JP2011077270A - 金属ベース回路基板 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱伝導性に優れた金属ベース回路基板を安価に提供する。
【解決手段】金属基板101上に、溶剤可溶性の液晶ポリエステルを用いて絶縁層102を形成し、さらに、この絶縁層102上に、配線パターン形成用の導電箔103を形成する。この金属ベース回路基板上には、発光ダイオード等の発光部品が実装される。液晶ポリエステルを用いることにより、熱伝導性が非常に高い絶縁層102を得ることができる。このため、発光部品で発生した熱が金属基板101に伝導しやすくなり、したがって、金属基板101による放熱効果を向上させることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】金属基板101上に、溶剤可溶性の液晶ポリエステルを用いて絶縁層102を形成し、さらに、この絶縁層102上に、配線パターン形成用の導電箔103を形成する。この金属ベース回路基板上には、発光ダイオード等の発光部品が実装される。液晶ポリエステルを用いることにより、熱伝導性が非常に高い絶縁層102を得ることができる。このため、発光部品で発生した熱が金属基板101に伝導しやすくなり、したがって、金属基板101による放熱効果を向上させることができる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、発光部品を実装するための金属ベース回路基板に関する。
従来より、発光部品として、例えば発光ダイオードが知られている。発光ダイオードは、例えば、液晶ディスプレイの直下型バックライトとして使用されている。かかるバックライトでは、一枚の電子回路基板上に、多数の発光ダイオードが実装される。一般的な発光ダイオードは、一個当たりの発光光量が小さいからである。電子回路基板としては、例えば、汎用のガラス布基材エポキシ樹脂基板(ガラスエポキシ基板)が使用される。
しかし、発光ダイオードには、製造ロット間で、発光波長等の特性ばらつきが大きいという欠点がある。このため、1個のバックライトに多数の発光ダイオードを使用すると、色の再現性が低下するといった問題が生じる。このような問題は、1個のバックライトに使用される発光ダイオードの個数が多いほど、顕著となる。
これに対して、高輝度の発光ダイオードを使用することによって、1個のバックライトに使用される発光ダイオードの個数を減らすことが可能である。このようなバックライトとして、エッジ型バックライトが知られている。
高輝度の発光ダイオードを使用する場合、バックライトの発熱密度が高くなるため、発光ダイオードの温度が上昇しやすくなる。高温下で発光ダイオードを使用すると、輝度の劣化が激しくなる(したがって、寿命が短くなる)等の問題が生じる。このため、高輝度の発光ダイオードを用いたバックライトでは、放熱効果の大きい電子回路基板を使用することが望まれる。
放熱効果が大きい電子回路基板としては、例えば、金属ベース回路基板が知られている。金属ベース回路基板は、金属基板と、この金属基板上に設けられた絶縁層と、この絶縁層上に設けられた導電箔とを有する。そして、周知のエッチング技術等を用いて導電箔をパターニングするとともに絶縁膜上に電子部品を実装することで、バックライト等の電子装置を得ることができる。金属ベース回路基板を用いる場合、電子部品で発生する熱の一部が絶縁膜を介して金属基板に達し、この金属基板から放熱される。これにより、金属ベース回路基板は、従来の電子基板(エポキシ基板等)と比較して、優れた放熱効果を得ることができる。
また、金属ベース回路基板の放熱効果をさらに向上させる技術が、既に知られている(下記特許文献1、2参照)。特許文献1では、絶縁層として異方的熱伝導層(グラファイト層等)と等方的熱伝導層(セラミック層等)との積層膜を使用することで、放熱特性の向上を図っている(特許文献1の段落[0079]、[0036]〜[0038]、図1等参照)。また、特許文献2では、金属ベース回路基板にサーマルビアを設け、このサーマルビア上にエポキシ接着シートを介して金属箔を配置することにより、放熱効果の向上を図っている(特許文献2の[0013]〜[0015]参照)。
しかしながら、特許文献1の電子回路基板には、グラファイト層を作成する必要があることや、絶縁層を二層以上の積層構造とする必要があること等により、製造工程が多くなって製造コスト増大につながるという欠点がある。
また、特許文献2の電子回路基板には、サーマルビアの形成するための加工工程が必要になること、エポキシ接着シートが必要であること等により、製造コストが増大するという欠点がある。
本発明の目的は、熱伝導性に優れた金属ベース回路基板を安価に提供することにある。
かかる目的を達成するために、本発明者は、絶縁層として液晶ポリエステルを用いた金属ベース回路基板について検討し、本発明を完成するに至った。
すなわち、請求項1に記載の発明は、金属基板と、該金属基板上に設けられた絶縁層と、該絶縁層上に設けられた配線パターン形成用の導電箔とを有する、発光部品を実装するための金属ベース回路基板であって、前記絶縁層が、溶剤可溶性の液晶ポリエステルによって形成されたことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成に加え、液晶ポリエステルが、下式(1)で示された構造単位と、下式(2)で示された構造単位と、下式(3)で示された構造単位とを有し、且つ、全構造単位に対する各構造単位の比が、下式(1)の構造単位は30〜80モル%、下式(2)の構造単位は35〜10モル%、且つ、下式(3)の構造単位は35〜10モル%であることを特徴とする。
(1)−O−Ar1−CO−
(2)−CO−Ar2−CO−
(3)−X−Ar3−Y−
(1)−O−Ar1−CO−
(2)−CO−Ar2−CO−
(3)−X−Ar3−Y−
Ar1:フェニレンまたはナフチレン
Ar2:フェニレン、ナフチレンまたは下式(4)で表される基
Ar3:フェニレンまたは下式(4)で表される基
X,Y:それぞれ独立にOまたはOHを表す
ここで、Ar1,Ar2及びAr3の芳香環に結合している水素原子は、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。
(4)−Ar11−Z−Ar12−
(4)−Ar11−Z−Ar12−
Ar11,Ar12は、それぞれ独立にフェニレン又はナフチレンを表す。ZはO,CO又はSO2を表す。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の構成に加え、前記絶縁層が、無機充填材を含む溶剤可溶性液晶ポリエステルであることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明に加え、前記無機充填材の熱伝導率が30W/(m・K)以上であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れかに記載の発明に加え、前記発光部品が発光ダイオードであることを特徴とする。
本願発明によれば、絶縁層を液晶ポリエステルで形成したので、該絶縁層の熱伝導率を向上させることができる。このため、本願発明によれば、発光部品で発生した熱が金属基板に伝搬しやすくなるので、金属ベース回路基板の放熱効果を向上させることができる。
さらに、請求項2〜4に記載の発明によれば、液晶ポリエステルで形成された絶縁層の熱伝導率を非常に高くすることができ、金属ベース回路基板の放熱効果をさらに向上させることができる。
また、請求項5に記載の発明によれば、発光ダイオードの温度上昇を抑制することができ、したがって、該発光ダイオードの寿命を長くすることができる。
以下、本発明の一実施形態に係る液晶ポリエステル組成物およびこれを用いた金属ベース回路基板について説明する。
<金属ベース回路基板の構造>
図1は、本実施形態に係る金属ベース回路基板の構造を示す概念的断面図である。
図1に示したように、本実施形態の金属ベース回路基板100は、金属ベース(金属基板)101、液晶ポリエステルフィルム102および金属箔103を含む積層構造を有している。
金属ベース101は、例えばアルミニウム、銅、ステンレス等或いはこれらの合金等の金属板である。金属ベース101としては、従来の電子回路基板と同じものを使用することができる。金属ベース101の厚さは例えば2.0mmである。金属ベース101は平板である必要はなく、例えば曲げ加工することも可能である。
液晶ポリエステルフィルム102としては、本実施形態の液晶ポリエステルフィルムが使用される。後述するように、液晶ポリエステルフィルム102には、アルミナ等の無機充填材を含有させることができる。
金属箔103としては、例えば銅箔等が使用される。金属箔103には、例えばエッチング等により回路の配線パターンが形成される。そして、この配線パターンを用いて、電子回路基板100上に、電子回路が形成される(図1では示さず)。金属箔103としては、従来の電子回路基板と同じものを使用することができる。金属箔103の厚さは、例えば70μmである。
<液晶ポリエステル>
液晶ポリエステルは、溶融時に光学異方性を示し、450℃以下の温度で異方性溶融体を形成する。本実施形態の液晶ポリエステルは、下式(1)で示された第1構造単位と、下式(2)で示された第2構造単位と、下式(3)で示された第3構造単位とを有する。そして、全構造単位に対する各構造単位の比が、前記第1構造単位は30〜80モル%、前記第2構造単位は35〜10モル%、且つ、前記第3構造単位は35〜10モル%とすることが望ましい。
(1)−O−Ar1−CO−
(2)−CO−Ar2−CO−
(3)−X−Ar3−Y−
(1)−O−Ar1−CO−
(2)−CO−Ar2−CO−
(3)−X−Ar3−Y−
ここで、Ar1は、フェニレンまたはナフチレンである。Ar2は、フェニレン、ナフチレンまたは下式(4)で表される基である。Ar3は、フェニレンまたは下式(4)で表される基である。X,Yは、それぞれ独立に、OまたはOHを表している。なお、Ar1,Ar2及びAr3の芳香環に結合している水素原子は、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。
(4)−Ar11−Z−Ar12−
(4)−Ar11−Z−Ar12−
Ar11,Ar12は、それぞれ独立に、フェニレン又はナフチレンを表している。ZはO,CO又はSO2を表している。
構造単位(1)は芳香族ヒドロキシ酸由来の構造単位、構造単位(2)は芳香族ジカルボン酸由来の構造単位、構造単位(3)は芳香族ジアミン、水酸基を有する芳香族アミン、芳香族アミノ酸由来の構造単位であるが、これらの代わりに、それらのエステル形成性誘導体を用いてもよい。
カルボン酸のエステル形成性誘導体としては、例えば、カルボキシル基がポリエステルを生成する反応を促進するような酸塩化物、酸無水物などの反応活性が高い誘導体となっているもの、カルボキシル基がエステル交換反応によりポリエステルを生成するようなアルコール類やエチレングリコールなどとエステルを形成しているものなどが挙げられる。
フェノール性水酸基のエステル形成性誘導体としては、例えば、エステル交換反応によりポリエステルを生成するように、フェノール性水酸基がカルボン酸類とエステルを形成しているものなどが挙げられる。
アミノ基のエステル形成性誘導体としては、例えば、エステル交換反応によりポリエステルを生成するように、アミノ基がカルボン酸類とエステルを形成しているものなどが挙げられる。
本発明に使用される液晶ポリエステルの繰り返し構造単位としては、下記のものを例示することができるが、これらに限定されるものではない。
構造単位(1)としては、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、4−ヒドロキシ−4’−ビフェニルカルボン酸由来の構造単位などが挙げられ、2種以上の前記構造単位が全構造単位中に含まれていてもよい。これらの構造単位の中で、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸由来の構造単位を含む液晶ポリエステルを使用することが好ましい。構造単位(1)は、全構造単位に対して、30〜80モル%であることが好ましく、40〜70モル%であることがより好ましく、45〜65モル%であることがさらに好ましい。構造単位(1)があまり多いと溶解性が著しく低下する傾向があり、あまり少ないと液晶性を示さない傾向がある。
構造単位(2)としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸由来の構造単位などが挙げられ、2種以上の前記構造単位が全構造単位中に含まれていてもよい。これらの構造単位の中で、溶解性の観点から、イソフタル酸由来の構造単位を含む液晶ポリエステルを使用することが好ましい。構造単位(2)は、全構造単位に対して、10〜35モル%であることが好ましく、15〜30モル%であることがより好ましく、17.5〜27.5モル%であることがさらに好ましい。構造単位(2)があまり多いと液晶性が低下する傾向があり、あまり少ないと溶解性が低下する傾向がある。
構造単位(3)としては、例えば、3−アミノフェノール、4−アミノフェノール、1,4−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、アミノ安息香酸由来の構造単位などが挙げられ、2種以上の前記構造単位が全構造単位中に含まれていてもよい。これらの構造単位の中で、反応性の観点から4−アミノフェノール由来の構造単位を含む液晶ポリエステルを使用することが好ましい。構造単位(3)は、全構造単位に対して、10〜35モル%であることが好ましく、15〜30モル%であることがより好ましく、17.5〜27.5モル%であることがさらに好ましい。構造単位(3)があまり多いと液晶性が低下する傾向があり、あまり少ないと溶解性が低下する傾向がある。
構造単位(3)は、構造単位(2)と実質的に等量用いられることが好ましい。但し、構造単位(3)を、構造単位(2)に対して−10モル%〜+10モル%とすることにより、液晶ポリエステルの重合度を制御することもできる。
本発明で使用される液晶ポリエステルの製造方法は特に限定されないが、例えば、構造単位(1)に対応する芳香族ヒドロキシ酸、構成単位(3)に対応する水酸基を有する芳香族アミン、芳香族ジアミンのフェノール性水酸基及びアミノ基を過剰量の脂肪酸無水物によりアシル化してアシル化物を得、得られたアシル化物と構造単位(2)に対応する芳香族ジカルボン酸とをエステル交換(重縮合)して溶融重合する方法などが挙げられる。アシル化物としては、予めアシル化して得た脂肪酸エステルを用いてもよい。(特開2002−220444号公報、特開2002−146003号公報参照)
アシル化反応においては、脂肪酸無水物の添加量は、フェノール性水酸基とアミノ基の合計に対して、1.0〜1.2倍当量であることが好ましく、より好ましくは1.05〜1.1倍当量である。脂肪酸無水物の添加量が1.0倍当量未満では、エステル交換(重縮合)時にアシル化物や原料モノマーなどが昇華して反応系が閉塞し易くなる傾向があり、また、1.2倍当量を超える場合には、得られる液晶ポリエステルの着色が著しくなる傾向がある。
アシル化反応は、130〜180℃で5分〜10時間反応させることが好ましく、140〜160℃で10分〜3時間反応させることがより好ましい。
アシル化反応に使用される脂肪酸無水物は,特に限定されないが、例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水イソ酪酸、無水吉草酸、無水ピバル酸、無水2エチルヘキサン酸、無水モノクロル酢酸、無水ジクロル酢酸、無水トリクロル酢酸、無水モノブロモ酢酸、無水ジブロモ酢酸、無水トリブロモ酢酸、無水モノフルオロ酢酸、無水ジフルオロ酢酸、無水トリフルオロ酢酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水β−ブロモプロピオン酸などが挙げられ、これらは2種類以上を混合して用いてもよい。価格と取り扱い性の観点から、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水イソ酪酸が好ましく、より好ましくは、無水酢酸である。
エステル交換においては、アシル化物のアシル基がカルボキシル基の0.8〜1.2倍当量であることが好ましい。
エステル交換は、130〜400℃で0.1〜50℃/分の割合で昇温しながら行なうことが好ましく、150〜350℃で0.3〜5℃/分の割合で昇温しながら行なうことがより好ましい。
アシル化して得た脂肪酸エステルとカルボン酸とをエステル交換させる際、平衡を移動させるため、副生する脂肪酸と未反応の脂肪酸無水物は、蒸発させるなどして系外へ留去することが好ましい。
なお、アシル化反応、エステル交換は、触媒の存在下に行なってもよい。該触媒としては、従来からポリエステルの重合用触媒として公知のものを使用することができ、例えば、酢酸マグネシウム、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、三酸化アンチモンなどの金属塩触媒、N,N−ジメチルアミノピリジン、N―メチルイミダゾールなどの有機化合物触媒などを挙げることができる。
これらの触媒の中で、N,N−ジメチルアミノピリジン、N―メチルイミダゾールなどの窒素原子を2個以上含む複素環状化合物が好ましく使用される(特開2002−146003号公報参照)
かかる触媒は、通常、モノマー類の投入時に投入され、アシル化後も除去することは必ずしも必要ではなく、該触媒を除去しない場合にはそのままエステル交換を行なうことができる。
エステル交換による重縮合は、通常、溶融重合により行なわれるが、溶融重合と固層重合とを併用してもよい。固相重合は、溶融重合工程からポリマーを抜き出し、その後、粉砕してパウダー状もしくはフレーク状にした後、公知の固相重合方法により行うことが好ましい。具体的には、例えば、窒素などの不活性雰囲気下、20〜350℃で、1〜30時間固相状態で熱処理する方法などが挙げられる。固相重合は、攪拌しながらでも、攪拌することなく静置した状態で行ってもよい。なお適当な攪拌機構を備えることにより溶融重合槽と固相重合槽とを同一の反応槽とすることもできる。固相重合後、得られた液晶ポリエステルは、公知の方法によりペレット化し、成形してもよい。
液晶ポリエステルの製造は、例えば、回分装置、連続装置等を用いて行うことができる。
<溶媒>
本発明の液晶ポリエステル組成物に用いる溶媒は、非プロトン性溶媒であることが好ましい。溶媒の使用量は、液晶ポリエステルを溶解できれば特に限定されるものでなく、用途に応じて適宜選択することができるが、溶媒100重量部に液晶ポリエステル0.01〜100重量部を使用することが好ましい。液晶ポリエステルが0.01重量部未満であると溶液粘度が低すぎて均一に塗工できない傾向があり、100重量部を超えると、高粘度化する傾向がある。作業性や経済性の観点から、溶媒100重量部に対して、液晶ポリエステルが1〜50重量部であることより好ましく、2〜40重量部であることがさらに好ましい。
非プロトン性溶媒としては、例えば、1−クロロブタン、クロロベンゼン、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、1,1,2,2−テトラクロロエタンなどのハロゲン系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶媒、アセトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、酢酸エチルなどのエステル系溶媒、γ―ブチロラクトンなどのラクトン系溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート系溶媒、トリエチルアミン、ピリジンなどのアミン系溶媒、アセトニトリル、サクシノニトリルなどのニトリル系溶媒、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、テトラメチル尿素、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒、ニトロメタン、ニトロベンゼンなどのニトロ系溶媒、ジメチルスルホキシド、スルホランなどのスルフィド系溶媒、ヘキサメチルリン酸アミド、トリn−ブチルリン酸などのリン酸系溶媒などが挙げられる。
これらの中で、ハロゲン原子を含まない溶媒が環境への影響面から好ましく使用され、双極子モーメントが3以上5以下の溶媒が溶解性の観点から好ましく使用される。具体的には、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、テトラメチル尿素、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒、γ―ブチロラクトンなどのラクトン系溶媒がより好ましく使用され、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンがさらに好ましく使用される。
<無機充填材>
本実施形態では、液晶ポリエステル組成物に、無機充填材を含有させる。
無機充填材としては、その熱伝導率が通常10W/(m・K)以上、好ましくは30W/(m・K)以上であるものが使用され、例えば、金属酸化物、金属窒化物および金属炭化物から選ばれた一種又は二種以上の化合物を使用することができる。無機充填材は、周期律表第II、III、IV属のそれぞれ第7列までの元素の酸化物、窒化物及び炭化物から選択することが望ましい。具体的には、例えば、酸化ベリリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化トリウム、酸化亜鉛、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、炭化ケイ素等の一種類以上を使用できる。
熱伝導率を高くするという観点等から、無機充填材として、酸化アルミニウム又は窒化アルミニウムを使用することが特に望ましい。
無機充填材としては、複数種類の無機充填材を化合させたものを使用してもよい。
このような無機充填材を使用することにより、液晶ポリエステルフィルムの熱伝導率を6〜20W/(m・K)とすることができる。
<他の成分>
<他の成分>
上述のように、本実施形態では、液晶ポリエステル組成物に無機充填材が含有される。これに加えて、本実施形態では、液晶性ポリエステル組成物に、本発明の目的を損なわない範囲で、公知の充填材、添加剤等を含有させてもよい。
充填材としては、例えば、エポキシ樹脂粉末、メラミン樹脂粉末、尿素樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、スチレン樹脂などの有機系フィラー、シリカ、アルミナ、酸化チタン、ジルコニア、カオリン、炭酸カルシウム、燐酸カルシウムなどの無機フィラーなどが挙げられる。
添加剤としては、公知のカップリング剤、沈降防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤などが挙げられる。
また、液晶性ポリエステル組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルエーテル及びその変性物、ポリエーテルイミドなどの熱可塑性樹脂、グリシジルメタクリレートとポリエチレンの共重合体などのエラストマーなどを一種または二種以上を含有させてもよい。
<液晶ポリエステルフィルム>
<液晶ポリエステルフィルム>
液晶ポリエステルフィルムは、液晶ポリエステルを溶媒に溶解して得た溶液を、必要に応じて、フィルターなどによってろ過し、溶液中に含まれる微細な異物を除去した後、無機充填材を加え、得られた液晶ポリエステル組成物を、支持基材(本実施形態では金属ベース101または金属箔103を使用できる)上に、例えば、ローラーコート法、ディップコート法、スプレイコート法、スピナーコート法、カーテンコート法、スロットコート法、スクリーン印刷法等の各種手段により表面平坦かつ均一に流延し、その後、溶媒を除去することによって、得ることができる。
溶媒の除去方法は、特に限定されないが、溶媒の蒸発により行うことが好ましい。該溶媒を蒸発する方法としては、加熱、減圧、通風などの方法が挙げられるが、中でも生産効率、取り扱い性の点から加熱して蒸発せしめることが好ましく、通風しつつ加熱して蒸発せしめることがより好ましい。この時の加熱条件としては、60〜200℃で10分ないし2時間予備乾燥を行う工程と、200〜400℃で30分ないし5時間熱処理を行う工程とを含むことが好ましい。
このようにして得られる液晶ポリエステルフィルムの厚みは、特に限定されることはないが、製膜性や機械特性の観点から、0.5〜500μmであることが好ましく、熱抵抗を低く抑えるという観点からは200μm以下であることがより好ましい。
本発明の液晶ポリエステル組成物は、腐食性が低く、取扱いが容易であり、該組成物を用いて得られるフィルムは、縦方向(流延方向)と横方向(流延方向に対して直角方向)の異方性が小さく、機械的強度に優れており、また液晶ポリエステルが本来有する高周波特性、低吸水性などの性能にも優れていることから、本実施形態の電子回路基板だけでなく、他の電子部品用の絶縁フィルムにも非常に望ましい。
なお、明細書中において使用される用語「フィルム」とは、シート状の極薄のフィルムから肉厚のフィルムまでを含有するものであり、シート状のみならず、瓶状の容器形態などを含有するものである。
上述の実施形態に係る電子回路基板の製造方法の一例を説明する。
(1)液晶ポリエステルの製造
(1)液晶ポリエステルの製造
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸1976g(10.5モル)、4−ヒドロキシアセトアニリド1474g(9.75モル)、イソフタル酸1620g(9.75モル)及び無水酢酸2374g(23.25モル)を仕込んだ。反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で15分かけて150℃まで昇温し、温度を保持して3時間還流させた。
その後、留出する副生酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら、170分かけて300℃まで昇温し、トルクの上昇が認められる時点を反応終了とみなし、内容物を取り出した。取り出した内容物を室温まで冷却し、粉砕機で粉砕した後、比較的低分子量の液晶ポリエステルの粉末を得た。得られた粉末の流動開始温度を、島津製作所フローテスターCFT−500を用いて測定したところ、235℃であった。この液晶ポリエステル粉末に、窒素雰囲気において223℃、3時間の加熱処理を施すことによって、固相重合を行った。固相重合後の液晶ポリエステルの流動開始温度は270℃であった。
(2)液晶ポリエステル溶液の製造
(2)液晶ポリエステル溶液の製造
上記(1)で得られた液晶ポリエステル2200gを、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)7800gに加え、100℃で2時間加熱して、液晶ポリエステル溶液を得た。この溶液粘度は320cP(センチポアズ)であった。この粘度値は、B型粘度計(東機産業製、「TVL−20型」、ローター番号21(回転数は5rpm)を用い、測定温度23℃で測定したときの値である。
(3)電子回路基板の製造
(3)電子回路基板の製造
無機充填材として、体積平均粒径0.3μmの球状α−アルミナ粉末(住友化学株式会社製“スミコランダムAA−0.3”)を9体積%、体積平均粒径1.5μmの球状α−アルミナ粉末(住友化学株式会社製“スミコランダムAA−1.5”)を14体積%、体積平均粒径18μmの球状α−アルミナ粉末(住友化学株式会社製“スミコランダムAA−18”)を77体積%の割合で用いた。
上記(2)で得た液晶ポリエステル溶液(固形分22重量%)に、無機充填材を加えた。ここで、無機充填材の充填量は、液晶ポリエステルおよび無機充填材の総和に対して、70体積%とした。
次に、この液晶ポリエステル組成物を遠心脱泡機で5分間攪拌したのち、厚さ70μmの銅箔上に厚さ200μmとなるように塗布した。続いて、これを100℃で20分間乾燥させたのち、320℃で3時間熱処理した。これにより、表面に銅箔(すなわち導電箔)103が形成された液晶ポリエステルフィルム102を得た。
その後、熱伝導率140W/(m・K)、厚さ2.0mmのアルミニウム合金板に、上述の液晶ポリエステルフィルムを積層した。このとき、液晶ポリエステルフィルムの表面(銅箔が形成されていない面)が、アルミニウム合金板の表面と接するようにした。そして、圧力200kg/cm2 、温度340℃で20分間の加熱処理を行うことにより、これらアルミニウム合金板と液晶ポリエステルフィルムとを熱接着した。
以上により、金属ベース回路基板が完成した。
このようにして作製した金属ベース回路基板において、液晶ポリエステル絶縁膜の熱伝導率は8.7W/(m・K)程度であった。これに対して、従来のエポキシ樹脂製絶縁膜の熱伝導率は5W/(m・K)程度である。この結果、本実施形態によれば、従来と比較して熱伝導率が極めて高い金属ベース回路基板を得ることができた。
100 電子回路基板
101 金属ベース
102 液晶ポリエステルフィルム
103 金属箔
101 金属ベース
102 液晶ポリエステルフィルム
103 金属箔
Claims (5)
- 金属基板と、該金属基板上に設けられた絶縁層と、該絶縁層上に設けられた配線パターン形成用の導電箔とを有する、発光部品を実装するための金属ベース回路基板であって、
前記絶縁層が、溶剤可溶性の液晶ポリエステルによって形成されたことを特徴とする金属ベース回路基板。 - 前記液晶ポリエステルが、下式(1)で示された構造単位と、下式(2)で示された構造単位と、下式(3)で示された構造単位とを有し、且つ、
全構造単位に対する各構造単位の比が、下式(1)の構造単位は30〜80モル%、下式(2)の構造単位は35〜10モル%、且つ、下式(3)の構造単位は35〜10モル%である、
ことを特徴とする請求項1に記載の金属ベース回路基板。
(1)−O−Ar1−CO−
(2)−CO−Ar2−CO−
(3)−X−Ar3−Y−
Ar1:フェニレンまたはナフチレン
Ar2:フェニレン、ナフチレンまたは下式(4)で表される基
Ar3:フェニレンまたは下式(4)で表される基
X,Y:それぞれ独立にOまたはOHを表す
ここで、Ar1,Ar2及びAr3の芳香環に結合している水素原子は、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。
(4)−Ar11−Z−Ar12−
Ar11,Ar12は、それぞれ独立にフェニレン又はナフチレンを表す。ZはO,CO又はSO2を表す。 - 前記絶縁層が、無機充填材を含む溶剤可溶性液晶ポリエステルであることを特徴とする請求項1または2に記載の金属ベース回路基板。
- 前記無機充填材の熱伝導率が30W/(m・K)以上であることを特徴とする請求項3に記載の金属ベース回路基板。
- 前記発光部品が発光ダイオードであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の金属ベース回路基板。
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