JP2009286718A - (1,3−ジオキソラン−4−イル)アルキルアルコールの精製方法 - Google Patents
(1,3−ジオキソラン−4−イル)アルキルアルコールの精製方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】(1,3-ジオキソラン-4-イル)アルキルアルコールを高純度に精製することができる方法、及び該方法により得られた(1,3-ジオキソラン-4-イル)アルキルアルコールを用いて、高純度なジオキソラン環含有(メタ)アクリル酸エステルモノマーを製造する方法を提供。
【解決手段】カルボニル基含有化合物とアルカントリオール化合物との反応により得られた(1,3-ジオキソラン-4-イル)アルキルアルコールを酸化剤による酸化処理に供しアルコールを精製する。さらに得られたアルコールと、(メタ)アクリル酸の低級アルキル(炭素数1〜4)エステルとをエステル交換反応させ、式(IV):
で表される(メタ)アクリル酸エステルモノマーの製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】カルボニル基含有化合物とアルカントリオール化合物との反応により得られた(1,3-ジオキソラン-4-イル)アルキルアルコールを酸化剤による酸化処理に供しアルコールを精製する。さらに得られたアルコールと、(メタ)アクリル酸の低級アルキル(炭素数1〜4)エステルとをエステル交換反応させ、式(IV):
で表される(メタ)アクリル酸エステルモノマーの製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、ハードコート、塗料、各種コーティング剤、粘着剤、印刷インキ、レジスト、光硬化性樹脂材料等に用いられる(1,3-ジオキソラン-4-イル)アルキルアルコールの精製方法、及び該方法により得られた(1,3-ジオキソラン-4-イル)アルキルアルコールを用いて得られるジオキソラン環含有(メタ)アクリル酸エステルモノマーの製造方法に関する。
光硬化性樹脂材料等、広く高分子分野において有用な、高純度な(メタ)アクリレート系重合体を製造する方法の開発が期待されており、そのための手段の1つとして高純度な(メタ)アクリレート系モノマーが要求されている。
一般に、(メタ)アクリレート系モノマーの高純度化には、蒸留等の精製手段が用いられており、例えば、(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチルアクリレートを効率良く製造する方法として、メチルエチルケトンとグリセリンとを反応させて得られた反応混合物をメチルアクリレートでエステル交換させ、さらに蒸留精製して製造する方法が知られている(特許文献1等参照)。
特開昭61−266404号公報
しかしながら、蒸留等の精製手段によっても不純物の分離や高純度化には限界がある。特に主生成物と不純物が、化学構造や沸点等の化学的性質において互いに類似している場合には、共沸現象等の様々な要因により十分な純度まで精製できない。
ジオキソラン環含有(メタ)アクリル酸エステルモノマーの製造においても、不純物を多く含んだジオキソラン環含有(メタ)アクリル酸エステルモノマーを合成した後に、蒸留等によって精製を繰り返しても高純度化には限界がある。
本発明の課題は、(1,3-ジオキソラン-4-イル)アルキルアルコールを高純度に精製することができる方法、及び該方法により得られた(1,3-ジオキソラン-4-イル)アルキルアルコールを用いて、高純度なジオキソラン環含有(メタ)アクリル酸エステルモノマーを製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、カルボニル基含有化合物とアルカントリオールとを反応させて得られた(1,3-ジオキソラン-4-イル)アルキルアルコールを、酸化剤を用いて酸化処理することによって、高純度に精製することができ、さらに、得られた高純度な(1,3-ジオキソラン-4-イル)アルキルアルコールをエステル交換反応に供することにより、従来技術では容易に達成することができない程度に高純度なジオキソラン環含有(メタ)アクリル酸エステルモノマーが得られることを見出した。
本発明は、
〔1〕 式(I):
〔1〕 式(I):
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、直鎖、分岐鎖もしくは環状の炭素数1〜18のアルキル基又はフェニル基を表す)
で表されるカルボニル基含有化合物と、式(II):
で表されるカルボニル基含有化合物と、式(II):
(式中、R3〜R7は、それぞれ独立して、水素原子、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜4のアルキル基であり、mは0〜4の整数を示す)
で表されるアルカントリオール化合物との反応により得られた式(III):
で表されるアルカントリオール化合物との反応により得られた式(III):
(式中、R1〜R7及びmは前記と同じであり、R1とR2とは結合して環を形成していてもよい)
で表される(1,3-ジオキソラン-4-イル)アルキルアルコールを、酸化剤による酸化処理に供することを特徴とする、式(III)で表される(1,3-ジオキソラン-4-イル)アルキルアルコールの精製方法、並びに
〔2〕 前記〔1〕記載の精製方法に続いて、さらに得られた(1,3-ジオキソラン-4-イル)アルキルアルコールと、(メタ)アクリル酸の低級アルキル(炭素数1〜4)エステルとをエステル交換反応させる、式(IV):
で表される(1,3-ジオキソラン-4-イル)アルキルアルコールを、酸化剤による酸化処理に供することを特徴とする、式(III)で表される(1,3-ジオキソラン-4-イル)アルキルアルコールの精製方法、並びに
〔2〕 前記〔1〕記載の精製方法に続いて、さらに得られた(1,3-ジオキソラン-4-イル)アルキルアルコールと、(メタ)アクリル酸の低級アルキル(炭素数1〜4)エステルとをエステル交換反応させる、式(IV):
(式中、R8は水素原子又はメチル基、R1〜R7及びmは前記と同じであり、R1とR2とは結合して環を形成していてもよい)
で表されるジオキソラン環含有(メタ)アクリル酸エステルモノマーの製造方法
に関する。
で表されるジオキソラン環含有(メタ)アクリル酸エステルモノマーの製造方法
に関する。
本発明の方法により、(1,3-ジオキソラン-4-イル)アルキルアルコールを高純度に精製することができ、さらに、得られた(1,3-ジオキソラン-4-イル)アルキルアルコールを用いて、高純度なジオキソラン環含有(メタ)アクリル酸エステルモノマーを製造することができる。
本発明では、式(I):
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、直鎖、分岐鎖もしくは環状の炭素数1〜18のアルキル基又はフェニル基を表す)
で表されるカルボニル基含有化合物と、式(II):
で表されるカルボニル基含有化合物と、式(II):
(式中、R3〜R7は、それぞれ独立して、水素原子、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜4のアルキル基であり、mは0〜4の整数を示す)
で表されるアルカントリオール化合物との反応により得られた式(III):
で表されるアルカントリオール化合物との反応により得られた式(III):
(式中、R1〜R7及びmは前記と同じであり、R1とR2とは結合して環を形成していてもよい)
で表される(1,3-ジオキソラン-4-イル)アルキルアルコールを、酸化剤による酸化処理に供することにより、極めて高純度に精製することができる。
で表される(1,3-ジオキソラン-4-イル)アルキルアルコールを、酸化剤による酸化処理に供することにより、極めて高純度に精製することができる。
通常、式(I)で表されるカルボニル基含有化合物と式(II)で表されるアルカントリオール化合物との反応により得られた反応溶液には、目的化合物である式(III)で表される(1,3-ジオキソラン-4-イル)アルキルアルコール以外に、複数種の副生成物が含まれている。目的化合物が5員環であるのに対し、6員環の副生成物がNMRにより確認できるが、かかる副生成物は目的化合物と沸点や溶媒に対する溶解性が類似している。そのため、抽出、濃縮等の分離操作の後、蒸留等の一般的な手法によって目的化合物を精製しようとしても、副生成物を十分に除去することは極めて困難である。しかしながら、本発明では、(1,3-ジオキソラン-4-イル)アルキルアルコールを酸化剤で酸化処理することにより、副生成物を、蒸留等の一般的な精製手段によって除去が可能なケトン化合物等に変性させることができる。
本発明において、酸化処理に供される(1,3-ジオキソラン-4-イル)アルキルアルコールは、前記の如く、式(I)で表されるカルボニル基含有化合物と式(II)で表されるアルカントリオール化合物との反応により得られたものである。
式(I)において、直鎖、分岐鎖もしくは環状の炭素数1〜18のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ステアリル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
式(I)で表されるカルボニル基含有化合物の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、2-ペンタノン、3-ペンタノン、4-ペンタノン、3-メチル-2-ブタノン、n-ブチルエチルケトン、2-ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、3,3-ジメチル-2-ブタノン、イソアミルメチルケトン、2-オクタノン、5-メチル-3-ヘプタノン、2-ノナノン、2,4-ジメチル-3-ヘプタノン、2,6-ジメチル-4-ヘプタノン、2,2,4,4-テトラメチル-3-ヘプタノン、2-ドデカノン、シクロヘキサノン、ベンゾフェノン、アセトフェノン、プロピオフェノン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。これらなかでは、使用性の観点から、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン及びベンズアルデヒドが好ましい。
式(II)で表されるアルカントリオール化合物の具体例としては、グリセリン、1,2,4-ブタントリオール、1,2,5-ペンタントリオール、1,2,6-ヘキサントリオール、1,2,3-ペンタントリオール、3-メチル-1,2,3-ブタントリオール、3-メチル-1,2,3-ペンタントリオール、2-メチル-1,2,3-ブタントリオール、2-エチル-1,2,3-ブタントリオール、2,3,4-ヘキサントリオール等が挙げられる。これらのなかでは、使用性の観点から、グリセリン、1,2,4-ブタントリオール、1,2,5-ペンタントリオール及び1,2,6-ヘキサントリオールが好ましく、グリセリンがより好ましい。
式(I)で表されるカルボニル基含有化合物の使用量は、収率を向上させる観点及び製造効率を高める観点から、式(II)で表されるアルカントリオール化合物1モルに対して、0.5〜5モルが好ましく、0.9〜1.5モルがより好ましい。
式(I)で表されるカルボニル基含有化合物と式(II)で表されるアルカントリオール化合物との反応は、例えば、カルボニル基含有化合物とアルカントリオール化合物とを、酸性触媒等の反応触媒の存在下で、混合することによって行うことができる。
酸性触媒としては、硫酸、塩酸等の無機酸;p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸;硫酸ジルコニウム、ランタントリフレート、硫酸ネオジム等の固体酸等が挙げられる。酸性触媒の使用量は、式(II)で表されるアルカントリオール1モルに対して、0.00001〜0.1モル程度が好ましい。
反応温度は、反応溶液の還流温度付近であることが好ましく、例えば、50〜200℃で反応を行った後、0〜40℃にまで反応溶液を冷却して、反応を終了することが好ましい。
反応終了後、生成した式(III)で表される(1,3-ジオキソラン-4-イル)アルキルアルコールを含む反応溶液は、そのまま、酸化処理に供することもができるが、本発明においては、反応の効率的な進行と酸化剤の使用量を抑制する観点から、抽出、濃縮等の一般的な分離操作により、未反応のカルボニル基含有化合物等が除去された粗製物を、酸化処理に供することが好ましい。
酸化剤としては、硝酸セリウム(III)アンモニウム、硫酸セリウム(III)等の3価セリウム化合物、硝酸セリウム(IV)アンモニウム、硫酸セリウム(IV)等の4価セリウム化合物、臭化鉄(III)等が挙げられ、これらの中では、反応選択性と収率の観点から、3価セリウム化合物及び4価セリウム化合物が好ましい。
酸化剤の使用量は、副生成物抑制の観点から、式(III)で表される(1,3-ジオキソラン-4-イル)アルキルアルコール1モルに対して、0.0001〜1.0モルが好ましく、0.0002〜0.002モルがより好ましい。
上記酸化剤は、それぞれ単独で用いることができるが、臭素酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素等の共酸化剤をともに用いてもよく、本発明においては、反応選択性の観点から、酸化剤として3価セリウム化合物及び/又は4価セリウム化合物を用いる場合、臭素酸ナトリウムをともに用いることが好ましい。臭素酸ナトリウムの使用量は、3価セリウム化合物もしくは4価セリウム化合物又は両者を併用する場合はその総量に対して、0.1〜20倍モルが好ましく、1〜10倍モルがより好ましい。また、特定の酸化剤が、反応中に還元されて活性を失った他の酸化剤を再生して活性を付与する機能を有することもある。
酸化処理は、反応を速やか、且つ温和に進行させる観点から、溶媒中で行うことが好ましい。溶媒としては、酸化剤の酸化力への影響が小さいものを選択することが好ましく、酸化剤の活性や基質の反応性の観点から一概には決定できないが、水、ニトリル類、エステル類、アミド類及び炭化水素系溶媒からなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましい。例えば、ニトリル類としては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等が、エステル類としては、酢酸エチル、酢酸ブチル等が、アミド類としては、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等、炭化水素系溶媒としては、ヘキサン、オクタン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が、それぞれ挙げられる。これらの中では、酸化剤がセリウム化合物である場合、アセトニトリル及びアセトニトリルと水との混合溶媒が好ましく、アセトニトリルと水との混合溶媒がより好ましい。アセトニトリルと水との重量比(アセトニトリル/水)は、基質である(1,3-ジオキソラン-4-イル)アルキルアルコールの溶解度にもよるため一概には決定できないが、1/9〜9/1が好ましく、3/7〜7/3がより好ましい。
処理液中の溶媒の量は、作業効率及び反応効率の向上の観点から、10〜90重量%が好ましく、40〜60重量%がより好ましい。
酸化処理は、例えば、溶媒中、(1,3-ジオキソラン-4-イル)アルキルアルコールの粗製物と酸化剤の混合物を、10〜100℃で攪拌することにより行うことができる。反応の進行は、ガスクロマトグラフィー等により追跡することができる。
酸化処理後、処理液を蒸留等の一般的な精製手段に供することにより、副生成物等の不純物が極めて高度に除去された(1,3-ジオキソラン-4-イル)アルキルアルコール、例えば99.90%以上の純度を有する(1,3-ジオキソラン-4-イル)アルキルアルコールを得ることができる。
本発明においては、本発明の方法により精製して得られた高純度な式(III)で表される(1,3-ジオキソラン-4-イル)アルキルアルコールと、(メタ)アクリル酸の低級アルキル(炭素数1〜4)エステルとをエステル交換反応させることにより、高純度なジオキソラン環含有(メタ)アクリル酸エステルモノマーを得ることができる。
(メタ)アクリル酸の低級アルキル(炭素数1〜4)エステルとしては、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステルの使用量は、(1,3-ジオキソラン-4-イル)アルキルアルコール1モルに対して、0.5〜5モルが好ましく、1〜3モルがより好ましい。
エステル交換反応は、ジオクチル錫オキサイド(DOTO)、テトラブチルチタネート、ナトリウムメチラート、水酸化リチウム等のエステル交換触媒やハイドロキノンモノメチルエーテル等の重合禁止剤の存在下で行うことが好ましい。エステル交換触媒の使用量は、(1,3-ジオキソラン-4-イル)アルキルアルコール1モルに対して、0.001〜0.2モルが好ましい。また、重合禁止剤の使用量は、(1,3-ジオキソラン-4-イル)アルキルアルコール100重量部に対して、0.005〜0.3重量部が好ましい。
エステル交換反応は、常法と同様に行うことができ、例えば、(1,3-ジオキソラン-4-イル)アルキルアルコール、(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステル、エステル交換触媒、重合禁止剤等の混合物を、適宜ヘキサン、トルエン等の溶媒に溶解させた後、60〜100℃で攪拌しながら行うことができる。
反応終了後、蒸留等の分離、精製操作により、式(IV):
(式中、R8は水素原子又はメチル基、R1〜R7及びmは前記と同じであり、R1とR2とは結合して環を形成していてもよい)
で表されるジオキソラン環含有(メタ)アクリル酸エステルモノマーを得ることができる。
で表されるジオキソラン環含有(メタ)アクリル酸エステルモノマーを得ることができる。
本発明の方法により、極めて高純度のジオキソラン環含有(メタ)アクリル酸エステルモノマー、例えば、99.0%以上の純度を有するジオキソラン環含有(メタ)アクリル酸エステルモノマーを得ることができる。
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
製造例1
10段オールダーショウ蒸留塔を備えた還流装置を用い、2L容の側管付き四つ口フラスコ内に、グリセリン400.8g(4.35モル)、メチルエチルケトン(MEK)470.7g(6.53モル)、シクロヘキサン200.2g及び硫酸4.28g(0.043モル)を仕込み、窒素気流下、攪拌しながら反応溶液の沸点に加熱した。
10段オールダーショウ蒸留塔を備えた還流装置を用い、2L容の側管付き四つ口フラスコ内に、グリセリン400.8g(4.35モル)、メチルエチルケトン(MEK)470.7g(6.53モル)、シクロヘキサン200.2g及び硫酸4.28g(0.043モル)を仕込み、窒素気流下、攪拌しながら反応溶液の沸点に加熱した。
生成した水をシクロヘキサンとの共沸混合物として反応系外に除去した後、反応溶液を凝縮し、分離器により共沸混合物から水を除去し、シクロヘキサンを前記フラスコに戻した。脱水反応による水の生成率が理論値の95.0%以上となった時点で、反応溶液を30℃に冷却することにより反応を終了した。
反応溶液に、50重量%水酸化ナトリウム水溶液9.7g(0.12モル)を添加して攪拌し、pHを12に調整した。
反応溶液を分液ロートに移し、静置して上層と下層とに分離させた。グリセリン及び硫酸が含まれている下層(水層)は廃棄した。一方、上層(有機層)には、酸化防止剤である2,5-ジ(t-ブチル)ヒドロキシトルエン0.10gを添加した後、エバポレーターによりMEKとシクロヘキサンを留去し、純度99.26%の(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メタノール507.6gを得た(収率:79.8%)。なお、本明細書における純度は、ガスクロマトグラフィー(GC)におけるピーク面積の割合から算出した値である。
実施例1−A
1L容の丸底フラスコに、製造例1で得られた(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メタノール(MEDOLOH)200g(純度 99.26%、1.37モル)、アセトニトリル100g及び水50gを加えて激しく攪拌し、均一にした。次いで、硝酸セリウム(III)アンモニウム4水和物(CAN)0.31g(0.0006モル)と臭素酸ナトリウム0.14g(0.0009モル)を添加した後、60℃まで加熱した。反応はガスクロマトグラフィー(GC)で追跡し、不純物ピーク(チャート:保持時間17.2[min]ピーク)のGC面積がMEDOLOHピーク(チャート:保持時間16.9[min]ピーク)のGC面積の0.1%以下となるまで反応を続けた。反応には1.5時間を要した。反応液を冷却後、50重量%水酸化ナトリウム水溶液を添加してpH8に調整した。反応容器に蒸留塔と分離器を設け、トルエン100gを加えて共沸により水を取り除いた。さらに、減圧で蒸留精製することにより純度99.93%のMEDOLOH157.8g(1.08モル)を得た(収率79.4%)。
1L容の丸底フラスコに、製造例1で得られた(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メタノール(MEDOLOH)200g(純度 99.26%、1.37モル)、アセトニトリル100g及び水50gを加えて激しく攪拌し、均一にした。次いで、硝酸セリウム(III)アンモニウム4水和物(CAN)0.31g(0.0006モル)と臭素酸ナトリウム0.14g(0.0009モル)を添加した後、60℃まで加熱した。反応はガスクロマトグラフィー(GC)で追跡し、不純物ピーク(チャート:保持時間17.2[min]ピーク)のGC面積がMEDOLOHピーク(チャート:保持時間16.9[min]ピーク)のGC面積の0.1%以下となるまで反応を続けた。反応には1.5時間を要した。反応液を冷却後、50重量%水酸化ナトリウム水溶液を添加してpH8に調整した。反応容器に蒸留塔と分離器を設け、トルエン100gを加えて共沸により水を取り除いた。さらに、減圧で蒸留精製することにより純度99.93%のMEDOLOH157.8g(1.08モル)を得た(収率79.4%)。
なお、本実施例におけるガスクロマトグラフィー(GC)の分析条件は以下の通りである。
<GC分析条件>
注入口温度:270℃
検出器温度:270℃
初期温度:80℃
初期温度保持時間:10分間
昇温速度:10℃/分
最終温度:270℃
昇温最終温度保持時間:30分間
検出器:水素炎イオン化検出器
キャリアガス:ヘリウムガス
カラム:30m INERTCAP 1701(キャピラリー)
<GC分析条件>
注入口温度:270℃
検出器温度:270℃
初期温度:80℃
初期温度保持時間:10分間
昇温速度:10℃/分
最終温度:270℃
昇温最終温度保持時間:30分間
検出器:水素炎イオン化検出器
キャリアガス:ヘリウムガス
カラム:30m INERTCAP 1701(キャピラリー)
実施例1−B
蒸留塔を備えた四つ口フラスコ内に、実施例1−Aで得られたMEDOLOH52.7g(0.36モル)、アクリル酸メチル(MA)78g(0.90モル)、ジオクチル錫オキサイド(DOTO)0.66g(0.0018モル)及びハイドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)0.01g(0.08ミリモル)を仕込み、攪拌しながら、反応溶液の沸点(80℃)に加熱してエステル交換反応を行った。この間、反応で生成したメタノールは、MAとの共沸混合物として反応系外に除去し、この共沸混合物が留出しなくなった時点で、エステル交換反応の終了を確認した。反応時間は20時間であった。反応終了時の反応溶液の温度は85〜100℃に上昇していた。
蒸留塔を備えた四つ口フラスコ内に、実施例1−Aで得られたMEDOLOH52.7g(0.36モル)、アクリル酸メチル(MA)78g(0.90モル)、ジオクチル錫オキサイド(DOTO)0.66g(0.0018モル)及びハイドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)0.01g(0.08ミリモル)を仕込み、攪拌しながら、反応溶液の沸点(80℃)に加熱してエステル交換反応を行った。この間、反応で生成したメタノールは、MAとの共沸混合物として反応系外に除去し、この共沸混合物が留出しなくなった時点で、エステル交換反応の終了を確認した。反応時間は20時間であった。反応終了時の反応溶液の温度は85〜100℃に上昇していた。
次に、この反応溶液を減圧蒸留(135℃、0.7kPa)することにより、純度が99.49%である(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチルアクリレート65.1gを得た(収率90.2%)。
比較例1
MEDOLOHとして、実施例1−Aで得られたMEDOLOHの代わりに、製造例1で得られたMEDOLOH 52.3g(純度 99.26%、0.36モル)を使用した以外は、実施例1−Bと同様にして、エステル交換反応を行い、得られた反応溶液を減圧蒸留することにより、純度が98.20%である(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチルアクリレート66.4gを得た(収率92.8%)。エステル交換反応にかかった時間は20時間、反応終了時の反応溶液の温度は85〜100℃であった。
MEDOLOHとして、実施例1−Aで得られたMEDOLOHの代わりに、製造例1で得られたMEDOLOH 52.3g(純度 99.26%、0.36モル)を使用した以外は、実施例1−Bと同様にして、エステル交換反応を行い、得られた反応溶液を減圧蒸留することにより、純度が98.20%である(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチルアクリレート66.4gを得た(収率92.8%)。エステル交換反応にかかった時間は20時間、反応終了時の反応溶液の温度は85〜100℃であった。
製造例1、実施例1−Aで得られた(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メタノール(MEDOLOH)及び実施例1−B、比較例1で得られた(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチルアクリレート(MEDOL-10)の組成を表1、2に示す。
以上の結果より、酸化処理を行うことによって、極めて純度の高い(1,3-ジオキソラン-4-イル)アルキルアルコール及びジオキソラン環含有(メタ)アクリル酸エステルモノマーが得られることが分かる。
本発明により得られる(1,3-ジオキソラン-4-イル)アルキルアルコール及びジオキソラン環含有(メタ)アクリル酸エステルモノマーは、ハードコート、塗料、各種コーティング剤、粘着剤、印刷インキ、レジスト、光硬化性樹脂材料等に用いられる。
Claims (5)
- 式(I):
で表されるカルボニル基含有化合物と、式(II):
で表されるアルカントリオール化合物との反応により得られた式(III):
で表される(1,3-ジオキソラン-4-イル)アルキルアルコールを、酸化剤による酸化処理に供することを特徴とする、式(III)で表される(1,3-ジオキソラン-4-イル)アルキルアルコールの精製方法。 - 酸化剤として3価セリウム化合物及び/又は4価セリウム化合物を用いる、請求項1記載の(1,3-ジオキソラン-4-イル)アルキルアルコールの精製方法。
- 3価セリウム化合物及び/又は4価セリウム化合物とともに、共酸化剤として臭素酸ナトリウムを用いる、請求項2記載の(1,3-ジオキソラン-4-イル)アルキルアルコールの精製方法。
- 酸化処理を、水、ニトリル類、エステル類、アミド類及び炭化水素系溶媒からなる群より選ばれた少なくとも1種の溶媒中で行う、請求項1〜3いずれか記載の(1,3-ジオキソラン-4-イル)アルキルアルコールの精製方法。
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