JP6545727B2 - 肺大気胞を治療するための自発組織化ペプチド - Google Patents

肺大気胞を治療するための自発組織化ペプチド Download PDF

Info

Publication number
JP6545727B2
JP6545727B2 JP2016575316A JP2016575316A JP6545727B2 JP 6545727 B2 JP6545727 B2 JP 6545727B2 JP 2016575316 A JP2016575316 A JP 2016575316A JP 2016575316 A JP2016575316 A JP 2016575316A JP 6545727 B2 JP6545727 B2 JP 6545727B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
solution
self
peptide
item
ion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2016575316A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017513928A (ja
JP2017513928A5 (ja
Inventor
マナブ メータ,
マナブ メータ,
久嗣 塚田
久嗣 塚田
ユン ソク ギル,
ユン ソク ギル,
カール パトリック ギルバート,
カール パトリック ギルバート,
小林 智
智 小林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
3D Matrix Ltd
Original Assignee
3D Matrix Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 3D Matrix Ltd filed Critical 3D Matrix Ltd
Publication of JP2017513928A publication Critical patent/JP2017513928A/ja
Publication of JP2017513928A5 publication Critical patent/JP2017513928A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6545727B2 publication Critical patent/JP6545727B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides
    • A61K38/16Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61BDIAGNOSIS; SURGERY; IDENTIFICATION
    • A61B17/00Surgical instruments, devices or methods, e.g. tourniquets
    • A61B17/34Trocars; Puncturing needles
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides
    • A61K38/04Peptides having up to 20 amino acids in a fully defined sequence; Derivatives thereof
    • A61K38/08Peptides having 5 to 11 amino acids
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides
    • A61K38/04Peptides having up to 20 amino acids in a fully defined sequence; Derivatives thereof
    • A61K38/10Peptides having 12 to 20 amino acids
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61MDEVICES FOR INTRODUCING MEDIA INTO, OR ONTO, THE BODY; DEVICES FOR TRANSDUCING BODY MEDIA OR FOR TAKING MEDIA FROM THE BODY; DEVICES FOR PRODUCING OR ENDING SLEEP OR STUPOR
    • A61M16/00Devices for influencing the respiratory system of patients by gas treatment, e.g. mouth-to-mouth respiration; Tracheal tubes
    • A61M16/04Tracheal tubes
    • A61M16/0463Tracheal tubes combined with suction tubes, catheters or the like; Outside connections
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P11/00Drugs for disorders of the respiratory system

Description

配列表
この出願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出され、その全体が参考として本明細書に援用される配列表を含む。2015年3月10日に作成された上記ASCIIコピーは、T2071−7004WO_SL.txtという名称であり、サイズが1,760バイトである。
開示の分野
本開示は、一般に、医療、研究、および工業上の適用において使用することができる材料および方法に関する。より詳細には、本開示は、肺大気胞を治療するために使用することができる材料および方法に関する。
複数の実施形態では、被験体における肺の漏出を治療する方法が提供される。本方法は、被験体の肺の漏出の標的エリアに送達デバイスを導入するステップを含む。本方法はまた、送達デバイスの末端を、肺の漏出の治療が望まれる標的エリア内に配置するステップも含む。本方法はまた、肺の漏出を治療するために、有効量および有効濃度の約7アミノ酸〜32アミノ酸を含む自己組織化ペプチドを含む溶液を、送達デバイスを通じて標的エリアに投与して、標的エリアの生理的条件下でハイドロゲルバリアを形成するステップも含む。本方法はまた、送達デバイスを標的エリアから除去するステップも含む。
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1)
被験体における肺大気胞を治療する方法であって、
前記被験体の前記肺大気胞の標的エリアに送達デバイスを導入するステップと、
前記送達デバイスの末端を前記肺大気胞の治療が望まれる前記標的エリア内に配置するステップと、
前記肺大気胞を治療するために、有効量および有効濃度の約7アミノ酸〜32アミノ酸を含む自己組織化ペプチドを含む溶液を、前記送達デバイスを通じて前記標的エリアに投与して、前記標的エリアの生理的条件下でハイドロゲルバリアを形成するステップと、
前記送達デバイスを前記標的エリアから除去するステップと
を含む、方法。
(項目2)
前記送達デバイスを導入するステップの前に、前記標的エリアを含む領域を可視化するステップをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記送達デバイスを前記標的エリアから除去するステップの後に、前記標的エリアを含む領域を可視化するステップをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記送達デバイスを除去するステップの後に、前記標的エリアをモニタリングするステップをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記肺大気胞または前記肺大気胞の一部を前記標的エリアとして同定するステップをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目6)
前記溶液を投与するステップが、前記溶液を前記標的エリアに局所的に適用することを含む、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記溶液を投与するステップが、前記溶液を前記標的エリアに、オーバーフロー溶液と共に注射することを含む、項目1に記載の方法。
(項目8)
前記溶液を投与するステップの前に、前記肺大気胞を崩壊させるステップをさらに含む、項目5に記載の方法。
(項目9)
前記溶液を投与するステップの後に、前記肺大気胞を崩壊させるステップをさらに含む、項目5に記載の方法。
(項目10)
前記肺大気胞の腔が、連結している細気管支を通じて前記溶液で満たされる、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記被験体の肺の主気管支を通じて気管内チューブを挿入するステップをさらに含む、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記肺大気胞を崩壊させるステップが、前記送達デバイスを用いて前記ブラを崩壊させることを含む、項目8または9に記載の方法。
(項目13)
前記送達デバイスの末端を前記標的エリア内に配置するステップが、気管内チューブを前記標的エリア内に配置することを含む、項目1に記載の方法。
(項目14)
前記溶液を投与するステップが、前記溶液を単回用量で投与することを含む、項目1に記載の方法。
(項目15)
前記溶液を投与するステップが、前記溶液を少なくとも2回の用量で投与することを含む、項目1に記載の方法。
(項目16)
前記溶液を、前記標的エリアの体積が満たされるまで投与するステップをさらに含む、項目14に記載の方法。
(項目17)
前記投与を前記標的エリアの体積が満たされるまで繰り返すステップをさらに含む、項目15に記載の方法。
(項目18)
前記ハイドロゲルバリアにより、少なくとも35cmH Oの破裂圧耐性がもたらされる、項目1に記載の方法。
(項目19)
前記ハイドロゲルバリアが、気管支の内腔に浸透する、項目1に記載の方法。
(項目20)
前記ハイドロゲルバリアが約5分未満で形成される、項目1に記載の方法。
(項目21)
前記ハイドロゲルバリアが約3分未満で形成される、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記ハイドロゲルバリアが約1分未満で形成される、項目21に記載の方法。
(項目23)
前記ハイドロゲルバリアが約2秒から約30秒の間に形成される、項目1に記載の方法。
(項目24)
前記自己組織化ペプチドを含む前記溶液を調製するステップをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目25)
肺大気胞を治療する必要性を決定するために前記被験体を評価するステップ、および前記評価するステップに基づいて前記溶液を調製するステップをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目26)
前記溶液のpHを調整するステップをさらに含む、項目24または25に記載の方法。
(項目27)
前記溶液のpHを上昇させるステップをさらに含む、項目24または25に記載の方法。
(項目28)
前記有効量および前記有効濃度の少なくとも一方が、前記肺大気胞の前記標的エリアの寸法に一部基づいている、項目1に記載の方法。
(項目29)
前記有効量が、標的エリア1cm 当たりおよそ1mLである、項目28に記載の方法。
(項目30)
前記肺大気胞の治療を可能にするために有効な量が、約0.1mL〜約10mLの範囲の体積を含む、項目28に記載の方法。
(項目31)
前記溶液が、細胞を実質的に含まない、項目1に記載の方法。
(項目32)
前記溶液が、薬物を実質的に含まない、項目1に記載の方法。
(項目33)
外科手技後に前記溶液を投与するステップをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目34)
前記被験体が、前記自己組織化ペプチドを含む前記溶液を投与するステップの前に気腫および慢性閉塞性肺疾患(COPD)のうちの少なくとも1つと診断されている、項目1に記載の方法。
(項目35)
前記自己組織化ペプチドが(RADA) (配列番号1)、(IEIK) I(配列番号2)、および(KLDL) (配列番号3)からなる群より選択される、項目1に記載の方法。
(項目36)
前記肺大気胞の治療を可能にするために有効な濃度が、約0.1重量/体積(w/v)パーセント〜約3w/vパーセントの範囲の自己組織化ペプチド濃度を含む、項目35に記載の方法。
(項目37)
前記肺大気胞の治療を可能にするために有効な濃度が、1w/vパーセント濃度の(RADA) (配列番号1)である、項目36に記載の方法。
(項目38)
前記肺大気胞の治療を可能にするために有効な濃度が、2.5w/vパーセント濃度の(RADA) (配列番号1)である、項目36に記載の方法。
(項目39)
前記自己組織化ペプチドを含む前記溶液を調製するステップが、前記自己組織化ペプチドを塩類溶液に添加することを含む、項目35に記載の方法。
(項目40)
前記自己組織化ペプチドを含む前記溶液を調製するステップが、
前記自己組織化ペプチドのペプチド粉末に水を添加して水性ペプチド溶液を提供することと、
前記水性ペプチド溶液に塩類溶液を添加することと、
前記塩類溶液と前記水性ペプチド溶液とを混合することと
を含む、項目35に記載の方法。
(項目41)
前記塩類溶液が、アンモニウムイオン、鉄イオン、マグネシウムイオン、カリウムイオン、ピリジニウムイオン、第四級アンモニウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、およびカルシウムイオンからなる群より選択される少なくとも1つの陽イオンを含む、項目39または40に記載の方法。
(項目42)
前記塩類溶液が、塩化物イオン、硫酸イオン、酢酸イオン、炭酸イオン、塩化物イオン、クエン酸イオン、シアン化物イオン、フッ化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、およびリン酸イオンからなる群より選択される少なくとも1つの陰イオンを含む、項目39または40に記載の方法。
(項目43)
前記塩類溶液が、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、および塩化カリウムのうちの少なくとも1つを含む、項目41に記載の方法。
(項目44)
前記自己組織化ペプチドを含む前記溶液が(RADA) (配列番号1)を約0.5重量/体積(w/v)パーセントの濃度で含む、項目36に記載の方法。
(項目45)
前記自己組織化ペプチドを含む前記溶液が約0.125Mの塩化カルシウム濃度を含む、項目44に記載の方法。
(項目46)
前記自己組織化ペプチドを含む前記溶液が約25Paの貯蔵弾性率を有する、項目45に記載の方法。
(項目47)
前記自己組織化ペプチドを含む前記溶液が約0.250Mの塩化カルシウム濃度を含む、項目44に記載の方法。
(項目48)
前記自己組織化ペプチドを含む前記溶液が約44Paの貯蔵弾性率を有する、項目47に記載の方法。
(項目49)
前記自己組織化ペプチドを含む前記溶液が約0.500Mの塩化カルシウム濃度を含む、項目44に記載の方法。
(項目50)
前記自己組織化ペプチドを含む前記溶液が約52Paの貯蔵弾性率を有する、項目49に記載の方法。
(項目51)
前記自己組織化ペプチドを含む前記溶液が(RADA) (配列番号1)を約2.5重量/体積(w/v)パーセントの濃度で含む、項目36に記載の方法。
(項目52)
前記自己組織化ペプチドを含む前記溶液が約0.125Mの塩化カルシウム濃度を含む、項目51に記載の方法。
(項目53)
前記自己組織化ペプチドを含む前記溶液が約600Paの貯蔵弾性率を有する、項目52に記載の方法。
(項目54)
前記自己組織化ペプチドを含む前記溶液が約0.005Mから約1Mの間の塩濃度を有する、項目36に記載の方法。
(項目55)
前記自己組織化ペプチドを含む前記溶液が約0.125Mから約0.500Mの間の塩濃度を有する、項目54に記載の方法。
(項目56)
前記自己組織化ペプチドを含む前記溶液が約0.25Mの塩濃度を有する、項目55に記載の方法。
(項目57)
塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、および炭酸水素ナトリウムを含む溶液をさらに含む、項目36に記載の方法。
(項目58)
造影剤を含む溶液をさらに含む、項目36に記載の方法。
(項目59)
前記造影剤が、硫酸イオンおよびナトリウムイオンを含む、項目58に記載の方法。
(項目60)
前記溶液が約2.5〜約4.0のpHを有する、項目36に記載の方法。
(項目61)
前記溶液が約3.5のpHを有し、前記自己組織化ペプチドが(RADA) (配列番号1)および(KLDL) (配列番号3)のうちの1つである、項目60に記載の方法。
(項目62)
前記溶液が約3.7のpHを有し、前記自己組織化ペプチドが(IEIK) I(配列番号2)である、項目60に記載の方法。
(項目63)
前記自己組織化ペプチドを含む前記溶液を調製するステップが、前記自己組織化ペプチドを緩衝液に添加することおよび緩衝液を前記溶液に添加することのうちの一方を含む、項目39または40に記載の方法。
(項目64)
前記緩衝液が、少なくとも2種の塩を含む、項目63に記載の方法。
(項目65)
前記緩衝液がpH7.2である、項目64に記載の方法。
(項目66)
前記緩衝液がpH7.4である、項目64に記載の方法。
(項目67)
前記緩衝液がアルカリ緩衝液である、項目63に記載の方法。
(項目68)
前記溶液が、約0.15Mの塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、および塩化カルシウムのうちの少なくとも1つで緩衝化されている、項目63に記載の方法。
(項目69)
前記緩衝液が約0.6Mから約1.2Mの間の塩を含み、前記自己組織化ペプチドが(RADA) (配列番号1)である、項目68に記載の方法。
(項目70)
前記緩衝液が約0.02Mから約0.04Mの間の塩を含み、前記自己組織化ペプチドが(IEIK) I(配列番号2)である、項目68に記載の方法。
(項目71)
前記緩衝液が約0.1Mから約0.4Mの間の塩を含み、前記自己組織化ペプチドが(KLDL) (配列番号3)である、項目68に記載の方法。
(項目72)
前記溶液に所定の機械的強度をもたらすための塩を選択するステップをさらに含む、項目36に記載の方法。
(項目73)
前記塩の濃度を選択するステップをさらに含む、項目72に記載の方法。
(項目74)
前記溶液に所定のイオン強度をもたらすための塩を選択するステップをさらに含む、項目36に記載の方法。
(項目75)
前記塩の濃度を選択するステップをさらに含む、項目74に記載の方法。
(項目76)
前記溶液に所定のpHをもたらすための塩を選択するステップをさらに含む、項目36に記載の方法。
(項目77)
前記塩の濃度を選択するステップをさらに含む、項目76に記載の方法。
(項目78)
前記被験体が哺乳動物である、項目1に記載の方法。
(項目79)
前記被験体がヒトである、項目78に記載の方法。
(項目80)
前記自己組織化ペプチドが、疎水性アミノ酸と親水性アミノ酸が交互に現れる約12〜約16アミノ酸を含む、項目1に記載の方法。
(項目81)
前記溶液が、少なくとも1種の生物学的に活性な薬剤をさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目82)
被験体における肺大気胞を治療するためのキットであって、
前記肺大気胞を治療するために生理的条件下でハイドロゲルバリアを形成するための有効量の約7アミノ酸〜約32アミノ酸を含む自己組織化ペプチドと、
前記自己組織化ペプチドを前記被験体の前記肺大気胞の標的エリアに投与するための指示と
を含む、キット。
(項目83)
前記自己組織化ペプチドが、自己組織化ペプチドを含む溶液および自己組織化ペプチドを含む溶液として調製される粉末のうちの一方として提供される、項目82に記載のキット。
(項目84)
前記自己組織化ペプチドが、自己組織化ペプチドを含む溶液として提供される、項目83に記載のキット。
(項目85)
前記自己組織化ペプチドが、自己組織化ペプチドを含む溶液として調製される粉末として提供される、項目83に記載のキット。
(項目86)
前記肺大気胞を治療するために生理的条件下でハイドロゲルバリアを形成するための有効濃度を有する自己組織化ペプチドを含む溶液を調製するための指示をさらに含む、項目82に記載のキット。
(項目87)
前記自己組織化ペプチドを肺の標的エリアに導入するための送達デバイスをさらに含む、項目82に記載のキット。
(項目88)
前記自己組織化ペプチドが、(RADA) (配列番号1)、(IEIK) I(配列番号2)、および(KLDL) (配列番号3)からなる群より選択される、項目82に記載のキット。
(項目89)
前記肺大気胞を治療するのに有効な濃度が、約0.1重量/体積(w/v)パーセント〜約3w/vパーセントの範囲の自己組織化ペプチドの濃度を含む、項目88に記載のキット。
(項目90)
塩類溶液をさらに含む、項目82に記載のキット。
(項目91)
前記塩類溶液と前記自己組織化ペプチドを含む溶液およびペプチド粉末のうちの1つとを組み合わせるための指示をさらに含む、項目90に記載のキット。
(項目92)
前記塩類溶液が、アンモニウムイオン、鉄イオン、マグネシウムイオン、カリウムイオン、ピリジニウムイオン、第四級アンモニウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、およびカルシウムイオンからなる群より選択される少なくとも1つの陽イオンを含む、項目90に記載のキット。
(項目93)
前記塩類溶液が、塩化物イオン、硫酸イオン、酢酸イオン、炭酸イオン、塩化物イオン、クエン酸イオン、シアン化物イオン、フッ化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、およびリン酸イオンからなる群より選択される少なくとも1つの陰イオンを含む、項目90に記載のキット。
(項目94)
前記塩類溶液が、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、および塩化カリウムのうちの少なくとも1つを含む、項目92に記載のキット。
(項目95)
前記自己組織化ペプチドを含む前記溶液が、約0.005Mから約0.500Mの間の塩濃度を含む、項目92に記載のキット。
(項目96)
前記自己組織化ペプチドを含む前記溶液が、約25Paから約600Paの間の貯蔵弾性率を有する、項目95に記載のキット。
(項目97)
前記自己組織化ペプチドを含む前記溶液が、約0.25Mの塩濃度を有する、項目95に記載のキット。
(項目98)
塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、および炭酸水素ナトリウムを含む溶液をさらに含む、項目82に記載のキット。
(項目99)
造影剤を含む溶液をさらに含む、項目82に記載のキット。
(項目100)
前記造影剤が、硫酸イオンおよびナトリウムイオンを含む、項目99に記載のキット。
(項目101)
前記自己組織化ペプチドを含む溶液が、約2.5〜約4.0のpHを有する、項目82に記載のキット。
(項目102)
前記自己組織化ペプチドを含む前記溶液が約3.5のpHを有し、前記自己組織化ペプチドが(RADA) (配列番号1)および(KLDL) (配列番号3)のうちの1つである、項目101に記載のキット。
(項目103)
前記自己組織化ペプチドを含む前記溶液が約3.7のpHを有し、前記自己組織化ペプチドが(IEIK) I(配列番号2)である、項目101に記載のキット。
(項目104)
前記キットまたは自己組織化ペプチドを含む溶液の一方が緩衝液を含む、項目82に記載のキット。
(項目105)
前記緩衝液が少なくとも2種の塩を含む、項目104に記載のキット。
(項目106)
前記緩衝液がpH7.2である、項目105に記載のキット。
(項目107)
前記緩衝液がpH7.4である、項目105に記載のキット。
(項目108)
前記緩衝液がアルカリ緩衝液である、項目104に記載のキット。
(項目109)
前記溶液が、約0.15Mの塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、および塩化カルシウムのうちの少なくとも1つで緩衝化されている、項目104に記載のキット。
(項目110)
前記緩衝液が約0.6Mから約1.2Mの間の塩を含み、前記自己組織化ペプチドが(RADA) (配列番号1)である、項目104に記載のキット。
(項目111)
前記緩衝液が約0.02Mから約0.04Mの間の塩を含み、前記自己組織化ペプチドが(IEIK) I(配列番号2)である、項目104に記載のキット。
(項目112)
前記緩衝液が約0.1Mから約0.4Mの間の塩を含み、前記自己組織化ペプチドが(KLDL) (配列番号3)である、項目104に記載のキット。
(項目113)
前記被験体が哺乳動物である、項目82に記載のキット。
(項目114)
前記被験体がヒトである、項目113に記載のキット。
(項目115)
前記自己組織化ペプチドが、疎水性アミノ酸と親水性アミノ酸が交互に現れる約12〜約16アミノ酸を含む、項目82に記載のキット。
(項目116)
少なくとも1種の生物学的に活性な薬剤をさらに含む、項目82に記載のキット。
(項目117)
溶液が、細胞および薬物を実質的に含まない、項目82に記載のキット。
(項目118)
スクロース溶液をさらに含む、項目82に記載のキット。
(項目119)
肺大気胞を治療するために生理的条件下でハイドロゲルバリアを形成することにおいて使用するための、有効量および有効濃度の約7アミノ酸〜32アミノ酸を含む自己組織化ペプチドを含む組成物。
(項目120)
前記自己組織化ペプチドが、(RADA) (配列番号1)、(IEIK) I(配列番号2)、および(KLDL) (配列番号3)からなる群より選択される、項目119に記載の組成物。
(項目121)
前記肺大気胞を治療するのに有効な濃度が、約0.1重量/体積(w/v)パーセント〜約3w/vパーセントの範囲の自己組織化ペプチド濃度を含む、項目120に記載の組成物。
(項目122)
細胞を実質的に含まない、項目119に記載の組成物。
(項目123)
薬物を実質的に含まない、項目119に記載の組成物。
(項目124)
アンモニウムイオン、鉄イオン、マグネシウムイオン、カリウムイオン、ピリジニウムイオン、第四級アンモニウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、およびカルシウムイオンからなる群より選択される少なくとも1つの陽イオンをさらに含む、項目119に記載の組成物。
(項目125)
塩化物イオン、硫酸イオン、酢酸イオン、炭酸イオン、塩化物イオン、クエン酸イオン、シアン化物イオン、フッ化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、およびリン酸イオンからなる群より選択される少なくとも1つの陰イオンをさらに含む、項目119に記載の組成物。
(項目126)
塩化カルシウム、塩化ナトリウム、および塩化カリウムのうちの少なくとも1つを含む、項目124に記載の組成物。
(項目127)
(RADA) (配列番号1)を約0.5重量/体積(w/v)パーセントの濃度で含む、項目121に記載の組成物。
(項目128)
約0.125Mの塩化カルシウム濃度を含む、項目127に記載の組成物。
(項目129)
約25Paの貯蔵弾性率を有する、項目128に記載の組成物。
(項目130)
約0.250Mの塩化カルシウム濃度を含む、項目127に記載の組成物。
(項目131)
約44Paの貯蔵弾性率を有する、項目130に記載の組成物。
(項目132)
約0.500Mの塩化カルシウム濃度を含む、項目127に記載の組成物。
(項目133)
約52Paの貯蔵弾性率を有する、項目132に記載の組成物。
(項目134)
(RADA) (配列番号1)を約2.5重量/体積(w/v)パーセントの濃度で含む、項目121に記載の組成物。
(項目135)
約0.125Mの塩化カルシウム濃度を含む、項目134に記載の組成物。
(項目136)
約600Paの貯蔵弾性率を有する、項目135に記載の組成物。
(項目137)
約0.005Mから約1Mの間の塩濃度を含む、項目124に記載の組成物。
(項目138)
約0.125Mから約0.500Mの間の塩濃度を含む、項目137に記載の組成物。
(項目139)
約0.25Mの塩濃度を含む、項目137に記載の組成物。
(項目140)
塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、および炭酸水素ナトリウムを含む溶液をさらに含む、項目119に記載の組成物。
(項目141)
造影剤を含む溶液をさらに含む、項目119に記載の組成物。
(項目142)
前記造影剤が、硫酸イオンおよびナトリウムイオンを含む、項目141に記載の組成物。
(項目143)
約2.5〜約4.0のpHを有する、項目119に記載の組成物。
(項目144)
溶液が約3.5のpHを有し、前記自己組織化ペプチドが(RADA) (配列番号1)および(KLDL) (配列番号3)のうちの1つである、項目143に記載の組成物。
(項目145)
溶液が約3.7のpHを有し、前記自己組織化ペプチドが(IEIK) I(配列番号2)である、項目143に記載の組成物。
(項目146)
緩衝液をさらに含む、項目120に記載の組成物。
(項目147)
前記緩衝液が少なくとも2種の塩を含む、項目146に記載の組成物。
(項目148)
前記緩衝液がpH7.2である、項目147に記載の組成物。
(項目149)
前記緩衝液がpH7.4である、項目147に記載の組成物。
(項目150)
前記緩衝液がアルカリ緩衝液である、項目146に記載の組成物。
(項目151)
塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、および塩化カルシウムのうちの少なくとも1つを約0.15Mで含む、項目120に記載の組成物。
(項目152)
約0.6Mから約1.2Mの間の塩を含み、前記自己組織化ペプチドが(RADA) (配列番号1)である、項目151に記載の組成物。
(項目153)
約0.02Mから約0.04Mの間の塩を含み、前記自己組織化ペプチドが(IEIK) I(配列番号2)である、項目151に記載の組成物。
(項目154)
約0.1Mから約0.4Mの間の塩を含み、前記自己組織化ペプチドが(KLDL) (配列番号3)である、項目151に記載の組成物。
(項目155)
被験体において前記肺大気胞を治療するために使用される、項目119に記載の組成物。
(項目156)
前記被験体が哺乳動物である、項目155に記載の組成物。
(項目157)
前記被験体がヒトである、項目156に記載の組成物。
(項目158)
前記自己組織化ペプチドが、疎水性アミノ酸と親水性アミノ酸が交互に現れる約12〜約16アミノ酸を含む、項目119に記載の組成物。
(項目159)
少なくとも1種の生物学的に活性な薬剤をさらに含む、項目119に記載の組成物。
(項目160)
被験体における肺大気胞の治療を容易にする方法であって、
前記肺大気胞を治療するために、肺の標的エリアにおける生理的条件下でハイドロゲルバリアを形成するための有効量および有効濃度の約7アミノ酸〜約32アミノ酸を含む自己組織化ペプチドを含む溶液を提供するステップと、
前記溶液を前記肺の前記標的エリアに、前記標的エリア内に配置した送達デバイスを通じて前記溶液を導入することによって投与するための指示を提供するステップと
を含む、方法。
(項目161)
前記肺大気胞が治療される前記標的エリアの少なくとも一部を含む領域を可視化するための指示を提供するステップをさらに含む、項目160に記載の方法。
(項目162)
前記標的エリアの少なくとも一部を含む前記領域を可視化するための指示を提供するステップが、
前記肺大気胞を治療するための前記肺の前記標的エリアを同定するステップ、
前記送達デバイスを導入するステップ、
前記送達デバイスの末端を前記標的エリア内に配置するステップ、
前記溶液を投与するステップ、
前記送達デバイスを前記肺から除去するステップ、および
前記送達デバイスを除去するステップの後に前記肺大気胞をモニタリングするステップのうちの少なくとも1つの間に前記領域を可視化するための指示を提供することを含む、項目161に記載の方法。
(項目163)
前記溶液を投与するステップの後約1分〜約5分の時間内に前記領域を可視化するための指示を提供するステップをさらに含む、項目162に記載の方法。
(項目164)
前記肺の前記標的エリアの寸法に一部基づいて前記有効量および前記有効濃度の少なくとも一方を調製するための指示を提供するステップをさらに含む、項目160に記載の方法。
(項目165)
前記有効量が標的エリア1cm 当たりおよそ1mLである、項目164に記載の方法。
(項目166)
前記自己組織化ペプチドが、(RADA) (配列番号1)、(IEIK) I(配列番号2)、および(KLDL) (配列番号3)からなる群より選択される、項目160に記載の方法。
(項目167)
前記肺大気胞を治療するのに有効な濃度が、約0.1重量/体積パーセント〜約3重量/体積パーセントペプチドの範囲の濃度を含む、項目166に記載の方法。
(項目168)
前記肺大気胞を治療するために有効な量が、約0.1mL〜約5mLの範囲の体積を含む、項目167に記載の方法。
(項目169)
前記標的エリアの周囲のエリアをモニタリングするための指示を提供するステップをさらに含む、項目160に記載の方法。
(項目170)
外科手技後に前記溶液および使用のための指示を提供するステップをさらに含む、項目160に記載の方法。
(項目171)
自己組織化ペプチドを含む溶液を提供するステップが、前記肺大気胞を治療するために生理的条件下でハイドロゲルバリアを形成するための有効濃度を有するペプチド溶液を調製するための指示を提供することを含む、項目160に記載の方法。
(項目172)
複数の自己組織化ペプチドから本質的になる肉眼で見える足場であって、前記自己組織化ペプチドのそれぞれが、肺大気胞を治療するために肺の標的エリア内に配置することが可能な有効量の約7アミノ酸〜約32アミノ酸を含む、肉眼で見える足場。
(項目173)
前記複数のペプチドのそれぞれが、(RADA) (配列番号1)、(IEIK) I(配列番号2)、および(KLDL) (配列番号3)のうちの1つを含む、項目172に記載の肉眼で見える足場。
(項目174)
約10ナノメートル〜約20ナノメートルの直径を有するナノファイバーを含む、項目173に記載の肉眼で見える足場。
被験体における肺大気胞を治療するためのキットが提供される。本キットは、肺大気胞を治療するために生理的条件下でハイドロゲルバリアを形成するための有効量の約7アミノ酸〜約32アミノ酸を含む自己組織化ペプチドを含む。本キットはまた、自己組織化ペプチドを被験体の肺大気胞の標的エリアに投与するための指示も含む。
肺大気胞を治療するために生理的条件下でハイドロゲルバリアを形成することにおいて使用するための、有効量および有効濃度の約7アミノ酸〜32アミノ酸を含む自己組織化ペプチドを含む組成物が提供される。複数の実施形態では、被験体における肺大気胞の治療を容易にする方法が提供される。本方法は、肺大気胞の治療を可能にするために、有効量および有効濃度の約7アミノ酸〜約32アミノ酸を含む自己組織化ペプチドを含む溶液を提供して生理的条件下でハイドロゲルバリアを形成するステップを含む。本方法はまた、溶液を肺大気胞の標的エリアに、肺大気胞内に配置した送達デバイスを通じて溶液を導入することによって投与するための指示を提供するステップも含む。
被験体における肺大気胞の治療を容易にする方法が提供される。本方法は、肺大気胞を治療するために、肺の標的エリアにおける生理的条件下でハイドロゲルバリアを形成するための有効量および有効濃度の約7アミノ酸〜約32アミノ酸を含む自己組織化ペプチドを含む溶液を提供するステップを含む。本方法は、溶液を肺の標的エリアに、標的エリア内に配置した送達デバイスを通じて溶液を導入することによって投与するための指示を提供するステップをさらに含む。
複数の自己組織化ペプチドから本質的になる肉眼で見える足場が提供される。自己組織化ペプチドのそれぞれは、肺大気胞の標的エリア内に配置することが可能な有効量の約7アミノ酸〜約32アミノ酸を含む。
図1A〜1Bは、実施例1で考察されたデータを示すグラフである。 図2〜4は、実施例3で考察されたデータを示すグラフである。 図2〜4は、実施例3で考察されたデータを示すグラフである。 図2〜4は、実施例3で考察されたデータを示すグラフである。 図5A〜5Bは、実施例3で考察されたデータを示すグラフである。 図6A〜6Bは、実施例4で考察されたデータを示すグラフである。 図7A〜7Bは、実施例5で考察されたデータを示すグラフである。 図8A〜8Bは、実施例5で考察されたデータを示すグラフである。 図9A〜9Bは、実施例6で考察されたデータを示すグラフである。 図10〜12は、実施例8で考察されたデータを示すグラフである。 図10〜12は、実施例8で考察されたデータを示すグラフである。 図10〜12は、実施例8で考察されたデータを示すグラフである。 図13〜14は、実施例9で考察されたデータを示すグラフである。 図13〜14は、実施例9で考察されたデータを示すグラフである。 図15〜16は、実施例10で考察されたデータを示すグラフである。 図15〜16は、実施例10で考察されたデータを示すグラフである。 図17〜18は、実施例11で考察されたデータを示すグラフである。 図17〜18は、実施例11で考察されたデータを示すグラフである。 図19は、実施例12で考察されたデータを示すグラフである。 図20は、実施例13で考察されたデータを示すグラフである。 図21は、実施例14で考察されたデータを示すグラフである。 図22は、実施例15で考察されたデータを示すグラフである。 図23A〜23Bは、実施例16で考察されたデータを示すグラフである。 図24A〜24Cは、実施例18で考察されたデータを示すグラフである。 図24A〜24Cは、実施例18で考察されたデータを示すグラフである。 図25は、実施例19で考察された材料を示す図である。 図26は、実施例19で考察された材料を示す図である。 図27は、実施例19で考察された材料を示す図である。 図28は、実施例19で考察された材料を示す図である。 図29は、実施例20で考察された材料を示す図である。
本開示のシステムおよび方法により、肺大気胞の治療を容易にすることができる。
本開示の材料および方法により、ブレブに対する治療を提供することができる。肺は、肺胞、気管支、および細気管支、ならびに胸膜と称される薄い膜様の被覆を含む肺組織を含む。この被覆により、吸入された空気が肺から胸腔の内側のエリアに移動することが予防される。「ブレブ」とは、肺の表面上に形成される水疱様の空気ポケットである。ブラ(bulla(bullae、複数))とは、肺組織内の、空気が満たされた腔を指す。ブレブおよびブラは、気腫、または慢性閉塞性肺疾患などの基礎疾患と関連する可能性がある。ブレブおよびブラはまた、他の医学的な問題または状態を有さない健康な被験体においてもみられる可能性がある。
ブレブまたはブラが破裂すると、空気が気道から胸腔に移動する可能性があり、それにより気胸が生じ、これは、肺虚脱と称することができる。肺大気胞またはブレブに対する現在の治療は、必要に応じて、肺嚢胞切除術の形態での切除または除去を伴い得る。ステープリングも使用することができる。肺大気胞およびブレブは、再発することも多く、したがって、被験体は、頻繁な多数の手順を必要とする場合がある。これらの手順は被験体の重荷になることが判明し得る。さらに、手順を受けた場所からの空気漏れのリスクを含めた手術後の合併症が存在する。
破裂したブラまたはブレブにフィブリン糊を導入することが可能であり得、これは、気胸状態に対する有効な治療であり得る。しかし、特定の例では、フィブリン糊などの生物材料に対するアレルギー反応に関する問題が存在し得る。
自己組織化ペプチド溶液を肺大気胞もしくはブレブを崩壊させるための充填剤として利用すること、またはブラを崩壊させた後に適用することが可能であり得る。この治療を肺嚢胞切除術の代わりに使用することができる。ペプチドは、被験体の標的部位に1回または複数回、安全に適用することができる。
本開示は、ブラを同定すること、ブラを崩壊させること、および自己組織化ペプチド溶液またはゲルをブラ内に適用して35cmH2Oを超える破裂圧をもたらす空気シーラントをもたらすことを含む治療方法を提供する。
本開示の方法および材料によって治療することができるブラは広範囲のサイズのものであってよい。一般に、治療のために同定することができるブラは、ブラのエリアの評価またはイメージングに基づいて被験体の健康にとって危険であるとみなすことができる。一部の実施形態では、ブラは、非侵襲的イメージングを使用して検出可能であり得る。一部の実施形態では、ブラは、約0.1mL〜約5mLの体積を有し得る。治療することができるブラは、約0.2mL〜約1mLの範囲に入るものであり得る。
主要目標は空気漏れ(気胸)を予防することであってよい。副目標は、実質の再生およびブラの再出現の予防であってよい。
ブラ崩壊は、針を用いて達成することができる。これにより、空気漏れを伴うブラが生じる。ペプチド溶液またはゲルをブラ腔および/または胸膜に注射して空気漏れをシールすることができる。
ある特定の実施形態では、治療により、少なくとも20cmHO、少なくとも25cmHO、少なくとも30cmHO、および特定の例では少なくとも35cmHOの破裂圧をもたらすことができる。
1つまたは複数の実施形態によると、自己組織化ペプチドにより、肺大気胞またはブレブを治療することができる。本開示全体を通して、ブラへの言及はブレブにも当てはめることができる。手術後に漏れが生じ得る。本明細書に開示されている材料、システムおよび方法により、いくつかの非限定的な実施形態において粘膜上皮形成を容易にすることができる。
本開示の自己組織化ペプチドは、適用、例えば、所定のまたは所望の標的エリアへの自己組織化ペプチドの投与を含み得る。自己組織化ペプチドは、ペプチド溶液、ハイドロゲル、膜の形態または他の形態で標的エリアに投与することができる。標的エリアは、特定の治療を必要とする被験体の所定のエリアであってよい。一部の実施形態では、標的エリアは、手術部位に関連し得る。
自己組織化の間、ペプチドはナノファイバーを形成し得る。自己組織化により、溶液中のペプチドのゲル化を引き起こすことができる。ゲル化により、ハイドロゲルをもたらすまたは形成することができる。ペプチドは、溶液中、中性のpHレベルで自発的にベータ−シートを形成し得る。ペプチドは、溶液中、生理的条件下および/または陽イオンおよび/または陰イオンの存在下で自発的にベータ−シートを形成し得る。
本開示の方法および材料は、外科手技後に使用することができる。例えば、自己組織化ペプチドを含む溶液を外科手技後に投与することができる。
本開示の方法は、被験体の肺大気胞の標的エリアに送達デバイスを導入するステップを含み得る。本方法では、送達デバイスの末端を肺大気胞の治療が望まれる標的エリア内に配置するステップをもたらすことができる。送達デバイスの末端を標的エリア内に配置するステップは、気管内チューブを標的エリア内に配置することを含み得る。
一部の実施形態では、本方法は、肺大気胞または肺大気胞の一部を標的部位として同定するステップをさらに含み得る。
本開示の方法は、自己組織化ペプチドを所定のまたは所望の標的に投与するステップも含み得る。自己組織化ペプチドは、ペプチド溶液、ハイドロゲル、膜の形態または他の形態で標的エリアに投与することができる。標的エリアは、特定の治療を必要とする被験体の所定のエリアであってよい。一部の実施形態では、標的エリアは、手術部位または肺大気胞の部位に関連し得る。例えば、手術部位は、肺関連外科手術などの外科手術が行われた部位であってよい。本開示のシステムおよび方法は、肺大気胞の切除および/またはステープリングを伴わないものであり得る。
複数の実施形態では、本方法は、肺大気胞を崩壊させるステップを含み得る。ブラは、自己組織化ペプチドを含む溶液を投与するステップの前に崩壊させることができる。肺大気胞は、自己組織化ペプチドを含む溶液を投与するステップの後に崩壊させることができる。肺大気胞の腔が、連結している細気管支を通じて自己組織化ペプチドを含む溶液で満たされてもよい。気管内チューブを、主気管支を通じて肺に挿入することによって使用することができる。送達デバイスを通じて標的エリアへの投与を行ってハイドロゲルバリアを形成することができる。これは、肺大気胞を治療するために標的エリアの生理的条件下で行うことができる。
材料および方法は、肺大気胞の治療、予防、または閉塞を含み得る。
本明細書で使用される場合、「治療(treatment)」という用語は、ブラを、崩壊させることおよび/または漏れ、例えば、空気漏れが起こっているエリアの閉塞もしくは遮断をもたらすことによって部分的にまたは完全に治療することを含むものとする。一般に、ブラおよび/または漏れは望ましくなく、したがって、治療により、ブラおよび/または漏れが矯正され、治療の標的エリアの治癒がもたらされる。被験体の治療とは、障害、例えば、ブラおよび/または漏れを有する被験体の、そのような治療の不在下で予測されるものを上回る治癒、緩和、軽減または改善のうちの1つまたは複数を含み得る。治療は、自己組織化ペプチドを含む溶液の低侵襲の適用または投与を含めた低侵襲治療であってよい。
本明細書で使用される場合、「被験体」という用語は、ヒトおよび非ヒト動物、例えば、脊椎動物、大型動物、および霊長類を含むものとする。ある特定の実施形態では、被験体は哺乳動物被験体であり、特定の実施形態では、被験体はヒト被験体である。ヒトでの適用は明白に見越しているが、例えば、非ヒト動物を用いた獣医学的適用も本発明において予想される。本発明の「非ヒト動物」という用語は、全ての脊椎動物、例えば、非哺乳動物(例えば、鳥類、例えばニワトリ;両生類;は虫類など)および哺乳動物、例えば、とりわけ、非ヒト霊長類、家畜、および農業上有用な動物、例えば、ヒツジ、イヌ、ネコ、雌ウシ、ブタ、ラットなどを包含する。
治療、予防または閉塞は部分的なものであっても完全なものであってもよい。材料および方法は、肺大気胞に対処することを含み得る。材料および方法は、自己組織化ペプチド、または自己組織化ペプチドを含む溶液、または自己組織化ペプチドを含む組成物を所定のまたは所望の標的エリアに投与、適用、または注射することを含み得る。
肺大気胞を治療する方法は、送達デバイスを標的エリアから除去するステップをさらに含み得る。本方法は、送達デバイスを導入するステップの前に、標的エリアを含む領域を可視化するステップをさらに含み得る。標的エリアを含む領域の可視化は、送達デバイスを標的エリアから除去するステップの後に行うことができる。標的エリアをモニタリングするステップも手順の間および手順の後、例えば、送達デバイスを除去するステップの後に行うことができる。
本治療方法は、自己組織化ペプチドを含む溶液を調製するステップをさらに含み得る。一部の実施形態では、治療方法は、肺大気胞を治療する必要性を決定するために被験体を評価するステップおよび評価するステップに基づいて溶液を調製するステップをさらに含み得る。
本治療方法は、空気漏れをなくす試みのために、ブラが満たされるまで自己組織化ペプチド溶液をブラに投与するステップを含み得る。
「自己組織化ペプチド」という用語は、水溶液中で、ベータ−シート構造が誘導される特定の条件の存在下でベータ−シート構造を示し得るペプチドを指し得る。これらの特定の条件は、自己組織化ペプチド溶液のpHを調整することを含んでよい。調整とは、自己組織化ペプチド溶液のpHを上昇または低下させることであってよい。pHを上昇させることとは、pHを生理的なpHに上昇させることであってよい。特定の条件は、一価陽イオンまたは二価陽イオンなどの陽イオンを自己組織化ペプチド溶液に添加することも含んでよい。特定の条件は、一価陰イオンまたは二価陰イオンなどの陰イオンを自己組織化ペプチド溶液に添加することも含んでよい。特定の条件は、外科手術の部位または肺大気胞の標的部位に関連する条件を含んでよい。自己組織化ペプチドは、組成物、ペプチド溶液、ペプチド粉末、ハイドロゲル、または足場として言及され得るか、またはその一部であってよい。
「自己組織化ペプチド」という用語は、自己組織化モチーフを含むペプチドを指し得る。自己組織化ペプチドは、これだけに限定されないが、肉眼で見える膜またはナノ構造を含めた構造に自己組織化することが可能なペプチドである。
「ハイドロゲル」という用語は、ポリマーと、高い百分率の水、例えば、少なくとも90%の水とで構成される材料を指し得る。
自己組織化ペプチドは、両親媒性自己組織化ペプチドであってよい。「両親媒性」とは、ペプチドが疎水性部分と親水性部分を含むことを意味する。一部の実施形態では、両親媒性ペプチドは、交互に現れる疎水性アミノ酸と親水性アミノ酸を含んでもよく、それから本質的になってもよく、それからなってもよい。交互に現れるとは、疎水性アミノ酸と親水性アミノ酸が交互に現れる一連の3つまたはそれ超のアミノ酸を包含するものとし、また、疎水性アミノ酸と親水性アミノ酸が交互に現れるペプチド配列内の各々全てのアミノ酸を含む必要はない。自己組織化ペプチドは、本明細書では「ペプチド」とも称され、自己組織化ペプチド溶液、組成物、ハイドロゲル、膜、足場の形態でまたは他の形態で所定のまたは所望の標的エリアに投与することができる。ハイドロゲルは、本開示全体を通して、膜または足場とも称することができる。所定のまたは所望の標的エリアは、肺大気胞の場所にあってもその付近にあってもよい。所定のまたは所望の標的エリアは、外科手技、または故意でないもしくは故意の外傷を受けた可能性がある部位または他のエリアに基づいて確立することができる。
自己組織化ペプチドを含む溶液は、自己組織化ペプチド溶液とも称され、水性自己組織化ペプチド溶液であってよい。自己組織化ペプチドは、実質的に無細胞または細胞非含有の溶液で投与、適用、または注射することができる。ある特定の実施形態では、自己組織化ペプチドは、無細胞または細胞非含有の溶液で投与、適用、または注射することができる。
自己組織化ペプチドはまた、実質的に薬物を使わないかまたは薬物を含まない溶液で投与、適用、または注射することもできる。ある特定の実施形態では、自己組織化ペプチドは、薬物を使わないかまたは薬物を含まない溶液で投与、適用、または注射することができる。ある特定の他の実施形態では、自己組織化ペプチドは、実質的に無細胞であり実質的に薬物を使わない溶液で投与、適用、または注射することができる。さらなるある特定の他の実施形態では、自己組織化ペプチドは、無細胞であり薬物を使わない溶液で投与、適用、または注射することができる。
自己組織化ペプチド溶液は、自己組織化ペプチドを含んでよい、それからなってよい、またはそれから本質的になってよい。自己組織化ペプチドは、改変された形態であっても改変されていない形態であってもよい。改変されたとは、自己組織化ペプチドが、溶液中に単独で提供された場合に自己組織化しない1つまたは複数のアミノ酸を含む1つまたは複数のドメインを有し得ることを意味する。改変されていないとは、自己組織化ペプチドが、ペプチドの自己組織化をもたらすもの以外のいかなる他のドメインも有さなくてよいことを意味する。すなわち、改変されていないペプチドは、ベータ−シート、およびハイドロゲルなどの肉眼で見える構造に自己組織化し得る、交互に現れる疎水性アミノ酸と親水性アミノ酸からなる。
自己組織化ペプチドを含む溶液を投与するステップにより、ハイドロゲルバリアを形成することができる。肺大気胞を治療するためにハイドロゲルバリアを標的エリア内に形成することができる。治療は、肺大気胞を少なくとも部分的に崩壊させること、閉塞させることおよび/またはシールすることによってもたらすことができる。これは、ハイドロゲルバリアの形成によって達成される。本開示全体を通して、ハイドロゲルへの言及は、ハイドロゲルバリアを指し得るまたはハイドロゲルバリアにも適用可能であり得る。
ある特定の実施形態では、標的エリアにおいて適切なまたは所望の遮断またはシールをもたらすことが可能なハイドロゲルバリアを有することが望まれる。ハイドロゲルバリアは、適切なまたは所望の遮断またはシールを達成するための特定の性質を有するものであってよい。例えば、ハイドロゲルバリアは、1つまたは複数の所定の性質、例えば、機械的強度(貯蔵弾性率)、剛性、粘度、ゲル化動態、イオン強度、pH、または破裂圧(破裂圧耐性)を有するものであってよい。性質は、自己組織化ペプチドまたは自己組織化ペプチドを含む溶液への、特定の量および/または濃度での本明細書に開示されている構成成分の添加に基づいて調整することまたは適応させることができる。
例えば、肺大気胞の治療に関して、高い機械的強度、剛性、および高い破裂圧を有するハイドロゲルバリアをもたらすことが望ましい。迅速にゲル化する、すなわち、ゲル化動態が、投与されると、短い時間内でハイドロゲルバリアが形成されて肺大気胞および/または漏れが治療されるようなものであるハイドロゲルバリアをもたらすことも望ましい。短い時間とは、即時であってもよく、例えば、5分未満、3分未満、2分未満、1分未満、または30秒未満、または本明細書に開示されている他の時間であってもよい。
溶液の投与は、少なくとも約7アミノ酸を含む、それからなる、またはそれから本質的になる自己組織化ペプチドを含む、それからなる、またはそれから本質的になる溶液の投与を含んでよい、それからなってよい、またはそれから本質的になってよい。溶液の投与は、約7アミノ酸〜32アミノ酸を含む、それからなる、またはそれから本質的になる自己組織化ペプチドを含む、それからなる、またはそれから本質的になる溶液の投与を含んでよい、それからなってよい、またはそれから本質的になってよい。少なくとも約7アミノ酸を含むものではない、それからなるものではない、またはそれから本質的になるものではない他のペプチドも本開示で意図され得る。
自己組織化ペプチドは、約7〜約32アミノ酸を含んでよい、それからなってよい、またはそれから本質的になってよい。一部の実施形態では、自己組織化ペプチドは、約12〜約16アミノ酸を含んでよい、それからなってよい、またはそれから本質的になってよい。
交互に現れるとは、疎水性アミノ酸と親水性アミノ酸が交互に現れる一連の3つまたはそれ超のアミノ酸を包含するものとし、また、疎水性アミノ酸と親水性アミノ酸が交互に現れるペプチド配列内の各々全てのアミノ酸を含む必要はない。
肺大気胞を治療する方法は、自己組織化ペプチドを標的エリアに投与するステップを含み得る。ペプチドは、ハイドロゲルとして投与することもでき、投与されるとハイドロゲルを形成するものであってもよい。肺大気胞を治療する方法は、自己組織化ペプチドを含む溶液を標的エリアに投与するステップを含み得る。
「投与する」という用語は、これだけに限定されないが、自己組織化ペプチドを、これだけに限定されないが、単独で、水溶液などの溶液として、または組成物、ハイドロゲル、もしくは足場としてを含めた種々の形態のうちの1つまたは複数で、追加的な構成成分を伴ってまたは伴わずに、適用、導入または注射することを含むものとする。
本方法は、被験体の肺大気胞の標的エリアに送達デバイスを導入するステップを含み得る。本方法は、シリンジ、チューブ、ピペット、カテーテル、カテーテルシリンジ、または他の針に基づくデバイスのうちの少なくとも1つを含む送達デバイスを被験体の標的エリアに導入するステップを含み得る。自己組織化ペプチドは、シリンジ、チューブ、ピペット、カテーテル、カテーテルシリンジ、または他の針に基づくデバイスによって被験体の標的エリアに投与することができる。シリンジ針のゲージは、シリンジから標的エリアへの組成物、溶液、ハイドロゲル、または液体の適切な流れがもたらされるように選択することができる。シリンジ針のゲージまたは他の送達デバイスはまた、ブラの崩壊をもたらすための送達デバイスの使用に基づくものであってもよい。シリンジから標的エリアへの組成物、溶液、ハイドロゲル、または液体の適切な流れをもたらすことは、一部の実施形態では、投与される組成物、ペプチド溶液、またはハイドロゲル中の自己組織化ペプチドの量、組成物またはハイドロゲル中のペプチド溶液の濃度、ペプチド溶液、組成物、またはハイドロゲル、および自己組織化ペプチドと共に含まれる他の構成成分の粘度のうちの少なくとも1つに基づくものであってよい。送達デバイスは、従来のデバイスであってもよく、特定の標的エリアに到達すること、特定の投薬レジメンを達成すること、特定の標的体積、量、または濃度を送達すること、および標的エリアに正確に送達することの少なくとも1つを達成するために設計されたものであってもよい。
肺の漏れを治療する方法は、送達デバイスの末端を、肺大気胞の治療が望まれる標的エリア内に配置するステップを含み得る。標的エリアは、手術部位の一部、または肺大気胞の部位などの、本明細書に記載のエリアであってよい。自己組織化ペプチドは、送達デバイスによってブラの治療が望まれる標的エリアに投与することができる。自己組織化ペプチドは、溶液で送達デバイスによって標的エリアに投与することができる。一部の実施形態では、投与は、送達デバイスを標的エリア、ブラ、および/または漏れの極めて近傍に配置して自己組織化ペプチドを含む溶液を標的エリアの表面またはブラおよび/もしくは漏れの場所にもたらすという点で、局所的に行うことができる。他の実施形態では、投与は、送達デバイスを標的エリア、ブラ、および/もしくは漏れに配置して、自己組織化ペプチドを含む溶液を、例えば標的エリアまたはブラおよび/もしくは漏れの場所に直接もたらすという点で、ブラおよび/または漏れに直接行うことができる。他の実施形態では、投与は、所定の標的エリアの体積を自己組織化ペプチドを含む溶液で満たすために、ブラおよび/または漏れの中にまたはそれを通して、標的エリア、ブラ、または漏れに対して行うことができる。溶液を投与するステップは、溶液を標的エリアに局所的に適用することを含んでよい。溶液を投与するステップは、溶液を標的エリア内に、例えば、標的エリアを局所的に覆うためにオーバーフローで注射することを含んでよい。
送達デバイスの使用により、ペプチドのより選択的な投与をもたらして、標的エリアへのより正確な送達をもたらすことができる。ペプチドの選択的な投与により、ペプチド溶液、組成物、またはハイドロゲルの、首尾よいものであり、所望の場所に正確に配置される、増強されより標的化された送達が可能になり得る。選択的な投与により、配置および治療の効果が別の送達デバイスの使用に対して著しく改善された、増強された、標的化された送達をもたらすことができる。本開示の系、方法、およびキットにおいて使用することができる送達デバイスとしては、シリンジ、チューブ、針、ピペット、シリンジカテーテル、他の針に基づくデバイス、またはカテーテルが挙げられる。
カテーテルなどの送達デバイスの使用は、カテーテルを位置にガイドするために使用するガイドワイヤー、またはカテーテルもしくは他のデバイスの適切な設置、ならびに標的エリアおよび/もしくは標的エリアへの経路の可視化を可能にする内視鏡などの付随的なデバイスの使用を含んでよい。内視鏡は、被験体の体の画像を見ることが可能になるための光およびカメラまたは他の可視化デバイスの少なくとも1つを含み得るチューブであってよい。ガイドワイヤーまたは内視鏡は、例えば、皮膚の切開によって被験体に導入することができる。内視鏡は、送達デバイスを標的エリアに導入するステップの前に標的エリアに導入することができる。
シリンジ、チューブ、針、ピペット、シリンジカテーテル、他の針に基づくデバイス、カテーテル、または内視鏡などの送達デバイスの使用には、シリンジ、チューブ、針、ピペット、シリンジカテーテル、他の針型デバイス、カテーテル、または内視鏡の少なくとも一部を、標的エリアが存在する開口部に侵入させてペプチド、ペプチド溶液、組成物、またはハイドロゲルを標的エリアに投与し得るように、その開口部の直径またはサイズを決定することが必要な場合がある。
ある特定の実施形態では、ハイドロゲルをin vitroで形成し、in vivoで所望の場所に投与することができる。特定の例では、この場所は標的エリアであり得る。他の例では、この場所は、エリアの上流、下流、または実質的にエリアの近くであり得る。ハイドロゲルが移動することが望まれるエリアへのハイドロゲルの移動を可能にすることが望ましい。あるいは、別の手順により、ハイドロゲルを所望のエリア内に配置することができる。所望の場所または標的エリアは、被験体における肺大気胞を治療することが望まれるエリアの少なくとも一部であり得る。
本開示のある特定の態様では、ハイドロゲルをin vivoで形成することができる。被験体における肺大気胞を治療するために、水溶液などの自己組織化ペプチドを含む溶液を被験体のin vivo場所またはエリアに挿入することができる。特定の例では、ハイドロゲルをin vivoにおいて1つの場所で形成し、被験体における肺大気胞に対する治療、例えば、肺大気胞またはその付近の遮断または閉塞を促進するまたはもたらすことが望まれるエリアに移動させることができる。あるいは、別の手順により、ハイドロゲルを肺大気胞の治療を促進するまたはもたらすことが望まれるエリア内に配置することができる。本開示のペプチドは、粉末、溶液、ゲル、などの形態であってよい。自己組織化ペプチドは、溶液のpHおよび塩濃度の変化に応答してゲル化するので、適用または投与の間に被験体に接触するとゲル化する液体として分布させることができる。
ある特定の環境では、ペプチド溶液は、弱いハイドロゲルであってよく、結果として、本明細書に記載の送達デバイスによって投与することができる。
一部の実施形態によると、自己組織化ペプチドは、疎水性アミノ酸と親水性アミノ酸が交互に現れる、両親媒性であり得る。
1つまたは複数の実施形態によると、被験体を評価して、被験体における肺大気胞を治療する必要性を決定することができる。評価が完了したら、被験体に投与するペプチド溶液を、評価するステップに基づいて調製することができる。他の実施形態では、評価するステップを伴わずにペプチド溶液を調製することができる。
一部の実施形態では、生物学的に活性な薬剤は、本開示の材料および方法と共に使用することができる。生物学的に活性な薬剤は、被験体または実験室の状況における条件または他の活性のいくらかの活性、制御、調節、または調整を与え得るペプチド、DNA配列、化学化合物、または無機化合物もしくは有機化合物を含めた化合物を含み得る。生物学的に活性な薬剤は、別の構成成分と相互作用してそのような活性をもたらし得る。生物学的に活性な薬剤は、本明細書では一部の実施形態によると薬物と称することができる。ある特定の実施形態では、1つまたは複数の生物学的に活性な薬剤をペプチド系の外側に徐々に放出させることができる。例えば、1つまたは複数の生物学的に活性な薬剤をハイドロゲルから徐々に放出させることができる。in vitroにおける試験とin vivoにおける試験のどちらでも、生物学的に活性な薬剤のこの段階的な放出が実証されている。生物学的に活性な薬剤は、自己組織化ペプチド溶液または組成物に、被験体への投与前に添加することもでき、自己組織化ペプチドと併せてまたは自己組織化ペプチドと別々に被験体に投与することもできる。1つまたは複数の生物学的に活性な薬剤を系内に封入することができ、例えば、ハイドロゲル、溶液、組成物、またはナノファイバーの中に封入することができる。
本開示は、時には自己組織化オリゴペプチドと称される自己組織化ペプチドを含む水溶液、ハイドロゲル、足場、組成物および膜に関する。自己組織化ペプチドは、水溶液中、生理的なpHならびに/または一価陽イオンおよび/もしくは一価陰イオンなどの陽イオンおよび/もしくは陰イオン、または手術部位または肺大気胞の部位もしくはその付近に適用可能な他の条件の存在下でベータ−シート構造を示し得る。ペプチドは、両親媒性の、疎水性アミノ酸と親水性アミノ酸が交互に現れるものであってよい。ある特定の実施形態では、ペプチドは、疎水性アミノ酸と親水性アミノ酸が交互に現れる、両親媒性であり得る第1の部分と、両親媒性ではない別の部分または領域とを含んでよい。
ペプチドは、一般に、水溶液中で安定であり、選択された条件に暴露されると、大きな、肉眼で見える構造、足場、またはマトリックスに自己組織化するものであってよい。条件は、生理的条件、中性pH、選択された塩濃度、緩衝溶液、または塩の生理的レベルであってよい。ハイドロゲルが形成されたら、ハイドロゲルは分解されなくてもよく、ある期間後に分解または生分解されてもよい。分解の速度は、少なくとも一部において、アミノ酸配列およびその周囲の条件の少なくとも1つに基づくものであってよい。分解の速度は、肺大気胞の適切な治療をもたらすために、標的部位における治癒または成長の速度と関連付けることができる。
「肉眼で見える」とは、10倍またはそれ未満の拡大率の下で見ることができる十分に大きな寸法を有することを意味する。好ましい実施形態では、肉眼で見える構造は、裸眼で見ることができる。肉眼で見える構造は透明であってよく、また、2次元であっても3次元であってもよい。一般には、各寸法は、少なくとも10μmのサイズである。ある特定の実施形態では、少なくとも2つの寸法が少なくとも100μm、または少なくとも1000μmのサイズである。しばしば、少なくとも2つの寸法は少なくとも1〜10mmのサイズ、10〜100mmのサイズ、またはそれ超である。
ある特定の実施形態では、フィラメントのサイズは、約10ナノメートル(nm)〜約20nmであってよい。フィラメント間の距離は約50nm〜約80nmであってよい。
肉眼で見える構造は、肉眼で見える足場であってよい。肉眼で見える足場は、複数の自己組織化ペプチドから本質的になるものであってよい。自己組織化ペプチドのそれぞれは、肺大気胞を予防するために肺の系の標的エリア内に配置することが可能な有効量の約7アミノ酸〜約32アミノ酸を含んでもよく、それから本質的になってもよく、それからなってもよい。足場の自己組織化ペプチドは、約12〜約16アミノ酸を含んでよい。足場の自己組織化ペプチドは、疎水性アミノ酸と親水性アミノ酸が交互に現れる約12〜約16アミノ酸を含んでよい。自己組織化ペプチドは、(RADA)(配列番号1)、(IEIK)I(配列番号2)、(KLDL)(配列番号3)を含んでもよく、それから本質的になってもよく、それからなってもよい。
「生理的条件」は、特定の生物体、細胞系、または被験体に関して天然に生じ得、人工的な実験室条件とは対照的であり得る。条件は、1つまたは複数の特定の性質または1つまたは複数の性質の範囲などの1つまたは複数の性質を含んでよい。例えば、生理的条件は、温度または温度の範囲、pHまたはpHの範囲、圧力または圧力の範囲、および特定の化合物、塩、および他の構成成分の1つまたは複数の濃度を含んでよい。塩は、一価の陰イオン、一価の陽イオン、二価の陰イオン、または一価の陽イオンのうちの1つまたは複数を含んでよい。
いくつかの例では、生理的条件は、約20〜約40摂氏温度の範囲の温度を含んでよい。いくつかの例では、気圧は、約1atmであってよい。pHは、中性pHの範囲内であってよい。例えば、pHは、約6〜約8の範囲であってよい。生理的条件は、膜またはハイドロゲルの形成を誘導し得る一価金属陽イオンおよび/または一価陰イオンなどの陽イオンおよび/または陰イオンを含んでよい。これらは、塩化ナトリウム(NaCl)を含んでよい。生理的条件は、約1mMから約20mMの間のグルコース濃度、スクロース濃度、または他の糖濃度も含んでよい。自己組織化ペプチド溶液はグルコース、スクロース、または他の糖を含むものであってもよく、糖または糖溶液を自己組織化ペプチド溶液に添加することもできる。
ある特定の実施形態では、自己組織化ペプチドは、少なくとも約7アミノ酸のペプチドであってよい。ある特定の別の実施形態では、自己組織化ペプチドは、少なくとも約7アミノ酸〜約32アミノ酸のペプチドであってよい。ある特定の別の実施形態では、自己組織化ペプチドは、約7〜約17アミノ酸のペプチドであってよい。ある特定の他の例では、自己組織化ペプチドは、少なくとも8アミノ酸、少なくとも約12アミノ酸、または少なくとも約16アミノ酸のペプチドであってよい。
上記の性質を特徴とするペプチドの均質な混合物および不均質な混合物はどちらも、安定な肉眼で見える膜、フィラメント、およびハイドロゲルを形成し得る。自己相補的で自己適合性のペプチドは、均質な混合物中で膜、フィラメント、およびハイドロゲルを形成し得る。互いに相補的であり、かつ/または構造的に適合性である、均質な溶液中で膜、フィラメント、およびハイドロゲルを形成することができないものを含めた不均質なペプチドも、肉眼で見える膜、フィラメント、およびハイドロゲルに自己組織化し得る。
膜、フィラメント、およびハイドロゲルは、非細胞傷害性であってよい。本開示のハイドロゲルは、被験体において消化および代謝されるものであってよい。ハイドロゲルは、30日またはそれ未満で生分解されるものであってよい。ハイドロゲルは、単純な組成を有し、浸透性であり、また、多量に作製するのが容易で比較的安価である。膜およびフィラメント、ハイドロゲルまたは足場は、滅菌条件下で作製および保管することもできる。膜の形成に最適な長さは、アミノ酸組成、溶液条件、および標的エリアにおける条件の少なくとも1つに伴って変動し得る。
自己組織化または両親媒性ペプチドのアミノ酸は、D−アミノ酸、L−アミノ酸、またはこれらの組合せから選択することができる。疎水性アミノ酸としては、Ala、Val、Ile、Met、Phe、Tyr、Trp、Ser、ThrおよびGlyを挙げることができる。親水性アミノ酸は、塩基性アミノ酸、例えば、Lys、Arg、His、Orn;酸性アミノ酸、例えば、Glu、Asp;または水素結合を形成するアミノ酸、例えば、Asn、Glnであってよい。酸性アミノ酸および塩基性アミノ酸はペプチド上でクラスター化され得る。末端残基のカルボキシル基およびアミノ基は保護されていても保護されていなくてもよい。膜またはハイドロゲルは、自己相補的で自己適合性のペプチドの均質な混合物または互いに相補的であり構造的に適合性であるペプチドの不均質な混合物において形成することができる。上記の基準に当てはまるペプチドは、本明細書に記載の適切な条件下で、肉眼で見える膜に自己組織化し得る。
ある特定の実施形態では、自己組織化ペプチドに約8〜約32残基を使用することができ、他の実施形態では、自己組織化ペプチドは、約7〜約17残基を有してよい。ペプチドの長さは約5nmであってよい。
本開示のペプチドは、アルギニン、アラニン、アスパラギン酸およびアラニンの反復配列(Arg−Ala−Asp−Ala(配列番号4)(RADA(配列番号4)))を有するペプチドを含んでもよく、それから本質的になってもよく、それからなってもよい。
他のペプチド配列は、イソロイシン、グルタミン酸、イソロイシンおよびリシンの反復配列(Ile−Glu−Ile−Lys(配列番号5)(IEIK(配列番号5))を含む、それから本質的になる、またはそれからなる自己組織化ペプチドで表すことができる。他のペプチド配列は、リシン、ロイシン、アスパラギン酸、およびロイシンの反復配列(Lys−Leu−Asp−Leu(配列番号6)(KLDL(配列番号6)))を含む、それから本質的になる、またはそれからなる自己組織化ペプチドで表すことができる。本発明による自己組織化ペプチドの特定の例として、配列Arg−Ala−Asp−Ala−Arg−Ala−Asp−Ala−Arg−Ala−Asp−Ala−Arg−Ala−Asp−Ala(配列番号1)((RADA)(配列番号1))を有する「RADA16」と称される自己組織化ペプチド(本開示全体を通して「Puramatrix」とも称される)、配列Ile−Glu−Ile−Lys−Ile−Glu−Ile−Lys−Ile−Glu−Ile−Lys−Ile(配列番号2)((IEIK)I(配列番号2))を有する「IEIK13」と称される自己組織化ペプチド、または配列Lys−Leu−Asp−Leu−Lys−Leu−Asp−Leu−Lys−Leu−Asp−Leu(配列番号3)((KLDL)(配列番号3))を有する「KLDL12」と称される自己組織化ペプチド(本開示全体を通して「KLD12」とも称することができる)があり得る。
本明細書に開示されているペプチド配列のそれぞれにより、列挙されているアミノ酸配列を含む、それから本質的になる、およびそれからなるペプチドを提供することができる。
本開示は、本明細書において列挙されているペプチドを含む、それから本質的になる、またはそれからなる溶液、ハイドロゲル、組成物、および足場のための材料、方法、およびキットを提供する。
1重量/体積(w/v)パーセントの水性(水)溶液および2.5w/vパーセントの(RADA)(配列番号1)が3−D Matrix Co.,Ltdによる製品PuraMatrix(商標)ペプチドハイドロゲルとして入手可能である。
ペプチドの自己組織化は、ペプチドを構成するアミノ酸によるペプチド分子間の水素結合および疎水性結合に起因するものであってよい。
本開示の自己組織化ペプチドのナノファイバーの直径は約10nm〜約20nmの範囲であり、平均孔径は約5nm〜約200nmの範囲である。ある特定の実施形態では、ナノファイバーの直径、孔径、およびナノファイバーの密度は、ペプチド溶液の体積などの、使用するペプチド溶液の濃度および使用するペプチド溶液の量の少なくとも1つによって制御することができる。
そのように、肺大気胞の治療を適切にもたらす、例えば、閉塞または崩壊をもたらすための所望のナノファイバーの直径、孔径、および密度の少なくとも1つをもたらすために、溶液中のペプチドの特定の濃度およびペプチド溶液の特定の量の少なくとも1つを選択することができる。ペプチド溶液の特定の濃度および特定の量は、「有効濃度」および「有効量」と称することができる。
本明細書で使用される場合、被験体における肺大気胞を治療するのに有効なペプチド、ペプチド溶液またはハイドロゲルの量、「有効量」または「治療有効量」とは、障害を有する被験体の治療において、または治癒、緩和、軽減または改善において、被験体に単回投与または多数回投与(適用または注射)した際に、そのような治療の不在下で予測されるものを上回って有効であるペプチド、ペプチド溶液、組成物、またはハイドロゲルの量を指す。これは、ペプチド溶液、組成物、またはハイドロゲル中のペプチドの特定の濃度または濃度の範囲、それに加えてまたはその代わりに、ペプチド溶液、組成物、またはハイドロゲルの体積の特定の体積または範囲を含み得る。容易にする方法は、有効量および有効濃度の少なくとも一方を調製するための指示を提供するステップを含み得る。
投与(例えば、適用または注射)される投与量、例えば、体積または濃度は、ペプチドの形態(例えば、ペプチド溶液、ハイドロゲル、または凍結乾燥した形態などの乾燥した形態)および利用する投与経路に応じて変動し得る。正確な製剤、投与経路、体積、および濃度は、被験体の状態を考慮して、およびペプチド溶液、ハイドロゲル、または他の形態のペプチドを投与する特定の標的エリアまたは場所を考慮して選択することができる。本明細書において列挙されているものよりも低い用量または高い用量を使用することができるまたはそれが必要である。任意の特定の被験体に対する特定の投与量および治療レジメンは、使用される特定のペプチド(複数可)、治療されるエリアの寸法、所望の標的エリア内に配置することができる、結果として得られるハイドロゲルの所望の厚さ、および治療時間の長さを含み得る種々の因子に左右され得る。特定の投与量および治療レジメンに影響を及ぼす可能性がある他の因子としては、年齢、体重、全体的な健康状態、性別、投与時間、分解の速度、疾患の重症度および経過、状態または症状、および治療を行う医師の判断が挙げられる。ある特定の実施形態では、ペプチド溶液は、単回用量で投与することができる。他の実施形態では、ペプチド溶液は、2回以上の用量、または複数回用量で投与することができる。ペプチド溶液は、少なくとも2回の用量で投与することができる。標的エリアの体積が満たされるまで溶液の投与を繰り返すことができる。
ペプチド溶液の有効量および有効濃度は、肺大気胞が少なくとも部分的に治療されるように、例えば被験体の肺大気胞またはその付近のブラの閉塞または崩壊が促進されるまたはもたらされるように選択することができる。一部の実施形態では、有効量および有効濃度の少なくとも一方は、標的エリアの寸法または直径に一部基づいてよい。他の実施形態では、有効量および有効濃度の少なくとも一方は、標的エリアまたはその付近における1つまたは複数の流体の流量に一部基づいている。さらに他の実施形態では、有効量および有効濃度の少なくとも一方は、肺大気胞または外科手術の部位の標的エリアの寸法または直径に一部基づいてよい。
さらに他の実施形態では、有効量および有効濃度の少なくとも一方は、標的エリアの寸法または直径、および標的エリアまたはその付近における1つまたは複数の流体の流量、および肺大気胞または外科手術の部位の標的エリアの寸法または直径のうちの少なくとも1つに一部基づいてよい。
有効量は、約0.1ミリリットル(mL)から約100mLまでのペプチド溶液の体積を含み得る。有効量は、約0.1mLから約10mLまでのペプチド溶液の体積を含み得る。有効量は、約0.1から約5mLまでの体積を含み得る。ある特定の実施形態では、有効量は約0.4mLであり得る。ある特定の実施形態では、有効量は約0.5mLであり得る。他の実施形態では、有効量は約1.0mLであり得る。さらに他の実施形態では、有効量は約1.5mLであり得る。さらにまた他の実施形態では、有効量は約2.0mLであり得る。一部の他の実施形態では、有効量は約3.0mLであり得る。
ある特定の実施形態では、有効量は、標的エリア1cm当たりおよそ0.1mL〜1cm当たりおよそ5mLであり得る。有効量は、1cm当たり約0.1mL〜1cm当たり約3mlであり得る。ある特定の実施形態では、有効量は、標的エリア1cm当たりおよそ1mLであり得る。この有効量は、本開示のペプチド溶液の1.5重量/体積パーセントまたは2.5重量/体積パーセントなどの濃度と関連付けて使用することができる。
有効濃度は、本明細書に記載の通り、肺大気胞を治療することができる量であり得る。標的部位またはその付近における種々の性質が、標的エリアの寸法または直径、および標的エリアまたはその付近における1つまたは複数の流体の流量のうちの少なくとも1つを含めた有効濃度の選択または決定の一因となり得る。
有効濃度は、約0.1重量/体積(w/v)パーセント〜約10w/vパーセントの範囲の溶液中のペプチド濃度を含み得る。有効濃度は、約0.1w/vパーセント〜約3.5w/vパーセントの範囲の溶液中のペプチド濃度を含み得る。ある特定の実施形態では、有効濃度は約1w/vパーセントであり得る。ある特定の他の実施形態では、有効濃度は約1.5w/vパーセントであり得る。他の実施形態では、有効濃度は約2.5w/vパーセントであり得る。さらに他の実施形態では、有効濃度は約3.0w/vパーセントであり得る。
ある特定の実施形態では、より高濃度のペプチドを有するペプチド溶液により、適当な位置に留まり、有効な治療をもたらすことが可能な、より有効なハイドロゲルをもたらすことができる。ペプチド溶液を送達するために、より高濃度のペプチド溶液は、有効であり選択的な溶液の投与を可能にするためには粘性が高くなりすぎる可能性がある。十分に高い濃度が選択されない場合には、ハイドロゲルは、標的エリアにおいて所望の期間にわたって有効性を有することができない可能性がある。
有効濃度は、特定の直径またはゲージのカテーテルまたは針を使用する注射または他の手段によって投与することができる溶液がもたらされるように選択することができる。
本開示の方法では、治療有効量の本明細書に記載のペプチド、組成物、ペプチド溶液、膜、フィラメント、およびハイドロゲルの単回投与ならびに多数回投与が意図されている。本明細書に記載のペプチドは、定期的な間隔で、被験体の状態の性質、重症度および程度に応じて投与することができる。一部の実施形態では、ペプチド、組成物、ペプチド溶液、膜、フィラメント、またはハイドロゲルは、単回投与で投与することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載のペプチド、組成物、ペプチド溶液、またはハイドロゲルを多数回投与で投与する。一部の実施形態では、治療有効量のペプチド、組成物、ペプチド溶液、膜、フィラメント、またはハイドロゲルを、定期的な間隔で周期的に投与することができる。選択される定期的な間隔は、投与される溶液の最初のペプチド濃度、投与される量、および形成されるハイドロゲルの分解速度の任意の1つまたは複数に基づくものであってよい。例えば、最初の投与後、後続の投与を、例えば、30秒後、1分後、2分後、5分後、10分後、1日後、2日後、5日後、1週間後、2週間後、4週間後、6週間後、または8週間後に行うことができる。後続の投与は、ペプチドの濃度および体積が最初の投与と同じである溶液の投与を含んでもよく、ペプチドの濃度および体積がより低いまたはより高い溶液の投与を含んでもよい。適切な後続のペプチド溶液の投与の選択は、標的エリアおよび標的エリアの周囲のエリアのイメージングを行い、被験体の状態に基づいて必要性を確認することに基づくものであってよい。所定の間隔は、後続の投与のそれぞれについて同じであってもよく、異なってもよい。一部の実施形態では、被験体の生涯にわたって被験体における少なくとも部分的な肺大気胞(複数可)の治療を維持するために、ペプチド、ペプチド溶液、またはハイドロゲルを所定の間隔で長期にわたって投与することができる。所定の間隔は、後続の投与のそれぞれについて同じであってもよく、異なってもよい。これは、以前の投与から形成されるハイドロゲルが部分的に、または完全に破壊または分解されるかどうかに左右され得る。後続の投与は、ペプチドの濃度および体積が最初の投与と同じである溶液の投与を含んでもよく、ペプチドの濃度および体積がより低いまたはより高い溶液の投与を含んでもよい。適切な後続のペプチド溶液の投与の選択は、標的エリアおよび標的エリアの周囲のエリアのイメージングまたは可視化を行い、被験体の状態に基づいて必要性を確認することに基づくものであってよい。
自己組織化ペプチドの投与は、自己組織化ペプチドを含む溶液を標的エリアの表面に適用することを含んでよい。他の実施形態では、標的エリアを通してまたは標的エリア内に溶液を適用することができる。例えば、溶液を標的エリアの表面に適用するのではなく、溶液をブラエリア内に投与する、例えば、注射するために、送達デバイスをブラエリア内に配置することができる。
これらの投与手順は、送達デバイスを適切に配置することによって達成することができる。上記の通り、送達デバイスはシリンジであってよい。シリンジは、肺大気胞の治療を達成するために、溶液の標的エリア上または標的エリア内への適切な流れを可能にするための特定のゲージを有するものであってよい。
治療に関するさらなる手順は、自己組織化ペプチドを含む溶液を適用した後に塩類溶液を標的エリアに投与することを含んでよい。これにより、結果として得られるハイドロゲルバリアの機械的強度が増大すること、例えば、結果として得られるハイドロゲルバリアの貯蔵弾性率が、塩類溶液を用いたさらなる治療を含まないハイドロゲルバリアと比較して増大することに起因して、肺大気胞の優れた治療を提供することができる。
RADA16などの本開示の自己組織化ペプチドは、別個の生理的に活性なまたは生物学的に活性なモチーフまたは配列を欠き、したがって、内因性の細胞機能を損なわない可能性があるペプチド配列であり得る。生理的に活性なモチーフにより、転写などの多数の細胞内の現象を制御することができ、また、生理的に活性なモチーフが存在することにより、当該モチーフを認識する酵素による細胞質内タンパク質または細胞表面タンパク質のリン酸化が導かれる。ペプチド内に生理的に活性なモチーフが存在すると、種々の機能を有するタンパク質の転写を活性化または抑制することができる。本開示の自己組織化ペプチドは、そのような生理的に活性なモチーフを欠いてよく、したがって、このリスクを有さない。
肺大気胞の治療を低減させることなく溶液の浸透圧を低張性から等張性に改善するために、自己組織化ペプチド溶液に糖を添加し、それにより、生物学的安全性を上昇させることができる。特定の例では、糖は、スクロースまたはグルコースであってよい。
膜の形成に最適な長さは、アミノ酸組成に伴って変動し得る。本開示のペプチドにより意図される安定化因子は、ペプチド骨格間の一定の距離を維持する相補的なペプチドである。対形成した際に一定の距離を維持することが可能なペプチドは、本明細書では構造的に適合性であると称される。ペプチド間距離は、各イオン化または水素結合対について、対内の各アミノ酸の側鎖上の非分枝原子の数の合計を取ることによって算出することができる。例えば、リシンおよびグルタミン酸は、その側鎖上に非分枝原子をそれぞれ5つおよび4つ有する。ペプチドは、化学的に合成することもでき、天然の供給源および組換え供給源から精製することもできる。化学的に合成されたペプチドの使用により、ペプチド溶液が別の動物または微生物の細胞外マトリックスに由来する未同定の構成成分などの未同定の構成成分を有さないようにすることを可能にできる。したがって、この性質により、従来の組織由来のバイオマテリアルと比較して、ウイルス感染のリスクを含めた感染の懸念を排除することができる。これにより、牛海綿状脳症(BSE)などの感染を含めた感染の懸念を排除し、ペプチドを、肺大気胞の治療に関して高度に安全なものにすることができる。
ペプチドの最初の濃度は、形成される膜、ハイドロゲル、または足場のサイズおよび厚さに関する因子であり得る。一般に、ペプチド濃度が高いほど、膜またはハイドロゲルの形成の程度が高くなる。より高い最初のペプチド濃度(約10mg/ml)(約1.0w/vパーセント)で形成されるハイドロゲル、または足場は、より厚くなり得、したがって、より強力になる可能性がある。
膜、ハイドロゲル、組成物、または足場の形成は非常に速く、およそ数秒または数分であり得る。膜またはハイドロゲルの形成は不可逆的であってよい。ある特定の実施形態では、形成は可逆的であってよい。ハイドロゲルは、標的エリアに投与した際に即時的に形成させることができる。ハイドロゲルの形成は、投与後約1〜2分以内に生じさせることができる。他の例では、ハイドロゲルの形成は、投与後約3〜4分以内に生じさせることができる。ある特定の実施形態では、ハイドロゲルの形成にかかる時間は、少なくとも一部において、ペプチド溶液の濃度、適用されるペプチド溶液の体積、および適用または注射のエリアにおける条件(例えば、適用のエリアにおける一価金属陽イオンおよび/または陰イオンの濃度、エリアのpH、およびエリアまたはその付近における1つまたは複数の流体の存在、標的エリアへの投与前または投与後に溶液に添加される追加的な構成成分)のうちの1つまたは複数に基づくものであってよい。プロセスは、12未満またはそれと同等のpHによって、および温度によっては影響されない可能性がある。膜またはハイドロゲルは、1〜99摂氏温度の範囲の温度で形成され得る。
ハイドロゲルは、本開示の方法およびキットを使用して所望の効果をもたらすために十分な期間にわたって標的エリアの位置に留めることができる。本開示の材料、組成物、方法およびキットを使用した所望の効果は、エリアを治療すること、または外科手術の部位もしくはその付近の外科手技を実施したエリアもしくは肺大気胞の部位の治癒を補助することであり得る。例えば、本開示の材料、組成物、方法およびキットを使用した所望の効果は、エリアを治療すること、または肺の外科手術を実施するエリアの治癒を補助することであり得る。
肺大気胞を治療するための、本明細書に記載の自己組織化ペプチドを含む溶液、ハイドロゲル、組成物、または膜の使用を含めた、本開示の材料および方法は、肺大気胞の標的エリアにおいてハイドロゲルバリアを作製するために提供される。治療の成功の妥当性を決定し得るハイドロゲルバリアの性質は、破裂圧、または破裂圧耐性である。破裂圧とは、ハイドロゲルバリアが機能しなくなる圧力を指し得る。例えば、これは、ハイドロゲルバリアがもはや標的エリアに対する適切な治療を提供するために所望の通り作動しない圧力であり得る。破裂圧は、ハイドロゲルバリアによってもたらされる遮断または閉塞が空気の通過を許す圧力であり得る。
一部の実施形態では、本開示の材料および方法を使用することによって、正常な組織(例えば、損傷を受けていない組織または漏れが存在しない組織)で達成されるものと同様またはそれよりも高い破裂圧をもたらすことが望ましい。本開示の材料および方法を使用することによって、通常または平均の肺機能により示される圧力と同様の破裂圧をもたらすことが望ましい。正常な、健康な組織については、一般に観察される破裂圧は約20〜約30cmHOであり得る。
ある特定の実施形態では、35cmHOまたはそれ超の破裂圧が、肺大気胞を治療するためのハイドロゲルバリアについて望ましいまたは許容される破裂圧である。ある特定の実施形態では、自己組織化ペプチドを含む溶液を投与するステップの後に破裂圧を上昇させることができる。例えば、1分から2分まで、10分まで、破裂圧を上昇させることができる。一部の実施形態では、約0分から1分の間、1分〜2分、または2分〜5分の破裂圧が少なくとも35cmHOであることが望ましい。ある特定の実施形態では、肺大気胞の治療を可能にするために適した期間で少なくとも35cmHOの破裂圧を達成することができる。この期間は、臨床医による適切な治療のためにも適切であり得る。約5分未満、約3分未満、約2分未満、約1分未満、または約30秒未満で少なくとも35cmHOの破裂圧を達成することができる。
適用後のゲル化時間の影響がある。破裂圧は、1分、2分、および10分の間で、時間が増すほど上昇する。2分は、シールをもたらすために好ましい場合がある。ハイドロゲルバリアは、標的エリアのサイズにかかわらず、少なくとも35cmHOの有効な破裂圧をもたらすために適し得る。例えば、14g、16g、18g、または22gの針を用いて表面を穿刺することによって創出した欠損は破裂圧35cmHOに劇的に影響を及ぼすことはない。
膜またはハイドロゲルを所望のエリアに留めることができる期間は、約10分であり得る。特定の例では、膜またはハイドロゲルを所望のエリアに約35分にわたって留めることができる。ある特定のさらなる例では、膜またはハイドロゲルを所望のエリアに1日または複数日、最大1週間または複数週間にわたって留めることができる。他の例では、膜またはハイドロゲルを所望のエリアに最大30日、またはそれ超にわたって留めることができる。膜またはハイドロゲルを所望のエリアに無制限に留めることができる。他の例では、膜またはハイドロゲルを所望のエリアにより長い期間にわたって、それが自発的に分解されるか意図的に取り出されるまで留めることができる。ハイドロゲルがある期間にわたって自発的に分解される場合、同じまたは異なる場所へのハイドロゲルのその後の適用または注射を実施することができる。
ある特定の実施形態では、自己組織化ペプチドは、自己組織化ペプチドの効果の増強をもたらすことができるか、または別の作用、治療、療法をもたらすもしくは他のやり方で被験体の1つまたは複数の構成成分と相互作用することができる1つまたは複数の構成成分と共に調製することができる。1つまたは複数の他の構成成分により、貯蔵弾性率、G’によって測定されるより高い機械的強度、およびゲル化動態の改善、例えば、ハイドロゲルまたはハイドロゲルバリアへのより急速なゲル化をもたらすことができる。
例えば、自己組織化ペプチド溶液または組成物の形態の自己組織化ペプチドのpHを調整することができる。自己組織化ペプチド溶液または組成物の形態の自己組織化ペプチドのpHを上昇または低下させることができる。これは、pH調整剤を添加することによって自己組織化ペプチド溶液のpHを調整することにより行うことができる。pH調整剤は、例えば、塩、塩類溶液または緩衝溶液であってよい。pH調整剤は、自己組織化ペプチドのアミノ酸配列、塩(複数可)の型、1つまたは複数の塩の濃度、およびpH調整剤のpHに基づいて選択することができる。ある特定の実施形態では、自己組織化ペプチドを含む溶液のpHは約2.5から約4.0の間である。
本開示により提供される自己組織化ペプチドを含む溶液および組成物は、追加的な構成成分、例えば、1つまたは複数の塩と共に調製することができる。溶液の調製は、例えばペプチド粉末またはペプチド溶液の形態の自己組織化ペプチドを塩類溶液に添加することを含んでよい。他の実施形態では、溶液の調製は、塩または塩類溶液をペプチド粉末またはペプチド溶液の形態の自己組織化ペプチドに添加することを含んでよい。他の実施形態では、自己組織化ペプチドを含む溶液の調製は、自己組織化ペプチドのペプチド粉末に水を添加して水性ペプチド溶液を提供することを含む。水は脱イオン水またはペプチド溶液の調製に適した任意の精製水であってよい。水は、医療機器に許容されるグレードまたは薬学的に許容されるグレードのものであってよい。ペプチド粉末と水を場合によって混合することができる。次いで、塩または塩類溶液を水性ペプチド溶液に添加することができる。次いで、塩または塩類溶液と水性ペプチド溶液を混合することができる。
塩類溶液は、自己組織化ペプチドを含む溶液に使用するため、自己組織化ペプチドを含む溶液に添加するため、または自己組織化ペプチドを含むハイドロゲルまたは組成物に添加するために提供することができる。塩類溶液は、自己組織化ペプチドを含む溶液、または結果として得られるハイドロゲル、またはハイドロゲルバリアに所望の性質を付与するために、特定の陰イオンおよび陽イオンと共に、特定の濃度で提供することができる。例えば、塩類溶液は、機械的強度(貯蔵弾性率)、剛性、粘度、ゲル化動態、イオン強度、pH、または破裂圧(破裂圧耐性)を有するように提供することができる。
塩類溶液は、一価および/または二価陽イオンおよび/または陰イオンを含んでよい。塩類溶液は、アンモニウムイオン、鉄イオン、マグネシウムイオン、カリウムイオン、ピリジニウム(pyrimidium)イオン、第四級アンモニウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、およびカルシウムイオンからなる群より選択される少なくとも1つの陽イオンを含んでよい。塩類溶液は、塩化物イオン、硫酸イオン、酢酸イオン、炭酸イオン、塩化物イオン、クエン酸イオン、シアン化物イオン、フッ化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、およびリン酸イオンからなる群より選択される少なくとも1つの陰イオンを含んでよい。
一部の実施形態では、塩類溶液は塩化カルシウム、塩化ナトリウム、および塩化カリウムのうちの少なくとも1つを含む。
ある特定の実施形態では、自己組織化ペプチドを含む溶液は、(RADA)(配列番号1)を約0.5w/vパーセントの濃度で含んでよい。この溶液は、約0.125Mの塩化カルシウム濃度をさらに含んでよい。この溶液は、さらに、約25Paの貯蔵弾性率をもたらすものであってよい。
ある特定の実施形態では、自己組織化ペプチドを含む溶液は、(RADA)(配列番号1)を約0.5w/vパーセントの濃度で含んでよい。この溶液は、約0.250Mの塩化カルシウム濃度をさらに含んでよい。この溶液は、さらに、約44Paの貯蔵弾性率をもたらすものであってよい。
ある特定の実施形態では、自己組織化ペプチドを含む溶液は、(RADA)(配列番号1)を約0.5w/vパーセントの濃度で含んでよい。この溶液は、約0.500Mの塩化カルシウム濃度をさらに含んでよい。この溶液は、さらに、約52Paの貯蔵弾性率をもたらすものであってよい。
ある特定の実施形態では、自己組織化ペプチドを含む溶液は、(RADA)(配列番号1)を約2.5w/vパーセントの濃度で含んでよい。この溶液は、約0.125Mの塩化カルシウム濃度をさらに含んでよい。この溶液は、さらに、約600Paの貯蔵弾性率をもたらすものであってよい。
複数の実施形態では、自己組織化ペプチドを含む溶液は、約0.005Mから約1Mの間の塩濃度を有するものであってよい。ある特定の実施形態では、自己組織化ペプチドを含む溶液は、約0.125Mから約0.500Mの間の塩濃度を有するものであってよい。ある特定の実施形態では、自己組織化ペプチドを含む溶液は、約0.25Mの塩濃度を有するものであってよい。
複数の実施形態では、自己組織化ペプチドを含む溶液は、等張性溶液を含んでよいまたは等張性溶液を添加されたものであってよい。等張性溶液は被験体、例えば被験体の体液または標的エリアにおける局部的な生理的条件に対するものであってよい。等張性溶液は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムおよび水の少なくとも1つを含んでよい。この溶液は、pHを調整するために使用することができる塩酸または水酸化ナトリウムを含有してよい。この溶液を調製するために、NaCl8.6g、KCl0.3g、CaCl0.33gを蒸留水1リットルに溶解させることができる。この溶液のpHは約5.4であってよい。この溶液のpHは、酸もしくは塩基、またはpH調整剤を用いて調整することができる。pH調整剤は炭酸水素ナトリウムであってよい。この溶液は、リンゲル液と称することができる。
複数の実施形態では、自己組織化ペプチドを含む溶液は、造影剤を含んでよいまたは造影剤を添加されたものであってよい。造影剤は、自己組織化ペプチドを含む溶液またはハイドロゲルまたはハイドロゲルバリアを可視化するために利用することができる。造影剤により、医師に自己組織化ペプチドを含む溶液またはハイドロゲルまたはハイドロゲルバリアの場所をもたらすまたは確信させることができる。造影剤は、硫酸イオンおよびナトリウムイオンのうちの少なくとも1つを含んでよい。
複数の実施形態では、これだけに限定されないが、(RADA)(配列番号1)、(IEIK)I(配列番号2)、(KLDL)(配列番号3)を含めた種々の自己組織化ペプチドの性質は、それらの塩濃度を、塩が沈殿し始める前の臨界イオン強度レベル未満で維持することによって増強することができる。塩の臨界イオン強度レベルは、各ペプチドにおける内因性のアミノ酸特性および組成に応じて変動する。ペプチドは、それらの塩のイオン強度を塩が沈殿し始める前の臨界イオン強度レベル未満で維持するために、純水の代わりに、種々の塩を伴う水に溶解させることができる。
これにより、種々の塩濃度の自己組織化ペプチド溶液およびハイドロゲルに比較的堅い性質またはより高い機械的強度を有益に付与し、それらをゼロ塩濃度レベルで維持したペプチドハイドロゲルと比較してより広範囲の適用に適するものにすることができる。同様にこれにより、ペプチド溶液を生理的条件、例えば、被験体の標的エリアに投与すると起こり得る、環境塩イオン強度が、生理的イオン強度などの塩が沈殿する前の臨界イオン強度を上回るイオン強度に変化すると、ペプチド溶液からペプチドハイドロゲルへの急速なゲル化動態も有益に付与することができる。
1つまたは複数の態様によると、これだけに限定されないが、(RADA)(配列番号1)、(IEIK)I(配列番号2)、(KLDL)(配列番号3)を含めた種々のペプチドハイドロゲルの性質は、それらのpHレベルを約3.5またはそれ未満の高値に維持し、同時に、それらの塩濃度を塩が沈殿する前の臨界イオン強度レベル未満に維持することによって増強することができる。
一部の実施形態では、(RADA)(配列番号1)を含む溶液のpHは約3.5である。一部の実施形態では、(KLDL)(配列番号3)を含む溶液のpHは約3.5である。一部の実施形態では、(IEIK)I(配列番号2)を含む溶液のpHは約3.7である。
一部の実施形態では、緩衝溶液などの緩衝液を自己組織化ペプチド溶液または自己組織化ペプチドに添加することができる。
緩衝液は、弱酸とその共役塩基、またはその逆の混合物からなる水溶液であってよい。緩衝液のpHは、少ないまたは中程度の量の強酸または強塩基を添加してもほとんど変化せず、したがって、緩衝液を使用して溶液のpHの変化を予防することができる。緩衝溶液は、多種多様な化学的適用においてpHをほぼ一定の値に維持する手段として使用され、本明細書に開示されている自己組織化ペプチドおよび自己組織化ペプチド溶液および組成物に適用可能である。
緩衝液は、少なくとも2種の塩を含んでよい。緩衝液は、例えばPBS緩衝液(リン酸緩衝生理食塩水)など、pHが約7.4であってよい。緩衝液は、例えばDMEM緩衝液など、pHが約7.2であってよい。一部の実施形態では、緩衝液は、アルカリ緩衝液であってよい。
一部の実施形態では、自己組織化ペプチドの溶液または組成物は、約0.15Mの塩化ナトリウム、塩化カリウム、および塩化カルシウムのうちの少なくとも1つで緩衝化されていてもよい。自己組織化ペプチドが(RADA)(配列番号1)である場合、緩衝液は、約0.6Mから約1.2Mの間の塩を含んでよい。自己組織化ペプチドが(IEIK)I(配列番号2)である場合、緩衝液は、約0.6Mから約1.2Mの間の塩を含んでよい。自己組織化ペプチドが(RADA)(配列番号1)である場合、緩衝液は、約0.02Mから約0.04Mの間の塩を含んでよい。自己組織化ペプチドが(KLDL)(配列番号3)である場合、緩衝液は、約0.1Mから約0.4Mの間の塩を含んでよい。
ある特定の実施形態では、溶液に所定の機械的強度をもたらすための塩を選択するステップをさらに含む治療方法が提供される。本方法は、溶液に所定の機械的強度をもたらすための塩の濃度を選択するステップをさらに含み得る。本方法は、溶液に所定のイオン強度をもたらすための塩を選択するステップを含み得る。本方法は、溶液に所定のイオン強度をもたらすための塩の濃度を選択するステップをさらに含み得る。本方法は、溶液に所定のpHをもたらすための塩を選択するステップを含み得る。本方法は、溶液に所定のpHをもたらすための塩の濃度を選択するステップをさらに含み得る。
1つまたは複数の生物学的に活性なまたは生理的に活性なアミノ酸配列またはモチーフを含む追加的なペプチドを構成成分の1つとして自己組織化ペプチドと共に含めることができる。他の構成成分は被験体に薬物または他の治療などのいくらかの利益をもたらし得る生物学的に活性な化合物を含み得る。例えば、がん治療薬または抗がん薬を自己組織化ペプチドと共に投与することもでき、別々に投与することもできる。
ペプチド、ペプチド溶液、またはハイドロゲルは、被験体を治療するためまたは溶血、炎症、および感染を予防するための小分子薬物を含んでよい。小分子薬物は、グルコース、サッカロース、精製サッカロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、デキストラン、ヨウ素、塩化リゾチーム、ジメチルイソプロピルアズレン(dimethylisoprpylazulene)、トレチノイン、トコフェリル(tocoferil)、ポピドンヨード、アルプロスタジルアルファデクス、アニスアルコール、サリチル酸イソアミル、α,α−ジメチルフェニルエチルアルコール、バクダノール(bacdanol)、ヘリオナール(helional)、スルファジアジン銀(sulfazin silver)、ブクラデシンナトリウム、アルプロスタジルアルファデクス、硫酸ゲンタマイシン、塩酸テトラサイクリン、フシジン酸ナトリウム、ムピロシンカルシウム水和物および安息香酸イソアミルからなる群より選択することができる。他の小分子薬物も意図され得る。タンパク質に基づく薬物を投与される構成成分として含めることができ、それらとして、エリスロポエチン、組織型プラスミノーゲン活性化因子、合成ヘモグロビンおよびインスリンが挙げられる。
自己組織化ペプチド、自己組織化ペプチドを含む溶液、または組成物を、迅速なまたは即時のハイドロゲルへの形成から保護するための構成成分を含めることができる。これは、ペプチド溶液を標的エリアに時間制御放出させてハイドロゲルを所望の所定の期間にわたって形成させることを可能にするために時間をわたり分解させることができる封入送達系を含み得る。エチレン酢酸ビニル、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸などの生分解性生体適合性ポリマーを使用することができる。
本明細書に記載の構成成分はいずれも、自己組織化ペプチド、自己組織化ペプチドを含む溶液、組成物、またはキットに含めることもでき、自己組織化ペプチド、自己組織化ペプチドを含む溶液、組成物、またはキットとは別に投与することもできる。さらに、本明細書において提供される方法および容易にする方法はいずれも、1つまたは複数の関係者によって実施されてよい。
本開示のペプチド、ペプチド溶液、組成物またはハイドロゲルは、肺大気胞を治療するためのキットで提供することができる。キットは、被験体における肺大気胞を治療するためのものであってよい。溶液自己組織化ペプチドを被験体の肺大気胞の標的エリアに投与するための指示もこのキットで提供することができる。自己組織化ペプチドは、肺大気胞の治療を可能にするために、ハイドロゲルバリアを形成するための有効量の約7アミノ酸〜約32アミノ酸を含んでよい。一部の実施形態では、自己組織化ペプチドは、約12アミノ酸〜約16アミノ酸を含んでよい、それからなってよい、またはそれから本質的になってよい。自己組織化ペプチドは、(RADA)(配列番号1)、(IEIK)I(配列番号2)、(KLDL)(配列番号3)を含んでもよく、それから本質的になってもよく、それからなってもよい。溶液中の自己組織化ペプチドの濃度は、本明細書に開示されている濃度のいずれであってもよい。
溶液を投与するための指示は、本明細書において提供されるペプチド、ペプチド溶液、またはハイドロゲルを、例えば本明細書に記載の投与経路によって、ある用量、体積または濃度、または投与スケジュールで投与するための方法を含んでよい。ペプチドは両親媒性であってよく、ペプチドの少なくとも一部は疎水性アミノ酸と親水性アミノ酸が交互に現れるものであってよい。
キットは、自己組織化ペプチドを、自己組織化ペプチドを含む溶液および自己組織化ペプチドを含む溶液として調製される粉末のうちの一方として提供することができるものである。肺大気胞の治療を可能にするために生理的条件下でハイドロゲルバリアを形成するための有効濃度を有する自己組織化ペプチドを含む溶液を調製するための指示も提供することができる。
キットは、情報材料も含んでよい。情報材料は、本明細書に記載の方法に関する説明材料、教材、マーケティング材料または他の材料であってよい。一実施形態では、情報材料は、本明細書に開示されているペプチド、ペプチド溶液、またはハイドロゲルの作製、ペプチド、組成物、ペプチド溶液またはハイドロゲルの物理特性、濃度、体積、サイズ、寸法、有効期限、およびバッチまたは作製場所に関する情報を含んでよい。
キットは、場合によって、ペプチドまたはペプチド溶液を所望のエリアに投与することを可能にするためのデバイスまたは材料も含んでよい。例えば、シリンジ、ピペット、カテーテル、または他の針に基づくデバイスをキットに含めることができる。それに加えて、またはその代わりに、キットは、標的エリアへのペプチド溶液の選択的な投与をもたらすためのガイドワイヤー、内視鏡、または他の付随的な設備を含んでよい。
キットは、それに加えてまたはその代わりに、ペプチド溶液、ハイドロゲルまたは足場を配置することを補助し得る構成成分などの他の構成成分または成分を含んでよい。十分な量または体積のペプチド溶液と、キットと共に提供されてもされなくてもよいスクロース溶液を合わせるための指示をこのキットで提供することができる。有効濃度の溶液を標的エリアに投与するためにペプチド溶液を希釈するための指示を提供することができる。指示は、希釈剤または溶媒を用いてペプチド溶液を希釈することを記載するものであってよい。希釈剤または溶媒は水であってよい。標的エリアに対する溶液の有効濃度および溶液の有効量の少なくとも1つを決定するための指示をさらに提供することができる。これは、本明細書で考察されている種々のパラメータに基づくものであってよく、標的エリアにおける肺大気胞または創傷の病変または部位の直径を含んでよい。
他の構成成分または成分をペプチド、ペプチド溶液、またはハイドロゲルと同じまたは異なる組成物または容器においてキットに含めることができる。1つまたは複数の構成成分としては、自己組織化ペプチドの効果の増強をもたらすことができるか、または別の作用、治療、療法をもたらすもしくは他のやり方で被験体の1つまたは複数の構成成分と相互作用することができる構成成分を挙げることができる。例えば、1つまたは複数の生物学的に活性な配列または生理的に活性な配列またはモチーフを含む追加的なペプチドを構成成分の1つとして自己組織化ペプチドと共に含めることができる。他の構成成分は、被験体に薬物または他の治療などのいくらかの利益をもたらし得る生物学的に活性な化合物を含んでよい。例えば、がん治療薬または抗がん薬を、自己組織化ペプチドと一緒に投与することもでき、別々に投与することもできる。ペプチド、ペプチド溶液、またはハイドロゲルは、本明細書に開示されている通り、被験体を治療するためまたは溶血、炎症、および感染を予防するための小分子薬物を含んでよい。スクロース溶液などの糖溶液をキットと共に提供することができる。スクロース溶液は、20%スクロース溶液であってよい。
本開示全体を通して本明細書に開示されている他の構成成分もキットに含めることができる。例えば、キットは、塩類溶液を自己組織化ペプチドとは別々にまたは自己組織化ペプチドと組み合わせてさらに含んでよい。キットは、自己組織化ペプチドとは別々にまたは自己組織化ペプチドと一緒に提供される、例えば糖または糖溶液、例えばスクロースをさらに含んでよい。塩類溶液と自己組織化ペプチドを含む溶液またはペプチド粉末のうちの1つを組み合わせるための指示を提供することができる。キットは、自己組織化ペプチド溶液または粉末に添加されるものとして、または自己組織化ペプチド溶液の一部として、等張性溶液または造影剤をさらに含んでよい。
一部の実施形態では、キットの構成成分を、例えばゴムまたはシリコーンのふた(例えば、ポリブタジエンまたはポリイソプレンのふた)を有する密閉バイアル中に保管する。一部の実施形態では、キットの構成成分を不活性条件下で(例えば、窒素またはアルゴンなどの別の不活性ガスの下で)保管する。一部の実施形態では、キットの構成成分を無水条件下で(例えば、乾燥剤を用いて)保管する。一部の実施形態では、キットの構成成分をアンバーバイアルなどの遮光容器中に保管する。
キットの一部としてまたはキットとは別に、シリンジまたはピペットに、本明細書に開示されているペプチド、ペプチド溶液、またはハイドロゲルを予め充填することができる。使用者に、他のデバイスの使用を伴ってまたは伴わずに自己組織化ペプチド溶液をシリンジまたはピペットに供給し、他のデバイスの使用を伴ってまたは伴わずに自己組織化ペプチド溶液をシリンジまたはピペットによって標的エリアに投与するよう指示する方法が提供される。他のデバイスとしては、例えば、ガイドワイヤーを伴うまたは伴わないカテーテルを挙げることができる。
キットの自己組織化ペプチドは、本開示で提供される任意のペプチドであってよく、本開示に記載されている任意の構成成分、例えば、種々の塩、pH調整剤、緩衝液、アルカリ緩衝液を、このキット内に、キット内の自己組織化ペプチドと一緒に、またはキット内の自己組織化ペプチドとは別に提供することができる。
複数の実施形態では、肺大気胞を治療するために生理的条件下でハイドロゲルバリアを形成することにおいて使用するための、有効量および有効濃度の約7アミノ酸〜32アミノ酸を含む自己組織化ペプチドを含む組成物が提供される。組成物のハイドロゲルバリアにより、少なくとも35HOの破裂圧耐性をもたらすことができる。組成物の自己組織化ペプチドは、(RADA)(配列番号1)、(IEIK)I(配列番号2)、および(KLDL)(配列番号3)からなる群より選択することができる。肺大気胞の治療を可能にするために有効な濃度は、約0.1重量/体積(w/v)パーセント〜約3w/vパーセントの範囲の自己組織化ペプチド濃度を含む。組成物は細胞を実質的に含まないものであってよい。組成物は、薬物を実質的に含まないものであってよい。組成物は、本明細書に開示されている構成成分の任意の1つまたは複数をさらに含んでよい。例えば、組成物は、本明細書に開示されている陽イオン、陰イオン、塩、緩衝液、造影剤、等張性溶液、pH調整剤、および糖の任意の1つまたは複数を、本明細書に開示されている種々の濃度で含んでよい。組成物は、本明細書において開示されている、機械的強度、pH、ゲル化動態、およびイオン強度などの性質を有してよい。組成物は、肺大気胞の治療に使用することができるものであり、および哺乳動物またはヒトなどの被験体に対する治療になり得るものである。
被験体における肺大気胞の治療を容易にする方法も提供することができる。本方法は、肺大気胞の治療を可能にするために、有効量および有効濃度の約7アミノ酸〜約32アミノ酸を含む自己組織化ペプチドを含む溶液を提供して生理的条件下でハイドロゲルバリアを形成するステップと、肺系の標的エリアに、肺大気胞内に配置した送達デバイスを通じて溶液を導入することによって溶液を投与するための指示を提供するステップとを含み得る。
本方法は、本明細書に開示されている肺大気胞の少なくとも一部を含む領域を可視化するための指示を提供するステップをさらに含み得る。肺大気胞の少なくとも一部を含む領域を可視化するための指示であって、肺系の標的エリアを同定すること;送達デバイスを導入すること;送達デバイスの末端を標的エリア内に配置すること;溶液を投与すること;送達デバイスを肺大気胞から除去すること;および送達デバイスを除去した後に肺大気胞をモニタリングすることの少なくとも1つを含む指示も提供することができる。溶液を投与するステップの後約1分〜約5分の時間内に領域を可視化するための指示を提供することができる。本方法は、本開示で考察された通り、肺大気胞の標的エリアの寸法に一部基づいて、有効量および有効濃度の少なくとも一方を調製するための指示を提供するステップをさらに含み得る。
自己組織化ペプチドは、(RADA)(配列番号1)、(IEIK)I(配列番号2)、および(KLDL)(配列番号3)からなる群より選択される。本方法は、標的エリアの周囲のエリアをモニタリングするための指示を提供するステップをさらに含み得る。本方法は、外科手技後に溶液および使用のための指示を提供するステップをさらに含み得る。自己組織化ペプチドを含む溶液を提供するステップを含む方法は、肺大気胞の予防を可能にするために生理的条件下でハイドロゲルバリアを形成するための有効濃度を有する、本明細書に開示されているペプチド溶液を調製するための指示を提供するステップを含んでよい。
(実施例1)
ペプチドハイドロゲルのレオロジー的性質に対するpHレベルの影響
IEIK13、KLD12、およびPuraMatrix(登録商標)のレオロジー的性質に対するダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(pH7.4)の影響を、40mmプレートを伴うレオメーター(AR500、TA Instruments)で評価した。DMEMは、一般に、6.4g/LのNaCl、3.4g/LのNaHCO(炭酸水素ナトリウム)、微量の他の塩、種々のアミノ酸、および4.5g/Lのグルコースを含有する細胞培養培地である。DMEMのpHレベルは一般に7.2±0.2であり、質量オスモル濃度は335±30mOsm/KgHOである;どちらの測定値も血液などのヒト生理的流体と近いものである。
ペプチド溶液(1%)を4℃で少なくとも48時間維持した後に試験した。実験を実施するために、ペプチド溶液1mLを穏やかにピペットで取り、レオメーターのプレート上に置いた。DMEM溶液2mLをペプチド溶液の周りに穏やかに添加した。ペプチド溶液をDMEMで2分処理し、次いで、培地を除去し、プレートをおよそ450μmの測定用幾何学的形状ギャップに置いた。2分の緩和時間後に37℃で測定を実施した。周波数試験を振動応力1Paで1rad/sから100rad/sまで実施した。
図1Aに示されている通り、ペプチド(1%)のレオロジー的性質を2分にわたるDMEM処理の前後で比較した。2分にわたるDMEM処理後の貯蔵弾性率の上昇倍率(fold increase)が図1Bに示されている。ペプチドのそれぞれでDMEM処理後に貯蔵弾性率の大きな上昇が示された。PuraMatrix(登録商標)、KLD12、およびIEIK13の間のDMEM処理後の貯蔵弾性率間の差異倍率(fold difference)はDMEM処理前のものと比べて比較的わずかであった。同様に、DMEM処理後、より堅いペプチド溶液(すなわち、IEIK13)で示された貯蔵弾性率の上昇倍率は、より弱いペプチド溶液(すなわち、PuraMatrix(登録商標))よりも低かった。この観察により、DMEM処理後に、DMEM処理後の最終的な剛性を決定する決定的な分子間相互作用が生じることが示唆される。
(実施例2)
ペプチド溶液のpHレベルの最適化
例としてペプチド溶液のpHレベルを調整するために、0.1NのNaOHを2.5%ペプチド溶液2mLに添加し、それらのpHおよび外観を測定した。結果が表1に示されている。特に、およそ3.5またはそれ未満までのpH上昇では、PuraMatrix(登録商標)溶液、IEIK13溶液、およびKLD12溶液の透明色は変化しなかったが、それらの見かけの剛性は増大した。
(実施例3)
pH調整したペプチド溶液のレオロジー的性質
ペプチド溶液の性質に対するpHレベルの影響の視覚的な観察に基づいて、ペプチド溶液のpHレベルを3.4(PuraMatrix(登録商標)およびKLD12)または3.7(IEIK13)に調整した後の、ペプチド溶液のレオロジー的性質に対する影響を評価した。ペプチド溶液のpHレベルが3.5(PuraMatrix(登録商標)およびKLD12)または3.7(IEIK13)よりも高い場合、ペプチド溶液は相分離し始め、濁ったものになる。PuraMatrix(登録商標)溶液、KLD12溶液およびIEIK13溶液のレオロジー的性質は、pH3.4においてより高いものであった。結果がそれぞれKLD12 1%については図2に、IEIK13 1%については図3に、およびPuraMatrix(登録商標)1%および2.5%については図4〜5に示されている。応力掃引試験を10rad/sで実施した。周波数掃引試験を1Paで実施した。
(実施例4)
pH調整したペプチド溶液のさらなるレオロジー的性質
ペプチド溶液のpHレベルを3.4(PuraMatrix(登録商標)およびKLD12)または3.7(IEIK13)に調整した後の、ペプチド溶液のレオロジー的性質に対する影響の結果に基づいて、種々のpHレベルでのペプチド溶液のレオロジー的性質に対する影響を評価した。PuraMatrix(登録商標)溶液およびIEIK13溶液のレオロジー的性質は、pHを3.4まで調整すると増大する。20mmのプレートを伴うレオメーター(DHR−1、TA Instruments)を使用してペプチドのレオロジー的性質を様々な濃度において評価した。結果がそれぞれPuraMatrix(登録商標)2.5%溶液については図6Aに、IEIK13 1.5%溶液については図6Bに示されている。周波数掃引試験を1Paで1rad/秒から10rad/秒まで実施し、1rad/秒における貯蔵弾性率をデータ用に選択した。
(実施例5)
DMEM処理前/後の、様々な濃度におけるペプチドハイドロゲルのレオロジー的性質に対するpHレベルの影響
ペプチド溶液のpHレベルを調整した後の、ペプチド溶液のレオロジー的性質に対する影響の結果に基づいて、DMEM処理後の種々のpHのペプチドハイドロゲルのレオロジー的性質に対する影響を評価し、DMEM処理前の種々のpHのペプチド溶液のレオロジー的性質に対する影響と比較した。DMEM処理後のPuraMatrix(登録商標)ハイドロゲルおよびIEIK13ハイドロゲルのレオロジー的性質は、3.4までのpHの調整で増大する。結果がそれぞれ、PuraMatrix(登録商標)については図7A〜7Bに、IEIK(配列番号5)は図8A〜8Bに示されている。周波数掃引試験を1Paで1rad/秒から10rad/秒まで実施し、1rad/秒における貯蔵弾性率をデータ用に選択した。
(実施例6)
pH調整したペプチドハイドロゲルのゲル化動態に対する影響
本明細書に記載のペプチドについて最適化されたpHレベルを同定するために、ゲル化動態の性質に対するpHレベルの影響を評価した。体液中のPuraMatrix(登録商標)および他のペプチドの急速なゲル化動態により、一般に、種々の臨床的適用に関するその機能および応答時間を改善することができる。pHレベルにより、これだけに限定されないが、DMEMを含めたシミュレートされた体液を用いて処理した際にゲル化が開始されるまでの応答時間が付与され得る。pHを調整していない(pH2.2)PuraMatrix(登録商標)では最初の13秒にわたって貯蔵弾性率の上昇は示されなかったが、pHを調整したPuraMatrix(登録商標)では、急速なゲル化に起因した即時の貯蔵弾性率の上昇が示された。体液中のPuraMatrix(登録商標)および他のペプチドの急速な応答時間により、一般に、種々の臨床的適用に関するその機能および応答時間を改善することができる。
時間掃引試験を、20mmのプレートおよび500μmのギャップ距離を用い、1rad/秒および1Paで実施した。PuraMatrix(登録商標)2.5%溶液の時間掃引試験の間、0時点において測定プレート周囲のチャンバー内にDMEMを添加して、PuraMatrix(登録商標)溶液を浸漬した。結果がPuraMatrix(登録商標)2.5%溶液について図9Aに示されている。
pHを調整していないIEIK(配列番号5)では、即時の貯蔵弾性率の上昇が示されたが、pHを調整していない(pH2.2)PuraMatrix(登録商標)では最初の13秒にわたって貯蔵弾性率の上昇は示されなかった。pHを調整したIEIK13でも、急速なゲル化に起因した即時の貯蔵弾性率の上昇が示された。体液中のIEIK13の急速な応答時間により、一般に、種々の臨床的適用に関するその機能および応答時間を改善することができる。
時間掃引試験を、20mmのプレートおよび500μmのギャップ距離を用い、1rad/秒および1Paで実施した。IEIK13 1.5%溶液の時間掃引試験の間、0時点において測定プレート周囲のチャンバー内にDMEMを添加して、IEIK13 1.5%溶液を浸漬し、継続的にデータを記録した。結果がIEIK13 1.5%溶液について図9Bに示されている。
(実施例7)
ペプチド溶液およびハイドロゲルに対する塩イオン強度レベルの影響
本明細書に記載のペプチドについて最適化された塩イオン強度レベルを同定するために、ペプチド溶液の性質に対する塩イオン強度レベルの影響を評価した。PuraMatrix(登録商標)および他のペプチドの塩イオン強度レベルの上昇により、一般に、種々の臨床的適用に関するその機能および機械的強度を改善することができる。例としてペプチド溶液の塩イオン強度を調整するために、NaCl、KCl、MgCl、CaClおよびDPBS(10×)を含めた種々の塩緩衝溶液を1.5%ペプチド溶液2mLに添加した。
PuraMatrix(登録商標)についての結果が表2aに示されている。特に、およそ0.85〜1.15Mまで(種々の塩に応じて)の塩イオン強度の増大によってPuraMatrix(登録商標)溶液の透明色の顕著な変化はなかったが、それらの見かけの剛性は増大した。KLD12についての結果が表2bに示されている。特に、およそ0.25〜0.35Mまで(種々の塩に応じて)の塩イオン強度の増大により、KLD12溶液の透明色の顕著な変化はなかったが、それらの見かけの剛性は増大した。IEIK13についての結果が表2cに示されている。特に、およそ0.025〜0.035Mまでの(種々の塩に応じて)塩イオン強度の増大によってIEIK13溶液の透明色に変化はなかったが、それらの見かけの剛性は増大した。
表1a〜1cからの結果から、3つのペプチドが濁り始める臨界塩イオン強度が以下の通り示されることが示される:PuraMatrix(登録商標)(0.9〜1.2M)>KLD13(0.3〜0.4M)>IEIK13(0.03〜0.04M)。
(実施例8)
ペプチド溶液のレオロジー的性質に対する塩イオン強度レベルの影響
ペプチド溶液の性質に対する塩イオン強度の影響の視覚的な観察に基づいて、ペプチド溶液のイオン強度レベルを、NaClを用いて、各ペプチドが濁り始める臨界イオン強度をわずかに下回る0.7M(PuraMatrix(登録商標))、0.2M(KLD12)または0.02M(IEIK13)に調整した後の、ペプチド溶液のレオロジー的性質に対する影響を評価した。NaClを用いたペプチド溶液のイオン強度レベルが0.9M(PuraMatrix(登録商標))、0.3M(KLD12)または0.03M(IEIK13)よりも高いと、ペプチド溶液が相分離し始め、濁った、弱いものになる。PuraMatrix(登録商標)溶液、KLD12溶液およびIEIK13溶液のレオロジー的性質は、ペプチド溶液のイオン強度レベルを、NaClを用いて0.7M(PuraMatrix(登録商標))、0.2M(KLD12)または0.02M(IEIK13)に調整した後、より高かった。結果がそれぞれKLD12 1%については図10に、IEIK13 1%については図11に、およびPuraMatrix(登録商標)1%については図12に示されている。周波数掃引試験を1Paで1rad/sから10rad/sまで実施した。
(実施例9)
ペプチド溶液のレオロジー的性質に対する塩イオン強度レベルのさらなる影響
ペプチド溶液のレオロジー的性質に対する影響の結果に基づいて、ペプチド溶液のイオン強度レベルを、NaClを用いて0.7M(PuraMatrix(登録商標))、0.2M(KLD12)または0.02M(IEIK13)に調整した後の、種々の塩イオン強度でのペプチド溶液のレオロジー的性質に対する影響を評価した。PuraMatrix(登録商標)1%溶液のレオロジー的性質は、イオン強度の調整が0.7Mまでは増大するが、0.7Mを超えると低下する。IEIK13 1%溶液のレオロジー的性質は、イオン強度の調整が0.03Mまでは増大するが、0.03Mを超えると低下する。これらの結果は、種々の塩イオン強度のペプチド溶液の目視検査とよく一致する。結果がPuraMatrix(登録商標)1%溶液については図13に、およびIEIK13 1%溶液については図14に示されている。周波数掃引試験を1Paで1rad/秒から10rad/秒まで実施し、1rad/秒における貯蔵弾性率をデータ用に選択した。
(実施例10)
DMEM処理後のペプチド溶液のレオロジー的性質に対する影響
ペプチド溶液のイオン強度レベルを調整した後のペプチド溶液のレオロジー的性質に対する影響の結果に基づいて、10分間のDMEM処理後のペプチドハイドロゲルのレオロジー的性質に対する影響を評価した。DMEM処理後のPuraMatrix(登録商標)ハイドロゲルのレオロジー的性質はイオン強度の調整が0.7Mまでは増加したが、0.7Mを超えると低下する。DMEM処理後のIEIK13ハイドロゲルのレオロジー的性質は、イオン強度の調整が0.025Mまでは有意な変化はなかったが、0.03Mを超えると低下する。PuraMatrix(登録商標)溶液が濁り始める0.9MのNaClイオン強度を超えると、PuraMatrix(登録商標)のレオロジー的性質はDMEM処理によって変化せず、これにより、ゲル化が生じていないことが実証される。結果がPuraMatrix(登録商標)1%ハイドロゲルについては図15に、およびIEIK13 1%ハイドロゲルについては図16に示されており、どちらも10分にわたるDMEM処理後のものである。周波数掃引試験を1Paで1rad/秒から10rad/秒まで実施し、1rad/秒における貯蔵弾性率をデータ用に選択した。
(実施例11)
種々の塩の影響
ペプチド溶液およびハイドロゲルのイオン強度レベルを、NaClを用いて調整した後のペプチド溶液およびハイドロゲルのレオロジー的性質に対する影響結果に基づいて、種々の塩(KCl、MgCl、およびCaCl)の影響についても評価した。PuraMatrix(登録商標)溶液のレオロジー的性質は、全ての塩に関して、イオン強度を0.15Mに調整すると増大する。種々の塩を用いたPuraMatrix(登録商標)溶液のレオロジー的性質の増大は大きくは異ならなかった。しかし、PuraMatrix(登録商標)溶液のレオロジー的性質の増大は各塩の塩析定数、Kに応じて変動し得る。定数Kは、コーエンの方程式:logS=B−KI(式中、Sは溶解度であり、Bは理想的な溶解度であり、Kは塩析定数であり、Iはイオン強度である)における定数である。定数Kおよび塩のイオン強度の値が高くなるにつれ、ペプチドの溶解度は低下し、その結果、疎水性効果の増大およびより高いペプチド溶液のレオロジー的性質を伴って強力なペプチド自己組織化がもたらされる。NaClの定数Kは他の塩よりも高い可能性がある。したがって、NaClを用いたPuraMatrix(登録商標)溶液のレオロジー的性質は、KClを用いたものおよびCaClを用いたものよりもわずかに高かった。10分間のDMEM処理後のPuraMatrix(登録商標)ハイドロゲルのレオロジー的性質も種々の塩を用い、イオン強度を調整して評価し、結果は、種々の塩((NaCl、KCL、MgCl、およびCaCl)、0.15Mのイオン強度)を用いたPuraMatrix(登録商標)溶液のレオロジー的性質の増大と同等であった。結果がDMEM処理前のPuraMatrix(登録商標)1%溶液については図17に、および10分間のDMEM処理後のPuraMatrix(登録商標)1%ハイドロゲルについては図18に示されている。周波数掃引試験を1Paで1rad/秒から10rad/秒まで実施し、1rad/秒における貯蔵弾性率をデータ用に選択した。*は、データが、PuraMatrix(登録商標)対照データよりも有意に高いことを示す(P<0.05)。#は、データがPuraMatrix(登録商標)1% NaCL 0.15M(イオン強度)データよりも有意に低いことを示す(P<0.05)。
(実施例12)
ゲル化動態に対する種々の塩の影響
ペプチド溶液を塩イオン強度レベルが高い環境に置いた場合のペプチドゲル化の可能性を同定するために、ペプチド溶液の性質に対するペプチド溶液周囲の塩イオン強度レベルの影響を評価した。例えば、ハイドロゲルを、生理食塩水緩衝液(0.15MのNaCl)に相当する等張性体液中に置くことができる。前に実証された通り、これだけに限定されないが、PuraMatrix(登録商標)、KLD12およびIEIK13を含めた自己組織化ペプチドは、中性pHで処理されるとハイドロゲルを形成する。pHの影響を伴わず、ペプチド溶液のゲル化に対する生理食塩水処理の影響を評価した。ペプチド溶液を生理食塩水緩衝液で処理した場合、それらのpHは変化しなかった。生理食塩水緩衝液で処理した後、IEIK13でのみ急速なゲル化が示され、PuraMatrix(登録商標)およびKLD13ではゲル化が示されなかったか、無視できる程度であった。これは、IEIK13が塩イオン強度レベルに対してはるかに感受性が高いことに起因する。体液と等張性の塩レベルと同様の塩イオン強度レベルにおけるIEIK13の急速なゲル化により、一般に、種々の臨床的適用に関してその機能およびゲル化速度を改善することができる。IEIK13溶液、KLD12溶液およびPuraMatrix(登録商標)溶液についての結果が図19に示されている。時間掃引試験を、20mmのプレートおよび500μmのギャップ距離を用い、1rad/秒および1Paで実施した。IEIK13 1.5%溶液、KLD12 1.5%溶液、およびPuraMatrix(登録商標)2.5%溶液の時間掃引試験の間、0時点において測定プレート周囲のチャンバー内にDMEMを添加して、PuraMatrix(登録商標)溶液を浸漬した。
(実施例13)
レオロジー的性質に対する塩イオン強度およびpHの調整の影響
1つまたは複数の実施形態によると、IEIK13、KLD12、およびPuraMatrix(登録商標)を、NaClなどの塩緩衝液中、および塩イオン強度を臨界塩点未満に維持し、pHレベルを約2.5〜4.0に維持するためにNaOHなどのアルカリ塩緩衝液を用いて調整した上昇したpHレベルで溶解させることができ、したがって、それらは、より堅い性質を有し得る。PuraMatrix(登録商標)、KLD13およびIEIK13に関して、0.9%NaCl(イオン強度:0.15M)をNaOHで調整したpH3.4で用いて、ペプチド溶液はなお透明である。0.9%NaCl(イオン強度:0.15M)をpH3.4で用いたPuraMatrix(登録商標)のレオロジー的性質は、PuraMatrix対照およびNaCl0.9%のみで用いたPuraMatrixのものよりも堅かった。PuraMatrix(登録商標)2.5%溶液のレオロジー的性質に対する塩イオン強度およびpHの調整の影響が図20に示されている。周波数掃引試験を1Paで1rad/秒から10rad/秒まで実施し、1rad/秒における貯蔵弾性率をデータ用に選択した。
(実施例14)
陽イオンの影響
2.5%RADA16ならびに2.5%RADA16+NaCl、KCl、およびCaCl2のレオロジー的な比較において、0.005M、0.05M、0.125M、0.25M、0.5M、および1MのNaCl、KCl、およびCaCl2と混合した0.5%RADA16の溶液を調製した。陽イオン、ナトリウムイオン(Na+)、カリウムイオン(K+)、およびカルシウムイオン(Ca2+)の影響を観察するために、陰イオン、塩化物イオン(Cl−)を同じく維持した。図21に、塩類溶液の陽イオンの変動が自己組織化ペプチドの粘弾性および剛性にどのように影響を及ぼすかに関する基本的理解を提示する。Caにより、同じモル濃度のNaまたはKのいずれと比較しても最良の剛性の増強がもたらされた。これは、Caのイオン強度が同じモル濃度のNaおよびKの4倍であることに起因するはずである。したがって、図17〜18および表2a〜cに示されている通り、ペプチド溶液に対する塩の影響は、それらのモル濃度ではなくそれらのイオン強度により関連する。一部の実施形態では、ペプチド溶液の性質と塩の間に、塩の濃度に基づいて相関がある。
(実施例15)
機械的強度
2.5%RADA16および2.5%RADA16+0.25M CaCl2の剛性のレオロジー的測定値を評価した。図22は、RADA16の高濃縮溶液の剛性と、0.125MのCaCl2を添加した別のRADA16の高濃縮溶液を比較し、ペプチドおよびペプチド混合物の粘弾性に関する基本的理解を提示するものである。陽イオン溶液を添加したところ2つの溶液間の剛性に注目すべき増大があった。Caにより、最適な濃度範囲を使用し、高濃度であってさえ、RADA16の機械的増強がもたらされることが示された。
(実施例16)
可逆性
+0.125M、0.25M、および0.5MのCaCl2を伴う0.5%RADA16溶液の可逆性のレオロジー的測定値を評価した。0.125M、0.25M、および0.5MのCaCl2と混合した0.5%RADA16の溶液を調製した。ボルテックスおよび超音波処理によって機械的応力を適用することにより、自己組織化したペプチド溶液の構造を徹底的に破壊した。混合物を室温で48時間置いて自己組織化を生じさせた。図23A〜23Bは、ペプチド混合物の基本的な粘弾性を提示し、また、2.5%RADA16+0.5MのCaCl2対照と撹乱させた試料の間の有意差によって具体的に示される通り、塩を伴うペプチド溶液の可逆性を、構造を撹乱させた後でさえ制御し維持することができることを示すものである。最適な塩濃度範囲内の混合物は可逆的なままであった。*は、有意に異なる対照試料および撹乱させた試料を示す。図23aは、塩を伴うペプチド溶液および撹乱させたペプチド溶液の未加工のレオロジー的データを示し、図23bは、対照ペプチド溶液と撹乱させたペプチド溶液の剛性の比較を提示するものである。
(実施例17)
ゲル化動態
0.5%RADA16+NaCl、KCl、およびCaCl2のゲル化動態のレオロジー的測定値を評価した。0.5%RADA16の溶液を調製し、いくつかの陽イオン(例えばNa、Cl、K)および陰イオン(例えばCl、CO3、PO4、SO4)を用いて処理することによってゲル化動態を観察した。ペプチド混合物のゲル化にかかる時間および陽イオン/陰イオン型および濃度を変動させることによるゲル化時間の制御の仕方を決定した。塩化物イオン(chlorine)により最も迅速なゲル化が示され、硫酸イオンにより最も遅いゲル化が示された。in vivoおよびin vitroにおける定性的実験および結果得られた知見は、これらの結論を裏付けるものであった。
(実施例18)
種々の陽イオン
機械的性質に影響を及ぼした陽イオン/陰イオン溶液と混合したペプチドハイドロゲルと、さらに、機械的性質に影響を及ぼさなかった非常に低い濃度の造影剤と混合した別のペプチドハイドロゲルの両方を設計した。2つのゲルは、(1)自己組織化ペプチドと、医学分野で使用されている周知の陽イオン/陰イオン溶液であるリンゲル液(pH5.3)の組合せ、および(2)自己組織化ペプチドと、周知の造影剤である、硫酸イオン(陰イオン)およびナトリウムイオン(陽イオン)を含有する色素溶液であるインジゴカルミンの組合せであった。インジゴカルミンは、pHを調整するために、インジゴジスルホネートナトリウム(indigoindisulfonate sodium)(C16Na)、水、およびクエン酸ナトリウム(C)を含有する。インジゴカルミン粉末を使用して、実験に使用するための1%溶液を調製した。これは、水1ml当たり10mgに対応する。実験に使用したインジゴカルミン溶液の濃度は水中0.00585%であった。
インジゴカルミン粉末を使用して脱イオン(DI)水中1%溶液を調製した。IEIK13粉末を使用して、DI水を使用して2パーセント溶液を調製した。IEIKの量を秤量し、適量のDI水を容器の側面に穏やかに流して添加した。約30秒にわたってボルテックスし、次いで30秒にわたって超音波処理することによって混合を達成した。次いで、溶液を3000ppmで約10〜約15分にわたって遠心分離した。溶液が透明になり、泡がなくなるまで、溶液をさらにボルテックスおよび遠心分離することができる。
0.00585%インジゴカルミンの最終濃度を得るために、必要量の1%ICを適量のDI水に添加して、2%IEIKを1.5%IEIKまで希釈する。次いで、溶液を約30秒にわたってボルテックスし、3000rpmで約10〜約15分にわたって遠心分離する。溶液が透明になり、泡がなくなるまで、溶液をさらにボルテックスおよび遠心分離することができる。
溶液を、使用する前に室温で一晩置いた。調製の間のより効率的な泡の除去を可能にするために、キャップは容器から外しておくことができる。
これらの混合物のレオロジー的な比較およびゲルの可視化は、図24a〜24cにおいて観察することができる。可逆性が維持される、より急速なゲル化動態を有する、より堅いゲルを得た。剛性、可逆性、およびゲル化動態が維持されるが、組織学のために組織死が許容される別のゲルも得た。造影剤または陽イオン/陰イオン混合物および混合したペプチドハイドロゲルの濃度は、本明細書に記載の陽イオンおよび陰イオンの使用に関する理解に基づくものであった。これらのRADA16+リンゲル液およびIEIK13+インジゴカルミンの適応させたペプチドハイドロゲルに関するデータから、これらの制御された自己組織化ハイドロゲルを、等張性の注射可能なゲルおよび可視化用の機械的に増強されていないゲルの必要性に適うように適応させることができることが示される。図24Aに、IEIK(配列番号5)およびインジゴカルミンと混合したIEIK(配列番号5)の未加工のレオロジー的データを示す。図24Bに、IEIK(配列番号5)の剛性と、インジゴカルミンと混合したIEIK(配列番号5)の剛性の比較を示す。図24Cに、RADA16の剛性と、リンゲル液と混合したRADA16の剛性の比較を示す。
(実施例19)
肺大気胞の治療
注射可能な自己組織化ペプチドハイドロゲル系は、肺大気胞に対する空気シーラントとしての機能を果たすことが実証された。35cmHOまたはそれ超の破裂圧(すなわち、空気がシーラントの表面を破る圧力)が達成された。肺大気胞に対処するための、除去に焦点を当てる従来の方法とは対照的に、本明細書で使用される治療プロトコールは、切除および/またはステープリングを伴わなかった。治療されるブラは、体積が主に約0.2mL〜約1mLの範囲であった。空気漏れをなくす試みのために、ブラが完全に満たされるまで自己組織化ペプチド溶液を適用した。
材料および方法
実験の設定
新たに安楽死させたブタからブタ肺を得た。気管および主気管支を通じて目的の肺内に気管内チューブを挿入した。手動の気管内挿管ポンプを使用して肺に圧力を供給した。チューブ周辺の空気漏れを防ぐために気管を結紮した。他の肺の他の主気管支をクランプして、全ての気流を目的の肺に導いた。マノメーターを用いて、膨張を誘導するために肺に誘導した空気の圧力を測定した。
自己組織化ペプチドハイドロゲルの調製
自己組織化ペプチドハイドロゲルは、Ac−RADARADARADARADA−NH(配列番号1)(すなわち、RADA16)およびAc−IEIKIEIKIEIKI−NH(配列番号2)(すなわち、IEIK13)で構成され、RADA16は単独でまたは塩化カルシウムと混合して使用した。単独の場合、ペプチドを脱イオン水中に再構成した。しかし、塩類溶液を用いてペプチドを再構成する場合には、ペプチドをまず脱イオン水中に再構成し、その後、予め決定した濃度の塩化カルシウムの2×溶液を1:1の比で混合した。
自己組織化ペプチドハイドロゲルの適用
図25に示されている肺大気胞は、天然に存在する胸膜の弱いエリアである。ハイドロゲルを適用する前に、ブラを同定し、16Gの針を使用して崩壊させた。欠損が同定されたら、2つの異なる方法によって欠損エリアにハイドロゲルを適用した:(1)ハイドロゲルを、シリンジによって欠損エリアに注射することによって局所的に適用した、および(2)ハイドロゲルを、18ゲージの針によって欠損エリアを局所的に覆うようにオーバーフローで欠損に注射した。2分の緩和期間後、破裂圧が同定されるまで気管内挿管ポンプを通じて圧力を適用した。肺大気胞へのハイドロゲル適用の方法1を図26に示し、そこでは、自己組織化ペプチドハイドロゲルを用いた肺大気胞の同定および試験の実験手順の流れを示す。任意の追加的な試験のために、予め試験した欠損への気流を、外科的クランプを使用して切断した。
結果
注射方法では純粋に局所的な手法と比較して優れた結果が示された。図27に、空気漏れの予防におけるこれらのハイドロゲルの有効性を決定するために使用したいくつかの製剤を示す。グラフは、肺大気胞に対する空気シーラントとして作用する様々なハイドロゲル濃度およびCaClとの組合せの結果生じた破裂圧を示す。線は、適用されたシーラントを伴わない破裂圧を示す。0.25MのCaClを伴う2.5%RADA16、2.5%IEIK13、および1.5%IEIK13は、全て、肺大気胞を密閉する注射方法を使用して、35cmHOの破裂圧よりも勝った。0.250MのCaClと混合した2.5%RADA16により、肺大気胞欠損に対する最良の破裂圧が示された。
図28は、シールし、0.25MのCaClを伴うペプチドハイドロゲル2.5%RADA16を満たした、崩壊したブラの組織学的表示を提示し、ハイドロゲルが、崩壊したブラを首尾よく満たし、シーラントとしての機能を果たすことを例示するものである。CaClを伴う2.5%RADA16をブラ腔に適用した後、組織をセグメント化し、固定し、組織学的分析を行って、どのくらい良好にハイドロゲルがブラ腔内に拡散したかを決定した。CaClを伴う2.5%RADA16は完全に肺大気胞腔を満たした。
結論
注射可能な、自己組織化ペプチドハイドロゲル系、特に、0.250MのCaClを伴う2.5%RADA16、2.5%IEIK13、および1.5%IEIK13の、空気シーラントとしての使用が、肺大気胞に対して実行可能である。
(実施例20)
代替的な肺大気胞の治療
実施例19において考察した方法とは別個のペプチドハイドロゲル系を使用して肺大気胞を治療するための方法を試験した。本実施例では、一般に、肺大気胞を崩壊させる前に満たす。
肺大気胞腔に、主気管支を通して肺内に挿入した気管内チューブを使用して、連結している細気管支を通じて1.0%RADA16を満たした。次いで、ブラを崩壊させて捕捉された空気のポケットを除去した。本実施例では、ブラ腔内に拡散するハイドロゲルを可視化するために、0.00585%インジゴカルミンと混合した1.0%RADA16を使用した。図29は、手順の流れを示し、また、連結している細気管支を通じてハイドロゲルをブラ腔に注射し、ブラ腔を完全に満たすことが可能であることを示すものである:A)目的のブラの同定、B)0.00585%インジゴカルミンを伴う1.0%RADA16のブラ腔への注射、C)捕捉された空気を放出させるためのブラの崩壊、D)ペプチドハイドロゲルが満たされたブラを示す手順の完了。
結論
ブラ内へのハイドロゲルの細気管支を介した注射は、肺大気胞の治療の実行可能な代替方法であることが証明され得る。

Claims (18)

  1. 被験体における肺大気胞を治療する方法において使用するための、(RADA) (配列番号1)、(IEIK) I(配列番号2)、および(KLDL) (配列番号3)からなる群より選択される自己組織化ペプチドを含む溶液であって、前記溶液が、肺大気胞を治療するために標的エリアの生理的条件下でハイドロゲルバリアを形成するための有効量および有効濃度で前記標的エリアに投与されることを特徴とし、前記ペプチドが、肺大気胞の部位またはその付近で生理的条件の存在下で水溶液中にベータ−シート構造を示し得
    前記方法が、前記被験体の前記肺大気胞の標的エリアに送達デバイスを導入するステップ、前記送達デバイスの末端を前記肺大気胞の治療が望まれる前記標的エリア内に配置するステップ、前記送達デバイスを通じて前記溶液を投与するステップ、および前記送達デバイスを前記標的エリアから除去するステップを含む、溶液。
  2. a)前記溶液が、オーバーフロー溶液と共に前記標的エリアに注射を通して投与されること、および/または
    b)前記溶液が、前記肺大気胞が崩壊する前もしくは前記肺大気胞が崩壊した後に投与されること、および/または
    c)前記溶液が、連結している細気管支を通じて投与されて、前記肺大気胞の腔を満たし、場合によって、前記方法が、前記被験体の肺の主気管支を通じて気管内チューブを挿入するステップをさらに含むこと、および/または
    d)前記溶液が、単回用量で投与されること
    を特徴とし、
    場合によって、前記溶液が、前記標的エリアの体積が満たされるまで投与されること
    をさらに特徴とする、請求項1に記載の溶液。
  3. a)前記ハイドロゲルバリアが、少なくとも35cmHOの破裂圧耐性をもたらし、そして/あるいは
    b)前記ハイドロゲルバリアが、前記気管支の内腔に浸透し、そして/あるいは
    c)前記ハイドロゲルバリアが約5分未満で形成される、
    請求項1に記載の溶液。
  4. a)前記溶液が、外科手術後に投与されること、および/または
    b)前記被験体が、気腫および慢性閉塞性肺疾患(COPD)のうちの少なくとも1つと診断された後に、前記溶液が、投与されること
    を特徴とする、請求項1に記載の溶液。
  5. 前記肺大気胞の治療を可能にするために有効な濃度が、約0.1重量/体積(w/v)パーセント〜約3w/vパーセントの範囲の自己組織化ペプチド濃度を含む、請求項に記載の溶液。
  6. a)前記溶液が、(RADA)(配列番号1)を約0.5重量/体積(w/v)パーセントの濃度で含み、そして/あるいは
    b)前記溶液が、約0.125Mの塩化カルシウム濃度を含み、そして/あるいは
    c)前記溶液が、約25Paの貯蔵弾性率を有する、
    請求項に記載の溶液。
  7. a)前記溶液が、細胞および/または薬物を実質的に含まず、そして/あるいは
    b)前記溶液が、造影剤をさらに含み、場合によって、前記造影剤が、硫酸イオンおよびナトリウムイオンを含み、そして/あるいは
    c)前記溶液が、少なくとも1種の生物学的に活性な薬剤をさらに含む、
    請求項1に記載の溶液。
  8. 前記溶液が、約2.5〜約4.0のpHを有し、場合によって、前記溶液が約3.5のpHを有するか、あるいは前記溶液が約3.7のpHを有し、前記自己組織化ペプチドが(IEIK)I(配列番号2)である、請求項1に記載の溶液。
  9. a)前記溶液が、を含み、そして/あるいは
    b)前記溶液が、水性ペプチド溶液である、
    請求項1に記載の溶液。
  10. 前記塩は、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、および塩化カリウムのうちの少なくとも1つを含む、請求項9に記載の溶液。
  11. a)および/またはb)において、前記塩は、アンモニウムイオン、鉄イオン、マグネシウムイオン、カリウムイオン、ピリジニウムイオン、第四級アンモニウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、およびカルシウムイオンからなる群より選択される少なくとも1つの陽イオン、そして/あるいは、塩化物イオン、硫酸イオン、酢酸イオン、炭酸イオン、塩化物イオン、クエン酸イオン、シアン化物イオン、フッ化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、およびリン酸イオンからなる群より選択される少なくとも1つの陰イオンを含む、請求項9に記載の溶液。
  12. 液を含む、請求項1または9に記載の溶液。
  13. 前記緩衝液が少なくとも2種の塩を含む、請求項12に記載の溶液。
  14. 被験体における肺大気胞を治療するためのキットであって、
    (RADA) (配列番号1)、(IEIK) I(配列番号2)、および(KLDL) (配列番号3)からなる群より選択される自己組織化ペプチドであって、前記ペプチドが、肺大気胞の部位またはその付近において適用可能な条件の存在下で水溶液中にベータ−シート構造を示し得、前記自己組織化ペプチドが前記肺大気胞を治療するために生理的条件下でハイドロゲルバリアを形成するための有効量で提供される、自己組織化ペプチドと、
    前記自己組織化ペプチドを前記被験体の前記肺大気胞の標的エリアに投与するための指示と
    を含む、キット。
  15. a)前記自己組織化ペプチドが、自己組織化ペプチドを含む溶液および自己組織化ペプチドを含む溶液として調製される粉末のうちの一方として提供され、場合によって、前記自己組織化ペプチドが、自己組織化ペプチドを含む溶液として提供されるか、あるいは前記自己組織化ペプチドが、自己組織化ペプチドを含む溶液として調製される粉末として提供され、そして/あるいは
    )前記肺大気胞を治療するのに有効な濃度が、約0.1重量/体積(w/v)パーセント〜約3w/vパーセントの範囲の自己組織化ペプチドの濃度を含み、そして/あるいは
    c)前記キットが、少なくとも1種の生物学的に活性な薬剤をさらに含み、そして/あるいは
    d)前記溶液が、細胞も薬物も実質的に含まず、そして/あるいは
    e)前記キットが、スクロース溶液をさらに含む、
    請求項1に記載のキット。
  16. a)前記キットが、前記肺大気胞を治療するために生理的条件下でハイドロゲルバリアを形成するための有効濃度を有する自己組織化ペプチドを含む溶液を調製するための指示をさらに含み、そして/あるいは
    b)前記キットが、前記自己組織化ペプチドを前記肺の標的エリアに導入するための送達デバイスをさらに含み、そして/あるいは
    c)前記キットが、塩類溶液をさらに含み、場合によって、
    i)前記キットが、前記塩類溶液と前記自己組織化ペプチドを含む前記溶液および前記ペプチド粉末のうちの1つとを組み合わせるための指示をさらに含み、そして/あるいは
    ii)前記塩類溶液が、アンモニウムイオン、鉄イオン、マグネシウムイオン、カリウムイオン、ピリジニウムイオン、第四級アンモニウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、およびカルシウムイオンからなる群より選択される少なくとも1つの陽イオン、そして/あるいは、塩化物イオン、硫酸イオン、酢酸イオン、炭酸イオン、塩化物イオン、クエン酸イオン、シアン化物イオン、フッ化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、およびリン酸イオンからなる群より選択される少なくとも1つの陰イオンを含み、そして/あるいは
    iii)前記塩類溶液が、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、および塩化カリウムのうちの少なくとも1つを含み、そして/あるいは
    d)前記自己組織化ペプチドを含む前記溶液が、約0.005Mから約0.500Mの間の塩濃度を含み、場合によって、前記自己組織化ペプチドを含む前記溶液が、約25Paから約600Paの間の貯蔵弾性率を有し、そして/あるいは
    e)前記キットが、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、および炭酸水素ナトリウムを含む溶液をさらに含み、そして/あるいは
    f)前記キットが、造影剤を含む溶液をさらに含み、場合によって、前記造影剤が、硫酸イオンおよびナトリウムイオンを含み、そして/あるいは
    g)前記自己組織化ペプチドを含む前記溶液が、約2.5〜約4.0のpHを有する、請求項1に記載のキット。
  17. 前記キットまたは自己組織化ペプチドを含む前記溶液の一方が緩衝液を含み、場合によって、
    a)前記緩衝液が少なくとも2種の塩を含み、場合によって、前記緩衝液がpH7.2であるか、あるいは前記緩衝液がpH7.4であり、そして/あるいは
    b)前記緩衝液が、アルカリ緩衝液であり、そして/あるいは
    c)前記溶液が、約0.15Mの塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、および塩化カルシウムのうちの少なくとも1つで緩衝化されており、そして/あるいは
    d)前記緩衝液が、約0.6Mから約1.2Mの間の塩を含み、前記自己組織化ペプチドが(RADA)(配列番号1)であり、そして/あるいは
    e)前記緩衝液が、約0.02Mから約0.04Mの間の塩を含み、前記自己組織化ペプチドが(IEIK)I(配列番号2)であり、そして/あるいは
    f)前記緩衝液が、約0.1Mから約0.4Mの間の塩を含み、前記自己組織化ペプチドが(KLDL)(配列番号3)である、
    請求項1に記載のキット。
  18. 被験体における肺大気胞を治療する方法において、肺の標的エリアに自己組織化ペプチドを導入するように構成された送達デバイスであって、前記自己組織化ペプチドが、塩類溶液および/または水溶液中にあり、前記方法が、
    前記被験体の前記肺大気胞の標的エリアに前記送達デバイスを導入するステップ、
    前記送達デバイスの末端を前記肺大気胞の治療が望まれる前記標的エリア内に配置するステップ、
    肺大気胞を治療するために、標的エリアの生理的条件下でハイドロゲルバリアを形成するための有効量および有効濃度の(RADA) (配列番号1)、(IEIK) I(配列番号2)、および(KLDL) (配列番号3)からなる群より選択される自己組織化ペプチドを含む溶液を、前記送達デバイスを通じて前記標的エリアに投与するステップ、および
    前記送達デバイスを前記標的エリアから除去するステップ
    を含む、送達デバイス。
JP2016575316A 2014-03-10 2015-03-10 肺大気胞を治療するための自発組織化ペプチド Expired - Fee Related JP6545727B2 (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US201461950529P 2014-03-10 2014-03-10
US61/950,529 2014-03-10
US201461953049P 2014-03-14 2014-03-14
US61/953,049 2014-03-14
PCT/US2015/019743 WO2015138478A1 (en) 2014-03-10 2015-03-10 Autoassembling peptides for the treatment of pulmonary bulla

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2017513928A JP2017513928A (ja) 2017-06-01
JP2017513928A5 JP2017513928A5 (ja) 2018-07-26
JP6545727B2 true JP6545727B2 (ja) 2019-07-17

Family

ID=52737415

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016575316A Expired - Fee Related JP6545727B2 (ja) 2014-03-10 2015-03-10 肺大気胞を治療するための自発組織化ペプチド

Country Status (5)

Country Link
US (1) US10245299B2 (ja)
EP (1) EP3116524B1 (ja)
JP (1) JP6545727B2 (ja)
ES (1) ES2712608T3 (ja)
WO (1) WO2015138478A1 (ja)

Families Citing this family (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2345433B1 (en) 2008-10-06 2017-03-01 3-D Matrix, Ltd. Tissue plug
EP3466964A1 (en) 2012-07-06 2019-04-10 3-D Matrix Ltd. Fill-finish process for peptide solutions
WO2015136370A2 (en) 2014-03-10 2015-09-17 3-D Matrix, Ltd. Sterilization and filtration of peptide compositions
EP3116524B1 (en) 2014-03-10 2018-11-28 3-D Matrix Ltd. Autoassembling peptides for the treatment of pulmonary bulla
US20170173221A1 (en) * 2014-03-10 2017-06-22 3-D Matrix, Ltd. Self-assembling peptides as bronchial obstruction agents
ES2711728T3 (es) 2014-03-10 2019-05-07 3 D Matrix Ltd Composiciones de péptidos de autoensamblaje
WO2017120092A1 (en) * 2016-01-06 2017-07-13 3-D Matrix, Ltd. Combination compositions
CN106539561B (zh) * 2016-12-09 2023-08-11 中国科学院西安光学精密机械研究所 一种肺大泡破裂部位定位装置
EP3723726A1 (en) 2017-12-15 2020-10-21 3-D Matrix, Ltd. Surfactant peptide nanostructures and uses in drug delivery
EP3818071A2 (en) 2018-07-03 2021-05-12 3-D Matrix, Ltd. Ionic self-assembling peptides
KR20220161384A (ko) 2020-03-31 2022-12-06 가부시끼가이샤 쓰리디 매트릭스 조사에 의한 자기 조립 펩티드의 멸균
WO2022035782A2 (en) * 2020-08-10 2022-02-17 Gel4Med, Inc. Antimicrobial matrix formed from peptide hydrogels
WO2022035783A2 (en) * 2020-08-10 2022-02-17 Gel4Med, Inc. Topical and parenteral use and administration of self-assembling amphiphilic peptide hydrogels

Family Cites Families (69)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4582640A (en) 1982-03-08 1986-04-15 Collagen Corporation Injectable cross-linked collagen implant material
US4466641A (en) 1982-08-04 1984-08-21 The Lockformer Company Duct connecting system
US4642117A (en) 1985-03-22 1987-02-10 Collagen Corporation Mechanically sheared collagen implant material and method
US4947840A (en) 1987-08-21 1990-08-14 Massachusetts Institute Of Technology Biodegradable templates for the regeneration of tissues
US5236903A (en) 1988-06-24 1993-08-17 Ichiro Azuma Polypeptide comprising repeated cell-adhesive core sequences
US5110604A (en) 1988-06-30 1992-05-05 Collagen Corporation Processes for producing collagen matrixes and methods of using same
US5126141A (en) 1988-11-16 1992-06-30 Mediventures Incorporated Composition and method for post-surgical adhesion reduction with thermo-irreversible gels of polyoxyalkylene polymers and ionic polysaccharides
US5550187A (en) 1988-11-21 1996-08-27 Collagen Corporation Method of preparing crosslinked biomaterial compositions for use in tissue augmentation
US5629291A (en) 1992-01-31 1997-05-13 La Jolla Cancer Research Foundation Methods of modulating fibronectin extracellular matrix assembly
US5292514A (en) 1992-06-24 1994-03-08 Minnesota Mining And Manufacturing Company Azlactone-functional substrates, corneal prostheses, and manufacture and use thereof
US5670483A (en) 1992-12-28 1997-09-23 Massachusetts Insititute Of Technology Stable macroscopic membranes formed by self-assembly of amphiphilic peptides and uses therefor
US5955343A (en) 1992-12-28 1999-09-21 Massachusetts Institute Of Technology Stable macroscopic membranes formed by self-assembly of amphiphilic peptides and uses therefor
GB2274988A (en) 1993-02-10 1994-08-17 Mcconn Stern Rita Iodine containing wound-healing preparations
US5709854A (en) 1993-04-30 1998-01-20 Massachusetts Institute Of Technology Tissue formation by injecting a cell-polymeric solution that gels in vivo
US5773577A (en) 1994-03-03 1998-06-30 Protein Polymer Technologies Products comprising substrates capable of enzymatic cross-linking
US5527610A (en) 1994-05-20 1996-06-18 The Uab Research Foundation Elastomeric polypeptide matrices for preventing adhesion of biological materials
US5510102A (en) 1995-01-23 1996-04-23 The Regents Of The University Of California Plasma and polymer containing surgical hemostatic adhesives
WO1996040033A1 (en) 1995-06-07 1996-12-19 Clarion Pharmaceuticals Inc. Non-biological patch for hemostasis
SK284693B6 (sk) 1996-04-04 2005-09-08 Baxter Aktiengesellschaft Hemostatická huba, pokrytie rany, kit na prípravu pokrytia rany a spôsob prípravy huby
US6489446B1 (en) 1996-08-07 2002-12-03 Hsc Research And Development Limited Partnership Self-aligning peptides modeled on human elastin and other fibrous proteins
WO1998030141A2 (en) 1997-01-09 1998-07-16 Cohesion Technologies, Inc. Devices for tissue repair and methods for preparation and use thereof
US6224893B1 (en) 1997-04-11 2001-05-01 Massachusetts Institute Of Technology Semi-interpenetrating or interpenetrating polymer networks for drug delivery and tissue engineering
US6187555B1 (en) 1998-04-16 2001-02-13 3M Innovative Properties Company Spores with increased sensitivity to sterilants using additives that bind to sterilant-sensitive sites
ES2247817T3 (es) 1998-07-06 2006-03-01 Nanobac Oy Metodo para la erradicacion de nanobacterias.
US6046160A (en) 1999-07-22 2000-04-04 Deroyal Industries, Inc. Composition and method for enhancing wound healing
EP1282437B1 (en) 2000-05-16 2008-03-19 Genentech, Inc. Treatment of cartilage disorders
NZ527166A (en) 2001-01-25 2005-03-24 Nycomed Pharma As A method of preparing a collagen sponge, a device for extracting a part of a collagen foam, and an elongated collagen sponge
US7449180B2 (en) 2001-02-06 2008-11-11 John Kisiday Macroscopic scaffold containing amphiphilic peptides encapsulating cells
ATE419333T1 (de) 2001-02-06 2009-01-15 Massachusetts Inst Technology Peptidgerüstverkapselung von gewebszellen und verwendungen davon
WO2003084980A2 (en) 2002-04-02 2003-10-16 Northwestern University Peptide amphiphile solutions and self assembled peptide nanofiber networks
US20040242469A1 (en) 2002-05-13 2004-12-02 Lee Richard T. Angiogenesis and cardiac tissue engineering with peptide hydrogels and related compositions and methods of use thereof
GB0216286D0 (en) 2002-07-15 2002-08-21 Univ Leeds Network
JP2005534697A (ja) 2002-08-06 2005-11-17 エピックス ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド ペプチド凝集体
WO2005014615A2 (en) 2003-06-25 2005-02-17 Massachusetts Institute Of Technology Self-assembling peptides incorporating modifications and methods of use thereof
US7713923B2 (en) 2003-06-25 2010-05-11 Massachusetts Institute Of Technology Self-assembling peptides incorporating modifications and methods of use thereof
US7846891B2 (en) 2003-10-17 2010-12-07 Massachusetts Institute Of Technology Self-assembling peptides for regeneration and repair of neural tissue
GB0404374D0 (en) 2004-02-27 2004-03-31 Univ Manchester Treatment of bacterial infections
US20060084607A1 (en) * 2004-07-06 2006-04-20 Lisa Spirio Purified amphiphilic peptide compositions and uses thereof
WO2006073889A2 (en) 2005-01-04 2006-07-13 The Brigham And Women's Hospital, Inc. Sustained delivery of pdgf using self-assembling peptide nanofibers
US9162005B2 (en) 2005-04-25 2015-10-20 Arch Biosurgery, Inc. Compositions for prevention of adhesions and other barrier applications
JP5204646B2 (ja) 2005-04-25 2013-06-05 マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー 止血および他の生理学的活性を促進するための組成物および方法
US20060293243A1 (en) 2005-06-17 2006-12-28 Navneet Puri Stable, buffered, pharmaceutical compositions including motilin-like peptides
MX2007015892A (es) 2005-06-17 2008-03-04 Baxter Int Composiciones farmaceuticas amortiguadas por estabilidad que incluyen peptidos tipo motilin.
JP4982841B2 (ja) 2005-10-12 2012-07-25 国立大学法人名古屋大学 再生医療骨組成物
US9084837B2 (en) 2006-04-25 2015-07-21 Massachusetts Institute Of Technology Compositions and methods for affecting movement of contaminants, bodily fluids or other entities, and/or affecting other physiological conditions
EP2066697A2 (en) 2006-09-26 2009-06-10 Massachusetts Institute of Technology Modified self-assembling peptides
US9012404B2 (en) 2006-12-11 2015-04-21 3D Matrix, Inc. Compositions and methods for cardiac tissue protection and regeneration
US9415084B2 (en) 2007-03-14 2016-08-16 Arch Biosurgery, Inc. Treatment of leaky or damaged tight junctions and enhancing extracellular matrix
ES2534770T3 (es) 2007-12-05 2015-04-28 3-D Matrix, Ltd. Material para la curación de heridas y la reconstrucción de la piel
EP2345433B1 (en) 2008-10-06 2017-03-01 3-D Matrix, Ltd. Tissue plug
CN101514225B (zh) 2008-10-13 2011-09-14 西安蓝晶生物科技有限公司 自聚体多肽及其制备方法和应用
US9439941B2 (en) 2009-12-14 2016-09-13 The University Of Hong Kong Nano cancer barrier device (NCBD) to immobilize and inhibit the division of metastic cancer stem cells
JP6034868B2 (ja) 2011-09-02 2016-11-30 株式会社スリー・ディー・マトリックス 胸部の空気漏れ閉塞のための両親媒性ペプチド
US20150105336A1 (en) 2012-03-09 2015-04-16 3-D Matrix, Ltd. Mucosa-elevating agent
EP3466964A1 (en) 2012-07-06 2019-04-10 3-D Matrix Ltd. Fill-finish process for peptide solutions
EP2919826A1 (en) 2012-11-14 2015-09-23 3-D Matrix Ltd. Vascular embolic system
CN103251690B (zh) 2013-02-26 2015-10-28 中国人民解放军新疆军区联勤部药品仪器检验所 维药瘤果黑种草子挥发油在制备治疗慢性阻塞性肺病药物的应用
JP2016514108A (ja) 2013-03-06 2016-05-19 株式会社スリー・ディー・マトリックス 精製された両親媒性ペプチド組成物を用いた、外科的方法
CA2905182A1 (en) 2013-03-14 2014-09-18 3-D Matrix, Ltd. Materials for gastrointestinal obstruction prevention
US20160030628A1 (en) 2013-03-14 2016-02-04 3-D Matrix, Ltd. Treatment for bile leakage
ES2756531T3 (es) 2013-08-22 2020-04-27 Arch Biosurgery Inc Mallas implantables para controlar el movimiento de fluidos
AU2014312881B2 (en) 2013-09-02 2019-05-09 3-D Matrix, Ltd. Syringe and syringe set
US20170173221A1 (en) 2014-03-10 2017-06-22 3-D Matrix, Ltd. Self-assembling peptides as bronchial obstruction agents
ES2711728T3 (es) 2014-03-10 2019-05-07 3 D Matrix Ltd Composiciones de péptidos de autoensamblaje
WO2015138473A1 (en) 2014-03-10 2015-09-17 3-D Matrix, Ltd. Autoassembling peptides for the treatment of pulmonary leakage
WO2015136370A2 (en) 2014-03-10 2015-09-17 3-D Matrix, Ltd. Sterilization and filtration of peptide compositions
EP3116524B1 (en) 2014-03-10 2018-11-28 3-D Matrix Ltd. Autoassembling peptides for the treatment of pulmonary bulla
CA2952777A1 (en) 2014-06-20 2015-12-23 3-D Matrix, Ltd. Materials and methods for filling bone voids
WO2017120092A1 (en) 2016-01-06 2017-07-13 3-D Matrix, Ltd. Combination compositions

Also Published As

Publication number Publication date
EP3116524B1 (en) 2018-11-28
US20170072008A1 (en) 2017-03-16
US10245299B2 (en) 2019-04-02
JP2017513928A (ja) 2017-06-01
EP3116524A1 (en) 2017-01-18
ES2712608T3 (es) 2019-05-14
WO2015138478A1 (en) 2015-09-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6545727B2 (ja) 肺大気胞を治療するための自発組織化ペプチド
US20220160939A1 (en) Self-assembling peptides as bronchial obstruction agents
EP3116522B1 (en) Autoassembling peptides for the treatment of pulmonary leakage
US9724448B2 (en) Materials for gastrointestinal obstruction prevention
US20160030628A1 (en) Treatment for bile leakage
JP2019508175A (ja) 膵液瘻の閉鎖
JP7049557B2 (ja) 生物組織の癒着の予防
EP3389734B1 (en) Self-assembling peptides comprising non-ionic polar amino acids for anti-adhesion
JP2019508181A (ja) 脳脊髄液の漏出の閉鎖

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20170809

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180309

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180309

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180611

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190206

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190408

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190521

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190619

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6545727

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees