルペンジフェノール、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ジブチルハイドロキノン、レゾルシン、メチルレゾルシン、ビスフェノールS、チオジフェノール、ジヒドロキシジフェニルエーテル、ジヒドロキシナフタレン、フェノールノボラック樹脂、オルソ−クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールノボラック樹脂などの種々のフェノール類や、種々のフェノール類と、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオキザールなどの種々のアルデヒド類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂等の各種のフェノール化合物や、石油系重質油又はピッチ類とホルムアルデヒド重合物とフェノール類とを酸触媒の存在下に重縮合させた変性フェノール樹脂など。次のアミン化合物とエピハロヒドリンとから製造されるエポキシ樹脂;ジアミノジフェニルメタン、アミノフェノール、キシレンジアミンなど、次のカルボン酸類とエピハロヒドリンとから製造されるエポキシ樹脂;メチルヘキサヒドロキシフタル酸、ダイマー酸などが挙げられ、これらを2種以上併用しても良い。
一般式(1)で表わされる化合物とエピハロヒドリンの反応によって得られるエポキシ樹脂と混合できるそれ以外のエポキシ樹脂の混合割合は特にその制限はないが、一般式(1)で表わされる化合物とエピハロヒドリンの反応によって得られるエポキシ樹脂がエポキシ樹脂全体の70質量%より多いことが好ましい。一般式(1)で表わされる化合物とエピハロヒドリンの反応によって得られるエポキシ樹脂の混合割合が少なすぎると、エポキシ樹脂組成物に十分な性能を付与することができない。
また、混合できるその他のエポキシ樹脂の中では、混合してもエポキシ樹脂組成物の特性を損なうことが少なく、流動性を低下させる効果のある結晶性のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェノール型エポキシ樹脂及び4,4’−ビフェノール型エポキシ樹脂、難燃性を向上させる効果のあるビフェニルフェノール型のエポキシ樹脂が特に好ましい。
本発明のエポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物において必須成分として使用される(B)硬化剤の具体例としては、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂などの種々の多価フェノール類や、種々のフェノール類とベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒドなどの種々のアルデヒド類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂等があげられ、これらは1種単独でも、2種以上併用しても良い。
また、(A)エポキシ樹脂と(B)硬化剤の150℃における混合溶融粘度は0.9Pa・s以下、好ましくは0.7Pa・s以下、より好ましくは0.5Pa・s以下となるように各種条件などを調整する事が好ましい。溶融粘度が高すぎると成形時の流動性が損なわれる。
本発明のエポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物に使用される硬化剤の使用量は、全エポキシ樹脂成分中のエポキシ基1モルに対して、全硬化剤中のエポキシ基と反応する基が0.5〜2.0モルになる量が好ましく、より好ましくは0.7〜1.2モルである。
本発明のエポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物において必須成分として使用される(C)硬化促進剤としては、例えば、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(ジメトキシフェニル)ホスフィン、トリス(ヒドロキシプロピル)ホスフィン、トリス(シアノエチル)ホスフィンなどのホスフィン化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、メチルトリブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、メチルトリシアノエチルホスホニウムテトラフェニルボレートなどのホスホニウム塩、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、2,4−ジシアノ−6−[2−メチルイミダゾリル−(1)]−エチル−S−トリアジン、2,4−ジシアノ−6−[2−ウンデシルイミダゾリル−(1)]−エチル−S−トリアジンなどのイミダゾール類、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテ−ト、2−メチルイミダゾリウムイソシアヌレート、2−エチル−4−メチルイミダゾリウムテトラフェニルボレート、2−エチル−1,4−ジメチルイミダゾリウムテトラフェニルボレートなどのイミダゾリウム塩、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルジメチルアミン、テトラメチルブチルグアニジン、N−メチルピペラジン、2−ジメチルアミノ−1−ピロリンなどのアミン類、トリエチルアンモニウムテトラフェニルボレートなどのアンモニウム塩、1,5−ジアザビシクロ(5,4,0)−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−5−ノネン、1,4−ジアザビシクロ(2,2,2)−オクタンなどのジアザビシクロ化合物、それらジアザビシクロ化合物のテトラフェニルボレート、フェノール塩、フェノールノボラック塩、2−エチルヘキサン酸塩などが挙げられる。それらの硬化促進剤となる化合物の中では、ホスフィン化合物、イミダゾール化合物、ジアザビシクロ化合物、及びそれらの塩が好ましい。
これらの促進剤の使用量は効果促進効果が得られれば特に制限はないが、(A)エポキシ樹脂と(B)硬化剤の総量に対して0.1〜10重量%が好ましく、1〜7重量%がより好ましい。
本発明のエポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物において使用される無機充填剤としては例えば、溶融シリカ、結晶性シリカ、ガラス粉、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、タルクなどが挙げられる。また、本発明のエポキシ樹脂組成物を半導体封止の用途に用いる場合には、無機充填材として、破砕型及び/又は球状の、溶融及び/又は結晶性シリカ粉末充填材を組成物全体の70〜95質量%配合することが好ましい。無機充填剤を使用することにより、封止材の熱膨張係数を内部のシリコンチップやリードフレームに近づけることができ、また封止材全体の吸湿量を減らす事ができるため、耐はんだクラック性を向上させることができる。またその平均粒径は1〜50μm、好ましくは1.5〜40μm、より好ましくは2〜30μmである。粒径が細かすぎると溶融粘度が高くなり流動性が低下してしまい、粒径が大きくなると成形時に金型の狭い隙間に充填剤が目詰まりし材料の充填性を低下させてしまう。
本発明のエポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物には、他の一般のエポキシ樹脂組成物と同様に、各種添加剤を配合することができる。それら各種添加剤としては例えば、カップリング剤、難燃剤、可塑剤、反応性希釈剤、顔料等があげられ、必要に応じて適宜に配合することができる。その難燃剤としては、臭素化エポキシ樹脂、臭素化フェノール樹脂などのハロゲン系難燃剤、三酸化アンチモンなどのアンチモン化合物、赤燐、リン酸エステル類、ホスフィン類などのリン系難燃剤、メラミン誘導体などの窒素系難燃剤及び水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの無機系難燃剤などが挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物の硬化物は難燃性に優れるため、上記のうち特に環境安全性が危惧されている臭素化エポキシ樹脂、臭素化フェノール樹脂などのハロゲン系難燃剤、三酸化アンチモンなどのアンチモン化合物について、これらの難燃剤を配合する必要がないか、少量にすることができる。ただし、組成物中の各成分の種類や配合量により難燃性は変化するので、UL−94規格のV−0あるいはそれに準じた難燃性を確保できるよう各成分の選択や配合量の調整をする必要がある。
本発明のエポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物の硬化物を封止材として用いた際の吸湿率は0.4質量%以下、好ましくは0.3質量%以下、より好ましくは0.2質量%以下である。吸湿率が高いと硬化物中の水分が急激に気化し、その結果、パッケージに大きな応力が発生しクラックが生じてしまう。吸湿率は以下の通り測定した。
直径50mm高さ3mmの円柱の試験片を成形し、105℃で2時間乾燥した。その後、試験片の質量を精秤した後、85℃/85%RHの恒温恒湿槽に入れた。72時間後に質量を測定し、その質量変化を測定した。
本発明のエポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物の硬化物を封止材として用いた際のガラス転移点以下の線膨張係数α1は5〜25μm/m℃、好ましくは5〜20μm/m℃、より好ましくは5〜15μm/m℃である。ガラス転移点以下の線膨張係数α2は20〜60μm/m℃、好ましくは20〜50μm/m℃、より好ましくは20〜40μm/m℃である。線膨張係数がこれらの範囲から外れると封止樹脂中に熱応力が増大し、パッシベーションやチップの損傷、アルミ配線のスライド、パッケージクラックなどの不良を起こしてしまう。
線膨張係数はTMA法(TA instruments社製 TMA 2940 Thermomechanical Analyzerを使用)にて測定した。
本発明のエポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物は、難燃付与成分としてハロゲン化合物、アンチモン化合物を添加することなしに、又は少量添加するだけで優れた難燃性を有し、かつ低吸湿性、密着性に優れる硬化物を与えるので、電気電子分野、特に半導体封止の用途に有用である。
以下に、本発明の芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性ノボラック型エポキシ樹脂の製造例、本発明のエポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物の実施例及び比較例を挙げてさらに詳述する。
〔予備製造例〕
温度計、撹拌装置、冷却管を備えた内容量2Lの三口フラスコに、キシレン220g、硫酸130g、を仕込み、90℃に昇温して均一に溶解させた後、35%ホルムアルデヒド水溶液240gを1時間かけて滴下した。滴下終了後、90℃で5時間保持し反応を完了させ、水洗により硫酸を除去した。系内が中性になるまで水洗を繰り返した後、生成物から減圧下でキシレンを留去してキシレン-ホルムアルデヒド樹脂を得た。以後、このキシレン−ホルムアルデヒド樹脂をXF樹脂とする。
〔製造例1〕
温度計、撹拌装置、冷却管を備えた内容量2Lの三口フラスコに、先に得られたXF樹脂200gにフェノール300g、p−トルエンスルホン酸0.1gを加え、100℃で2時間攪拌した。その後、ホルマリン35g、シュウ酸1.5gを加え3時間攪拌した。反応混合物をメチルイソブチルケトン500gに溶解し、65℃で中性になるまで水洗を繰り返した。次いで減圧下でメチルイソブチルケトン、フェノールを160℃、減圧下で留去して芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂を得た。水酸基当量163g/eq.、150℃における溶融粘度0.21Pa・s、軟化点84℃、遊離フェノール0.1質量%以下であった。またこの樹脂は一般式(1)においてR=CH、i=0、j=2、m=2.3、n=1.6であった。
こうして得られた芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂150g、エピクロルヒドリン510g、イソプロピルアルコール200gを温度計、撹拌装置、冷却管を備えた内容量2Lの三口フラスコに仕込み、40℃に昇温して均一に溶解させた後、48.5質量%の水酸化ナトリウム水溶液90gを60分かけて滴下した。その間に徐々に昇温し、滴下終了後には系内が65℃になるようにした。その後、65℃で30分保持し反応を完了させ、水洗により副生塩及び過剰の水酸化ナトリウムを除去した。ついで、生成物から減圧下で過剰のエピクロルヒドリンとイソプロパノールを留去して、粗製エポキシ樹脂を得た。この粗製エポキシ樹脂をメチルイソブチルケトン300gに溶解させ、48.5質量%の水酸化ナトリウム水溶液9gを加え、65℃の温度で1時間反応させた。その後、反応液に第一リン酸ナトリウム水溶液を加えて、過剰の水酸化ナトリウムを中和し、水洗して副生塩を除去した。次いで、減圧下でメチルイソブチルケトンを完全に除去して、目的のエポキシ樹脂180gを得た。得られた樹脂はエポキシ当量247g/eq.(水酸基当量から計算した理論値は219g/eq.)、加水分解性ハロゲン400ppm、150℃における溶融粘度は0.18Pa・s、軟化点は63℃であった。
〔製造例2〕
製造例1においてホルマリンの量を55gに置き換えた以外は、製造例1と同様の操作を行い、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂を得た。得られた樹脂は水酸基当量170g/eq.、150℃における溶融粘度0.62Pa・s、軟化点95℃、遊離フェノール0.1質量%以下であった。またこの樹脂は一般式(1)においてR=CH、i=0、j=2、m=2.9、n=2.1であった。つづいて製造例1と同様の操作を行い、エポキシ樹脂を得た。得られた樹脂はエポキシ当量249g/eq.(水酸基当量から計算した理論値は226g/eq.)、加水分解性ハロゲン500ppm、150℃における溶融粘度は0.48Pa・s、軟化点は80℃であった。
〔製造例3〕
製造例1においてホルマリンの量を70g、メチルイソブチルケトン、フェノールの留去の温度を120℃に置き換えた以外は、製造例1と同様の操作を行い、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂を得た。得られた樹脂は水酸基当量190g・/eq.、150℃における溶融粘度4.2Pa・s、軟化点109℃、遊離フェノール3.6質量%であった。またこの樹脂は一般式(1)においてR=CH、i=0、j=2、m=9.8、n=7.5であった。つづいて、製造例1において、エピクロロヒドリンの量を440g、イソプロピルアルコールの量を170g、48.5質量%の水酸化ナトリウム水溶液の量を70gとした以外は、製造例1と同様の操作を行い、エポキシ樹脂を得た。得られた樹脂はエポキシ当量296g/eq.(水酸基当量から計算した理論値は246g/eq.)、加水分解性ハロゲン700ppm、150℃における溶融粘度は2.4Pa・s、軟化点は97℃であった。
〔製造例4〕
製造例3においてエピクロロヒドリンの量を230g、イソプロピルアルコールの量を90g、48.5質量%の水酸化ナトリウム水溶液の量を70gとした以外は、製造例1と同様の操作を行い、エポキシ樹脂を得た。得られた樹脂はエポキシ当量372g/eq.(水酸基当量から計算した理論値は246g/eq.)、加水分解性ハロゲン1100ppm、150℃における溶融粘度は5.4Pa・s、軟化点は122℃であった。
〔エポキシ樹脂組成物 実施例1〜6及び比較例1〜4〕
表1に示したように、エポキシ樹脂として製造例1〜4で得られたエポキシ樹脂、テトラメチルビフェノールから誘導されたエポキシ樹脂、ビフェノールとテトラメチルビフェノールから誘導されたエポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂又はオルソクレゾールノボラック樹脂から誘導されたエポキシ樹脂、エポキシ樹脂用硬化剤として一般式(1)で表わされるフェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ビフェニルフェノール樹脂、フェノール/ベンズアルデヒドノボラック型樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、フェノールノボラック樹脂、無機充填剤としてシリカ粉末、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィンを用い、さらにカップリング剤としてエポキシシラン、離形剤としてカルナバワックスをそれぞれ用いて、各エポキシ樹脂組成物を配合した。次いで、各配合物をミキシングロールを用いて70〜120℃の温度で5分間溶融混練した。得られた各溶融混合物は薄板状に取り出し冷却した後、粉砕して各成形材料を得た。これらの各成形材料を用い低圧トランスファー成形機で金型温度175℃、成形時間180秒で成形して、各試験片を得、180℃で8時間ポストキュアさせた。ポストキュア後の各試験片の吸湿率、ガラス転移温度、及び密着性、難燃性を試験した結果を表1及び表2に示した。さらに各成形材料により封止された模擬半導体装置の耐ハンダクラック性を試験した結果を表1及び表2に示した。またエポキシ樹脂と硬化剤の混合溶融粘度を表1及び表2に示した。
Figure 2010001487
Figure 2010001487
*1: A;テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社商品 名 エピコートYX4000H,エポキシ当量:193(g/eq))
*2: B;ビフェニル型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社商品名 エピコー トYL6121H,エポキシ当量:172(g/eq))
*3: C;ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社商品名 エ ピコートYL6810,エポキシ当量:172(g/eq))
*4: D;クレゾ−ルノボラック型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社商品名 エピコート180S62,エポキシ当量:197(g/eq))
*5: E;臭素化エポキシ樹脂(日本化薬社商品名 BREN−S、エポキシ当量:
385(g/eq)、臭素含量:48%)
*6: F;フェノールアラルキル樹脂(明和化成社商品名 MEH−7800S,水 酸基当量:175(g/eq),軟化点:75(℃)
*7: G;芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性ノボラック型フェノール樹脂 (三菱瓦斯化学社商品名 ニカノールGLP,水酸基当量:163(g/e q),軟化点:86(℃)
*8: H;フェノール/ベンズアルデヒドノボラック型樹脂(ジャパンエポキシレジ ン社商品名 エピキュアYLH1027,水酸基当量:150(g/e q)),軟化点:82(℃)
*9: I;ビフェニルフェノール樹脂(明和化成社商品名 MEH−7851S,水 酸基当量:205(g/eq),軟化点:75(℃)
*10: J;ナフトールアラルキル樹脂(明和化成社商品名 MEH−7700,水酸 基当量:140(g/eq),軟化点:96(℃)
*11: K;フェノールノボラック樹脂(群栄化学社商品名 レヂトップPSM 4261,水酸基当量:103(g/eq),軟化点:85℃)
*12: 溶融シリカ粉末(龍森社商品名 RD−8)
*13: エポキシシラン(信越化学工業社商品名 KBM−403)
*14: エポキシ樹脂と硬化剤のみを混合溶融させてICI粘度計により測定。
*15: EMMI−1−66
*16: TMA法
*17: 85℃、85%RH、72時間後の吸湿率
*18: アルミピール試験
*19: 80ピンQFP16個を85℃、85%RHにおいて72時間吸湿後、 260℃ハンダ浴に10秒間浸漬し、クラックの発生した個数を求めた。
*20: UL94
上記表1及び表2から明らかなように、実施例1〜6の各成形材料は、比較例1〜4の成形材料と比較してハロゲン化合物、アンチモン化合物を添加することなしに、優れた難燃性を有するとともに、低吸湿性、密着性のバランスに優れ、さらに耐ハンダクラック性に優れていた。また比較例3、4の成形材料は低吸湿性、密着性には優れていたが、混合溶融粘度が高いため、スパイラルフローが短く、著しく流動性に劣っていた。









Claims (4)

  1. 下記一般式(1)で表わされるフェノール樹脂を、該フェノール樹脂のフェノール性水酸基1モル当たり3〜20モルに相当する量のエピハロヒドリンに溶解させ、フェノール性水酸基1モル当たり0.9〜2.0モル量のアルカリ金属水酸化物を加えて反応させることを特徴とする、エポキシ当量が下記一般式(1)で表されるフェノール樹脂の水酸基当量から計算した理論値の1.00倍〜1.50倍であるエポキシ樹脂の製造方法。
    Figure 2010001487
    (式中、R1、Rは互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基、アラルキル基である。m、nは平均値で1〜8の数であり、iは0〜3の整数、jは1〜3の整数である。)
  2. 前記一般式(1)で表されるフェノール樹脂の水酸基当量が100〜270g/eq.で、150℃における溶融粘度が0.9Pa・s以下であることを特徴とする請求項1記載のエポキシ樹脂の製造方法。
  3. 前記一般式(1)で表わされるフェノール樹脂を、該フェノール樹脂のフェノール性水酸基1モル当たり3〜20モルに相当する量のエピハロヒドリンに溶解させ、フェノール性水酸基1モル当たり0.9〜2.0モル量のアルカリ金属水酸化物を加えて反応させてエポキシ樹脂を得、次いで、得られたエポキシ樹脂をアルカリ金属水酸化物で再処理して可鹸化ハロゲン量を低減することを特徴とする、請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂の製造方法。
  4. さらに、得られるエポキシ樹脂の揮発性成分含有量を0.9質量%以下に低減する処理を施すことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエポキシ樹脂の製造方法。









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