JP2011001483A - エポキシ樹脂組成物、その硬化物、及び半導体装置 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物、その硬化物、及び半導体装置 Download PDF

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Abstract

【課題】難燃性と金属への接着性を改善する。
【解決手段】主剤エポキシ樹脂成分として、グリシジルオキシ基含有芳香族炭化水素基(E)、アルコキシ基含有縮合多環式芳香族炭化水素基(B)、並びに、メチレン基、アルキリデン基、及び芳香族炭化水素構造含有メチレン基から選択される2価の炭化水素基(X)の各構造部位を有しており、かつ、前記(E)及び前記(B)が、前記炭化水素基(X)を介して結合した構造を分子構造内に有するエポキシ樹脂(a1)、及び、ビスフェノール型エポキシ樹脂及びビフェノール型エポキシ樹脂からなる群から選択され、かつ、エポキシ当量が250g/eq〜700g/eqの範囲にある2官能エポキシ樹脂(a2)を併用する。
【選択図】なし

Description

本発明は、非ハロゲン系で高度な難燃性を示し、且つ基材と高い密着性を示し耐ハンダクラック性に優れたエポキシ樹脂組成物、硬化物、半導体封止材料に関する。
エポキシ樹脂及びその硬化剤を必須成分とするエポキシ樹脂組成物は、電気絶縁性、高耐熱性、耐湿性、寸法安定性等の諸物性に優れる点から半導体封止材やプリント回路基板、ビルドアップ基板、レジストインキ等の電子部品、導電ペースト等の導電性接着剤やその他接着剤、アンダーフィルなどの液状封止材、液晶シール材、フレキシブル基板用カバーレイ、複合材料用マトリックス、塗料、フォトレジスト材料、顕色材料等で広く用いられている。これらの中でも半導体やプリント配線基板などのエレクトロニクス材料分野においては、封止材や基板材料等として用いられており、これらの分野における技術革新に伴って高性能化への要求が高まっている。
前記エポキシ樹脂組成物を封止材料に代表されるエレクトロニクス材料分野に用いる場合、これまで硬化物に難燃性を付与するために臭素等のハロゲン系難燃剤がアンチモン化合物とともに配合されている。しかし、近年の環境・安全への取り組みのなかで、ダイオキシン発生が懸念されるハロゲン系難燃剤を用いず、且つ発ガン性が疑われているアンチモン化合物を用いない環境・安全対応型の難燃化方法の開発が強く要求されている。また、半導体封止材料の非ハロゲン化は半導体装置の高温放置信頼性の改良にも大きく貢献する技術であり、市場における期待は高い。
かかる要求特性に応える電子部品封止材料としては、例えば、ヒドロキシ基含有芳香族化合物とアルコキシ基含有芳香族化合物とカルボニル基含有化合物とを反応させたフェノール樹脂をエピハロヒドリンと反応させたエポキシ樹脂が知られている(下記、特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1において開示されているエポキシ樹脂は、ある程度の難燃性は達成しているものの、近年要求の高い、より高度な難燃性能を満足することはできず、また、リードフレーム等の金属への接着性が十分なものではなかった。
この点につき詳述するに、例えば半導体封止材料分野では、鉛フリー半田への移行によりリフロー処理温度が高温化するに至り、耐ハンダクラック性(リフロー性)の向上が求められており、その手段として溶融シリカ粉末等の無機充填剤を高充填化により低吸湿化する手段が用いられているが、この場合、樹脂とリードフレーム(Cu、Ag、PPFなど)に代表される金属との接着性が低くなり、リードフレームと封止材との間で剥離が生じ易いという問題を有していた。従って、鉛フリー半田に対応する電子部品封止材材料としてリードフレームとの接着性に優れた材料が求められていた。
特開2006−274236号公報
従って、本発明が解決しようとする課題は、優れた難燃効果を発現すると共に、リードフレーム等の金属への接着性に優れるエポキシ樹脂組成物、その硬化物、及び該組成物を用いることで信頼性に優れた半導体装置を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、エポキシ樹脂組成物におけるエポキシ樹脂成分として、
グリシジルオキシ基含有芳香族炭化水素基(E)、アルコキシ基含有縮合多環式芳香族炭化水素基(B)、並びに、
メチレン基、アルキリデン基、及び芳香族炭化水素構造含有メチレン基から選択される2価の炭化水素基(X)の各構造部位を有しており、かつ、前記グリシジルオキシ基含有芳香族炭化水素基(E)及び前記アルコキシ基含有縮合多環式芳香族炭化水素基(B)が、前記メチレン基、アルキリデン基、及び芳香族炭化水素構造含有メチレン基から選択される2価の炭化水素基(X)を介して結合した構造を分子構造内に有するエポキシ樹脂(a1)と、ビスフェノール型エポキシ樹脂及びビフェノール型エポキシ樹脂からなる群から選択され、かつ、エポキシ当量が250g/eq〜700g/eqの2官能エポキシ樹脂(a2)とを併用することにより、非ハロゲン系であり乍ら、その硬化物が極めて高い難燃性を発現すると共に金属との密着性に優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、エポキシ樹脂(A)と硬化剤(B)を必須成分とするエポキシ樹脂組成物であって、
前記エポキシ樹脂(A)として、
グリシジルオキシ基含有芳香族炭化水素基(E)、
アルコキシ基含有縮合多環式芳香族炭化水素基(B)、並びに、
メチレン基、アルキリデン基、及び芳香族炭化水素構造含有メチレン基から選択される2価の炭化水素基(X)の各構造部位を有しており、かつ、
前記グリシジルオキシ基含有芳香族炭化水素基(E)及び前記アルコキシ基含有縮合多環式芳香族炭化水素基(B)が、前記メチレン基、アルキリデン基、及び芳香族炭化水素構造含有メチレン基から選択される2価の炭化水素基(X)を介して結合した構造を分子構造内に有するエポキシ樹脂(a1)、及び、
ビスフェノール型エポキシ樹脂及びビフェノール型エポキシ樹脂からなる群から選択され、かつ、エポキシ当量が250g/eq〜700g/eqの範囲にある2官能エポキシ樹脂(a2)
を併用することを特徴とするエポキシ樹脂組成物に関する。
本発明は、更に、上記エポキシ樹脂組成物を硬化させてなる硬化物に関する。
本発明は、更に、上記エポキシ樹脂組成物を用い、半導体チップ及びリードフレームを封止してなる半導体装置に関する。
本発明によれば、従来になく優れた難燃効果を発現すると共に、リードフレーム等の金属への接着性に優れるエポキシ樹脂組成物、その硬化物、及び該組成物を用いることで信頼性に優れた半導体装置を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いられるエポキシ樹脂(A)の一成分であるエポキシ樹脂(a1)は、グリシジルオキシ基含有芳香族炭化水素基(E)、アルコキシ基含有縮合多環式芳香族炭化水素基(B)、並びに、メチレン基、アルキリデン基、及び芳香族炭化水素構造含有メチレン基から選択される2価の炭化水素基(X)の各構造部位を有しており、かつ、前記グリシジルオキシ基含有芳香族炭化水素基(E)及び前記アルコキシ基含有縮合多環式芳香族炭化水素基(B)が、前記メチレン基、アルキリデン基、及び芳香族炭化水素構造含有メチレン基から選択される2価の炭化水素基(X)を介して結合した構造を分子構造内に有するエポキシ樹脂で表されるものである。本発明ではかかるエポキシ樹脂(a1)を用いることから硬化物に優れた難燃性を付与することができる。
かかるエポキシ樹脂(a1)は、具体的には、フェノール性水酸基含有芳香族炭化水素基(P)、アルコキシ基含有縮合多環式芳香族炭化水素基(B)、並びに、メチレン基、アルキリデン基、及び芳香族炭化水素構造含有メチレン基から選択される2価の炭化水素基(X)の各構造部位を有しており、かつ、前記フェノール性水酸基含有芳香族炭化水素基(P)及び前記アルコキシ基含有縮合多環式芳香族炭化水素基(B)が、前記メチレン基、アルキリデン基、及び芳香族炭化水素構造含有メチレン基から選択される2価の炭化水素基(X)を介して結合した構造を分子構造内に有するフェノール樹脂(ph1)とエピハロヒドリンを反応させて得られるエポキシ樹脂が挙げられる。
前記フェノール樹脂(ph1)は、ヒドロキシ基含有芳香族化合物(p)とアルコキシ基含有芳香族化合物(b)と、カルボニル基含有化合物(x)とを、反応させることによって製造することができる。
上記製造方法に用いられるヒドロキシ基含有芳香族化合物(p)は、具体的には、フェノール、レゾルシノール、ヒドロキノンなどの無置換フェノール類、クレゾール、フェニルフェノール、エチルフェノール、n−プロピルフェノール、iso−プロピルフェノール、t−ブチルフェノールなどの一置換フェノール類、キシレノール、メチルプロピルフェノール、メチルブチルフェノール、メチルヘキシルフェノール、ジプロピルフェノール、ジブチルフェノールなどの二置換フェノール類、メシトール、2,3,5−トリメチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール等の三置換フェノール類、1−ナフトール、2−ナフトール、メチルナフトールなどのナフトール類が挙げられる。前記フェノール樹脂(ph1)を製造する際、上記化合物は単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。
これらのなかでも、硬化物の難燃性に優れることから1−ナフトール、2−ナフトール、クレゾール、フェノールが特に好ましい。
次に、アルコキシ基含有芳香族化合物(b)は、具体的には、1−メトキシナフタレン、2−メトキシナフタレン、1−メチル−2−メトキシナフタレン、1−メトキシ−2−メチルナフタレン、1,3,5−トリメチル−2−メトキシナフタレン、2,6−ジメトキシナフタレン、2,7−ジメトキシナフタレン、1−エトキシナフタレン、
1,4−ジメトキシナフタレン、1−t−ブトキシナフタレン、1−メトキシアントラセン、等が挙げられる。
これらの中でも特に分子末端にアルコキシナフタレン骨格を形成し易い点から2−メトキシナフタレン、及び2,7−ジメトキシナフタレンが好ましく、難燃性と誘電特性の点から2−メトキシナフタレンが好ましい。
次に、カルボニル基含有化合物(x)は、具体的には、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド等の脂肪族系アルデヒド、グリオキザール等のジアルデヒド、ベンズアルデヒド、4−メチルベンズアルデヒド、3,4−ジメチルベンズアルデヒド、4−ビフェニルアルデヒド、ナフチルアルデヒド等の芳香族系アルデヒド、ベンゾフェノン、フルオレノン、インダノン等のケトン化合物が挙げられる。
これらのなかでも得られる硬化物が難燃性にすぐれる点からホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、4−ビフェニルアルデヒド、ナフチルアルデヒドが好ましく、得られる樹脂が低粘度である点からホルムアルデヒドが好ましい。
上記したヒドロキシ基含有芳香族化合物(p)とアルコキシ基含有縮合多環式芳香族化合物(b)と、カルボニル基含有化合物(x)とを反応させる方法は、以下の方法1)〜3)が挙げられる。
方法1):ヒドロキシ基含有芳香族系化合物(p)とアルコキシ基含有縮合多環式芳香族化合物(b)とカルボニル基含有化合物(x)とを実質的に同時に仕込み、適当な重合触媒の存在下で加熱撹拌して反応を行う方法。
方法2):アルコキシ基含有縮合多環式芳香族化合物(b)1モルに対して、0.05〜30モル、好ましくは2〜30モルのカルボニル基含有化合物(x)を反応させた後に、ヒドロキシ基含有芳香族系化合物(p)を仕込んで反応させる方法。
方法3):ヒドロキシ基含有芳香族系化合物(p)とアルコキシ基含有縮合多環式芳香族化合物(b)とを予め混合しておき、ここにカルボニル基含有化合物(x)を連続的乃至断続的に系内に加えることによって、反応を行う方法。
上記方法1)において「実質的に同時」とは、加熱によって反応が加速されるまでの間に全ての原料を仕込むことを意味するものである。
この様にして得られたフェノール樹脂(ph1)にエピハロヒドリンを反応させて目的のエポキシ樹脂(a1)を得ることができる。具体的には、前記フェノール樹脂(ph1)中のフェノール性水酸基1モルに対し、エピハロヒドリン2〜10モルを添加し、更に、フェノール性水酸基1モルに対し0.9〜2.0モルの塩基性触媒を一括添加または徐々に添加しながら20〜120℃の温度で0.5〜10時間反応させる方法が挙げられる。この塩基性触媒は固形でもその水溶液を使用してもよく、水溶液を使用する場合は、連続的に添加すると共に反応混合物中から減圧下、または常圧下、連続的に水及びエピハロヒドリン類を留出せしめ、更に分液して水は除去しエピハロヒドリン類は反応混合物中に連続的に戻す方法が好ましい。
なお、工業生産を行う際、エポキシ樹脂生産の初バッチでは仕込みに用いるエピハロヒドリン類の全てが新しいものであるが、次バッチ以降は、粗反応生成物から回収されたエピハロヒドリン類と、反応で消費される分で消失する分に相当する新しいエピハロヒドリン類とを併用することが好ましい。この時、使用するエピハロヒドリンは特に限定されないが、例えばエピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン、β−メチルエピクロルヒドリン等が挙げられる。なかでも工業的入手が容易なことからエピクロルヒドリンが好ましい。
また、前記塩基性触媒は、具体的には、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ金属水酸化物等が挙げられる。特にエポキシ樹脂合成反応の触媒活性に優れる点からアルカリ金属水酸化物が好ましく、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。使用に際しては、これらの塩基性触媒を10〜55質量%程度の水溶液の形態で使用してもよいし、固形の形態で使用しても構わない。また、有機溶媒を併用することにより、エポキシ樹脂の合成における反応速度を高めることができる。このような有機溶媒としては特に限定されないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、メタノール、エタノール、1−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール等のアルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類、テトラヒドロフラン、1、4−ジオキサン、1、3−ジオキサン、ジエトキシエタン等のエーテル類、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。これらの有機溶媒は、それぞれ単独で使用してもよいし、また、極性を調整するために適宜二種以上を併用してもよい。
前述のエポキシ化反応の反応物を水洗後、加熱減圧下、蒸留によって未反応のエピハロヒドリンや併用する有機溶媒を留去する。また更に加水分解性ハロゲンの少ないエポキシ樹脂とするために、得られたエポキシ樹脂を再びトルエン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトンなどの有機溶媒に溶解し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液を加えてさらに反応を行うこともできる。この際、反応速度の向上を目的として、4級アンモニウム塩やクラウンエーテル等の相関移動触媒を存在させてもよい。相関移動触媒を使用する場合のその使用量としては、用いるエポキシ樹脂に対して0.1〜3.0質量%の範囲が好ましい。反応終了後、生成した塩を濾過、水洗などにより除去し、更に、加熱減圧下トルエン、メチルイソブチルケトンなどの溶剤を留去することにより高純度のエポキシ樹脂を得ることができる。
本発明で用いられるエポキシ樹脂(A)は、既述の通り上記した反応物(a1)に、2官能エポキシ樹脂(a2)を併用するものである。
本発明で使用される前記2官能エポキシ樹脂(a2)は、エポキシ当量が250g/eq〜700g/eqの範囲にあるビスフェノール型エポキシ樹脂又はビフェノール型エポキシ樹脂である。前記2官能エポキシ樹脂(a2)は、エポキシ当量が250g/eq以上であることからリードフレームへの接着性が良好なものとなり、また、難燃性も良好なものとなる。一方、エポキシ当量が700g/eq以下であることから、エポキシ樹脂(a1)との溶融混練時における混合性が良好となる他、電子部品封止材用途において溶融時の流動性に優れたものとなる。
ここで、前記2官能エポキシ樹脂(a2)は、所定のエポキシ当量となる様にビスフェノール類又はビフェノール類をエポキシ化することにより得ることができ、ここでビスフェノール類としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メンタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジシクロペンタン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エーテル、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1’−ビス(3−t−ブチル−6−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン等が挙げられる。
一方、ビフェノール類としては、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチエルビフェニル〔テトラメチルビフェニル〕等が挙げられる。
なお、上記したビスフェノールFは、多核体を0.1〜20質量%の範囲で含有していてもよい。
これらの中でも、難燃性、金属との密着性、耐ハンダクラック性に優れることから、テトラメチルビフェノールを原料フェノールとして用いたテトラメチルビフェノール型エポキシ樹脂;ビスフェノールAを原料フェノールとして用いたビスフェノールA型エポキシ樹脂;ビスフェノールFを原料フェノールとして用いたビスフェノールF型エポキシ樹脂が特に好ましい。
前記2官能エポキシ樹脂のエポキシ当量を250〜700g/eqに調整する方法には、例えば、下記方法3)及び方法4)が挙げられる。
方法3):前記ビスフェノール及び前記ビフェノール類から選択される2官能フェノールとエピハロヒドリンとを、該2官能フェノールのフェノール性水酸基に対しエピハロヒドリンが過剰となる割合で反応させて低分子量エポキシ樹脂を得、次いで、得られた低分子量エポキシ樹脂と前記2官能フェノール化合物とを、低分子量エポキシ樹脂のエポキシ1当量に対して前記2官能フェノール化合物の水酸基当量が0.05〜0.35当量となる割合で重付加反応させる方法。
方法4):エピハロヒドリンと前記2官能フェノール化合物とをエピクロルヒドリン1.0molに対してフェノール性水酸基0.9〜2.0当量となる割合で反応させてエポキシ樹脂を得る方法。
前記方法3)において前記2官能フェノールとエピハロヒドリンとを反応させて得られる低分子量エポキシ樹脂は、通常、エポキシ当量が160〜230g/eqの範囲のものであり、該反応は常法により行うことができる。また、この低分子量エポキシ樹脂は市販の低分子量タイプのビスフェノール型エポキシ樹脂、低分子量タイプのビフェノール型エポキシ樹脂を用いてもよい。
次いで、低分子量エポキシ樹脂と前記2官能フェノール化合物との反応は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン等の第三級アミン、テトラメチルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩、イミダゾール化合物、トリフェニルホスフィン等の触媒を用い反応さて得ることができる。
当該反応は、必要に応じて有機溶剤存在下で行うことができる。有機溶剤としては、特に制限がないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、メトキシプロパノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチルカルビトール、酢酸エチル、キシレン、トルエン、シクロヘキサノン、N,N−ジメチルホルムアミド等が使用可能である。
次に、前記方法4)は、具体的には、エピハロヒドリン1モルに対し、フェノール樹脂中のフェノール性水酸基0.9〜2.0モルを添加し、更に、用いたエピハロヒドリン1モルに対し0.9〜2.0モルとなる割合の塩基性触媒を一括添加または徐々に添加しながら20〜120℃の温度で0.5〜10時間反応させる方法が挙げられる。この塩基性触媒は固形でもその水溶液を使用してもよく、反応は常圧下、加圧下いずれの方法でもよい。
ここで用いる前記塩基性触媒は、具体的には、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ金属水酸化物等が挙げられる。特にエポキシ樹脂合成反応の触媒活性に優れる点からアルカリ金属水酸化物が好ましく、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。使用に際しては、これらの塩基性触媒を10〜55質量%程度の水溶液の形態で使用してもよいし、固形の形態で使用しても構わない。また、有機溶媒を併用することにより、エポキシ樹脂の合成における反応速度を高めることができる。このような有機溶媒としては特に限定されないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、メタノール、エタノール、1−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール等のアルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類、テトラヒドロフラン、1、4−ジオキサン、1、3−ジオキサン、ジエトキシエタン等のエーテル類、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。これらの有機溶媒は、それぞれ単独で使用してもよいし、また、極性を調整するために適宜二種以上を併用してもよい。
前述のエポキシ化終了後、生成した塩を濾過、水洗などにより除去し、更に、加熱減圧下トルエン、メチルイソブチルケトンなどの溶剤を留去することにより目的とするエポキシ樹脂(a2)を得ることができる。
ここで半導体パッケージ用途におけるパッケージの電気特性、低ハロゲンといった信頼性に優れる点から前記方法4)が好ましい。これは反応触媒が残存しないだけでなく、驚くべきことに前記方法3)の方法で得られたエポキシ樹脂に比べ抽出水塩素イオンが極めて少ないためである。但しこの場合、易加水分解性塩素を低下させておく必要があり、具体的には150ppm以下、更に好ましくは100ppm以下が好ましい。
また、前記エポキシ樹脂(a1)と前記エポキシ樹脂(a2)とは、コンパウンド化する際に他の成分と共に混合・混練してもよいが、事前に溶融状態で均一混合しておくことが好ましい。
ここで、エポキシ樹脂(a1)とエポキシ樹脂(a2)との混合比率は、質量比率[(a1)/(a2)]が95/5〜60/40の範囲であることが、エポキシ樹脂組成物の流動性や成形性の特性に優れ、また硬化物としたときの金属との密着性、耐ハンダクラック性、更には難燃性に優れることから好ましい。具体的には、即ちエポキシ樹脂(a1)に対して(a2)を5重量%以上用いることにより硬化物としたときの金属との密着性、耐ハンダクラック性、更には難燃性が飛躍的に向上する他、エポキシ樹脂(a1)に対してエポキシ樹脂(a2)を40重量%以下で使用することにより成形性が飛躍的に向上する。
エポキシ樹脂(a2)を5質量%以上用いることで難燃性が飛躍的に改善されるのは、硬化物がシリカなどの無機充填剤との密着性に優れるためと考えられる。密着性が弱いと、燃焼時にクラックが入りやすく、燃焼場の表面積が増加して燃焼を促進し難燃性を悪化させていると考えられる。
さらに本発明においては、前記エポキシ樹脂(A)が、エポキシ樹脂(a1)とエポキシ樹脂(a2)との混合物であって、かつ、該混合物を示差走査熱量測定(DSC)により−30℃から100℃まで毎分3℃の速度で昇温して測定した場合の中間点ガラス転移温度が5〜30℃の範囲であることが好ましい。Tgを10℃以上とすることで作業性が飛躍的に改善され(ブロッキングし難くなる)とともに密着性が高くなり、一方たシリカなどの無機充填剤の高充填を可能にするために溶融粘度を充分に低減する必要があり、そのためには30℃以下とする必要がある。ここで無機充填剤を高充填するために必要な溶融粘度は、150℃のICI粘度が0.1〜3.0dPa・sである。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物において前記したエポキシ樹脂(A)の他、本発明の特性を損なわない範囲においてその他のエポキシ樹脂(A’)を併用してもよい。
ここで用いるその他のエポキシ樹脂(A’)としては、特に制限されるものではなく、種々のエポキシ樹脂を用いることができるが、例えば、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂、液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂、液状ビスフェノールS型エポキシ樹脂、液状ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、カテコール型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、液状ビフェニル型エポキシ樹脂、硫黄含有エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂等の2官能型エポキシ樹脂、トリグリシジルシソシアヌレート、メトキシナフタレン変性アラルキル型エポキシ樹脂、メトキシナフタレン変性ノボラック樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール付加反応型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂(ザイロック樹脂のエポキシ化物)、ナフトールホルムアルデヒド縮合型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂型エポキシ樹脂、ビフェニル変性ノボラック型エポキシ樹脂(ビスフェニレンメチレン基でフェノール核が連結された多価フェノール樹脂のエポキシ化物)、ビフェニル変性ナフトール型エポキシ樹脂(ビスメチレン基でナフトール核が連結された多価ナフトール樹脂のエポキシ化合物)、アルコキシ基含有ノボラック型エポキシ樹脂、アルコキシ基含有フェノールアラルキル樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、特開平4−11662号公報又は特開平11−166035号公報に記載された各種9,10−ジヒドロ−9−オキサー10−ホスファフェナントレン=10−オキシドから誘導されるエポキシ樹脂などが挙げられる。
また、前記エポキシ樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を混合してもよい。これらのエポキシ樹脂の中でも、特に低粘度である点では、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂が好ましく、難燃性に優れる点では、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル変性ノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。
上記したその他のエポキシ樹脂(a3)を用いる場合、全エポキシ樹脂成分中、該エポキシ樹脂(a3)の使用量が、70質量%以下となる範囲、なかでも50質量%〜10質量%の範囲であることが好ましい。
発明のエポキシ樹脂組成物に用いられる硬化剤(B)は、種々のエポキシ樹脂用硬化剤が使用でき、アミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物、
フェノ−ル系化合物などのエポキシ樹脂用硬化剤が挙げられる。
具体的には、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンとより合成されるポリアミド樹脂、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール付加型樹脂;フェノールアラルキル樹脂、クレゾールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、ビフェニル変性フェノールアラルキル樹脂等のビスアラルキルを結節基として水酸基含有芳香族構造が連結された構造を含有するヒドロキシ芳香族化合物;フェノールトリメチロールメタン樹脂、テトラフェニロールエタン樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂、アミノトリアジン変性フェノール樹脂、アルコキシ基含有芳香環変性ノボラック樹脂(ホルムアルデヒドでフェノール核及びアルコキシ基含有芳香環が連結された多価フェノール化合物)等の多価フェノール化合物等を始めとする多価フェノール化合物、及びこれらの変性物、イミダゾ−ル、BF3−アミン錯体、並びにグアニジン誘導体などが挙げられる。またこれらの硬化剤は単独で用いてもよく、2種以上を混合してもよい。
これらの硬化剤のなかでも、ビスアラルキルを結節基として水酸基含有芳香族構造が連結された構造を含有するヒドロキシ芳香族化合物、アルコキシ基含有芳香環変性ノボラック樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂、アミノトリアジン変性フェノール樹脂(メラミンやベンゾグアナミンなどでフェノール核が連結された多価フェノール化合物)、アルコキシ基含有芳香環変性ノボラック樹脂(ホルムアルデヒドでフェノール核及びアルコキシ基含有芳香環が連結された多価フェノール化合物)等の多価フェノール化合物が難燃性に優れる点から好ましく、アラルキル型フェノール樹脂が好ましい。また、例えば、成形性を高めたい場合は、フェノールノボラック樹脂が好ましく、また、上記硬化剤は用途及び要求特性により適宜併用することができる。
ビスアラルキルを結節基として水酸基含有芳香族構造が連結された構造を含有するヒドロキシ芳香族化合物としては、具体的には、下記一般式(1)
Figure 2011001483
(式中、Xはベンゼン環、ナフタレン環、若しくはこれらの芳香核にアルキル基を有する構造部位であり、Arはベンゼン骨格、ビフェニル骨格、ナフタレン骨格、若しくはこれらの芳香核にアルキル基を有する構造部位であり、Rは同一でも異なっていてもよい水素原子又は炭素数1〜6の炭化水素基であり、nは1〜4である。)で表されるアラルキル型フェノール類;
また、前記アルコキシ基含有芳香環変性ノボラック樹脂としては、具体的には、
フェノール性水酸基含有芳香族炭化水素基(P)、
アルコキシ基含有縮合多環式芳香族炭化水素基(B)、並びに、
メチレン基、アルキリデン基、及び芳香族炭化水素構造含有メチレン基から選択される2価の炭化水素基(X)
の各構造部位を有しており、かつ、前記フェノール性水酸基含有芳香族炭化水素基(P)及び前記アルコキシ基含有縮合多環式芳香族炭化水素基(B)が、前記メチレン基、アルキリデン基、及び芳香族炭化水素構造含有メチレン基から選択される2価の炭化水素基(X)を介して結合した構造を分子構造内に有する
のフェノール樹脂が挙げられる。
また、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂としては、具体的には、下記一般式(2)
Figure 2011001483

(式中、Xは置換基を有していてもよい芳香環であり、Arはフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、若しくはこれらの芳香核にアルキル基を有する構造部位でありnは1〜4である。)で表されるフェノール樹脂が挙げられる。
これらの硬化剤はそれぞれ単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物における硬化剤(B)の配合量としては、特に制限されるものではないが、得られる硬化物の機械的物性等が良好である点から、エポキシ樹脂(A)及び必要に応じて併用されるその他のエポキシ樹脂とのエポキシ基の合計1当量に対して、硬化剤中の活性基が0.5〜1.5当量になる量が好ましい。
また、必要に応じて本発明のエポキシ樹脂組成物に硬化促進剤を適宜併用することもできる。前記硬化促進剤としては種々のものが使用できるが、例えば、リン系化合物、第3級アミン、イミダゾール、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯塩等が挙げられる。特に半導体封止材料用途として使用する場合には、硬化性、耐熱性、電気特性、耐湿信頼性等に優れる点から、リン系化合物ではトリフェニルフォスフィン、第3級アミンでは1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−ウンデセン(DBU)が好ましい。
以上詳述した本発明のエポキシ樹脂組成物は、当該樹脂自体が優れた難燃性付与効果を有するものである為、従来用いられている難燃剤を配合しなくても、硬化物の難燃性が良好である。しかしながら、より高度な難燃性を発揮させるために、例えば半導体封止材料の分野においては、封止工程での成形性や半導体装置の信頼性を低下させない範囲で、実質的にハロゲン原子を含有しない非ハロゲン系難燃剤(C)を配合してもよい。
かかる非ハロゲン系難燃剤(C)を配合したエポキシ樹脂組成物は、実質的にハロゲン原子を含有しないものであるが、例えばエポキシ樹脂に含まれるエピハロヒドリン由来の5000ppm以下程度の微量の不純物によるハロゲン原子は含まれていても良い。
前記非ハロゲン系難燃剤(C)としては、例えば、リン系難燃剤、窒素系難燃剤、シリコーン系難燃剤、無機系難燃剤、有機金属塩系難燃剤等が挙げられ、それらの使用に際しても何等制限されるものではなく、単独で使用しても、同一系の難燃剤を複数用いても良く、また、異なる系の難燃剤を組み合わせて用いることも可能である。
前記リン系難燃剤としては、無機系、有機系のいずれも使用することができる。無機系化合物としては、例えば、赤リン、リン酸一アンモニウム、リン酸二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム等のリン酸アンモニウム類、リン酸アミド等の無機系含窒素リン化合物が挙げられる。
また、前記赤リンは、加水分解等の防止を目的として表面処理が施されていることが好ましく、表面処理方法としては、例えば、(i)水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、水酸化チタン、酸化ビスマス、水酸化ビスマス、硝酸ビスマス又はこれらの混合物等の無機化合物で被覆処理する方法、(ii)水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、水酸化チタン等の無機化合物、及びフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂の混合物で被覆処理する方法、(iii)水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、水酸化チタン等の無機化合物の被膜の上にフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂で二重に被覆処理する方法等が挙げられる。
前記有機リン系化合物としては、例えば、リン酸エステル化合物、ホスホン酸化合物、ホスフィン酸化合物、ホスフィンオキシド化合物、ホスホラン化合物、有機系含窒素リン化合物等の汎用有機リン系化合物の他、9,10−ジヒドロ−9−オキサー10−ホスファフェナントレン=10−オキシド、10−(2,5−ジヒドロオキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン=10−オキシド、10−(2,7−ジヒドロオキシナフチル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン=10−オキシド等の環状有機リン化合物、及びそれをエポキシ樹脂やフェノール樹脂等の化合物と反応させた誘導体等が挙げられる。
それらの配合量としては、リン系難燃剤の種類、エポキシ樹脂組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、エポキシ樹脂、硬化剤、非ハロゲン系難燃剤及びその他の充填材や添加剤等全てを配合したエポキシ樹脂組成物100質量部中、赤リンを非ハロゲン系難燃剤として使用する場合は0.1〜2.0質量部の範囲で配合することが好ましく、有機リン化合物を使用する場合は同様に0.1〜10.0質量部の範囲で配合することが好ましく、特に0.5〜6.0質量部の範囲で配合することが好ましい。
また前記リン系難燃剤を使用する場合、該リン系難燃剤にハイドロタルサイト、水酸化マグネシウム、ホウ化合物、酸化ジルコニウム、黒色染料、炭酸カルシウム、ゼオライト、モリブデン酸亜鉛、活性炭等を併用してもよい。
前記窒素系難燃剤としては、例えば、トリアジン化合物、シアヌル酸化合物、イソシアヌル酸化合物、フェノチアジン等が挙げられ、トリアジン化合物、シアヌル酸化合物、イソシアヌル酸化合物が好ましい。
前記トリアジン化合物としては、例えば、メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メロン、メラム、サクシノグアナミン、エチレンジメラミン、ポリリン酸メラミン、トリグアナミン等の他、例えば、(i)硫酸グアニルメラミン、硫酸メレム、硫酸メラムなどの硫酸アミノトリアジン化合物、(ii)フェノール、クレゾール、キシレノール、ブチルフェノール、ノニルフェノール等のフェノール類と、メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、ホルムグアナミン等のメラミン類およびホルムアルデヒドとの共縮合物、(iii)前記(ii)の共縮合物とフェノールホルムアルデヒド縮合物等のフェノール樹脂類との混合物、(iv)前記(ii)、(iii)を更に桐油、異性化アマニ油等で変性したもの等が挙げられる。
前記シアヌル酸化合物の具体例としては、例えば、シアヌル酸、シアヌル酸メラミン等を挙げることができる。
前記窒素系難燃剤の配合量としては、窒素系難燃剤の種類、エポキシ樹脂組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、エポキシ樹脂、硬化剤、非ハロゲン系難燃剤及びその他の充填材や添加剤等全てを配合したエポキシ樹脂組成物100質量部中、0.05〜10質量部の範囲で配合することが好ましく、特に0.1〜5質量部の範囲で配合することが好ましい。
また前記窒素系難燃剤を使用する際、金属水酸化物、モリブデン化合物等を併用してもよい。
前記シリコーン系難燃剤としては、ケイ素原子を含有する有機化合物であれば特に制限がなく使用でき、例えば、シリコーンオイル、シリコーンゴム、シリコーン樹脂等が挙げられる。
前記シリコーン系難燃剤の配合量としては、シリコーン系難燃剤の種類、エポキシ樹脂組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、エポキシ樹脂、硬化剤、非ハロゲン系難燃剤及びその他の充填材や添加剤等全てを配合したエポキシ樹脂組成物100質量部中、0.05〜20質量部の範囲で配合することが好ましい。また前記シリコーン系難燃剤を使用する際、モリブデン化合物、アルミナ等を併用してもよい。
前記無機系難燃剤としては、例えば、金属水酸化物、金属酸化物、金属炭酸塩化合物、金属粉、ホウ素化合物、低融点ガラス等が挙げられる。
前記金属水酸化物の具体例としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ドロマイト、ハイドロタルサイト、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化ジルコニウム等を挙げることができる。
前記金属酸化物の具体例としては、例えば、モリブデン酸亜鉛、三酸化モリブデン、スズ酸亜鉛、酸化スズ、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化マンガン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化モリブデン、酸化コバルト、酸化ビスマス、酸化クロム、酸化ニッケル、酸化銅、酸化タングステン等を挙げることができる。
前記金属炭酸塩化合物の具体例としては、例えば、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸アルミニウム、炭酸鉄、炭酸コバルト、炭酸チタン等を挙げることができる。
前記金属粉の具体例としては、例えば、アルミニウム、鉄、チタン、マンガン、亜鉛、モリブデン、コバルト、ビスマス、クロム、ニッケル、銅、タングステン、スズ等を挙げることができる。
前記ホウ素化合物の具体例としては、例えば、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸、ホウ砂等を挙げることができる。
前記低融点ガラスの具体例としては、例えば、シープリー(ボクスイ・ブラウン社)、水和ガラスSiO−MgO−HO、PbO−B系、ZnO−P−MgO系、P−B−PbO−MgO系、P−Sn−O−F系、PbO−V−TeO系、Al−HO系、ホウ珪酸鉛系等のガラス状化合物を挙げることができる。
前記無機系難燃剤の配合量としては、無機系難燃剤の種類、エポキシ樹脂組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、エポキシ樹脂、硬化剤、非ハロゲン系難燃剤及びその他の充填材や添加剤等全てを配合したエポキシ樹脂組成物100質量部中、0.05〜20質量部の範囲で配合することが好ましく、特に0.5〜15質量部の範囲で配合することが好ましい。
前記有機金属塩系難燃剤としては、例えば、フェロセン、アセチルアセトナート金属錯体、有機金属カルボニル化合物、有機コバルト塩化合物、有機スルホン酸金属塩、金属原子と芳香族化合物又は複素環化合物がイオン結合又は配位結合した化合物等が挙げられる。
前記有機金属塩系難燃剤の配合量としては、有機金属塩系難燃剤の種類、エポキシ樹脂組成物の他の成分、所望の難燃性の程度によって適宜選択されるものであるが、例えば、エポキシ樹脂、硬化剤、非ハロゲン系難燃剤及びその他の充填材や添加剤等全てを配合したエポキシ樹脂組成物100質量部中、0.005〜10質量部の範囲で配合することが好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて無機質充填材を配合することができる。前記無機質充填材としては、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、窒化珪素、水酸化アルミ等が挙げられる。特に本発明のエポキシ樹脂組成物を半導体封止材用に用いる場合、前記無機充填材の配合量を特に大きくすることができる点から溶融シリカを用いることが好ましい。前記溶融シリカは破砕状、球状のいずれでも使用可能であるが、溶融シリカの配合量を高め且つ成形材料の溶融粘度の上昇を抑制するためには、球状のものを主に用いる方が好ましい。更に球状シリカの配合量を高めるためには、球状シリカの粒度分布を適当に調整することが好ましい。
その充填率は、用途に応じ適宜選択すればよいが、半導体封止材用途では、難燃性を考慮して、高い方が好ましく、エポキシ樹脂組成物の全体量に対して65〜95質量%、より好ましくは80〜95質量%の範囲であることが特に好ましい。また導電ペーストなどの用途に使用する場合は、銀粉や銅粉等の導電性充填剤を用いることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて、シランカップリング剤、離型剤、イオントラップ剤、顔料、乳化剤等の種々の配合剤を添加することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、上記した各成分を均一に混合することにより得られる。本発明のエポキシ樹脂、硬化剤、更に必要により硬化促進剤の配合された本発明のエポキシ樹脂組成物は従来知られている方法と同様の方法で容易に硬化物とすることができる。該硬化物としては積層物、注型物、接着層、塗膜、フィルム等の成形硬化物が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物が用いられる用途としては、半導体封止材料、プリント回路基板、ビルドアップ基板用層間絶縁材料、ダイアタッチ剤、アンダーフィル、グラブットプ材、TCP用液状封止材、導電ペースト、液晶シール材、フレキシブル基板用カバーレイ、レジストインキなどの電子回路基板等に用いられる樹脂組成物、高い屈折率が求められる光導波路、樹脂注型材料、複合材料、接着剤、絶縁塗料等のコーティング材料等が挙げられる。これらの中でも特に難燃性に加え、リードフレームとの接着性が良好となる点から半導体封止材料に好適に用いることができる。
半導体封止材用に調製されたエポキシ樹脂組成物を作製するためには、エポキシ樹脂と硬化剤、無機質充填剤等の配合剤とを必要に応じて押出機、ニ−ダ、ロ−ル等を用いて均一になるまで充分に混合して溶融混合型のエポキシ樹脂組成物を得ることができる。
この様にして得られたエポキシ樹脂組成物を用い、半導体チップ及びリードフレームを封止することにより本発明の半導体装置を製造することができる。この半導体パッケージ成形は、具体的には、該組成物を注型、或いはトランスファー成形機、射出成形機などを用いて成形し、さらに50〜200℃で2〜10時間に加熱することにより成形物である半導体装置とする方法が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物をプリント回路基板用組成物に加工するには、例えばプリプレグ用樹脂組成物とすることができる。該エポキシ樹脂組成物の粘度によっては無溶媒で用いることもできるが、有機溶剤を用いてワニス化することでプリプレグ用樹脂組成物とすることが好ましい。前記有機溶剤としては、メチルエチルケトン、アセトン、ジメチルホルムアミド等の沸点が160℃以下の極性溶剤を用いることが好ましく、単独でも2種以上の混合溶剤としても使用することができる。得られた該ワニスを、紙、ガラス布、ガラス不織布、アラミド紙、アラミド布、ガラスマット、ガラスロービング布などの各種補強基材に含浸し、用いた溶剤種に応じた加熱温度、好ましくは50〜170℃で加熱することによって、硬化物であるプリプレグを得ることができる。この時用いる樹脂組成物と補強基材の質量割合としては、特に限定されないが、通常、プリプレグ中の樹脂分が20〜60質量%となるように調製することが好ましい。また該エポキシ樹脂組成物を用いて銅張り積層板を製造する場合は、上記のようにして得られたプリプレグを、常法により積層し、適宜銅箔を重ねて、1〜10MPaの加圧下に170〜250℃で10分〜3時間、加熱圧着させることにより、銅張り積層板を得ることができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物をレジストインキとして使用する場合には、例えば該エポキシ樹脂を硬化剤としてカチオン重合触媒を用い、更に、顔料、タルク、及びフィラーを加えてレジストインキ用組成物とした後、スクリーン印刷方式にてプリント基板上に塗布した後、レジストインキ硬化物とする方法が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物を導電ペーストとして使用する場合には、例えば、微細導電性粒子を該エポキシ樹脂組成物中に分散させ異方性導電膜用組成物とする方法、室温で液状である回路接続用ペースト樹脂組成物や異方性導電接着剤とする方法が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物からビルドアップ基板用層間絶縁材料を得る方法としては例えば、ゴム、フィラーなどを適宜配合した当該硬化性樹脂組成物を、回路を形成した配線基板にスプレーコーティング法、カーテンコーティング法等を用いて塗布した後、硬化させる。その後、必要に応じて所定のスルーホール部等の穴あけを行った後、粗化剤により処理し、その表面を湯洗することによって、凹凸を形成させ、銅などの金属をめっき処理する。前記めっき方法としては、無電解めっき、電解めっき処理が好ましく、また前記粗化剤としては酸化剤、アルカリ、有機溶剤等が挙げられる。このような操作を所望に応じて順次繰り返し、樹脂絶縁層及び所定の回路パターンの導体層を交互にビルドアップして形成することにより、ビルドアップ基盤を得ることができる。但し、スルーホール部の穴あけは、最外層の樹脂絶縁層の形成後に行う。また、銅
箔上で当該樹脂組成物を半硬化させた樹脂付き銅箔を、回路を形成した配線基板上に、170〜250℃で加熱圧着することで、粗化面を形成、メッキ処理の工程を省き、ビルドアップ基板を作製することも可能である。
本発明の硬化物を得る方法としては、一般的なエポキシ樹脂組成物の硬化方法に準拠すればよいが、例えば加熱温度条件は、組み合わせる硬化剤の種類や用途等によって、適宜選択すればよいが、上記方法によって得られた組成物を、室温〜250℃程度の温度範囲で加熱すればよい。成形方法などもエポキシ樹脂組成物の一般的な方法が用いられ、特に本発明のエポキシ樹脂組成物に特有の条件は不要である。
次に本発明を実施例、比較例により具体的に説明するが、以下において「部」及び「%」は特に断わりのない限り重量基準である。尚、150℃における溶融粘度及び中間点ガラス転移温度、抽出水塩素イオンは以下の条件にて測定した。
・150℃における溶融粘度:ASTM D4287に準拠
・中間点ガラス転移温度:
以下の条件にて測定したDSC曲線において、JIS K7121に準拠し各ベースラインの延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線と、ガラス転移の段階状変化部分の曲線とが交わる点の温度とした。
装置 ;メトラー・トレド株式会社製 DSC1
サンプル量 ;約5mg
測定温度範囲;−30℃〜100℃
温度条件 ;3℃/min.
・抽出水塩素イオン;
直径58mm、深さ33mmの加圧可能な容器に、サンプル5gと蒸留水50gを入れて160℃で20時間加熱した。その後、室温まで冷却した後、上澄み液の塩素イオンを測定した。
合成例1 〔エポキシ樹脂(E−1)の合成〕
温度計、冷却管、分留管、窒素ガス導入管、撹拌器を取り付けたフラスコに、o−クレゾール432.4g(4.00モル)と2−メトキシナフタレン158.2g(1.00モル)と41質量%ホルムアルデヒド水溶液179.3g(ホルムアルデヒド2.45モル)を仕込み、シュウ酸9.0gを加えて、100℃まで昇温し100℃で3時間反応させた。ついで、水を分留管で捕集しながら41質量%ホルムアルデヒド水溶液73.2g(ホルムアルデヒド1.00モル)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、150℃まで1時間で昇温し、更に150℃で2時間反応させた。反応終了後、更にメチルイソブチルケトン1500gを加え、分液ロートに移し水洗した。次いで洗浄水が中性を示すまで水洗後、有機層から未反応のo−クレゾールと2−メトキシナフタレン、及びメチルイソブチルケトンを加熱減圧下に除去しフェノール樹脂を得た。得られたフェノール樹脂の水酸基当量は164g/eq.であった。
ついで、温度計、滴下ロート、冷却管、撹拌機を取り付けたフラスコに、窒素ガスパージを施しながら、得られたフェノール樹脂の164g(水酸基1当量)、エピクロルヒドリン463g(5.0モル)、n−ブタノール139g、テトラエチルベンジルアンモニウムクロライド2gを仕込み溶解させた。65℃に昇温した後、共沸する圧力まで減圧して、49%水酸化ナトリウム水溶液90g(1.1モル)を5時間かけて滴下した。その後、同条件で0.5時間撹拌を続けた。この間、共沸によって留出してきた留出分をディーンスタークトラップで分離し、水層を除去し、油層を反応系内に戻しながら、反応を行った。その後、未反応のエピクロルヒドリンを減圧蒸留によって留去させた。それで得られた粗エポキシ樹脂にメチルイソブチルケトン590gとn−ブタノール177gとを加え溶解した。更にこの溶液に10%水酸化ナトリウム水溶液10gを添加して80℃で2時間反応させた後に洗浄液のPHが中性となるまで水150gで水洗を3回繰り返した。次いで共沸によって系内を脱水し、精密濾過を経た後に、溶媒を減圧下で留去してエポキシ樹脂(E−1)を得た。得られたエポキシ樹脂の溶融粘度(測定法:ICI粘度計法、測定温度:150℃)は0.8dPa・s、エポキシ当量は250g/eq.であった。
合成例2 〔エポキシ樹脂(E−2)の合成〕
温度計、滴下ロート、冷却管、撹拌機を取り付けたフラスコに、窒素ガスパージを施しながら、ビスフェノールF(DIC株式会社製「DIC−BPF」)142.8g(水酸基1.43当量)、エピクロルヒドリン92.5g(1.0モル)、n−ブタノール40g仕込み溶解させた。その後、20%水酸化ナトリウム水溶液240gを3時間かけて滴下し、更に同温度に2時間の間保持して反応を続行させてからメチルイソブチルケトン250gを加えて80℃に昇温した後に水層を除去した。その後、洗浄液のPHが中性となるまで水150gで水洗を3回繰り返した。共沸蒸留により水を除去、ろ過し、更にメチルイソブチルケトンを留去してエポキシ樹脂(E−2)を得た。得られたエポキシ樹脂の溶融粘度(測定法:ICI粘度計法、測定温度:150℃)は2.6dPa・s、エポキシ当量は475g/eqであった。
合成例4 〔エポキシ樹脂(E−3)の合成〕
合成例2において、ビスフェノールF(DIC株式会社製「DIC−BPF」)の代わりに3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール151.3g(水酸基1.25当量)、エピクロルヒドリン92.5g(1.0モル)を用いた以外は、合成例2と同様にしてエポキシ樹脂(E−3)を得た。得られたエポキシ樹脂の溶融粘度(測定法:ICI粘度計法、測定温度:150℃)は2.0dPa・s、エポキシ当量は350g/eqであった。
合成例5 〔エポキシ樹脂(E−4)の合成〕
温度計、滴下ロート、冷却管、撹拌機を取り付けたフラスコに、窒素ガスパージを施しながら、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(DIC株式会社製「エピクロン850−S」エポキシ当量188g/eq)188g(エポキシ基1当量)、ビスフェノールA19g(0.083モル)、トリフェニルホスフィン0.04gを仕込み140℃まで4時間で昇温した。その後140℃で5時間反応させてエポキシ樹脂(E−5)を得た。得られたエポキシ樹脂の溶融粘度(測定法:ICI粘度計法、測定温度:150℃)は0.2dPa・s、エポキシ当量は250g/eq.であった。
[エポキシ樹脂混合物の製造]
合成例1〜5で得られたエポキシ樹脂及びビスフェノールA型固形エポキシ樹脂(DIC株式会社製「エピクロン 1055」エポキシ当量475g/eq.、軟化点69℃)を表1の記載した配合で混合し(混合温度:130℃)実施例に用いるエポキシ樹脂を作成した。
Figure 2011001483
実施例1〜7及び比較例1
表2〜3に示す各種の素材を用い、2本ロールを用いて100℃の温度で10分間溶融混練して目的の組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物について、下記方法によりゲルタイムを測定し、硬化性を試験した。また、これを180℃で10分間プレス成形し、その後180℃で5時間さらに硬化せしめた後に、DMA測定及びUL−94V試験用の試験片を作成し、下記方法により硬化物の物性を評価した。密着性は前記プレス成形する際にエポキシ樹脂組成物の片面に銅箔(古河サーキットホイル株式会社製。厚さ35μm、GTS−MP処理したもののシャイン面を樹脂組成物との接着面として使用)をおいて得られたものを180℃で5時間さらに硬化せしめたものから試験片を作成した。
得られた硬化物の評価結果を表4に示す。
・ゲルタイム: エポキシ樹脂組成物0.15gを175℃に加熱したキュアプレート(THERMO ELECTRIC社製)上に載せ、ストップウォッチで計時を開始する。棒の先端にて試料を均一に攪拌し、糸状に試料が切れてプレートに残るようになった時、ストップウォッチを止める。この試料が切れてプレートに残るようになるまでの時間をゲルタイムとした。
・ガラス転移温度:粘弾性測定装置(レオメトリック社製 固体粘弾性測定装置「RSAII」、二重カレンチレバー法;周波数1Hz、昇温速度3℃/分)を用いて測定した。
熱時弾性率:粘弾性測定装置(レオメトリック社製 固体粘弾性測定装置「RSAII」、二重カレンチレバー法;周波数1Hz、昇温速度3℃/分)を用いて測定し、得られたチャートの貯蔵弾性率を測定した。
・密着性:
幅1.0mmの試験片を用い、50mm/分の速度でピール強度を測定した。
・難燃性:
UL−94試験法に準拠し、厚さ1.6mmの試験片5本を用いて、燃焼試験を行った。
尚、実施例及び比較例に用いた材料は次の通りである。
Figure 2011001483
Figure 2011001483
Figure 2011001483
本発明のエポキシ樹脂組成物を用いた実施例1〜3及び5〜7では、難燃剤を配合しなくても、得られる硬化物において充分な難燃性を発現すると共に、金属との密着性が極めて良好であった。これに対して、比較例1は充分な難燃性を示さないばかりか金属との密着性にも劣るものとなった。これらの比較例から明らかなように、比較例で用いたエポキシ樹脂組成物では、その硬化物の性能において十分に満足できるレベルではないことを確認した。
また、非ハロゲン系難燃剤を配合して得られた実施例4においても、硬化物における難燃性と密着性が極めて良好な結果となった。

Claims (10)

  1. エポキシ樹脂(A)と硬化剤(B)を必須成分とするエポキシ樹脂組成物であって、
    前記エポキシ樹脂(A)として、
    グリシジルオキシ基含有芳香族炭化水素基(E)、
    アルコキシ基含有縮合多環式芳香族炭化水素基(B)、並びに、
    メチレン基、アルキリデン基、及び芳香族炭化水素構造含有メチレン基から選択される2価の炭化水素基(X)の各構造部位を有しており、かつ、
    前記グリシジルオキシ基含有芳香族炭化水素基(E)及び前記アルコキシ基含有縮合多環式芳香族炭化水素基(B)が、前記メチレン基、アルキリデン基、及び芳香族炭化水素構造含有メチレン基から選択される2価の炭化水素基(X)を介して結合した構造を分子構造内に有するエポキシ樹脂(a1)、及び、
    ビスフェノール型エポキシ樹脂及びビフェノール型エポキシ樹脂からなる群から選択され、かつ、エポキシ当量が250g/eq〜700g/eqの範囲にある2官能エポキシ樹脂(a2)
    を併用することを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
  2. 前記エポキシ樹脂(A)中の前記エポキシ樹脂(a1)と前記2官能エポキシ樹脂(a2)の質量比率[(a1)/(a2)]が、95/5〜60/40となる範囲のものである請求項1記載のエポキシ樹脂組成物
  3. 前記エポキシ樹脂(A)が、前記エポキシ樹脂(a1)及び前記2官能エポキシ樹脂(a2)の混合物であって、該混合物を示差走査熱量測定(DSC)により−30℃から100℃まで毎分3℃の速度で昇温して測定した際の中間点ガラス転移温度が5〜30℃の範囲である請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. 前記エポキシ樹脂(A)が、前記エポキシ樹脂(a1)及び前記2官能エポキシ樹脂(a2)の混合物であって、該混合物の150℃におけるICI粘度計における溶融粘度が、0.1〜3.0dPa・sの範囲である請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. 前記硬化剤(B)が、ビスアラルキルを結節基として水酸基含有芳香族構造が連結された構造を含有するヒドロキシ芳香族化合物である請求項1〜5の何れか1つに記載のエポキシ樹脂組成物。
  6. 更に、硬化促進剤を含有する請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
  7. 更に、無機質充填剤を含有する請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
  8. リン系難燃剤、窒素系難燃剤、シリコーン系難燃剤、無機系難燃剤、有機金属系難燃剤からなる群から選択される1種以上の非ハロゲン系難燃剤(C)を含有する請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか1つに記載のエポキシ樹脂組成物を硬化させてなる硬化物。
  10. 請求項1〜8のいずれか1つに記載のエポキシ樹脂組成物を用い、半導体チップ及びリードフレームを封止してなる半導体装置。
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