JP2009280206A - 自動車用バンパー芯材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】バリが発生しても取り付けを阻害しない程度にとどめられる又はバリ取り処理が簡単に行える自動車用バンパー芯材を提供し、各種のデザインに対応可能なその製造方法を提供する。
【解決手段】仕切られたキャビティ内に其々に合成樹脂発泡粒子を充填し、キャビティ内から仕切材を後退させた後、発泡粒子を加熱融着させて一体化させ、高エネルギー吸収領域と低エネルギー吸収領域が一体に成形されたエネルギー吸収部と、該エネルギー吸収部の上部または下部の一方、或いは両方に成形された造形部とからなる自動車用バンパー芯材の製造において、上記仕切材を、バンパー芯材の車体側の型に設けられた挿通孔を介してキャビティ内に進退自在に形成すると共に、バンパー芯材の高エネルギー吸収領域と低エネルギー吸収領域との境界部に対応する位置、及び高エネルギー吸収領域及び/又は低エネルギー吸収領域と造形部との境界部に対応する位置に設けた。
【選択図】図6
【解決手段】仕切られたキャビティ内に其々に合成樹脂発泡粒子を充填し、キャビティ内から仕切材を後退させた後、発泡粒子を加熱融着させて一体化させ、高エネルギー吸収領域と低エネルギー吸収領域が一体に成形されたエネルギー吸収部と、該エネルギー吸収部の上部または下部の一方、或いは両方に成形された造形部とからなる自動車用バンパー芯材の製造において、上記仕切材を、バンパー芯材の車体側の型に設けられた挿通孔を介してキャビティ内に進退自在に形成すると共に、バンパー芯材の高エネルギー吸収領域と低エネルギー吸収領域との境界部に対応する位置、及び高エネルギー吸収領域及び/又は低エネルギー吸収領域と造形部との境界部に対応する位置に設けた。
【選択図】図6
Description
本発明は、自動車用バンパー芯材の製造方法に関する。
自動車の車体の前、後部に取り付けられるバンパーは、エネルギー吸収部材としての合成樹脂発泡体からなる芯材(以下、バンパー芯材という)をポリプロピレンやポリウレタン成形品からなる表皮で覆い、これを金属又は合成樹脂から箱状或いは断面コ字状に形成され自動車本体に取り付けられたバックアップビーム(バックアップビームは、当業界では、バックビーム又はビームと略されて使用されたり、或いは、バンパー強度部材、レインフォースメント、又はレインフォースと称されることもある。)に取り付けてなる構造のものが公知である。上記バンパー芯材は、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子を所要形状の金型内に充填し、加熱して発泡粒子を発泡させると共に相互に融着させて得られる成形体が一般に用いられている。
自動車用バンパー芯材において、図12(a)に示すようにバンパー101の表皮材102をエネルギー吸収部103よりも上下方向に延長した形状に形成することがある。この場合のバンパー芯材として、表皮材の形状保持のためエネルギー吸収部103の上下に高発泡倍率の発泡体からなる造形部104、105を一体に設けたバンパー芯材が提案されている(下記特許文献1)。
また、バンパー芯材のエネルギー吸収部において幅(長手)方向の中央部や両端のコーナー部などは、大きなエネルギー吸収力が要求される。しかしバンパー芯材が全体に均質な密度の発泡成形体の場合、全体の密度は大きなエネルギー吸収力が要求される箇所に合わせて成形されなければならないため、大きなエネルギー吸収力を要求されない部分は過剰な高密度になっている。このように必要以上に高い密度に形成することは、不要な重量増加になると共にコストの上昇を招いてしまう。更にこの場合、バンパー芯材の剛性が過剰になり、バリアー試験などで評価される全面衝突時の発生荷重が増加してしまい、車両本体に伝わる衝撃が増大して車両本体の変形が生じる虞がある。
このような問題を解決するために、図12(b)に示すようにバンパー芯材の長手方向(車体の幅方向)に、高密度の発泡体からなる高エネルギー吸収領域106と低密度の発泡体からなる低エネルギー吸収領域107とを交互に設けた構造のバンパー芯材も提案されている(下記特許文献1)。密度の異なる複数の領域からなる発泡成形体の製造方法として、密度の異なる部分を別々に成形し、これらを接着剤を用いたり、熱融着等により接合して一体化する方法が公知である。しかしながらこの方法は工程が複雑であり、優れた物性を有するバンパー芯材を安定して製造することは困難であった。
また、複数の密度の異なる発泡体を接合せずに、密度の異なる部分を一体に形成してなるバンパー芯材が公知である。例えば、下記特許文献2には、部分的にエネルギー吸収能の異なる部分を一体に形成してなるバンパー芯材の製造方法が記載されている。具体的には、パンパー芯材成形用の型を長手方向に複数に分割し、それぞれの分割した型により、型内に充填された発泡粒子を異なる圧縮率で圧縮して、部分的に発泡倍率(密度)を異ならしめ、車両幅方向中心部と両サイドコーナー部とがエネルギー吸収能の高い低発泡倍率の強化発泡部として形成され、その間にエネルギー吸収能が低い高発泡倍率の発泡部が形成され、両発泡部が連続して一体に成形されたバンパー芯材を得る方法である。しかしながらこの金型を分割し圧縮圧力を変化させて発泡成形する方法では、密度の違う部分の境界部がはっきりせず、得られるバンパー芯材の物性が不十分であるという欠点がある。又、各部分毎に圧縮率を変えるには金型構造が複雑であり、実際の生産上は大変高価なバンパー芯材になってしまうため実用的ではない。
複数の密度の異なる部分を一体に形成する発泡粒子成形体の上記以外の製造方法として、例えば下記特許文献3に記載されているように、異種原料を用いて一体に成形する方法が公知である。この方法は、発泡成形型のキャビティ内を仕切板等の仕切材で仕切り、その仕切られたそれぞれのキャビティ内へ異種の原料となる合成樹脂発泡粒子をそれぞれ充填し、充填後或は加熱途中等に仕切材をキャビティから除去して蒸気等の加熱媒体により加熱膨張させて異種となる原料を互いに加熱融着させる発泡成形方法である。本発明者らは、この方法をバンパー芯材の製造に適用することを試み、バンパー芯材後面側(車体側)の金型壁から金型内部に進退可能な仕切材を設け、仕切材で区画されたキャビティ内に交互に密度の異なる発泡粒子を充填し、高エネルギー吸収部と低エネルギー吸収部とが一体に形成された発泡成形体を得た。しかしながら、バンパー芯材の製造は単純な形状の成形体の製造の場合とは異なり、以下の問題があり、単純に適用することはできなかった。
一般にバンパーの外側(車両外面側)の縦断面形状は単純な方形状ではなく曲面状にデザインされており、バンパー内部にて衝撃吸収のために設けられるバンパー芯材もバンパー形状と同様に車両外面側の縦断面形状が曲面状や凹凸形状等の、バンパー形状に応じた形に形成されている。このため、図13(a)に示すようにバンパー芯材の成形型108はバンパー芯材の車両外面側の雌型109aと車体側の雄型109bとから構成されるが、該成形型108内を仕切る仕切板110のバンパー芯材の車両外面側の形状も、バンパーの上下方向に対して、直線状の単純な形状ではなく曲線状や凹凸を有する形状に形成される。そのため、仕切板110がバンパー芯材の車体側の型から型内に進入可能(図中矢印A方向に移動)に設けられた上記成形型108を用いてバンパー芯材を成形すると、図13(a)に示すように発泡粒子を金型内に充填した後仕切板110が矢印B方向に移動して型の外に退出した際に、仕切板110とキャビティ111との間に空間112が形成され、その空間112にキャビティ111内部に充填された発泡粒子がはみ出して、図13(b)に示すように成形体113はバンパー芯材の車体側となる表面115に大きく突出したバリ116が発生してしまう。
バンパー芯材は、バックアップビームへの取付領域(バンパー芯材を実際にバックアップビームに取付けた際に芯材がバックアップビームを覆う領域)に突起物などがあるとエネルギー吸収能が不均一になり所望の性能が得られなくなる虞れがあり、またそのような突起物があるとバックアップビームの所定の位置にセット出来なくなったり更には表皮材を所定の取付け位置にセットできず、バンパーの組付けが困難となるおそれがある。このため、バックアップビームへの取付領域に突出したバリ116は突出した部分を残さないように慎重にバリ取りを行って表面を平滑にする必要があり、製造工程における生産性低下をまねく。
また、バンパー芯材を例えば車両外面側から車体側にかけて次第に厚み(バンパー芯材を車体に取付た際の垂直方向の長さ)を増す形状とした場合、上述のバリは極めて大きなものとなるためバリ取りに多大な労力を費すことになり、これを回避しようとすると、バンパー芯材をデザイン又は設計する際に大きな制約を受けるという欠点があった。
本発明は上記従来技術の欠点を解消するためのものであり、バリが発生してもバリがバックアップビームの所定位置への取り付けを阻害しない程度にとどめられる又はバックアップビームの所定位置への取り付けを阻害するバリが発生してもバリ取り処理が簡単に行える自動車用バンパー芯材を容易に得ることができ、各種のデザインに対応可能な自動車用バンパー芯材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、成形型のキャビティを複数の仕切材によって仕切り、仕切られたキャビティ内にそれぞれ所定の合成樹脂発泡粒子を充填し、キャビティ内から仕切材を後退させた後、発泡粒子を加熱融着させて一体化させ、長手方向が所定長さに区画されてなる高エネルギー吸収領域と低エネルギー吸収領域が一体に成形されたエネルギー吸収部と、該エネルギー吸収部の上部または下部の一方、或いは上部及び下部の両方に成形された造形部とからなる自動車用バンパー芯材を製造する方法であって、上記仕切材は、バンパー芯材の車体側の型に設けられた挿通孔を介してキャビティ内に進退自在に形成されていると共に、バンパー芯材の高エネルギー吸収領域と低エネルギー吸収領域との境界部に対応する位置、及び高エネルギー吸収領域及び/又は低エネルギー吸収領域と造形部との境界部に対応する位置に設けられており、上記成形型は、バンパー芯材のバックアップビームへの取付領域に対応する位置では上記挿通孔の周囲がキャビティ側に突出していることを特徴とする自動車用バンパー芯材の製造方法を要旨とするものである。
以上説明したように本発明の製造方法により得られるバンパー芯材は、高エネルギー吸収領域と低エネルギー吸収領域とを長手方向に隣接して一体化されてなるエネルギー吸収部と、該エネルギー吸収部の上部または下部の一方、或いは上部及び下部の両方に隣接して一体化されてなる造形部とから構成されており、該芯材のバックアップビームへの取付側には、高エネルギー吸収領域と低エネルギー吸収領域との間に境界部が形成されており、且つ高エネルギー吸収領域と低エネルギー吸収領域の少なくともいずれか一方のエネルギー吸収領域と造形部との間に境界部が形成されており、それら境界部はバックアップビームへの取付領域においては凹部内に形成されているため、バックアップビームへの取り付けをきわめて容易に行なうことができる。
また本発明の製造方法により得られるバンパー芯材はビームへの取付けを阻害するバリが発生しても、バリは凹部内に形成されるため、バリの除去は容易にできる。従来は図13(b)に示すようにバンパー芯材のビームと接する面にバリ116ができた場合、単にバリを除去するのみならず、エネルギー吸収能を均一にするため表面を平滑に仕上げる必要があり、非常に手間がかかった。これに対しバリが凹部内に形成されていれば、ビーム面から外に出ず凹部内に留まるように除去すればよく根元からバリを完全に除去したり平滑化処理などが不要であり、この作業は従来のバンパー芯材のバリ取り作業と比較してきわめて容易である。
上記バンパー芯材は従来のバンパー芯材と比較してバリを小さくできる。バリの部分はバンパー芯材の機能としては本来必要のない箇所であり、バリが大きいということは、発泡体材料を無駄に使用していることにつながる。バリを小さくできる本発明の製造方法により得られるバンパー芯材は、従来の芯材と比較して発泡体材料の無駄を省いて材料のコストを低減した経済的に優れた芯材である。
本発明バンパー芯材の製造方法は、成形型のキャビティを複数の仕切材によって仕切り、仕切られたキャビティ内にそれぞれ所定の合成樹脂発泡粒子を充填し、キャビティ内から仕切材を後退させた後、発泡粒子を加熱融着させて一体化させ、長手方向が所定長さに区画されてなる高エネルギー吸収領域と低エネルギー吸収領域が一体に成形されたエネルギー吸収部と、該エネルギー吸収部の上部または下部の一方、或いは上部及び下部の両方に成形された造形部とからなる自動車用バンパー芯材を製造する方法であって、上記仕切材は、バンパー芯材の車体側の型に設けられた挿通孔を介してキャビティ内に進退自在に形成されていると共に、バンパー芯材の高エネルギー吸収領域と低エネルギー吸収領域との境界部に対応する位置、及び高エネルギー吸収領域及び/又は低エネルギー吸収領域と造形部との境界部に対応する位置に設けられており、上記成形型は、バンパー芯材のバックアップビームへの取付領域に対応する位置では上記挿通孔の周囲がキャビティ側に突出していることを特徴とする製造方法を採用したことにより、ビーム取り付け面のバリの問題がなく諸特性に優れた自動車用バンパー芯材を確実に製造できる。また、バンパー芯材の車体外側面の形状が曲面状や凹凸を有する形状であっても、バリの問題が生じないため、バンパー芯材及びバンパーのデザインの自由度が大きくなり、各種のデザインのバンパーを生産性を低下させることなく提供することができる。
以下、本発明を図面に基づき説明する。図1に示す本発明の自動車用バンパーの製造方法により得られた自動車用バンパー芯材の1例である自動車用バンパー芯材1は、高エネルギー吸収領域2aと低エネルギー吸収領域2bとを長手方向(車体に取付た際の車体の幅方向と略一致する方向。ここで「略」と付けた理由は、バンパー芯材は、通常は、両端部が車体側に湾曲等しているため車体の幅方向とは完全に一致しないからである。)に隣接して一体化されてなるエネルギー吸収部2と、エネルギー吸収部2の上部に隣接して一体化されてなる造形部3とから構成されている。この自動車用バンパー芯材1を構成する高エネルギー吸収領域2aと低エネルギー吸収領域2bと造形部3は、成形用型内を仕切材で仕切ることにより、高エネルギー吸収領域2aを成形するためのキャビティ(以下、キャビティAということもある。)と、低エネルギー吸収領域2bと造形部3を成形するためのキャビティ(以下、キャビティBということもある。)とをそれぞれ形成し、キャビティA内に相対的に高密度の合成樹脂発泡粒子を充填すると共に、キャビティB内に相対的に低密度の合成樹脂発泡粒子を充填した後、上記仕切材を成形型の外側に移動してから、成形型内の発泡粒子を加熱し、次いで冷却することにより一体的に同時に成形されたものである。尚、本明細書において、「本発明の自動車用バンパー芯材の製造方法」を単に「本発明のバンパー芯材の製造方法」あるいは「本発明の製造方法」という場合がある。また同様に、「自動車用バンパー芯材1」を単に「バンパー芯材1」あるいは「芯材1」という場合がある。
図1のバンパー芯材1において、エネルギー吸収部2は、長手方向の両端部には高エネルギー吸収領域2aが設けられ、該高エネルギー吸収領域2aの隣りには低エネルギー吸収領域2bが設けられ、領域2aと領域2bが交互に配置されて構成されている。具体的には、エネルギー吸収部2全体を長手方向に9つの領域に区画し、両端部、中央部、及び両端部と中央部との間の5つの区画を該高エネルギー吸収領域2aとし、領域2aと領域2aの間の4つの区画を低エネルギー吸収領域2bとして設けられている。尚、高エネルギー吸収領域とは、JIS K 6767で規定される「圧縮硬さ」が低エネルギー吸収領域を形成する合成樹脂発泡体よりも相対的に大きい合成樹脂発泡体からなる領域を意味し、低エネルギー吸収領域は、JIS K 6767で規定される「圧縮硬さ」が高エネルギー吸収領域を形成する合成樹脂発泡体よりも相対的に小さい合成樹脂発泡体からなる領域を意味するものである。
図1のバンパー芯材1においては、高エネルギー吸収領域2aと造形部3との間に境界部31が形成されており、高エネルギー吸収領域2aと低エネルギー吸収領域2bとの間に境界部32が形成されている。低エネルギー吸収領域2bと造形部3との間には、製造時に仕切材を使用しないことで連続する1つのキャビティ(キャビティB)を形成し、そこに同じ種類の合成樹脂発泡粒子が充填されて成形されたので、境界部は存在しない。従って、図1の芯材1においては、境界部31の延長線上に便宜上点線Dを付し、その点線の上部を造形部と呼び、その点線の下部を低エネルギー吸収領域2bと呼ぶ。
境界部31と境界部32は成形型内を仕切る仕切材が存在した付近に位置するため、境界部31と境界部32の付近には、仕切材の先端形状が曲線であることに起因するバリ33、34が形成され、場合によっては仕切材と成形型との隙間に起因するバリが形成される。図1の芯材1は、バックアップビーム(以下、ビームと省略していうこともある。)への取付側のビームへの取付領域(バンパー芯材を実際にビームに取付けた際に芯材がビームを覆う領域)内に境界部31と境界部32の両方が位置しているので境界部31と境界部32はいずれも凹部4内に形成されている。境界部31と境界部32を凹部4内に形成することにより、上記バリの高さを凹部4の深さ以下にできるのでビームの所定位置への取付が容易に行なえる。或いはビームの所定位置への取付を阻害するバリが突出形成されたとしてもそのバリの上下又は左右には溝(凹部4)が存在するので、バリ高さを凹部4の深さ以下に簡単に除去することができ、そうすれば芯材1をビームの所定位置へ容易に取付けることができる。
図1の芯材1においては、バリ34の高さは最も高いところでも凹部4の深さ以下にされているのでビームの所定位置への取付を阻害しない。しかし、バリ33の高さは後述する貫通孔5に近いところでは凹部4の深さ以下にされているが、芯材1の端部付近では凹部4の深さを越えて突出している(図1においてはその突出した部分を黒塗りにしてある。)のでその突出した部分はビームの所定位置への取付を阻害してしまう。この場合には、バリ33のその突出した部分の高さを凹部4の深さ以下に切除すればビームの所定位置への取付を阻害しなくなる。この際、図1に示すバンパー芯材1では、バリ33の上下に溝(凹部4)が存在するのでバリ33以外を傷付けることなく容易にバリ33の高さを凹部4の深さ以下に切除することができる。また、バリ33のその突出した部分は、溶融・押圧処理することによりバリ33の高さを凹部4の深さ以下にすることも簡単に行える。図1に示すバンパー芯材1では、バリ33の上下に溝が存在するのでバリ33のその突出した部分を溶融・押圧処理しても溶融して押し広げられた樹脂は凹部4内にとどめることができるのでバリ除去が容易に行なえる。
また、図1のケースでは、高エネルギー吸収領域2aと造形部3との間に存在する境界部31と、高エネルギー吸収領域2aと低エネルギー吸収領域2bとの間に存在する境界部32とが交差する位置にバンパー芯材1を前後方向に貫通する貫通孔5が形成されている。この貫通孔5は、芯材1を製造するに際して合成樹脂発泡粒子を成形型内に充填するときに使用される仕切材として、境界部31を形成する仕切材と境界部32を形成する仕切材とを別に独立して形成しておき、両仕切材の延長線が交差するであろう位置であって成形時の成形型内を仕切材の移動方向と平行に横断するように型部材を配置して成形することで形成される。この貫通孔5は、芯材1の軽量化に貢献する。また、仕切材が大型化すると型内への進退をスムーズに行なうために成形型の仕切材のための挿通孔の幅を大きめにして遊びを大きくしなければならないが、その遊びが大きくなるほどそれが原因で発生するバリも大きくなるので、仕切材の小型化はそういったバリ発生を抑制するのに効果的である。また、その遊びが大きくなると、仕切材が自重で垂れ下がったり等して仕切材の成形型内での位置が不正確となり、所定の位置に境界部を形成しづらくなるが、小型化された仕切材は所定の位置に境界部を形成しやすくなるので好ましい。また、仕切材が大きくなるほど仕切材を動かすために大きな出力のエアシリンダー等が必要となり、装置全体が大型化し、成形装置を設置するためにいっそう広いスペースが必要になるが、小型化された仕切材の場合には成形装置を設置するためのスペースは小さく済む。
本発明の製造方法により得られた芯材1においては、前記境界部がビームへの取付側であってもビームへの取付領域外に存在する場合には、その取付領域外では前記境界部は凹部4内に存在する必要はない。なぜならばその取付領域外では上記したバリは通常は問題にはならないからである。例えば、図1において、バリ33の端部付近の高さは凹部4の深さを越えて突出しているが、図14(a)に示すようにビーム8への取付領域Fがバリ33よりも下側に位置するときはバリ33のその突出した部分は特に問題とはならない。よって、そのようなバリは除去する必要はない。また、そのような除去する必要のないバリであれば、図2に示されるように凹部内に形成する必要もない。図14(b)に示すようにバリ33がビーム8への取付領域Fに位置する場合には、バリ33は凹部4から突出しないように形成する。
図3は、図1の芯材1の変形例であり、図1の芯材1と異なる点は、両端部以外において高エネルギー吸収領域2aと造形部3との境界部が凹部としての貫通孔5によって形成された点である。エネルギー吸収部2と造形部3との境界部は、この例の様に部分的に貫通孔で置き換えることが可能であり、貫通孔を大きくとれると軽量化にも貢献する。
図4は、図1の芯材1の変形例であり、図1の芯材1からの第1の変更点は、芯材1の製造の際に、更に、仕切材を使用してキャビティBを低エネルギー吸収領域2bを形成するためのキャビティ(以下、キャビティB―1ということもある。)と造形部3を形成するためのキャビティ(以下、キャビティB―2ということもある。)に仕切るとともにキャビティB―2に低エネルギー吸収領域2bを形成するための発泡粒子よりもより低密度の発泡粒子を充填して成形して得られた点である。その結果、凹部4が、高エネルギー吸収領域2aと低エネルギー吸収領域2bとの間、及び高エネルギー吸収領域2aと造形部3との間のみならず、低エネルギー吸収領域2bと造形部3との間においても形成され、更に凹部4内に境界部(境界部は図4では省略されている)が形成されている。
第2の変更点は、芯材1の両端部がビーム取付側に向かうに従って広がる形状にし、芯材1の側面にも凹部4を形成し領域2aと造形部3との境界部を凹部4内に位置させた点である。芯材1の両端部がビーム取付側に向かうに従って広がる形状に変更されると高エネルギー吸収領域2aと造形部3との間に位置する境界部ではビーム取付側に突出するバリが大きくなるが、成形型内の当該側面を形成する箇所であってかつ仕切材の側面と接する或いは近接する箇所に、仕切材の側面の幅と同等又はやや大き目の幅で仕切材の進退方向と平行の面をもつ型部材を設置して成形することで型部材に対応する凹部4を芯材1の側面に形成し、高エネルギー吸収領域2aと造形部3との間に位置する境界部においてビーム取付側に突出するバリが小さくなるようにされている。
第3の変更点は、芯材1の下面部がビーム取付側に向かうに従って広がる形状にし、芯材1の下面にも凹部4を形成し領域2aと領域2bとの境界部を凹部4内に位置させた点である。芯材1の両端部がビーム取付側に向かうに従って広がる形状に変更されると高エネルギー吸収領域2aと領域2bとの間に位置する境界部ではビーム取付側に突出するバリが大きくなるが、成形型内の当該側面を形成する箇所であってかつ仕切材の側面と接する或いは近接する箇所に、仕切材の側面の幅と同等又はやや大き目の幅で仕切材の進退方向と平行の面をもつ型部材を設置して成形することで型部材に対応する凹部4を芯材1の側面に形成し、領域2aと領域2bとの間に位置する境界部においてビーム取付側に突出するバリが小さくなるようになされている。尚、上記凹部4はバンパー芯材1のビームへの取付側とは反対の面には設けないようにするのが好ましい。これは前面に凹部が設けられていると、衝撃を受けた場合に該凹部から割れが発生する等、衝撃吸収力が低下する虞れがあるからである。
第2の変更点は、芯材1の両端部がビーム取付側に向かうに従って広がる形状にし、芯材1の側面にも凹部4を形成し領域2aと造形部3との境界部を凹部4内に位置させた点である。芯材1の両端部がビーム取付側に向かうに従って広がる形状に変更されると高エネルギー吸収領域2aと造形部3との間に位置する境界部ではビーム取付側に突出するバリが大きくなるが、成形型内の当該側面を形成する箇所であってかつ仕切材の側面と接する或いは近接する箇所に、仕切材の側面の幅と同等又はやや大き目の幅で仕切材の進退方向と平行の面をもつ型部材を設置して成形することで型部材に対応する凹部4を芯材1の側面に形成し、高エネルギー吸収領域2aと造形部3との間に位置する境界部においてビーム取付側に突出するバリが小さくなるようにされている。
第3の変更点は、芯材1の下面部がビーム取付側に向かうに従って広がる形状にし、芯材1の下面にも凹部4を形成し領域2aと領域2bとの境界部を凹部4内に位置させた点である。芯材1の両端部がビーム取付側に向かうに従って広がる形状に変更されると高エネルギー吸収領域2aと領域2bとの間に位置する境界部ではビーム取付側に突出するバリが大きくなるが、成形型内の当該側面を形成する箇所であってかつ仕切材の側面と接する或いは近接する箇所に、仕切材の側面の幅と同等又はやや大き目の幅で仕切材の進退方向と平行の面をもつ型部材を設置して成形することで型部材に対応する凹部4を芯材1の側面に形成し、領域2aと領域2bとの間に位置する境界部においてビーム取付側に突出するバリが小さくなるようになされている。尚、上記凹部4はバンパー芯材1のビームへの取付側とは反対の面には設けないようにするのが好ましい。これは前面に凹部が設けられていると、衝撃を受けた場合に該凹部から割れが発生する等、衝撃吸収力が低下する虞れがあるからである。
いずれのケースにおいても、上記凹部4の幅及び深さは、バンパー芯材の強度及び成形のし易さ等を考慮して適宜選択されるが、凹部内に発生したバリの処理を容易にする上ではバリの長手方向の両脇に各々1.0〜20.0mmの幅及び1.00〜50.0mmの深さの溝が形成されるように設けることが好ましい。また、凹部4を芯材1の上面、下面又は側面に設ける場合は、各凹部の底面及び上記溝の底面は、いずれも成形型の開閉方向と平行となるように形成することが好ましい。また、上記各境界部は、多少のジグザグは見られるものの、マクロ的には芯材1の上下方向及び前後方向(いずれも車体に取り付けた際の方向)に延びて、領域2aと領域2b、及び領域2a又は/及び領域2bと造形部3とを区画するように形成されることが好ましい。
図5は、芯材1と表皮材7とビーム8との関係の一例を示す断面図である。図5に示すように、造形部3は表皮材7を保持可能であればよく、軽量化のため、その範囲内で造形部3に肉逃げ部6を設けるよう製造することは本発明では好ましい態様である。肉逃げ部6は図5に示すように、造形部3が表皮材7を支持してバンパーの形状保持が可能であればよいことから、バンパー芯材1の表皮材7が接する面には設けず、バンパー芯材1の車体側(ビーム取付側)から芯材内側に窪んだ凹部状となるように形成することが好ましい。
本発明の製造方法により得られたバンパー芯材1は、上記の通り、仕切材を使用して成形型のキャビティを仕切り、各キャビティに所定の合成樹脂発泡粒子を充填し、次いで仕切材の大部分を成形型外に退出させてから発泡粒子を加熱して成形される。上記合成樹脂発泡粒子の基材樹脂は、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−ブテンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ブテンランダム共重合体等のプロピレン系樹脂、スチレンモノマーやアクリル系モノマー等の単量体を含浸重合させた改質ポリプロピレン、或いは高密度ポリエチレンや、エチレンとα−オレフィンとの共重合体である直鎖状低密度ポリエチレンや、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のエチレン系共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体等のポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂等の熱可塑性芳香族ポリエステル樹脂、芳香族ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリウレタン樹脂、あるいは上記樹脂及び上記共重合体から選択された2以上の混合物、あるいは上記樹脂又は上記共重合体又は上記混合物を主成分(50重量%以上)とする他の樹脂やエラストマーとの混合物が例示される。中でもポリオレフィン系樹脂が耐薬品性及びバンパー芯材への加工特性等の面で優れ、特にビカット軟化点(JIS K 6758)125℃以上(より好ましくは130℃以上)のポリプロピレン系(プロピレン成分50重量%以上)樹脂が耐熱性、バンパー芯材に加工された際の耐衝撃吸収性及び軽量性に優れるので好ましい。ポリオレフィン系樹脂にはエチレン−プロピレン共重合体ゴム等のゴム分をブレンドすることもできる。
本発明の製造方法により得られたバンパー芯材1における高エネルギー吸収領域2aを構成する発泡成形体は、衝突時の衝撃エネルギーを大きく吸収しなければならないという観点から、上記圧縮硬さが0.5kgf/cm2以上であることが好ましく、1.0kgf/cm2以上であることがより好ましく、2.0kgf/cm2以上であることが更に好ましい。ただし、上記圧縮硬さが大きくなり過ぎると、芯材1の破壊よりも車種によっては車両本体の破壊が先行しやすくなるので70.0kgf/cm2以下であることが好ましい。一方、低エネルキー吸収領域2bを構成する発泡成形体は、高エネルギー吸収領域2a・2a間を繋ぐことが主たる目的であるため、必ずしも高エネルギー吸収能を必要とはしない。ただし、高エネルギー吸収領域2a・2a間を保形性よく繋ぐ上では低エネルギー吸収領域2bを構成する発泡成形体の上記圧縮硬さは0.3kgf/cm2以上であることが好ましく、0.5kgf/cm2以上であることがより好ましく、1.0kgf/cm2以上であることが更に好ましい。尚、領域2bを構成する発泡成形体は、経済性や軽量性を考慮して高エネルギー吸収領域2aを構成する発泡成形体の圧縮硬さよりも小さい圧縮硬さをもつ、好ましくは領域2aを構成する発泡成形体の圧縮硬さよりも0.5kgf/cm2以上小さい圧縮硬さをもつ発泡成形体から構成される。一方、造形部3は表皮材7の形状を保持できればよいことから、造形部3を構成する発泡成形体の上記圧縮硬さは0.3kgf/cm2以上であることが好ましく、0.5kgf/cm2以上であることがより好ましく、1.0kgf/cm2以上であることが更に好ましい。
上記圧縮硬さは、通常、発泡粒子を構成する基材樹脂や樹脂添加剤等の種類や量が同じであって、発泡粒子の独立気泡率等の各種性能が同じであり、同じ方法で型内成形される場合には、使用される発泡粒子の見掛密度が大きいほど大きな値を示す。これらの点を考慮して発泡粒子を選択すれば上記圧縮硬さの発泡成形体は容易に製造することができる。
尚、合成樹脂発泡粒子を構成する基材樹脂がポリプロピレン系樹脂である場合、領域2aを構成する発泡成形体の見掛密度は0.450〜0.030g/cm3が好ましく、0.300〜0.035g/cm3 がより好ましい。一方、領域2bを構成する発泡成形体の見掛密度は0.150〜0.020g/cm3が好ましく、0.09〜0.022g/cm3がより好ましい。また、軽量化のためには上記両領域の見掛密度の差は、0.430〜0.008g/cm3 となるように形成することが好ましい。
また、一つのバンパー芯材1の製造に使用される発泡粒子の種類が多くなると発泡粒子の製造面及び管理面で不利である。従って、造形部3は、通常は、領域2aを構成する発泡成形体の製造に使用される発泡粒子又は領域2bを構成する発泡成形体の製造に使用される発泡粒子のどちらか一方と同じ発泡粒子を使用して製造されることが好ましい。
尚、合成樹脂発泡粒子を構成する基材樹脂がポリプロピレン系樹脂である場合、領域2aを構成する発泡成形体の見掛密度は0.450〜0.030g/cm3が好ましく、0.300〜0.035g/cm3 がより好ましい。一方、領域2bを構成する発泡成形体の見掛密度は0.150〜0.020g/cm3が好ましく、0.09〜0.022g/cm3がより好ましい。また、軽量化のためには上記両領域の見掛密度の差は、0.430〜0.008g/cm3 となるように形成することが好ましい。
また、一つのバンパー芯材1の製造に使用される発泡粒子の種類が多くなると発泡粒子の製造面及び管理面で不利である。従って、造形部3は、通常は、領域2aを構成する発泡成形体の製造に使用される発泡粒子又は領域2bを構成する発泡成形体の製造に使用される発泡粒子のどちらか一方と同じ発泡粒子を使用して製造されることが好ましい。
以下、本発明のバンパー芯材の製造方法について説明する。図6は図4の如き形状をもつ本発明のバンパー芯材の製造方法に用いる成形型の1例のバンパー芯材の水平方向に相当する方向の断面図である。図6に示すように、成形型9は金型バックプレート10A、10Bにバンパー芯材の形状に応じたキャビティを有するコア型11a、キャビティ型11bが取り付けられている。尚、コア型11aはバンパー芯材の車体側となるバックプレート取り付け面側であり、キャビティ型11bはバンパー芯材の車両外方側の型である。
本発明のバンパー芯材の製造方法は、図6に示すごとき、キャビティを複数の仕切材12によって仕切られたキャビティ内にそれぞれ所定の合成樹脂発泡粒子を充填し、キャビティ内から仕切材12を除いた後、発泡粒子を加熱融着させて一体化させ、長手方向が所定長さに区画されてなる高エネルギー吸収領域と低エネルギー吸収領域が一体に成形されたエネルギー吸収部と、該エネルギー吸収部の上部または下部の一方、或いは上部及び下部の両方に成形された造形部とからなる自動車用バンパー芯材を製造する方法である。
成形型9はバンパー長手方向を複数のキャビティ空間に分割する仕切材12を備えている。仕切材12はバンパー芯材の車体側の型(コア型11a)に設けられた挿通孔15を介してキャビティ内に進退可能に形成されている。具体的には仕切材12は平板状に形成され、各仕切材毎にエアシリンダー13のシリンダーロッド14に接続され、シリンダの前後方向へ移動させることで仕切材が金型内を進退するように形成されている。仕切材12を進退させるエアシリンダー13はビーム側となる方のバックプレート10Aに取り付けられ、仕切材12をビーム側のコア型11aに設けられた挿通孔15から型内部へ移動するように形成されている。また、車体外方側のキャビティ型11b側には仕切材12によって区画されたそれぞれのキャビティに所定の発泡粒子を充填するための充填機16が、各々の区画されたキャビティ毎に設けられている。
コア型11aのキャビティ側において、仕切材12のバンパー芯材の高エネルギー吸収領域と低エネルギー吸収領域との境界に対応する位置では、上記挿通孔15の周囲がキャビティ側に突出して突出部17として形成されている。突出部17は、バンパー芯材の高エネルギー吸収領域と低エネルギー吸収領域との間の境界部が位置する凹部を形成するものである。突出部17の幅及び高さは、バンパー芯材1の凹部の大きさに対応した大きさに形成される。また仕切材12の厚みは、0.5〜10.0mmが好ましい。
エネルギー吸収部の長手方向を複数に仕切る仕切材12は図7(a)に示すように上下面を仕切材の進行方法に対して平行となるように形成するのが好ましい。この場合、キャビティ型11bおよび型部材20の仕切材12の両側縁と接する部分は、仕切材11の両側縁の形状に応じた形状に形成される。すなわち、キャビティ型11bおよび型部材20の仕切材12の両側縁と接触する部分の周囲の形状は仕切材12と同様に、仕切材の進行方向と平行に形成され、キャビティ型11bの当該部分は周囲の部分よりもキャビティ内側に窪んだ形状の窪み18として形成される。
バンパー芯材のデザインによっては、バリがバックアップビーム取り付け面よりも車体側に突出した大きなものとなることがある。このときバリ取りの作業量が増加したり、成形型より取り出す際にバリが引っかかって取り出し難くなる等のおそれがあるが、上述の形状に形成することによりバリを小さなものとすることができ、これを解消できる。また、仕切材12のキャビティからの進退もスムーズである。
この窪み18の幅は、コア型11bの突出部17と同じ幅にするのが好ましい。上記の窪み18は、成形後のバンパー芯材において、バンパー芯材の上下面に形成される凹部4を形成するものである。
また、図8は成形型のバンパー芯材の前後方向の縦断面図である。成形型9は型内を上下方向に2つのキャビティ空間に仕切る水平方向の仕切材19が設けられている。この仕切材19は、エネルギー吸収部のキャビティを仕切る仕切材12と同様にエアシリンダー13によって進退可能なシリンダーロッド14に接続されている。仕切材19により、エネルギー吸収部と造形部とのキャビティ空間が各々形成される。尚、造形部のキャビティ型にも充填機16が設けられている
成形型9を上下に仕切る、両側縁が水平方向を向いた仕切材(以下、水平方向の仕切材と言う)19は、図9に示すように複数の仕切材19a、19b・・・から構成される。各仕切材19a、19b・・・は、それぞれ各仕切材毎にエアシリンダー13のシリンダーロッド14に接続され、各々のエアシリンダーによりキャビティ内を各々別々に進退可能に形成されている。
更に成形型9の、仕切材19aと隣の仕切材19bの間には、バンパー芯材を前後方向に貫通する位置に型部材20が金型内に設けられている。型部材20は、各仕切材19どうしの間にそれぞれ設けられている。尚、仕切材19a、19bと型部材20とは、仕切材が移動することができる程度であれば、両者が軽く接触していてもよいが、図9に示すように、仕切材19a、19bと、型部材20との間に、キャビティ内に充填した発泡粒子がはみ出さない程度のわずかな隙間21を設けるのが好ましい。この隙間21があると、仕切材の進退がスムーズに行えるといった利点がある。
また型部材20は、この例ではエネルギー吸収部を垂直方向に仕切る仕切材12(以下、エネルギー吸収部の仕切材という)の上部に、上側の側縁と接する位置に設けられている。このように水平方向の仕切材間、および水平方向の仕切材とエネルギー吸収部の仕切材との間に型部材を設けることで、エネルギー吸収部の仕切材12と水平方向の仕切材19が直接接触するのをさけることができ、両方の仕切材が金型内を進退する際、固定された型部材及びキャビティ型の間を移動するため、両方の仕切材の進退の動作が安定して行える利点がある。
型部材20として図3に示すような、断面が四角形または円形などの閉塞した形状のものを使用すると、型部材20の部分はバンパー芯材1では貫通孔5として形成される。また、型部材としては断面がL字状、コ字状、凹状などの形状のものでもよい。
尚、図9に示すようにエネルギー吸収部の仕切材12の上方に型部材が位置するように構成した場合、この仕切材12と型部材20との間には、水平方向の仕切材8の場合と同様に、発泡樹脂粒子がはみ出さない程度のわずかな隙間を設けるのが好ましい。また、型部材20は内部が中空のパイプ状のものを用いてもよい。
また、図1〜3に示すバンパー芯材のような造形部を形成するためのキャビティと、これと隣接する低エネルギー吸収領域とを形成するためのキャビティとに、同種の発泡粒子が充填される場合、上記2つのキャビティ間に設けられる水平方向の仕切材を省略することができ、成形型が簡略化され、故障し難く、製造コストも低減される。
水平方向の仕切材19の両側面及びエネルギー吸収部の仕切材12の上下面は、仕切材の進行方向と平行に形成すると、バンパー取付面側に発生するバリを小さくできるため好ましい。その場合、バンパー芯材の前後方向の縦断面形状が、直線状でなかったり、仕切材の進行方向と平行ではなく傾斜や丸みを持っている場合には、図9に示すように、金型の仕切り板の側縁と接する部分に突出部17を設けて、突出部17の内側の金型が仕切り板の進退方向と平行な面となるように形成される。
発泡粒子をキャビティに充填するには、型内に間隙を設けて空気等により発泡粒子をキャビティ内に充填する所謂クラッキング充填法を用いることができる。この方法では高エネルギー吸収領域及び低エネルギー吸収領域を両方同時に充填することができる。また、発泡粒子を加圧して体積を小さくし、型のキャビティ内と発泡粒子のタンクとの間に圧力差を設けて充填するいわゆる圧縮充填法を用いてもよい。この場合には通常、低エネルギー吸収領域の発泡粒子が圧縮され密度が変化するのを避けるため、はじめに比較的低密度の発泡粒子が用いられる高エネルギー吸収領域を充填しておいて、次に低エネルギー吸収領域を充填する。
各キャビティに充填される原料の発泡粒子は、密度や粒子重量、基材樹脂等が全て同じ発泡粒子であっても、異なる発泡粒子であってもいずれでもよい。例えば同一の発泡粒子を用いて異なる密度の領域を形成するには、仕切材により区画された各々のキャビティ内に発泡粒子を充填する際に、高い密度の領域として形成するキャビティに充填する発泡粒子の加圧量を他より大きくする方法や、クラッキング充填による場合、高い密度の領域として形成するキャビティに先に発泡粒子を充填し、その後型内の間隙を狭めてから低い密度の領域として形成するキャビティに発泡粒子を充填する方法等を用いることができる。
また図10及び図11に示すように、キャビティ型11bの内部において、仕切材12又は仕切材19の先端と接する部分には、仕切材を支持するための支持部材22を設けるのが好ましい。支持部材22は、例えば仕切板を挟んで両側から支持する円柱状突起として形成することができる。この支持部材22は例えば図10に示すように仕切材12の両側が高密度の発泡粒子が充填される高エネルギー吸収領域を形成するキャビティと低密度の発泡粒子が充填される低エネルギー吸収領域を形成するキャビティとから構成される場合には、高密度の発泡粒子が充填されるキャビティ側23よりも、低密度の発泡粒子が充填されるキャビティ側24の突起の数が多くなるように形成するのが好ましい。これは、密度の異なる領域を形成するために、それぞれ密度の異なる発泡粒子を充填する際、圧縮充填法を用いて高密度の領域を始めに充填した後、低密度の領域を充填すると、圧力を下げた際に高密度の領域の側の発泡粒子が膨らんで仕切板を低密度の領域の側に押しやるため、低密度の領域の側に支持部材22の突起を多く設けて確実に支持すると言った理由からである。
また、図11に示すように、例えば仕切材19が密度差の小さいキャビティを仕切る場合、たとえば造形部のキャビティ25と低エネルギー吸収部のキャビティ26とを仕切るために設けられる場合などのように、一方のキャビティ側から大きな圧力を受けない場合には、同じ数(例えば1個ずつ、或いは2個ずつ等)だけ設けてもよい。成形型に支持部材22を設けることで、仕切材12、19がキャビティ内で所定の位置に確実に保持され、各領域のキャビティ空間が精度良く形成されるため、各領域間の境界が一定に保たれ、一定の品質のバンパー芯材を更に安定的に製造することが可能である。
1 自動車用バンパー芯材
2 エネルギー吸収部
2a 高エネルギー吸収領域
2b 低エネルギー吸収領域
3 造形部
4 凹部
5 貫通孔
9 成形型
10A、10B 金型バックプレート
11a コア型
11b キャビティ型
12 エネルギー吸収部の仕切材
15 挿通孔
17 突出部
18 窪み
19 水平方向の仕切材
20 型部材
31 高エネルギー吸収領域と造形部の間の境界部
32 高エネルギー吸収領域と低エネルギー吸収領域との間の境界部
33 造形部とエネルギー吸収部との間の境界に形成されるバリ
34 高エネルギー吸収領域と低エネルギー吸収領域との境界に形成されるバリ
2 エネルギー吸収部
2a 高エネルギー吸収領域
2b 低エネルギー吸収領域
3 造形部
4 凹部
5 貫通孔
9 成形型
10A、10B 金型バックプレート
11a コア型
11b キャビティ型
12 エネルギー吸収部の仕切材
15 挿通孔
17 突出部
18 窪み
19 水平方向の仕切材
20 型部材
31 高エネルギー吸収領域と造形部の間の境界部
32 高エネルギー吸収領域と低エネルギー吸収領域との間の境界部
33 造形部とエネルギー吸収部との間の境界に形成されるバリ
34 高エネルギー吸収領域と低エネルギー吸収領域との境界に形成されるバリ
Claims (1)
- 成形型のキャビティを複数の仕切材によって仕切り、仕切られたキャビティ内にそれぞれ所定の合成樹脂発泡粒子を充填し、キャビティ内から仕切材を後退させた後、発泡粒子を加熱融着させて一体化させ、長手方向が所定長さに区画されてなる高エネルギー吸収領域と低エネルギー吸収領域が一体に成形されたエネルギー吸収部と、該エネルギー吸収部の上部または下部の一方、或いは上部及び下部の両方に成形された造形部とからなる自動車用バンパー芯材を製造する方法であって、上記仕切材は、バンパー芯材の車体側の型に設けられた挿通孔を介してキャビティ内に進退自在に形成されていると共に、バンパー芯材の高エネルギー吸収領域と低エネルギー吸収領域との境界部に対応する位置、及び高エネルギー吸収領域及び/又は低エネルギー吸収領域と造形部との境界部に対応する位置に設けられており、上記成形型は、バンパー芯材のバックアップビームへの取付領域に対応する位置では上記挿通孔の周囲がキャビティ側に突出していることを特徴とする自動車用バンパー芯材の製造方法。
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Citations (3)
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JPH09282712A (ja) * | 1996-04-16 | 1997-10-31 | Sony Corp | 光学記録媒体とその製造方法 |
-
2009
- 2009-07-23 JP JP2009172202A patent/JP2009280206A/ja active Pending
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