JP2004224818A - エポキシ樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】1,2−グリコール基濃度が0.005mol/kg以上0.03mol/kg以下である下記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂を主成分とするエポキシ樹脂組成物。
【化1】
【化2】
〔G:グリシジル基又は式(2)で表される1,2−グリコール基を有する基。A:C1〜15炭化水素基、直接結合、−O−、−S−、−SO2−、−CO−又は−COO−。R:H、C1〜10アルキル基、置換又は無置換のフェニル基、置換又は無置換のアラルキル基(ただし、RがHである割合はR全体の40%以下。)。Q:H、C1〜10アルキル基、置換又は無置換のフェニル基、置換又は無置換のアラルキル基。n:平均値0.5〜10の数、k:1〜4の整数。〕
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エポキシ樹脂組成物に関する。本発明のエポキシ樹脂組成物は、低吸湿性、高接着性に優れる硬化物を与えることができ、特に半導体封止の用途に有用である。
【0002】
【従来の技術】
エポキシ樹脂は、その優れた硬化物性や取扱の容易さから、幅広い用途で使用されている。また、エポキシ樹脂には様々な種類の硬化剤が使用でき、その硬化剤の選択により硬化物性が大きく変わるため、各用途の目的に応じて使い分けられている。半導体素子の封止にも、信頼性、生産性及びコストの面からエポキシ樹脂組成物が広く用いられている。
【0003】
しかし、近年の著しい電子実装技術の進歩により、半導体が過酷な環境下に曝されるため、これを保護する封止材に対しても高い性能が要求されてきている。すなわち、半導体装置の高集積化のために半導体素子が大型化されるなかで、パッケージそのものは小型化、薄型化しており、また、半導体装置の実装方式も表面実装へと移行している。
【0004】
表面実装においては、半導体装置全体がハンダの溶融温度近くの高温に曝されるため、パッケージが吸湿した水分の急激な気化により蒸気圧が発生しパッケージ全体に大きな応力がかかる。その結果、パッケージの他の部材(半導体チップ、リードフレーム、パッケージ基板など)との接着部に剥離が生じたり、パッケージ自体にクラックが入ることが問題となっている。このため、耐ハンダクラック性の良好な封止材用には接着性、低吸湿性、低応力性(即ち低弾性率)が要求される。この要求は、ハンダの鉛フリー化に伴う融点の上昇により、近年、さらに厳しくなってきている。
【0005】
これらの分野で使用されているエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂などが挙げられるが、これらのエポキシ樹脂は樹脂分子の骨格中に下式(3)で表される極性の強いアルコール性二級水酸基が含まれているので、耐湿性に劣る硬化物を与える欠点があった。
【0006】
【化3】
【0007】
最近、これらの問題を解決するために、その二級水酸基をメチル化(特許文献1、特許文献2参照。)、アリル化(特許文献3参照。)、グリシジル化(特許文献4参照。)することで耐湿性を改良することが提案されているが、実際には、アルコール性水酸基は前記式(3)で表されるアルコール性二級水酸基以外にも前記式(2)で表される1,2−グリコール基としても存在しており、その耐湿性は最近の厳しい要求に対しては十分ではない。
【0008】
【特許文献1】
特開昭61−271318号公報
【特許文献2】
特開平7−228580号公報
【特許文献3】
特開平6−239966号公報
【特許文献4】
特開平6−157712号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、低吸湿性かつ高接着性に優れる硬化物を与えることができるエポキシ樹脂組成物を提供することにあり、特に、該エポキシ樹脂組成物を用いた半導体封止用エポキシ樹脂組成物を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の課題を解決するために種々研究を重ねた結果、前記一般式(1)で表わされるエポキシ樹脂中に含まれる1,2−グリコールの濃度を0.005mol/kg以上0.03mol/kg以下にすることによりその目的を達成できたものである。本発明は、以下の各発明を包含する。
【0011】
(1)1,2−グリコール基濃度が0.005mol/kg以上0.03mol/kg以下である下記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂を主成分とするエポキシ樹脂組成物。
【化4】
【0012】
〔式中、Gは、互いに同一であっても異なっていてもよく、グリシジル基又は下記一般式(2)で表される1,2−グリコール基を有する基であり、Aは、互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜15の炭化水素基、直接結合、−O−、−S−、−SO2−、−CO−及び−COO−から選ばれる基である。Rは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、置換又は無置換のフェニル基及び置換又は無置換のアラルキル基から選ばれる基である。ただし、Rが水素原子である割合はR全体の40%以下である。Qは、互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、置換又は無置換のフェニル基及び置換又は無置換のアラルキル基から選ばれる基である。nは平均値で0.5〜10の数であり、kは1〜4の整数である。〕
【0013】
【化5】
【0014】
(2)前記一般式(1)で表わされるエポキシ樹脂10質量%以上と、前記一般式(1)で表わされるエポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂90重量%以下からなることを特徴とする(1)項に記載のエポキシ樹脂組成物。
【0015】
(3)前記一般式(1)で表わされるエポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂が、ビフェノール、テトラメチルビフェノール、テルペンジフェノール、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂及びクレゾールノボラック樹脂から選ばれた少なくとも一種のフェノール化合物と、エピハロヒドリンとから製造されるエポキシ樹脂であることを特徴とする(2)項記載のエポキシ樹脂組成物。
【0016】
(4)エポキシ樹脂組成物中に含まれる加水分解性塩素が1000ppm以下であることを特徴とする(1)項〜(3)項のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
【0017】
(5)前記(1)項〜(4)項のいずれか1項に記載されたエポキシ樹脂組成物と、フェノールノボラック型樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂及びフェノール・ベンズアルデヒドノボラック型樹脂から選ばれた少なくとも一種のフェノール性硬化剤を必須成分として含有するエポキシ樹脂組成物。
【0018】
(6)前記(5)項記載のエポキシ樹脂組成物に、無機充填材として、破砕型及び/又は球状の、溶融シリカ及び/又は結晶シリカの粉末を全組成物の70〜95質量%配合してなる半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
【0019】
本発明における1,2−グリコールの含有量が0.005mol/kg以上0.03mol/kg以下のエポキシ樹脂としては、たとえば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ジブチルハイドロキノン、レゾルシン、メチルレゾルシン、ビフェノール、テトラメチルビフェノール、テトラメチルビスフェノールF、ジヒドロキシジフェニルエーテル、チオジフェノール類、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシスチルベン類などの種々のフェノール類と、エピハロヒドリンとから製造されるエポキシ樹脂の水酸基をエーテル化剤でエーテル化することにより得られる。
【0020】
そのようなエーテル化の方法については、特に指定はないが、反応性に富むエポキシ基は変化させない方が好ましい。ハロゲン化アルキル類、スルホン酸エステル類、ジアゾ化合物、カルボン酸エステル類、ジアルキル硫酸類、ジアルキルカーボネート類等のエーテル化剤を還元剤やアルカリ性化合物の存在下、エポキシ樹脂の二級水酸基と反応させることによって出来る。
【0021】
ハロゲン化アルキル類としては、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化プロピル、ヨウ化ブチル、臭化メチル、臭化エチル、臭化プロピル、臭化ブチル、臭化ヘキシル、臭化シクロヘキシル、塩化ベンジル、塩化アリルなどが挙げられる。スルホン酸エステル類としては、メタンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸メチル、p−ブロモベンゼンスルホン酸メチル、トリフルオロメタンスルホン酸メチル、p−にトロベンゼンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸エチルなどが挙げられる。ジアゾ化合物としてはジアゾメタン等が挙げられ、カルボン酸エステル類としては酢酸メチル等が挙げられる。
【0022】
還元剤としては、水素化アルミニウムリチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ナトリウム等が挙げられ、アルカリ性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ性金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機系アルカリ化合物、ナトリウムエチラート、カリウム−t−ブトキシド等のアルカリ金属アルコラート、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ピリジン、ジメチルアミノデセン、各種イミダゾール類等が挙げられる。
【0023】
また、この反応においては、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミドなどの第四級アンモニウム塩、ベンゼンジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどの第三級アミン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾールなどのイミダゾール類、エチルトリフェニルホスホニウムイオダイドなどのホスホニウム塩、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類等の触媒を用いてもよい。
【0024】
さらに、この反応においては、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン等の炭化水素溶剤類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒等の不活性な有機溶媒を使用してもよい。
【0025】
このエーテル化反応によって得られる前記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂の1,2−グリコール基濃度は、好ましくは0.005mol/kg以上0.03mol/kg以下、より好ましくは0.005mol/kg以上0.02mol/kg以下である。0.005mol/kg未満のものを製造するには蒸留等の精製工程を必要とするため、工業化するにはコストが高くなってしまう。また0.03mol/kgを超えるものでは、上述の通り、極性の強い水酸基が原因で硬化物の耐湿性が低下してしまう。
【0026】
このエーテル化反応によって得られる前記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂の加水分解性塩素は、好ましくは1000ppm以下、より好ましくは800ppm以下、さらに好ましくは600ppm以下である。1000ppmを超えるものを用いると、封止材中の塩素イオンなどが原因で半導体集積回路のアルミ配線の腐食による不良を起こしてしまう可能性がある。
【0027】
このエーテル化反応によって得られる前記一般式(1)で表される化合物の150℃における溶融粘度は好ましくは2.0Pa・s以下、より好ましくは1.0Pa・s以下である。1.0Pa・sを超える溶融粘度のものでは成形時の流動性に劣る。また、無機充填剤の使用量が低下し、樹脂量が増加してしまうため吸湿性が大きくなり、耐ハンダクラック性に悪影響を及ぼしてしまう。
【0028】
このエーテル化反応によって得られる前記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂は、該一般式(1)中のnが好ましくは0.5〜10、より好ましくは1〜8、さらに好ましくは2〜5である。0.5未満であると二級水酸基が少なく、エーテル化する事により吸湿性の増加の原因となる水酸基を減少させる効果が不十分である。また10を超えると分子量が大きく溶融粘度も増大してしまうため、成形時の流動性に劣る。
【0029】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、前記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂を混合して調製することができる。混合することができる前記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂としては、公知のものが使用できる。具体例としては、以下のようなものが挙げられ、これらは二種以上併用しても良い。
【0030】
次のフェノール類あるいはフェノール樹脂、すなわち、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビフェノール、テトラメチルビフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、テルペンジフェノール、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ジブチルハイドロキノン、レゾルシン、メチルレゾルシン、ビスフェノールS、チオジフェノール、ジヒドロキシジフェニルエーテル、ジヒドロキシナフタレン、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールノボラック樹脂などの種々のフェノール類や、種々のフェノール類とベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオキザールなどの種々のアルデヒド類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂等の各種のフェノール化合物や、石油系重質油又はピッチ類とホルムアルデヒド重合物とフェノール類とを酸触媒の存在下に重縮合させた変性フェノール樹脂など、とエピハロヒドリンから製造されるエポキシ樹脂;
【0031】
次のアミン化合物、すなわち、ジアミノジフェニルメタン、アミノフェノール、キシレンジアミンなど、とエピハロヒドリンとから製造されるエポキシ樹脂;
次のカルボン酸類、すなわち、メチルヘキサヒドロキシフタル酸、ダイマー酸など、とエピハロヒドリンとから製造されるエポキシ樹脂。
【0032】
本発明に用いられる一般式(1)で表されるエポキシ樹脂と混合できるそれ以外のエポキシ樹脂の混合割合は一般式(1)で表されるエポキシ樹脂10質量%以上に対して、それ以外のエポキシ樹脂90質量%以下である。一般式(1)のエポキシ樹脂の混合割合が少なすぎると、本発明のエポキシ樹脂組成物に十分な性能を付与することができない。
【0033】
また、混合できるその他のエポキシ樹脂の中では、混合しても本発明のエポキシ樹脂組成物の特性を損なうことが少ないビフェノール、テトラメチルビフェノール、テルペンジフェノール、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂及びクレゾールノボラック樹脂とエピハロヒドリンとから製造されるエポキシ樹脂が好ましい。
【0034】
本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物において、必須成分として使用されるフェノール性硬化剤としては公知のものが使用できる。具体例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、チオジフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ビフェノール、テトラメチルビフェノール、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシジフェニルエーテル、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂などの種々の多価フェノール類や、種々のフェノール類とベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオキザールなどの種々のアルデヒド類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂等の各種のフェノール樹脂類、フェノールアラルキル樹脂、フェノールテルペン樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、重質油類又はピッチ類とフェノール類とアルデヒド化合物とを重縮合反応させて得られた変性フェノール樹脂等が挙げられる。
成形性及び耐クラック性の観点から、フェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、フェノール・ベンズアルデヒドノボラック型樹脂が特に好ましい。これらのフェノール性硬化剤は、一種単独でも、二種以上併用しても良い。
【0035】
本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物で使用されるフェノール性硬化剤の使用量は、全エポキシ樹脂成分中のエポキシ基1モルに対して、全フェノール性硬化剤成分中のエポキシ基と反応する基の合計が0.5〜2.0モルになる量が好ましく、より好ましくは、0.7〜1.2モルになる量である。
【0036】
本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物には無機充填剤が配合される。その無機充填剤の種類としては、たとえば、溶融シリカ、結晶性シリカ、ガラス粉、アルミナ、炭酸カルシウムなどが挙げられる。その形状としては、破砕型又は球状のものが挙げられる。各種の無機充填剤は、単独で又は、2種以上混合して用いられるが、それらの中では溶融シリカ又は結晶性シリカが好ましい.その使用量は、組成物全体の70〜95質量%である.無機充填剤の使用量が少なすぎると、吸湿性が大きくなり、耐ハンダクラック性に悪影響を及ぼす。無機充填剤の使用量が多すぎると、成形時の流動性が損なわれる。
【0037】
本発明の半導体用エポキシ樹脂組成物に用いられる硬化促進剤は、エポキシ樹脂中のエポキシ基とフェノール性硬化剤中の水酸基との硬化反応を促進する化合物である。その具体例としては、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(ジメトキシフェニル)ホスフィン、トリス(ヒドロキシプロピル)ホスフィン、トリス(シアノエチル)ホスフィンなどのホスフィン化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、メチルトリブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、メチルトリシアノエチルホスホニウムテトラフェニルボレートなどのホスホニウム塩、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、2,4−ジシアノ−6−[2−メチルイミダゾリル−(1)]−エチル−S−トリアジン、2,4−ジシアノ−6−]2−ウンデシルイミダゾリル−(1)]−エチル−S−トリアジンなどのイミダゾール類、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテート、2−メチルイミダゾリウムイソシアヌレート、2−エチル−4−メチルイミダゾリウムテトラフェニルボレート、2−エチル−1,4−ジメチルイミダゾリウムテトラフェニルボレートなどのイミダゾリウム塩、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルジメチルアミン、テトラメチルブチルグアニジン、N−メチルピペラジン、2−ジメチルアミノ−1−ピロリンなどのアミン類、トリエチルアンモニウムテトラフェニルボレートなどのアンモニウム塩、1,5−ジアザビシクロ(5,4,0)−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−5−ノネン、1,4−ジアザビシクロ(2,2,2)−オクタンなどのジアザビシクロ化合物、それらジアザビシクロ化合物のテトラフェニルボレート、フェノール塩、フェノールノボラック塩、2−エチルヘキサン酸塩などが挙げられる。
【0038】
それらの硬化促進剤となる化合物の中では、三級アミン類、ホスフィン化合物、イミダゾール化合物、ジアザビシクロ化合物、及びそれらの塩が好ましい。
それらの硬化促進剤は、単独で又は、二種以上混合して用いられ、その使用量は、本発明の組成物の全エポキシ樹脂に対して、0.1〜7質量%である。
【0039】
本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物には、必要に応じてカップリング剤、可塑剤、顔料、難燃剤、難燃助剤、イオン捕捉剤等を適宜に配合することができる。
このうち難燃剤としては、臭素化エポキシ樹脂、臭素化フェノール樹脂などのハロゲン系難燃剤、三酸化アンチモンなどのアンチモン化合物、赤リン、表面被覆化赤リン、リン酸エステル類、ホスフィン類などのリン系難燃剤、メラミン誘導体などの窒素系難燃剤及び水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの無機系難燃剤、ホスファゼン難燃剤及び特殊シリコーン難燃剤などが挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、低吸湿性、高接着性に優れる硬化物を与えることができ、特に半導体封止の用途に有用である。
【0040】
【実施例】
以下に、本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物で用いられる各エポキシ樹脂の製造例、さらに本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物の実施例及び比較例を挙げてさらに詳述する。
【0041】
<エポキシ樹脂の製造例>
製造例1
温度計、撹拌装置、冷却管を備えた内容量2Lの三口フラスコに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社商品名 エピコート1001,エポキシ当量469g/eq.)194gを計量し、メチルイソブチルケトン200gに溶解した。次いで、ヨウ化メチル123gと水素化ナトリウム8gを加えた。水素化ナトリウムは50%油性NaHを用い、あらかじめ乾燥トルエンで洗って濾別した。反応混合物を30℃で6時間攪拌した。反応終了後、メチルイソブチルケトン267gを加え水で3回水洗した後、過剰のヨウ化メチルを加熱留去した。留去後、50%水酸化ナトリウム水溶液3gを加え65℃で1時間反応した。反応終了後、メチルイソブチルケトン167gを加え、反応液に第一リン酸ナトリウム水溶液を加えて、過剰の水酸化ナトリウムを中和し、水洗して副生塩を除去した。次いで、有機層を濾過し、減圧下でメチルイソブチルケトンを完全に留去して、目的のエポキシ樹脂190gを得た。このエポキシ樹脂の1,2−グリコール基の濃度は0.015mol/kg、加水分解性塩素は150ppm、エポキシ当量は487g/eq.、軟化点は55℃、150℃における溶融粘度は0.18Pa・s、一般式(1)におけるnは2.1であった。またエーテル化率〔一般式(1)のRのメチル基の割合〕は1H−NMRで測定したところ91%であった。
【0042】
製造例2
製造例1においてビスフェノールA型エポキシ樹脂をビスフェノールF型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社商品名 エピコート4002P,エポキシ当量575g/eq.)192g、ヨウ化メチル、水素化ナトリウムの量をそれぞれ155g、6gとした以外は、製造例1と同様の操作を行い、エポキシ樹脂を得た。このエポキシ樹脂の1,2−グリコール基の濃度は0.018mol/kg、加水分解性塩素は100ppm、エポキシ当量は598g/eq.、軟化点は60℃、150℃における溶融粘度は0.23Pa・s、一般式(1)におけるnは3.3であった。また、エーテル化率〔一般式(1)のRのメチル基の割合〕は1H−NMRで測定したところ88%であった。
【0043】
製造例3
製造例1においてヨウ化メチルを塩化ベンジル94gとした以外は、製造例1と同様の操作を行い、エポキシ樹脂を得た。このエポキシ樹脂の1,2−グリコール基の濃度は0.026mol/kg、加水分解性塩素は270ppm、エポキシ当量は565g/eq.、軟化点は62℃、150℃における溶融粘度は0.28Pa・s、一般式(1)におけるnは2.1であった。また、エーテル化率〔一般式(1)のRのベンジル基の割合〕は1H−NMRで測定したところ80%であった。
【0044】
なお、1,2−グリコール基の濃度は以下の電位差滴定法にて測定した。
三角フラスコにエポキシ樹脂5gを精秤し、クロロホルム25mlを加え、完全に溶解した。フラスコをウォーターバス中に浸し30分冷却した後、ベンジルトリメチル過沃素酸アンモニウム溶液25mlをホールピペットで加えた。ウォーターバスにて2時間30分反応させた後、氷水100mlを加え、フラスコを密栓し、30秒間強く振り内容物を均一にした。フラスコに回転子を入れ10%硫酸5ml、20%沃化カリウム溶液15ml、乳化剤1mlを加え、0.2Nチオ硫酸ナトリウム溶液を用い、電位差滴定装置にて滴定した。
【0045】
次式より1,2−グリコール基濃度を計算した。
1,2−グリコール基濃度(mol/kg)=(A−B)×N×F/(2×W)
但し、A:ブランクの滴定に要したチオ硫酸ナトリウム溶液の量(ml)、B:エポキシ樹脂の滴定に要したチオ硫酸ナトリウム溶液の量(ml)、N:チオ硫酸ナトリウム溶液の規定度、F:チオ硫酸ナトリウム溶液の力価、W:エポキシ樹脂の質量(g)。
【0046】
加水分解性塩素は以下の電位差滴定法にて測定した。
ビーカーに試料1.0gを精秤し、ジオキサン30mlを加え、完全に溶解した。1Nアルコール性KOH5mlをホールピペットで加えた後、ビーカーに冷却管をつけ、オイルバス中で30分間煮沸還流した。1Nアルコール性KOHは事前に1Lメスフラスコに水酸化カリウム56.1gを秤量し、95.0%エタノールで溶解し調整した。その後ビーカーを冷却し、メタノール5ml、80%アセトン水100mlを加えた。ビーカーに回転子を入れ、硝酸2mlを加え、0.01N硝酸銀標準溶液を用い、電位差滴定装置にて滴定した。
【0047】
次式より加水分解性塩素を計算した。
加水分解性塩素(ppm)=〔(A−B)×35.5×N×F×103〕/W
但し、A:試料の滴定に要した0.01N硝酸銀標準溶液の量(ml)、B:空試験の滴定に要した0.01N硝酸銀標準溶液の量(ml)、N:硝酸銀標準溶液の規定度、F:硝酸銀標準溶液の力価、W:サンプル量(g)。
【0048】
実施例1〜5及び比較例1〜3
表1に示したように、エポキシ樹脂として製造例1〜3で製造したエポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、硬化剤としてフェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、無機充填剤として溶融シリカ粉末、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィン、離型剤としてカルナバワックス、シランカップリング剤としてエポキシシランを用いて、各半導体封止用エポキシ樹脂組成物を配合した。
各配合物をミキシングロールを用いて70〜130℃の温度で5分間溶融混合し、得られた各溶融混合物をシート状に取り出し、冷却した後、粉砕して各成形材料を得た。
【0049】
これらの各成形材料を用い、低圧トランスファー成形機で金型温度175℃、成形時間90秒で成形して、各試験片及び160ピンTQFP型樹脂封止半導体装置を得、さらに175℃で5時間ポストキュアさせた。
各成形材料の成形性の指標となる流動性を調べるためにスパイラルフローを測定し、表1に示した。また、各成形材料のポストキュア後のガラス転移温度、吸湿率、及び密着性を試験した結果を表1に示した。さらに各樹脂封止型半導体装置の吸湿後の耐ハンダクラック性を試験した結果を表1に示した。
実施例1〜5の各組成物は、比較例1〜5の組成物に較べて吸湿性が低く、密着性が高く、耐ハンダクラック性に優れていた。
【0050】
【表1】
Claims (6)
- 1,2−グリコール基濃度が0.005mol/kg以上0.03mol/kg以下である下記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂を主成分とするエポキシ樹脂組成物。
- 前記一般式(1)で表わされるエポキシ樹脂10質量%以上と、前記一般式(1)で表わされるエポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂90重量%以下からなることを特徴とする請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記一般式(1)で表わされるエポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂が、ビフェノール、テトラメチルビフェノール、テルペンジフェノール、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂及びクレゾールノボラック樹脂から選ばれた少なくとも一種のフェノール化合物と、エピハロヒドリンとから製造されるエポキシ樹脂であることを特徴とする請求項2記載のエポキシ樹脂組成物。
- エポキシ樹脂組成物中に含まれる加水分解性塩素が1000ppm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載されたエポキシ樹脂組成物と、フェノールノボラック型樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂及びフェノール・ベンズアルデヒドノボラック型樹脂から選ばれた少なくとも一種のフェノール性硬化剤を必須成分として含有するエポキシ樹脂組成物。
- 請求項5記載のエポキシ樹脂組成物に、無機充填材として、破砕型及び/又は球状の、溶融シリカ及び/又は結晶シリカの粉末を全組成物の70〜95質量%配合してなる半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
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