JP2009538714A - 骨伝導補聴器および方法 - Google Patents

Abstract

電子および／または変換器アセンブリを介して、１つの歯または複数の歯を通じて振動を伝達するための方法および装置を、本願で開示する。アセンブリは、１つの歯または複数の歯上に接着または付着されるブラケットと、ブラケットに着脱可能に結合可能な電子および／または変換器アセンブリとを含み得る。電子および／または変換器アセンブリは、直接的に、または受信機を通じて入力音を受信して、信号を処理および増幅し、下層の歯または他の骨構造内へ送信するために、処理した音をブラケットに連結された振動変換素子を介して送信することができる。

Description

（関連出願の引用）
本出願は、米国仮特許出願第６０／８０９，２４４号（２００６年５月３０日出願）および第６０／８２０，２２３号（２００６年７月２４日出願）に対する優先権の利益を主張し、各々は、その全内容が本明細書において参照により引用される。

（技術分野）
本発明は、口腔内および／または周囲の歯または骨構造を通して、振動を伝達するための方法および装置に関する。より具体的には、本発明は、口腔内および／または周囲の歯または骨構造を通して、ユーザによって受信される聴覚信号と相関する振動を伝達することによって、音を伝導するための方法および装置に関する。

米国における聴覚障害は、３１，０００，０００人（人口の約１３％）以上に及んでいる。慢性的な状態として、聴覚障害の発生率は、心臓病および心臓病に類似したものの発生率に匹敵し、聴覚障害の発生率は、年齢とともに急激に増加する。

聴力障害を有する者の大多数は、十分に適合した高品質の聴覚デバイスによって補助することができるが、聴覚障害者の総人口のうちのわずか２２％しか聴覚デバイスを保有していない。現在の製品および流通方法では、米国だけで、聴覚障害のある２０，０００，０００人以上の人間に充足またはこれらの人々に普及させることができない。

聴覚障害は、人間の生活の質および精神的幸福に悪影響を与える。聴覚障害のある人は、しばしば、会話を理解できないことによるフラストレーションを回避するために、社会的相互作用から遠ざかってしまう。最近の研究では、聴覚障害によって、ストレスレベルが増加し、自信が無くなり、社交性が無くなり、仕事場での効率が低下することを示している。

人間の耳は、概して、外耳、中耳、および内耳の３つ領域を備える。外耳は、概して、外側の耳介と外耳道とを備え、外耳道は、音が通って中耳に到達する管状の経路である。外耳は、鼓膜によって中耳から隔てられる。中耳は、概して、小骨として知られている３つの小さな骨を備え、これらは、鼓膜から内耳への機械的な伝導体を形成する。最後に、内耳は、蝸牛を含み、蝸牛は、聴神経に接続された多数の精巧な感覚有毛細胞を収容した、液体で満たされた構造である。

聴覚障害は、伝音性、感音性、またはこれらの組み合わせの観点から分類することもできる。伝音難聴は、一般的に、中耳を通しての音の伝達を制限する疾患または障害に起因する。大部分の伝音障害は、医学的に、または外科的に治療することができる。純粋な伝音難聴は、聴覚障害者の総人口のごく一部を占める（聴覚障害者の総人口の５％未満と推定される）。

感音難聴は、大部分が内耳において生じ、聴覚障害の大部分を占める（聴覚障害者の総人口の９０乃至９５％と推定される）。感音難聴（「神経損失」とも呼ばれる）は、主に蝸牛内部での感覚有毛細胞の損傷によって生じる。感音難聴は、加齢、または大きな音の音楽および騒音に長時間晒されることによって自然に生じる。この種の聴覚障害は元に戻すことができず、また、医学的または外科的に治療することができない。しかしながら、適切に適合した聴覚デバイスを使用することで、個人の生活の質を改善することができる。

従来の聴覚デバイスは、軽度乃至高度の感音難聴の治療に使用される最も一般的なデバイスである。これらは、鼓膜への音を増幅する音響デバイスである。これらのデバイスは、４乃至６回、聴覚訓練士または聴覚機器の専門家を訪ねることによって、患者の身体的および聴覚的特徴に対して個々にカスタマイズすることができる。このようなデバイスは、概して、マイクロホンと、増幅器と、バッテリと、スピーカとを備える。近年、聴覚デバイスメーカは、しばしばデジタル技術を用いて、音声処理の精巧さを増大させて、プログラム化の可能性およびマルチバンド圧縮等の機能を提供している。これらのデバイスは、小型化されて目立たなくなったが、それでも可視的であり、音響的な制限がある。

産業調査では、聴覚デバイスを購入しない主な障害には、ａ）聴覚デバイスの装着に関する抵抗感、ｂ）医療専門家、特にＥＮＴ（ｅａｒ ｎｏｓｅ ｔｈｒｏａｔ：耳鼻咽喉科）医師の一部における反対姿勢、ｃ）認識された性能上の問題に関連する製品価値の課題、ｄ）消費者および医師レベルでの情報および教育の全般的な不足、およびｅ）満足しなかったユーザからの否定的な口コミ、が挙げられることを示している。

蝸牛インプラントのような他のデバイスは、高度乃至深刻な聴覚障害があり、ほとんど聞こえない人々（聴覚障害者の総人口の約２％）に対して開発された。蝸牛インプラントの電極は、侵襲的および不可逆的な手術で内耳に挿入される。電極は、ユーザに可聴のキュー（ｃｕｅ）を提供する電極アレイを通じて、聴神経を電気的に刺激するが、通常これは、脳によって普通の音であると解釈されない。ユーザには、概して、期待される利益を達成するように、手術の後に集中的かつ時間をかけたカウンセリングおよび訓練が必要である。

電子式中耳インプラントのような他のデバイスは、概して、聴覚障害者の中耳内に外科的に配置される。それらは、外部的に装着する構成要素を備えた外科的な埋め込みデバイスである。

聴覚デバイスの製造、適合、および施与は、難解かつ非効率的な工程として残っている。大部分の聴覚デバイスは、将来の購入者それぞれの耳に適合するように、メーカによってオーダーメイドで製造、加工される。外耳道の印象は、施与者（聴覚訓練士または公認の聴覚機器の専門家）によって形成され、カスタム成形された堅固なプラスチックケースの判断および加工のため、メーカに送られる。次いで、手加工で配線した電子機器および変換器（マイクロホンおよびスピーカ）が、ケース内に配置され、完成品は、一般的に１乃至２週間程度の期間の後に、実施する専門家に送り返される。

最初の診断セッションから最後の微調整セッションまでの、聴覚デバイスを施与するための時間サイクルは、一般的に、６乃至８週間程度の数週間の期間に、複数の施与者が関わる。

したがって、患者の聴覚障害の治療を容易にする効果的かつ安全な方法およびデバイス、ならびに性能を損なうことなく、このようなデバイスを装着し、ユーザの口腔から除去するための効率的方法を提供する必要性がある。

電子および変換デバイスを、着脱可能な歯科用装置または口腔内装置内、もしくはその上に取り付けて、接着して、または埋め込んで、補聴器アセンブリを形成するか、または歯もしくは上顎骨あるいは下顎骨に直接取り付けることができる。このような着脱可能な口腔内装置は、従来の歯科用印象法によって得られた歯の構造の複製モデルを用いて、熱形成プロセスによって加工されたオーダーメイドのデバイスとすることができる。電子および変換器アセンブリは、直接的に、または受信機を通じて入力音を受信して、信号を処理および増幅し、処理した音を、歯に連結された、または上顎、下顎、または口蓋の骨構造のような他の骨構造に連結された振動変換素子を介して送信することができる。

少なくとも１つの歯を介して振動を伝達するためのアセンブリは、一変形例では、概して、少なくとも１つの歯の少なくとも一部に適合可能な形状を有するハウジングと、ハウジング内、またはその上に配置され、少なくとも１つの歯の表面と振動通信する作動可能な変換器とを備える。さらに、変換器自体は、電子機器から分離したアセンブリとすることができ、別の歯の表面に沿って配置することができる。

複数の構成要素を利用する他の変形例では、概して、第１の構成要素は、永久または半永久接着剤を使用して、１つの歯または複数の歯に取り付けることができる一方、第２の着脱可能構成要素は、第１の構成要素に取り付け、接着、または別様に付着することができる。第１の構成要素を１つの歯または複数の歯に取り付けるための接着剤の実施例は、医療提供者によって適用および／または除去されることが意図されるセメントおよびエポキシを含むことができる。典型的歯科用セメントの実施例は、酸化亜鉛ユージノール、リン酸亜鉛、ケイリン酸亜鉛、ポリアクリル酸亜鉛、ポリカルボン酸亜鉛、グラスアイオノマー、樹脂系、ケイ酸系セメント等を含むが、それらに限定されない。

第１の構成要素は、機構および／または電子機器（例えば、アクチュエータ、プロセッサ、受信機等）の一部または全部を含むか、または全く含まない可能性がある一方、第１の構成要素に取り付け可能な第２の構成要素もまた、バッテリ等の機構および／または電子機器の任意の組み合わせを含み得る。これらの２つの構成要素は、種々の機構、例えば、電磁気、機械的連結、化学的付着、あるいはこれらの連結機構の一部または全部の組み合わせを利用して、一時的に結合することができる。

一実施例では、電子機器および／または変換器アセンブリは、歯の表面に直接接着される光硬化アクリレート系複合材料、あるいは歯に直接取り付けられるか、または口腔内装置の一部として一体化される金属ブラケット（例えば、ステンレス鋼、ニッケル−チタニウム、ニッケル、セラミック、複合物等）を備え得る、対応する歯科用アンカまたはブラケットに係合するために、表面に沿ってチャネルまたは溝を画定することができる。歯科用アンカは、その２つが嵌合係合状態に嵌着し得るように、チャネルまたは溝の形状に対応する形状に構成することができる。このように、変換器は、歯科用アンカに対し直接振動し、次いで、これらの信号を歯内に直接伝達することができる。電子機器および／または変換器アセンブリを密封することは、オーダーメイドの適合リテーナまたはブラケット上に搭載され得る電子機器収容体に対し単一サイズを利用することによって、このようなデバイスの製造を容易にすることができる。

さらに別の変形例では、ブラケットは、強磁性または電磁気であって、磁力を介して、磁性構成要素に結合するための相補的磁性構成要素も含み得る、ハウジングに着脱可能に結合することができる。ブラケットの磁性部分を封装してもよく、またはブラケット全体が磁性であってもよい。ブラケットに沿って画定される１つ以上の整列部材またはアームは、整列ステップと整列することによって、ハウジングとのブラケットの整列を容易にすることができる。

代替ブラケットは、ユーザの口腔内に快適に適合するように、十分にサイズ調節される円筒形構成に構成することができる。例えば、このようなブラケットの好適な寸法は、直径５乃至１０ｍｍおよび長さ１０乃至１５ｍｍの範囲であってもよい。別様に、ブラケットは、例えば、卵形、立方体等、種々の形とすることができる。ネジ山で構成される外表面を有する電子機器および／または変換器アセンブリは、アセンブリをブラケット内に回転させることによって、ブラケット内に螺入し、振動を連結するための固定取り付けを達成することができる。

ブラケットを利用する他の変形例は、電子機器および／または変換器アセンブリが保持タブを介して位置付けおよび固定され得る、受容チャネルを画定することができる。さらに他の変形例は、２つの構成要素を互いに固定するための突出停止部材または結合のための他の機械的機構を利用してもよい。

機械的連結機構に加えて、化学的付着もまた、利用することができる。電子機器および／または変換器アセンブリは、例えば、ユージノールおよび非ユージノールセメント等の非永久接着剤を介して、ブラケットに接着することができる。ユージノール仮セメントの実施例は、Ｔｅｍｒｅｘ（Ｆｒｅｅｐｏｒｔ，ＮＹ）から市販の酸化亜鉛ユージノールまたはＺｅｎｉｔｈ Ｄｅｎｔａｌ（Ｅｎｇｌｅｗｏｏｄ，ＮＪ）から市販のＴｅｍｐｏＣｅｍ（登録商標）を含むが、それらに限定されない。非ユージノール仮セメントの他の実施例は、ＰＲＯＶＩＳＣＥＬＬ^ＴＭ（Ｓｅｐｔｏｄｏｎｔ，Ｉｎｃ．，Ｏｎｔａｒｉｏ，Ｃａｎａｄａ）およびＮＯＭＩＸ^ＴＭ（Ｃｅｎｔｒｉｘ，Ｉｎｃ．，Ｓｈｅｌｔｏｎ，ＣＴ）等の市販のセメントを含むが、それらに限定されない。

図１は、患者の歯列を示すとともに、着脱可能な口腔内装置として、患者の１つまたは複数の歯の上に、またはそれらに対して着脱可能に配置された、補聴デバイスの一変形例を示す図である。 図２は、着脱可能な口腔内装置の補聴デバイスを配置する１つの典型的な位置を示す、下顎歯の斜視図である。 図３は、電子機器および／または変換器アセンブリを着脱可能なオーダーメイドの口腔内装置内に埋め込むことができる補聴器の部分的断面図である。 図４は、概して、音を受信するための少なくとも１つのマイクロホンを備え、聴覚信号を処理するためのプロセッサに電気的に接続することができる受信変換器を利用する、補聴器アセンブリの一変形例の略図である。 図５は、患者の口腔外に位置し、処理、および患者の口腔内に位置付けられる電子機器および／または変換器アセンブリに無線信号を介して送信するための、聴覚信号を受信する、頬部外送信機アセンブリである。 図６は、アンテナを介して、外部音発生デバイスから信号を受信するプロセッサおよび種々のパラメータを修正するための制御装置の略図である。 図７は、以前に骨に植え込まれたインプラント支柱上に固定可能な、例えば、永久クラウン等のオーダーメイドの歯科用インプラント内に埋め込まれる、またはそのように構成される補聴器アセンブリである。 図８は、別個のハウジングに植え込まれるまたは取り付けられるのではなく、１つ以上の歯の表面に直接接合または別様に接着される電子機器および変換器アセンブリである。 図９Ａおよび９Ｂは、上顎または下顎骨等の下層の骨に直接植え込まれるネジまたは支柱に結合可能な口腔内装置の、それぞれ、斜視図および側面図である。 図１０は、口腔内装置を患者の口蓋に直接植え込まれるネジまたは支柱に結合可能な別の変形例である。 図１１は、ユーザの口腔内のいくつかの位置に穿通されるいくつかのネジである。 図１２は、互いに固定して嵌合するように構成される、部分的に着脱可能なアセンブリの２つの構成要素である。 図１３Ａは、変換器を歯に結合するための複合歯科用アンカを有する、口腔内装置のさらに別の変形例である。 図１３Ｂは、口腔内装置を省き、電子機器および／または変換器アセンブリを歯の表面に直接取り付けられる複合歯科用アンカに取り付け可能な変形例である。 図１４Ａは、金属ブラケットが歯に直接接触するように、金属ブラケットを口腔内装置と直接一体化する、またはそれに直接取り付けることができる、さらに別の変形例の部分的断面端図である。 図１４Ｂは、金属ブラケットから摺動するように除去される収容体の斜視図である。 図１５は、下層の１つの歯または複数の歯に搭載されるブラケットを利用する、システムの別の変形例の部分的断面端図である。 図１６Ａは、相補的磁性構成要素を含むハウジングに、磁力を介して着脱可能に結合するための磁性構成要素を含む、ブラケットの端面図である。 図１６Ｂは、ブラケット全体が、ハウジングに磁気的に結合するために磁性である、別の変形例の端面図である。 図１６Ｃは、磁性構成要素は、ハウジングの第１の端部に配置され、相補的磁性構成要素は、ブラケットの第１の端部に配置可能な、さらに別の変形例の上面図である。 図１７Ａは、円筒形構成を有するブラケットの端面図である。 図１７Ｂは、円筒形構成を有するブラケットの、側面図である。 図１７Ｃは、ブラケットの螺刻ハウジング開口部内に螺入されるように構成される螺刻外表面を有する、電子機器および／または変換器アセンブリの、アセンブリ側面図である。 図１７Ｄは、ブラケットの螺刻ハウジング開口部内に螺入されるように構成される螺刻外表面を有する、電子機器および／または変換器アセンブリの、アセンブリ端面図である。 図１８Ａは、電子機器および／または変換器アセンブリを保持タブを介して、位置付けおよび固定可能な受容チャネルを画定する、ブラケットの別の変形例の端面図である。 図１８Ｂは、ブラケットから除去される電子機器および／または変換器アセンブリの斜視図である。 図１９Ａは、ブラケットから電子機器および／または変換器アセンブリを除去するように位置付けられる前の除去ツールである。 図１９Ｂは、電子機器および／または変換器アセンブリから保持タブを解放するように進展される除去ツールの係合ステップの、部分的側面図である。 図１９Ｃは、電子機器および／または変換器アセンブリから保持タブを解放するように進展される除去ツールの係合ステップの、上面図である。 図２０Ａは、１つの歯または複数の歯に、同様に取り付けられるブラケットの別の変形例の端面図である。 図２０Ｂは、ブラケットの受容チャネルから除去されるアセンブリの斜視図である。 図２１Ａ乃至２１Ｄは、除去ツールを利用して、ブラケットから電子機器および／または変換器アセンブリを分離および除去するための一実施例の部分的断面側面図である。 図２２Ａは、アセンブリから突出する摺動機構および整列部材を介して結合可能な、ブラケットおよび着脱可能電子機器および／または変換器アセンブリを利用する別の変形例の端面図である。 図２２Ｂは、その固定係合に先立って、ブラケットに沿って、部分的に位置付けられるアセンブリの、部分的断面側面図である。 図２２Ｃは、その固定係合に先立って、ブラケットに沿って、部分的に位置付けられるアセンブリの、端面図である。 図２３Ａ乃至２３Ｄは、そのブラケットに着脱可能な電子機器および／または変換器アセンブリを係合およびそこから係脱するための実施例の部分的断面側面図である。 図２４Ａおよび２４Ｂは、明確にし、固定機構をさらに説明するために、他の特徴を除去した保持ステップとの係合前の電子機器および／または変換器アセンブリの側面図である。 図２５Ａは、ブラケットに固定するためのアプリケータツールによって保持される電子機器および／または変換器アセンブリの、斜視図である。 図２５Ｂは、ブラケットに固定するためのアプリケータツールによって保持される電子機器および／または変換器アセンブリの、詳細な斜視図である。 図２５Ｃは、整列部材の長さに沿って画定される整列チャネルを示す、アセンブリおよびアプリケータツールの、上面図である。 図２５Ｄは、整列部材の長さに沿って画定される整列チャネルを示す、アセンブリおよびアプリケータツールの、端面図である。 図２６Ａおよび２６Ｂは、化学的付着を利用する、別の連結機構の端面図である。 図２７Ａは、複数の変換器アセンブリを複数の歯上に載置することができる実施例である。 図２７Ｂは、少なくとも１つのマイクロホン（または、任意選択で、任意の数の追加のマイクロホン）をユーザの口腔内に位置付け可能であって、電子機器および／または変換器アセンブリから物理的に分離可能な別の変形例である。

電子および変換デバイスを、着脱可能な口腔内装置または口腔内デバイス内、またはその上に取り付けて、接着して、または埋め込んで、補聴器アセンブリを形成することができる。このような口腔内装置は、従来の歯科用印象法によって得られた歯の構造の複製モデルを用いて、熱形成プロセスによって加工されたオーダーメイドのデバイスとすることができる。電子および変換器アセンブリは、直接的に、または受信機を通じて入力音を受信して、信号を処理および増幅し、処理した音を、歯に連結された、または上顎、下顎、または口蓋の骨構造のような他の骨構造に連結された振動変換素子を介して送信することができる。

図１には患者の口腔および歯列１０が示されており、臼歯１２のような少なくとも１つの歯の上に、またはこれに対して補聴器アセンブリ１４を着脱可能に取り付けるための１つの可能な位置を示している。参考のために、患者の舌ＴＧおよび口蓋ＰＬも示されている。電子機器および／または変換器アセンブリ１６は、下記に詳述するように、アセンブリ１４内、またはその上に取り付けて、接着して、または埋め込むことができる。

図２は、患者の下部歯列の斜視図であり、着脱可能な口腔内装置１８と、アセンブリ１４の側面に沿って位置決めされた電子機器および／または変換器アセンブリ１６とを備えた補聴器アセンブリ１４が示されている。この変形例では、口腔内装置１８は、患者の歯の上で安定させるために、口腔内装置１８によって画定された歯の係合チャネル２０の中に、２つの臼歯１２を取り付けることができるが、他の変形例では、単一の臼歯または歯を利用することができる。代替的に、２つ以上の臼歯を利用して、口腔内装置１８をそれらの上またはそれらを覆って取り付けることができる。さらに、電子機器および／または変換器アセンブリ１６は、アセンブリ１６が歯１２の頬面に沿って配列されるように、口腔内装置１８の側面上に位置決めされて示されている。しかし、歯１２の舌面のような他の位置および他の表面を利用することもできる。図は、変形例を例示したものであり、制限することを目的としたものではない。したがって、口腔内装置１８の他の構成および形状も本願明細書に含まれるものとする。一変形例では、補聴器アセンブリ１４の部分的断面図が図３に示されており、電子機器および／または変換器アセンブリ１６を着脱可能なオーダーメイドの口腔内装置１８内に埋め込むことができる。

概して、電子機器および／または変換器アセンブリ１６の容量は、口腔内に配置したときに邪魔にならないように、ならびに、ユーザが満足するように最小限に抑えることができる。サイズは変化し得るが、アセンブリ１６の容量は、８００立方ミリメートル未満とすることができる。当然、この容量は例示的なものであり、アセンブリ１６のサイズおよび容量を制限するものではなく、したがって、ユーザごとに異なり得る。

さらに、着脱可能な口腔内装置１８は、コンピュータ数値制御（ＣＮＣ）システム、または、立体造形装置（ｓｔｅｒｅｏｌｉｔｈｏｇｒａｐｈｙ ａｐｐａｒａｔｕｓ：ＳＬＡ）、選択的レーザ焼結（ｓｅｌｅｃｔｉｖｅ ｌａｓｅｒ ｓｉｎｔｅｒｉｎｇ：ＳＬＳ）のような三次元印刷工程、および／または多数の手法を介して得ることができる患者の歯列の三次元ジオメトリを用いる、他の類似した工程を使用したコンピュータ支援の機械加工工程のような、多数の方法を用いて、種々のポリマー材料、またはポリマー材料および金属材料の組み合わせによって加工することができる。このような手法には、レーザ、白色光、超音波、機械式三次元タッチスキャナ、磁気共鳴映像法（ＭＲＩ）、コンピュータ断層撮影（ＣＴ）、他の光学的方法等のような、口腔内スキャナを使用してスキャンした歯列の使用が挙げられる。

着脱可能な口腔内装置１８の形成において、装置１８は、任意選択で形成することができ、該装置は、歯列を覆って適合するように、隣接する歯茎の組織の少なくとも一部が、食物、流体、および他の細片の、口腔内装置１８への、および変換器アセンブリと歯表面との間への侵入を妨げるように成形される。さらに、口腔内装置１８の表面積を大きくすることで、装置１８上へのアセンブリ１６の配置および構成を容易にすることができる。

加えて、着脱可能な口腔内装置１８は、収縮率を有するように任意選択で加工することができ、歯列上に載置されると、口腔内装置１８の完成サイズは、口腔内装置１８がその上に形成されるスキャンした１つまたは複数の歯よりもわずかに小さいので、口腔内装置１８が、１つまたは複数の歯を確実に掴むように構成することができる。接続具は、装置１８と下側歯列との間に確実な締まりばめをもたらすことができる。

図４は、概して、音を受信するためのマイクロホンを備え、聴覚信号を処理するためのプロセッサ３２に電気的に接続される受信変換器３０を利用する、補聴器アセンブリ１４の一変形例の略図である。プロセッサ３２は、例えば、携帯電話、電話、ステレオ、ＭＰ３プレーヤ、および他のメディアプレーヤ等の外部遠隔制御装置３６および／または他の外部音発生デバイスから、例えば、入力制御信号等の無線通信信号を受信するためのアンテナ３４に電気的に接続することができる。マイクロホン３０およびプロセッサ３２は、あらゆる実用的な範囲の聴覚信号を検出して処理するように構成することができるが、一変形例では、例えば２５０Ｈｚ乃至２０，０００Ｈｚの範囲の聴覚信号を検出するように構成することができる。検出および処理された信号は、増幅器４４を介して増幅され、増幅器４４は、隣接するまたは別様に結合される、患者の１つの歯または複数の歯１２等の骨構造内への、変換器４０による振動伝達のための出力レベルを増加することができる。

マイクロホン３０に関しては、多種多様なマイクロホンシステムを利用することができる。例えば、マイクロホン３０は、デジタル、アナログ、圧電および／または指向型マイクロホンとすることができる。このような各種マイクロホンは、必要に応じて、アセンブリとともに利用するように代替可能に構成することができる。

電源４２は、プロセッサ３２および変換器４０等の構成要素のそれぞれに電源を供給するように接続することができる。アンテナ３４によって受信される制御または他の音生成信号は、アセンブリ１６への送信に対して、例えば高周波、超音波、マイクロ波、Ｂｌｕｅ Ｔｏｏｔｈ（登録商標）（ＢＬＵＥＴＯＯＴＨ ＳＩＧ，ＩＮＣ．，Ｂｅｌｌｅｖｕｅ，ＷＡ）等を利用した、あらゆる無線形態とすることができる。外部遠隔制御装置３６は、ユーザが操作して、音響収束、音量制御、フィルタ処理、ミュート、周波数最適化、音調整、およびトーン調整等のような、電子機器および／または変換器アセンブリ１６の種々の音響パラメータを調整することができる。

送信された信号は、受信機を介して電子機器および／または変換器アセンブリ１６によって受信することができ、該アセンブリは、受信信号の更なる処理のために、内部プロセッサに接続することができる。受信信号は、変換器４０に通信することができ、該変換器は、それに対応して歯の表面を振動させて、振動信号を歯および骨を通じて伝導し、その後中耳に伝導してユーザの聴取を容易にする。変換器４０は、多数の異なる振動機構として構成することができる。例えば、一変形例では、変換器４０は、電磁的に作動する変換器とすることができる。他の変形例では、変換器４０は、例えば２５０乃至２０，０００Ｈｚの振動周波数の範囲を有する圧電結晶の形態とすることができる。

電源４２は、交換式または常設の単純なバッテリとすることができ、他の変形例では、外部充電器を介してインダクタンスによって充電される電源４２を含むことができる。加えて、電源４２は、代替的に、交流（ＡＣ）または直流（ＤＣ）源へ直結４８することによって充電することができる。他の変形例は、従来技術で既知の内部振り子または摺動可能な電気インダクタンス充電器のような機械的な機構４６によって充電される電源４２を含むことができ、該機構は、例えば顎の運動、および／または機械的な運動を貯蔵電気エネルギに変換して電源４２を充電するための運動を介して作動する。

一変形例では、図５に示されるように、歯の上に位置決めしたアセンブリ１４にあっては、患者の口腔の外側に位置する頬部外の送信機アセンブリ２２を利用して、聴覚信号を受信して処理し、無線信号２４を介して、患者の口腔内に位置決めした電子機器および／または変換器アセンブリ１６に送信することができ、電子機器および／または変換器アセンブリ１６は、次いで、聴覚信号を処理し、処理した聴覚信号を振動伝導によって下側にある歯に送信し、その結果患者の内耳に送信する。

下記に詳述するように、送信機アセンブリ２２は、マイクロホンアセンブリおよび送信機アセンブリを含むことができ、ならびに、時計、ネックレス、ラペル、電話、ベルト実装型デバイス等のような、ユーザが装着する多数の形状および形態で構成することができる。

このような変形例では、図６に概略的に示されるように、プロセッサ３２は、外部音発生デバイス３８（上述のように、例えば、携帯電話、電話、ステレオ、ＭＰ３プレーヤ、および他のメディアプレーヤ）ならびに処理および補聴器アセンブリ１４への伝達のための受信変換器３０から受信した他の入力音から、アンテナ３４を通じて、信号を受信することができる。制御装置３６は、上述のようなバッテリ４２によって電源供給されながら、受信音の種々のパラメータを修正するために使用される。

別の変形例では、補聴器アセンブリは、図７に示されるように、骨５２（例えば、患者の顎骨）に以前に植え込まれたインプラント支柱５０上に固定可能なオーダーメイドの歯科用インプラント５４（例えば、永久クラウン）内に埋め込むか、またはそのように構成することができる。歯科用インプラント５４は、インプラント５４内に画定される受容チャネル５６を介して、支柱５０に固定または結合することができる。変換器アセンブリならびに付随電子機器および電源は、インプラント５４が、ユーザに伝導するための信号を受信すると、変換器がインプラント５４内で振動し、支柱５０を通じて、ユーザに振動を伝導可能なように、インプラント５４内に含めることができる。

さらに別の変形例では、電子機器および変換器アセンブリ１６は、図８に示されるように、別個のハウジングに埋め込まれるまたは取り付けられるのではなく、１つ以上の歯１２の表面に直接接合または別様に接着することができる。

さらに他の変形例では、振動は、ユーザの１つの歯または複数の歯を通じて、直接伝達するのではなく、下層の骨または組織構造内に直接伝達することができる。図９Ａに示されるように、口腔内装置７０は、ユーザの歯上、本実施例では、上側歯列に沿って位置する臼歯上に位置付けられるように示される。電子機器および／または変換器アセンブリ７２は、歯の頬面に沿って位置するように示される。歯の表面と接触する変換器を利用するのではなく、図９Ｂの部分的断面図に示されるように、硬いまたは固体の金属部材等の伝導伝達部材７４をアセンブリ７２内の変換器に結合し、口腔内装置７０から、上顎骨等の下層の骨７８に直接植え込まれる支柱またはネジ７６に延在させることができる。伝達部材７４の遠位端が支柱またはネジ７６に直接結合されるため、変換器によって生成される振動は、伝達部材７４を通じて、支柱またはネジ７６内に直接伝達することができ、それによって、ユーザの内耳に伝達するために、骨７８内およびそれを通じて、直接振動を伝達する。

図１０は、歯の舌面に沿って位置する電子機器および／または変換器アセンブリ８２とともに、ユーザの歯ＴＨ上に載置される口腔内装置８０の部分的断面図である。同様に、振動は、伝導伝達部材７４を通じて、本実施例では、口蓋骨ＰＬに植え込まれた支柱またはネジ７６に直接伝達することができる。他の変形例が、下顎骨に穿通される支柱またはネジ７６に伝達するための下側歯列に沿って位置するこの配列を利用してもよい。さらに他の変形例では、１つ以上のネジをユーザの口腔内のいくつかの位置に穿通することができる。例えば、図１１に示されるように、２つのネジ６０、６２を上顎および口蓋骨に沿って穿通することができる。

本明細書に記載の構成のいずれかと利用可能な、実施可能な種々の変換器構成および要素の追加実施例は、２００７年４月２７日出願の米国特許出願第１１／７４１，６４８号にさらに詳細に図示および説明されており、参照することによって、全体として本明細書に組み込まれる。

複数の構成要素を利用する他の変形例では、概して、第１の構成要素は、永久または半永久接着剤を使用して、１つの歯または複数の歯に取り付けることができる一方、第２の着脱可能構成要素は、第１の構成要素に取り付け、接着、または別様に付着することができる。第１の構成要素を１つの歯または複数の歯に取り付けるための接着剤の実施例は、医療提供者によって適用および／または除去されることが意図されるセメントおよびエポキシを含むことができる。典型的歯科用セメントの実施例は、酸化亜鉛ユージノール、リン酸亜鉛、ケイリン酸亜鉛、ポリアクリル酸亜鉛、ポリカルボン酸亜鉛、グラスアイオノマー、樹脂系、ケイ酸系セメント等を含むが、それらに限定されない。

第１の構成要素は、機構および／または電子機器（例えば、アクチュエータ、プロセッサ、受信機等）の一部または全部を含む、あるいは全く含まない可能性がある一方、第１の構成要素に取り付け可能な第２の構成要素もまた、バッテリ等の機構および／または電子機器の任意の組み合わせを含み得る。これらの２つの構成要素は、種々の機構、例えば、電磁気、機械的連結、化学的付着、あるいはこれらの連結機構の一部または全部の組み合わせを利用して、一時的に連結することができる。

例示的実施例は、図１２に示され、互いに固定して嵌合するように構成されるアセンブリ８４の２つの構成要素を示す。第１の構成要素８６は、下層の１つの歯または複数の歯ＴＨ上に永久または非着脱可能に取り付けられ、第２の構成要素８８は、ユーザによって、第１の構成要素８６に着脱可能に結合することができる。第１の構成要素８６は、上述のように、セメント、エポキシ、糊等の取り付け機構８９を介して、接合、接着、または別様に付着することができる。

一変形例では、第１の構成要素８６は、信号プロセッサ、変換器、受信機、およびこれらの構成要素または追加構成要素を含む任意の組み合わせを含むことができる。別の変形例では、第１の構成要素は、これらの要素のそれぞれを省き、歯に対し構成要素を保持および固定するための取り付け基盤として、単純に機能することができる。いずれの場合も、第２の構成要素８８は、残りの構成要素が、第１の構成要素８６内に含まれる場合、バッテリ等の電源のみを備えることができ、または任意選択で、プロセッサ、変換器、受信機等と組み合わせて、電源を備えることができる。さらに、第１および第２の構成要素８６、８８は、以下にさらに詳述される、多数の磁性、機械的、または化学的付着機構を介して、互いに結合することができる。

別の変形例では、電子機器および／または変換器アセンブリ９０は、図１３Ａに示されるように、対応する歯科用アンカまたはブラケット９６に係合するために、表面に沿って、チャネルまたは溝９２を画定することができる。歯科用アンカ９６は、歯の表面に直接接着される光硬化アクリレート系複合材料を備えることができる。さらに、歯科用アンカ９６は、その２つが嵌合係合状態に嵌着し得るように、チャネルまたは溝９２の形状に対応する形状に構成することができる。このように、アセンブリ９０内の変換器は、歯科用アンカ９６に対し直接振動し、次いで、これらの信号を歯ＴＨ内に直接伝達することができる。電子機器および／または変換器アセンブリ９０を密封することは、オーダーメイドの適合リテーナまたはブラケット上に搭載され得る電子機器収容体に対し単一サイズを利用することによって、このようなデバイスの製造を容易にすることができる。

図１３Ｂは、口腔内装置が完全に省かれる、さらに別の変形例を示す。ここでは、複合歯科用アンカまたはブラケット９６は、上述のように、歯の表面上に直接接着することができる。別様に、ブラケット９６は、ブラケット内に形成され、歯の表面上に係着される、例えば、ステンレス鋼、ニッケル−チタニウム、セラミック、複合物等の生体適合材料から成ることができる。ブラケット９６は、電子機器および／または変換器アセンブリ９０が、ブラケット９６との係合のための対応する受容構成９４を有するチャネル９２を介して、それを越えてまたはその上を摺動可能な形状９８を有するように構成することができる。このように、アセンブリ９０は、ブラケット９６に対し、直接係合することが可能であって、変換器は、下層の歯ＴＨ内に直接振動することができる。加えて、アセンブリ９０が、歯ＴＨから除去される場合、アセンブリ９０は、ブラケット９６を単純に摺動または回転させて外し、交換アセンブリをブラケット９６上のその場所に置くことができる。

図１４Ａは、金属ブラケット１００が、内部接触表面１０２を介して、歯ＴＨと直接接触し、結合および振動の伝達を容易にするように、上述の任意の金属または複合物から加工される金属ブラケット１００が、口腔内装置１８に直接一体化されるか、またはそこに直接取り付けることができる、さらに別の変形例を示す。また、上述のように、着脱可能収容体１０６は、密閉して封止されるエンクロージャ内に変換器および多くの電子機器、例えば、電源、受信機、プロセッサ等を含めることができる。上述のように、金属ブラケット１００は、収容体１０６内に画定される相補的保持チャネル１１４と摺動または回転させて嵌合するように構成される、１つ以上の保持または整列部材１０４を有することができる。同様に図示されるのは、嵌合する際に金属ブラケット１００と接触し得る変換器アセンブリ１０８、ならびに受信機／プロセッサ１１０および電源またはバッテリ１１２の位置決めの実施例である。収容体１０６および変換器アセンブリ１０８を金属ブラケット１００から除去するためには、収容体１０６をブラケット１００から摺動させて外すか、または口腔内装置１８をユーザの１つの歯または複数の歯ＴＨから完全に除去してもよい。図１４Ｂは、金属ブラケット１００から摺動させて除去される、収容体１０６の斜視図である。

図１５は、上述の任意の材料から加工され、下層の１つの歯または複数の歯ＴＨに搭載される、ブラケット１２０を利用するシステムの別の変形例の部分的断面端図である。本変形例は、搭載表面１２２に対し取り付けられる、または別様に付着される、ブラケット１２０を利用することができる。ブラケット１２０は、ハウジング１２６が、ハウジング１２６から延在する１つ以上の固定部材１２８を介して固定され、搭載部材または表面１２４を把持またはその上に機械的に係止することが可能な、１つ以上の搭載部材または表面１２４を画定することができる。１つ以上の固定部材１２８は、クリップまたは軟性ゴムブーツ等の金属またはプラスチック部材から加工することができる。

ハウジング１２６は、振動伝達を増強するための質量を提供するだけではなく、着脱可能電子機器およびアクチュエータ等を封装する。整列部材または特徴１３０（例えば、コイル１３２を磁石１３８と整列させるロッド、ダボ、または円筒形突起）は、その磁場が、永久磁石１３８と相互作用し、ブラケット１２０に対し、変換器の運動を誘導するような方向に分極された弱磁石として構成することができる。本変形例では、コイル１３２は、ハウジング１２６内に含まれる搭載基板または表面１３６に対し搭載可能なボビン１３４を中心に巻装されることができる。コイル１３２は、ブラケット１２０に対し振動する、隣接する永久磁石１３８と相互作用することができる。さらに、コイル１３２は、電気コネクタ１４２を介し電子機器１４０につながり、接続されることができる。また、電源１４４は、ハウジング１２６内に含まれる種々の要素と電気通信することができる。

さらに別の変形例では、図１６Ａは、磁性構成要素１６６に結合するために、相補的磁性構成要素１６８も含み得るハウジング１６２に、磁力を介して、着脱可能に結合するため、強磁性または電磁気であってもよい、磁性構成要素１６６を含むことが可能なブラケット１６０の端面図である。ブラケット１６０に沿って画定される１つ以上の整列部材またはアーム１６４は、整列ステップ１７０と整列することによって、ハウジング１６２とのブラケット１６０の整列を容易にすることができる。図１６Ｂは、ブラケット全体がハウジング１６２に磁気的に結合するために磁性１７２となるように、ブラケット１６０を構成可能な別の変形例を示す。

図１６Ｃは、磁性構成要素１７４が、ハウジング１６２の第１の端部に配置され、相補的磁性構成要素１７６が、ブラケット１６０の第１の端部に配置可能な、さらに別の変形例である。磁性構成要素をブラケット１６０およびハウジング１６２の単一部分に沿って配置することによって、ハウジング１６８をブラケット１６０上で摺動させる際、ハウジング１６８を所望の向きに整列する補助となり得る。

別の変形例は、図１７Ａおよび１７Ｂの端面図および側面図に示され、円筒形構成に構成されるブラケット１８０を示す。円筒形ブラケット１８０は、アタッチメント１８４を介して、歯ＴＨに接着または取り付けることができ、ユーザの口腔内に快適に適合するように十分にサイズ調整される。例えば、ブラケット１８０の好適な寸法は、直径５乃至１０ｍｍおよび長さ１０乃至１５ｍｍの範囲であってもよい。円筒形構成で示されるが、ブラケット１８０は、例えば、卵形、立方体等、種々の形とすることができる。

ネジ山１９０で構成される外表面を有する電子機器および／または変換器アセンブリ１８２は、図１７Ｃのアセンブリ側面図に示されるように、ブラケット１８０の螺刻ハウジング開口部１８８内に螺入することができる。例えば、図１７Ｄに示されるように、ネジガイド１８６を利用して、アセンブリ１８２をブラケット１８０内に回転させることによって、固着と振動の連結とを達成することができる。ハウジング１８０は、ハウジング１８０の回転方向を反転することによって、ブラケット１８０から除去することができる。

図１８Ａは、アタッチメント２０４を介して、歯ＴＨに取り付けられるブラケット２００を利用する別の変形例の端面図であり、ブラケット２００は、保持タブ２０６を介して、電子機器および／または変換器アセンブリ２０２を位置付けおよび固定可能な受容チャネル２０８を画定する。図１８Ｂに示されるように、アセンブリ２０２がブラケット２００から除去されたアセンブリの斜視図は、ハウジングの片側または両側に沿って、１つ以上のツール整列溝２１０を画定するアセンブリ２０２のハウジングを示す。ツール開口部２１６は、ハウジングの近位端に沿って画定され、アセンブリ２０２の全長に画定される除去ツールチャネル２１４内に開口する。さらに、保持タブ受容開口部２１２もまた、アセンブリ２０２がブラケット２００内に挿入される場合に保持タブ２０６を受容するために、ハウジングの近位端またはその近傍に画定される。

図１９Ａに示されるように、アセンブリ２０２は、ブラケット２００内を摺動し、保持タブ２０６は、タブ受容開口部２１２内に係合されている。アセンブリ２０２をブラケット２００から除去するためには、除去ツール２２０を使用して、アセンブリ２０２を解放および除去することができる。除去ツール２２０は、細長い部材２２８から延在する中心部材２２２を備えることができる。係合ステップ２２４は、タブ２０６を解放するために、中心部材２２２の遠位端またはその近傍に画定することができ、２つのツール整列部材または棘部２２６もまた、中心部材２２２の両側に平行に細長い部材２２８から延在することができる。

除去の際、係合ステップ２２４および中心部材２２２は、開口部２１６内に挿入することができる。整列部材２２６が、アセンブリ２０２の両側に沿って画定されるそれぞれの整列溝内に摺動されると、係合ステップ２２４は、図１９Ｂの部分的断面側面図に示されるように、中心部材２２２の遠位部分が、タブ受容開口部２１２からタブ２０６を解放するまで進展することができる。タブ２０６が係脱されると、図１９Ｂおよび図１９Ｃの上面図に示されるように、係合ステップ２２４が開口部２１２の縁にひっかかり、除去のために、中心部材２２２およびステップ２２４がブラケット２００からアセンブリ２０２を引っ張ることを可能にする。

図２０Ａは、ブラケット２３０が、アタッチメント２３４を介して、１つの歯または複数の歯ＴＨに同様に取り付けられ、その中に電子機器および／または変換器アセンブリ２３２を含むことができる、別の変形例の端面図である。楕円形状を有して示されるが、多数の構成が利用されてもよい。図２０Ｂは、ブラケット２３０の受容チャネル２３８から除去されたアセンブリ２３２の斜視図である。アセンブリ２３２は、近位端の除去ツール開口部２４２と、アセンブリ２３２の表面から少なくとも部分的に突出可能な、例えば、ボール、バネ等の突起停止部２４０とを画定することができる。ブラケット２３０は、アセンブリ２３２がブラケット２３０内に最初に挿入される場合、停止係合開口部２３６内に解放され、したがって、アセンブリ２３２をブラケット２３０内に保持するための係止機構として機能するまで、停止部２４０がアセンブリ２３２内に押し下げられ得るように、ブラケット２３０の遠位端またはその近傍に停止係合開口部２３６を画定することができる。

アセンブリ２３２をブラケット２３０から除去するためには、ツール２５６の遠位端またはその近傍に画定されるステップ２５８を有する細長い除去ツール２５６が、図２１Ａに示されるように、アセンブリ２４２内に画定される除去ツール受容チャネル２５２内に挿入することができる。ツール２５６は、図２１Ｂに示されるように、ブラケット２３０の係合開口部２３６を通して突出する球状ボールとして示される、停止部２４０に接触するまで、チャネル２５２を通して進展することができる。ステップ２５８は、ツール２５６が停止部２４０上を押動され、アセンブリ２３２をブラケット２３０から解放するまで、停止部２４０を開口部２３６との係合から外れるように、遠位に促され得る。停止部２４０が、例えば、バネ等の付勢要素２５０に対し圧縮され、図２１Ｃに示されるように、ツール２５６は、ステップ２５８が、ツール受容チャネル２５２の端部に画定される係合ステップ２５４に係合するまで、さらに進展することができる。ツール２５６が、ステップ２５８を介して、係合ステップ２５４に係合され、図２１Ｄに示されるように、アセンブリ２３２は、除去のために、ブラケット２３０から近位に摺動されることができる。

図２２Ａは、アセンブリ２６２から突出する摺動機構および整列部材２６４を介して結合可能な、ブラケット２６０と、着脱可能電子機器および／または変換器アセンブリ２６２とを利用する、別の変形例の端面図である。図２２Ｂおよび２２Ｃは、固定係合に先立って、ブラケット２６０に沿って部分的に位置付けられたアセンブリ２６２の、それぞれ、部分的断面側面図および端面図である。アセンブリ２６２は、ハウジング、および、さらに詳細に後述されるように、アセンブリ２６２の長さに沿って、ハウジングの両側から突出する、ツールアプリケータレール２６８の両側から突出する、整列部材２６４を画定することができる。また、アセンブリ２６２の遠位端は、ブラケット２６０との係合のために、ハウジングから突出する停止部材２７０を画定する。ブラケット２６０は、整列部材２６４がそこを通って挿入および誘導され得る１つ以上の摺動トラック２６６を、ブラケット２６０の長さに沿って画定する。トラック２６６は、さらに後述されるように、摺動トラック２６６の遠位端に沿って、湾曲部分２７８をさらに画定することができる。また、ブラケット２６０の遠位端は、アセンブリ２６２の停止部材２７０との係合のために、保持ステップ２７２を画定する。また、例えば、バネ等の付勢要素２７６も、ブラケット２６０の近傍または遠位部分に画定される空洞２７４内に位置付けることができる。

使用時、アセンブリ２６２がブラケット２６０に結合されるとき、図２３Ａおよび２３Ｂに示されるように、整列部材２６４は、摺動トラック２６６の近位端内に挿入され、そこに沿って進展することができる。アセンブリ２６２は、ブラケット２６０の遠位部分内に含まれる付勢要素２７６に接触するまで、遠位に促され、そして、アセンブリ２６２は、さらに遠位に促される一方、付勢要素２７６を圧縮する。摺動トラック２６６は、アセンブリ２６２のさらなる進展によって、停止部材２７０を保持ステップ２７２に対し係合されるように促すように、湾曲され得る。圧縮された付勢要素２７６をアセンブリ２６２に対し押動することによって、図２３Ｃに示されるように、停止部材２７０は、保持ステップ２７２に対し固定され、アセンブリ２６２の解放を阻止または防止することができる。アセンブリ２６２をブラケット２６０から解放するために、アセンブリ２６２は、ブラケット２６０に対しさらに遠位に押動され、付勢要素２７６をさらに圧縮することができる。摺動トラック２６６の遠位部分２７８が、トラック２６６の近位部分に対し横方向に湾曲しており、図２３Ｄに示されるように、整列部材２６４は、除去のために、遠位部分２７８を通して摺動され、ブラケット２６０から解放されることができる。

図２４Ａおよび２４Ｂは、明確にし、固定機構をさらに説明するために、他の特徴を除去した保持ステップ２７２との係合前のアセンブリ２６２の側面図である。示されるように、アセンブリ２６２が、付勢要素２７６に接触し、圧縮すると、停止部材２７０は、最終的に、アセンブリ２６２をブラケット２６０に固定する保持ステップ２７２と係合する。

アセンブリ２６２の扱いおよびブラケット２６０との係合への導入を容易にするために、図２５Ａのアセンブリ斜視図に示されるような、アプリケータツール２８０を使用し、ブラケット２６０に対しアセンブリ２６２を挿入および固定することができる。ツール２８０は、両側にアセンブリ２６２を解放可能に保持するために、遠位に延在する２つの整列部材２８２、２８４を画定することができる。図２５Ｂの詳細な斜視図から分かるように、それぞれ、図２５Ｃおよび２５Ｄの上面図および端面図に示されるように、アプリケータレール２６８が固定され、整列部材２８２、２８４に対するアセンブリ２６２の横方向運動が、阻止または防止されるように、ハウジングの長さに沿って、アセンブリ２６２の片側または両側から突出するアプリケータレール２６８は、整列部材２８２、２８４の長さに沿って画定される、対応する整列チャネル２８６内に摺動することができる。

機械的連結機構に加え、化学的付着もまた、利用することができる。図２６Ａおよび２６Ｂの端面図に示されるように、電子機器および／または変換器アセンブリ２９２は、非永久接着剤２９４を介して、ブラケット２９０に接着することができる。このような仮接着剤２９４の実施例は、例えば、ユージノールおよび非ユージノールセメントを含んでもよい。ユージノール仮セメントの実施例は、Ｔｅｍｒｅｘ（Ｆｒｅｅｐｏｒｔ，ＮＹ）から市販の酸化亜鉛ユージノールまたはＺｅｎｉｔｈ Ｄｅｎｔａｌ（Ｅｎｇｌｅｗｏｏｄ，ＮＪ）から市販のＴｅｍｐｏＣｅｍ（登録商標）を含むが、それらに限定されない。非ユージノール仮セメントの他の実施例は、ＰＲＯＶＩＳＣＥＬＬ^ＴＭ（Ｓｅｐｔｏｄｏｎｔ，Ｉｎｃ．，Ｏｎｔａｒｉｏ，Ｃａｎａｄａ）およびＮＯＭＩＸ^ＴＭ（Ｃｅｎｔｒｉｘ，Ｉｎｃ．，Ｓｈｅｌｔｏｎ，ＣＴ）等の市販のセメントを含むが、それらに限定されない。

上述の変形例のうちのいずれかは、ユーザにおける所望の聴取レベルを達成するように、実用可能なものとして、単一のデバイスとして、または本願明細書の他の変形例と組み合わせて利用することができる。さらに、２つ以上の口腔内装置デバイスおよび電子機器および／または変換器アセンブリを、常時利用することができる。例えば、図２７Ａは、複数の変換器アセンブリ３００、３０２、３０４、３０６を複数の歯に載置することができる一実施例を示す図である。下側歯列に示されているが、代替的に、複数のアセンブリを、上側歯列または上下両方の歯列に沿って位置決めおよび配置することもできる。さらに、アセンブリのそれぞれは、均一の周波数範囲内で振動を伝達するように構成することができる。代替的に、他の変形例では、異なるアセンブリは、各アセンブリ間で重なり合わない周波数範囲内で振動させるように構成することができる。上述のように、各変換器３００、３０２、３０４、３０６は、異なる周波数応答および／またはユーザへの比較的高性能の音の送達に対して、各変換器を最適化できるように、異なる周波数応答に対してプログラムまたは事前設定することができる。

さらに、異なる変換器３００、３０２、３０４、３０６のそれぞれは、ユーザが装着したマイクロホンによって受信した音の方向性を示すように振動するようにプログラムすることもできる。例えば、ユーザの口腔内の異なる位置に位置決めされた異なる変換器は、音または振動の列（ｑｕｅｕｅ）を提供することによって特定の様態で振動させて、ユーザの配きに対して、どの方向で音が検出されたのかをユーザに知らせることができる。例えば、ユーザの左側の歯に配置された第１の変換器は、ユーザの左側から発信されている音の検出に対して振動するようにプログラムすることができる。同様に、例えばユーザの右側の歯に配置された第２の変換器は、ユーザの右側から発信されている音の検出に対して振動するようにプログラムすることができる。これらの実施例は、潜在的な変形例の例示を目的としたものであるため、他の変形例および列を利用することができる。

変換器アセンブリからマイクロホンを分離するためのさらに別の変形例において、図２７Ｂは、少なくとも１つのマイクロホン３１２（または任意選択で多数の更なるマイクロホン３１４、３１６）をユーザの口腔内に位置決めし、一方で、電子機器および／または変換器アセンブリ３１０から物理的に分離することができる、別の変形例を示す図である。このように、１つまたは任意選択で多数のマイクロホン３１２、３１４、３１６を、変換器からのフィードバックを減衰または除去するように、無線で電子機器および／または変換器アセンブリ３１０に結合することができる。

これらのアルゴリズムのさらなる実施例は、すべて２００７年２月７日出願の米国特許出願第１１／６７２，２３９号、第１１／６７２，２５０号、第１１／６７２，２６４号、および第１１／６７２，２７１号に詳細に図示および説明され、それぞれ、参照することによって、全体として本明細書に組み込まれる。

上述したデバイスの用途および方法は、聴覚障害の治療に限られるものではなく、多数の更なる治療用途を含むことができる。さらに、このようなデバイスおよび方法は、体内の他の治療部位に適用することができる。本発明を実行するための上述のアセンブリおよび方法の変更、実用的なものとしての異なる変形例間の組み合わせ、および当業者に明らかである本発明の側面の変形例は、特許請求の範囲内にあるものとする。

Claims (35)

1. 患者における聴取を容易にするように、少なくとも１つの歯を介して振動を伝達するための装置であって、
   該少なくとも１つの歯の表面に付着されたブラケットと、
   作動可能変換器が、該ブラケットと振動通信状態で載置されるように、該ブラケットに着脱可能に結合されたハウジングアセンブリと
   を備え、
   該変換器は、該ブラケットを介して、該表面内に直接振動を伝達する、
   装置。
2. 前記ブラケットは、接着剤またはセメントを介して、前記表面に付着される、請求項１に記載の装置。
3. 前記接着剤またはセメントは、酸化亜鉛ユージノール、リン酸亜鉛、ケイリン酸亜鉛、ポリアクリル酸亜鉛、ポリカルボン酸亜鉛、グラスアイオノマー、樹脂系およびケイ酸系セメントから成る群から選択される、請求項２に記載の装置。
4. 前記ブラケットは、互いに結合されたときに、前記ハウジングアセンブリの分離を阻止または防止するために、該ハウジングアセンブリと強固に嵌合するように構成された１つ以上の突起を画定する、請求項１に記載の装置。
5. 前記ブラケットは、その上を前記ハウジングアセンブリが摺動するレールを備える、請求項１に記載の装置。
6. 前記ブラケットアセンブリは、前記少なくとも１つの歯上に載置され、適合するように構成された口腔内装置と一体化されている、請求項１に記載の装置。
7. 前記ブラケットは、前記ハウジングアセンブリ内に含まれる相補的磁性部分に結合するように構成された磁性部分を備える、請求項１に記載の装置。
8. 前記ブラケットは、螺刻外表面を有する前記ハウジングアセンブリを受容するように構成された円筒ハウジングを備える、請求項１に記載の装置。
9. 前記ブラケットは、前記ハウジングアセンブリに沿って開口部を係合するように構成された解除可能な保持タブを備える、請求項１に記載の装置。
10. 前記ブラケットは、前記ハウジングアセンブリから突出する突起停止部を受容するように構成された開口部を画定する、請求項１に記載の装置。
11. 前記ブラケットは、前記ハウジングアセンブリを、保持ステップを介した固定係合に促すように構成された付勢素子を備える、請求項１に記載の装置。
12. 前記ブラケットおよびハウジングアセンブリは、仮接着剤またはセメントを介して結合される、請求項１に記載の装置。
13. 前記ハウジングアセンブリは、前記作動可能変換器と通信するプロセッサを備える、請求項１に記載の装置。
14. 前記ハウジングアセンブリ内に含まれるバッテリをさらに備える、請求項１３に記載の装置。
15. 前記ハウジングアセンブリは、前記ブラケットに対し、前記ハウジングを整列させるように構成された整列部材を備える、請求項１に記載の装置。
16. 遠位に突出する少なくとも２つの部材を有する整列ツールをさらに備え、該２つの部材はそれぞれ、前記ハウジングアセンブリを摺動させて受容する整列チャネルを画定する、請求項１に記載の装置。
17. 前記表面と振動通信する少なくとも１つの追加の作動可能変換器をさらに備える、請求項１に記載の装置。
18. 前記少なくとも１つの追加の作動可能変換器は、追加の歯の表面に付着される少なくとも１つの追加のブラケット内またはその上に配置される、請求項１７に記載の装置。
19. 各変換器は、音がユーザの向きに対する検出された方向を示す、音または振動の列を提供するように構成される、請求項１７に記載の装置。
20. 少なくとも１つの歯を介して、振動を伝達する方法であって、
    該少なくとも１つの歯の表面上にブラケットを付着するステップと、
    該ブラケット上に着脱可能なハウジングアセンブリを結合するステップと、
    該ブラケットを介して、変換器が該表面内に振動を直接伝達するように、該ブラケットと振動通信する、該ハウジングアセンブリ内の該変換器を作動させるステップと
    を包含する方法。
21. 前記付着ステップは、接着剤またはセメントを介して、前記表面上に前記ブラケットを接着するステップを包含する、請求項２０に記載の方法。
22. 前記接着ステップは、前記表面上に前記ブラケットを永久に接着するステップを包含する、請求項２１に記載の方法。
23. 前記結合ステップは、前記ブラケット上に前記ハウジングアセンブリを磁性的に結合するステップを包含する、請求項２０に記載の方法。
24. 前記結合ステップは、前記ブラケットに沿って画定されるレール上で前記ハウジングアセンブリを摺動させるステップを包含する、請求項２０に記載の方法。
25. 前記結合ステップは、前記ブラケットの螺刻受容チャネル内に前記ハウジングアセンブリを螺入するステップを包含する、請求項２０に記載の方法。
26. 前記結合ステップは、係止タブを介して、前記ブラケットに前記ハウジングアセンブリを固定するステップをさらに包含する、請求項２０に記載の方法。
27. 前記結合ステップは、前記ハウジングアセンブリから前記ブラケット内に突出する停止部材を介して、前記ブラケットに前記ハウジングアセンブリを固定するステップをさらに包含する、請求項２０に記載の方法。
28. 前記結合ステップは、前記ハウジングアセンブリと前記ブラケットとの間の、保持ステップを圧縮する付勢素子を介して、前記ブラケットに前記ハウジングアセンブリを固定するステップをさらに包含する、請求項２０に記載の方法。
29. 前記結合ステップは、整列ツールを介して、前記ブラケット上に前記ハウジングアセンブリを位置付けるステップを包含する、請求項２０に記載の方法。
30. 前記結合ステップは、仮接着剤またはセメントを介して、前記ブラケットに前記ハウジングアセンブリを接着するステップを包含する、請求項２０に記載の方法。
31. 前記変換器を作動させるステップに先立って、受信音声信号を表す電子信号を受信するステップをさらに包含する、請求項２０に記載の方法。
32. 前記受信ステップは、プロセッサを介して、前記電子信号を処理するステップをさらに包含する、請求項３１に記載の方法。
33. 前記作動ステップは、知覚された音声信号に対応するように前記変換器を作動させるステップを包含する、請求項２０に記載の方法。
34. 追加の歯上に付着される少なくとも１つの追加のブラケットと振動通信する少なくとも１つの追加の変換器を作動させるステップをさらに包含する、請求項２０に記載の方法。
35. 前記ブラケットから前記ハウジングアセンブリを除去するステップをさらに包含する、請求項２０に記載の方法。

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