JP2009280831A - 液晶性ポリエステル溶液組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】芳香族ジアミン由来の構造単位、水酸基を有する芳香族アミン由来の構造単位、および芳香族アミノ酸由来の構造単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構造単位を全構造単位に対して10〜50モル%含む液晶性ポリエステルと非プロトン性溶媒とを含有することを特徴とする液晶性ポリエステル溶液組成物。
【選択図】なし
Description
異方性の小さい液晶性ポリエステルフィルムは、液晶性ポリエステルとトリフルオロ酢酸とを含む溶液組成物を支持体上に流延し、該流延物から溶媒を除去することにより製造できるが(特許文献1)、これらの溶媒は腐食性が高く、取り扱いが難しいという問題があった。
そこで、腐食性が低いp−クロロフェノールなどの溶媒を含む液晶性ポリエステル溶液組成物を提案しているが(特許文献2)、さらに腐食性が低く、取扱いが容易な溶媒を含み、異方性の小さい液晶性ポリエステルフィルムを製造し得る溶液組成物の開発が望まれていた。
液晶性ポリエステルは、溶融時に光学異方性を示し、450℃以下の温度で異方性溶融体を形成するものであり、構造単位として以下の式(1)、(2)、(3)で示される構造単位を含み、式(1)で示される構造単位が30〜80モル%、式(2)で示される構造単位が35〜10モル%、式(3)で示される構造単位が35〜10モル%であることが好ましい。
(1) −O−Ar1−CO−
(2) −CO−Ar2−CO−
(3) ―X−Ar3−Y−
ここで、Ar1は、1,4−フェニレン、2,6−ナフタレン、または4,4‘−ビフェニレンを表わす。Ar2は、1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、または2,6−ナフタレンを表わす。Ar3は、1,4−フェニレンまたは1,3−フェニレンを表わす。Xは−NH−であり、Yは、−O−または−NH−を表わす。
フェノール性水酸基のエステル形成性誘導体としては、例えば、エステル交換反応によりポリエステルを生成するように、フェノール性水酸基がカルボン酸類とエステルを形成しているものなどが挙げられる。
アミノ基のエステル形成性誘導体としては、例えば、エステル交換反応によりポリエステルを生成するように、アミノ基がカルボン酸類とエステルを形成しているものなどが挙げられる。
全構造単位対して、構造単位(1)は30〜80モル%であることが好ましく、40〜70モル%であることがより好ましく、45〜65モル%であることがさらに好ましい。構造単位(1)が80モル%を超えると溶解性が著しく低下する傾向があり、30モル%未満では液晶性を示さない傾向がある。
全構造単位対して、構造単位(2)は35〜10モル%であることが好ましく、30〜15モル%であることがより好ましく、27.5〜17.5モル%であることがさらに好ましい。構造単位(2)が35モル%を超えると、液晶性が低下する傾向があり、10モル%未満では溶解性が低下する傾向がある。
全構造単位対して、構造単位(3)は、35〜10モル%であることが好ましく、30〜15モル%であることがより好ましく、27.5〜17.5モル%であることがさらに好ましい。構造単位(3)が35モル%を超えると、液晶性が低下する傾向があり、10モル%未満では溶解性が低下する傾向がある。
構造単位(3)は構造単位(2)と実質的に等量用いられることが好ましいが、構造単位(3)を構造単位(2)に対して、−10モル%〜+10モル%とすることにより、液晶性ポリエステルの重合度を制御することもできる。
これらの触媒の中で、N,N-ジメチルアミノピリジン、N―メチルイミダゾールなどの窒素原子を2個以上含む複素環状化合物が好ましく使用される(特開2002−146003参照)
該触媒は、通常、モノマー類の投入時に投入され、アシル化後も除去することは必ずしも必要ではなく、該触媒を除去しない場合にはそのままエステル交換を行なうことができる。
液晶性ポリエステルの製造は、例えば、回分装置、連続装置等を用いて行うことができる。
フィラーとしては、例えば、エポキシ樹脂粉末、メラミン樹脂粉末、尿素樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、スチレン樹脂などの有機系フィラー、シリカ、アルミナ、酸化チタン、ジルコニア、カオリン、炭酸カルシウム、燐酸カルシウムなどの無機フィラーなどが挙げられる。
添加剤としては、公知のカップリング剤、沈降防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤などが挙げられる。
これらの中で、ハロゲン原子を含まない溶媒が環境への影響面から好ましく使用され、双極子モーメントが3以上5以下の溶媒が溶解性の観点から好ましく使用される。具体的には、N,N‘−ジメチルホルムアミド、N,N‘−ジメチルアセトアミド、テトラメチル尿素、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒、γ―ブチロラクトンなどのラクトン系溶媒がより好ましく使用され、N,N‘−ジメチルホルムアミド、N,N‘−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンがさらに好ましく使用される。
本発明の液晶性ポリエステル溶液組成物は、腐食性が低く、取扱いが容易であり、該溶液組成物を用いて得られるフィルムは、縦方向(流延方向)と横方向(流延方向に対して直角方向)の異方性が小さく、機械的強度に優れており、また液晶性ポリエステルが本来有する高周波特性、低吸水性などの性能にも優れていることから、プリント配線板などの電子部品用フィルム用途に好適に使用することができる。
なお、明細書中において使用される用語「フィルム」とは、シート状の極薄のフィルムから肉厚のフィルムまでを含有するものであり、シート状のみならず、瓶状の容器形態などを含有するものである。
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、2−ヒドロキシー6−ナフトエ酸941g(5.0モル)、4−アミノフェノール273g(2.5モル)、イソフタル酸415.3g(2.5モル)及び無水酢酸1123g(11モル)を仕込んだ。反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で15分かけて150℃まで昇温し、温度を保持して3時間還流させた。
その後、留出する副生酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら170分かけて320℃まで昇温し、トルクの上昇が認められる時点を反応終了とみなし、内容物を取り出した。得られた樹脂は、偏光顕微鏡観察により200℃で液晶相特有のシュリーレン模様を示した。
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、p−ヒドロキシ安息香酸690g(5.0モル)、4−アミノフェノール273g(2.5モル)、イソフタル酸415.3g(2.5モル)及び無水酢酸1123g(11モル)を仕込んだ。反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で15分かけて150℃まで昇温し、温度を保持して3時間還流させた。
その後、留出する副生酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら170分かけて320℃まで昇温し、トルクの上昇が認められる時点を反応終了とみなし、内容物を取り出した。得られた樹脂は、偏光顕微鏡観察により200℃で液晶相特有のシュリーレン模様を示した。
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、2−ヒドロキシー6−ナフトエ酸191.8g(1.02モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル 63.3g(0.34モル)、イソフタル酸 56.5g(0.34モル)及び無水酢酸 191g(1.87モル)を仕込んだ。反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で15分かけて150℃まで昇温し、温度を保持して3時間還流させた。
その後、留出する副生酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら170分かけて320℃まで昇温し、トルクの上昇が認められる時点を反応終了とみなし、内容物を取り出した。得られた樹脂は、偏光顕微鏡観察により250℃で液晶相特有のシュリーレン模様を示した。
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、p−ヒドロキシ安息香酸140.8g(1.02モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル 63.3g(0.34モル)、イソフタル酸 56.5g(0.34モル)及び無水酢酸 191g(1.87モル)を仕込んだ。反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で15分かけて150℃まで昇温し、温度を保持して3時間還流させた。
その後、留出する副生酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら170分かけて320℃まで昇温し、トルクの上昇が認められる時点を反応終了とみなし、内容物を取り出した。得られた固形分は室温まで冷却し、粗粉砕機で粉砕後、窒素雰囲気下250℃で10時間保持し、固層で重合反応を進めた。得られた樹脂は、偏光顕微鏡観察により250℃で液晶相特有のシュリーレン模様を示した。
製造例1で得られた芳香族液晶ポリエステル粉末0.5gをN-メチルピロリドン9.5gに加え、120℃に加熱した結果、完全に溶解し透明な溶液が得られることを確認した。この溶液を攪拌及び脱泡し、芳香族液晶ポリエステル溶液を得た。
この得られた溶液を銅箔上にバーコートした後、100℃で1時間、250℃で1時間熱処理した。その結果、銅箔付きフィルムが得られた。
製造例2で得られた芳香族液晶ポリエステル粉末0.5gをN-メチルピロリドン9.5gに加え、120℃に加熱した結果、完全に溶解し透明な溶液が得られることを確認した。この溶液を攪拌及び脱泡し、芳香族液晶ポリエステル溶液を得た。
この得られた溶液を銅箔上にバーコートした後、100℃で1時間、250℃で1時間熱処理した。その結果、銅箔付きフィルムが得られた。
製造例3で得られた芳香族液晶ポリエステル粉末0.5gをN-メチルピロリドン9.5gに加え、120℃に加熱した結果、全く溶解しなかった。
製造例4で得られた芳香族液晶ポリエステル粉末0.5gをN-メチルピロリドン9.5gに加え、120℃に加熱した結果、全く溶解しなかった。
Claims (8)
- 芳香族ジアミン由来の構造単位、水酸基を有する芳香族アミン由来の構造単位、および芳香族アミノ酸由来の構造単位からなる群から選ばれる少なくとも1種の構造単位を全構造単位に対して10〜35モル%含む液晶性ポリエステルと非プロトン性溶媒とを含有することを特徴とする液晶性ポリエステル溶液組成物。
- 液晶性ポリエステルが、以下の式(1)、(2)、(3)で示される構造単位を含み、全構造単位に対して、式(1)で示される構造単位が30〜80モル%、式(2)で示される構造単位が35〜10モル%、式(3)で示される構造単位が35〜10モル%である請求項1記載の溶液組成物。
(1) −O−Ar1−CO−
(2) −CO−Ar2−CO−
(3) ―X−Ar3−Y−
(式中、Ar1は、1,4−フェニレン、2,6−ナフタレン、または4,4‘−ビフェニレンを表わし、Ar2は、1,4−フェニレン、1,3−フェニレン、または2,6−ナフタレンを表わし、Ar3は、1,4−フェニレンまたは1,3−フェニレンを表わし、Xは−NH−を表わし、Yは、−O−または−NH−を表わす。) - 非プロトン性溶媒100重量部に対して、液晶性ポリエステル0.01〜100重量部を含有する請求項1または2記載の溶液組成物。
- ハロゲン原子を含まない非プロトン性溶媒である請求項1〜3のいずれかに記載の溶液組成物。
- 双極子モーメントが3以上5以下の非プロトン性溶媒である請求項1〜4のいずれかに記載の溶液組成物。
- Ar1が2,6−ナフタレンであり、Ar2が1,3−フェニレンであり、Ar3が1,4−フェニレンであり、Xが−NH−、Yが−O−の構造単位を含む液晶性ポリエステルである請求項1〜5のいずれかに記載の溶液組成物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の溶液組成物を支持基板上に流延し、該溶液組成物から溶媒を除去することを特徴とする液晶性ポリエステルフィルムの製造方法。
- 請求項7記載の製造方法により得られることを特徴とする液晶性ポリエステルフィルム。
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