JP2009280831A - 液晶性ポリエステル溶液組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】腐食性が低く、取扱いが容易で、異方性の小さい液晶性ポリエステルフィルムを製造し得る液晶性ポリエステル溶液組成物を提供する。
【解決手段】芳香族ジアミン由来の構造単位、水酸基を有する芳香族アミン由来の構造単位、および芳香族アミノ酸由来の構造単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構造単位を全構造単位に対して10〜50モル%含む液晶性ポリエステルと非プロトン性溶媒とを含有することを特徴とする液晶性ポリエステル溶液組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、液晶性ポリエステル溶液組成物に関する。
液晶性ポリエステルは、優れた高周波特性、低吸湿性を示すことから、エレクトロニクス基板材料として注目されている。液晶性ポリエステルから押し出し成形により製造される液晶性ポリエステルフィルムは、押し出し方向に著しく配向するため、縦方向(押し出し方向)に比べて、横方向(押し出し方向に対して直角方向)の異方性が大きくなり、機械的強度が低くなるという問題があった。
異方性の小さい液晶性ポリエステルフィルムは、液晶性ポリエステルとトリフルオロ酢酸とを含む溶液組成物を支持体上に流延し、該流延物から溶媒を除去することにより製造できるが(特許文献1)、これらの溶媒は腐食性が高く、取り扱いが難しいという問題があった。
そこで、腐食性が低いp−クロロフェノールなどの溶媒を含む液晶性ポリエステル溶液組成物を提案しているが(特許文献2)、さらに腐食性が低く、取扱いが容易な溶媒を含み、異方性の小さい液晶性ポリエステルフィルムを製造し得る溶液組成物の開発が望まれていた。
特開昭62―64832号公報 特開2002−114894
本発明の目的は、腐食性が低く、取扱いが容易で、異方性の小さい液晶性ポリエステルフィルムを製造し得る液晶性ポリエステル溶液組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記したような問題を解決し得る液晶性ポリエステル溶液組成物を見出すべく鋭意検討を重ねた結果、芳香族アミン誘導体由来の構造単位を含む液晶性ポリエステルと非プロトン性溶媒とを含有する溶液組成物が、異方性の小さい液晶性ポリエステルフィルムを与えることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、芳香族ジアミン由来の構造単位、水酸基を有する芳香族アミン由来の構造単位、および芳香族アミノ酸由来の構造単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構造単位を全構造単位に対して10〜35モル%含む液晶性ポリエステルと非プロトン性溶媒とを含有することを特徴とする液晶性ポリエステル溶液組成物を提供するものである。
本発明によれば、腐食性が低く、取扱いが容易で、異方性の小さい液晶性ポリエステルフィルムを製造し得る液晶性ポリエステル溶液組成物を提供することが可能となる。
本発明の液晶性ポリエステル溶液組成物は、芳香族ジアミン由来の構造単位、水酸基を有する芳香族アミン由来の構造単位、芳香族アミノ酸由来の構造単位、または前記構造単位の2種以上を全構造単位に対して10〜35モル%含む液晶性ポリエステルと非プロトン性溶媒とを含有するものである。
液晶性ポリエステルは、溶融時に光学異方性を示し、450℃以下の温度で異方性溶融体を形成するものであり、構造単位として以下の式(1)、(2)、(3)で示される構造単位を含み、式(1)で示される構造単位が30〜80モル%、式(2)で示される構造単位が35〜10モル%、式(3)で示される構造単位が35〜10モル%であることが好ましい。
(1) −O−Ar1−CO−
(2) −CO−Ar2−CO−
(3) ―X−Ar3−Y−
ここで、Ar1は、1,4−フェニレン、2,6−ナフタレン、または4,4‘−ビフェニレンを表わす。Ar2は、1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、または2,6−ナフタレンを表わす。Ar3は、1,4−フェニレンまたは1,3−フェニレンを表わす。Xは−NH−であり、Yは、−O−または−NH−を表わす。
構造単位(1)は、芳香族ヒドロキシ酸由来の構造単位、構造単位(2)は、芳香族ジカルボン酸由来の構造単位、構造単位(3)は、芳香族ジアミン、水酸基を有する芳香族アミン、芳香族アミノ酸由来の構造単位であるが、これらの代わりに、それらのエステル形成性誘導体を用いてもよい。
カルボン酸のエステル形成性誘導体としては、例えば、カルボキシル基が、ポリエステルを生成する反応を促進するような、酸塩化物、酸無水物などの反応活性が高い誘導体となっているもの、カルボキシル基が、エステル交換反応によりポリエステルを生成するようなアルコール類やエチレングリコールなどとエステルを形成しているものなどが挙げられる。
フェノール性水酸基のエステル形成性誘導体としては、例えば、エステル交換反応によりポリエステルを生成するように、フェノール性水酸基がカルボン酸類とエステルを形成しているものなどが挙げられる。
アミノ基のエステル形成性誘導体としては、例えば、エステル交換反応によりポリエステルを生成するように、アミノ基がカルボン酸類とエステルを形成しているものなどが挙げられる。
本発明に使用される液晶性ポリエステルの繰り返し構造単位としては、下記のものを例示することができるが、これらに限定されるものではない。
式(1)で示される構造単位としては、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、4−ヒドロキシ−4’−ビフェニルカルボン酸由来の構造単位などが挙げられ、2種以上の前記構造単位が、全構造単位中に含まれていてもよい。これらの構造単位の中で、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸由来の構造単位を含む液晶性ポリエステルを使用することが好ましい。
全構造単位対して、構造単位(1)は30〜80モル%であることが好ましく、40〜70モル%であることがより好ましく、45〜65モル%であることがさらに好ましい。構造単位(1)が80モル%を超えると溶解性が著しく低下する傾向があり、30モル%未満では液晶性を示さない傾向がある。
式(2)で示される構造単位としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸由来の構造単位などが挙げられ、2種以上の前記構造単位が、全構造単位中に含まれていてもよい。これらの構造単位の中で、溶解性の観点から、イソフタル酸由来の構造単位を含む液晶性ポリエステルを使用することが好ましい。
全構造単位対して、構造単位(2)は35〜10モル%であることが好ましく、30〜15モル%であることがより好ましく、27.5〜17.5モル%であることがさらに好ましい。構造単位(2)が35モル%を超えると、液晶性が低下する傾向があり、10モル%未満では溶解性が低下する傾向がある。
式(3)で示される構造単位としては、例えば、3−アミノフェノール、4−アミノフェノール、1,4−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、アミノ安息香酸由来の構造単位などが挙げられ、2種以上の前記構造単位が、全構造単位中に含まれていてもよい。これらの構造単位の中で、反応性の観点から4−アミノフェノール由来の構造単位を含む液晶性ポリエステルを使用することが好ましい。
全構造単位対して、構造単位(3)は、35〜10モル%であることが好ましく、30〜15モル%であることがより好ましく、27.5〜17.5モル%であることがさらに好ましい。構造単位(3)が35モル%を超えると、液晶性が低下する傾向があり、10モル%未満では溶解性が低下する傾向がある。
構造単位(3)は構造単位(2)と実質的に等量用いられることが好ましいが、構造単位(3)を構造単位(2)に対して、−10モル%〜+10モル%とすることにより、液晶性ポリエステルの重合度を制御することもできる。
本発明で使用される液晶性ポリエステルの製造方法は、特に限定されないが、例えば、構造単位(1)に対応する芳香族ヒドロキシ酸、構成単位(3)に対応する水酸基を有する芳香族アミン、芳香族ジアミンのフェノール性水酸基やアミノ基を過剰量の脂肪酸無水物によりアシル化してアシル化物を得、得られたアシル化物と、構造単位(2)に対応する芳香族ジカルボン酸とをエステル交換(重縮合)して溶融重合する方法などが挙げられる。アシル化物としては、予めアシル化して得た脂肪酸エステルを用いてもよい。(特開2002−220444、特開2002−146003参照)
アシル化反応においては、脂肪酸無水物の添加量は、フェノール性水酸基とアミノ基の合計に対して、1.0〜1.2倍当量であることが好ましく、より好ましくは1.05〜1.1倍当量である。脂肪酸無水物の添加量が1.0倍当量未満では、エステル交換(重縮合)時にアシル化物や原料モノマーなどが昇華し、反応系が閉塞し易い傾向があり、また、1.2倍当量を超える場合には、得られる液晶性ポリエステルの着色が著しくなる傾向がある。
アシル化反応は、130〜180℃で5分〜10時間反応させることが好ましく、140〜160℃で10分〜3時間反応させることがより好ましい。
アシル化反応に使用される脂肪酸無水物は,特に限定されないが、例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水イソ酪酸、無水吉草酸、無水ピバル酸、無水2エチルヘキサン酸、無水モノクロル酢酸、無水ジクロル酢酸、無水トリクロル酢酸、無水モノブロモ酢酸、無水ジブロモ酢酸、無水トリブロモ酢酸、無水モノフルオロ酢酸、無水ジフルオロ酢酸、無水トリフルオロ酢酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水β−ブロモプロピオン酸などが挙げられ、これらは2種類以上を混合して用いてもよい。価格と取り扱い性の観点から、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水イソ酪酸が好ましく、より好ましくは、無水酢酸である。
エステル交換においては、アシル化物のアシル基がカルボキシル基の0.8〜1.2倍当量であることが好ましい。
エステル交換は、130〜400℃で0.1〜50℃/分の割合で昇温しながら行なうことが好ましく、150〜350℃で0.3〜5℃/分の割合で昇温しながら行なうことがより好ましい。
アシル化して得た脂肪酸エステルとカルボン酸とをエステル交換させる際、平衡を移動させるため、副生する脂肪酸と未反応の脂肪酸無水物は、蒸発させるなどして系外へ留去することが好ましい。
なお、アシル化反応、エステル交換は、触媒の存在下に行なってもよい。該触媒としては、従来からポリエステルの重合用触媒として公知のものを使用することができ、例えば、酢酸マグネシウム、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、三酸化アンチモンなどの金属塩触媒、N,N-ジメチルアミノピリジン、N―メチルイミダゾールなどの有機化合物触媒などを挙げることができる。
これらの触媒の中で、N,N-ジメチルアミノピリジン、N―メチルイミダゾールなどの窒素原子を2個以上含む複素環状化合物が好ましく使用される(特開2002−146003参照)
該触媒は、通常、モノマー類の投入時に投入され、アシル化後も除去することは必ずしも必要ではなく、該触媒を除去しない場合にはそのままエステル交換を行なうことができる。
エステル交換による重縮合は、通常、溶融重合により行なわれるが、溶融重合と固層重合とを併用してもよい。固相重合は、溶融重合工程からポリマーを抜き出し、その後、粉砕してパウダー状もしくはフレーク状にした後、公知の固相重合方法により行うことが好ましい。具体的には、例えば、窒素などの不活性雰囲気下、20〜350℃で、1〜30時間固相状態で熱処理する方法などが挙げられる。固相重合は、攪拌しながらでも、攪拌することなく静置した状態で行ってもよい。なお適当な攪拌機構を備えることにより溶融重合槽と固相重合槽とを同一の反応槽とすることもできる。固相重合後、得られた液晶性ポリエステルは、公知の方法によりペレット化し、成形してもよい。
液晶性ポリエステルの製造は、例えば、回分装置、連続装置等を用いて行うことができる。
液晶性ポリエステルには、本発明の目的を損なわない範囲で、公知のフィラー、添加剤等を添加してもよい。
フィラーとしては、例えば、エポキシ樹脂粉末、メラミン樹脂粉末、尿素樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、スチレン樹脂などの有機系フィラー、シリカ、アルミナ、酸化チタン、ジルコニア、カオリン、炭酸カルシウム、燐酸カルシウムなどの無機フィラーなどが挙げられる。
添加剤としては、公知のカップリング剤、沈降防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤などが挙げられる。
また、液晶性ポリエステルには、本発明の目的を損なわない範囲で、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルエーテル及びその変性物、ポリエーテルイミドなどの熱可塑性樹脂、グリシジルメタクリレートとポリエチレンの共重合体などのエラストマーなどを一種または二種以上を添加してもよい。
本発明の液晶性ポリエステル溶液組成物に用いる溶媒は、非プロトン性溶媒である。非プロトン性溶媒の使用量は、液晶性ポリエステルを溶解できれば特に限定されるものでなく、用途に応じて適宜選択することができるが、非プロトン性液体100重量部に液晶性ポリエステル0.01〜100重量部を使用することが好ましい。液晶性ポリエステルが0.01重量部未満であると溶液粘度が低すぎて均一に塗工できない傾向があり、100重量部を超えると、高粘度化する傾向がある。作業性や経済性の観点から、非プロトン性液体100重量部に対して、液晶性ポリエステルが1〜50重量部であることより好ましく、2〜40重量部であることがさらに好ましい。
非プロトン性溶媒としては、例えば、1−クロロブタン、クロロベンゼン、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、1,1,2,2−テトラクロロエタンなどのハロゲン系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶媒、アセトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、酢酸エチルなどのエステル系溶媒、γ―ブチロラクトンなどのラクトン系溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート系溶媒、トリエチルアミン、ピリジンなどのアミン系溶媒、アセトニトリル、サクシノニトリルなどのニトリル系溶媒、N,N‘−ジメチルホルムアミド、N,N‘−ジメチルアセトアミド、テトラメチル尿素、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒、ニトロメタン、ニトロベンゼンなどのニトロ系溶媒、ジメチルスルホキシド、スルホランなどのスルフィド系溶媒、ヘキサメチルリン酸アミド、トリn−ブチルリン酸などのリン酸系溶媒などが挙げられる。
これらの中で、ハロゲン原子を含まない溶媒が環境への影響面から好ましく使用され、双極子モーメントが3以上5以下の溶媒が溶解性の観点から好ましく使用される。具体的には、N,N‘−ジメチルホルムアミド、N,N‘−ジメチルアセトアミド、テトラメチル尿素、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒、γ―ブチロラクトンなどのラクトン系溶媒がより好ましく使用され、N,N‘−ジメチルホルムアミド、N,N‘−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンがさらに好ましく使用される。
液晶性ポリエステルフィルムは、液晶性ポリエステルを非プロトン性溶媒に溶解して得た溶液組成物を、必要に応じて、フィルターなどによってろ過し、溶液組成物中に含まれる微細な異物を除去した後、支持基材上に、例えば、ローラーコート法、ディップコート法、スプレイコート法、スピナーコート法、カーテンコート法、スロットコート法、スクリーン印刷法等の各種手段により表面平坦かつ均一に流延し、その後、非プロトン性溶媒を除去することによって得ることができる。
非プロトン性溶媒の除去方法は、特に限定されないが、非プロトン性溶媒の蒸発により行うことが好ましい。該溶媒を蒸発する方法としては、加熱、減圧、通風などの方法が挙げられるが、中でも生産効率、取り扱い性の点から加熱して蒸発せしめることが好ましく、通風しつつ加熱して蒸発せしめることがより好ましい。この時の加熱条件としては、60〜200℃で10分ないし2時間予備乾燥を行う工程と、200〜400℃で30分ないし5時間熱処理を行う工程とを含むことが好ましい。
このようにして得られる液晶性ポリエステルフィルムの厚みは、特に限定されることはないが、製膜性や機械特性の観点から、0.5〜500μmであることが好ましく、取り扱い性の観点から1〜100μmであることがより好ましい。
本発明の液晶性ポリエステル溶液組成物は、腐食性が低く、取扱いが容易であり、該溶液組成物を用いて得られるフィルムは、縦方向(流延方向)と横方向(流延方向に対して直角方向)の異方性が小さく、機械的強度に優れており、また液晶性ポリエステルが本来有する高周波特性、低吸水性などの性能にも優れていることから、プリント配線板などの電子部品用フィルム用途に好適に使用することができる。
なお、明細書中において使用される用語「フィルム」とは、シート状の極薄のフィルムから肉厚のフィルムまでを含有するものであり、シート状のみならず、瓶状の容器形態などを含有するものである。
以下、本発明を実施例を用いて説明するが、本発明が実施例により限定されるものでないことは言うまでもない。
製造例1
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、2−ヒドロキシー6−ナフトエ酸941g(5.0モル)、4−アミノフェノール273g(2.5モル)、イソフタル酸415.3g(2.5モル)及び無水酢酸1123g(11モル)を仕込んだ。反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で15分かけて150℃まで昇温し、温度を保持して3時間還流させた。
その後、留出する副生酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら170分かけて320℃まで昇温し、トルクの上昇が認められる時点を反応終了とみなし、内容物を取り出した。得られた樹脂は、偏光顕微鏡観察により200℃で液晶相特有のシュリーレン模様を示した。
製造例2
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、p−ヒドロキシ安息香酸690g(5.0モル)、4−アミノフェノール273g(2.5モル)、イソフタル酸415.3g(2.5モル)及び無水酢酸1123g(11モル)を仕込んだ。反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で15分かけて150℃まで昇温し、温度を保持して3時間還流させた。
その後、留出する副生酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら170分かけて320℃まで昇温し、トルクの上昇が認められる時点を反応終了とみなし、内容物を取り出した。得られた樹脂は、偏光顕微鏡観察により200℃で液晶相特有のシュリーレン模様を示した。
製造例3
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、2−ヒドロキシー6−ナフトエ酸191.8g(1.02モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル 63.3g(0.34モル)、イソフタル酸 56.5g(0.34モル)及び無水酢酸 191g(1.87モル)を仕込んだ。反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で15分かけて150℃まで昇温し、温度を保持して3時間還流させた。
その後、留出する副生酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら170分かけて320℃まで昇温し、トルクの上昇が認められる時点を反応終了とみなし、内容物を取り出した。得られた樹脂は、偏光顕微鏡観察により250℃で液晶相特有のシュリーレン模様を示した。
製造例4
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、p−ヒドロキシ安息香酸140.8g(1.02モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル 63.3g(0.34モル)、イソフタル酸 56.5g(0.34モル)及び無水酢酸 191g(1.87モル)を仕込んだ。反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で15分かけて150℃まで昇温し、温度を保持して3時間還流させた。
その後、留出する副生酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら170分かけて320℃まで昇温し、トルクの上昇が認められる時点を反応終了とみなし、内容物を取り出した。得られた固形分は室温まで冷却し、粗粉砕機で粉砕後、窒素雰囲気下250℃で10時間保持し、固層で重合反応を進めた。得られた樹脂は、偏光顕微鏡観察により250℃で液晶相特有のシュリーレン模様を示した。
実施例1
製造例1で得られた芳香族液晶ポリエステル粉末0.5gをN-メチルピロリドン9.5gに加え、120℃に加熱した結果、完全に溶解し透明な溶液が得られることを確認した。この溶液を攪拌及び脱泡し、芳香族液晶ポリエステル溶液を得た。
この得られた溶液を銅箔上にバーコートした後、100℃で1時間、250℃で1時間熱処理した。その結果、銅箔付きフィルムが得られた。
実施例2
製造例2で得られた芳香族液晶ポリエステル粉末0.5gをN-メチルピロリドン9.5gに加え、120℃に加熱した結果、完全に溶解し透明な溶液が得られることを確認した。この溶液を攪拌及び脱泡し、芳香族液晶ポリエステル溶液を得た。
この得られた溶液を銅箔上にバーコートした後、100℃で1時間、250℃で1時間熱処理した。その結果、銅箔付きフィルムが得られた。
比較例1
製造例3で得られた芳香族液晶ポリエステル粉末0.5gをN-メチルピロリドン9.5gに加え、120℃に加熱した結果、全く溶解しなかった。
比較例2
製造例4で得られた芳香族液晶ポリエステル粉末0.5gをN-メチルピロリドン9.5gに加え、120℃に加熱した結果、全く溶解しなかった。

Claims (8)

  1. 芳香族ジアミン由来の構造単位、水酸基を有する芳香族アミン由来の構造単位、および芳香族アミノ酸由来の構造単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構造単位を全構造単位に対して10〜35モル%含む液晶性ポリエステルと非プロトン性溶媒とを含有することを特徴とする液晶性ポリエステル溶液組成物。
  2. 液晶性ポリエステルが、以下の式(1)、(2)、(3)で示される構造単位を含み、全構造単位に対して、式(1)で示される構造単位が30〜80モル%、式(2)で示される構造単位が35〜10モル%、式(3)で示される構造単位が35〜10モル%である請求項1記載の溶液組成物。
    (1) −O−Ar1−CO−
    (2) −CO−Ar2−CO−
    (3) ―X−Ar3−Y−
    (式中、Ar1は、1,4−フェニレン、2,6−ナフタレン、または4,4‘−ビフェニレンを表わし、Ar2は、1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、または2,6−ナフタレンを表わし、Ar3は、1,4−フェニレンまたは1,3−フェニレンを表わし、Xは−NH−を表わし、Yは、−O−または−NH−を表わす。)
  3. 非プロトン性溶媒100重量部に対して、液晶性ポリエステル0.01〜100重量部を含有する請求項1または2記載の溶液組成物。
  4. ハロゲン原子を含まない非プロトン性溶媒である請求項1〜3のいずれかに記載の溶液組成物。
  5. 双極子モーメントが3以上5以下の非プロトン性溶媒である請求項1〜4のいずれかに記載の溶液組成物。
  6. Ar1が2,6−ナフタレンであり、Ar2が1,3−フェニレンであり、Ar3が1,4−フェニレンであり、Xが−NH−、Yが−O−の構造単位を含む液晶性ポリエステルである請求項1〜5のいずれかに記載の溶液組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の溶液組成物を支持基板上に流延し、該溶液組成物から溶媒を除去することを特徴とする液晶性ポリエステルフィルムの製造方法。
  8. 請求項7記載の製造方法により得られることを特徴とする液晶性ポリエステルフィルム。
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