JP4157197B2 - 自動車用バンパー芯材の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用バンパーの内部に配置されるバンパー芯材、およびバンパー芯材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の車体の前、後部に取り付けられるバンパーは、エネルギー吸収部材としての合成樹脂発泡体からなる芯材(以下、バンパー芯材という)をポリプロピレンやポリウレタン成形品からなる表皮材で覆い、これをバックアップビームに取り付けてなる構造が公知である。上記バンパー芯材は、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子を所要形状の金型内に充填し、加熱して発泡融着させて得られる成形体が一般に用いられている。
【0003】
自動車のデザイン上、図9に示すようにバンパー101の表皮材102をエネルギー吸収部103よりも上部、又は下部、あるいはその両方に延長した形状に形成することがあるが、この場合、バンパー101の形状保持のため、バンパー芯材としてエネルギー吸収部の上部、又は下部に延長されたエネルギー吸収にあまり影響のない部分についても、エネルギー吸収部の上下に造形部104、105を設けてバンパー芯材を構成することが必要となる場合がある。
【0004】
自動車用バンパー芯材において、エネルギー吸収部は高密度に形成する必要があるが、造形部は上記したように単に形状保持だけでよいため、そのような密度は必要とされない。しかしながら、バンパー芯材を全体に均質な密度の発泡粒子成形体から構成する場合は、全体の密度はエネルギー吸収部の密度に合わせて形成されるため、エネルギー吸収力を要求されない部分である造形部は過剰な高密度になってしまい、不要な重量増加になると共にコストの上昇を招いてしまう。
【0005】
このため、造形部をエネルギー吸収部よりも低密度のポリオレフィン系樹脂発泡粒子成形体により形成することが試みられた。例えばその一つとして、予め別々に形成されたエネルギー吸収部と造形部とを後から接着、あるいは熱融着などによって接合してバンパー芯材としたが、この方法は製造コストの増加、バンパー芯材の寸法精度不良などを招いてしまう問題があった。
【0006】
また、複数の密度の異なる発泡体を接合せずに、密度の異なる部分を一体に形成してなるバンパー芯材が公知である。例えば、特開平4−215544号公報には、部分的にエネルギー吸収能の異なる部分を一体に形成してなるバンパー芯材の製造方法が記載されている。具体的には、パンパー芯材成形用の型を長手方向に複数に分割し、それぞれの分割した型を異なる圧縮率で圧縮して、部分的に発泡倍率(密度)を異ならしめ、車両幅方向中心部と両サイドコーナー部とをエネルギー吸収能の高い低発泡倍率の強化発泡部として形成し、その間を低いエネルギー吸収能の高発泡倍率の発泡部とし両発泡部を連続して一体に成形したバンパー芯材である。
【0007】
しかしながらこの金型を分割し圧縮圧力を変化させて発泡成形する方法では、発泡粒子が金型内で一部混合してしまい、融着不良、エネルギー吸収部の強度低下などを引き起こす虞れがあった。又、金型の圧縮率を変えるように金型を構成した場合、金型構造が複雑であり、実際の生産上は大変高価なバンパー芯材になってしまうため実用的ではない。
【0008】
また、複数の密度の異なる部分を一体に形成する発泡成形体の上記以外の製造方法として、例えば実公昭62−22352号公報に記載されているように、異種原料を用いて一体に成形する方法が公知である。この方法は、発泡成形型のキャビティ内を仕切板で仕切り、その仕切られたそれぞれのキャビティ内へ異種の原料となる各々の樹脂粒子を充填し、充填後或は加熱途中等に仕切板をキャビティから除去して蒸気等の加熱媒体により加熱膨張させて異種となる原料を互いに加熱融着させる発泡成形方法である。本発明者らは、この方法をバンパー芯材の製造に適用することを試み、バンパー芯材後面側(車体側)の金型壁から金型内部に進退可能な仕切板を設け、仕切板によってキャビティ内を上下に分割して、分割された各々のキャビティ内に異なる密度の発泡粒子を充填し、エネルギー吸収部と該エネルギー吸収部よりも低密度の造形部とが一体に形成されたバンパー芯材を得た。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
バンパー芯材において、さらなる低コスト化及び軽量化が要望されている。また、上記製造方法では以下の問題があった。成形型のキャビティを上下に仕切る仕切板がバンパー芯材の幅方向の一端から他端までの長さを有し、仕切板はきわめて大きなものとなってしまい、仕切板を進退させるのに大きな出力のエアシリンダー等を必要とし、エアシリンダー等が故障しやすい等の問題があった。
【0010】
また、仕切板が大きくなってしまうため、仕切板が成形型内においてそれ自体の自重で垂れ下がってしまい正確な位置から外れ、エネルギー吸収部と造形部との境界がずれてしまい、得られるバンパー芯材がエネルギー吸収能に劣ったものとなるおそれがある等の問題があった。
【0011】
また、仕切板が大きいので、仕切板及び成形型が傷ついたり、壊れやすいという問題があった。
【0012】
本発明は上記従来技術の欠点を解消するためのものであり、軽量であり、かつ低コストの自動車用バンパー芯材を提供すること、及び、軽量で低コストなバンパー芯材が得られると共に、設備が壊れにくく簡便であって、品質の安定したバンパー芯材を容易に製造することが可能なバンパー芯材の製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(1)成形型のキャビティを仕切板によって仕切り、仕切られたキャビティ内にそれぞれ所定の発泡粒子を充填し、キャビティ内より仕切板を除いた後発泡粒子を加熱融着させて一体化させ、上下方向が所定間隔に区画されてエネルギー吸収部と造形部とが一体に形成された合成樹脂発泡粒子成形体からなる自動車用バンパー芯材を製造する方法であって、幅方向に分割され、それぞれがバンパー芯材の車体側の型に設けられた挿通孔を介してキャビティ内に進退自在に成形された仕切板によってキャビティがバンパー芯材の上下方向に仕切られると共に、上記分割された仕切板の間には、キャビティ内をバンパー芯材の前後方向に貫通する金型部材が設けられて仕切板同士が互いに接触しないように構成されている成形型を用いることを特徴とする自動車用バンパー芯材の製造方法、
(2)成形型のキャビティが仕切板及び型部材によりエネルギー吸収部を形成するキャビティと、その上部、または下部、或いは上部及び下部の造形部を形成するキャビティとに区画されている上記(1)記載の自動車用バンパー芯材の製造方法、を要旨とするものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に基づき説明する。図1に示す本発明の1例である自動車用バンパー芯材1は、エネルギー吸収部2と造形部3とが一体に形成されたポリオレフィン系樹脂発泡粒子成形体よりなるものである。更にバンパー芯材1にはエネルギー吸収部2と造形部3との境界部4に貫通孔5が設けられている。バンパー芯材1の貫通孔5は図2に示すように、エネルギー吸収部2と造形部3との間に位置し、バンパー芯材1を前後方向に貫通するように形成されている。
【0015】
本発明バンパー芯材1は、合成樹脂発泡粒子を型内で蒸気等で加熱して融着一体化することで得られる。合成樹脂発泡粒子の基材樹脂は、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−ブテンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ブテンランダム共重合体等のポリプロピレン系樹脂、スチレンモノマーやアクリル系モノマー等の単量体を含浸重合させた改質ポリプロピレン系樹脂、或いは高密度ポリエチレンや、エチレンとα−オレフィンとの共重合体である直鎖状低密度ポリエチレンや、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のエチレン系共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体等のポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂等の熱可塑性芳香族ポリエステル樹脂、芳香族ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリウレタン樹脂、あるいは上記樹脂及び上記共重合体から選択された2以上の混合物、あるいは上記樹脂又は上記共重合体又は上記混合物を主成分(50重量%以上)とする他の樹脂やエラストマーとの混合物が例示される。中でもポリオレフィン系樹脂が耐薬品性及びバンパー芯材への加工特性等の面で優れ、特に融点(DSC法による主融解ピークの頂点)138℃以上のポリプロピレン系(プロピレン成分50重量%以上)樹脂が耐熱性、バンパー芯材に加工された際の耐衝撃吸収性及び軽量性に優れるので好ましい。ポリオレフィン系樹脂にはエチレン−プロピレン共重合体ゴム等のゴム分をブレンドすることもできる。
【0016】
エネルギー吸収部2は、衝突時にバンパーに加わる衝撃を吸収するためのものであり、該部分の密度は、基材樹脂としてプロピレン系重合体を用いる場合には、衝撃を吸収するの十分な強度を有する点から、0.45〜0.030g/cm3 となるように形成するのが好ましい。
【0017】
バンパー芯材1において造形部3は、バンパーの形状を維持するために設けられるものであり、バンパーの外形形状に応じて適宜設けられる。即ち、図1に示すようにエネルギー吸収部2の上部のみに設けてもよいが、図3に示すようにエネルギー吸収部2の上部及び下部の両方に設けても、或いは特に図示しないがエネルギー吸収部の下部のみに設けても、いずれでもよい。尚、図3に示すように、エネルギー吸収部2の上下に造形部3を設けた場合には、エネルギー吸収部2の上部の造形部3と下部の造形部3の両方の境界部4に貫通孔5が設けられる。
【0018】
造形部3はバンパーの外形形状の保持性が十分であり且つ軽量化に寄与する点から、平均の密度を0.15〜0.020g/cm3 に形成し、かつエネルギー吸収部2よりも低密度とすることが好ましい。
【0019】
エネルギー吸収部2と造形部3との境界部4は図1及び図2に示すように、エネルギー吸収部2と造形部3とを上下に仕切るように、バンパー芯材の水平方向に貫通孔の部分を除いてほぼ平坦な面として設けられている。貫通孔5はエネルギー吸収部2と造形部3との1つの境界部4に少なくとも1個以上設けられていればよいが、2個以上設けてもよく、2〜10個程度設けるのが好ましい。
【0020】
また、貫通孔5の形状は、図2に示すようにバンパー芯材の前後方向に真っ直ぐに貫通する形状であり、バンパー芯材1の幅方向の垂直断面が図1及び図3に示すように方形、あるいは特に図示しないが円形、楕円形等の任意の形状に形成することができる。貫通孔5を設ける位置は、図1に示すようにエネルギー吸収部2と造形部3との間であって、エネルギー吸収部2と造形部3との両方に跨がっていても、あるいは図3に示すように造形部3側のみに設けてもよいが、造形部3側のみに設けることが好ましい。貫通孔5がエネルギー吸収部2側に大きく跨がる場合、エネルギー吸収部2のエネルギー吸収力が低下したり、衝突時に割れやすくなるおそれがあるため、好ましくない。
【0021】
貫通孔5の大きさや個数は、造形部3の形状保持が可能な程度のエネルギー吸収部2との境界部4の面積が確保できる範囲で適宜設けることができる。
【0022】
また、造形部3は図4に示すように軽量化のために肉逃げ部6を設けるのが好ましい。肉逃げ部6は図4に示すように、造形部3が表皮材8を支持してバンパーの形状保持が可能であればよいことから、バンパー芯材1の車体側からバンパー芯材内側に窪んだ凹部となるように形成するのが軽量化の上で好ましい。
【0023】
エネルギー吸収部2及び造形部3とから構成される本発明バンパー芯材1は、例えば図4に示すように、表面が表皮材8等で覆われてバックアップビーム7の車体外方側に取り付けられバンパー9として構成される。
【0024】
図5は図4のごとき形状をもつ本発明バンパー芯材の製造方法に用いる成形型の1例の要部断面の端面を示す説明図である。以下本発明バンパー芯材の製造方法について説明する。図5に示すように、成形型10は金型フレーム11、12にバンパー芯材1の形状に応じたキャビティを形成する雌型13、雄型14が取り付けられている。尚、この例では、雄型14はバンパー芯材1の車体側の型となり、雌型13はバンパー芯材1の車両外方向側の型となる。
【0025】
更に成形型10は型内をバンパー芯材の上下方向に2つのキャビティ空間に区画する仕切板15を備え、エネルギー吸収部のキャビティ2Aと造形部のキャビティ3Aとを形成するように構成されている。また仕切板15を進退させるエアシリンダー16が雄型14側の金型フレーム12に取り付けられ、仕切板15をビーム側の雄型14に設けられた挿通孔19から型内部へ進退可能に形成されている。また、車体外方側の金型フレーム11には仕切板15によって区画されたキャビティ2A、3Aにそれぞれ発泡粒子を充填するための充填機18が、各々のキャビティ毎に設けられている。
【0026】
エネルギー吸収部のキャビティ2Aと造形部のキャビティ3Aとの境界は、1枚の仕切板で仕切られるのではなく、図7に示すように、仕切板15a、15bのように幅方向に複数に分割された仕切板が用いられる。各仕切板15a、15bは、各仕切板毎にエアシリンダ16のシリンダーロッド17に接続され、キャビティ内を各仕切板毎に各自別々に進退可能に形成されている。
【0027】
仕切板15aと隣の仕切板15bとの間には、バンパー芯材を前後方向に貫通する貫通孔5を形成可能とする型部材20が金型内に設けられている。型部材20は、仕切板15a、15bの間に設けられているように、幅方向に隣り合う各仕切板どうしの間にそれぞれ設けられている。
【0028】
型部材20は例えば図6に示すように雄型14の一部をキャビティ内に突出する形状に構成したり、又、特に図示しないが、独立した中子を作り、キャビティに取り付けるようにして形成してもよい。
【0029】
尚、仕切板15a及び仕切板15bと型部材20とは、仕切板が移動することができる範囲であれば両者が軽く接触するように形成してもよいが、仕切板の進退の際にスムーズな進退を行うためには、図7に示すように仕切板15と型部材20との間から充填した発泡粒子がはみ出さない程度のわずかな隙間21を設けるのが好ましい。貫通孔形成のための型部材20は、貫通孔形状に応じて形成されるが、図7に示すように、内部を中空に形成してもよい。
【0030】
また、型部材20の高さは少なくとも仕切板の厚み以上あるのが好ましく、型部材によってバンパー芯材に形成される貫通孔の大きさがバンパー芯材の形状保持性、軽量性及びエネルギー吸収特性等に応じた適当な大きさとなるように適宜選択すれば良い。
【0031】
また、特に図示しないが型部材20の側面に案内溝を設けておき、案内溝内を仕切板15がスライドできるようにすれば、仕切板15の進退が安定し易い。
【0032】
各仕切板15は、特に図示しないが、仕切板の進退方法に対して両側縁が平行となるように(仕切板の幅が一定となるように)形成することが好ましく、そうすればキャビティ内をスムーズに進退することができる。また、この場合仕切板の幅が進退方向前後(車体側と車両外方向側)で同じである為、仕切板がキャビティより退出した際に仕切板の側縁や先端の周囲に空間が形成されず発泡粒子がキャビティ内からはみ出して車体側に突出し大きなバリが形成されにくくなるので好ましく、そのためバンパー芯材を型内から取り出すときにバリがひっかかって取り出すことが困難となるおそれはない。
【0033】
上記成形型10を用いてバンパー芯材を製造するには、まず仕切板15をキャビティ内に進めてキャビティをエネルギー吸収部のキャビティ2Aと造形部のキャビティ3Aとに仕切る。次いで各充填機18から発泡粒子をキャビティ2A、3A内にそれぞれ充填する。仕切板は発泡粒子が充填された後、或いは充填しながら退出させる。
【0034】
尚、仕切板の先端形状が幅方向に曲面を形成している場合には、仕切板の先端の一部をキャビティ内に残して退出させることが好ましい。この場合、得られた芯材には仕切板先端形状の凹溝が形成されるが、大きなバリの発生を防ぐことができるので好ましい。その凹溝はバンパー芯材としては特に問題とはならない。
【0035】
仕切板15を作動させる場合、各々の仕切板はそれぞれ別々のエアシリンダーによって駆動される。又、その際、各仕切板どうしの間には型部材があるため、仕切板はスムーズに動き、その位置も正確に維持できる。
【0036】
キャビティ内の各区画に発泡粒子が完全に充填され仕切板がキャビティ内部から退出したならば、キャビティを蒸気等で加熱して発泡粒子を融着して発泡成形体を得る。しかる後に該発泡成形体をキャビティから取り出して、エネルギー吸収部2と造形部3とが一体に形成されたバンパー芯材1が得られる。
【0037】
各キャビティに充填される原料の発泡粒子は、それぞれ密度が同じ発泡粒子であっても、異なる発泡粒子であってもいずれでもよい。例えば同一の発泡粒子を用いて異なる密度の領域を形成するには、仕切板により区画された各々のキャビティ内に、発泡粒子の体積を減じて圧縮充填する際に、高い密度の領域として形成するキャビティに充填する発泡粒子の加圧量を他よりも大きくする方法や、クラッキング充填による場合、高い密度の領域として形成するキャビティに先に発泡粒子を充填し、その後型内の間隙を狭めてから低い密度の領域として形成するキャビティに発泡粒子を充填する方法等が挙げられる。
【0038】
また、発泡粒子をキャビティ内に充填するには、型内に間隙を設けて空気等により発泡粒子をキャビティ内に充填する所謂クラッキング充填方法を用いることができる。この方法では高密度の領域及び低密度の領域を両方同時に充填することができる。また、発泡粒子を加圧して体積を小さくし、型のキャビティ内と発泡粒子のタンクとの間に圧力差を設けて充填(圧縮充填)する方法を用いてもよい。この場合には通常、低密度の領域の発泡粒子が圧縮され密度が変化するのを避けるため、はじめに高密度の領域を充填しておいて、次に低密度の領域を充填する。
【0039】
また、密度以外にも粒子の重量や大きさが、基材樹脂等が異なる発泡粒子を用いて各領域を構成することもでき、例えば粒子の大きさが異なる発泡粒子を用いた場合、造形部のキャビティ内に大きさの小さい発泡粒子を充填することにより、肉逃げを設ける等して造形部が複雑形状となっている場合でも所定の形状に形成することが容易である。
【0040】
また図8に示すように、キャビティ内の仕切板15の先端が接する雌型13には、仕切板15によって成形型内を仕切った際に、仕切板15の先端がバンパーの上下方向にずれないように支持するための支持部材23を設けるのが好ましい。支持部材23は、例えば仕切板15を挟んでその両側から支持する円柱状突起として形成することができる。
【0041】
この支持部材23は両側に同じ数(例えば1個ずつ、或いは2個ずつ等)だけ設けてもよいが、図8に示すように、エネルギー吸収部のキャビティ2A側の突起の数に対し、低密度の発泡粒子が充填される造形部のキャビティ3A側の突起の数が多くなるように形成するのが好ましい。これは、密度の異なる領域を形成するために、それぞれ密度の異なる発泡粒子を充填する際、圧縮充填法を用いて高密度の領域を始めに充填した後低密度の領域を充填すると、圧力を下げた際に高密度の領域の側の発泡粒子が膨らんで仕切板を低密度の領域の側に押しやるため、低密度の領域の側に突起の数を多く設けるのが、キャビティ内においてより確実な仕切板の支持が可能となるといった理由からである。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように本発明自動車用バンパー芯材は、エネルギー吸収部と造形部との境界部に貫通孔が設けられているため、更なる軽量化及び低コストを達成するものである。
【0043】
本発明自動車用バンパー芯材の製造方法は、成形型の造形部を形成するキャビティとエネルギー吸収部を形成するキャビティとの境界を仕切る仕切板を幅方向に複数に分割し、仕切板どうしの間に型部材を設け各仕切板どうしが接触しないようにして成形を行う構成を採用したことにより、仕切板として大きなものを使用する必要が無いため仕切板を動かすために大きな出力のエアシリンダー等を必要とせず、このためエアシリンダー等の故障を少なくし、仕切板駆動のトラブルが解消される。また、仕切板が分割されているため、1枚の仕切板の重量が軽減され、自重で垂れ下がってしまうためにキャビティ内での位置が不正確となる不具合がなく、エネルギー吸収部と造形部との境界が確実に一定の位置に保たれるため、軽量で低コストなバンパー芯材を、簡便な設備を用いて安定した品質で提供できる。
【0044】
尚、仕切板を単に複数に分割して仕切板間に型部材を設けなかった場合、型内の進退を円滑に行う為に仕切板どうしの間に設けられる遊びとしての隙間の間隔が一定に保たれず、異種の発泡粒子が混合してしまったり、仕切板どうしがぶつかってしまい円滑な仕切板の移動が困難になってしまう。これに対し、本発明では仕切板どうしの間に型部材が設けられていることによって、仕切板の型内の進退をきわめてスムーズに行うことが可能であり、上述の不具合が生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明パンパー芯材の1例を示すバンパー芯材幅方向の縦断面図である。
【図2】図1のII−II線縦断面図である。
【図3】本発明パンパー芯材の他の例を示すバンパー芯材幅方向の縦断面図である。
【図4】本発明バンパー芯材の使用例を示す説明図である。
【図5】本発明バンパー芯材の成形用型の説明図である。
【図6】成形用型の説明図である。
【図7】図5のVII −VII 線縦断面図である。
【図8】仕切板の支持部材を示す説明図である。
【図9】従来のバンパー芯材の断面図である。
【符号の説明】
1 バンパー芯材
2 エネルギー吸収部
3 造形部
4 エネルギー吸収部と造形部との境界部
5 境界部に設けられた貫通孔
10 成形型
15 仕切板
20 貫通孔を形成するための型部材
Claims (2)
- 成形型のキャビティを仕切板によって仕切り、仕切られたキャビティ内にそれぞれ所定の発泡粒子を充填し、キャビティ内より仕切板を除いた後発泡粒子を加熱融着させて一体化させ、上下方向が所定間隔に区画されてエネルギー吸収部と造形部とが一体に形成された合成樹脂発泡粒子成形体からなる自動車用バンパー芯材を製造する方法であって、
幅方向に分割され、それぞれがバンパー芯材の車体側の型に設けられた挿通孔を介してキャビティ内に進退自在に成形された仕切板によってキャビティがバンパー芯材の上下方向に仕切られると共に、上記分割された仕切板の間には、キャビティ内をバンパー芯材の前後方向に貫通する金型部材が設けられて仕切板同士が互いに接触しないように構成されている成形型を用いることを特徴とする自動車用バンパー芯材の製造方法。 - 成形型のキャビティが仕切板及び型部材によりエネルギー吸収部を形成するキャビティと、その上部、または下部、或いは上部及び下部の造形部を形成するキャビティとに区画されている請求項1記載の自動車用バンパー芯材の製造方法。
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