JP2009535338A - 汚染因子、体液または他の実体の動きに影響を及ぼし、そして/あるいは他の生理学的状態に影響を及ぼすための組成物および方法 - Google Patents

汚染因子、体液または他の実体の動きに影響を及ぼし、そして/あるいは他の生理学的状態に影響を及ぼすための組成物および方法 Download PDF

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Abstract

生理学的状態下で自己集合する組成物が、創傷に適用するために処方される。この処方物は、薬学的に受容可能なキャリアを含むか、または、医療デバイスもしくはコーティングの一部として提供される。処方物はまた、他の治療剤、予防剤もしくは診断剤を含み得る。処方物は、1以上の障害もしくは状態の処置のために適切なように投与され得る。例えば、処方物は、損傷を修復するため、あるいは、肺、眼もしくは硬膜の外科手術中、または、硬膜外もしくは脊椎穿刺の後に、血液、間質液もしくは脳脊髄液の漏れを止めるために適用され得る。処方物は、熱傷または潰瘍に対して投与され得る。処方物は、創傷の縫合または接着時に投与するため、あるいは創傷の縫合または接着後に放出されるように、縫合糸または粘着剤中に分散され得、それにより、出血、組織液、または、肝臓、膵臓および胃腸管のような実質組織により生成されるもののような他の流体の損失を制限する。

Description

(連邦政府支援研究に関する記述)
米国政府は、本発明の開発に利用された支援助成金(National Institutes of Health助成金番号EY00126)を提供した。したがって、米国政府は、本発明において特定の権利を有し得る。
(関連出願)
本願は、米国特許法第119条(e)の下で、同時係属中の米国仮特許出願第60/745,601号(2006年4月25日出願)(その内容は、本明細書に参考として援用される)に基づく優先権を主張する。
(発明の分野)
本発明は、一般に、体液および/または汚染因子の動きを含む生理学的状態に影響を及ぼすための組成物および方法に関連する。
(発明の背景)
血液製剤の有用性にかかわらず、血液喪失は、罹患率および死亡率の主要な原因である。このような喪失の多くの原因が存在し、その原因としては、動脈瘤の破裂、食道または胃の潰瘍、および食道静脈瘤などの重篤な傷害および臨床状態が挙げられる。主要な動脈の完全性の喪失は、特にそれが医療への迅速なアクセスが存在しない状況において生じる場合、迅速に死をもたらし得る。
外科手術の間の出血は、しばしば、主要な懸案事項である。血液喪失は、患者に無数の懸案事項をもたらし得る一方で、望ましくない位置における血液の存在は、正常組織に対して有害であり得るか、または手術野を見る外科医の能力を妨げる。血液が除去され、かつ出血が制御下におかれる間、外科手術は、遅延せざるを得ない。出血は、最小限に侵襲性の外科手術(例えば、腹腔鏡下手術)の間でさえ問題を含み得る。いくつかの場合において、外科医は、出血を適切に制御することができない場合、これらの好ましい手順を伝統的な開放性手術に転用しなければならない。
出血はまた、動脈、静脈またはより小さい脈管への経皮的な器具使用の導入を含む診断手順および介入手順において問題を含み得る。例えば、動脈の冠状動脈血管形成、血管造影、アテレクトミー、およびステント術などの手順は、しばしば、大腿動脈などの血管に配置されたカテーテルによって脈管構造にアクセスすることを含む。一旦上記手順が企図され、そしてカテーテルまたは他の器具が除去されると、穿刺された脈管からの出血が制御される必要がある。
任意のこれらの状況において出血を制御するための選択肢は、限定される。最も古い方法のうちの1つは、脈管に対して直接か、または脈管の外側において身体に対してかのいずれかにおける圧力の印加を含む。圧力は、出血が制御下におかれるまで維持されなければならない。この手順は、時間が掛かりかつ不便であり、そして患者は、血腫の危険性を有する。他の物理的方法は、クランプ、クリップ、栓子、スポンジなどの使用を含む。これらのデバイスは、効力が制限されており、そしてそれらのデバイスは、特に、多くの小さい出血する脈管が存在する場合、適用するには扱いづらい。血液を凝固させ、そして出血する血管を焼灼するための加熱の使用は、外科手術の間において広範に使用されるが、それは、傍系組織に対して損傷をもたらし得る破壊的プロセスである。さらに、これらの方法は、設備および専門知識を必要とし、したがって医療環境の外部における使用に適切ではない。加熱および医療デバイスに加えて、機械的デバイス、種々の化合物は、止血を促すために使用されているが、これらは、理想的なものではない。
したがって、改良された方法が、必要とされる。
(発明の要旨)
本発明は、動物の体液および/または汚染因子の動きを阻害する位置決められた構造物に関連し、その構造物は、ペプチド模倣物(peptidomimetic)、ヌクレオチド模倣物(nucleotidomimetic)、ジブロック(diblock)コポリマー、トリブロック(triblock)コポリマー、N−アルキルアシルアミド、ヘリックスコンホメーションまたはシートコンホメーションを採り得る骨格を有するオリゴマー、あるいはこれらのうちの1つより多くの組合せから選択される物質を含み、物質は、該動物の部分に対して、上記動物の外科的切開または創傷の発生の前、間、および/または後に、上記体液および/または汚染因子の動きを実質的に阻害するために十分な量で適用され、そして上記構造物は、構造物が該動物の体液および/または汚染因子の動きを実質的に阻害するように、上記物質と上記動物中かまたは上記動物上に存在する少なくとも1種のイオン種との間の相互作用の生成物を含む。
本発明はまた、ペプチド模倣物、ヌクレオチド模倣物、ジブロックコポリマー、トリブロックコポリマー、N−アルキルアシルアミド、ヘリックスコンホメーションまたはシートコンホメーションを採り得る骨格を有するオリゴマー、あるいはこれらのうちの1つより多くの組合せから選択される物質を含む組成物に関連し、上記物質は、上記動物中かまたは上記動物上に存在する少なくとも1種のイオン種との相互作用の際に、上記動物の体液および/または汚染因子の動きを実質的に阻害する構造物を形成し得る。
本発明はまた、ペプチド模倣物、ヌクレオチド模倣物、ジブロックコポリマー、トリブロックコポリマー、N−アルキルアシルアミド、ヘリックスコンホメーションまたはシートコンホメーションを採り得る骨格を有するオリゴマー、あるいはこれらのうちの1つより多くの組合せから選択される物質を含む組成物に関連し、上記物質は、医療デバイスまたは他の物品を含む成分の表面に、上記成分に対する上記成分の表面上の汚染因子の動きを実質的に阻害するために十分な量で適用されており、そして上記物質は、上記成分の表面上に存在する少なくとも1種のイオン種との相互作用の際に、上記汚染因子の動きを実質的に阻害する構造物を形成し得る。
本発明はまた、動物上かまたは動物中の体液および/または汚染因子の動きを阻害するための方法を提供し、その方法は、動物の部分に対して、該動物の外科的切開または創傷の発生の前、間、および/または後に組成物を上記体液および/または汚染因子の動きを実質的に阻害するために十分な量で投与する工程であって、上記組成物は、ペプチド模倣物、ヌクレオチド模倣物、ジブロックコポリマー、トリブロックコポリマー、N−アルキルアシルアミド、ヘリックスコンホメーションまたはシートコンホメーションを採り得る骨格を有するオリゴマー、あるいはこれらのうちの1つより多くの組合せを含む、方法;ならびに上記組成物に、上記動物中かまたは上記動物上に存在する少なくとも1種のイオン種と接触させて上記体液および/または汚染因子の動きを阻害する構造物を形成させる工程;を包含する。
本発明はまた、汚染因子の動きを阻害するための方法を提供し、その方法は、医療デバイスまたは他の物品を含む成分の表面に対して、組成物を上記成分に対しての上記成分の表面上の汚染因子の動きを実質的に阻害するために十分な量で適用する工程であって、上記組成物は、ペプチド模倣物、ヌクレオチド模倣物、ジブロックコポリマー、トリブロックコポリマー、N−アルキルアシルアミド、ヘリックスコンホメーションまたはシートコンホメーションを採り得る骨格を有するオリゴマー、あるいはこれらのうちの1つより多くの組合せを含む、工程;および上記組成物に、動物中かまたは動物上に存在する少なくとも1種のイオン種と相互作用させて上記汚染因子の動きを阻害する構造物を形成させる工程;を包含する。
本発明はまた、最小限に侵襲性の外科手術のための方法を提供し、その方法は、動物の部分に対して、上記動物の最小限に侵襲性の外科的手順の発生の前、間、および/または後に組成物を体液および/または汚染因子の動きを実質的に阻害する量で投与する工程を含み、上記組成物は、ペプチド模倣物、ヌクレオチド模倣物、ジブロックコポリマー、トリブロックコポリマー、N−アルキルアシルアミド、ヘリックスコンホメーションまたはシートコンホメーションを採り得る骨格を有するオリゴマー、あるいはこれらのうちの1つより多くの組合せを含む。
本発明はまた、動物上かまたは動物中の体液および/または汚染因子の動きを阻害するための方法を提供し、その方法は、動物の部分に対して、上記動物の外科的切開または創傷の発生の前、間、および/または後に、上記体液および/または汚染因子の動きを実質的に阻害するために十分な量で、ペプチド模倣物、ヌクレオチド模倣物、ジブロックコポリマー、トリブロックコポリマー、N−アルキルアシルアミド、ヘリックスコンホメーションまたはシートコンホメーションを採り得る骨格を有するオリゴマー、あるいはこれらのうちの1つより多くの組合せから選択される物質を含む組成物と、上記組成物と合わせた場合に、上記物質を溶解するか、または水和させて体液および/または汚染因子の動きを阻害し得る物質を形成する溶液とを投与する工程を包含する。
生理学的状態において自己集合する物質を含む組成物は、創傷に対する適用のために処方され得る。任意の所定の処方における自己集合性物質の濃度は、変動し得、そして約0.1%と99%との間(好ましくは、0.1%と10%との間を含む)であり得る。1つの実施形態において、自己集合性物質(例えば、液体処方物中)の濃度は、約0.1〜3.0%(1〜30mg/m1)(例えば、0.1〜1.0%;1.0〜2.0%;2.0〜3.0%または1.0〜3.0%)であり得る。自己集合性物質の濃度は、ストック溶液および固体(例えば、粉末にされた)処方物においてはより高いものであり得る。固体処方物は、100%(例えば、自己集合性物質の濃度は、組成物の95、96、97、98、99%またはそれ以上(例えば、99.99%)であり得る)に近い自己集合性物質の濃度を有し得る。液体形態または固体形態にあるかにかかわらず、上記物質は、使用前に薬学的に受容可能な希釈剤(例えば、蒸留水)、充填剤(filler)、または油の添加によって所望の濃度にされ得る。
処方物は、薬学的に受容可能なキャリアを含むか、あるいは医療デバイスまたはコーティングの部分として提供される。上記処方物はまた、他の治療薬、予防薬または診断剤を含み得る。これらとしては、抗炎症剤、血管作用薬、抗感染症剤、麻酔剤、増殖因子、および/または細胞が挙げられるが、これらに限定されない。金属は、キレート剤として添加されても、癒着を減少させるために添加されてもよい。1つの実施形態において、処方物は、適用の部位において水和される散剤または錠剤、ディスク、またはカシェ剤として直接的に投与され得る乾燥粉末または凍結乾燥粉末として提供されるか、あるいは液体(最も好ましくは、水性)に懸濁または溶解され、そしてスプレー、塗布剤、またはキチン、コラーゲン、アルギネート、または合成ポリマーなどの物質を含む注射あるいはヒドロゲルとして適用される。好ましい実施形態において、上記物質は、油と組み合わせて提供され、そして積層体を形成する。別の実施形態において、上記処方物は、水溶液に自己集合性物質を溶解することによって適用され、そしてデバイス上で乾燥し得るか、またはポリマー性キャリアと混合され、そしてデバイスに適用され得る、デバイス(例えば、ステントまたはカテーテル)上のコーティングとして提供される。なお別の実施形態において、上記処方物は、上記物質が分散または吸着され得る絆創膏、フォームまたはマトリクスで提供され得る。上記処方物はまた、縫合糸、テープ、または粘着剤の形態にあり得るか、または汚染を予防するために材料(例えば、外科的ドレープ)に適用され得る。上記物質はまた、例えば、特定の組織または腫瘍の除去の間に組織を単離するため、出血(出血熱に対する応答におけるような)を予防するために眼または肺において、その後の移植または再付着のための組織の保持または安定化のため、そして充填剤、安定化剤または水和剤として有用である。特定の実施形態において、上記物質は、それが血液を溶解せず、そして血小板凝集を阻害するので、血液の置換において有用であり得る。別の実施形態において、上記物質は、自己集合に十分ではない濃度にて、血液を安定化するために使用され得る。
本明細書に記載される1つ以上の組成物は、使用のための指示書と一緒にキットに構築され得る。例えば、上記キットは、自己集合性物質(あるいは希釈剤を伴うその濃縮溶液または粉末処方物)および血管収縮剤、着色剤、あるいは鎮痛剤または麻酔剤を含む生体適合性組成物、ならびにそれらの組合せ(既に合わせられていない場合)および使用(例えば、希釈および投与)のための指示書を含む。上記キットは、本明細書に記載される1つ以上のさらなる因子をさらに含み得る。これらの因子は、自己集合性組成物内に存在しても、別個にパッケージされてもよく、そしてそれらは、生物学的細胞、抗生物質または他の治療剤、コラーゲン、抗炎症剤、増殖因子、または栄養分の1つ以上の型を含み得る。上記キットはまた、シリンジ(例えば、バレルシリンジまたはバルブシリンジ)、針、ピペット、ガーゼ、スポンジ、綿、スワブ、絆創膏、鼻血栓(nosebleed plug)、消毒剤、手術糸、はさみ、メス、滅菌流体、スプレーキャニスター(液体溶液が単純な手動ポンプによって噴霧されるものを含む)、滅菌容器、または使い捨て可能な手袋の1つ以上を含み得る。
上記処方物は、1つ以上の障害または状態(例えば、上に記載されるもの)の処置に適するように投与され得る。例えば、上記処方物は、傷害を修復するためか、あるいは肺、眼もしくは硬膜の外科手術の間か、血液、間質液、もしくは脳脊髄液の漏出を止めるために硬膜外穿刺もしくは脊髄穿刺の後に適用され得る。上記処方物はまた、組織/器官中またはそれらの外における流体の動きを止めるために腸、胆管および/または尿路に適用され得る。上記処方物は、特に麻酔剤、抗炎症剤、増殖因子、および抗感染症剤と一緒に処方される場合、出血または間質液の喪失を止めるためにフォーム、マトリクスまたは絆創膏の形態で熱傷または潰瘍に適用され得る。上記処方物は、創傷の縫合または接着と同時の投与のためか、あるいは創傷の縫合または接着の後に放出されるように縫合糸または粘着剤中に分散され、それによって出血、組織液または実質組織(例えば、肝臓、膵臓、および胃腸管)によって産生されるものなどの他の流体の喪失を制限し得る。上記処方物は、絆創膏、ガーゼ、スポンジ、または他の材料において、出血の即座の制御のために出血の任意の部位に適用され得るか、または出血を制御する縫合または圧力などの最初の処置が不十分である場合、後に放出され得る。上記処方物を含む乾燥した織物、脱水されたフォームまたはヒドロゲル、あるいは絆創膏は、例えば、迅速な処置が必要とされ得、そして保管場所が制限されている戦争中、事故現場、または診療所における傷害の処置のための応急処置キットの一部であり得る。絆創膏または包帯を特徴とする実施形態において、上記絆創膏または包帯は、創傷またはその実質的な部分(例えば、組織の最も傷害された部分または最も多く出血している領域)を覆うために十分な形状およびサイズの第1の層を含み得る。上記第1の層は、上面、底面、および必要に応じて、粘着剤によって全体的または部分的に覆われる周辺部を有し得る。絆創膏または包帯の第2の層は、粘着剤を有する周辺部または周辺部の任意の部分を必要に応じて除外して第1の層の底面に着脱可能に固定され得、そして自己集合性ペプチドを含む液体組成物または非液体組成物(例えば、ゲル、ペースト、フォーム、クリーム、軟膏、または粉末組成物)を含み得る。上記組成物は、絆創膏または包帯の適用の際に創傷と接触するようになり、そして第1の層または第1および第2の層を除去する際に絆創膏または包帯から創傷部位に移動可能である。同様の構成において、自己集合性分子を含む組成物は、第1の層の底部に付随し得(例えば、粘着剤周辺部の内部)、そして第2の層は、取り除かれ得る。いずれかの場合において、第1の層および/または第2の層は、下にある創傷の一部または全部を見ることができる透明なウインドウを含み得る。上記自己集合性物質を含む組成物は、それがパッケージされる前または使用直前に絆創膏に添加され得る。別の実施形態において、上記処方物は、流体の活発な流れが上記処方物の適用によって止められた後の乾燥による流体の喪失を予防するために、さらなる物理的バリア(例えば、シリコーンフィルムの層)を含み得る。上記処方物は、ヒドロゲル、積層体、またはスプレーとして適用され得る。
上記液体処方物は、自己集合性物質を含む組成物を含むバレルを有するシリンジまたはピペットおよびシリンジまたはピペット(例えば、プランジャーまたはバルブ)の開口先端から上記組成物を排出するための手段で提供され得る。上記シリンジは、適用時に自己集合性物質と1つ以上の他の因子との混合が生じるような1つ以上の区画からなり得る。上記区画はまた、1つの区画にヒドロゲルまたは粘着剤を形成する物質などの賦形剤を含み得、そして他の区画に自己集合性物質を含み得る。別の実施形態において、1つの区画は、自己集合性物質の凍結乾燥粒子を含み得、そして別の区画は、上記物質を溶解するか、もしくは水和させる溶媒または溶液を含み得るか、または乾燥用途のために他の粉末と混合され得る。上記バレル内の組成物は、本明細書に記載される任意の因子(例えば、1つ以上の血管収縮剤、着色剤、麻酔剤または鎮痛剤、抗生物質または他の治療剤、コラーゲン、抗炎症剤、増殖因子、または栄養分)をさらに含み得る。
上記液体組成物および粉末組成物は、好ましくは1年よりも長い期間、より好ましくは2年よりも長い期間、そして最も好ましくは3年よりも長い期間にわたって安定である。
(詳細な説明)
本発明は、体液(例えば、血液)の動き、および/または汚染因子(例えば、潜在的に感染性の微生物)の動きに影響を及ばすための組成物および技術を提供する。本発明の物質および技術によって、流体は、喪失を予防するために部分的かまたは完全に含まれ得ないか、あるいは汚染因子は、理想的にはそれらを含まないままの部位への動きから単離および阻害され得る。医療装置などの物品は、同様に汚染因子の動きの阻害のためにコーティングされ得る。本発明の物質および技術は、医療処置環境、または他の環境において使用され得る。本明細書中の種々の開示から見られるように、本発明の物質の他の用途が、提供される。
1つのセットの実施形態において、本発明の組成物は、生理学的状態(例えば、体液および/または汚染因子の動き)に影響を及ぼすように位置決められ得る。例えば、本発明の物質は、表面に適用され得、いくつかの場合において、外科的切開または創傷の発生の前、間、および/または後に、体液および/または汚染因子の動きを部分的もしくは実質的に阻害または予防するために十分な量で適用され得る。
いくつかの場合において、本発明の組成物は、自己集合性物質を含み得る。自己集合し、それによって構成(必要に応じて、他の物質(例えば、体液または組織)と組み合わせて)において流体および/または汚染因子の動きが阻害される状態へと変換され得る物質が、いくつかの実施形態において使用され得る一方で、上記物質は、本発明にしたがって機能するために必ずしも自己集合を必要としない。物質は、代表的に、本明細書に記載されるように機能するためにそれ自体と相互作用(自己集合の分子内相互作用または分子間相互作用など)し、および/またはそれらがおかれる環境(例えば、細胞の表面、別の表面、体液など)と相互作用する。この原理は、以下でさらに十分に考察される。本発明のいくつかの局面は、「自己集合性の」または「自己集合される」物質に関連して記載され、そしてこの用語法が使用されるはいつでも、上記物質は、本発明にしたがって機能するために自己集合し得るが、それを必要としないことをいうことが、理解される。参照は、いくつかの場合において、「集合性」物質に対して行われ、そしてこれは、自己集合および/または本発明による使用のために別の変換を受ける物質を包含することを意味する。いくつかの場合にでは、特定の物質は、いくつかの環境において自己集合し得、そして他の環境(例えば、補助成分(例えば、第1の環境において存在しない血液細胞)の存在下)において、全く自己集合する可能性がない。
上記物質は、例えば、血液、間質液、および/または脳脊髄液などの体液の漏出を制御することにおいて有用であり得る。いくつかの場合において、本発明は、絆創膏、スプレー、コーティング、または粉末に関連するものなどの組成物を提供する。いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、医師が上記物質を見て、それによって作業することを可能にするために十分に透明(例えば、光学的に透明)であり得る。
本発明の組成物は、使用に適切な形態で提供され得、そして、いくつかの場合において、体液、皮膚、あるいはそれ自体に対して(自己集合)か、または他の物質(例えば 細胞)に対して上記組成物の変化を促進する種を含む成分に曝されるまで、流体または汚染因子の動き、あるいは本明細書に記載される他の用途に影響を及ぼすために変換されるような様式で自己集合または相互作用する可能性がない。上記物質の多くの組成物が、体液中または皮膚上に固有のレベルで存在するイオンを含むイオン種に曝される場合、変化を受ける。変化(代表的に、粘度の増大、または本質的に流体から特に、ゲルまたは半固体形態への変換でさえ)を引き起こすためのイオンまたはその他の種へのこれらの物質の曝露は、使用の部位(例えば、動物の処置部位、または医療デバイス)に対する上記物質の適用の前、または間に皮膚、体液、または別の成分に対する曝露によって引き起こされ得、および/あるいは製造プロトコルを介してデバイス上に固有に存在し得る。
本発明と組み合わせて使用するために適切な多くの組成物および組成物のクラスは、以下に記載される。これらおよび他の物質は、当業者によって容易に選択され得る。
I.処方物
A.材料
ペプチド模倣物
本発明と組み合わせて使用され得る物質の1つのクラスは、ペプチド模倣物である。ペプチド模倣物は、本明細書中で使用される場合、ペプチド構造物を模倣する分子をいう。ペプチド模倣物は、それらの親構造物、ポリペプチドに対するアナログの一般的特徴(例えば、両親媒性)を有する。このようなペプチド模倣物物質の例は、Mooreら、Chem.Rev.101(12)、3893−4012(2001)に記載される。
用語「ペプチド」は、本明細書中で使用される場合、「ポリペプチド」および「オリゴペプチド」を含み、そして共有結合(例えば、ペプチド結合)によって一緒に連結された少なくとも2個のアミノ酸残基の線(string)をいう。有用なペプチドは、それらが本明細書に記載される1つ以上の目的に有用な程度に自己集合する能力を保持する限り、長さが変動し得る。少なくとも2アミノ酸程度の残基または多くとも約200アミノ酸程度の残基を有するペプチドが、適切であり得、そして自己集合することが認識されるペプチドは、この範囲内(例えば、8〜200、8〜36、8〜24、8〜16、12〜20、6〜64、または16〜20アミノ酸残基)の長さを有する。文脈に依存して、「ペプチド」とは、個々のペプチド、あるいは同じかまたは異なる配列を有するペプチドのコレクションをいう。さらに、自己集合性ペプチド中の1個以上のアミノ酸残基が、化学実体(アシル基、炭水化物基、炭水化物鎖、リン酸基、ファルネシル基、イソファルネシル(isofamesyl)基、脂肪酸基、あるいは結合体化または官能化のためのリンカー)の添加によって変更あるいは誘導体化され得る。有用なペプチドはまた、分枝状であり得、それらのペプチドは、少なくとも2つのアミノ酸ポリマーを含み、それらの各々は、ペプチド結合によって連結される少なくとも3個のアミノ酸残基からなる。上記2つのアミノ酸ポリマーは、それ自体、連結されるが、ペプチド結合によって連結されることはない。
ペプチドの配列は変化に多様であり得るが、有用な配列としては、ペプチドに両親媒性の性質を与える配列(例えば、ペプチドは、ほぼ等しい数の疎水性アミノ酸残基と親水性アミノ酸残基とを含み得る)が挙げられ、そして、ペプチドは、相補的であり得、かつ、構造的に適合性であり得る。相補的なペプチドは、構造物における隣接ペプチド上の残基(例えば、親水性残基)間に形成するイオン結合または水素結合を介して相互作用する能力を有する。例えば、ペプチドにおける一定の親水性残基は、隣接ペプチド上の親水性残基と水素結合またはイオンによる対形成のいずれかを行い得る。対になっていない残基は、溶媒に対して露出され得る。ペプチド−ペプチド相互作用はまた、ファンデルワールス力または共有結合を構成しない他の力を含み得る。ペプチドは、集合および構造物の形成を可能にするために十分な一定のペプチド間距離を維持し得る場合、構造的に適合性である。ペプチド間距離は多様であり得るが、この距離は、極めて小さいものであり得る(例えば、約4Å未満、約3Å未満、約2Å未満または約1Å未満)。しかしながら、ペプチド間距離(例えば、距離の代表的な数の平均)は、これよりも大きくあり得る。これらの距離は、分子モデリングに基づいて、または、以前に報告された単純化された手順(米国特許第5,670,483号を参照のこと)に基づいて算出され得る。
ペプチドが使用される場合、ペプチドがいかにして本発明に従って機能するかに関して、任意の特定の理論により束縛されることは望まないが、その側鎖(またはR基)が、正および/もしくは負に荷電したイオン性側鎖を持つ極性表面と、生理学的pHにおいて中性もしくは非荷電と考えられる側鎖を持つ非極性表面(例えば、アラニン残基もしくは他の疎水性基を持つ残基の側鎖)との2つの表面に分けられることが示唆される。1つのペプチドの極性表面上の、正に荷電したアミノ酸残基および負に荷電したアミノ酸残基は、別のペプチドの反対に荷電した残基と相補的なイオン対を形成し得る。したがって、これらのペプチドは、イオン性の自己相補的ペプチドと呼ばれ得る。イオン性残基が極性表面上で1つの正に荷電した残基と1つの負に荷電した残基とで交互に並ぶ場合(−+−+−+−+)、ペプチドは、「係数(modulus)I」として記述され得る;イオン性残基が極性表面上で2つの正に荷電した残基と2つの負に荷電した残基とで交互に並ぶ場合(−−++−−++)、ペプチドは、「係数II」として記述される;イオン性残基が極性表面上で3つの正に荷電した残基と3つの負に荷電した残基とで交互に並ぶ場合(+++−−−+++−−−)ペプチドは、「係数III」として記述される;イオン性残基が極性表面上で4つの正に荷電した残基と4つの負に荷電した残基とで交互に並ぶ場合(++++−−−++++−−−−)、これらは、「係数IV」として記述される。配列EAKAの反復単位を4つ持つペプチドは、EAKA16−Iと命名され得、そして、他の配列を持つペプチドは、同じ約束に従って記述され得る。
ペプチドベースの構造物は、ペプチドの異種混合物(すなわち、所与の式、または、2以上の式に適合する1以上のタイプのペプチドを含む混合物)から形成され得る。いくつかの実施形態では、この混合物中のペプチドのタイプの各々は、単独で自己集合可能である。他の実施形態では、ペプチドの1以上のタイプの各々は、自己集合できないが、異種ペプチドの組み合わせは、自己集合し得る(すなわち、混合物中のペプチドは、互いに相補的でありかつ構造的に適合性である)。したがって、同じ配列の、もしくは、同じ反復部分単位を含む自己相補的および自己適合性のペプチドの同種混合物、または、互いに対して相補的かつ構造的に適合性である異なるペプチドの異種混合物のいずれかが使用され得る。
まとめると、本明細書中に記載される様式において有用なペプチドは、相補的でありかつ構造的に適合性である疎水性アミノ酸残基と親水性アミノ酸残基とを交互に持つ配列を有し得るか、または、このような配列を含み得る。上述のように、ペプチドは長さが多様であり得、そして、4の倍数の残基であり得る。例えば、ペプチドは、長さ少なくとも8アミノ酸残基(例えば、8アミノ酸または10アミノ酸)、長さ少なくとも12アミノ酸(例えば、12アミノ酸または14アミノ酸)、または、長さ少なくとも16アミノ酸(例えば、16アミノ酸、18アミノ酸、20アミノ酸、22アミノ酸または24アミノ酸)であり得る。長さ100アミノ酸残基未満のペプチド、より好ましくは、長さ約50アミノ酸未満のペプチドは、より容易に集合られ得る。
所与のペプチドの片側または両側の末端が修飾され得る。例えば、それぞれ、カルボキシル末端残基およびアミノ末端残基のカルボキシル基および/またはアミノ基は、保護されても保護されなくてもよい。末端における電荷もまた修飾され得る。例えば、アシル基(RCO−、ここで、Rは、有機基(例えば、アセチル基(CH3CO−))である)のような基またはラジカルが、ペプチドのN末端に存在して、そうでなければ存在し得る「余りの」正電荷(例えば、N末端アミノ酸の側鎖から生じたものではない電荷)を中和し得る。同様に、アミン基(NH2)のような基は、そうでなければC末端に存在し得る「余りの」負電荷(例えば、C末端アミノ酸残基の側鎖から生じたものではない電荷)を中和するために使用され得る。アミンが使用される場合、C末端は、アミド(−CONH2)を有する。末端における電荷の中和は、自己集合を促進し得る。当業者は、他の適切な基を選択し得る。
本発明において使用するための種々の程度の堅さまたは弾性を有する構造物が形成され得る。構造物は、代表的に、低い弾性係数(例えば、標準的なコーン−プレート(cone−plate)レオメーターなどにおいて標準的な方法により測定した場合に、1〜10kPaの範囲の係数)を有する。低い値は、細胞収縮の事象において、圧力に応じた動きの結果としての構造物の変形を可能にするので、低い値が好ましくあり得る。組成物の所望の堅さは、組成物が適用される組織/器官によって指示され得る。堅さは、種々の方法(前駆体分子(例えば、自己集合性ペプチド)の長さ、配列および/または濃度を変えることによって、を含む)で制御され得る。堅さを増すための他の方法もまた採用され得る。例えば、前駆体にビオチン分子または任意の他の分子を結合させることができ、これらの分子はその後、架橋され得るか、そうでなければ、互いに結合され得る。分子(例えば、ビオチン)は、ペプチドのN末端もしくはC末端に含められ得るか、または、末端間の1以上の残基に結合され得る。ビオチンが使用される場合、架橋は、その後のアビジンの追加により達成され得る。ビオチンを含むペプチドまたは他の架橋可能な分子を含むペプチドは、本発明の範囲内である。例えば、芳香環を持つアミノ酸残基が組み込まれ、そして、UV光への曝露により架橋され得る。架橋の程度は、配列および濃度が既知のペプチドに対し、所定の長さの時間にわたり放射線を適用することにより、正確に制御され得る。架橋の程度は、標準的な方法を用いて、光散乱、ゲルろ過または走査型電子顕微鏡法により決定され得る。さらに、架橋は、マトリックスメタロプロテアーゼのようなプロテアーゼで消化した後に、構造物のHPLCまたは質量分光解析により調べられ得る。材料の強度は、架橋の前後に決定され得る。化学試薬もしくは光エネルギーにより架橋が達成されるかどうかとは無関係に、分子は、モールド作製の過程で、または、ペプチドを含む溶液が身体に適用されるときに架橋され得る。
構造物の半減期(例えば、インビボ半減期)もまた、前駆体中にプロテアーゼもしくはペプチダーゼによる開裂部位を組み込み、その後、所与の構造物を形成することによって調節され得る。天然に存在するか、または、(例えば、外科医により)導入されるプロテアーゼもしくはペプチダーゼは、次いで、その同系の基質を切断することによって、変性を促進し得る。本明細書中に記載される任意の修飾の組み合わせがなされ得る。例えば、プロテアーゼ開裂部位とシステイン残基とを含む自己集合性ペプチド、および/または、架橋剤、これらを含むキットおよびデバイス、ならびに、これらの使用方法が利用され得る。
任意のプロセスにより作製される、任意のペプチド(自己集合性ペプチドを含む)から形成されるペプチド構造物は、種々の生物物理学的技術および光学技術(例えば、円偏光二色性(CD)、動的光散乱、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)、原子間力(張力)顕微鏡(ATM)、走査型電子顕微鏡法(SEM)および透過電子顕微鏡法(TEM))を用いて特徴付けられ得る。例えば、生物物理学的な方法は、ペプチド構造物におけるβ−シート二次構造の程度を決定するために使用され得る。フィラメントおよび孔のサイズ、繊維の直径、長さ、弾性ならびに容量の割合(fraction)は、走査型電子顕微鏡写真および/または透過電子顕微鏡写真の定量的画像解析を用いて決定され得る。構造物はまた、膨潤の程度、構造物形成に対するpHおよびイオン濃度の影響、種々の条件下での水和のレベル、引っ張り強さ、ならびに、構造物が形成および分解するのに要する期間にわたり種々の特徴が変化する様式を測定するために、いくつかの標準的な機械的検査技術を用いて調べられ得る。これらの方法は、本明細書中に記載される種々の代替物およびペプチドのうちどれが種々の方法において使用するのに最も適しているかを当業者が決定することを可能にし、そして、種々のプロセスの最適化を可能にする。
本発明のペプチド模倣物物質としては、α−ペプチド、β−ペプチド、γ−ペプチドおよびδ−ペプチドが挙げられ得る。これらのペプチドのコポリマーもまた使用され得る。α−ペプチドのペプチド模倣物の例としては、N,N’−連結オリゴウレア、オリゴピロリノン(oligopyrrolinone)、オキサゾリジン−2−オン、アザチド(azatide)およびアザペプチドが挙げられるがこれらに限定されない。
適切なβ−ペプチドの例としては、β−ペプチドフォルダマー(foldamer)、α−アミノオキシ酸(aminoxy acid)、硫黄含有β−ペプチドアナログおよびヒドラジノペプチドが挙げられるがこれらに限定されない。
適切なγ−ペプチドの例としては、γ−ペプチドフォルダマー、オリゴウレア、オリゴカルバメートおよびホスホジエステルが挙げられるがこれらに限定されない。
適切なδ−ペプチドの例としては、アルケンベースのδ−アミノ酸およびカルボペプトイド(例えば、ピラノースベースのカルボペプトイドおよびフラノースベースのカルボペプトイド)が挙げられるがこれらに限定されない。
ヘリックスコンホメーションまたはシートコンホメーションに適合し得る骨格を有するオリゴマー
本発明に関連して有用な化合物の別の分類としては、ヘリックスコンホメーションまたはシートコンホメーションに適合し得る骨格を有するオリゴマーが挙げられる。このような化合物の例としては、ビピリジンセグメントを利用する骨格を有する化合物、疎溶媒性相互作用を利用する骨格を有する化合物、側鎖相互作用を利用する骨格を有する化合物、水素結合による相互作用を利用する骨格を有する化合物、および、金属配位を利用する骨格を有する化合物が挙げられるがこれらに限定されない。
ビピリジンセグメントを利用する骨格を含む適切な化合物の例としては、オリゴ(ピリジン−ピリミジン)、ヒドラザル(hydrazal)リンカーを持つオリゴ(ピリジン−ピリミジン)、およびピリジン−ピリダジンが挙げられるがこれらに限定されない。
疎溶媒性相互作用を利用する骨格を含む適切な化合物の例としては、オリゴグアニジン、イーダマー(aedamer)(共有結合したサブユニットの芳香族電子供与体−受容体相互作用のスタッキング特性を利用する構造物)(例えば、1,4,5,8−ナフタレン−四カルボン酸ジイミド環および1,5−ジアルコキシナフタレン環)およびシクロファン(cyclophane)(例えば、置換N−ベンジルフェニルピリジニウムシクロファン)が挙げられるがこれらに限定されない。
側鎖相互作用を利用する骨格を含む適切な化合物の例としては、キラルp−フェニル−オキサゾリン側鎖を持つオリゴチオフェンのようなオリゴチオフェン、およびオリゴ(m−フェニレン−エチレン)が挙げられるがこれらに限定されない。
水素結合による相互作用を利用する骨格を含む化合物の例としては、芳香族アミド骨格(例えば、オリゴ(アシル化2,2’−ビピリジン−3,3’−ジアミン)およびオリゴ(2,5−ビス[2−アミノフェニル]ピラジン))、シアヌル酸で型取られた(templated)ジアミノピリジン骨格およびイソフタル酸で型取られたフェニレン−ピリジン−ピリミジンエチニレン骨格が挙げられるがこれらに限定されない。
金属配位を利用する骨格を含む適切な化合物の例としては、亜鉛ビリノン(bilinone)、Co(II)、Co(III)、Cu(II)、Ni(II)、Pd(II)、Cr(III)またはY(III)と錯体形成したオリゴピリジン、金属配位シアノ基を含むオリゴ(m−フェニレンエチニレン)、およびヘキサピリン(hexapyrrin)が挙げられるがこれらに限定されない。
ヌクレオチド模倣物
本発明において使用され得、そして、いくつかの場合において、自己集合し得る分子の別のクラスは、異性体オリゴヌクレオチド、改変された炭水化物、改変されたヌクレオチド連結を持つヌクレオチド、および代替的な核酸塩基を持つヌクレオチドのようなヌクレオチド模倣物である。
適切な異性体ヌクレオチドの例としては、iso−RNAおよびiso−DNAおよびα−DNA(アノマー配置がβからαに変化したもの)、alt−DNAならびに1−DNAが挙げられるがこれらに限定されない。
適切な改変された炭水化物の例としては、テトラフラノシルオリゴヌクレオチド、ペントピラノシルオリゴヌクレオチドおよびヘキソピラノシルオリゴヌクレオチドのようなC1’−塩基連結性を持つ骨格;isoヌクレオチド(塩基糖連結がC1位からC2位に移動したもの)、HNA(フラノースのO4’位とC1’位との間に追加のメチレン基が挿入されたもの)、ANA(C3’−(S)−ヒドロキシル基を組み込んだもの)、MNA(ANAにおけるC3’−OH配置が(S)から(R)へと反転したもの)、CNA(ヘキソースのOをメチレン基で置き換えたもの)、CeNA(類似の環内に5’−6’アルケンを導入したもの)、ならびに、他の環系、ねじれが制限されたオリゴヌクレオチド(例えば、二環式オリゴヌクレオチド、LNA(ペントフラノース骨格の3’−エンド配置への制限))、ねじれに対し柔軟なオリゴヌクレオチド(例えば、塩基糖伸長物(α−デオキシヌクレオチドおよびβ−デオキシヌクレオチドの両方にメチレン基およびエチレン基を挿入したもの)およびアシル酸骨格(ホスホジエステル結合を組み込んだグリセロール誘導体))が挙げられるがこれらに限定されない。改変されたヌクレオチド連結を持つヌクレオチドの例としては、PNA(ペプチド核酸)、NDP(ヌクレオ−δ−ペプチド)、縮合した糖−塩基骨格およびカチオン性連結が挙げられるがこれらに限定されない。
適切な代替的な核酸塩基の例としては、代替的な芳香族核酸塩基を持つヌクレオチドが挙げられるがこれらに限定されない。
他の物質
自己集合可能であるか、または、他に本発明において有用であり得る他の物質としては、N−アルキルアシルアミドオリゴマー、ならびにジブロックコポリマーおよびトリブロックコポリマーが挙げられる。N−アルキルアシルアミドは、自己集合されたシート様の構造物を呈し得る。適切なブロックコポリマーの例としては、コポリペプチド、ポリペプチド−PEGS、PEO−ポリブタジエン、PEG−ポリサッカリドなどが挙げられる。
B.物質の形成
使用前に、本発明の物質は、不活性な状態に維持されても、実質的にイオン(例えば、一価のイオン)を含まないかもしくは有意な自己集合もしくは他の変態を防ぐために十分に低い濃度のイオン(例えば、10mM未満、5mM未満、1mM未満もしくは0.1mM未満のイオンの濃度)を含む溶液中に含められ(例えば、溶解され)てもよい。自己集合、または、流体もしくは汚染因子の動きを阻害する方向に向かう他の変態は、物質の溶液にイオン性の溶質もしくは希釈剤を加えるか、または、pHを変化させることによって、その後の任意の時点で開始もしくは強化され得る。例えば、約5mMと5Mとの間の濃度のNaClは、短期間(例えば、数分以内)で肉眼で見える構造物の集合を誘導し得る。より低い濃度のNaClもまた集合を誘導し得るが、速度はより遅い。あるいは、自己集合または他の変態は、流体(例えば、血液もしくは胃液のような生理学的流体)または領域(例えば、鼻もしくは口のような体腔、または、外科的手順により露出される腔)内に、このようなイオンを含む物質(乾燥物であるか、半固形ゲルであるか、または実質的にイオンを含まない液体溶液中に溶解されているかにかかわらない)を導入することによって、開始もしくは強化され得る。一般に、自己集合は、物質を任意の様式でこのような溶液と接触させた際に生じる。
アニオンおよびカチオンを含めて広範な種々のイオン(二価であるか、一価であるか、または三価であるかにかかわらない)は、本発明の物質の自己集合もしくは他の変態に、流体および/または汚染因子の動きを防止し得る状態を生じさせるために使用され得る。例えば、一価のカチオン(例えば、Li+、Na+、K+およびCs+)への曝露により相転移を促進することができる。自己集合または他の変態を誘導もしくは強化するために必要とされるこのようなイオンの濃度は、代表的には、少なくとも5mM(例えば、少なくとも10mM、20mMまたは50mM)である。速度は低下するものの、より低い濃度もまた、集合を促進する。所望される場合、集合を生じる物質は、低下した速度ではあるが自己集合もしくは他の変態を可能にする濃度の疎水性物質(例えば、薬学的に受容可能な油)と共に送達され得る。このような物質が油もしくは脂質のような疎水性因子と混合される場合、物質の集合は、異なる構造物を形成する。構造物は、油の層の上の氷のように見える。ある場合には、別の物質が追加される場合、物質は、治療剤の積載に適し得る種々の他の三次元構造物へと集合する。分子の親水性部分は、疎水性−親水性相互作用を最小にするような方法で集合し、それにより、2つの環境間にバリアを生じる。いくつかの実験は、集合性物質が、水上の油様の表面上で、分子の疎水性部分がその表面の方を向き、そして、分子の親水性部分が油から離れて面した状態で整列するか、または、疎水性の物質が内側に含まれた状態の環状体様の構造物を形成することを示している。このタイプの挙動は、関心のある治療剤もしくは他の分子の体内への送達のためのカプセル化を可能にする。
肉眼で見える構造物の処方物および所望の特性(例えば、足場の堅さまたはその形成速度)に依存して前駆体(例えば、自己集合性物質)の濃度は、約0.01%w/v(0.1mg/ml)〜約99.99%w/v(999.9mg/ml)(端を含める)で変動し得る。例えば、足場形成前の濃度は、約0.1%(1mg/ml)と10%(100mg/ml)との間(端を含める)であり得る(例えば、約0.1%〜5%;0.5%〜5%;1.0%;1.5%;2.0%;2.5%;3.0%;もしくは4.0%、またはそれ以上)。前駆体(例えば、自己集合性物質)は、粉末として処方され得、そして、粉末形状で投与されても、再懸濁されてもよい。乾燥物である場合、物質は、(例えば、損傷部位において)体液と接触した後に自己集合し得る。
物質は、体腔もしくは身体の一部(例えば、血管の管腔)を含み得るか、または、プラスチックもしくはガラスのような不活性物質であり得る、規則正しい形状もしくは不規則な形状のモールド内に形成され得る。構造物または足場は、所定の形状に適合するように、または、所定の容量を有するように作製され得る。所定の形状もしくは容量(例えば、薄いシートもしくはフィルムを含め、所望の幾何学もしくは寸法)を持つ構造物を形成するために、物質の水溶液が、予め成形された鋳造モールド内に配置され、そして、物質が、複数のイオンを加えることによって自己集合するように誘導される。
あるいは、イオンは、溶液をモールド内に配置する直前に溶液に加えられ得るが、ただし、実質的に集合が生じる前に溶液をモールド内に配置することに注意が払われる。モールドが組織(例えば、血管もしくは他の区画の管腔、インサイチュであるかまたはインサイチュでないかにはかかわらない)である場合、イオン性溶液の添加は必要でない場合がある。結果として得られる物質の特徴、集合に要する時間、および、形成される肉眼で見える構造物の寸法は、適用される溶液の濃度および量、構造物の集合を誘導するために使用されるイオンの濃度、ならびに、鋳造装置の寸法により支配される。足場は、室温ではゲル様もしくは実質的に固体の形態をとり得、そして、成形を促進するために熱が加えられ得る(例えば、成形プロセスにおいて使用される溶液(例えば、前駆体を含む溶液)をほぼ体温(約37℃)まで上昇する温度まで加熱し得る)。一度足場が所望の程度の堅さに到達すると、この足場は、モールドから外され、そして、本明細書中に記載される目的のために使用され得る。
身体と接触したときに、集合するか、そして/または、相転移(例えば、液体状態から半固体、ゲルなどへの転移)を受ける物質は、身体の物質の動きを防止するのに有用である。自己集合または相転移は、被験体の身体内で見られる成分(例えば、イオン)によって、または、生理学的pHによって誘発され、そして、生理学的温度によって補助される。自己集合または相転移は、組成物が被験体の身体に露出されるかもしくは被験体の身体と接触するときに開始し得、そして、組成物が堆積された(または堆積される)領域に熱を局所的に適用することによって促進され得る。今日までの研究に基づけば、自己集合は、追加の熱を適用することなしに内部の身体組織と接触した際に迅速に生じる。有効な自己集合および/または相転移に要する時間は、被験体の内部組織との接触後、または、体内で見られるものと同様の条件との接触後、60秒以内(例えば、50秒以下、40秒以下、30秒以下、20秒以下または10秒以下)に生じ得る。組成物中の自己集合性因子の濃度が低い状況もしくは身体の物質の動きが重大である状況のようないくつかの状況において、自己集合もしくは相転移は、所望の効果を達成するためにより長い時間(例えば、1分まで、5分まで、10分まで、30分まで、1時間まで、またはそれより長く)かかり得る。例えば、脳、肝臓もしくは筋肉における血管の切開部位に適用される自己集合性ペプチドを含む溶液は、適用から10秒程度の短い時間内に完全な止血を提供した。組成物が、汚染物質から被験体を保護するために使用される場合、イオンを含む溶液が好ましくあり得る。というのも、非イオン性組成物が無傷な皮膚と接する際、相転移は起こらないか、または、容易には起こらないからである。
組成物は、実質的に剛性である構造物(例えば、固体もしくはほぼ固体)、または、一定の形状および容量をとる構造物(例えば、インビボであれエキソビボであれ、液体組成物が投与された位置の形状および容量と適合する構造物)を形成し得る。堅くなった物質は、集合もしくは相転移の後、幾分変形可能もしくは圧縮可能であり得るが、実質的には1つの領域から別の領域へと流れない。というのも、液体から固体への連続的系列に沿った異なる点における組成物は実際、少なくとも部分的にはその能力に起因して、相転移を受け得るからである。結果として、組成物は、身体物質の動きの防止を必要とする被験体において身体物質の動きを防止するために使用され得る。自己集合はまた、特定の範囲の生理学的値内の条件(例えば、細胞もしくは組織培養に適切な条件)への曝露によりエキソビボで達成され得る。液体処方物は容易に分配されるが、投与される組成物はまた、被験体の身体と接触する際により堅くなり得るゲル形状であり得る。
任意の所与の処方物における自己集合性物質の濃度は多様であり得、そして、約0.1%(1mg/ml)と10%(100mg/ml)との間(端を含める)であり得る。例えば、(例えば、液体処方物における)自己集合性ペプチドの濃度は、約0.1〜3.0%(1〜30mg/ml)(例えば、0.1〜1.0%;1.0〜2.0%;2.0〜3.0%または1.0〜3.0%)であり得る。自己集合性物質の濃度は、ストック溶液および固体(例えば、粉末状)処方物においてより高くあり得る。固体調製物において、自己集合性物質の濃度は、100%に達し得る(例えば、自己集合性ペプチドの濃度は、組成物の95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上(例えば、99.99%)であり得る)。液体であれ固体形態であれ、物質は、希釈剤(例えば、脱イオン水)、粉末、湿潤剤、または、治療剤、診断剤もしくは予防剤を加えることにより、使用前に所望の濃度にされ得る。
自己集合性物質の厳密な性質とは無関係に、本明細書中に記載される条件のような条件に曝露されると、物質は、整った織り合わされた(interwoven)ナノファイバーを持つ安定な肉眼で見える多孔性マトリクスを含む、膜状の二次元もしくは三次元の構造物(例えば、直径約10〜20nmで、縦寸法で孔径が約50〜100nmの繊維)を形成し得る。三次元の肉眼で見えるマトリクスは、低倍率(約10倍以下)で見えるほど十分に大きい寸法を有し得、そして、膜状の構造物は、透明なものであったとしても、裸眼で見ることができる。三次元ではあるが、この構造物は、非常に薄く、限られた数の分子層(例えば、分子の2つ、3つもしくはそれより以上の層)を備え得る。代表的には、所与の構造物の各寸法は、少なくとも10μmのサイズである(例えば、2つの寸法が少なくとも100〜1000μmのサイズ(例えば、1〜10mm、10〜100mmもしくはそれ以上)である)。問題とされる寸法は、長さ、幅、深さ、横幅、高さ、半径、直径、もしくは、実質的に規則的な形状を持つ構造物の場合(例えば、構造物が球形、円筒形、管状などである場合)は周囲、または、構造物が規則的な形状を有さない場合には、上記のうちいずれかの近似値として表され得る。
自己集合性物質は、本明細書中に記載されう条件(例えば、十分な濃度(例えば、生理学的濃度)のイオン(例えば、一価カチオン)の存在下)のような条件下で水と接触したときに、水和された物質を形成し得る。物資は、高い水分含量(例えば、約95%以上(例えば、約97%、98%、99%またはそれ以上))を有し得、そして、組成物は、水和され得るが、実質的には自己集合され得ない。例えば、測定がなされる状況および測定を行う当業者に依存して測定が変動し得るという事実を認めて、所与の値は、「おおよそ」であり得る。一般に、値が近似ではないことが文脈から明らかである場合、または、例えば、このような値が可能な値の100%を超える場合を除き、第一の値が第二の値の10%以内(第二の値より大きくとも小さくとも)に入るとき、第一の値は第二の値とほぼ等しい。
構造物または足場の特性および機械的強度は、その内部の成分の操作を通じて必要とされるように制御され得る。例えば、集合したゲルの堅さは、その内部の自己集合性物質の濃度を増加させることによって増加され得る。物質、および、自己集合した際に物質によって形成される構造物の配列、特徴および特性は、以下にさらに考察される。
組成物は、濃縮ストックまたは乾燥形態として処方され得、そしてこれらは、インビトロもしくはインビボで生物の細胞に対し実質的に非毒性である生体適合性組成物を形成するために希釈もしくは溶解され得る。例えば、組成物は、レシピエントの身体に対し有意な有害な作用(例えば、法外に重篤な免疫学的反応もしくは炎症性反応、または、容認でいない瘢痕組織の形成)を誘発しない量の物質を含み得る。
集合していない物質を含む溶液が生体組織に塗られる場合、組織に対し十分な近さを有する物質は集合して、溶液をゲルにする。組織から遠く離れたままのあらゆる溶液は、液体のままである。というのも、自己集合性物質が、まだ、その集合を促進する条件に曝露されていないからである。(例えば、外科的手順を行うことにより)物質が乱されると、この物質は身体と十分に接触するようになるので、液体物質はゲルになるようである。この時点で、組成物は、液体から固体までの範囲の特徴(ゲル様もしくは軟膏様のような特徴、または、スラリーとしての特徴)をとり得る。
本明細書中に開示される処方物は、1年より長い期間、好ましくは、2年より長い期間、そして、より好ましくは、3年より長い期間にわたり安定である。
本発明の多くの局面は、「自己集合」または「自己集合性」物質の文脈で記載される。上述のように、いくつかの局面および状況において、本発明の組成物は、種々の粘度、相、形態、または、組成物が体液の動きの阻害のような本発明の用途のうちの1つに適うことを可能にする他の形状における差を有し得る物質へと自己集合し得ることが理解されるべきである。しかしながら、自己集合は、あらゆる局面において必要とはされない。例えば、いくつかの状況において、本発明の組成物は、自己集合なしではあるが、組織を互いに関してもしくは組織に対して固定すること、異なる組織成分を互いに関して固定すること、あるいは、他の本発明の組成物との、または、処置される被験体の成分、デバイスもしくは物品との本発明の目的が実現されるような様式での他の相互作用などの別の手順を通して、本発明の利益が実現されるような様式で、細胞、組織または他の成分と相互作用するように機能し得る。したがって、自己集合は本発明の特定の局面および特定の状況において重要な役割を果たし得る一方で、本発明の全ての実施形態に必須の局面ではない。
C.さらなる治療剤、予防剤および診断剤
処方物は、代表的に、賦形剤もしくは他の薬学的に受容可能なキャリアを含むか、または、医療デバイスもしくはコーティングの一部として提供される。処方物はまた、他の治療剤、予防剤もしくは診断剤を含み得る。好ましい実施形態では、これらは、抗炎症剤、血管作用性剤、抗感染症剤、麻酔剤、増殖因子、および/または、細胞であり得る。
これらは、ペプチドもしくはタンパク質、ポリサッカリドもしくはサッカリド、核酸ヌクレオチド、プロテオグリカン、脂質、炭水化物、または小分子、代表的には、天然物から単離され得るか、もしくは、化学合成により調製され得る、複数の炭素−炭素結合を有する有機化合物であり得る。小分子は、比較的低い分子量(例えば、約1500g/mol未満)を有し、そして、ペプチドでも核酸でもない。物質はまた、生物において見られる分子に代表的な特徴を有する分子(例えば、ペプチド、プロテオグリカン、脂質、炭水化物もしくは核酸)である生体分子であり得る。小分子と同様に、生体分子は、天然に存在するものであっても、人工的なものであってもよい(すなわち、これらは、天然には見出されない分子であり得る)。例えば、天然には見出されない配列(例えば、公的に利用可能な配列データベースに存在しない配列)を有するタンパク質、または、人の手により自然ではない方法で修飾された既知配列(例えば、グリコシル化のような翻訳後プロセスを変更することにより修飾された配列)を有するタンパク質は、人工的な生体分子である。このようなタンパク質をコードする核酸分子(例えば、必要に応じて発現ベクター内に含まれるオリゴヌクレオチド)もまた生体分子であり、そして、本明細書中に記載される組成物中に組み込まれ得る。例えば、組成物は、複数の自己集合性物質と、(このタンパク質生体分子をコードする核酸配列を含むことによって)タンパク質生体分子を発現するか、または発現するように操作された細胞とを含み得る。
多くの異なる治療剤、予防剤または診断剤が、処方物中に組み込まれ得る。代表的な血管収縮剤としては、エピネフリンおよびフェニレフリンが挙げられる;代表的な着色剤としては、アルセンアゾ(arsenazo)III、クロロホスホンアゾ(chlorophosphonazo)III、アンチピリルアゾ(antipyrylazo)III、ムレキシド(murexide)、Eriochrome Black T、Eriochrome Blue SE、オキシアセトアゾ(oxyacetazo)I、カルボキシアゾ(carboxyazo)III、トロポロン(tropolone)、メチルチモールブルー、およびMordant Black 32が挙げられる;代表的な麻酔剤としては、ベンゾカイン、ブピバカイン、ピクリン酸ブタンベン(butamben picrate)、クロロプロカイン、コカイン、キュレート(curate)、ジブカイン、ジクロニン、エチドカイン、リドカイン、メピバカイン、プラモキシン、プリロカイン、プロカイン、プロポキシカイン(propoxycaine)、ロピバカイン、テトラカイン、またはこれらの組み合わせが挙げられる。麻酔剤の局所適用は、例えば、熱傷もしくは皮膚への他の創傷(褥瘡性潰瘍を含む)のため、または、最小侵襲性の外科手術のためのような、いくつかの状況において必要とされる全てであり得る。同一の処方物中に存在することにより組み合わせるか、同時投与により組み合わせるかによらず、局所麻酔剤を自己集合性物質と組み合わせることで、体内に麻酔薬を含み、そして、循環中に入る量を減らすことの助けとなり得る。
フェニレフリンのような血管収縮剤は、局所麻酔薬の作用を延長するために含められ得る(例えば、0.1〜0.5%フェニレフリン)。局所麻酔剤以外の鎮痛剤(例えば、ステロイド、インドメタシンのような非ステロイド性抗炎症剤、レキシパファント(lexipafant)のような血小板活性化因子(PAF)インヒビター、CV3988および/またはSRI63−441のようなPAFレセプターインヒビター)。抗感染剤または抗菌剤(例えば、抗生物質、抗細菌剤、抗ウイルス剤または抗真菌剤)が、全身投与もしくは局所投与のために含められ得る。例としては、β−ラクタム系抗生物質(例えば、ペニシリンおよびセファロスポリン)および細胞壁合成の他のインヒビター(例えば、バンコマイシン、クロラムフェニコール、テトラサイクリン、マクロライド、クリンダマイシン、ストレプトグラミン、アミノグリコシド、スペクチノマイシン、スルホンアミド、トリメトプリム、キノロン、アムホテリシンB、フルシトシン、アゾール(例えば、ケトコナゾール、イトラコナゾール、フルコナゾール、クロトリマゾールおよびミコナゾール)、グリセオフルビン、テルビナフィンおよびナイスタチン)が挙げられる。抗菌剤は、例えば、皮膚の感染もしくは熱傷を処置するために、または、カテーテル(例えば、静脈内カテーテル)の挿入部位における感染の防止を助けるために、局所投与され得る。例えば、カナマイシン、ネオマイシン、バシトラシン、ポリミキシン、局所用スルホンアミド(例えば、酢酸マフェナイドまたは銀スルファジアジン)または硫酸ゲンタマイシン。抗菌剤はまた、広域スペクトルの薬剤であり得る。例えば、第2世代、第3世代または第4世代のセファロスポリンが使用され得る。これらの薬剤は、グラム陽性種およびグラム陰性種の両方を含む広範囲の細菌に対して活性であり得る。このような抗細菌剤は、腸切除、または、腸壁の完全性を意図的にもしくは偶発的に妨げる他の外科手術の間のような腸の内容物の動きを阻害するために存在する足場が使用される場合、特に適切であり得る。当業者は、患者の病歴(例えば、このような薬剤に対するアレルギー反応のあらゆる病歴)、ペプチドが適用される位置、存在する可能性のある感染性因子のタイプなどのような要因を考慮することにより、適切な抗菌剤を選択し得る。本明細書中に記載される任意の組成物は、それらが、自己集合性前駆体のみを含もうと、前駆体と1以上の生物活性分子とを含もうとも、(そして、液体であれ、半固体であれ、固体形態であれ)、着色剤を含み得る。適切な着色剤としては、市販の食品着色剤、天然および合成の色素、ならびに、蛍光分子が挙げられる。
好ましくは、着色剤は、非毒性であるか、または、あらゆる毒性作用を最小限にするような低い濃度で含められる。着色剤の使用は、構造物もしくは足場により覆われる領域の可視化の改善を可能にし、そして、除去が望ましい場合には、このような除去を容易にし得る。着色剤は、汚染領域と接触したときに色が変化するものであり得る(例えば、色の変化が、汚染物質自身により(例えば、創傷部位に存在する血液または細菌により)誘発され得る)。例えば、細菌の代謝産物が、色の変化を誘発し得る。pHまたは汚染因子により誘導される酸化還元状態のような条件もまた検出され得る。例示的なインジケーターとしては、Mg2+については、アルセンスアゾIII、クロロホスホンアゾIII、アンチピリルアゾIII、ムレキシド、Eriochrome Black TおよびEriochrome Blue SE、オキシアセトアゾI、カルボキシアゾIII、トロポロン、メチルチモールブルー、ならびにMordant Black 32が挙げられる。アラマーブルー、酸化還元インジケーターおよびフェノールレッドもまた、組成物および方法において使用される。
多くの他の活性因子が組成物中に含まれ得る。例えば、治癒の1以上の局面(例えば、新脈管形成、細胞移動、プロセスの延長、および細胞増殖)を加速するために多数の増殖因子が含められ得る。これらのタイプの組成物は、他の物と同様に、組成物中に含めることによって、または、本発明の方法において同時に投与することによって、「含められ」得る。例としては、血管内皮増殖因子(VEGF)、トランスフォーミング増殖因子(TGF)(例えば、トランスフォーミング増殖因子p)、血小板由来増殖因子(PDGF)、上皮増殖因子(EGF)、神経増殖因子(NGF)、インシュリン様増殖因子(例えば、インシュリン様増殖因子I)、グリア増殖因子(GGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)などが挙げられる。多くの場合、これらの用語は、種々の異なる分子種を指すことが理解される。例えば、いくつかのトランスフォーミング増殖因子R種が当該分野で公知である。当業者は、例えば、組成物が投与される部位を考慮することによって、適切な増殖因子の選択に誘導される。例えば、EGFは、皮膚に適用される組成物中に含められ得る;NGFおよび/またはGGFは、神経もしくは神経系に適用される組成物中に含められ得る;などである。
増殖因子または別の薬剤は化学走性物質であり得、これは、インビボもしくは細胞培養において、その物質が存在する部位へと細胞を補充する能力を有する。補充された細胞は、(例えば、組織に対し構造的および/または機能的に寄与することにより(例えば、増殖因子を提供することによって、または、所望の免疫応答に寄与することによって))新しい組織の形成、または、既存の損傷された組織の修復に寄与する可能性を有し得る。特定の化学走性物質もまた、増殖性因子(例えば、NGFまたはBDNFのような向神経性因子)として機能し得る。
組成物はまた、シアノアクリレート、酸化セルロース、フィブリン糊、コラーゲンゲル、トロンビン粉末、微小孔性ポリサッカリド粉末、凝固因子(例えば、第V因子、第VIII因子、フィブリノーゲンまたはプロトロンビン)およびゼオライト粉末のような化合物と組み合わせて、または、このような化合物の代わりに使用され得る。
1つの実施形態において、ビタミンが物質に加えられ得る(例えば、肝臓外科手術後のビタミンK)。さらに、物質と組み合わせて局所適用されたときに、組織もしくは皮膚の再構築を促進するために他のビタミンが加えられ得る。これは、損傷後、または、局所的な水和の通常の過程において、なされ得る。
1以上の治療剤、診断剤および/または予防剤は、同じ処方物において自己集合性物質と同時に投与されても、別々の処方物において同時に投与されても、別々に投与されてもよい。
治療用分子は一般に、臨床上有意な結果を達成するために有効量で投与され、そして、その有効投薬量および濃度は当該分野で公知であることが理解される。これらの投薬量および濃度は、本発明の文脈における投薬量および濃度の選択を誘導し得る。生物活性分子は、種々の適切な濃度および適切な量(例えば、μgもしくはmgの範囲、またはこれより多く)で提供され得る。参考までに、Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics、第10版、およびKatzung、Basic and Clinical Pharmacologyのような教科書を参考にし得る。
細胞
(例えば、組織の治癒を促進するために)細胞が患者に送達される場合、自己由来の細胞が使用され得る。1つの実施形態において、細胞は、物質中に分散され、そして移植された、患者由来の造血細胞であり得る。別の実施形態において、細胞は、臍帯血赤血球であり得る。
上記のような成形された足場、液体組成物、ゲル、固体(例えば、粉末)または他の半固形の実施形態は、生物活性分子または細胞のような1以上の追加の物質を含み得る。いくつかの場合において、細胞は、自然状態で、または、(例えば、組換えタンパク質を発現しそして/または分泌させるための)遺伝子操作の後のいずれかに、生物活性分子を分泌し得る。本明細書中に記載される構造物は、細胞の付着、生存および増殖を支援し得る;これらは、細胞が、物質の表面上で培養されるとき、または、細胞が物質内で増殖するとき(例えば、被包される場合)に観察されている。さらに、構造物は、ニューロンがこの構造物上で増殖するかもしくはこの構造物内で増殖する場合、ニューロンの増殖およびシナプスの形成のための培養基として機能し得る。したがって、生物活性分子および細胞は、ペプチド構造物内に被包され得、そして、こうして被包される場合、実質的な機能および生存性を維持し得る(例えば、米国特許出願第09/778,200号および米国特許出願第10/196,942号を参照のこと)。
D.賦形剤、キャリアおよびデバイス
処方物は、薬学的に受容可能なキャリアを含むか、または、医療デバイスもしくはコーティングの一部として提供される。
1つの実施形態において、処方物は、粉末として直接投与されて、適用部位において水和し得るか、または、または、液体(最も好ましくは水性液体)中に懸濁もしくは溶解されて、スプレー、ペイントもしくは注射もしくはヒドロゲル(例えば、キチン、コラーゲン、アルギン酸または合成ポリマー)として適用され得る、乾燥粉末もしくは凍結乾燥粉末として提供される。別の実施形態において、処方物は、圧縮されたカシェ剤、ディスクまたは錠剤として投与される。なお別の実施形態において、処方物は、水性溶液中に溶解されてデバイス上で乾燥され得るか、または、ポリマー性キャリアと混合されてデバイスに適用され得る、デバイス(例えば、ステントまたはカテーテル)上のコーティングとして提供される。なお別の実施形態において、処方物は、ペプチドが内部に分散もしくは吸収され得る絆創膏、フォームまたはマトリクス中に提供される。処方物はまた、縫合糸、テープまたは粘着剤の形状でもあり得る。
従来どおり、局所麻酔剤は、局所投与により送達される(例えば、軟膏、クリームまたは溶液として処方される)か、または、遮断することを望む神経線維が存在する領域に注射される。処方物は、特に、麻酔剤、抗炎症剤、増殖因子および抗感染剤と共に処方される場合、出血または間質液の喪失を停止するために、フォーム、マトリクスもしくは絆創膏の形状で、熱傷もしくは潰瘍に対して投与され得る。
本明細書中に記載される1以上の組成物は、使用のための説明書と共に、キット内にまとめられ得る。例えば、キットは、自己集合性ペプチドを含む生体適合性組成物(または、その濃縮溶液もしくは粉末化処方物を、希釈剤と共に)、および、血管収縮剤、着色剤、または鎮痛剤もしくは麻酔剤と、その組み合わせのため(まだ組み合わされていない場合)および使用のため(例えば、希釈および投与)の説明書とを含み得る。キットはさらに、本明細書中に記載される1以上の追加の薬剤を含み得る。これらの薬剤は、ペプチドベースの組成物内に存在しても、別々に包装されていてもよく、そしてこれらは、1以上のタイプの生物学的細胞、抗生物質もしくは他の治療剤、コラーゲン、抗炎症剤、公職因子または栄養分を含み得る。キットはまた、シリンジ(例えば、バレルシリンジまたはバルブシリンジ)、針、ピペット、ガーゼ、スポンジ、コットンなど、スワブ、絆創膏、鼻血用の栓(nosebleed plug)、消毒剤、外科用糸、鋏、メス、滅菌の流体、噴霧用キャニスター(液体溶液が片手用ポンプにより噴霧されるものを含む)、滅菌の容器、または使い捨ての手袋のうち1以上を含み得る。
処方物は、1以上の障害の処置に適切なように投与され得る。例えば、処方物は、損傷を修復するため、または、肺もしくは硬膜の関連の外科手術、または、硬膜外もしくは脊髄の穿刺の後に、脳脊髄液の漏れを停止するために適用され得る。処方物は、創傷を縫合もしくは接着する際に投与するため、または、創傷を縫合もしくは接着した後に放出されるために、縫合糸もしくは粘着剤中に分散され得、それにより、出血、組織液もしくは実質組織(例えば、肝臓、膵臓および胃腸管)により生成されるような他の流体の喪失を制限する。処方物は、出血の即時の制御のために、絆創膏、ガーゼ、スポンジもしくは他の物質中で任意の出血部位に適用されても、縫合もしくは加圧のような初期処置が不十分である場合に出血を制御するために後に放出されてもよい。
処方物を含む、乾燥した織物、脱水したフォームもしくはヒドロゲル絆創膏は、例えば、戦時、事故の現場において、または、迅速な処置が必要とされ得、かつ収容スペースが限られている診療所において、損傷の処置のための救急箱の一部となり得る。
いくつかの実施形態では、自己集合性物質を含む組成物は、外科用スポンジに関連付けられ得る。例えば、液体組成物は、その使用前もしくは使用中に市販のスポンジに吸い込ませられ得る。研究は、止血が、従来のスポンジなしで満足に達成され得るが、しかし、自己集合性物質を含む組成物を含むことが有益であり得る場合が存在し得る(例えば、患者が深刻な出血を起こしているとき、または、処置の目標が、一過的な安定であるとき)ことを示している。使用される組成物は、本明細書中に記載される任意の非繊維性の因子を含み得る。スポンジは、織ったスポンジおよび不織スポンジ、ならびに、歯科もしくは眼科の外科手術用に特別に設計されたものを含めて、当該分野で公知の任意のものであり得る。例えば、米国特許第4,098,728号;同第4,211,227号;同第4,636,208号;同第5,180,375号;および同第6,711,879号を参照のこと。
絆創膏または包帯を特徴とする実施形態において、絆創膏または包帯は、創傷またはその実質的な部分(例えば、組織の最も損なわれた部分または最も夥しく出血している領域)を覆うのに十分な形状およびサイズの第一の層を備え得る。この第一の層は、上面と、底面と、必要に応じて全体もしくは部分的に粘着剤で覆われた周辺部とを有し得る。絆創膏または包帯の第二の層は、第一の層(必要に応じて、周辺部または粘着剤を有する周辺部の任意の部分が排除されている)の底面に着脱可能に固定され得、そして、自己集合性ペプチドを含む液体もしくは非液体の組成物(例えば、ゲル、ペースト、フォーム、クリーム、軟膏または粉末状組成物)を含み得る。組成物は、絆創膏または包帯を適用する際に創傷と接触し、そして、第一の層または第一の層と第二の層とを取り除く際に、絆創膏または包帯から創傷部位へと移動可能である。より単純な構成において、自己集合性物質を含む組成物は、第一の層の底部(例えば、粘着性の周辺部の内側)に結合され得、そして、第二の層は省略され得る。いずれの場合にも、第一の層および/または第二の層のいずれかは、透明な窓を備え得、この窓を通して、下にある創傷のいくらかもしくは全体を見ることができる。自己集合性物質を含む組成物は、絆創膏が包装される前、または、使用直前に、絆創膏に加えられ得る。別の実施形態において、処方物は、処方物の適用により流体の活発な流れが停止された後に、乾燥による流体の喪失を防止するために、シリコンフィルムの層のようなさらなる物理的バリアを備え得る。
処方物はまた、即時放出処方物または制御放出処方物としても投与され得る。遅延放出投薬形態は、投与直後以外の時点で薬物を放出するものである。延長放出投薬形態は、従来の投薬形態として(例えば、溶液として、または、薬物を即時放出する従来の固体投薬形態として)提供される薬物と比較して、投薬頻度の少なくとも2倍の減少を可能にするものである。修飾放出(modified release)投薬形態は、薬物放出の時間、経路および/または位置の特徴が、従来の投薬形態(例えば、溶液、軟膏または即時溶解投薬形態)によっては提供されない、治療上もしくは便宜上の目標を達成するように選択されたものである。遅延放出投薬形態および延長放出投薬形態、ならびにこれらの組み合わせは、修飾放出投薬形態のうちの実例である。
マトリクス形成物質は、水和した際に強く粘性を有するゲルを形成し、そして、薬物の拡散および放出の制御を提供する物質である。親水性マトリクスの系において、マトリクス形成物質は、錠剤全体に均一に組み込まれる。水と接触すると、外側の錠剤層が部分的に水和され、ゲル層を形成する。ゲル層から薬物が拡散する速度と、ゲル層が浸食される速度とが、錠剤全体が溶解し、そして、薬物を送達する速度を決定する。マトリクス形成物質の例としては、水溶性であるセルロースエーテル(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロース)が挙げられる。
処方物は、安全かつ有効であると考えられる物質から構成され、そして、所望されない生物学的な副作用も望ましくない相互作用も引き起こすことなく、個体に対して投与され得る薬学的に受容可能な「バリア」を用いて調製される。「キャリア」は、薬学的処方物中に存在する活性成分以外の全ての成分である。用語「キャリア」としては、希釈剤、結合剤、滑沢剤、包介在、充填剤、マトリクス形成組成物およびコーティング組成物が挙げられるがこれらに限定されない。
「キャリア」はまた、可塑剤、色素、着色料、安定化剤および流動促進剤を含み得る、コーティング組成物の全ての成分を含む。遅延放出投薬処方物は、「Pharmaceutical dosage form tablets」Libermanら編(New York、Marcel Dekker,Inc.、1989)、「Remington−−The science and practice of pharmacy」、第20版、Lippincott Williams & Wilkins、Baltimore,Md.、2000および「Pharmaceutical dosage forms and drug delivery systems」、第6版、Anselら(Media,Pa.:Williams and Wilkins、1995)(これらは、錠剤およびカプセル、ならびに、錠剤、カプセルおよび顆粒剤の遅延放出形態を調整するためのキャリア、材料、機器およびプロセスに関する情報を提供する)のような参考文献に記載されるようにして調製され得る。
適切なコーティング物質の例としては、セルロースポリマー(例えば、フタル酸酢酸セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびコハク酸酢酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース);フタル酸酢酸ポリビニル、アクリル酸ポリマーおよびコポリマー、ならびに、商品名EudragitTM(Roth Pharma、Westerstadt,Germany)の下で市販されるメタクリル酸樹脂、ゼイン、セラック、ならびにポリサッカリドが挙げられるがこれらに限定されない。さらに、コーティング物質は、可塑剤、色素、着色料、流動促進剤、孔形成物質(pore former)および界面活性剤のような従来のキャリアを含み得る。薬物を含む錠剤、ビーズ、顆粒剤または粒子中に存在する任意の薬学的に受容可能な賦形剤としては、希釈剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、着色料、安定化剤および界面活性剤が挙げられるがこれらに限定されない。
「充填剤」とも呼ばれる希釈剤は、代表的に、錠剤の圧縮またはビーズおよび顆粒剤の形成にとって実用的なサイズが提供されるように、固体投薬形態のかさを増すために必要とされる。適切な希釈剤としては、リン酸二カルシウム二水和物、硫酸カルシウム、乳糖、ショ糖、マンニトール、ソルビトール、セルロース、微結晶性セルロース、カオリン、塩化ナトリウム、乾燥デンプン、加水分解されたデンプン、予めゲル化されたデンプン、二酸化ケイ素、酸化チタン、ケイ酸アルミニウムマグネシウムおよび粉末状の糖が挙げられるがこれらに限定されない。
結合剤は、固体投薬処方物に粘着特性を与え、したがって、錠剤またはビーズまたはかりゅうざいが、投薬形態の形成後に無傷のままであることを保証するために使用される。適切な結合剤物質としては、デンプン、予めゲル化されたデンプン、ゼラチン、糖(ショ糖、ブドウ糖、デキストロース、乳糖およびソルビトールを含む)、ポリエチレングリコール、蝋、天然および合成のゴム(例えば、アカシアゴム、トラガントゴム)、アルギン酸ナトリウム、セルロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、ベーガム(veegum)を含む)、ならびに、合成ポリマー(例えば、アクリル酸とメタクリル酸のコポリマー、メタクリル酸コポリマー、メチルメタクリル酸コポリマー、アミノアルキルメタクリル酸コポリマー、ポリアクリル酸/ポリメタクリル酸およびポリビニルピロリドン)が挙げられるがこれらに限定されない。結合剤として適切な物質のいくつか(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、および微結晶性セルロース)はまた、マトリクス形成物質としても使用され得る。滑沢剤は、錠剤の製造を促進するために使用される。適切な滑沢剤の例としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、グリセロールベヘナート(behenate)、ポリエチレングリコール、滑石および鉱油が挙げられるがこれらに限定されない。
崩壊剤は、投与後の投薬形態の崩壊または「分裂」を促進するために使用され、そして、一般には、デンプン、グリコール酸デンプンナトリウム、カルボキシメチルデンプンナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、予めゲル化されたデンプン、粘土、セルロース、アルギン酸、ゴムまたは架橋ポリマー(例えば、架橋PVP(GAF Chemical Corp製のPolyplasdoneTM XL))が挙げられるがこれらに限定されない。
安定化剤は、薬物の分解反応を阻害または遅延するために使用され、これらの反応としては、一例として、酸化反応が挙げられる。
界面活性剤は、陰イオン性、陽イオン性、両性、または、非イオン性の界面活性剤であり得る。適切な陰イオン性界面活性剤としては、カルボン酸イオン、スルホン酸イオンおよび硫酸イオンを含むものが挙げられるがこれらに限定されない。陰イオン性界面活性剤の例としては、長鎖スルホン酸アルキルおよびスルホン酸アリールアルキルのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩(例えば、スルホン酸ドデシルベンゼンナトリウム);スルホコハク酸ジアルキルナトリウム(例えば、スルホン酸ドデシルベンゼンナトリウム);スルホコハク酸ジアルキルナトリウム(例えば、ビス−(2−エチルチオキシル)−スルホコハク酸ナトリウム);および硫酸アルキル(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)が挙げられる。陽イオン性界面活性剤としては、第四級アンモニウム化合物(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、臭化セトリモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、ポリオキシエチレンおよびココナッツアミン)が挙げられるがこれらに限定されない。非イオン性界面活性剤の例としては、モノステアリン酸エチレングリコール、ミリステアリン酸プロピレングリコール、モノステアリン酸グリセリル、ステアリン酸グリセリル、ポリグリセリル−4−オレエート、アクリル酸ソルビタン、アクリル酸スクロース、ラウリル酸PEG−150、モノラウリル酸PEG−400、モノラウリル酸ポリオキシエチレン、ポリソルベート、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、PEG−1000セチルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリプロピレングリコールブチルエーテル、PoloxamerTM 401、ステアロイルモノイソプロパノールアミド、および、ポリオキシエチレン水素添加獣脂アミド(polyoxyethylene hydrogenated tallow amide)が挙げられる。両性界面活性剤の例としては、N−ドデシル−β−アラニンナトリウム、N−ラウリル−β−イミノジプロピオン酸ナトリウム、ミリストアムホアセテート(myristoamphoacetate)、ラウリルベタインおよびラウリルスルホベタインが挙げられる。
所望される場合、錠剤、ビーズ、顆粒剤または粒子はまた、湿潤剤もしくは乳化剤、色素、pH緩衝化剤および保存料のような、少量の非毒性の補助物質を含み得る。
延長放出処方物は一般に、例えば、「Remington−−The science and practice of pharmacy」(第20版、Lippincott Williams & Wilkins、Baltimore,MD、2000)に記載されるように、拡散もしくは浸透性の系として調製される。拡散系は代表的に、2タイプのデバイス、レザバおよびマトリクスから構成され、これは、当該分野で周知であり、かつ記載されている。マトリクスデバイスは一般に、薬物を、ゆっくり溶解するポリマー性キャリアと共に錠剤の形状に圧縮することによって調製される。マトリクスデバイスの調製において使用される物質の3つの主要なタイプは、不溶性可塑剤、親水性ポリマーおよび脂肪性化合物である。可塑性のマトリクスとしては、メチルアクリレート−メチルメタクリレート、塩化ポリビニルおよびポリエチレンが挙げられる。
親水性ポリマーとしては、セルロース性ポリマー(例えば、メチルセルロースおよびエチルセルロース)、ヒドロキシアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシプロピル-セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよびCarbopolTM 934)、ポリエチレンオキシドならびにこれらの混合物が挙げられる。脂肪性化合物としては、種々の蝋(例えば、カルナウバ蝋およびトリステアリン酸グリセリル)、および蝋型の物質(水素添加ヒマシ油または水素添加植物油)またはこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。特定の実施形態において、可塑性物質は、薬学的に受容可能なアクリル性ポリマー(アクリル酸とメタクリル酸とのコポリマー、メチルメタクリレート、メチルメタクリレートコポリマー、エトキシエチルメタクリレート、シアノエチルメタクリレート、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸アルキルアミンコポリマー ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(メタクリル酸)(無水物)、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリ(メタクリル酸無水物)、およびグリシジルメタクリレートコポリマーが挙げられるがこれらに限定されない)である。特定の実施形態において、アクリル性ポリマーは、1以上のアンモニオメタクリレートコポリマーから構成される。アンモニオメタクリレートコポリマーは、当該分野で周知であり、そして、第四級アンモニウム基の含量が低い、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとの完全に重合されたコポリマーとして、NF XVIIに記載される。
あるいは、延長放出処方物は、浸透性の系を用いて、または、投薬形態に半透性コーティングを適用することによって調製され得る。後者の場合、所望される薬物放出プロフィールは、低透過性コーティング物質と高透過性コーティング物質とを適切な割合で合わせることによって達成され得る。
即時放出部分は、コーティングもしくは圧縮のプロセスを用いて、延長放出コアの上部に即時放出層を適用するか、または、延長放出ビーズおよび即時放出ビーズを含有するカプセルのような多重ユニットシステムにおいて、のいずれかによって、延長放出システムに加えられ得る。親水性ポリマーを含む延長放出錠剤は、直接圧縮、湿式造粒または乾式造粒のような当該分野で一般に知られる技術により調製される。これらの処方物は通常、ポリマー、希釈剤、結合剤および滑沢剤、ならびに、活性な薬学的成分を組み込む。通常の希釈剤としては、不活性な粉末状の物質(例えば、デンプン、粉末状セルロース(特に、結晶性および微結晶性のセルロース)、糖(例えば、フルクトース、マンニトールおよびショ糖)、穀粉、および同様の食用粉末)が挙げられる。代表的な希釈剤としては、例えば、種々のタイプのデンプン、乳糖、マンニトール、カオリン、リン酸カルシウムもしくは硫酸カルシウム、無機塩(例えば、塩化トリウム)および粉末状の糖が挙げられる。粉末状のセルロース誘導体もまた有用である。
代表的な錠剤用の結合剤としては、デンプン、ゼラチンおよび糖(例えば、乳糖、フルクトースおよびグルコース)のような物質が挙げられる。天然および合成のゴム(アカシアゴムを含む)、アルギン酸、メチルセルロースおよびポリビニルピロリドンもまた使用され得る。ポリエチレングリコール、親水性ポリマー、エチルセルロースおよび蝋もまた、結合剤として機能し得る。滑沢剤は、錠剤および打抜鏨がダイの中でスティッキングすることを防止するために、錠剤処方物において必要とされる。滑沢剤は、滑石、ステアリン酸マグネシウムおよびステアリン酸カルシウム、ステアリン酸および水素添加した植物油のような滑りのよい固体から選択される。蝋物質を含む延長放出錠剤は一般に、直接混合法、凝結法(congealing method)および水性分散法(aqueous dispersion method)のような当該分野で公知の方法を用いて調製される。凝結法において、薬物は、蝋物質と混合され、スプレー−凝結または凝結されて、そして、篩にかけられて、加工される。
特定のコーティング物質についての好ましいコーティングの重量は、異なる量の種々のコーティング物質を用いて調製される錠剤、ビーズおよび顆粒剤についての個々の放出プロフィールを評価することによって、当業者により容易に決定され得る。臨床研究からのみ決定し得る所望の放出特性をもたらすのは、物質、方法および適用形態の組み合わせである。コーティング組成物は、可塑剤、色素、着色料、安定化剤、流動促進剤などのような従来の添加物を含み得る。可塑剤は通常、コーティングのもろさを減らすために存在し、そして、一般には、ポリマーの乾燥重量に対して約10重量%〜50重量%に相当する。代表的な可塑剤の例としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリアセチン(triacetin)、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、ジブチルセバケート(sebacate)、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチルアセチル、ヒマシ油およびアセチル化モノグリセリドが挙げられる。安定化剤は、好ましくは、分散物中の粒子を安定化させるために使用される。代表的な安定化剤は、ソルビタンエステル、ポリソルベートおよびポリビニルピロリドンのような非イオン性乳化剤である。流動促進剤は、フィルムの形成および乾燥の間のスティッキング作用を減少させるために推奨されており、そして、一般には、コーティング溶液中のポリマー重量の約25重量%〜100重量%に相当する。1つの有効な流動促進剤は、滑石である。ステアリン酸マグネシウムおよびモノステアリン酸グリセロールのような他の流動促進剤もまた使用され得る。二酸化チタンのような色素もまた使用され得る。シリコーン(例えば、シメチコン)のような少量の消泡剤もまたコーティング組成物に加えられ得る。
非生分解性マトリクスおよび生分解性マトリクスの両方が自己集合性ペプチドの送達に使用され得るが、生分解性マトリクスが好ましい。これらは、天然または合成のポリマーであり得るが、その分解および放出プロフィールの良好な特性に起因して、合成ポリマーが好ましい。ポリマーは、放出が所望される期間に基づいて選択される。いくつかの場合、線形の放出が最も有用であり得るが、とりわけ、律動的な放出または「バルク放出(bulk release)」がより効果的な結果を提供し得る。ポリマーは、ヒドロゲル(代表的には、水の重量の約90%までを吸収する)の形状であり得、そして、必要に応じて、多価イオンもしくはポリマーと架橋され得る。
送達のために使用され得る代表的な合成ポリマーとしては、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアルキレン、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ポリアルキレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、ポリビニルハライド、ポリビニルピロリドン、ポリグリコリド、ポリシロキサン、ポリウレタンおよびこれらのコポリマー、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルのポリマー、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸酢酸セルロース、フタル酸酢酸セルロース、カルボキシルエチルセルロース、セルローストリアセテート、硫酸セルロースナトリウム塩、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、ポリ(オクタデシルアクリレート)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ塩化ビニル、ポリスチレンならびにポリビニルピロリドンが挙げられる。
非生分解性ポリマーの例としては、エチレン酢酸ビニル、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリアミド、これらのコポリマーおよび混合物が挙げられる。生分解性ポリマーの例としては、乳酸とグリコール酸のポリマー、ポリ無水物、ポリ(オルト)エステル、ポリウレタン、ポリ(酪酸(butic acid))、ポリ(吉草酸)およびポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、ならびに、アルギン酸および他のポリサッカリド(デキストランおよびセルロースを含む)、コラーゲン、これらの化学誘導体(化学基(例えば、アルキル、アルキレン)の置換、付加、ヒドロキシル化、酸化、および当業者により慣用的になされる他の修飾)のような天然のポリマー、アルブミンおよび他の親水性タンパク質、ゼインおよび他のプロラミンおよび疎水性タンパク質、ならびにこれらのコポリマーおよび混合物が挙げられる。一般に、これらの物質は、インビボで、酵素的加水分解もしくは水への曝露によって、または、表面の浸食もしくは大量の浸食(bulk erosion)のいずれかによって分解する。
特に関心のある生体粘着性ポリマーとしては、H.S.Sawhney、C.P.PathakおよびJ.A.Hubell、Macromolecules、1993、26、581−587により記載されるような生体浸食性ヒドロゲル、ポリヒアルロン酸、カゼイン、ゼラチン、グルチン、ポリ無水物、ポリアクリル酸、アルギン酸、キトサン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(イソデシルメタクリレート)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、ならびにポリ(オクタデシルアクリレート)が挙げられる。
マトリクスは、ミクロスフェアのような微粒子の形状であり得、ここで、ペプチドは固体ポリマー性マトリクスもしくはマイクロカプセル中に分散され、そして、コアは、ポリマー性の殻とは異なる物質のものであり、かつ、ペプチドはこのコア内に分散もしくは懸濁され、このコアは、液体性であっても固体性であってもよい。本明細書中に具体的に規定されない限り、微粒子、ミクロスフェアおよびマイクロカプセルは交換可能に使用される。あるいは、ポリマーは、nm〜4cmの範囲の薄い板状物またはフィルムとして、グラインディングもしくは他の標準的な技術により生成される粉末として、または、ヒドロゲルのようなゲルとしてさえ、成型され得る。ポリマーはまた、コーティング、または、ステントもしくはカテーテル、血管移植片、または他の補綴用デバイスの一部としての形態をとり得る。
マトリクスは、溶媒蒸発、噴霧乾燥、溶媒抽出および当業者に公知の他の方法によって形成され得る。
生体浸食性のミクロスフェアは、例えば、MathiowitzおよびLanger、J.Controlled Release 5,13−22(1987);Mathiowitzら、Reactive Polymers 6、275−283(1987);ならびにMathiowitzら、J.Appl.Polymer Sci.35、755−774(1988)により記載されるような、薬物送達のためのミクロスフェアを作製するために開発された方法のいずれかを用いて調製され得る。方法の選択は、例えば、Mathiowitzら、Scanning Microscopy 4,329−340(1990);Mathiowitzら、J.Appl.Polymer Sci.45、125−134(1992);およびBenitaら、J.Pharm.Sci.73、1721−1724(1984)により記載されるように、所望されるポリマーの選択、サイズ、外形および結晶構造に依存する。例えば、Mathiowitzら、(1990)、BenitaおよびJaffeに対する米国特許第4,272,398号に記載される溶媒蒸発において、ポリマーは、揮発性の有機溶媒中に溶解される。可溶性形態であるか、または、微細な粒子として分散されたかのいずれかのペプチドが、ポリマー溶液に加えられ、そして、この混合物が、ポリ(ビニルアルコール)のような界面活性剤を含む水性相中に懸濁される。得られるエマルジョンが、ほとんどの有機溶媒が蒸発するまで撹拌され、そして、固体のミクロスフェアが残される。一般に、ポリマーは、塩化メチレン中に溶解され得る。異なるサイズ(1〜1000ミクロン)および形態を持つミクロスフェアは、ポリエステルおよびポリスチレンのような比較的安定なポリマーに有用なこの方法によって得られ得る。しかし、ポリ無水物のような不安定なポリマーは、水に対する曝露に起因して分解し得る。これらのポリマーについては、ホットメルト被包化(hot melt encapsulation)および溶媒除去が好ましくあり得る。
ホットメルト被包化において、ポリマーはまず溶融され、次いで、ペプチドの固体粒子と混合される。混合物は、シリコン油のような非混和性溶媒中に懸濁され、そして、継続して撹拌しながら、ポリマーの融点の5℃上まで加熱される。一旦エマルジョンが安定化されると、このエマルジョンは、ポリマー粒子が凝固するまで冷却される。得られたミクロスフェアは石油エーテルを用いたデカンテーションにより洗浄され、自由に流動する粉末を生じる。1ミクロンと1000ミクロンとの間の直径を持つミクロスフェアは、この方法により得られ得る。この技術を用いて調製されたスフェアの外面は通常、滑らかでありかつ密度が高い。この手順は、水不安定性ポリマーでは有用であるが、1000と50000との間の分子量を持つポリマーでの使用に限られている。溶媒の除去は、最初に、ポリ無水物と共に使用するために設計された。この方法において、薬物は、塩化メチレンのような揮発性の有機溶媒中の選択したポリマーの溶液に分散または溶解される。次いで、この混合物が、撹拌によりシリコン油のような油中に懸濁され、エマルジョンを形成する。24時間以内に、この溶媒は、油相中に拡散し、そして、エマルジョンの液滴が固体のポリマー性ミクロスフェア中で硬化する。溶媒の蒸発とは異なり、この方法は、高い融点と、広範囲の分子量を持つポリマーからミクロスフェアを作製するために使用され得る。
1ミクロンと300ミクロンとの間の直径を有するミクロスフェアは、この手順により得られ得る。このスフェアの外形は、使用されるポリマーのタイプに大きく依存する。噴霧乾燥において、ポリマーは、塩化メチレン中に溶解される(0.04g/ml)。既知量の活性な薬物が、このポリマー溶液中に懸濁されるか(不溶性である場合)または同時に溶解される(可溶性である場合)。次いで、溶液または分散物が噴霧乾燥される。二重壁のミクロスフェアは、Mathiowitzに対する米国特許第4,861,627号に従って調製され得る。
アルギン酸もしくはポリホスファジンのようなゲルタイプのポリマーまたは他のジカルボン酸ポリマーから作製されたヒドロゲルミクロスフェアは、水溶液中にポリマーを溶解し、混合物中に組み込まれる物質を懸濁し、そして、窒素ガスジェットを備え付けた微小液滴形成デバイス(microdroplet forming device)を通じてポリマー混合物を押し出し成形することによって調製され得る。得られたミクロスフェアは、例えば、Salibら、Pharmazeutische Industrie 40−11A、1230(1978)により記載されるように、ゆっくりと撹拌されるイオン性の硬化浴中に落とされる。キトサンミクロスフェアは、ポリマーを酸性溶液中に溶解し、そして、トリポリホスフェートと架橋させることにより調製され得る。例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)ミクロスフェアは、ポリマーを酸性溶液中に溶解し、そして、鉛イオンを用いてミクロスフェアを沈殿させることにより調製される。アルギン酸/ポリエチレンイミド(PEI)は、アルギン酸マイクロカプセル上のカルボキシル基の量を減らすために調製され得る。
フィルム、コーティング、ペレット、スラブおよびデバイスを含む他の送達システムは、溶媒もしくは溶融成型、および押し出し成形、ならびに、複合材料を作製するための標準的な方法を用いて製造され得る。ポリマーは、まず、Sawhneyらにより記載されるようにしてモノマーおよびペプチドを混合し、そして、UV光によりモノマーを重合させることによって生成され得る。重合は、インビトロならびにインビボにおいて行われ得る。
E.投与のためのデバイス
液体処方物は、自己集合性ペプチドを含む組成物を含有するバレルと、シリンジもしくはピペットの開いた先端から組成物を噴出するための手段(例えば、プランジャーまたはバルブ)とを持つシリンジまたはピペット中に提供され得る。シリンジは、1以上の他の薬剤との自己集合性物質の混合が、適用時に生じるように、1つ以上の区画から構成され得る。区画はまた、1つの区画にヒドロゲルを形成する物質もしくは粘着剤のような賦形剤を含み得、そして、他の区画に自己集合性物質を含み得る。別の実施形態において、1つの区画は、自己集合性ペプチドの凍結乾燥粉末または粒子を含み得、そして、別の区画は、このペプチドを溶解もしくは水和するための溶液、または、乾燥用途のために自己集合性物質と混合させるための他の粉末を含み得る。バレル内の組成物はさらに、本明細書中に記載される任意の因子(例えば、血管収縮剤、着色剤、麻酔剤もしくは鎮痛剤、抗生物質もしくは他の治療剤、コラーゲン、抗炎症剤、増殖因子、または栄養分のうち1地上)を含み得る。
自己集合性物質は、噴霧によってか、または、物質中にデバイスを浸漬させることによってコーティングとして適用され得、この物質は、絆創膏、ガーゼまたは他の吸収性物質中に染み込まされ得、さらに、この物質は、ポリマー性物質と混合され得る。
II.投与方法
本発明の物質は、任意の適切な環境において投与され得る。いくつかの実施形態では、物質は、医学的処置の環境において使用され得る。「医学的処置の環境」とは、本明細書中で使用される場合、当業者に理解され、そして、病院、診療所、診療室、手術室のような臨床環境、または戦場の外傷処置センターなどのような移動式の臨床環境を意味する。医学的処置の環境としてはまた、絆創膏、ガーゼおよび他の材料のような医療用品、ならびに、創傷の処置および/または創傷もしくは汚染に関連する有害な作用の防止のための関連の技術を必要とする自宅での処置のような専門的な臨床環境外での処置が挙げられる。医学的処置の環境は、家庭用掃除機および関連の製品、おむつなどの使用のような他の環境から区別され得る。当然のことながら、本発明の特定の局面は、医学的処置の環境における使用または処置を必要とするが、他の局面では、本発明は、本質的に任意の他の適切な環境において、この環境外で使用され得ることが理解されるべきである。
細胞、抗体および増殖因子のような治療用、予防用もしくは診断用の化合物を含め、本明細書中に記載される任意の因子は、インビトロまたはインビボにおいて自己集合させる前に自己集合性物質の溶液中、および1以上のこれらの因子を含む予め成型された構造物中に導入され得、必要に応じて、滅菌材料中に包装されるか、そして/または、使用説明書を備えられる。物質は、追加の因子なしで、予防的にまたは処置として使用され得る。生物活性因子は、足場全体にほぼ均一に分散されても、ある領域に濃縮されても、別の方法(例えば、表面上もしくは表面付近に、コア領域内に、足場もしくはその一領域全体に段階的に、または、内部に積層される(例えば、層中に濃縮されるか、または、均一もしくは不均一に分散される))であってもよい。構造物内での物質のほぼ均一な分散を達成するために、自己集合の開始前に、前駆体を含む溶液と、物質(これもまた溶液中にあり得る)とを混合することができる。
A.投与部位
物質は、流体の通過を防止もしくは制御するか、または、バリアとして機能させるために、種々の異なる表面に適用され得る。自己集合性因子の量は、一部、流体の流れの制御におけるその物質の機能、ならびに、単独もしくは他の生物活性物質と組み合わせた自己集合性物質に関連する任意の他の物質もしくは構造物の特性によって決定される。自己集合性物質は、組織/器官の内外での流体の動きを止めるために使用され得る。
物質は、ステントをコーティングするため、または、最小限の複雑さで、かつ、体液または、脂質のような固体、液体もしくは半固形の物質の過度の動きを引き起こすことなく、適所に挿入することを可能にするために使用され得る。これらの物質は、破壊も局所組織への配置も最小限にしつつ、配置を容易にするためにステントもしくはカテーテル中に組み込まれ得る。
物質は、配置前または製造プロセスの間に、乾燥粉末、液体またはスラリーとして絆創膏中に組み込まれ得る。いくつかの実施形態では、物質は、創傷からの体液の流れを止める自己集合性物質を含む防水性の外層を有し得るか、または、その部位における治癒を促進するために追加の因子を組み込み得る、絆創膏のアセンブリの適所にある多層中に堆積される。
第一の実施形態では、物質は、出血を防止または制御するために使用される。物質は、粉末、液体、ゲルとして、または、絆創膏もしくはメンブレンのような基材の一部として適用され得る。これは、管腔内(例えば、血管形成術のとき、ステントもしくはカテーテル上のコーティングにより投与されるか、または、このようなコーティングとして投与される)、または、血管の外側(代表的には、吻合の部位において)のいずれかで血管に対して適用され得る。物質は、肝臓、腎臓もしくは脾臓のような組織、または、輸血の高いリスクが存在する他の外科手術に対して特に問題の多い出血を防止するため、あるいは、(例えば、移植または再付着のために)組織をシールおよび保護するために、外科手術の前、間または後に組織に対して適用され得る。
物質はまた、硝子体液における出血または異常出血を防止するために、眼において使用するのに特によく適している。物質が有益であるはずの他の外科手術としては、角膜移植、結膜手術および緑内障手術が挙げられる。物質が有益であるはずの他の外科手術としては、角膜移植、結膜手術、緑内障手術、および屈折矯正眼手術(例えば、物質が角膜フラップまたはその周辺に適用され得るLasik)が挙げられる。物質は透明であり、かつ、手術を行う際に手術をこの物質を通して見ることができるので、この物質は外科手術の間特に有益である。
物質は、血液以外の流体の流れを停止するために使用され得る。物質は、間質液の漏れを止めるために熱傷に適用され得る。物質は、硬膜もしくは肺のシーラントとして、硬膜もしくは肺に適用され得る。1つの実施形態において、物質は、穿刺創傷後の肺を修復し、それによって、その機能性を回復させるために使用され得る。本発明の物質はまた、いくつかの目的のために熱傷創傷に加えられ得る。開放性でない熱傷創傷は、創傷に対して汚染因子を不動にするため、すなわち、創傷が開放性となる場合およびそのときに、創傷の感染を阻害もしくは防止するために、処置され得る。開放性の熱傷創傷は、同様に、汚染を阻害もしくは防止するため、そして/または、創傷に対する流体の動きを阻害するため(例えば、創傷から出る体液の動きを阻害するか、または、創傷内への外部流体の動きを阻害するため)に処置され得る。
物質はまた、一般的な口腔手術、歯周歯科学および一般的な歯科学において、バリアとして、および、出血の制御または防止のために利用され得る。
凝固機能不全(血友病、フォン・ヴィレブランド病、ビタミンK、プロテインSもしくはプロテインC欠損、劇症肝炎、播種性血管内凝固症候群(「DIC」)、溶血性尿毒素症候群(「HUS」))の個体における物質の使用もまた、重要な実用である。というのも、その作用機構は、正常な凝固経路とは無関係であるからである。別の実施形態において、物質は、外科手術時に破損または転移を防ぐために、代表的には、噴霧または注射によって、腫瘍のような組織の外側に適用される。物質は、腫瘍切除の間の出血を制御し、同様に、転移を制限する。これはまた、腫瘍切除の間にレーザにより引き起こされ得る免疫応答を最小限にする。物質はまた、腫瘍が切除されたときに後に何も残さないように、ばらばらの腫瘍を一緒に保持するのにも有用である。一緒にしっかりと保持されていない(すなわち、固形塊ではない)ために、切除するのが困難であるということが公然と知られるいくつかの腫瘍のタイプが存在する。物質は、脳における腫瘍の切除に特に有用であると予測され、そして、皮下腫瘍の切除について、用量反応性の様式で有用であり得る。これは、皮膚における黒色腫の切除を容易にし得る。というのも、この物質はまた、皮膚の治癒も促進するようだからである。この物質はまた、腫瘍細胞表面上の特定のタイプの抗原と反応性のマーカーを含み得、全ての細胞が除去されたか、または、さらに多くの細胞が切除される必要があることを示す、比色法上の変化をもたらす。物質にインジケーターを加えること、ならびに、生物バリア(bio−barrier)のように機能するための物質の能力は、第二および第三の手術の必要性ならびに外科手術現場への外部からの汚染に起因する合併症を減らし得る。物質はまた、インビトロにおいて長期間にわたり、およびインビボにおいて複数の処置のために、創傷部位にDNAのような物質を送達するために使用され得る。この物質の別の利点は、注射されて適所でゲル化し得、その結果、物質が、外科手術の間に必要に応じて適用および再適用され得る点である。
なお別の実施形態において、物質は、例えば、腸手術の間に、組織へもしくは組織からのいずれかの汚染を防止するためのバリアとして機能するのに特に良く適している。物質は、外科手術前に内部の部位、特に、湾曲した腔のような部位を準備するため、そして、経尿道手術および経膣手術のような外科手術のために適用され得る。物質はまた、例えば、弁輪膿瘍(弁を被覆する、抗生物質を加える)、心内膜炎(弁を被覆する)、大動脈根切開(即時の止血を提供する)のような有害な結果を受ける傾向がある心臓弁の患者に対し、バリアおよび止血の両方の特性が重要であり得る、心臓血管手術において特に有用であるはずである。
銀のような金属と組み合わせた物質は、抗粘着特性を有し、新脈管形成を阻害し得る。したがって、このような物質は、瘢痕および癒着の減少において有用であり得る。物質は、瘢痕、流体の喪失を減少し、そして、感染を制限するために、外科手術の後に、または、熱傷のような創傷に対して適用される。これはさらに、特に、閉じる前に清浄にし、かつ創面切除を施した領域の保護のための形成外科手術における用途、または、腹壁形成術、しわ切除術、皮弁を採取するドナー部位(flap donor site)、乳房再建のための広背筋における皮膚移植における用途を有する。
なお別の実施形態において、物質は、例えば、潰瘍からの胃出血を減らすため、または、酸性度を低下させるために、患者によって飲まれ得るスラリーとして投与される。あるいは、物質は、痔核を処置するため、または、憩室を満たすために浣腸として提供され得る。
なお別の実施形態において、物質は、不妊治療、卵の保存、および、傷ついたファローピウス管の修復のために使用され得る。
物質はまた、血液代替物として、および、器官の保存または安定化のための物質としても有用であり得る。例えば、物質は、被験体から体液もしくは成分を移す前、移す間、おおよび移した後のダメージを減らすために、体液または成分(例えば、組織、器官、皮膚、血液など)に対して適用され得、そして、これらを被包し得る。物質は、保存、輸送、移植および/または再移植のために、種々の体液または成分を維持し得る。
集合は可逆的ではないので、含有された物質が放出され得る。例えば、インビボにおいて、分子または細胞が、構造物から放出され得る(例えば、低分子は拡散し得、そして、より大きな分子および細胞は、構造物が分解するにつれ放出され得る)。
なお別の実施形態において、物質は、神経損傷後のダメージおよび瘢痕化を最小限にするために、神経保護物質として使用される。ペプチドベースの構造物は、神経組織の修復および再生を促進する(例えば、米国特許出願第10/968,790号に記載されるように、自己集合性ペプチドが脳内の病巣に適用される場合)。物質の足場および/または開放性の「織物(weave)」構造物内の線維のサイズが小さいので、細胞のプロセスの延長が可能となり、そして、神経組織の再生のための固有の利点を提供する様式での、栄養分の適切な拡散と廃棄物の生成とを可能にする。
創傷修復を促進する過程で、組成物は、最終的な結果を改善し得る(例えば、元の組織をより近く模倣する結果につながる瘢痕形成の減少)だけでなく、治癒に必要とされる時間も短縮し得る。これらの結果は、神経組織と非神経組織との間のかなりの差を考慮すると、損傷を受けた中枢神経系への適用後に達成される結果に基づいたとしても予測され得るものではない。
最後に、物質は、交差汚染を防止するための「ナノドレープ」として使用され得る。例えば、物質は、身体の外側にコーティングとして適用され得、次いで、自己集合を誘導され得る。自己集合した物質は、身体内への液体の動きを止め、交差汚染の可能性を低下させ得る。
B.有効な投薬量
一般に、必要とされる物質の量は、損傷のサイズまたは程度(言い換えれば、切開の長さ、損傷を受けた血管の内径または数、熱傷の程度、潰瘍、擦傷もしくは他の損傷のサイズまたは深さの点で表現され得る)のような種々の要因に依存して変化する。量は、例えば、2〜3μmから数mmまたはそれ以上(例えば、数十mmまたは数百mm)で変化し得る。物質を送達するために使用されるデバイスは、この量に従って変化する。例えば、シリンジは、より少ない量を送達するために簡便に用いられ得るが、他方で、チューブまたは圧搾可能なボトルは、より多くの量により適切である。有効な量(足場に関するものであれ、その前駆体に関するものであれ、処方物中に存在する別の生物活性分子に関するものであれ)は、改善された生物学的応答もしくは所望される生物学的応答を誘発するのに必要な量を意味する。
当業者に理解されるように、因子の有効な量は、所望される生物学的なエンドポイント、送達される因子、因子が送達される部位の性質、および、因子が投与される状態の性質のような要因に依存して変化し得る。例えば、止血を加速するための組成物の有効量は、止血が開始する時間と出血が終了する時間との間の血液の喪失量が、冷生理食塩水での処置後または処置なしでの血液の喪失量と比べて少なくとも25%減少するのに十分な量であり得る。止血を加速するための組成物の有効量はまた、眼に見える出血の停止を達成するために要する時間が、冷生理食塩水での処置後または処置なしの場合に必要とされる時間と比べて少なくとも25%するのに十分な量であり得る。創傷治癒を促進するための組成物の有効量は、病巣のサイズの所定の割合の減少を達成するために要する時間が、このような処置なしの場合に必要とされる時間と比べて少なくとも25%減少するのに十分な量であり得る。
提供される組成物の量は、被験体の状態の重篤度に依存して変化し得、そして、望ましくない動きを、被験体に利益を与える程度まで阻害するのに十分であるべきである。身体の物質は、血液、脳脊髄液、膿、漿液性滲出液、胆汁、膵液、または、胃腸管(例えば、胃または腸)もしくは尿路内に通常含まれる物質であり得る。
当業者は、本発明の物質および技術の使用の文脈において「十分な量」または「有効な量」の意味を理解する。当業者はまた、本明細書中に記載される物質の説明および物質の分類から、使用するための物質を容易に選択し得る。最初に、適切な物質および物質の十分な量を決定するために、種々の手順の単純なスクリーニング試験が使用され得る。例えば、ヒトにおける使用の予測における、動物を用いるスクリーニング試験。また、小さな試験用切開と、より大きな切開が形成する前のこの試験用切開の処置とを用いるスクリーニング試験など(このスクリーニング試験は、一般に、他の手段により適切な物質が同定された後に、十分な量を決定するために所望される)。適切な物質を同定するための別のスクリーニング試験は、体液または皮膚の特徴と類似するイオン性の特徴を持つ試験流体を確立し、そして、この流体に対して、または、皮膚と類似する特徴を持つ物品に対して物質を曝露することを含む。試験の環境または意図される環境のいずれかにおける最初の使用により、特定の意図される目的のために十分な物質の量は、当業者により容易に決定され得る。また、本発明において使用される物質のいくつかまたはその全ては、非毒性であり、そして、有害な作用なしにより多い量で使用され得ることに注意されたい。したがって、出血の阻止に向けた切開の処置のための外科的処置、切開する前の感染の防止のための皮膚表面の処置、または、熱傷創傷の文脈においてなどのような多くの環境において、有意に過剰な物質の使用、ならびに、所望される場合には、および、(物質の有効な使用の観察により)十分な物質が適用されたと決定される場合には、この過剰な物質の除去は、容易にかつ傷つけることなく、単純に除去され得る。
C.投与方法
組成物は、被験体の身体表面上に提供され得るか、そして/または、力により(例えば、予期せぬ外傷もしくは外科的処置により)生成される腔内に提供され得る。このようにして、外傷性の損傷、医学的状態(例えば、出血を伴う慢性もしくは長期化した医学的状態)、または外科的処置(例えば、整形外科手術、歯科手術、心臓外科手術、眼科手術、または、形成外科手術もしくは再建術)を含む広範囲の状況の文脈において、身体の物質の望ましくない動きが阻害され得る。例えば、身体の物質の望ましくない動きが外傷の結果である場合、被験体は、部分的もしくは完全に切断された身体の部分、裂傷、擦傷、穿刺創傷または熱傷を有し得る。組成物が身体の表面に適用される場合、組成物は、身体の物質の望ましくない動きを阻害するだけでなく、被験体を汚染から保護するのにも役立ち得る。例えば、自己集合性因子を皮膚に塗布することで、皮膚上または毛髪上の望ましくない外来性物質の創傷内部への動きが妨げられる。身体の物質の望ましくない動きが慢性的な医学的状態から生じるものである場合、被験体は、出血の再発を経験し得る。例えば、被験体は、渦静脈(毛細管拡張症、痔核、肺における出血(例えば、肺癌、気管支炎、または、細菌性もしくはウイルス性の疾患に起因するもの)または食道静脈瘤を含む)に関連する出血を経験し得る。出血の再発を伴う医学的状態は、本明細書中に記載される組成物(自己集合性ペプチドおよび血管収縮剤(例えば、組成物の約0.25〜0.5%を構成し得るフェニレフリン)を含む組成物が挙げられる)で処置され得る。出血が咽頭(orophamyx)または肺で生じる場合、組成物は、定用量吸入器により投与され得る。患者の状態が人工呼吸が必要とされる時点まで悪化した場合、組成物は、人工呼吸器または洗浄によって投与され得る。
身体の物質の望ましくない動きは、外科的処置の間に生じ得、この処置は、被験体の神経系、眼、耳、鼻、口、咽頭、呼吸器系、心血管系、消化器系、泌尿器系、生殖器系、筋骨格系、肝臓または外皮内の切開を必要とし得る。これらの方法は、身体の物質の動きが意図的なものであるかそうでないかに関わらず行われ得る。本明細書中に記載される組成物は、望ましくない動きが起こる前または起こった後(例えば、外科的処置の間、血管の意図的な離断の前または血管の意図しない離断後に)に適用され得る。例えば、外科的処置は、動脈瘤の修復を意図して、脳内出血を妨げることを意図して、食道静脈瘤を処置することを意図して、潰瘍を処置することを意図して、または、(例えば、腫れたかもしくは破裂した虫垂からの)胃の内容物もしくは腸の内容物の喪失を阻害することを意図して行われ得る。外科的処置は、被験体の腸の一部を切除することを必要とし得る。自己集合性因子を含む組成物の助けを借りて行われ得る他の手順としては、動脈造影法、心臓カテーテル法、ステントの挿入、自然分娩もしくは帝王切開による分娩の支援、子宮摘出術、臓器移植、関節置換術、または、椎骨間ディスクの除去が挙げられる。これらの手順は、代表的なものである。外科的処置は、内視鏡もしくは腹腔鏡の助けを借りて行われ得、そして、組成物は、これらのデバイスとは独立して、または、これらのデバイス内に据えられ、かつ、被験体の組織上への放出のための通路により遠位端に接続されたチャンバーから送達され得る。患者が潰瘍を有する場合、この潰瘍は、食道潰瘍、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、糖尿病性潰瘍または褥瘡潰瘍であり得る。より一般的には、組成物は、皮膚の任意の任意の破裂した(disrupted)領域に適用され得、そして、本明細書中に記載される任意の法補は、処置を必要とする患者を同定する工程を包含し得る。
自己集合性ペプチドなのファイバー足場(SAPNS)は、外科手術部位のための透明な環境を提供し得る一方でまた、光学的に透明な液体を生成し、この得られる液体およびゲルの混合物により手術を可能にする。外科手術部位はしばしば、手術の間に血液および残骸で覆い隠される。さらに、外科手術部位からの残骸の除去は通常、その部位を生理食塩水で洗浄することを必要とする。生理食塩水は、一時しのぎの溶液に過ぎず、清潔な外科手術部位を維持するためには、継続的に適用される必要がある。このことは、いくつかの問題を提起する:既存のいかなる汚染も容易に拡散する;灌注と手術との間を交替するために小さな開口部が必要とされる;そして、腸の手術の間の、生理食塩水の使用は、術後の合併症につながる甚だしい感染をもたらし得る。生物学的な閉じ込め(confinement)のためのSAPNSの使用は、内視鏡および開放性の外科的処置において術後の合併症を減少する。効能は、脳、脊髄、胃腸管、肝臓、筋肉、動脈および静脈に対して実証されている。
例えば、部分的な切除は現在、以下のようにして行われる。外科医は、腸の部分切除を行って、前癌性の領域を除去する。切開がつくられ、そして、腸が腹腔から丁寧に持ち上げられ、そして、患者の横にある台の上に置かれる。傷ついた領域が切除され、そしてその後、腸の2つの端部が一緒に連結される。腸が体内に戻される前、腸の上端には結腸瘻バッグが接続され、そして、手術の領域が消毒される。腸は、腹部に元通りに置かれ、そして、縫合される。漏れも出血もないことを確認するために、腹部にドレインが配置される。対照的に、自己集合性ペプチドを用いる場合、部分的な切除は、以下のようにして行われる。医師は、腹部を開き、そして、腸の傷ついた部分を見つける。この傷ついた部分は、この部分を腹腔の残りの部分から隔離するために腹腔内に注がれた追加の液体により隔離される。外科医は、液体により形成されたゲルを通して腸に触れ、そして、腸を切除する。2つの端部を一緒に連結し、そして、この領域を、任意の色の変化について確認する。これは、ゲルはまた、胃液または細菌の任意の漏れが存在する場合には青色に変化するインジケーター色素を有するからである。この青色の全体が、吸引により除去される。わずかにより多い物質が、修復の領域の周囲に噴霧され、そして、腹部が縫合される。
いくつかの場合において、本明細書中に記載される物質は、瘢痕の処置において有用であり得る。実験が、自己集合性物質の適用が中枢神経系(CNS)における瘢痕形成をブロックするために使用され得ることを実証している。病巣部位における物質の投与は、瘢痕の安定な形成をブロックし、これは、その部位を通した再生を可能にし得る。中枢神経系(CNS)において生じる瘢痕を除去することで、軸索が損傷を受けた部位を横切って成長することが可能となる。
いくつかの場合において、物質は、キレート形成により増強される創傷治癒のためのキレート形成金属を含み得る:物質は、鉄のようなキレート化合物を部位に送達するために使用され得、その結果、キレート化合物が、局所環境において、基底膜を再建するために身体により使用され得る。例えば、十分な鉄を含まない組織において、鉄の安定な形状での送達は、組織の治癒および再建を助ける。いくつかの場合において、キレート形成金属を含む物質は、炎症を減少または予防し得る。いくつかの実施形態において、シスチンまたはシスチン様の残基を伴う金属が物質中に組み込まれ得、その結果、インビボまたはインビトロにおいて、マトリクスの集合には、立体障害がほとんどないか、まったくない。
本明細書中に記載される物質は、外科手術を行うための清潔な局所環境を生じるため;構造および汚染物質の移動を隔離するため;外科的処置のための構造(すなわち、腸)を膨張させるため;除去され、かつ漏れ得る構造物(すなわち、虫垂、体内の斑状孔(patch hole))を囲むため;不潔な環境における外科手術を可能にするため;内視鏡手順と共に使用して、外科手術があらゆる漏れを含むようになる前に器官を取り囲むために;腹部外科手術を行う間に癒着を防止するためのバリアを生じるために;および、内視鏡と内視鏡の挿入部分との間にガスケットを形成するために使用され得る。外科手術の間の利点は、物質が光学的に透明であること、室温で長時間の貯蔵寿命を有すること、この物質を通して手術を行うことができること、準備時間を短縮すること、計数用のスポンジを排除すること、外科手術部位において核構造物を隔離すること、手術室での清浄時間を短縮すること、外科手術の時間を短縮すること、他の灌注液により引き起こされる交差汚染を減少もしくは排除すること、物質が生体適合性であること、分解産物が天然のものであり、かつ、身体により吸収されること、である。この物質は扱いが容易であり、必要とされる位置に注射でき、ブドウ球菌による感染を排除するはずであり、手術室の使い捨ての紙のコストを減少させ得、生物学的有害物質用バッグを減少させ得る。なぜならば、この物質は、処置後に煮沸して滅菌され、蒸気を生じ得るからである。物質は透明であり、手術の部位は血液を除かれるので、外科医は、より迅速に手術を行うことができるはずである。出血を制御するための創傷パッキングの排除は、複雑なケースにおいて、手術時間を50%まで減少させ得る。二次感染に起因する術後感染は、物質の使用により減少され得る。なぜならば、物質は、手術中および手術後に創傷を被覆し得、したがって、外来の物体からの汚染を減少させ得るからである。術後のケアは、腹腔または胸腔における粒子状物質の拡散を減速させることによって、ドレナージに起因する感染を減少するためのこの物質の使用を可能にし得る。
組成物はいついかなる時点でも適用部位(例えば、出血している血管)から除去され得るが、医師は、創傷治癒を促進するために止血を促進するという最初の目的が達成された後も、これらの物質がその場に残ることを望み得る。
組成物が自己集合性ペプチドを含む場合、これらのペプチドは、天然に存在し、そして、身体により吸収され得るアミノ酸残基を含み得る。組成物は、取り扱いが困難ではなく、そして、随時ベースで容易に分配され得る。その特徴(例えば、堅さ)は、組成物中の成分の濃度を変化させることにより(例えば、所与の組成物中の自己集合性ペプチドの濃度を変化させることにより)容易に変化させられ得る。結果として、集合した構造物は、下にある組織の視野を有意に損ねず、そして、手順が行われ得る前に除去される必要がない。例えば、医師は、熱傷または手術部位において処置された他の表面の外傷を、本明細書中に記載される組成物を用いて評価し得る。手術室において、外科医は、この物質を通して最初の切開をつくり得、そして、組成物がまた適用され得る内部の部位において、外科用メスおよびクランプのような標準的な機器、または、レーザのようなより最新式の手段によって続けて手術を行い得る。別の利点は、時間の点において実現され得る。というのも、組成物の使用は、外科手術のために患者を準備するのに必要とされる時間を減少し得るからである。組成物は、切開部位の周囲に適用され得、そして、感染因子に対する保護のためにコーティングを形成し得るので、患者の皮膚の毛をそり落とし、ドレープを適用し、そして、消毒薬を適用する必要性が少なくなる。
集合した足場の構造的一体性を考慮すると、これらは、所望される場合、これらが形成される領域から除去され得る。したがって、集合した足場は、例えば、吸引によって、または、それを、鉗子のような機器で持ち上げることによって、または、スワブもしくはガーゼを用いて拭き取ることによって、除去され得る。例えば、足場は、止血が達成された後、または、創傷の清浄化の過程で除去され得る。今日までの研究に基づけば、足場またはその大部分は、下にある組織に損傷を与えることなく、除去され得る。集合した足場がエキソビボで形成される場合、これらは、鋳型から除去され得、その後に使用され得る(例えば、組織もしくは組織空間中に移植される)。組成物は、その後に廃棄または清浄化を必要とする物質(例えば、外科的ドレープ、スポンジおよび他の生物学的有害物質)の量を減らすはずである。
「ナノドレープ」は、例えば、患者もしくは外科的切開周囲の領域へと噴霧もしくは他の方法でコーティングすることによって患者への直接適用後の感染を制限することにより、従来の紙製もしくは布製のドレープを置き換えるために使用され得る。現在、患者は、手術台の上に配置した後に、除毛、洗浄(scrubbing)、消毒およびドレーピングによって外科手術のために準備される。次いで、殺菌剤およびテープが、外科手術が行われる領域に適用される。自己集合性組成物は、身体に暖かい液体を噴霧することによって、ドレープの代わりに適用され得、身体上で、自己集合性組成物が自己集合して、薄い第二の皮膚となる。この物質は、あらゆる空気伝播汚染因子から防御するようにあらゆる殺菌が通過し得るよりも小さい孔径を有し、そして、厚さ1mmの物質が穏やかな殺菌剤(第二の皮膚のような身体に粘着する)を含み得るからである。この物質はまた、皮膚が乾燥しないように、皮膚のために水化された成分を有し得る。この物質が創傷部位に移動することについては心配は要らない。なぜならば、この物質は、身体により分解されるからである。この物質が術後に全て洗浄して除かれたかどうかを決定することを容易にするために、色がこの物質に対して加えられ得る。
足場(例えば、ナノスケールの構造の物質)は、(例えば、身体の物質の動きもしくは漏れを制御するため、創傷を保護するため、または、組織修復を促進するために)足場が所望される位置に、または、その位置の周辺に足場の前駆物質を導入することによって被験体に対して提供され得る。前駆体(例えば、自己集合性ペプチド)は、この前駆体が、有効な量で標的領域に到達するのに十分に標的領域(たとえば、出血した血管、消化管の疾患部位、または、皮膚の熱傷領域)に近い位置に提供される場合に、その位置の周辺に提供される。同質もしくは異質であり得る(例えば、単一のタイプの自己集合性ペプチドまたは2以上の異なるこのようなペプチドの混合物を適用し得る)前駆体が組成物中に含められ得、そして、生理学的状態と接すると、自己集合して足場(例えば、ナノスケールの構造の物質)を形成し得る。したがって、前駆体は、インサイチュで(すなわち、投与部位もしくは投与部位の周辺で、被験体の体内で)自己集合し得る。
ナノスケールの構造の物質、または、その集合体は、インサイチュに存在するさらなる成分(例えば、鉄)を含み得る。したがって、自己集合性ペプチドのような前駆体は、実質的に鉄を含まない(例えば、実質的に一価のカチオンを含まない)溶液中に適用され得、そして、体内で(例えば、血液、胃腸の内容物などのような身体の物質において)このような鉄と接触したときに、自己集合して肉眼で見える構造物を形成し得る。例えば、前駆体を含む溶液は、胃もしくは腸の穿孔部位またはその周辺、あるいは、外科的切開がつくられたかもしくはつくられる予定の部位またはその周辺に適用され得る。
足場はまた、ゲルの形状で提供され得る。なぜならば、前駆体(例えば、自己集合性ペプチド)は、組成物を標的領域(例えば、外科的処置のために切開がつくられる部位)へと導入する前に集合され得るからである。集合した構造物は、任意の簡便な形状をとり得る。
足場はまた、前駆体を乾燥粉末の形状で提供することによっても提供され得る。「乾燥」粉末は、比較的低い液体含量(例えば、内部の粒子が容易に分散可能である程度に十分低い)を有する。乾燥粉末の形状で提供される自己集合性ペプチドは、これらが、一価カチオンを含有する体液と接触するときに集合し、そして、このようなイオンを含む溶液は、所望される場合、足場が形成される速度またはその堅さを変えるために加えられ得る。自己集合性ペプチドは、エマルジョンとして提供され得るか、または、上述のように、現在外科用スポンジが使用されている様式と類似の様式で体腔もしくは創傷部位内に挿入され得る、前もって形成された形状へと成型され得る。所望される場合、乾燥粉末に、結合剤が加えられ得、次いで、所望の形状へと形成される。足場が集合される正確な様式とは無関係に(例えば、前駆体を含む液体処方物を身体と接触させようと、エキソビボにおいて乾燥粉末をイオン含有溶液と接触させようと)、形成された足場は、所望の形状をとり得る。サイズおよび形状が、足場が血管の管腔を満たすようなものである場合、足場は、血管栓として使用され得る。
予防手段は、被験体が望ましくない事象を経験する前(例えば、損傷が生じる前、または、出血が開始する前)に行われ得る。したがって投与部位は、動きの可能性もしくは漏れの可能性がある部位であり得、そして、適用は、このような動きもしくは漏れが起こることを防止もしくは最小限にするためになされ得る。治療上の手順もしくは処置の文脈において使用される場合、組成物は、状態(例えば、状態、症候、疾患もしくは徴候、症状、または、このようなものの発現)の進行を逆行、軽減または阻害し得る。被験体を処置する方法は、一般に、被験体が処置に対してなじみやすい(amenable)状態を有するものとして認識されると行われ、そして、本明細書中に記載される任意の方法は、予防的なものもしくは治療的なものとして最も良く記載されていようとも、なじみやすい被験体を同定する工程を包含し得る。
本明細書中に記載される組成物は、被験体における身体の物質の動き(表皮内もしくは表皮からの動きを含む)を阻害するために使用され得るので、組成物は、外科手術を行う文脈において使用され得、そして、外科手術を行うため、もしくは外科手術部位をつくるための新規方法として記載され得る。この方法は、外科手術の文脈において行われようと、そうでなかろうと、処置を必要とする被験体を同定する工程と、ナノスケールの構造の物質もしくはその前駆体を、望ましくない動きが起こっているかもしくは起こることが予測される部位またはその周辺に提供する工程とを包含し得る。例えば、まさに外科的処置を受けようとしている患者を同定し得、そして、自己集合性ペプチドと、血管収縮剤、着色剤もしくは局所麻酔剤とを含む生体適合性の組成物を、切開もしくは他の侵襲性の操作がなされるかもしくはなされた部位に提供し得る。影響を受ける身体の物質は、血液もしくは血液製剤、漿液性滲出液(大部分が血漿で構成され、代表的には、透明もしくは琥珀色の流体として見える、炎症に関連する滲出液)、膿、胃液、尿、胆汁、脳脊髄液(CSF)、膵液などのような流体であり得る。身体の物質は、粘性で、汚泥様もしくは半固形であり得るが、一般には、流動もしくは移動の能力を示す。この性質の物質としては、胃腸管の内容物が挙げられる。組成物は、適用後(例えば、止血が達成されたか、または、腸での手術が完了した後)に除去されても、その場に残されてもよい。例えば、組成物は、外科手術の間に、止血を加速するため、または、腸の内容物の動きを阻害するために適用され得、そして、足場の一部もしくは全体は、手術が完了したときに、その場に残され得る。このことは、閉鎖前に除去されなければならないスポンジおよび他の物質の使用と比べて、かなりの利点を提供する。組成物は、種々の方法で(例えば、拭き取りまたは吸引により)除去され得る。
組成物はまた、下にある領域(例えば、熱傷を受けたか、または、他に損傷を受けた皮膚もしくは他の組織の領域)を遮蔽するために適用され得、そしてそれゆえ、汚染因子(例えば、外来性の物質)がその領域と接触するようになるのを防止するのに役立ち得る(すなわち、組成物は、バリアもしくはシールドとして使用され得る)。物質がその場にある間に、医師または他の医療提供者は、物質を通して創傷を調べることができ、そして、外科医は、物質を通して手術を行うことが可能である。処置の間に物質の上に止まった汚染物質は、その後、物質を除去することによって除去され得る。
組成物は、最終的な処置の前に創傷を安定化させるために使用され得る(例えば、被害者が病院への搬送を待っている間、または、輸送中)。手術が最適な無菌性を下回る条件下(例えば、野戦病院において、または、無菌手術室へのアクセスが限られている世界中の地域において)で行われる場合もまた、組成物は同様に有用である。組成物および方法は、このような状況において、汚染の可能性を有意に減らす能力を有する。自己集合性ペプチド物質はまた、処置が行われる局所領域において麻酔薬と組み合わせて局所的に適用され得、そして、外科手術の間に器官の動きを減らすために、より高い濃度で適用され得る。これは、一般的な麻酔薬の負荷量を減らすことによって、高齢の患者に対する認知上の不利な点を減らし得る。外科医が手術を行う組織または皮膚上に、薄層が噴霧され得る。これは、特定の器官に対する特別の麻酔薬の投与と別々に、または、これと一緒に適用され得る。皮膚は、腸とは異なるレセプターを有し、そして、特別の麻酔薬に対する必要性は、器官の各々について必要となる。腸は外科手術の間に動きを止める必要があるが、血液および血管の収縮は不変のままである必要がある。
出血の処置および予防:過度にもしくは即刻生命を脅かすものであっても、そうでなくても、望ましくない出血に苦しむ危険性の高いあらゆる個体は、本明細書中に記載される組成物で処置され得る。これらの個体としては、血友病のような血液凝固障害を有する個体、抗凝固剤治療を受けている患者、頻発する鼻血に苦しむ患者および手術(特に、大きな外科手術、または、動脈のアクセスを必要とする処置)を受けている個体が挙げられる。限定はされないが、外科手術または外科的処置は、神経系、眼、耳、鼻、口、咽頭、呼吸器系、心血管系、消化器系、泌尿器系、筋骨格系、外皮(皮膚)系または生殖器系に対する手術であり得る。組成物が使用され得る外科手術および外科的処置の特定の例としては、動脈造影法、血管心臓造影法、心臓カテーテル法、産科的裂傷の修復、冠状動脈閉塞の除去、ステントの挿入、帝王切開、子宮摘出術、骨折の減少、冠状動脈バイパス移植片、胆嚢切除術、臓器移植、全関節(例えば、膝関節、股関節、足根関節、肩関節)置換術、虫垂切除術、椎骨間ディスクの除去もしくは破壊、大腸の部分的切除、乳房切除術、または、前立腺切除術が挙げられる。
事故の犠牲者、戦闘に従事する個体および出産中の女性もまた、かなりの血液の喪失を経験する危険性がある。組成物は、止血を加速させるために、産科的出血(例えば、子宮内、膣内、または、近隣の組織内)の部位に適用され得る。例えば、組成物は、出血を制御するために、胎盤の裂け目に適用され得るか、または、子宮を詰めるために使用され得る。他の適応例に関して、生殖管に適用される組成物は、除去されてもその場に残されてもよい。自然発生的な出血、動脈瘤破裂、食道静脈瘤、胃潰瘍、腸の上側部分の潰瘍(例えば、十二指腸潰瘍)もまた、かなりの出血が起こり得る医学的状態であり、そして、これらの個体もまた、本明細書中に記載されるようにして処置され得る。
出血の正確な原因は多様であり得、そして、動脈系もしくは静脈系のあらゆる血管(例えば、動脈、細動脈、毛細血管もしくは毛細血管床、細静脈、または、静脈)に由来し得る。血管のサイズは、大きなもの(例えば、組成物は、大動脈、腸管動脈もしくは大腿動脈、または門脈からの出血を阻害し得る)から、小さなもの(例えば、毛細血管)までの範囲であり得、そして、血管は、身体内のいずれの場所にも(例えば、肝臓、胃、腸、皮膚、筋肉、骨、肺または生殖系のような固形臓器において)位置し得る。
凝血に通常必要とされる時間は、凝固因子および/または血小板の血漿レベルが低い場合、または、個体が抗凝固剤(例えば、ワルファリンまたはヘパリン)を受けている場合に、延長され得る。血管の完全性に対し最小限よりも大きい損傷がある場合、出血は、しばしば、平均凝固時間よりもかなり長く続く。研究に基づけば、組成物は、平均凝血時間よりも短い期間、そして、少なくともいくつかの場合においては、かなり短い期間で止血を引き起こすことが予測される。組成物は、任意の所与の時間で止血を達成する組成物に限定はされていないが(そして、ある領域の汚染からの保護、または、組織の治癒の促進のような用途がこの機能とは無関係であるが)、組成物は、適用後5秒ほどで出血している被験体に対し利益を与え得る。他の組成物は、適用後約10秒後、15秒後または20秒後で効果を発揮し得る。有効な期間は、絶対的な時間以外の様式で特徴付けられ得る。例えば、組成物は、止血を達成するために必要とされる時間を、氷冷生理食塩水が適用される場合に必要とされる時間と比べて、25%〜50%の間;50%〜75%の間;または、75%〜100%の間だけ減少させ得る。止血を達成するために必要とされる時間は、氷冷生理食塩水が適用される場合に必要とされる時間と比べて、約2倍、3倍、4倍または5倍減少され得る。
ペプチドの濃度は、血管の内径、血管な損傷された程度、および、出血中の力(または、損傷の際の出血の力)のような変数を参照して選択され得る。大きな血管(例えば、大動脈、腕頭動脈、頸動脈、鎖骨下動脈、腹腔動脈、上行性腸間膜動脈、腎臓動脈、腸管動脈、大腿動脈、または、膝窩動脈)からの止血を促進するためには、より高いペプチド濃度が望ましい。有用な濃度は、約0.1〜10%(例えば、1〜10%;0.5〜5%;14%;0.1〜2%;0.1〜3%;0.1〜4%;0.1〜5%;および1〜8%の間(例えば、約1%、約1.5%、約2%、約2.5%、約3%、約4%、約5%、約6%または約7%)の範囲であり得る。任意の部分範囲、または、任意の上記範囲のうちの任意の特定の値が使用され得る。任意の上述の濃度がまた、本明細書中に記載される他の適応例のために使用され得る。
上述のように、出血は、あらゆる多数の異なる原因に起因し得、そして、内因性でも外因性でもあり得る。組成物は、原因とも原因の性質(例えば、疾患の過程において引き起こされた外傷であるか、意図的に引き起こされた外傷であるか、または偶発的に引き起こされた外傷であるか)とも無関係に適用され得る。組成物は、閉じられた空間(例えば、中空器官の内側)、または、身体表面もしくはその付近において止血を達成するために使用され得る。例えば、組成物は、四肢もしくは指のような部分的もしくは完全に分割された身体の部分に適用され得る。このような場合、組成物は、複数の機能を果たし得る;これらは、止血を促進するのみならず、創傷を受けた組織を汚染因子から保護し、そして、組織の治癒を促進し得る。より具体的には、組成物は、創傷に適用され得、そして、止血を達成するため、および、凝血が起こるのに十分な期間その場に残され得、次いで除去され得る。ペプチドゲルに付着された微粒子および感染性因子のような汚染性物質が、組成物と共に除去される。次いで、滅菌した包帯が適用され得る。当然のことながら、組成物は、止血が達成された後でさえも、または、止血の加速が必要とされない状況において、創傷を清浄にする目的、汚染を防止する目的、または、組織の治癒を促進する目的のために適用され得る。
鼻血を処置するために使用される場合、組成物は、適切な鼻孔内に挿入され、そして、出血が引くまでその場に残され得る。組成物は、吸引によって(例えば、点眼器もしくはシリンジを用いて)容易に除去され得るか、または、他の物理的手段(単純な鼻の噴出を含む)によって除去され得る。
組成物はまた、創傷の上にその場に残され得、そして、包帯が、組成物の上に適用され得る。組成物自体は容易に除去されるので、包帯下でのその存在は、包帯が損傷を受けた組織にくっつくことを防止するのに役立ち得る。所望される場合、損傷を受けた部位が絆創膏の透明な部分とその下にあるペプチド構造物とを通して見ることができるように、透明な部分を有する絆創膏が使用され得る。これは、医師が包帯をはずすことなく、治癒の過程を監視することを可能にする。改変された絆創膏が以下にさらに記載され、そして、このようなものも本発明の範囲内である。
多くの医学的処置は、血管の穿刺を必要とし、この後、かなりの出血が起こり得る。自己集合性ペプチド組成物は、例えば、血管を穿刺するために使用される機器を引き抜く間に、穿刺された血管の壁に適用され得る。自己集合性ペプチドから形成される血管栓は、米国特許第5,192,302号;同第5,222,974号;同第5,645,565号;および同第6,663,655号に記載されるもののような、既存の血管栓およびデバイスに対する代替物を提供する。血管栓は、インサイチュで(例えば、血管穿刺の部位において)形成され得るか、または、前もって成形されて、その部位に適用され得る。
より一般的には、ナノ構造の物質またはその前駆体(例えば、自己集合性ペプチド)を含む組成物は、組織を通るあらゆる通路を封鎖するために使用され得る。したがって、本発明の方法は、ナノスケールの構造の物質(例えば、自己集合性の両親媒性ペプチド)を含む組成物を、通路の片側もしくは両側、または、その内側に適用することによって、組織を通る通路を封鎖する方法を包含する。組織は、例えば、血管壁、器官壁、皮下組織、または脂肪組織であり得る。通路の封鎖は、止血をもたらし得る。通路はまた、瘻孔(すなわち、2つの器官もしくは身体の構造物間、または、器官もしくは構造物と外界との間の異常な接続)であり得る。所望される場合、外科医は、腸または血管のような管状構造物の内側に組成物を適用し得、ゲル中で腸または血管を切除および結紮し得、そして、構造物の内側からゲルを吸い出して、構造物の連続性を回復させ得、そして、その領域の血液または他の身体物質での再潅流を可能にする。
外科的用途に関して、創傷または外科手術の視野の任意の部分は、自己集合性ペプチドを含む組成物で詰められ得る。このアプローチは、外科手術の間に従来行われているように、創傷を詰める代わりに使用され得る。組成物は、生体適合性かつ生分解性の物質を含むので、これらは、その場に残され得、それによって、処置の終了時に除去する必要性を回避し、そして、この目的のためのその後の手術の必要性を回避する。生分解性物質は、細胞内または被験体の体内で(例えば、生理学的状態下での加水分解によって、または、細胞もしくは体内に存在する酵素の作用のような自然な生物学的プロセスによって)物理的および/または化学的に分解されて、代謝され得、そして、必要に応じて、再利用および/もしくは排泄され得るか、または、他の方法で処理され得る、より小さな化学種を形成し得る。好ましくは、生分解性化合物は生体適合性である。
潰瘍または血管形成異常の結果として生じ得る胃腸管の出血は、未処置のままにされると致命的であり得る、比較的一般的でありかつ深刻な状態である。出血性の食道静脈瘤および出血性の胃もしくは十二指腸の潰瘍は、特に重篤であり得る。硬化薬の注射、機械的止血デバイスの取り付け、および接触式の電気焼灼技術のような多数の内視鏡治療アプローチが開発されている。組成物は、潰瘍、または、食道、胃、小腸もしくは大腸における出血部位、あるいはこれらの周辺に投与され得る。大腸、直腸または肛門(例えば、痔核)の遠位部分における出血もまた、この様式で処置され得る。
動脈瘤の破裂は、急速かつ致命的な結果を伴う悲劇的な結末の事象を代表し得る。大動脈瘤の破裂は、即座の医学的行為にも関わらず、急速に瀉血をもたらし得る。頭蓋内動脈瘤の破裂は、しばしば、破壊的な結果を有する。本発明の組成物および方法は、他の原因に起因する出血を処置するために使用される様式(例えば、出血部位への自己集合性前駆体または前もって成形された構造物の適用による)と本質的には類似する様式で、破裂した動脈瘤からの出血を処置するために使用され得る。動脈瘤の破裂のしばしば重篤な結果を考慮して、外科的修復がしばしば試みられる。組成物は、任意の試みられる修復(例えば、開放性外科手術または(例えば、グラフトおよび/またはステントの配置による)血管内修復の間)の文脈において適用され得る。より具体的には、本発明の方法は、ナノスケールの構造の物質またはその前駆体(例えば、自己集合性ペプチドを含む組成物)を含む組成物を、動脈瘤(例えば、動脈瘤嚢)中に導入することによって、動脈瘤を処置する工程を包含する。一度、任意の出血が良好な制御下に入ると、次いで、動脈瘤が、任意の適切な技術を用いて修復され得る。動脈瘤嚢内のペプチド構造物の存在は、これらの他の手順の前もしくは間に、漏れまたは破裂する機会を減らす。足場は、その場に残され得る。
脳脊髄液(CSF)の動きまたは漏れの阻害:硬膜は、脳および脊髄を覆い、そして、頭蓋の内面を覆う、頑丈で、最も外側にある線維性の膜である。CSFの漏れは、損傷、外科手術、または、硬膜が貫通される他の手順(硬膜外空間への麻酔薬の投与の過程における不注意な貫通を含む)の後の有意な合併症である。このような漏れは、重篤な頭痛、感染および髄膜炎のような深刻な続発症へとつながり得る。組成物は、CSFの望ましくない動きまたは漏れの部位、またはその周辺への適用の後、CSFの動きまたは漏れの阻害を必要とする被験体においてCSFの動きまたは漏れを阻害し得る。組成物は、硬膜外科手術後に縫合糸の上に適用されて、CSFが切開部位から漏れることを防止するのに役立ち得る。組成物はまた、鼓膜からの流体の動きまたはもれを阻害するために使用され得る。
胃腸管の内容物の漏れの阻害:組成物は、胃腸管の内容物の動きを阻害し得る。例えば、構造物は、胃もしくは腸の灌流後、または、外科手術の間に、胃腸管の内容物の漏れを防止し得る(実施例4を参照のこと)。構造物は、このような身体の物質を隔離し、そして、腹腔内へのその拡散を防止し、それによって、汚染と、その後の化学的な腹膜炎および/または感染のリスクとを最小限にするために使用され得る。主として塩酸、ムチン、ならびにペプシンおよびリパーゼのような酵素から構成される胃腺の消化性分泌物を含む、胃の内容物は、腹腔内に放出された場合に、損傷および/または感染を引き起こし得る。腸の内容物の腹腔内への放出は、腸に関する外科手術の間の頻繁な事象を代表し、そしてまた、腸の灌流または虫垂の破裂の場合にも生じ得る。組成物は、腹腔内への胃腸管内容物の漏れを阻害するために使用され得る。動きの部位とは、疾患の進行または外科的切開によって引き起こされる胃または腸の損傷を受けた部位であり得る。組成物は、消火器系におけるあらゆる器官(例えば、胃、または小腸、または大腸)の外側に適用され得るか、または、注射され得るか、もしくは、他の方法でその内側に導入され得る。組成物は、腸の一部分を切除する過程で投与され得る。例えば、第一の点から第二の点へと延びる腸の一部分が本発明の組成物で満たし、そして、この第一の点と第二の点との間に存在する腸の部分を切除し得る。
関連する方法において、腹腔内に放出された腸の内容物を除去するために組成物を使用し得る。この方法は、放出された腸の内容物に液体の組成物を適用する工程、液体組成物を相転移させる工程、次いで、ゲル様もしくは半固形の組成物を除去する工程を包含する。これらの工程は、腹腔内から除去された腸の内容物の量に外科医が満足するまで、1回以上繰り返され得る。
同様に、他の内臓(例えば、胆管または泌尿器系の器官)の内容物の動きを阻害することもできる。例えば、胆汁、膵液(すなわち、消化性酵素を含む膵臓の外分泌部分の分泌物)もしくは尿の動きを阻害し得、そして/または、組成物をその部位に適用し、その後除去することによって、胆汁、膵液もしくは尿が放出された領域を除染または清浄し得る。したがって、この方法は、腸、胆管および/もしくは泌尿器系の欠陥を修復または他の方法で処置するための外科手術に対し、広範な用途を有する。
創傷治癒:研究はまた、組成物が、特に上皮層もしくは筋肉の治癒を増強する能力を有し、従って、組織の損傷部位を処置するために投与され得ることを示している。例えば、自己集合性ペプチドを含む組成物を、組織の損傷部位に適用し得る。組成物は、組織修復の速度の増加、および、瘢痕組織の形成の阻害の両方を行うようである。組成物は、急性または慢性のいずれかの創傷の治療のために使用され得る。例えば、これらは、任意の様式で創傷を受けた皮膚(例えば、裂傷または熱傷)に対して、そして、糖尿病性潰瘍およびプレッシャーによる潰瘍のような病巣に対して適用され得る。
これらの物質は、熱傷を受けたか、または、擦傷もしくは熱傷に起因して外皮が裂けた場合に、患者に対し水和物および栄養分を維持するために使用され得る。別の場合において、物質は、患者が外部の熱源または冷却源によって物質で覆われるときに、体温を維持するために使用され得る。
物質は、種々の送達法、送達デバイスおよび送達キットに組み込まれ得る。種々のデバイスが、身体の標的領域に組成物を導入するために使用され得る。デバイスは、シリンジのように単純なものであり得、そして、このようなデバイスは、キット内に、組成物と一緒に提供され得る。組成物は、注射によって(例えば、針およびシリンジを用いて)、または、カテーテル、カニューレを用いて、または、任意の適切なサイズの容器から分配する(例えば、注入する)ことによって、体内の標的領域またはその付近に局所的に送達され得る。組成物は、必要に応じて、画像化の手引き(例えば、定位手術の手引き(stereotactic guidance))の助力により送達され得る。あるいは、物質は、組成物と共に湿らされ得、次いで、組織の一領域に組成物を提供するために使用され得る。
保存および運搬のために、自己集合性物質は、適切な溶媒(例えば、適切な水のような水性媒体)中に溶解されて、使用前まで長期間にわたり保存され得る。ペプチドを含む溶液は、活性を実質的に損なうことなく、2年まで保存される。長時間の後に部分的な自己集合が起こる場合、投与前に、物質をより液性の状態に回復させるために物理的な撹拌(例えば、超音波処理)が使用され得る。あるいは、物質は、ゲルとして適用され得る。所望される場合、適用前に、少量のイオン(例えば、一価カチオン)が溶液に加えられ得る。これは、ゲルの形成のプロセスを加速し得る。あるいは、一価カチオンは、溶液が投与された後に適用され得る。
圧搾されて液体組成物を開口部から外へ押し出し得る種々の容量のシリンジまたは変形性の側面を持つ容器(例えば、プラスチック製容器またはプラスチックの側面を持つ容器)を含むキットが提供される。1つの実施形態において、シリンジまた容器は、複数の区画を含み、このうち1つの区画は一価のイオンを含み、そして、他の区画は、自己集合性ペプチドを含み、これらは、投与時に共通の針で混合される。内視鏡は、中空の器官(例えば、食道、胃、腸など)または体腔(例えば、最小限に侵襲性の外科手術の間)の処置のために組成物を送達するために使用され得る。最小限に侵襲性の外科手術は、小さな切開もしくは自然な身体の開口部を通して挿入されるように設計された特別の機器を用いて手術が行われる外科手術のアプローチを指し、これは、しばしば、内視鏡による可視化と共に行われる。例としては、腹腔鏡外科手術、関節鏡外科手術および血管内外科手術が挙げられる。内視鏡は、代表的に、長く、かつ可撓性のチューブ様デバイスである。内部の構造物の可視化を可能にすることに加え、多くの内視鏡は、特別なチャネルを通して、さらなる診断能(例えば、生検)および治療能(例えば、治療剤の送達)を有する。結腸鏡、S状結腸鏡、気管支鏡、膀胱鏡および腹腔鏡は、特定の器官、構造物または腔を見るために特別によく適するようにする特徴を有する、種々の内視鏡である。これらのデバイスのうち任意のものが、組成物を送達するために使用され得る。キットは、内視鏡と、自己集合性ペプチドを含む溶液を含む容器とを含めて包装され得る。適切な内視鏡は、当該分野で公知であり、そして広く利用可能である。内視鏡は、現在、食道の出血部位に硬化薬を送達するために使用されている。
キットは、自己集合性ペプチドと、以下のうちの1つ以上とを備え得る:シリンジ、針、縫合糸、ガーゼ、絆創膏、消毒薬、抗生物質、局所麻酔薬、鎮痛剤、手術糸、はさみ、メス、滅菌流体および滅菌容器。ペプチドは、溶液中であっても乾燥状態(例えば、乾燥粉末として)であってもよい。キットの内容物は、個々に包装され得、そして、滅菌状態である。キットは一般に、市販に適したコンテナ(例えば、プラスチック製コンテナ、段ボール製コンテナまたは金属製コンテナ)中で提供される。キットは、「救急箱」としての様式に合わせられ得、この場合、代表的には、外側に、赤い十字のような記号を有する。任意のキットが、使用のための説明書を備え得る。
実施例1
以下の実施例は、自己集合性ペプチド物質と、脳における止血の加速におけるその使用とを記載する。
離断される組織に重なる頭蓋の部分を除去した後に、ラットおよびハムスターの脳における上矢状静脈洞の分枝の完全な離断を行った。ケタミン(80mg/kg)およびキシラジン(8mg/kg)の腹腔内注射により動物に麻酔をかけた。全ての外科処理を、手術用顕微鏡下で行った。10匹の成体ハムスターおよび12匹の若い成体雌性Spraque−Dawleyラット(200〜250g)を含む22匹の動物を、静脈洞分枝の離断部位におて、氷冷生理食塩水または20μlの1%ペプチド溶液で処理した。物質は、RADA 16−1(n−RADARADARADARADA−c;配列番号:1)ペプチドを滅菌水中に溶解することにより調製し、そして、このペプチド含有溶液を、2ccシリンジを付けた31ゲージ針を用いて、損傷を受けた組織に対し適用した。
この実験を、タイムスタンプ付きでビデオテープに録画し、そして、ある時間につき1コマで再生して、ペプチド溶液が出血を効果的に妨げるゲルを形成するのに必要とされる時間の長さを評価した。止血は視覚的に評価し、そして、「完全な止血」は、創傷部位からの血液の動きの完全な欠落として規定した。完全な止血は、全ての場合において、ペプチド溶液の適用から10秒以内に達成された。
頭蓋の重なった部分を除去し、上矢状静脈洞の静脈のうち一方を離断し、次いで、ペプチドを含有する溶液で処理した成体ラットについて、一連の写真を撮影した。最初の写真は、露出した脳と、上矢状静脈洞の静脈とを示す;次の写真は、静脈の切断を示す;次の写真は、破裂した静脈からの出血を示す;および、最後の写真は、ペプチド溶液を適用してから5秒後の同じ領域を示す。完全な止血が達成された。
成体ラットの脳の静脈洞につながる静脈の離断後の、ペプチド溶液の適用の開始から、止血の開始までの期間を測定した。完全な止血は、平均8.3秒で達成された。生理食塩水のコントロールでは、出血の中断は達成されなかった。生理食塩水のコントロール実験は、動物の出血死を防ぐために、同じ時点で終了した。
上矢状静脈洞の完全な離断後にも同様の結果が得られた。止血を達成するために、後者の実験において、より高い濃度のペプチド(例えば、約3%〜4%)を用いた。これらの生理食塩水コントロールの症例は、20秒後まで出血し続けた。コントロールの動物において、氷冷生理食塩水を除き、そして、ペプチド溶液を適用すると、ほぼ即座に完全な止血をもたらした。
合計22匹のラットおよび64匹のハムスターを、ペプチドを含有する溶液が頭蓋内出血部位に適用後10秒以内に効果的に止血を達成した実験に供した。
実施例2
以下の実施例は、自己集合性ペプチド物質と、大腿動脈離断後の止血の加速におけるその使用とを記載する。
成体ラットにおいて坐骨神経および隣接する大腿動脈を露出させ、そして、大腿動脈を離断した。12匹のラットを、シリンジ本体を付けたガラスピペットを用いて、離断部位に、20μlのRADA 16−Iペプチドの1%溶液を適用することにより処理した。一方、コントロールは、離断部位に冷生理食塩水を適用することにより処理した。全ての処理した症例において、止血は、10秒以内に達成された。生理食塩水のコントロール症例は、実験を110秒において終了するまで、出血し続けた。これらのコントロール動物において、その後、冷生理食塩水をペプチド溶液で置き換えると、ほぼ即座に完全な止血の達成が得られた。大腿動脈を離断した成体ラットにおいて、一連の写真を撮影した。最初に撮った写真では、坐骨神経および大腿動脈が露出されている。次の写真は、動脈の切断を示し、そして、次の写真は出血を示す。この約5秒後、血液および血漿の存在下で集合したペプチドにより形成された透明なゲルの領域において完全な止血が観察された。集合した物質は、所望される場合、容易にその部位から吸い取ることができる。完全な止血は、試験の期間(1時間)維持された。
完全な止血は、10秒以内に達成された。生理食塩水のコントロールにおいて、止血には至らなかった。
筋肉の外傷実験は、ラットの背部の筋肉に1〜2cmの切開をつくった後、即座の止血を示した。ラットの背部における棘状僧帽筋を露出し、そして、筋肉に深い切り込みをつくり、この後、この切り込みに1%ペプチド溶液(RADA16−I)を適用した。10秒以内に、全ての出血が停止した。氷冷生理食塩水のみを適用した場合、コントロール動物は、20秒後も出血し続けた。
この手順は、後肢の筋肉(porteocaudalisおよびmusculus tibialis cranialis)内で再現し、そいて、同様の結果が得られた。1%〜100%の間のペプチド(RADA 16−I)を、肢の創傷に適用し、そして、全ての症例において止血が達成された。しかし、動脈または静脈が離断された場合、止血をもたらすために2%以上多い物質が必要とされた。氷冷生理食塩水のみを適用した場合、コントロール動物は、20秒後まで出血し続けた。
実施例3
以下の実施例は、自己集合性ペプチド物質と、肝臓における止血の加速におけるその使用を記載する。
比較的低い圧力を有する血管の出血を止めるペプチドを含有する構造物の能力をさらに実証するために、成体ラットの腹腔を開き、肝臓を露出し、そして、外左葉に、吻側から尾側までの切断を行い、肝臓の一部分を完全に離断した。その結果、夥しい出血が起こった。27ゲージ針および4ccシリンジを用いて、1%ペプチド溶液(RADA16−I)をこの切断部およびその周辺に適用した。全ての出血が10秒以内に止まった。一連の写真を撮影した。最初の写真は、肝臓の露出を示す;第二の写真では、肝臓が分離され、そして、夥しい出血が示される;そして、第三の写真では、肝臓の2つの部分が一緒に戻され、そして、出血が継続している。1%ペプチド溶液(局所的かつ切断部内に適用される)を用いて部位を処理した後、全ての出血が10秒内に止まった。外左葉の2つの半体の間に、透明な領域が観察された。この手順を数回繰り返したが、同じ結果であった。
同様の実験は、より高い圧力を有する肝臓における血管の出血を止めるペプチド構造物の能力を実証した。一連の写真が、この実験を例示する。第一の写真は、開かれた腹腔と露出された肝臓とを示す;第二の写真では、外左葉に横断する切断を行い、肝臓の一部分と門脈の主要な分枝とを完全に離断がされており;そして、第三の写真は、創傷部位からの夥しい出血を示す。切断部は、4%ペプチド溶液を局所的かつ切断部内に適用して処理した。全ての出血が10秒以内に止まった。外左葉の下部を下向きに引っ張ると、ペプチド構造物が切断部内にあることを示された。この部位は、この物理的な応力に供した場合でさえも出血しなかった。10分後、依然として出血はなかった。したがって、4%ペプチド溶液の適用は、10秒以内で、高圧の出血環境において完全な止血をもたらした。2%または3%のペプチド溶液での処理を、同じタイプの実験において試験し、そして、また、完全な止血が達成された。1%溶液での処理は、出血の部分的な中断をもたらした。さらに、処理の30秒後に過剰なペプチド構造物を損傷を受けた部位から拭い去っても、止血は維持された。この手順を数回繰り返したが、同じ結果であった。
他の実験において、外左葉の右下の四分円弧において葉の4分の1を除去し、そして、その縁を、損傷部位に2%ペプチド(RADA16−I)を局所適用することにより処理した。出血は10秒以内に止まった。1分後、ペプチドを除去し、そして、肝臓の縁において完全な止血が達成された。
実施例4
以下の実施例は、自己集合性ペプチド物質と、腸内での胃液の流れの減少におけるその使用を記載する。
成体ラットの腸を、十二指腸の高さで小さく切断して潅流し、腹腔内への胃液の漏れをもたらした。この部位を2%ペプチド(RADA16−I)溶液で処理すると、腸からの胃液の漏れの全てが止まった。損傷の高さにおいて、十二指腸内に2%ペプチド溶液の追加の容量を注射した。これにより、腸からの全ての漏れが1時間の手順期間にわたり防止された。十二指腸の高さで切断を行ったコントロールにおいて、未処理のままにすると、腸壁が反転し、そして、損傷部位から胃液が漏れ続けた。損傷の15分後にこの部位をペプチド溶液で処理すると、このペプチド処理もまた、この損傷部位からの漏れを全て止めた。さらに、この処理は、腸壁の反転の進行も止めた。
実施例5
以下の実施例は、自己集合性ペプチドと、皮膚創傷の治癒の加速におけるその使用とを記載する。
創傷治癒を増強する自己集合性ペプチドの能力を実証するために、動物を、皮膚および皮下組織のパンチ生検に供した。この生検を採った領域は、自己集合性ペプチド(RADA16−I)溶液の単回適用により処理したか、または、未処理のままにしたかのいずれかであった。創傷を包帯なしのままにした。損傷を受けた動物を、自己集合性ペプチドで処理し、未処理のマッチさせた症例と比較した4mmのパンチ生検治癒試験の一連の写真は、結果を示す。創傷は、0日目、1日目、4日目および7日目に写真に撮った。処理した創傷は、3つ全てのパンチにおいて、早くも1日目に創傷部位が縮小していることにより実証されるように、かなり早く治癒した。ペプチドを用いた処理は、いくつかの場合において、5日目には治癒を加速しているようであった。全ての症例において、創傷部位の縮小は、処理した症例においてより早く起こった。
実施例6
以下の実施例は、リドカインを含む組成物の使用を記載する。
RADA16をリドカインと混ぜ、そして、この混合物を、ピンで刺す前に、成体ラットの皮膚に適用した。これは、リドカインおよびRADA I−16の5%混合物である。皮膚に適用し、そして、試験の期間にわたり放置した。自己集合性ペプチドと混合した場合、ピンで刺すことに対する応答は、リドカインを単独で使用した場合に応答がなかった期間の4倍長く応答がなかった。さらに、本発明者らは、腸の手術を行う間に、自己集合性ペプチドとリドカインの溶液を、2匹のラットの腸に適用した。この溶液は、外科手術の間に蠕動を減少させたが、動物に対して目に見える副作用はなかった。
上述の説明は、代表的なものとしてのみ理解されるべきであり、制限するものとしては意図されない。本発明の組成物およびデバイスを作製および使用するため、そして、本発明の方法を実施するための、代替的なシステムおよび技術は、当業者に明らかであり、そして、添付の特許請求の範囲内に包含されることが意図される。
本発明のいくつかの実施形態が本明細書中に記載および例示されるが、当業者は、本明細書中に記載される機能を実施するため、そして/もしくは、結果および/もしくは1以上の利点を得るための、種々の他の手段および/または構造物に容易に想到し、そして、このようなバリエーションおよび/または改変の各々は、本発明の範囲内であるとみなされる。より一般的には、当業者は、本明細書中に記載される全てのパラメーター、寸法、材料および構成が、例示的であることを意味すること、そして、実際のパラメーター、寸法、材料および構成が、本発明の技術が使用される特定の用途に依存することを容易に理解する。当業者は、慣用的に過ぎない実験を用いて、本明細書中に記載される本発明の特定の実施形態に対する多くの等価物を認識し、そして、確認することができる。したがって、上記の実施形態は、一例としてのみ提示され、そして、添付の特許請求の範囲およびそれに対する等価物の範囲内で、本発明は、具体的に記載されかつ特許請求されるもの以外の方法でも実施され得ることが理解されるべきである。本発明は、本明細書中に記載される個々の特徴、システム、物品、材料、キットおよび/または方法の各々に関する。さらに、このような特徴、システム、物品、材料、キットおよび/または方法が互いに矛盾していない場合、2以上のこのような特徴、システム、物品、材料、キットおよび/または方法の任意の組み合わせが、本発明の範囲内に包含される。
不定冠詞「a」および「an」は、明細書および特許請求の範囲において本明細書中で使用される場合、明確にそうでないと示されない限り、「少なくとも1つ」を意味するものと理解されるべきである。
句「および/または(および/もしくは、および/あるいは、ならびに/または、ならびに/あるいは、そして/または、そして/あるいは)」は、明細書および特許請求の範囲において本明細書中で使用される場合、このように連結される要素の「いずれかまたは両方」、すなわち、ある場合には、連結して存在し、そして他の場合には分離して存在する要素を意味するものと理解されるべきである。そうでないと明確に示されない限り、「および/または」節によって具体的に識別される要素と関連があろうと、関連がなかろうとも、これらの要素以外に、他の要素が、必要に応じて存在し得る。したがって、非限定的な例として、「含んでいる(comprising)」のような制約のない言葉と組み合わせて使用される場合、「Aおよび/またはB」に対する参照は、ある実施形態では、BなしのA(必要に応じてB以外の要素を含む);別の実施形態では、AなしのB(必要に応じてA以外の要素を含む);なお別の実施形態では、AおよびBの両方(必要に応じて他の要素を含む)などを指し得る。
明細書および特許請求の範囲において本明細書中で使用される場合、「または(もしくは、あるいは)」は、上に定義した「および/または」と同じ意味を有するものと理解されるべきである。例えば、列挙される項目を分離する際、「または」または「および/または」は、包括的であるものとして解釈されるべきであり、すなわち、多数の要素または要素の列挙、および、必要に応じてさらなる列挙されていない項目のうち、少なくとも1つを含むが、2つ以上もまた含む。「のうち1つのみ」または「のうちちょうど1つ」のような用語がそうでないと明確に示さない限り、あるいは、特許請求の範囲において使用される場合、「〜からなる」は、多数の要素または要素の列挙のうちちょうど1つを含むことを意味する。一般に、用語「または」は、本明細書中で使用される場合、「いずれか」、「のうちの1つ」、「のうちの1つのみ」または「のうちのちょうど1つ」のような排他的な用語によって先行される場合、排他的な二者択一を示すものとしてのみ解釈されるべきである(すなわち、「一方または他方であるが、両方ではない」)。「本質的に〜からなる」は、特許請求の範囲において使用される場合、特許法の分野において使用されるような通常の意味を有する。
明細書および特許請求の範囲において本明細書中で使用される場合、1以上の要素の列挙に関する、句「少なくとも1つ」は、その要素の列挙における任意の1以上の要素から選択される少なくとも1つの要素を意味するものと理解されるべきであるが、必ずしも要素の列挙内に具体的に列挙される要素の各々および全てのうち少なくとも1つを含む必要はなく、そして、要素の列挙における要素の任意の組み合わせも排除しない。この定義はまた、句「少なくとも1つの」が指す要素の列挙において具体的に識別される要素以外にも、これらの具体的に識別される要素に関連していようと、関連していなくとも、必要に応じて要素が存在し得ることを可能にする。したがって、非限定的な例として、「AおよびBのうち少なくとも1つ」(または、等価的に、「AまたはBのうち少なくとも1つ」、または、等価的に、「Aおよび/またはBのうち少なくとも1つ」)は、ある実施形態では、少なくとも1つのA(必要に応じて、2つ以上のAを含む)が存在するが、Bは存在しない(そして、必要に応じて、B以外の要素を含む);別の実施形態では、少なくとも1つのB(必要に応じて、2つ以上のBを含む)が存在するが、Aは存在しない(そして、必要に応じて、A以外の要素を含む);なお別の実施形態では、少なくとも1つのA(必要に応じて、2つ以上のAを含む)が存在し、かつ、少なくとも1つのB(必要に応じて、2つ以上のBを含む)が存在する(そして、必要に応じて、他の要素を含む);などを指し得る。
上記の明細書においてと同様に、特許請求の範囲において、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(carrying)」、「有する(having)」、「含む(containing)」、「含む(involving)」、「保持する(holding)」などのような移行性の句(transitional phrase)は全て、制約のないものとして、すなわち、〜を含むが〜に限定されないことを意味するものとして理解されるべきである。United States Patent Office Manual of Patent Examining Procedures、Section 2111.03に示されるように、移行性の句「〜からなる」および「本質的に〜からなる」のみが、それぞれ、閉ざされたもしくは部分的に閉ざされた移行性の句である。

Claims (54)

  1. ペプチド模倣物、ヌクレオチド模倣物、ジブロックコポリマー、トリブロックコポリマー、N−アルキルアシルアミド、ヘリックスコンホメーションまたはシートコンホメーションを採り得る骨格を有するオリゴマー、あるいはこれらのうちの1つより多くの組合せから選択される物質;
    を含む、動物の体液および/または汚染因子の動きを阻害するために位置決められた構造物であって、
    該物質は、該動物に対する外科的切開または創傷の発生の前、間、および/または後に該動物の部分に、該体液および/または汚染因子の動きを実質的に阻害するために十分な量で適用されており、そして該構造物は、該構造物が該動物の該体液および/または汚染因子の動きを実質的に阻害するように、該物質と該動物中かまたは該動物上に存在する少なくとも1種のイオン種との間の相互作用の生成物を含む、
    構造物。
  2. 前記物質は、ペプチド模倣物である、請求項1に記載の構造物。
  3. 前記ペプチド模倣物は、α−ペプチド、β−ペプチド、γ−ペプチド、δ−ペプチドから選択される、請求項2に記載の構造物。
  4. 前記オリゴマーは、ビピリジンセグメントの構築、疎溶媒性相互作用、側鎖相互作用、水素結合相互作用、または金属配位によってヘリックスコンホメーションまたはシートコンホメーションを形成し得る、請求項1に記載の構造物。
  5. 前記物質は、ヌクレオチド模倣物である、請求項1に記載の構造物。
  6. 前記ヌクレオチド模倣物は、異性体オリゴヌクレオチド、改変された炭水化物、改変されたヌクレオチド連結を有するオリゴヌクレオチド、および代替的な核酸塩基を有するヌクレオチドから選択される、請求項5に記載の構造物。
  7. 前記物質は、ジブロックコポリマーまたはトリブロックコポリマーである、請求項1に記載の構造物。
  8. 前記ジブロックコポリマーまたはトリブロックコポリマーは、コポリペプチド、ポリペプチド−PEG、PEO−ポリブタジエン、およびPEG−ポリサッカリドから選択される、請求項7に記載の構造物。
  9. 前記イオン種は、一価カチオンである、請求項1に記載の構造物。
  10. 前記少なくとも1種のイオン種は、Li、Na、K、またはCsである、請求項9に記載の構造物。
  11. 前記体液は、血液、間質液、脳脊髄液、組織液、実質組織によって産生される流体、漿液性滲出液、膿、胃液、尿、または胆汁である、請求項1に記載の構造物。
  12. 前記体液は、血液である、請求項1に記載の構造物。
  13. 前記汚染因子は、細菌、細胞、感染媒体、膿、漿液性滲出液、胆汁、膵液、または胃、腸、もしくは尿路内に含まれる物質、または空気伝搬汚染因子を含む、請求項1に記載の構造物。
  14. 前記構造物は、治療剤、予防剤、診断剤、薬学的に受容可能な希釈剤、充填剤、または油をさらに含む、請求項1に記載の構造物。
  15. 前記構造物は、抗炎症剤、血管収縮剤、抗感染症剤、麻酔剤、増殖因子、細胞、有機化合物、生体分子、着色剤、ビタミン、または金属をさらに含む、請求項14に記載の構造物。
  16. 前記動物の部分は、血管、組織、尿生殖器領域、肺、硬膜、腸、胃、心臓、胆管、尿路、食道、脳、脊髄、胃腸管、肝臓、筋肉、動脈、静脈、神経系、眼、耳、鼻、口、咽頭、呼吸器系、心血管系、消化器系、泌尿器系、生殖器系、筋骨格系、肝臓、外皮、または吻合の部位にあるか、あるいはそれらに隣接する、請求項1に記載の構造物。
  17. 前記物質は、自己集合性物質である、請求項1に記載の構造物。
  18. 前記構造物は、適用前に前記物質に関して相が変化する、請求項1に記載の構造物。
  19. 複数のナノファイバーを含む、請求項1に記載の構造物。
  20. 各ナノファイバーは、約10〜20nmの直径を有する、請求項1に記載の構造物。
  21. ペプチド模倣物、ヌクレオチド模倣物、ジブロックコポリマー、トリブロックコポリマー、N−アルキルアシルアミド、ヘリックスコンホメーションまたはシートコンホメーションを採り得る骨格を有するオリゴマー、あるいはこれらのうちの1つより多くの組合せから選択される物質;
    を含む組成物であって、
    該物質は、動物中かまたは該動物上に存在する少なくとも1種のイオン種との相互作用の際に、該動物の体液および/または汚染因子の動きを実質的に阻害する構造物を形成し得る、
    組成物。
  22. 前記物質は、固体形態にある、請求項21に記載の組成物。
  23. 前記物質は、溶液中に含まれる、請求項21に記載の組成物。
  24. 前記固体は、噴霧乾燥されているか、凍結乾燥されているか、ペレット化されているか、顆粒化されているか、粒子であるか、ゲルであるか、またはフォームである、請求項22に記載の組成物。
  25. 、請求項21に記載の組成物。前記組成物は、鼻栓、絆創膏、縫合糸、テープ、粘着剤、外科的ドレープ、フォーム、またはマトリクスの上または中に分散されるか、それらの上または中に吸着されるか、あるいはそれらに適用される
  26. 前記組成物は、スプレーとして分配され得る、請求項21に記載の組成物。
  27. 複数のナノファイバーを含む、請求項21に記載の組成物。
  28. 各ナノファイバーは、約10〜20nmの直径を有する、請求項21に記載の組成物。
  29. 前記組成物ならびに体液および/または汚染因子の動きを阻害することにおける該組成物の使用のための指示書が、キット中に含まれる、請求項21に記載の組成物。
  30. 前記キットは、1つ以上の区画を含むシリンジまた容器をさらに備え、第1の区画は、前記組成物を含み、そして第2の区画は、該組成物と合わせた場合に、前記物質を溶解するか、または水和させて体液および/または汚染因子の動きを阻害し得る物質を形成する溶液を含む、請求項29に記載の組成物。
  31. ペプチド模倣物、ヌクレオチド模倣物、ジブロックコポリマー、トリブロックコポリマー、N−アルキルアシルアミド、ヘリックスコンホメーションまたはシートコンホメーションを採り得る骨格を有するオリゴマー、あるいはこれらのうちの1つより多くの組合せから選択される物質;
    を含む組成物であって、
    前記物質は、医療デバイスまたは他の物品を含む成分の表面に、該成分に対する該成分の表面上の汚染因子の動きを実質的に阻害するために十分な量で適用されており、そして前記物質は、該成分の表面上に存在する少なくとも1種のイオン種との相互作用の際に、該汚染因子の動きを実質的に阻害する構造物を形成し得る、
    組成物。
  32. 前記組成物は、医療デバイス上のコーティングである、請求項31に記載の組成物。
  33. 前記医療デバイスは、ステント、カテーテル、または鼻栓である、請求項31に記載の組成物。
  34. 動物上かまたは動物中の体液および/または汚染因子の動きを阻害するための方法であって、
    該動物に対する外科的切開または創傷の発生の前、間、および/または後に該動物の部分に、該体液および/または汚染因子の動きを実質的に阻害するために十分な量で組成物を投与する工程であって、該組成物は、ペプチド模倣物、ヌクレオチド模倣物、ジブロックコポリマー、トリブロックコポリマー、N−アルキルアシルアミド、ヘリックスコンホメーションまたはシートコンホメーションを採り得る骨格を有するオリゴマー、あるいはこれらのうちの1つより多くの組合せを含む、工程;ならびに
    該組成物に、該動物中かまたは該動物上に存在する少なくとも1種のイオン種と相互作用して該体液および/または汚染因子の動きを阻害する構造物を形成させる工程;
    を包含する、方法。
  35. 前記組成物は、噴霧、注射、注入、散布、塗布、浸漬、またはコーティングによって投与されるか、あるいは経口的、経腸的、非経口的、局所的、局所的、領域的に投与されるか、あるいは浣腸または坐剤として投与される、請求項34に記載の方法。
  36. 前記組成物は、カシェ剤、ディスク、ゲル、ストリップ、フィルム、錠剤、溶液、懸濁物、エマルジョンとして経口的に投与される、請求項34に記載の方法。
  37. 前記構造物は、前記動物の部分上かまたは部分内に光学的に透明な環境を提供する、請求項34に記載の方法。
  38. 生理食塩水による動物の部分の灌注が、該動物に対する外科的切開または創傷の発生の前、間、および/または後に必要とされない、請求項34に記載の方法。
  39. 前記動物の部分は、血管、組織、尿生殖器領域、肺、硬膜、腸、胃、心臓、胆管、尿路、食道、脳、脊髄、胃腸管、肝臓、筋肉、動脈、静脈、神経系、眼、耳、鼻、口、咽頭、呼吸器系、心血管系、消化器系、泌尿器系、生殖器系、筋骨格系、肝臓、外皮、または吻合の部位にあるか、あるいはそれらに隣接する、請求項34に記載の方法。
  40. 前記組成物は、腫瘍の切除の間に投与される、請求項34に記載の方法。
  41. 前記組成物は、角膜の修復の間に投与される、請求項34に記載の方法。
  42. 前記組成物は、出血を阻害するために該動物の部分の部分に投与される、請求項34に記載の方法。
  43. 前記組成物は、患者の体温を維持するために投与される、請求項34に記載の方法。
  44. 前記組成物は、動脈瘤に投与される、請求項34に記載の方法。
  45. 前記組成物は、潰瘍に投与される、請求項34に記載の方法。
  46. 前記組成物は、熱傷に投与される、請求項34に記載の方法。
  47. 前記構造物は、汚染因子の動きを阻害することによって、該汚染因子に対する前記動物の免疫応答が該構造物の非存在下での該汚染因子に対する該動物の免疫応答と比較して減少する、請求項34に記載の方法。
  48. 前記組成物は、着色剤をさらに含む、請求項34に記載の方法。
  49. 組成物を、医療デバイスまたは他の物品を含む成分の表面に該成分に対する該成分の表面上の汚染因子の動きを実質的に阻害するために十分な量で適用する工程であって、該記組成物は、ペプチド模倣物、ヌクレオチド模倣物、ジブロックコポリマー、トリブロックコポリマー、N−アルキルアシルアミド、ヘリックスコンホメーションまたはシートコンホメーションを採り得る骨格を有するオリゴマー、あるいはこれらのうちの1つより多くの組合せを含む、工程;および
    該組成物に、該動物中かまたは該動物上に存在する少なくとも1種のイオン種と相互作用して該汚染因子の動きを阻害する構造物を形成させる工程;
    を包含する、汚染因子の動きを阻害するための方法。
  50. 動物の部分に対して、該動物の最小限に侵襲性の外科的手順の発生の前、間、および/または後に組成物を、体液および/または汚染因子の動きを実質的に阻害するために十分な量で投与する工程であって、該組成物は、ペプチド模倣物、ヌクレオチド模倣物、ジブロックコポリマー、トリブロックコポリマー、N−アルキルアシルアミド、ヘリックスコンホメーションまたはシートコンホメーションを採り得る骨格を有するオリゴマー、あるいはこれらのうちの1つより多くの組合せを含む、工程;
    を包含する、最小限に侵襲性の外科手術のための方法。
  51. 前記組成物は、内視鏡、腹腔鏡、またはカテーテルを使用して投与される、請求項50に記載の方法。
  52. 前記組成物は、前記動物の内部に投与される、請求項51に記載の方法。
  53. 前記組成物は、内視鏡、腹腔鏡、またはカテーテルが切開の前および/または後に通過する外科的切開の位置に投与される、請求項50に記載の方法。
  54. 動物上かまたは動物中の体液および/または汚染因子の動きを阻害するための方法であって:
    動物の部分に対して、該動物に対する外科的切開または創傷の発生の前、間、および/または後に、該体液および/または汚染因子の動きを実質的に阻害するために十分な量で、
    ペプチド模倣物、ヌクレオチド模倣物、ジブロックコポリマー、トリブロックコポリマー、N−アルキルアシルアミド、ヘリックスコンホメーションまたはシートコンホメーションを採り得る骨格を有するオリゴマー、あるいはこれらのうちの1つより多くの組合せから選択される物質を含む組成物と、
    該組成物と合わせた場合に、該物質を溶解するか、または水和させて体液および/または汚染因子の動きを阻害し得る物質を形成する溶液と
    を投与する工程;
    を包含する、方法。
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