JP2009292417A - 乗員保護装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】消費電力を抑制してシートバック動作とシートベルトの巻取り動作を適切に動作させることを目的とする。
【解決手段】衝突が予測された場合にシートバックの傾斜角度の調整とシートベルトの巻取りを同時に行う際に、シートバックの傾斜角度が目標角度よりも車両後方へ倒れた状態の場合には、シートバックを引き起すようにシートアクチュエータを駆動するすると共にプリテンショナアクチュエータを駆動してシートベルトを巻き取るので、シートバックの引き起し動作とシートベルトの巻取り動作の双方によって乗員が拘束される。そこで、シートバックの引き起し動作と同時にシートベルトの巻取りを行う場合には、シートバックの傾斜角度が小さくなる方向にシートバックの傾斜角度を変更する際のプリテンショナアクチュエータの駆動力をシートバックの傾斜角度を変更しないでシートベルトを巻き取る際のプリテンショナアクチュエータの駆動力より小さくする。
【選択図】図4

Description

本発明は、乗員保護装置にかかり、特に、衝突などの緊急状態を予測して乗員を保護する乗員保護装置に関する。
衝突などの緊急状態の際に乗員を保護する乗員保護装置としては、種々の技術が提案されている。例えば、緊急時にシートバックの角度が倒れた状態の場合に、シートバックを起こすように作動することによって乗員姿勢を適切にして乗員を保護する乗員保護装置や、緊急時にシートベルトを巻き取る乗員保護装置などが知られている。
このような乗員保護装置としては、例えば、特許文献1に記載の技術が提案されている。特許文献1に記載の技術では、衝突を予測し、シートバックが所定の範囲より倒れている状態の場合に、シートバックを引き起こし動作させた後に、プリテンショナを作動させてシートベルトを巻き取ることが提案されている。
特開平11−334437号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、シートバックを作動させた後に、シートベルトを巻き取るようにしているが、このような乗員保護動作を短時間に行うためには、シートバックの動作とシートベルトの巻取り動作を同時に行う方が好ましい。この場合には、乗員保護装置の作動に必要な作動電力が増加してしまい、乗員保護装置の制御に改善の余地がある。
本発明は、上記事実を考慮して成されたもので、消費電力を抑制してシートバック動作とシートベルトの巻取り動作を適切に動作させることを目的とする。
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、自車両に対する緊急状態を予測する予測手段と、シートクッションに対する傾斜角度が変更可能なシートバックを駆動するための駆動手段と、駆動力を発生して乗員を拘束するシートベルトを巻取るための巻取駆動手段と、前記傾斜角度を検出する検出手段と、前記緊急状態が予測された場合に、前記傾斜角度が所定角度になり、かつシートベルトが巻き取られるように前記駆動手段及び前記巻取駆動手段を制御すると共に、前記傾斜角度が小さくなる方向に前記シートバックの傾斜角度を変更する際の前記巻取駆動手段の駆動力が、前記シートバックの傾斜角度を変更しないで前記シートベルトを巻き取る際の前記巻取駆動手段の駆動力、及び前記傾斜角度が大きくなる方向に前記シートバックの傾斜角度を変更する際の前記巻取駆動手段の駆動力の少なくとも一方の駆動力より小さくなるように制御する制御手段と、を備えることを特徴としている。
請求項1に記載の発明によれば、予測手段では、自車両に対する緊急状態が予測される。例えば、自車両と障害物の距離等を検出することによって自車両に対する緊急状態を予測したり、自車両と障害物の衝突予測時間等を求めることによって自車両に対する緊急状態を予測することが可能である。
また、駆動手段が駆動されることによって、シートクッションに対するシートバックの傾斜角度が変更され、巻取駆動手段が駆動されることによって、乗員を拘束するシートベルトが巻き取られる。また、シートバックの傾斜角度が検出手段によって検出される。
また、制御手段では、予測手段によって緊急状態が予測された場合に、シートバックの傾斜角度が所定角度になるように駆動手段が制御されると共に、シートベルトを巻き取るように巻取駆動手段が制御される。すなわち、シートバックの傾斜角度を適正にしてシートベルトによる拘束を適正に行うことができ、衝突等の緊急状態の際に乗員を保護することができる。
そして、制御手段が、緊急状態が予測されて駆動手段及び巻取駆動手段を制御する際に、シートバックの傾斜角度が小さくなる方向にシートバックの傾斜角度を変更する際の巻取駆動手段の駆動力が、シートバックの傾斜角度を変更しないでシートベルトを巻き取る際の巻取駆動手段の駆動力、及び傾斜角度が大きくなる方向にシートバックの傾斜角度を変更する際の巻取駆動手段の駆動力の少なくとも一方の駆動力より小さくなるように制御される。すなわち、緊急状態が予測されてシートバックを引き起す動作と、シートベルトを巻き取る動作とを同時に行う場合には、双方の動作によって乗員が拘束され、予め定めたシートベルトの目標荷重を容易に達成することができるので、シートベルトの巻取りの駆動力を小さくする。このように巻取駆動手段の駆動力を小さくすることで、巻取手段の消費電力を低減することができるので、消費電力を抑制してシートバック動作とシートベルトの巻取り動作を適切に動作させることができる。
制御手段は、例えば、請求項2に記載の発明のように、巻取駆動手段をモータで構成し、該モータを駆動するための電流を減少させることによって、巻取駆動手段の駆動力が小さくすることが可能である。
また、制御手段は、請求項3に記載の発明のように、傾斜角度が予め定めた角度以上の場合に、巻取駆動手段によるシートベルトの巻き取りを禁止するようにしてもよい。すなわち、シートバックが所定角度以上倒れている場合には、シートベルトの巻取を禁止することで、シートバックの作動電力を十分に確保して乗員姿勢を適正にすることができる。
以上説明したように本発明によれば、緊急状態が予測され、シートバックを所定角度へ移動すると共に、シートベルトを巻き取る際に、シートバックの傾斜角度が小さくなる方向にシートバックの傾斜角度を変更する際のシートベルトを巻き取る駆動力が、シートバックの傾斜角度を変更しないでシートベルトを巻き取る際の駆動力、及び傾斜角度が大きくなる方向にシートバックの傾斜角度を変更する際の駆動力の少なくとも一方の駆動力より小さくなるように制御することで、シートベルトの巻き取りに必要な消費電力を低減することができるので、消費電力を抑制してシートバック動作とシートベルトの巻取り動作を適切に動作させることができる、という効果がある。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係わる乗員保護装置の概略車両搭載位置を示す図であり、図2は、本発明の実施の形態に係わる乗員保護装置の構成を示すブロック図である。
本発明の実施の形態に係わる乗員保護装置10は、図1、2に示すように、前方の障害物までの距離を検出するための前方ミリ波レーダー12、前側方の障害物までの距離を検出するための前側方ミリ波レーダー14、前方を撮影するステレオカメラ16、後方の障害物までの距離を検出するための後方ミリ波レーダー18、後側方の障害物までの距離を検出するための後側方ミリ波レーダー20、及び衝突判断ECU(Elecgtronic Control Unit)22を備え、それぞれバス24に接続されている。前方ミリ波レーダー12、前側方ミリ波レーダー14、ステレオカメラ16、後方ミリ波レーダー18、及び後側方ミリ波レーダー20は、車両周辺を監視して、監視結果を衝突判断ECU22に出力する。
前方ミリ波レーダー12は、例えば、フロントグリル中央付近に設けられ、前側方ミリ波レーダー14は、バンパ内の車幅方向両端付近等に設けられ、それぞれ車両前方や前側方にミリ波を出射することで対象物から反射してきた電波を受信し、伝搬時間やドップラー効果によって生じる周波数差などを基に対象物までの距離や自車との相対速度等を測定するために設けられている。また、後方ミリ波レーダー18及び後側方ミリ波レーダー20は、リアバンパー等に設けられ、それぞれ車両後方や後側方にミリ波を出射することで対象物から反射してきた電波を受信し、伝搬時間やドップラー効果によって生じる周波数差などを基に対象物までの距離や自車との相対速度等を測定するために設けられている。
ステレオカメラ16は、フロントウインドシールドガラス上方の中央付近に設けられ、車両前方を撮影して、周辺の障害物を検出すると共に、障害物までの距離を測定するために設けられている。なお、ステレオカメラ16は、省略した構成としてもよい。
そして、衝突判断ECU22は、前方ミリ波レーダー12、前側方ミリ波レーダー14、ステレオカメラ16、後方ミリ波レーダー18、及び後側方ミリ波レーダー20の検出結果を取得して衝突予測を行う。衝突予測については既知の各種技術を適用することができるので、詳細な説明を省略する。
また、本発明の実施の形態に係わる乗員保護装置10は、衝突判断ECU22によって衝突が予測された場合に、シートバック36の状態調整やシートベルト38の巻取り等を制御する乗員保護制御ECU26を更に備えてバス24に接続されている。
乗員保護制御ECU26は、シートクッションに対するシートバック36の傾斜角度を検出するシートバック角度検出センサ30、及びシートバック36の傾斜角度を調整するためのシートアクチュエータ28が接続されており、衝突判断ECU22によって衝突が予測された場合に、シートアクチュエータ28の駆動を制御して、図示しないシートリクライニング機構を作動して、衝突前までにシートクッションに対するシートバック36の傾斜角度が、図3に示すように、予め定めた目標角度(目標角度範囲)になるようにリクライニング調整を行う。
また、乗員保護制御ECU26は、衝突判断ECU22によって衝突が予測された場合に、シートベルト38を巻き取るプリテンショナを駆動するためのプリテンショナアクチュエータ32の駆動を制御して、シートベルト38を巻き取って乗員を拘束するようになっている。
シートアクチュエータ28及びプリテンショナアクチュエータ32の駆動は、図4(A)、(B)に示すように、電流を印加することによって駆動する。
なお、シート34は、図示しないスイッチ等によってシート34の状態変更が指示された場合にスイッチの操作状態に応じて、シートアクチュエータ28を駆動して、リクライニング角度を調整したり、他のアクチュエータを駆動して、シートスライド等のシート34の各種状態を変更する。
ところで、衝突が予測された場合に、シートバック36の傾斜角度の調整とシートベルト38の巻取りを同時に行う際に、シートバック36の傾斜角度が目標角度よりも大きい場合(目標角度範囲より車両後方へ倒れた状態の場合)には、シートバック36を引き起すようにシートアクチュエータ28を駆動するすると共に、プリテンショナアクチュエータ32を駆動してシートベルト38を巻き取るので、シートバック36の引き起し動作とシートベルト38の巻取り動作の双方によって乗員が拘束され、シートベルト38の目標とする荷重へ容易に到達し易い。
そこで、本実施の形態では、シートバック36の引き起し動作と同時にシートベルト38の巻取りを行う場合には、シートバック36の傾斜角度が小さくなる方向にシートバック36の傾斜角度を変更する際(シートベルト38の拘束力が増加する方向にシートバック36の傾斜角度を変更する際)のプリテンショナアクチュエータ32の駆動力が、シートバック36の傾斜角度を変更しないでシートベルトを巻き取る際のプリテンショナアクチュエータ32の駆動力より小さくなるようにする。詳細には、本実施の形態では、プリテンショナアクチュエータ32へ印加する電流値を減少させることで駆動力を小さくする。これによって、プリテンショナアクチュエータ32の電力をシートバック36の作動の電力として確保することができる。換言すれば、消費電力を低減してシートバック36の動作とシートベルト38の巻取り動作を適切に動作させることができる。
本実施の形態では、衝突判断ECU22によって衝突が予測されて、シートバック36が目標角度範囲の場合のプリテンショナアクチュエータ32へ印加する電流を通常電流値として、シートバック36の傾斜角度が目標角度範囲より車両後方へ倒れている場合には、図4(B)の矢印で示すように、通常の電流値(プリテンショナアクチュエータ32のみを駆動する場合)より減少してプリテンショナアクチュエータ32を駆動する。減少する電流の大きさとしては、予め定めた目標のシートベルト荷重が得られる程度の電流値を設定する。
なお、本実施の形態では、衝突予測時のシートバック36の調整は、目標角度範囲よりも車両後方へ倒れている状態の場合のみ行うものとして説明するが、これに限るものではなく、シートバック36が目標角度範囲よりも小さい場合に、シートバック36を倒す方向へ移動するようにしてもよい。この場合には、シートバック36の傾斜角度が小さくなる方向(シートベルト38の拘束力が増加する方向)にシートバックの傾斜角度を変更する際のプリテンショナアクチュエータ32の駆動力が、シートバックの傾斜角度を変更しないでシートベルト38を巻き取る際のプリテンショナアクチュエータ32の駆動力、及び傾斜角度が大きくなる方向(シートベルト38の拘束力が減少する方向)にシートバックの傾斜角度を変更する際のプリテンショナアクチュエータ32の駆動力の少なくとも一方の駆動力より小さくなるように制御することによって、消費電力を抑制してシートバック動作とシートベルトの巻取り動作を適切に動作させることが可能となる。
続いて、上述のように構成された本発明の実施の形態に係わる乗員保護装置10の各ECUで行われる処理について説明する。
まず、衝突判断ECU22で行われる処理について説明する。図5は、本発明の実施の形態に係わる乗員保護装置10の衝突判断ECU22で行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、図5の処理は、図示しないイグニッションスイッチがオンされた場合に開始し、イグニッションスイッチがオフまたは車両が衝突した場合に終了するものとして説明する。
ステップ100では、前方障害物までの距離が入力されてステップ102へ移行する。すなわち、前方ミリ波レーダー12、前側方ミリ波レーダー14、ステレオカメラ16等の検出結果が入力される。
ステップ102では、相対速度が算出されてステップ104へ移行する。例えば、ミリ波レーダーによって所定時間毎に検出された前方物体までの距離から相対速度が算出される。なお、ステレオカメラ16の撮影結果を画像処理することによって距離を求めて相対速度を算出するようにしてもよい。
ステップ104では、新たにミリ波レーダーの検出結果が入力されてステップ106へ移行する。
ステップ106では、衝突までの時間tが算出され、ステップ100に戻って上述の処理が繰り返される。すなわち、前方ミリ波レーダー12、前側方ミリ波レーダー14、ステレオカメラ16等によって検出した前方物体までの距離と、ステップ102で算出した相対速度から衝突までの時間tを算出して、ステップ100に戻って上述の処理が繰り返される。
次に、乗員保護制御ECU26で行われる処理について説明する。図6は、本発明の実施の形態に係わる乗員保護装置の乗員保護制御ECU26で行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、図6の処理は、図示しないイグニッションスイッチがオンされた場合に開始するものとして説明する。
ステップ200では、衝突判断ECU22によって算出された衝突予測時間tが入力されてステップ202へ移行する。
ステップ202では、衝突予測時間tが予め定めた時間t1未満になったか否か判定され、該判定が肯定された場合にはステップ204へ移行し、否定された場合にはステップ220へ移行する。
ステップ204では、乗員保護動作中か否か判定される。該判定は、既にステップ202の判定が肯定されて、後述の乗員保護装置開始処理が行われてシートアクチュエータ28やプリテンショナアクチュエータ32が駆動開始されているか否かを判定し、該判定が否定された場合にはステップ206へ移行し、肯定された場合にはステップ208へ移行する。
ステップ206では、乗員保護動作処理が行われてステップ216へ移行する。ここで、乗員保護動作開始処理について説明する。図7は、本発明の実施の形態に係わる乗員保護装置10の乗員保護制御ECU26で行われる乗員保護動作開始処理の流れの一例を示すフローチャートである。
乗員保護動作開始処理へ移行すると、まずステップ300では、シートバック角度が検出されてステップ302へ移行する。すなわち、シートバック角度検出センサ30によるシートバック36の傾斜角度の検出結果が取得される。
ステップ302では、シートバック36の傾斜角度が目標角度(目標角度範囲)よりも車両後方へ倒れているか否か判定され、該判定が否定された場合にはステップ304へ移行し、肯定された場合にはステップ306へ移行する。
ステップ304では、プリテンショナアクチュエータ32が駆動開始されて、乗員保護動作開始処理がリターンされて図6の処理へ戻る。すなわち、シートベルト38が巻取り開始され、乗員が拘束される。
一方、ステップ306では、シートアクチュエータ28が駆動開始されるとと共に、プリテンショナアクチュエータ32が低電流で駆動開始されて、乗員保護動作開始処理がリターンされて図6の処理へ戻る。
すなわち、乗員保護動作開始処理では、シートアクチュエータ28の駆動を開始すると共に、プリテンショナアクチュエータ32の駆動を開始する。この時、衝突予測時のシートバック36の傾斜角度が目標角度範囲より車両後方へ倒れているかどうかに応じて、プリテンショナアクチュエータ32へ印加する電流を変更するようにしており、シートバック36の引き起し動作とシートベルト38の巻取り動作を同時に行う場合に、プリテンショナアクチュエータ32の駆動力を小さくして消費電力を低減するようにしている。
一方、図6のステップ208では、シート調整中か否か判定される。該判定は、既に衝突時間t1未満となってシートアクチュエータ28が動作しているか否かを判定し、該判定が肯定された場合にはステップ210へ移行し、否定された場合にはステップ216へ移行する。
ステップ210では、目標角度、すなわち予め定めたシートバック36の角度か否かが判定され、該判定が否定された場合にはステップ212へ移行し、肯定された場合にはステップ214へ移行する。
ステップ212では、シートバック36の調整が所定時間経過したか否か判定される。該判定は、衝突後にシート調整が継続されていることを確実に防止するための所定時間が設定され、該所定時間が経過したか否かが判定される。該判定が肯定された場合にはステップ214へ移行し、否定された場合にはステップ216へ移行する。
ステップ214では、シートバック36の調整が停止、すなわち、シートアクチュエータ28の駆動が停止されてステップ216へ移行する。
ステップ216では、衝突か否か判定される。該判定は、衝突予測時間になった否かを判定してもよいし、衝突検出センサを設けて衝突検出センサによって衝突を検出したか否かを判定してもよく、該判定が否定された場合にはステップ200に戻って上述の処理が繰り返され、肯定された場合にはステップ218へ移行して、乗員保護装置10が停止されて一連の処理を終了する。なお、ここでの乗員保護装置10の停止は、シートアクチュエータ28の駆動や、プリテンショナアクチュエータ32の駆動の停止を意味する。
一方、ステップ202の判定が否定されてステップ220へ移行した場合には、乗員保護動作が有ったか否か判定される。すなわち、既に乗員保護装置開始処理が行われてシートアクチュエータ28やプリテンショナアクチュエータ32が駆動開始されているか否かを判定し、該判定が肯定された場合にはステップ222へ移行し、否定された場合にはステップ200に戻って上述の処理が繰り返される。
ステップ222では、シートアクチュエータ28やプリテンショナアクチュエータ32が駆動されているので、リセットしてシートアクチュエータ28やプリテンショナアクチュエータ32の駆動を停止してステップ200に戻って上述の処理が繰り返される。なお、リセットとしては、シートアクチュエータ28が駆動されている場合にはシートアクチュエータ28の駆動前のシートバック36の傾斜角度に戻すようにシートアクチュエータ28を駆動するようにしてもよい。
このように、本実施の形態に係わる乗員保護装置10は、衝突が予測された場合(衝突予測時間が予め定めた時間未満になった場合)に、目標角度範囲となるようにシートバック36の傾斜角度を調整することによって、乗員姿勢を適正な状態としてシートベルト38等による乗員保護を適正に行うことができる。また、同時に、シートベルト38を巻き取って乗員を拘束することによって、乗員を保護することができる。
そして、衝突予測時にシートバック36を引き起す場合のプリテンショナアクチュエータ32へ印加する電流を、シートバック36が目標角度範囲内でプリテンショナアクチュエータ32のみを駆動する場合にプリテンショナアクチュエータ32に印加する電流に比べて減少させるので、消費電力を抑制してシートバック動作とシートベルト38の巻取り動作を適切に動作させることができる。
次に、本発明の実施の形態に係わる乗員保護装置の変形例について説明する。
上記の実施の形態では、衝突予測時にシートバック36を引き起す場合のプリテンショナアクチュエータ32へ印加する電流を、シートバック36が目標角度範囲内でプリテンショナアクチュエータ32のみを駆動する場合にプリテンショナアクチュエータ32に印加する電流に比べて減少させるようにしたが、変形例では、シートバック36が予め定めた角度以上倒れている場合には、シートベルト38の巻取りを禁止して、シートバック36を駆動するための電力を十分に確保するようにしたものである。詳細には、上述の乗員保護動作開始処理が異なるのみであるため、差異のみを説明する。
図8は、本発明の実施の形態に係わる乗員保護装置の乗員保護制御ECUで行われる乗員保護動作開始処理の流れの変形例を示すフローチャートである。なお、図7と同一処理については同一符号を付して説明する。
乗員保護動作開始処理へ移行すると、まずステップ300では、シートバック角度が検出されてステップ302へ移行する。すなわち、シートバック角度検出センサ30によるシートバック36の傾斜角度の検出結果が取得される。
ステップ302では、シートバック36の傾斜角度が目標角度(目標角度範囲)よりも車両後方へ倒れているか否か判定され、該判定が否定された場合にはステップ304へ移行し、肯定された場合にはステップ305へ移行する。
ステップ304では、プリテンショナアクチュエータ32が駆動開始されて、乗員保護動作開始処理がリターンされて図6の処理へ戻る。すなわち、シートベルト38が巻取り開始され、乗員が拘束される。
また、ステップ305では、シートバック36の傾斜角度が予め定めた角度以上倒れているか否か判定され、該判定が否定された場合にはステップ306へ移行し、肯定された場合にはステップ308へ移行する。
ステップ306では、シートアクチュエータ28が駆動開始されるとと共に、プリテンショナアクチュエータ32が低電流で駆動開始されて、乗員保護動作開始処理がリターンされて図6の処理へ戻る。
また、ステップ308では、シートアクチュエータ28のみが駆動開始されて、乗員保護動作開始処理がリターンされて図6の処理へ戻る。すなわち、シートベルト38の巻き取りを禁止してシートバック36のみを駆動する。
このように変形例の乗員保護動作開始処理では、上記の実施の形態と同様に、衝突予測時にシートバック36を引き起す場合のプリテンショナアクチュエータ32へ印加する電流を、シートバック36が目標角度範囲内でプリテンショナアクチュエータ32のみを駆動する場合にプリテンショナアクチュエータ32に印加する電流に比べて減少させるので、消費電力を抑制してシートバック動作とシートベルト38の巻取り動作を適切に動作させることができる。
また、変形例では、シートバック36が予め定めた角度以上倒れている場合、すなわち、極端にシートバックが倒れている場合には、シートベルト38の巻き取りを禁止してシートバック36のみを駆動するので、シートバック36の駆動に必要な電力を十分に確保することができる。
なお、上記の実施の形態では、衝突予測時にシートバック36の傾斜角度が目標角度範囲より大きい場合(目標角度範囲よりシートバック36が車両後方へ倒れている場合)のみ、シートバック36を引き起すようにシートアクチュエータ28を駆動するものとして説明したが、これに限るものではなく、例えば、シートバック36が目標角度範囲よりも傾斜角度が小さい場合(目標角度範囲より起き上がっている場合)に、シートバック36を車両後方へ倒すようにシートアクチュエータ28を駆動するようにしてもよい。また、この場合には、シートベルト38による拘束力が低下する方向にシートバック36が移動されるため、プリテンショナアクチュエータ32へ印加する電流を大きくする等によって駆動力を大きくしてシートベルト38による拘束力を増加させるようにしてもよいし、シートバック36に乗員の荷重が加わり、シートバック36が車両後方へ移動し易いので、シートアクチュエータ28の駆動力を小さくして消費電力を低減するようにしてもよい。
また、上記の実施の形態では、衝突予測時に、プリテンショナアクチュエータ32を駆動してシートベルト38を巻き取りを行った場合に、プリテンショナアクチュエータ32の駆動停止について特に説明しなかったが、例えば、シートベルト38の巻取り負荷が一定になった場合にプリテンショナアクチュエータ32を停止するようにしてもよいし、衝突予測時間になった場合や衝突が検出された場合などでプリテンショナアクチュエータ32を停止するようにしてもよいし、或いは、プリテンショナアクチュエータ32作動後に所定時間経過したら停止するようにしてもよい。
また、上記の各実施形態では、前方ミリ波レーダー12、前側方ミリ波レーダー14、ステレオカメラ16、後方ミリ波レーダー18、及び後側方ミリ波レーダー20によって前方や後方を監視するようにしたが、これに限るものではなく、側方を監視するレーダー等の検出手段を設けて制御するようにしてもよい。
本発明の実施の形態に係わる乗員保護装置の概略車両搭載位置を示す図である。 本発明の実施の形態に係わる乗員保護装置の構成を示すブロック図である。 衝突予測時のシートバックの調整を説明するための図である。 (A)はシートアクチュエータに印加する電流を示す図であり、(B)は衝突予測時にシートバックが目標角度範囲より倒れている場合のプリテンショナアクチュエータに印加する電流を示す図である。 本発明の実施の形態に係わる乗員保護装置の衝突判断ECUで行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態に係わる乗員保護装置の乗員保護制御ECUで行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態に係わる乗員保護装置の乗員保護制御ECUで行われる乗員保護動作開始処理の流れの一例を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態に係わる乗員保護装置の乗員保護制御ECUで行われる乗員保護動作開始処理の流れの変形例を示すフローチャートである。
符号の説明
10 乗員保護装置
12 前方ミリ波レーダー
14 前側方ミリ波レーダー
16 ステレオカメラ
18 後方ミリ波レーダー
20 後側方ミリ波レーダー
22 衝突判断ECU
26 乗員保護制御ECU
28 シートアクチュエータ
30 シートバック角度検出センサ
32 プリテンショナアクチュエータ
34 シート
36 シートバック
38 シートベルト

Claims (3)

  1. 自車両に対する緊急状態を予測する予測手段と、
    シートクッションに対する傾斜角度が変更可能なシートバックを駆動するための駆動手段と、
    駆動力を発生して乗員を拘束するシートベルトを巻取るための巻取駆動手段と、
    前記傾斜角度を検出する検出手段と、
    前記緊急状態が予測された場合に、前記傾斜角度が所定角度になり、かつシートベルトが巻き取られるように前記駆動手段及び前記巻取駆動手段を制御すると共に、前記傾斜角度が小さくなる方向に前記シートバックの傾斜角度を変更する際の前記巻取駆動手段の駆動力が、前記シートバックの傾斜角度を変更しないで前記シートベルトを巻き取る際の前記巻取駆動手段の駆動力、及び前記傾斜角度が大きくなる方向に前記シートバックの傾斜角度を変更する際の前記巻取駆動手段の駆動力の少なくとも一方の駆動力より小さくなるように制御する制御手段と、
    を備えた乗員保護装置。
  2. 前記制御手段は、前記巻取駆動手段をモータで構成し、該モータを駆動するための電流を減少させることによって、前記巻取駆動手段の駆動力を小さくすることを特徴とする請求項1に記載の乗員保護装置。
  3. 前記制御手段は、前記傾斜角度が予め定めた角度以上の場合に、前記巻取駆動手段による前記シートベルトの巻き取りを禁止することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の乗員保護装置。
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