JP5237892B2 - 積層体の製造方法、積層体およびsus基板 - Google Patents

積層体の製造方法、積層体およびsus基板 Download PDF

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本発明は、SUS基板に高分子絶縁体材料として用いられる積層体の製造方法と、この製造方法によって得られた積層体と、この積層体に回路が構成されたSUS基板とに関するものである。
近年、液晶ポリマーは、吸水性が低くて電気的絶縁性に優れるという特性を有することから、各種の装置・機器において、高分子絶縁体材料として利用することが検討されてきている。例えば、プリント配線板用基板やインクジェットヘッド用振動板のほか、ハードディスク装置における高分子絶縁体材料が想定されている(例えば、特許文献1参照)。
ところが、このような液晶ポリマーをTダイ成形やインフレーション成形などの押出成形によってフィルム化する場合、得られる液晶ポリマーフィルムは、異方性が大きく、特定方向(成形時の流動方向および膜厚方向)の引裂強度が非常に弱い。そのため、液晶ポリマーフィルムと基材との界面強度をいくら増大させても、母材(液晶ポリマーフィルム)で破壊してしまう。したがって、液晶ポリマーフィルムと基材との密着強度を向上させることの意味が薄れてしまう。
そこで、押出成形の代わりに、ハロゲン置換フェノール化合物を溶媒として用いて液晶ポリマー溶液を調製し、この液晶ポリマー溶液を基材に流延した後、これを加熱処理して積層体を製造することにより、基材に対する液晶ポリマーフィルムの密着性を改善しようとする技術が提案されていた(例えば、特許文献2参照)。
特開2004−174901号公報(段落〔0002〕〔0029〕の欄、図3) 特開2008−73985(段落〔0033〕〔0043〕の欄)
しかしながら、特許文献2で提案された技術では、基材に対する液晶ポリマーフィルムの密着性を改善できるものの、ハロゲン置換フェノール化合物を用いるので、腐食性が高くて取扱いが難しいという問題があった。
そこで、本発明は、このような事情に鑑み、腐食性が高くて取扱いが難しいという問題を生じることなく界面の密着性を改善することが可能な積層体の製造方法、積層体およびSUS基板を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するために、本発明者が鋭意検討したところ、溶媒可溶性の液晶ポリマーを用いてキャスト法でSUS箔層上に液晶ポリマー層を形成することに加えて、SUS箔層の平坦性を維持しつつ、SUS箔層と液晶ポリマー層との界面におけるアンカー効果を高めるべく、SUS箔層の表面を化学粗化することに着目した。
すなわち、請求項1に記載の発明は、SUS箔層と液晶ポリマー層とが積層された積層体の製造方法であって、SUS箔の表面をその十点平均高さが40nm以上となるように化学的に粗化して前記SUS箔層を形成するSUS箔層形成工程と、ハロゲン原子を含まない非プロトン性溶媒に液晶ポリマーを溶解させて液晶ポリマー溶液を調製する溶液調製工程と、前記SUS箔層上に前記液晶ポリマー溶液を塗工する溶液塗工工程と、前記液晶ポリマー溶液に含まれる非プロトン性溶媒を除去して前記液晶ポリマー層を形成する液晶ポリマー層形成工程とを含む積層体の製造方法としたことを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記液晶ポリマー層を不活性ガス雰囲気下において温度200℃以上で加熱処理して改質する液晶ポリマー層改質工程を含むことを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の構成に加え、前記SUS箔が、オーステナイト系、フェライト系またはマルテンサイト系のSUSからなることを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の構成に加え、前記液晶ポリマーは、以下の式(1)、(2)および(3)で示される構造単位を有し、全構造単位の合計に対して、式(1)で示される構造単位が30〜60モル%、式(2)で示される構造単位が20〜35モル%、式(3)で示される構造単位が20〜35モル%の液晶ポリマーであることを特徴とする。
(1)−O−Ar1 −CO−
(2)−CO−Ar2 −CO−
(3)−X−Ar3 −Y−
(式中、Ar1 は、フェニレンまたはナフチレンを表し、Ar2 は、フェニレン、ナフチレンまたは下記式(4)で表される基を表し、Ar3 はフェニレンまたは下記式(4)で表される基を表し、XおよびYは、それぞれ独立に、OまたはNHを表す。なお、Ar1 、Ar2 およびAr3 の芳香環に結合している水素原子は、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基で置換されていてもよい。)
(4)−Ar11−Z−Ar12
(式中、Ar11、Ar12は、それぞれ独立に、フェニレンまたはナフチレンを表し、Zは、O、COまたはSO2 を表す。)
また、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の構成に加え、前記液晶ポリマーが、芳香族ジアミン由来の構造単位および/またはヒドロキシル基を有する芳香族アミン由来の構造単位を全構造単位の合計に対して20〜35モル%含む液晶ポリマーであることを特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の構成に加え、前記液晶ポリマーが、芳香族ジアミン由来の構造単位およびヒドロキシル基を有する芳香族アミン由来の構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一方の構造単位を全構造単位の合計に対して20〜35モル%含む液晶ポリマーであることを特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載の積層体の製造方法によって得られた積層体としたことを特徴とする。
また、請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の積層体に回路が構成されているSUS基板としたことを特徴とする。
さらに、請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の構成に加え、前記回路は、前記SUS箔層に形成された導体パターンによって構成されていることを特徴とする。
本発明によれば、SUS箔層に対して液晶ポリマー層がキャスト法によって積層されることに加えて、SUS箔層の表面が化学粗化されて所定の表面粗さとなっていることから、SUS箔層と液晶ポリマー層との界面の密着性を大幅に改善することができる。しかも、ハロゲン置換フェノール化合物を用いる必要がないので、腐食性が高くて取扱いが難しいという問題の発生を回避することができる。
本発明の実施の形態1に係る積層体を示す図であって、(a)はその斜視図、(b)はその拡大断面図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
[発明の実施の形態1]
図1には、本発明の実施の形態1を示す。この実施の形態1では、SUS箔層2の片面に液晶ポリマー層3が積層された積層体1について、その構成および製造方法を順次説明する。
まず、積層体1の構成について説明する。
この実施の形態1に係る積層体1は、図1に示すように、シート状のSUS箔層2を有しており、SUS箔層2の片面(図1(b)上面)には、シート状の液晶ポリマー層3が積層されている。
ここで、SUS箔層2の厚さは、5〜150μmの範囲内であり、より好ましくは10〜70μmの範囲内、特に好ましくは10〜35μmの範囲内である。SUS箔層2の厚さを薄くすることは、ファインパターンを形成可能であるという点から好ましいが、その厚さが薄くなりすぎると、製造工程においてSUS箔層2にシワが生じたりする他、SUS箔層2に回路を形成する際に、配線の破断が生じたり、回路基板としての信頼性が低下したりする恐れがある。逆に、SUS箔層2の厚さが厚くなると、例えばエッチング加工してSUS箔層2に回路を形成する際に、この回路の側面にテーパーが生じ、微細パターンの形成が困難となる。
また、液晶ポリマー層3の厚さは、1〜200μmの範囲内であり、より好ましくは2〜100μmの範囲内、特に好ましくは3〜50μmの範囲内である。液晶ポリマー層3の厚さを薄くすると、液晶ポリマー層3の膜厚の不均一性(ばらつき)を抑制することが困難となる。逆に、液晶ポリマー層3の厚さを厚くすると、液晶ポリマー層3の柔軟性が低下する。
なお、液晶ポリマー層3の厚さをSUS箔層2の厚さで除した値は、0.7〜20の範囲内にあることが、反りを抑制して取扱い容易性を向上させる点から好ましい。
また、SUS箔層2は、オーステナイト系、フェライト系またはマルテンサイト系のSUS箔から構成され、より好ましくは、SUS430、SUS304またはSUS316からなるSUS箔から構成される。このSUS箔の表面は、その十点平均高さRzが40nm以上となるように化学的に粗化されている。この粗化の方法としては、酸性溶液を用いる化学的な粗化がよい。この酸性溶液としては、特に塩化第二鉄水溶液、塩酸、硫酸水溶液が好ましい。なかでも、塩化第二鉄水溶液が取扱い容易性の点から好適である。なお、十点平均高さRzは、面内の均一性の点から、通常3μm以下、好ましくは2μm以下である。
また、液晶ポリマー層3は、サーモトロピック液晶ポリマーと呼ばれる液晶ポリマーから構成されている。この液晶ポリマーは、450℃以下の温度で光学的に異方性を示す溶融体を形成するものである。好適には、芳香族基がエステル結合で連結しているような液晶ポリエステルを挙げることができる。なお、この液晶ポリエステルは、分子内のエステル結合の一部がアミド結合で置換されたような液晶ポリエステル―アミドをも含む概念である。
この液晶ポリマーは、以下の式(1)、(2)および(3)で示される構造単位を有し、全構造単位の合計に対して、式(1)で示される構造単位が30〜60モル%、式(2)で示される構造単位が20〜35モル%、式(3)で示される構造単位が20〜35モル%の液晶ポリマーであることが好ましい。
(1)−O−Ar1 −CO−
(2)−CO−Ar2 −CO−
(3)−X−Ar3 −Y−
(式中、Ar1 は、フェニレンまたはナフチレンを表し、Ar2 は、フェニレン、ナフチレンまたは下記式(4)で表される基を表し、Ar3 はフェニレンまたは下記式(4)で表される基を表し、XおよびYは、それぞれ独立に、O(酸素原子)またはNH(アミノ基)を表す。なお、Ar1 、Ar2 およびAr3 の芳香環に結合している水素原子は、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基で置換されていてもよい。)
(4)−Ar11−Z−Ar12
(式中、Ar11、Ar12は、それぞれ独立に、フェニレンまたはナフチレンを表し、Zは、O(酸素原子)、CO(カルボニル基)またはSO2 (スルホニル基)を表す。)
これらの構造単位を含む液晶ポリマーは、寸法安定性に優れるという利点を有し、SUS基板の液晶ポリマー層に好適に使用することができる。
構造単位(1)は、芳香族ヒドロキシカルボン酸由来の構造単位、構造単位(2)は、芳香族ジカルボン酸由来の構造単位、構造単位(3)は、芳香族ジオール、芳香族ジアミンまたはヒドロキシル基(水酸基)を有する芳香族アミン由来の構造単位であるが、これらの代わりに、それらのエステル形成性誘導体を用いてもよい。なお、このエステル形成性誘導体は、アミド結合を形成するような誘導体をも含むものである。
ここで、カルボン酸のエステル形成性誘導体としては、例えば、カルボキシル基が、ポリエステルやポリアミドを生成する反応を促進するような、酸塩化物、酸無水物などの反応活性が高い誘導体となっているもの、カルボキシル基が、エステル交換反応によりポリエステルを生成するようなアルコール類やエチレングリコールなどとエステルを形成しているものなどが挙げられる。
また、フェノール性ヒドロキシル基(フェノール性水酸基)のエステル形成性誘導体としては、例えば、エステル交換反応によりポリエステルを生成するように、フェノール性ヒドロキシル基がカルボン酸類とエステルを形成しているものなどが挙げられる。
さらに、アミノ基のエステル形成性誘導体としては、例えば、エステル交換反応によりポリエステルまたはポリアミドを生成するように、アミノ基がカルボン酸類とアミドを形成しているものなどが挙げられる。
本発明に使用される液晶ポリマーの構造単位としては、下記のものを例示することができる。
まず、構造単位(1)としては、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、4−ヒドロキシ−4’−ビフェニルカルボン酸由来の構造単位などが挙げられ、2種以上の前記構造単位が、全構造単位中に含まれていてもよい。これらの構造単位の中で、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸由来の構造単位を含むことが好ましい。
この構造単位(1)は、全構造単位の合計に対して30〜60モル%であることが好ましく、35〜55モル%であることがより好ましく、40〜50モル%であることがさらに好ましい。全構造単位の合計に対する構造単位(1)の割合がこの範囲であると、液晶ポリマーが十分液晶性を発現するとともに、溶媒に対して十分な溶解性を有するものとなるため、後述するキャスト法による液晶ポリマー層の形成が容易になるという利点がある。
また、構造単位(2)としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−オキシジフェニルジカルボン酸由来の構造単位などが挙げられ、2種以上の前記構造単位が、全構造単位中に含まれていてもよい。これらの構造単位の中でも、イソフタル酸由来の構造単位を含む液晶ポリマーは、溶媒に対する溶解性が良好となる点で好ましい。
この構造単位(2)は、全構造単位の合計に対して35〜20モル%であることが好ましく、32.5〜22.5モル%であることがより好ましく、30〜25モル%であることがさらに好ましい。全構造単位の合計に対する構造単位(2)の割合がこの範囲であると、液晶ポリマーが十分液晶性を発現するとともに、溶媒に対して十分な溶解性を有するものとなるため、後述するキャスト法による液晶ポリマー層の形成が容易になるという利点がある。
さらに、構造単位(3)としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3−アミノフェノール、4−アミノフェノール、1,4−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル由来の構造単位などが挙げられ、2種以上の前記構造単位が、全構造単位中に含まれていてもよい。これらの構造単位の中で、液晶ポリマーと溶媒とを含む液晶ポリマー溶液を形成し易いという観点と、液晶ポリマー層とSUS箔層との優れた密着性が得られる観点から、構造単位(3)のX、Yの少なくも一方がNHである構造単位を含む液晶ポリマーが好ましく、4−アミノフェノール由来の構造単位を含む液晶性ポリマーを使用することが好ましい。
この構造単位(3)は、全構造単位の合計に対して35〜20モル%であることが好ましく、32.5〜22.5モル%であることがより好ましく、30〜25モル%であることがさらに好ましい。全構造単位の合計に対する構造単位(3)の割合がこの範囲であると、液晶ポリマーが十分液晶性を発現するとともに、溶媒に対して十分な溶解性を有するものとなるため、後述するキャスト法による液晶ポリマー層の形成が容易になるという利点がある。
なお、構造単位(3)は構造単位(2)と実質的に等量であることが好ましいが、構造単位(3)を構造単位(2)に対して、90モル%〜110モル%となるようにして、液晶ポリマーの重合度を制御することもできる。
本発明で使用される液晶ポリマーの製造方法は、特に限定されないが、例えば、構造単位(1)に対応する芳香族ヒドロキシ酸、構造単位(3)に対応する芳香族ジオール、ヒドロキシル基を有する芳香族アミンおよび/または芳香族ジアミンのフェノール性ヒドロキシル基やアミノ基を過剰量の脂肪酸無水物によりアシル化してアシル化物を得、得られたアシル化物と、構造単位(2)に対応する芳香族ジカルボン酸とをエステル交換(重縮合)して溶融重合する方法などが挙げられる(例えば、特開2002−220444号公報、特開2002−146003号公報参照)。
アシル化反応においては、脂肪酸無水物の添加量は、フェノール性ヒドロキシル基とアミノ基の合計に対して、1.0〜1.2倍当量であることが好ましく、より好ましくは1.05〜1.1倍当量である。脂肪酸無水物の添加量が1.0倍当量未満では、エステル交換(重縮合)時にアシル化物や原料モノマーなどが昇華し、反応系が閉塞し易い傾向があり、また、1.2倍当量を超える場合には、得られる液晶ポリマーの着色が著しくなる傾向がある。
このアシル化反応は、130〜180℃で5分〜10時間反応させることが好ましく、140〜160℃で10分〜3時間反応させることがより好ましい。
また、アシル化反応に使用される脂肪酸無水物は、特に限定されないが、例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水イソ酪酸、無水吉草酸、無水ピバル酸、無水2エチルヘキサン酸、無水モノクロル酢酸、無水ジクロル酢酸、無水トリクロル酢酸、無水モノブロモ酢酸、無水ジブロモ酢酸、無水トリブロモ酢酸、無水モノフルオロ酢酸、無水ジフルオロ酢酸、無水トリフルオロ酢酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水β−ブロモプロピオン酸などが挙げられ、これらは2種類以上を混合して用いてもよい。価格と取扱性の観点から、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水イソ酪酸が好ましく、より好ましくは、無水酢酸である。
エステル交換においては、アシル化物のアシル基がカルボキシル基の0.8〜1.2倍当量であることが好ましい。
このエステル交換は、130〜400℃で0.1〜50℃/分の割合で昇温しながら行なうことが好ましく、150〜350℃で0.3〜5℃/分の割合で昇温しながら行なうことがより好ましい。
アシル化反応およびエステル交換を行う際には、ル・シャトリエ‐ブラウンの法則(平衡移動の原理)により、平衡を移動させるため、副生する脂肪酸と未反応の脂肪酸無水物は、蒸発させるなどして系外へ留去することが好ましい。
なお、アシル化反応、エステル交換は、触媒の存在下に行ってもよい。触媒としては、従来からポリエステルの重合用触媒として公知のものを使用することができ、例えば、酢酸マグネシウム、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、三酸化アンチモンなどの金属塩触媒、N,N−ジメチルアミノピリジン、N−メチルイミダゾールなどの有機化合物触媒などを挙げることができる。
但し、これらの触媒は、生成する液晶ポリマーから除去されず、液晶ポリマーに残存したままとなることがある。そのため金属を含む触媒を用いた場合、液晶ポリマーに残存した金属が、液晶ポリマー層において電気特性等に悪影響を及ぼす場合がある。したがって、触媒としては有機化合物触媒が好ましく、中でも、N,N−ジメチルアミノピリジン、N−メチルイミダゾールなどの窒素原子を含む複素環化合物が好ましく使用される(特開2002−146003号公報参照)。
このとき、触媒は、アシル化反応、エステル交換の一時期に存在していればよく、アシル化反応前に、液晶ポリマー製造用のモノマー類と同時に仕込む形式でもよく、アシル化反応またはエステル交換の途中に仕込む形式でもよい。
エステル交換による重縮合は、通常、溶融重合により行なわれるが、溶融重合と固相重合とを併用してもよい。固相重合は、溶融重合工程からポリマーを抜き出し、その後、粉砕してパウダー状もしくはフレーク状にした後、加熱処理により行うことができる。具体的には、例えば、窒素などの不活性雰囲気下、20〜350℃で、1〜30時間固相状態で熱処理する方法などが挙げられる。固相重合は、攪拌しながらでも、攪拌することなく静置した状態で行ってもよい。なお適当な攪拌機構を備えることにより溶融重合槽と固相重合槽とを同一の反応槽とすることもできる。固相重合後、得られた液晶ポリマーは、取扱性を良好にするためにペレット化してもよい。
なお、液晶ポリマーの製造は、例えば、回分装置、連続装置等を用いて行うことができる。
液晶ポリマーの質量平均分子量は、特に限定されないが、通常10000〜500000程度である。液晶ポリマーの分子量が高いほど、この液晶ポリマーを含む樹脂層、つまり液晶ポリマー層の寸法安定性が良好となる傾向がある。前記のように、液晶ポリマーを製造するに際し、溶融重合と固相重合とを併用することで、液晶ポリマーの高分子量化を達成することができる。ただし、後述するキャスト法を液晶ポリマー層の形成に使用する場合、液晶ポリマーと溶媒とを含む液晶ポリマー溶液を調製することが必要であるので、溶媒に対する液晶ポリマーの溶解性を考慮して、液晶ポリマーの質量平均分子量を決定することが望ましい。
次に、前記した好適な液晶ポリマーを含む液晶ポリマー層について説明する。
この液晶ポリマー層には、本発明の目的を損なわない範囲で、公知のフィラー(無機・有機の別を問わない。)、添加剤その他を含んでいてもよい。
無機フィラーとしては、例えば、シリカ、ガラス、アルミナ、酸化チタン、ジルコニア、カオリン、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、ホウ酸アルミニウム、硫酸マグネシウム、酸化亜鉛、炭化ケイ素、窒化ケイ素などの材質からなる、繊維状、粒子状、板状またはウィスカー状の無機フィラーが挙げられる。これらの中でも、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、酸化亜鉛、炭化ケイ素、窒化ケイ素またはアルミナからなる粒子状の無機フィラー、あるいはガラス繊維、アルミナ繊維等の繊維状フィラーが好ましい。なお、無機フィラ−が粒子状フィラーである場合、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて透過率約80%で求められた粒度累積分布において、最小粒子径から10%の相対粒子量に当る粒子径D10(μm)と、90%の相対粒子量に当る粒子径D90(μm)を求めたときに、D10が1.0μm以下で、D90が5.0μm以上であることが寸法安定性を向上させる上で好ましい。
また、前記液晶ポリマー層には、ニッケル成分やケイ素成分を遊離しないような有機フィラーを使用することができ、エポキシ樹脂粉末、メラミン樹脂粉末、尿素樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、スチレン樹脂粉末などの有機系フィラーが好適なものとして例示できる。
一方、添加剤としては、チタン系カップリング剤、沈降防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤などが挙げられる。
これらのフィラーや添加剤は、2種以上を用いることも勿論できる。
また、前記液晶ポリマー層には、本発明の目的を損なわない範囲で、液晶ポリマー以外の樹脂成分、すなわち、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルエーテルおよびその変性物、ポリエーテルイミドなどの熱可塑性樹脂、グリシジルメタクリレートとポリエチレンの共重合体などのエラストマーなどを一種または二種以上を添加してもよい。
液晶ポリマー溶液には通常、溶媒に対して液晶ポリマーが0.5〜50質量%、好ましくは5〜30質量%含有される。液晶ポリマーの量が少ないと、液晶ポリマー層の生産効率が低下する傾向があり、液晶ポリマーの量が多いと、溶解が困難になる傾向がある。
なお、この液晶ポリマー溶液は、必要に応じて、フィルター等を用いたろ過処理により、この液晶ポリマー溶液中に含まれる微細な異物を除去しても構わない。
上述したように、フィラーを含む液晶ポリマー層を得るには、液晶ポリマー溶液にフィラーを含有させればよい。このフィラーは、液晶ポリマー100質量部に対して、通常100質量部以下、好ましくは40質量部以下で使用される。このフィラーは、液晶ポリマーとの相溶性や、密着性を高めるために、表面処理されたものであってもよい。
そして、この積層体1を製造する際には、以下に述べるとおり、SUS箔の表面を化学的に粗化してSUS箔層2を形成した後、液晶ポリマーと溶媒とを含む液晶ポリマー溶液を用いるキャスト法により、このSUS箔層2の片面に液晶ポリマー層3を形成する。
まず、SUS箔層形成工程で、SUS箔の表面を化学的に粗化することにより、SUS箔層2を形成する。このとき、SUS箔の表面粗さを十点平均高さRzで40nm以上となるようにする。
一方、溶液調製工程で、液晶ポリマーを溶媒に溶解させて液晶ポリマー溶液(液状組成物)を調製する。
このとき、液晶ポリマーを溶解させる溶媒としては、ハロゲン原子を含まない非プロトン性溶媒を用いる。このような非プロトン性溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチルラクトン、ジメチルイミダゾリジノン、テトラメチルホスホリックアミドおよびエチルセロソルブアセテート等の非プロトン性溶媒が好ましい。これらの溶媒は二種以上を混合して使用してもよい。
また、こうした非プロトン性溶媒の中でも、液晶ポリマーの溶媒可溶性を一層良好にして液晶ポリマーを調製しやすくする点では、双極子モーメントが3以上5以下の非プロトン性極性溶媒が一層好ましい。このような非プロトン性極性溶媒の具体例としては、例えば、アミド系溶媒、ラクトン系溶媒が好ましく、N,N'−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N'−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などを挙げることができる。
こうして液晶ポリマー溶液が調製されたところで、溶液塗工工程に移行し、この液晶ポリマー溶液をSUS箔層2上に塗工する。
この塗工としては、例えば、流延塗工を採用することができる。流延塗工を行う場合には、ローラーコート法、ディップコート法、スプレイコート法、スピナーコート法、カーテンコート法、スロットコート法、スクリーン印刷法など公知の手法を用いることができる。或いは、この流延塗工に代えて、はけ(刷毛)を用いてSUS箔層2上に液晶ポリマー溶液を塗布する方法や、SUS箔層2に対してスプレーで液晶ポリマー溶液を吹き付ける方法を採用しても構わない。
こうして液晶ポリマー溶液がSUS箔層2上に塗工されたところで、液晶ポリマー層形成工程に移行し、液晶ポリマー溶液に含まれる非プロトン性溶媒を除去することにより、SUS箔層2上に液晶ポリマー層3を形成する。
このとき、非プロトン性溶媒の除去方法は、特に限定されないが、非プロトン性溶媒を蒸発させる方法が好ましい。この蒸発としては、加熱処理、減圧処理、通風処理またはこれらを組み合わせて採用することができる。特に加熱処理が好ましく、加熱処理の条件は、80℃〜200℃程度の温度で10〜120分程度が適切である。
こうしてSUS箔層2上に液晶ポリマー層3が形成されたところで、液晶ポリマー層改質工程に移行し、液晶ポリマー層3を加熱処理することにより、液晶ポリマー層3を改質する。この改質は、液晶ポリマー層にある液晶ポリマーの配向を制御するためのものであり、このような改質により、液晶ポリマー層の機械強度等の特性を向上することができる。なお、この改質は、窒素などの不活性ガス雰囲気下において、温度200℃以上(好ましくは、250〜350℃の範囲内)で600分以下の時間で実施することが適切である。
ここで、積層体1の製造作業が終了し、SUS箔層2と液晶ポリマー層3とが積層された積層体1が完成する。
このような製造方法によれば、SUS箔層2に対して液晶ポリマー層3がキャスト法によって積層されるため、SUS箔層2と液晶ポリマー層3との界面で良好な密着性が発現する。
さらに、SUS箔層2の表面は、上述したとおり、化学的に粗化されているので、SUS箔層2と液晶ポリマー層3との界面において、アンカー効果が増大して密着性がますます向上する。また、物理的な粗化であれば、シート状のSUS箔層2が反ってしまい、溶液塗工工程でSUS箔層2上に液晶ポリマー溶液を均一に塗れなくなるという不都合があるのに対して、化学的な粗化であれば、このような不都合は生じない。
しかも、上述した特許文献2で提案された技術と異なり、ハロゲン置換フェノール化合物を用いる必要がないので、積層体1は、腐食性が高くて取扱いが難しいという問題を惹起する恐れがなく、実用性に優れる。
そして、こうして完成した積層体1に回路を構成すれば、SUS基板となる。この回路の構成方法としては、例えば、エッチング加工によってSUS箔層2に導体パターンを形成する方法が考えられる。
[発明のその他の実施の形態]
なお、上述した実施の形態1では、SUS箔層2がオーステナイト系、フェライト系またはマルテンサイト系のSUS箔から構成される場合について説明したが、SUS箔の材料(ステンレス)は、所定の表面粗さ(十点平均高さRz)を実現可能なものである限り、これら3つの分類に限るわけではない。
また、上述した実施の形態1では、積層体1の製造に際して、液晶ポリマー層形成工程の後に液晶ポリマー層改質工程に移行する場合について説明したが、液晶ポリマー層3を改質する必要がない場合には、この液晶ポリマー層改質工程を省くことも可能である。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明が実施例に限定されるものでないことは言及するまでもない。
[液晶ポリマー溶液の調製]
攪拌装置、トルクメータ、窒素導入管、温度計および還流冷却器を備えた反応器に、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸941g(5.0モル)、4−アミノフェノール273g(2.5モル)、イソフタル酸415.3g(2.5モル)および無水酢酸1123g(11モル)を仕込んだ。反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で15分かけて150℃まで昇温し、その温度150℃を保持して3時間還流させた。
その後、留出する副生酢酸および未反応の無水酢酸を留去しながら、170分かけて320℃まで昇温し、トルクの上昇が認められる時点を反応終了とみなし、内容物を取り出した。得られた樹脂は粗粉砕機で粉砕後、液晶ポリマー粉末の一部を偏光顕微鏡観察において10℃/分で昇温して観察した結果、350℃で液晶相特有のシュリーレン模様を示した。
こうして得られた粗粉砕後の液晶ポリマー粉末を窒素雰囲気下250℃で3時間保持し、固相で重合反応を進めた。次いで、得られた液晶ポリマー粉末8gをN−メチル−2−ピロリドン92gに加え、160℃に加熱して完全に溶解したところ、褐色透明な溶液が得られた。この溶液を攪拌および脱泡し、液晶ポリマー溶液を得た。
[SUS箔層の製造]
市販の厚さ30μmのSUS箔(日本金属社製:430H)を塩化第二鉄水溶液(ボーメ度40°、木田株式会社製)を充填したエッチング装置(二宮システム社製:EDシリーズ)で30秒間にわたって表面処理を行い、SUS箔層を得た。このとき、表面処理圧力を1000mm/min、2000mm/min、3000mm/minの3段階に変えて、3種類のSUS箔層を製造した。
[SUS箔層の十点平均高さの測定]
こうして得られたSUS箔層について、十点平均高さRzを測定した。この測定は、島津製作所社製の走査型プローブ顕微鏡SPM−9500を用いて、温度23℃、相対湿度50%の条件下で実施した。測定面積は10μm2 であった。その結果、1000mm/minの圧力で表面処理したSUS箔層は、十点平均高さRzが169.5nmであった。また、2000mm/minの圧力で表面処理したSUS箔層は、十点平均高さRzが53.3nmであった。さらに、3000mm/minの圧力で表面処理したSUS箔層は、十点平均高さRzが43.6nmであった。
[実施例1]
1000mm/minの圧力で表面処理したSUS箔層上にフィルムアプリケーターで液晶ポリマー溶液をキャストし、ホットプレートにより、温度80℃で1時間乾燥した。窒素雰囲気下熱風オーブン中で昇温速度0.5℃/分で30℃から昇温を開始して320℃まで加熱し、その温度320℃で3時間保持する熱処理(アニール処理)を行って歪みを除去し、室温に戻るまで窒素雰囲気下で静置して、SUS基板(実施例1)を作製した。液晶ポリマー層の厚さは8μmであった。
[実施例2]
1000mm/minの圧力で表面処理したSUS箔層の代わりに、2000mm/minの圧力で表面処理したSUS箔層を用いて、上述した実施例1と同様にして、SUS基板(実施例2)を作製した。液晶ポリマー層の厚さは8μmであった。
[実施例3]
1000mm/minの圧力で表面処理したSUS箔層の代わりに、3000mm/minの圧力で表面処理したSUS箔層を用いて、上述した実施例1と同様にして、SUS基板(実施例3)を作製した。液晶ポリマー層の厚さは8μmであった。
[比較例1]
化学粗化したSUS箔層に代えて未処理のSUS箔層を採用したことを除き、上述した実施例1と同様にして、SUS基板(比較例1)を作製した。液晶ポリマー層の厚さは8μmであった。
[比較例2]
化学粗化したSUS箔層に代えて物理粗化したSUS箔層を採用したことを除き、上述した実施例1と同様にして、SUS基板(比較例2)を作製した。
すなわち、圧縮空気を用いてSUS箔の表面に研磨材(アルミナ)を0.1MPaの圧力で吹き付けるブラスト処理により、SUS箔を物理的に粗化した。このSUS箔の十点平均高さRzは113.8nmであった。このとき、SUS箔は、表面処理面を外側に大きく反っていた。そして、このSUS箔を用いて、実施例1と同様の手順でSUS基板を作製した。液晶ポリマー層の厚さは8μmであった。
[密着強度の測定]
こうして得られた実施例1〜3および比較例1、2について、SUS箔層に対する液晶ポリマー層の密着強度を比較するため、幅10mmの試験片を切り出し、それぞれ90°ピール強度を測定した。すなわち、液晶ポリマー層を固定した状態でSUS箔層を50mm/分の剥離速度で剥離して90°剥離強度を測定することにより、SUS基板の液晶ポリマー層とSUS箔層の90°ピール強度を測定した。その結果を表1、2に示す。
Figure 0005237892
Figure 0005237892
表1、2から明らかなように、90°ピール強度は、比較例1では、0.1N/cmであったのに対して、実施例1では、7.7N/cm、実施例2では、6.9N/cm、実施例3では、7.2N/cmであった。つまり、比較例1に比べて実施例1〜3は、69〜77倍の90°ピール強度を示した。
一方、表2から明らかなように、90°ピール強度は、比較例1では、0.1N/cmであったのに対して、比較例2では、0.9N/cmであった。つまり、比較例1に比べて比較例2は、9倍の90°ピール強度を示した。
[密着性の評価]
また、実施例1〜3および比較例1、2について、熱硬化性エッチングレジスト(太陽インキ製造:X87)を用いて、SUS箔層に幅1mm、長さ10cmの回路を1mmピッチで平行に並べて形成した。これらを温度45℃の3%NaOH水溶液に60分浸漬し、その時点で回路剥離の有無を目視で判定し、これによって密着性を評価した。その結果を表1、2に示す。表1、2において、「×」は回路剥離が認められたことを示し、「○」は回路剥離が認められなかったことを示す。
表1、2から明らかなように、比較例1、2では回路剥離が認められたのに対して、実施例1〜3では回路剥離が認められなかった。
本発明は、単層型または多層型の各種のプリント配線板に広く適用することができる。
1……積層体
2……SUS箔層
3……液晶ポリマー層

Claims (9)

  1. SUS箔層と液晶ポリマー層とが積層された積層体の製造方法であって、
    SUS箔の表面をその十点平均高さが40nm以上となるように化学的に粗化して前記SUS箔層を形成するSUS箔層形成工程と、
    ハロゲン原子を含まない非プロトン性溶媒に液晶ポリマーを溶解させて液晶ポリマー溶液を調製する溶液調製工程と、
    前記SUS箔層上に前記液晶ポリマー溶液を塗工する溶液塗工工程と、
    前記液晶ポリマー溶液に含まれる非プロトン性溶媒を除去して前記液晶ポリマー層を形成する液晶ポリマー層形成工程と
    を含むことを特徴とする積層体の製造方法。
  2. 前記液晶ポリマー層を不活性ガス雰囲気下において温度200℃以上で加熱処理して改質する液晶ポリマー層改質工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の積層体の製造方法。
  3. 前記SUS箔が、オーステナイト系、フェライト系またはマルテンサイト系のSUSからなることを特徴とする請求項1または2に記載の積層体の製造方法。
  4. 前記液晶ポリマーは、以下の式(1)、(2)および(3)で示される構造単位を有し、全構造単位の合計に対して、式(1)で示される構造単位が30〜60モル%、式(2)で示される構造単位が20〜35モル%、式(3)で示される構造単位が20〜35モル%の液晶ポリマーであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の積層体の製造方法。
    (1)−O−Ar1 −CO−
    (2)−CO−Ar2 −CO−
    (3)−X−Ar3 −Y−
    (式中、Ar1 は、フェニレンまたはナフチレンを表し、Ar2 は、フェニレン、ナフチレンまたは下記式(4)で表される基を表し、Ar3 はフェニレンまたは下記式(4)で表される基を表し、XおよびYは、それぞれ独立に、OまたはNHを表す。なお、Ar1 、Ar2 およびAr3 の芳香環に結合している水素原子は、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基で置換されていてもよい。)
    (4)−Ar11−Z−Ar12
    (式中、Ar11、Ar12は、それぞれ独立に、フェニレンまたはナフチレンを表し、Zは、O、COまたはSO2 を表す。)
  5. 前記液晶ポリマーが、芳香族ジアミン由来の構造単位および/またはヒドロキシル基を有する芳香族アミン由来の構造単位を全構造単位の合計に対して20〜35モル%含む液晶ポリマーであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の積層体の製造方法。
  6. 前記液晶ポリマーが、芳香族ジアミン由来の構造単位およびヒドロキシル基を有する芳香族アミン由来の構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一方の構造単位を全構造単位の合計に対して20〜35モル%含む液晶ポリマーであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の積層体の製造方法。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載の積層体の製造方法によって得られたことを特徴とする積層体。
  8. 請求項7に記載の積層体に回路が構成されていることを特徴とするSUS基板。
  9. 前記回路は、前記SUS箔層に形成された導体パターンによって構成されていることを特徴とする請求項8に記載のSUS基板。
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