JP2009296902A - 品質改良剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 不凍タンパク質を含有する品質改良剤、該品質改良剤を用いてなる米飯類及びその製造方法を提供する。
【選択図】なし
Description
すなわち、本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものであり、以下の発明を包含する。
[1]不凍タンパク質を含有することを特徴とする米飯用品質改良剤。
[2]不凍タンパク質が植物、魚、昆虫または微生物由来であることを特徴とする[1]記載の品質改良剤。
[3]植物が、アブラナ科、セリ科、ユリ科、キク科に属する植物である[1]および[2]記載の品質改良剤。
[4][1]〜[3]のいずれかに記載の品質改良剤を含む米飯類。
[5][1]〜[3]のいずれかに記載の品質改良剤を米飯類に添加することを特徴とする品質改良剤を含む米飯類の製造方法。
(実施例1)不凍タンパク質の製造
2.5リットルの蒸留水に市販Brassica juncea(商品名;マスタード芽、村上農園製)700gを入れ、105℃で1時間熱水処理した。ろ紙(アドバンテック社製)を使用し濾別後、約2リットルの抽出液を限外ろ過濃縮装置(アドバンテック社製、UHP−150)で加圧濃縮し、濃縮液200mlを得た。これを10,000×g、10分間遠心分離して上清を回収した。この上清のタンパク質濃度をBCA法(BCAキット、ピアース社製)によって測定したところ、5mg/mlであった。従って、この不凍タンパク質溶液の濃度は0.5%であった。
(実施例2)
1年半経過した無洗米「あきたこまち」540gに対して、実施例1で得た不凍タンパク質40mg(対米で0.007%)を含む水道水750mlを加え、1時間放置後、IHジャー炊飯器を用いて炊飯を行った。得られた米飯(ご飯)の風味および食感について官能評価を行った。
実施例2において、不凍タンパク質を除いた以外は実施例2と同様にして、炊飯を行った。得られた米飯の風味および食感について官能評価を行った。
比較例1において、1年半を経過した無洗米「あきたこまち」に替えて、新米「あきたこまち」にした以外は比較例1と同様にして、炊飯を行った。得られた米飯の風味および食感について官能評価を行った。
<官能評価>
実施例2、比較例1および比較例2で得られた米飯について、風味および食感についてパネル8名により、5段階の官能評価を行った。その結果を表1に示す。てり(炊きたての透明感、艶)は比較例2を3点とし、1(無い)〜3(比較品2と同等)〜5(有る)とした平均値で示した。粘り気(もっちり感)は比較例2を3点とし、1(無い)〜3(比較品2と同等)〜5(有る)とした平均値で示した。甘味(ご飯特有の甘味)は比較例2を3点とし、1(無い)〜3(比較品2と同等)〜5(有る)とした平均値で示した。香りは比較例2を3点とし、1(悪い)〜3(比較品2と同等)〜5(良い)とした平均値で示した。
表1より明らかなように不凍タンパク質を添加した実施例2の米飯は、古米を炊飯したにも関わらず、新米と同等であると評価された。 不凍タンパク質の添加効果は明らかである。
(1)トリプシン分解脱脂粉乳液の調製
脱脂粉乳5重量%を水95重量%に溶解し約50℃まで加温し、トリプシン(ノボインダストリージャパン製)0.005重量%を添加混合し1時間保持した後、70℃で10分間加熱して酵素を失活させた。その後、冷却してトリプシン分解脱脂粉乳液を得た。
(2)不凍タンパク質含有乳化組成物の調製
ナタネ油37重量%と飽和ジグリセリド3重量%を80℃に加温し、これにヘキサグリセリンペンタオレエート0.25重量%を添加し均一に混合し油相部とした。一方、60℃に加温した実施例1で得た不凍タンパク質溶液51.45重量%にトリプシン分解脱脂粉乳液8重量%及びショ糖脂肪酸パルミテート(HLB15)0.3重量%を加え溶解し水相部とした。この水相部に、上記の如く得た油相部を混合し予備乳化した後、70kg/cm2 の圧力で均質化処理を行った。その後、140℃で2秒間殺菌処理を行い、不凍タンパク質含有乳化組成物を得た。
(3)不凍タンパク質を含まない乳化組成物の調製
(2)において、実施例1で得た不凍タンパク質溶液に替えて水道水を用いた以外は(2)と同様にして、不凍タンパク質を含まない乳化組成物を得た。
1年半経過した無洗米「あきたこまち」540gに対して、実施例3(2)で得た不凍タンパク質含有乳化組成物10.8g、水道水740mlを加え、1時間放置後、IHジャー炊飯器を用いて炊飯を行った。得られた米飯の風味および食感について、実施例2と同様に官能評価を行った。評価結果を表2に示した。
実施例4において、実施例3(2)で得た不凍タンパク質含有乳化組成物に替えて、実施例3(3)で得た不凍タンパク質を含まない乳化組成物を用いた以外は実施例4と同様にして炊飯を行い、得られた米飯の風味および食感について、実施例2と同様に官能評価を行った。評価結果を表2に示した。
実施例2で得られた米飯をIHジャー炊飯器に12時間保存後、おにぎりを作製した。 なお、おにぎりは10%食塩水を手水用に用い、三角形に作製した。得られたおにぎりの官能評価を行った。
実施例5において、実施例2で得られた米飯に替えて、比較例1で得られた米飯を使用した以外は、実施例5と同様にしておにぎりを得た。得られたおにぎりの官能評価を行った。
<官能評価>
官能評価は20名のパネルで、実施例5および比較例4のそれぞれで得られたおにぎりについて、2点嗜好試験法を用いた。2点嗜好試験法は、A(実施例5)、B(比較例4)の2種類の試料のうち好ましい試料はどちらかを評価させる2点嗜好試験とした。結果を下記表3に示す。
室温で2年間保存したもち米「みやこがねもち」(宮城県産)1.0kgを水がきれいになるまで洗った。洗ったもち米を実施例1で得た不凍タンパク質0.01%を含む水道水3Lに5時間浸した。引き続き、実施例1で得た不凍タンパク質0.01%を含む水道水3Lに取り替えて、さらに5時間浸し、金属製のざるを使い水切りを20分間行った。次に、マイコン自動もちつき機(松下電器産業株式会社製、SD−MA18型)を用いて、もちをついた。得られたもちの官能評価を行った。
実施例6において、実施例1で得た不凍タンパク質0.01%を含む水道水3Lに替えて、不凍タンパク質を含まない水道水3Lを使用した以外は実施例6と同様にして、もちをついた。得られたもちの官能評価を行った。
<官能評価>
官能評価は20名のパネルで、実施例6および比較例5のそれぞれで得られたもちについて、3点識別試験法及び3点嗜好試験法を用いた。3点識別試験法は、A(実施例6)、B(比較例5)の2種類の試料で差が識別されるかどうかを確認するために実施した。試料をAAB、BBAのように3個を1組にして提示した。パネルには、3個のうち2個が同じもので、1個が違うものであるという指示を与え、異なる1個を指摘させた。さらに、その2個のうち好ましい試料はどちらかを評価させ、3点嗜好試験とした。結果を下記表4に示す。
中国産米540gを水がきれいになるまで洗った。洗った中国産米を実施例2と同様に炊飯を行った。得られた米飯について官能評価を行った。
中国産米540gを水がきれいになるまで洗った。洗った中国産米を比較例1と同様に炊飯を行った。得られた米飯について官能評価を行った。
<官能評価>
官能評価は20名のパネルで、実施例7および比較例6のそれぞれで得られた米飯について、2点嗜好試験法を用いた。2点嗜好試験法は、A(比較例6)、B(実施例7)の2種類の試料のうち好ましい試料はどちらかを評価させる2点嗜好試験とした。結果を下記表5に示す。
(実施例8)
カリフォルニア産米540gを水がきれいになるまで洗った。洗ったカリフォルニア産米に対して、実施例1で得た不凍タンパク質50mgを含む水道水1020mlを加えた。さらに大麦(宮城県産)135gを加え、1時間放置後、IHジャー炊飯器を用いて炊飯を行った。30分蒸らした後、麦と米をサックリと混ぜた。IHジャー炊飯器に8時間保存後、得られた麦飯について官能評価を行った。
実施例8において、不凍タンパク質を除いた以外は実施例8と同様にして、炊飯を行った。実施例8と同様にして、得られた麦飯について官能評価を行った。
<官能評価>
官能評価は20名のパネルで、実施例8および比較例7のそれぞれで得られた麦飯について、2点嗜好試験法を用いた。2点嗜好試験法は、A(実施例8)、B(比較例7)の2種類の試料のうち好ましい試料はどちらかを評価させる2点嗜好試験とした。結果を下記表6に示す。
Claims (5)
- 不凍タンパク質を含有することを特徴とする米飯用品質改良剤。
- 不凍タンパク質が植物、魚、昆虫または微生物由来であることを特徴とする請求項1記載の品質改良剤。
- 植物が、アブラナ科、セリ科、ユリ科、キク科に属する植物である請求項1および2記載の品質改良剤。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の品質改良剤を含む米飯類。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の品質改良剤を米飯類に添加することを特徴とする品質改良剤を含む米飯類の製造方法。
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