JP4719956B2 - 型内発泡成形装置及び方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、1つの成形品に特性の異なる原料ビーズからなる成形部分を形成するのに好適な型内発泡成形装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性合成樹脂からなる原料ビーズを用いて成形品を製作する型内発泡成形装置として、例えば米国特許5164257号公報には、一方の金型にエアシリンダー等のアクチュエータを介して成形空間内に出没自在な仕切部材を設け、この仕切部材により成形空間内を複数の区画成形空間に区画するとともに、各区画成形空間に対して原料ビーズを供給する充填器を個別に接続し、仕切部材により成形空間内を区画した状態で、隣接する区画成形空間内に、例えば発泡倍率の異なる原料ビーズを充填し、充填後、仕切部材を後退させてから成形空間内に蒸気を供給することで、原料ビーズを加熱融着させて成形品を得るように構成した型内発泡成形技術が記載されている。
【0003】
この型内発泡成形技術により成形された成形品においては、成形品の部位によって使用する原料ビーズを変更することで、例えば部位によって機械的特性が異なる成形品を製作することが可能で、成形品の性能や品質を向上できる利点を有しており、自動車用バンパーの芯材や、家電製品や家具等の梱包用のクッション材として採用されつつある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記米国公報に記載の成形装置においては、仕切部材を出没させるためのアクチュエータを設ける必要があるので、成形空間の区画個数が増えると、それに応じて仕切部材の駆動系統が複雑になり、成形装置の製作コストが高くなるという問題がある。
また、隣接する区画成形空間内の充填圧に差圧が生じないように制御しないと、差圧による仕切部材の変形が懸念される。また、充填用エアの流れが仕切部材により阻害されて原料ビーズの充填性が低下するという問題もある。
【0005】
更に、金型に挿通孔を形成して、この挿通孔に仕切部材を出没自在に装着する関係上、原料ビーズの加熱融着時に軟化した原料ビーズが挿通孔や挿通孔の内壁面と仕切部材間に侵入して、成形品の表面に挿通孔に沿って突出状バリが形成されるという問題がある。
【0006】
このようなバリは、表面の寸法精度に対する要求がラフな成形品に関しては大きな問題になることはないが、要求の厳しい成形品においては製品欠陥となることがある。例えば、自動車用バンパーにおいては、自動車のフロントビームの前側に型内発泡成形品としての芯材を固定し、この芯材を覆うように合成樹脂製のカバー部材を配置させたものが広く採用されているが、このような自動車用バンパーにおいては、芯材とフロントビーム間や芯材とカバー部材間に隙間が形成され、フロントビームの取付面の適正な位置に芯材を固定できなくなったり、車体の適正な位置にカバー部材を固定できなくなるという不具合が発生するので、これを防止するため芯材の成形後にバリを除去する必要があった。
【0007】
本発明の目的は、1つの成形品に特性の異なる原料ビーズからなる成形部分を形成可能な成型装置の構成を格段に簡素なものとし、しかも仕切部材を設けることによる各種不具合を効果的に防止し得る型内発泡成形装置及び方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段及びその作用】
本発明に係る型内発泡成形装置は、成形空間内を複数の区画成形空間に区画する仕切部材であって、隣接する区画成形空間に充填する原料ビーズの少なくとも一方が通り抜け不能な間隔をあけて型開閉方向に片持ち状に延びる複数の櫛歯を有する仕切部材を、コア型及びキャビティ型にそれぞれ固定し、仕切部材を含む金型からの成形品の離型抵抗に関して、エジェクタピンを有する金型に固定した第1仕切部材の櫛歯、総表面積、本数、総長さから選ばれる少なくとも1種を、エジェクタピンを有しない金型に固定した第2仕切部材の櫛歯のそれよりも大きく設定することで、エジェクタピンを有する金型側を大きく設定したものである。
【0009】
この成形装置においては、仕切部材により成形空間内を複数の区画成形空間に区画した状態で、隣接する区画成形空間内に特性の異なる原料ビーズを充填できるので、区画成形空間の形成位置やサイズ、充填する原料ビーズの特性などを適正に設定することで、成形品の性能や品質を向上できる。例えば、強度面を重視する部位には、発泡倍率の低い原料ビーズを用いて成形品の強度剛性を高め、そうでない部位には発泡倍率の高い原料ビーズを用いることで成形品重量を軽減し、成形品の強度向上と重量軽減の両立を図ることが可能となる。
【0010】
また、この成形装置により成形した成形品には、仕切部材の櫛歯に対応する位置に貫通孔又は有底孔が形成されるものの、仕切部材をコア型とキャビティ型の少なくとも一方に固定的に設けているので、次のような作用が得られる。
(1)仕切部材を駆動するための駆動系が不要となるので、成形装置を格段に簡素に構成することが可能となり、成形装置の製作コストを低減できる。
(2)仕切部材の取付位置を変更することで、成形空間の区画領域を容易に変更することが可能で、成形品の設計変更等に容易に対応できる。
(3)隣接する区画成形空間内に充填した特性の異なる原料ビーズ同士も櫛歯間の隙間を介して十分に融着することになるので、成形品のうちの特性の異なる原料ビーズで成形された成形部分の接合強度を十分に確保することが可能となる。
(4)仕切部材が挿通する挿通孔を金型に設ける必要がないので、原料ビーズが挿通孔内に侵入したり、挿通孔と仕切部材間に侵入することにより、バリが形成されたりするという不具合を確実に防止できる。しかも、挿通孔の形成による金型強度の部分的な低下を防止でき、成形品の寸法精度を向上できる。
【0011】
更に、この成形装置においては、仕切部材として、エジェクタピンを有する金型に固定した第1仕切部材と、エジェクタピンを有しない金型に固定した第2仕切部材とを有するので、成形品を離型するため金型を開くときには、第1仕切部材の櫛歯と第2仕切部材の櫛歯とが相互に離間する方向へ引っ張られながら、第2仕切部材の櫛歯は成形品から抜き取られ、第1仕切部材の櫛歯は成形品に突き刺さったままに保持され、成形品は第2仕切部材を固定している一方の金型から切り離されて、第1仕切部材を固定している金型に残置されることになる。このため、成形品をエジェクタピンにて離型するときには、櫛歯に関しては、第1仕切部材の櫛歯から成形品を抜き取るだけでよいので、全ての櫛歯から成形品を抜き取る場合と比較して、離型性が格段によくなる。しかも、成形品を離型するため金型を開くときに、第1及び第2仕切部材の櫛歯が相互に離間する方向へ一旦引っ張られ、このとき成形品が残置される第1仕切部材の櫛歯と成形品との密着部分もある程度剥離されることになるから、エジェクタピンによる成形品の離型性が一層改善されることになる。
【0012】
しかも、仕切部材を含む金型からの成形品の離型抵抗に関して、第1仕切部材と第2仕切部材の構成を調整することで、エジェクタピンを有する金型側を大きく設定しているので、離型のため金型を型開きしたときに、エジェクタピンを有する金型に成形品を確実に残置させることが可能となり、エジェクタピンを有しない金型に成形品が残置されることによる離型不良を確実に防止することが可能となる。
【0013】
更に、第1仕切部材及び第2仕切部材の櫛歯の長さは、櫛歯の配設位置における金型間の距離と略同じに設定してもよいが、それよりも短尺に構成して、第1仕切部材及び第2仕切部材の櫛歯の先端部が長さ方向に多少重なるように配置すると、成形品の離型性を向上できるとともに、櫛歯に作用する曲げモーメントを小さく設定して、櫛歯として小径のものを採用することが可能となり、櫛歯により成形品に形成される有底孔を極力小径に構成できる。また、櫛歯の長さ設定がラフになるので、成形品形状の変更等に対しても容易に対応できるし、クラッキング充填のように、両金型間にクラッキング隙間をあけた状態で、原料ビーズを充填する場合でも、両仕切部材の櫛歯のラップ量をクラッキング隙間よりも多少大きく設定することで、隣接する区画成形空間を仕切ることが可能となる。
【0014】
エジェクタピンを有する金型側の離型抵抗を大きく設定するために行う、具体的な仕切部材の構成上の調整としては、第1仕切部材の櫛歯の総表面積と第2仕切部材の櫛歯の総表面積を調整したり、第1仕切部材の櫛歯の本数と第2仕切部材の櫛歯の本数を調整したり、第1仕切部材の櫛歯の総長さと第2仕切部材の櫛歯の総長さを調整したりすることが考えられる。
【0015】
櫛歯としては、直径が1〜10mmの棒状部材を用いることが好適である。つまり、この成形装置においては、前述のように成形品に櫛歯により貫通孔又は有底孔が形成されるので、櫛歯の直径を10mmよりも大きく設定すると、大きな貫通孔又は有底孔が形成されることになり、成形品の強度低下を招くとともに、成形品の外観が低下し、また櫛歯の直径を1mmよりも小さく設定すると、櫛歯の強度を十分に確保できず、櫛歯が破損したり変形したりするという不具合が発生する。
【0016】
また、隣接する櫛歯の間隔は、通り抜けできない原料ビーズの直径の30〜90%に設定することが好ましい。隣接する櫛歯の間隔は狭すぎると、該櫛歯を挟んで隣接する区画成形空間内の原料ビーズ同士の密着性が十分に確保できず、境界面における強度が低下する。また、ポリオレフィン系樹脂からなる原料ビーズのように柔らかい原料ビーズを使用する場合には、隣接する櫛歯の間隔が広すぎると、原料ビーズが仕切部材の櫛歯間を通って隣接する区画成形空間に移動するという不具合が発生する。
【0017】
更に、前記櫛歯を弾性変形可能な素材で構成することが好ましい。つまり、櫛歯は、充填圧や発泡圧等を受けて変形することを防止するため、その断面積を大きく設定して強度剛性を高めることが好ましいが、このように構成すると、成形品に大きな貫通孔又は有底孔が形成されることになり、成形品の外観低下や強度低下の原因となる。そこで、櫛歯を弾性変形可能な素材で構成することにより、充填圧や発泡圧により櫛歯が多少変形しても元の形状に復帰できるようにして、櫛歯の塑性変形による成形不良を防止しつつ、櫛歯の断面積を極力小さく設定して、成形品の外観低下や強度低下を抑制できるように構成することが好ましい。
【0018】
第1仕切部材の櫛歯と第2仕切部材の櫛歯とは交互に配置させることが好ましい。この場合には、金型を開くときに、櫛歯の引き抜き力を成形品に対してバランスよく作用させることが可能となり、離型性を向上する上で好ましい。
【0019】
本発明に係る型内発泡成形方法は、前記型内発泡成形装置を用いるとともに、原料ビーズとして櫛歯間を通り抜け不能な原料ビーズを用い、コア型とキャビティ型を型閉めして、仕切部材により成形空間を複数の区画成形空間に区画した状態で、各区画成形空間内に個別に原料ビーズを充填するものである。
【0020】
この成形方法においては、前記型内発泡成形装置を用いているので、前述と同様の作用が得られる。しかも、原料ビーズとして仕切部材の櫛歯間を通り抜け不能なサイズのものを用いているので、複数の区画成形空間に対して特性の異なる原料ビーズを同時に充填することが可能となり、原料ビーズの充填時間を長くすることなく、原料ビーズを充填することが可能となる。
【0021】
本発明に係る他の型内発泡成形方法は、前記型内発泡成形装置を用いるとともに、原料ビーズとして櫛歯間を通り抜け不能な第1原料ビーズと通り抜け可能な第2原料ビーズを用い、コア型とキャビティ型を型閉めして、仕切部材により成形空間を複数の区画成形空間に区画した状態で、第1原料ビーズを充填した後、第2原料ビーズを充填するものである。
【0022】
この型内発泡成形方法においては、前記型内発泡成形装置を用いているので、前述と同様の作用が得られる。しかも、櫛歯間を通り抜け不能な第1原料ビーズを充填した後、櫛歯間を通り抜け可能な第2原料ビーズを充填するので、原料ビーズの充填時間は長くなるが、第2原料ビーズの一部は櫛歯を通り抜けて隣接する区画成形空間内へ移動するので、第1原料ビーズと第2原料ビーズとの接合強度をより一層高めることが可能となる。
【0023】
また、前記特性の異なる原料ビーズとして、発泡倍率の異なる原料ビーズを仕切部材で区画された隣接する区画成形空間内に充填することが考えられる。例えば、強度面を重視する部位には、発泡倍率の低い原料ビーズを用いて成形品の強度剛性を高め、そうでない部位には発泡倍率の高い原料ビーズを用いることで成形品重量を軽減し、成形品の強度向上と重量軽減の両立を図ることが可能となる。
【0026】
本発明に係る型内発泡成形方法及び装置で成形される型内発泡成形品の具体的な例としては、自動車用バンパーの芯材が考えられる。このよう自動車用バンパーの芯材は、自動車の正面衝突(正突)時における衝撃や、オフセット衝突時における衝撃や、斜め前側からの衝突(斜突)時における衝撃を効率的に吸収する必要があるとともに、車体重量を軽減するため、芯材の重量は極力軽く構成する必要がある。本発明に係る型内発泡成形方法及び装置で成形される型内発泡成形品としての自動車用バンパーの芯材においては、自動車の各種前面衝突時において芯材に作用する局部的衝撃応力を受けやすい部分付近を、発泡倍率の低い原料ビーズからなる低発泡部で構成し、他の部分を低発泡部よりも発泡倍率の高い原料ビーズからなる高発泡部で構成することで、芯材の重量を極力低減しつつ、オフセット衝突時や斜突時においても、衝撃エネルギーを効果的に吸収することが可能となる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。尚、本実施の形態は、型内発泡成形品としての自動車用バンパーの芯材と、これを成形するための型内発泡成形装置及び型内発泡成形方法に本発明を適用した場合ものである。
【0028】
先ず、型内発泡成形品としての自動車用バンパーの芯材について説明する。
図1、図2に示すように、芯材1は、両端部側を緩やかに後方へ湾曲させた前部衝撃吸収部2と、前部衝撃吸収部2の両端部から後方へ延びる側部衝撃吸収部3とを有している。前部衝撃吸収部2から側部衝撃吸収部3に至る角部4の下半部には発泡倍率の低い原料ビーズからなる低発泡部5が形成され、その他の部分は低発泡部5よりも発泡倍率の高い原料ビーズからなる高発泡部6で構成されている。
【0029】
つまり、前部衝撃吸収部2の中央部は、正突時における衝撃エネルギーを吸収するためのものであるが、衝撃エネルギーの受圧面積を大きく設定できるので、発泡倍率の高い軟質軽量な原料ビーズで構成し、前部衝撃吸収部2の両端部及び側部衝撃吸収部3は、オフセット衝突時や斜突時における衝撃エネルギーを吸収するためのものであるが、衝撃エネルギーの受圧面積を大きく設定することが困難なので、他の部分よりも重たくなるが発泡倍率の低い硬質な原料ビーズからなる低発泡部5を設けることで、各種前面衝突時における十分な衝突安全性能を確保しつつ、芯材1の重量を極力低減できるように構成されている。尚、低発泡部5の長さや高さは、芯材1に作用する衝撃エネルギーを十分に吸収できるように構成されていれば、任意のサイズに設定することが可能である。また、本実施例では、低発泡部5を芯材1の角部4の下半部にのみ形成したが、角部4の全体を低発泡率の原料ビーズで構成することも可能である。また、芯材1の外観形状やサイズは、適用する自動車に応じて任意に設定可能である。
【0030】
図1、図2に示すように、低発泡部5と高発泡部6とは正面視略コ字状の境界面Lの位置において区画され、境界面Lには前面から後方へ延びる複数の有底孔7と、後面から前方へ延びる複数の有底孔8とが一定間隔おきに交互に形成されている。この有底孔7、8は、後述する型内発泡成形装置10により芯材1を成形したことにより形成されるものであるが、芯材1を前後方向に貫通する貫通孔で構成することも可能である。但し、境界面Lは必ずしも正面視コ字状に形成する必要はなく、正面視L字状や直線状、或いは曲線状の境界に沿って芯材を区画することも可能である。また、境界面Lが三角波状や矩形波状、鋸波状や正弦波状になるように、有底孔7,8を配列してもよい。
【0031】
芯材1に形成される有底孔7と有底孔8とは、総内面積、個数、深さの総長さ、断面形状、内面の表面性、抜き勾配の少なくとも1種が異なるように構成され、芯材1の成形時において、金型から芯材1を離型するときに、エジェクタピンを有する金型側に芯材1が確実に残置されるように構成されている。即ち、有底孔7及び有底孔8は、後述するように櫛歯により成形されるが、櫛歯に対する芯材1の離型抵抗は、櫛歯の表面積、本数、長さ、横断面積、横断面形状、表面性、抜き勾配などにより変化するので、これを利用してエジェクタピンを有する金型からの離型抵抗をエジェクタピンを有しない金型からの離型抵抗よりも大きく設定して、エジェクタピンを有する金型側に芯材1を確実に残置させることになるが、芯材1の有底孔7,8には、このような櫛歯の形態が現出されるので、有底孔7と有底孔8との総内面積、個数、深さの総長さ、断面形状、内面の表面性、抜き勾配の少なくとも1種が異なるように構成されていることで、エジェクタピンを有する金型側に芯材1を確実に残置させることが可能となるのである。
【0032】
この芯材1においては、前述のように、境界面Lに沿って一定間隔おきに芯材1を前後方向に貫通する複数の有底孔7,8が形成されるものの、従来のように芯材1の表面に境界面Lに沿ってバリが突出形成されることはないので、バリ除去のための工程を経ることなく、この芯材1をそのまま自動車のフロントビームの取付面に精度よく固定することが可能となる。また、芯材1にカバー部材を外装する場合においても、芯材1とカバー部材間に隙間が形成されることを確実に防止できる。しかも、成形時に、エジェクタピンを有しない金型に芯材1が残置されることを確実に防止して、芯材1の離型不良を防止することが可能となる。
【0033】
尚、本実施例では、自動車用バンパーの芯材1について説明したが、特性の異なる原料ビーズからなる成形部を有する成形品であれば、芯材以外の型内発泡成形品に対しても本発明を同様に適用できる。また、成形品によっては、その使用条件に適合するように、発泡倍率以外の特性の異なる原料ビーズ、例えば基材樹脂組成、結晶化構造、粒子サイズ、粒子形状、粒子重量、粒子内セル径、色の1種又は2種以上の特性が異なる原料ビーズを用いて成形品を構成してもよい。
【0034】
原料ビーズの素材としては、製作する成形品の使用条件などに応じた物性の素材を選択することになるが、ポリスチレン系合成樹脂材料や、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂材料などのポリオレフィン系合成樹脂材料や、これらの合成樹脂材料の共重合体などを採用できる。
原料ビーズの発泡倍率は、原料ビーズの素材にもよるが、3〜150倍の範囲内が好ましい。具体的には、ポリスチレン系合成樹脂材料からなる原料ビーズにおいては3〜100倍、好ましくは3〜80倍、ポリオレフィン系合成樹脂材料からなる原料ビーズにおいては、3〜90倍、好ましくは3〜60倍のものが好適に利用できる。また、粒径は1〜10mm、好ましくは2.0〜8mmの範囲のものが好適に利用できる。
【0035】
ポリオレフィン系樹脂材料の具体例としては、エチレンプロピレンランダムポリプロピレン樹脂、エチレンプロピレンブロックポリプロピレン樹脂、ホモポリプロピレンエチレンプロピレンブテンランダムターポリマー、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、架橋低密度ポリエチレン(架橋LDPE)などを好適に利用できる。
【0036】
このようなポリオレフィン系樹脂材料からなる原料ビーズのセル径は、100μm未満の場合には、成形時に表面伸びが悪く、ヒケ易く、適正表面外観の見栄えが劣るという問題があり、900μmを越える場合には、セル径が不均一になり易く、セル径が大きいため表面のきめが粗く、適正表面外観が劣るという問題があるので、100〜900μmの範囲内、より好ましくは150〜700μm、特に好ましくは170〜550μmに設定することになる。
【0037】
DSC2’ndピーク比は、8%〜60%に設定することが好ましい。DSC2’ndピーク比とは、基材樹脂を加熱したときに、基材樹脂の結晶融点に起因して形成される、低温側と高温側の2つのDSC(示差走査熱量測定)のピークの合計面積に対する高温側ピークの面積の割合であり、このDSC2’ndピーク比が、8%未満の場合には、成形時の加熱条件幅が狭く、成形体が収縮し易く、ヒケ易い。また、60%を越えると、加熱条件を大幅にアップする必要があり、成形機の大型化が必要であり、且つ省エネルギーという観点からもマイナスとなるので8〜60%、より好ましくは10〜50%、特に好ましくは15〜40%に設定することになる。
【0038】
独立気泡率は、65%未満の場合には、成形時の加熱圧をアップしてなんとかビーズ同士を融着させたとしても、成形体の収縮、ヒケが大きくなり易く、目標の品質の成形体が得られ難くなるので、65%以上、より好ましくは75%以上、特に好ましくは85%以上に設定することになる。
【0039】
次に、前述した芯材1を成形するための型内発泡成形装置10について説明する。
図3に示すように、型内発泡成形装置10は、対向配置された1組の金型としてのコア型11及びキャビティ型12と、コア型11とキャビティ型12とで形成される成形空間13内に空気の流れに乗せて原料ビーズを充填するための充填器14とを備えている。
【0040】
コア型11及びキャビティ型12は、枠状フレームと裏板とを有するハウジング15にそれぞれ取り付けられ、コア型11及びキャビティ型12の背面側には1組の第1チャンバー16及び第2チャンバー17がそれぞれ形成され、コア型11及びキャビティ型12には両チャンバー16,17と成形空間13とを連通する多数の通気孔18が形成されている。尚、通気孔18は、実際には、図4、図5に例示するように、0.5mmφ程度の丸孔19aや幅0.5mm程度のスリット19bを複数個透設した外径7〜12mmの蓋を有する筒体からなるコアベント19を、金型11,12に孔明け配置したコアベント取付孔20に嵌め込んで形成したものや、金型11,12に直接的に形成した0.5mmφ程度のコアベントホール21で構成されている。
【0041】
第1チャンバー16及び第2チャンバー17には、蒸気や圧縮空気などの用役流体を供給するための供給管22がそれぞれ接続されるとともに、減圧手段やドレン配管に連なる排出管23がそれぞれ接続されている。
【0042】
成形空間13内は、図3、図6に示すように、低発泡部5に対応させて設けた2組の区画手段30を介して、低発泡部5を成形するための2つの区画成形空間13Aと、高発泡部6を成形するための1つの区画成形空間13Bとに区画され、各区画成形空間13A,13Bには原料ビーズの充填器14がそれぞれ接続されており、隣接する区画成形空間13A,13B内に特性の異なる原料ビーズを充填できるように構成されている。尚、本実施例では自動車用バンパーの芯材1を成形すべく、成形空間13を3つに区画したが、成形空間13の区画形状や区画個数や区画位置は、製作する成形品に応じて任意に設定可能である。また、発泡倍率の異なる原料ビーズを隣接する区画成形空間13A,13Bに充填したが、成形品の用途などに応じて、基材樹脂組成、結晶化構造、粒子サイズ、粒子形状、粒子重量、粒子内セル径、色の1種又は2種以上の特性が異なる原料ビーズを充填することも可能である。
【0043】
区画手段30は、図7、図8に示すように、型開閉方向に沿って並列状に配置した複数本の櫛歯31と、櫛歯31を片持ち状に支持する支持部材32とからなる仕切部材であって、キャビティ型12に略コ字状に固定した3枚1組の第1仕切部材33と、コア型11に略コ字状に固定した3枚1組の第2仕切部材34とを備えている。但し、仕切部材33,34としては、略コ字状に一体形成したものを用いてもよい。
【0044】
両仕切部材33,34の櫛歯31の間隔Tは、区画成形空間13A,13Bの少なくとも一方に充填する原料ビーズが通り抜けできない間隔にそれぞれ設定されている。櫛歯31の間隔Tは、狭すぎると、隣接する区画成形空間13A,13B内に充填される原料ビーズ同士の密着性が十分に確保できず、芯材1の強度が低下するので、通り抜けできない原料ビーズの直径の30〜90%、より好ましくは50〜80%に設定することが好ましい。
【0045】
第1仕切部材33の櫛歯31Aと第2仕切部材34の櫛歯31Bとは半ピッチずらして配置されるとともに、両仕切部材33,34の櫛歯31の長さは、当該櫛歯31が配置される位置における両金型11,12間の距離よりも短く設定され、両金型11,12を型閉じした状態で、櫛歯31A,31Bの先端部が型開閉方向にラップするように構成されている。但し、櫛歯31の先端部を相手側の金型まで延長し、該金型の支持部材32に当接或いは挿入してもよい。また、この場合には、図9に示す区画手段40のように、左右の第1仕切部材41をキャビティ型12に固定し、上部の第2仕切部材42をコア型11に固定してもよい。
【0046】
この区画手段30では、第1仕切部材33の櫛歯31Aと第2仕切部材34の櫛歯31Bの先端部のみをラップさせるので櫛歯31A,31Bの長さを極力短く設定することが可能となり、櫛歯31A,31Bの離型性を向上できるとともに、櫛歯31A,31Bに作用する曲げモーメントを小さくして、櫛歯31A,31Bして小径のものを採用することが可能となり、櫛歯31A,31Bにより芯材1に形成される有底孔7,8を極力小径に構成できる。また、櫛歯31A,31Bの長さ設定がラフになるので、芯材1形状の変更等に対しても容易に対応できるし、クラッキング充填のように、両金型間にクラッキング隙間をあけた状態で、原料ビーズを充填する場合でも、両仕切部材33,34の櫛歯31A,31Bのラップ量をクラッキング隙間よりも多少大きく設定することで、隣接する区画成形空間を仕切ることが可能となる。また、櫛歯31Aと櫛歯31Bとを交互に配置させているので、金型11,12を型開きするときに芯材1に対してバランスよく櫛歯31A,31Bの引き抜き力を作用させることが可能となるので、離型性を向上する上で好ましい。
【0047】
櫛歯31は、細長い棒状やパイプ状の部材で構成され、外形は、図10に示すように、円形状、長円状、楕円状、四角形や六角形などの多角形状など任意の外形のものを採用できる。また、櫛歯31の素材は、原料ビーズの充填圧に耐え、しかも原料ビーズの加熱融着時における熱に耐え得る素材であれば、金属材料、合成樹脂材料、セラミックスなどの任意の材料で構成できる。また、この区画手段30を用いた場合においては、図1,図2に示すように、芯材1には櫛歯31A,31Bに対応する位置に有底孔7,8がそれぞれ形成されることになるので、櫛歯31の直径は極力小さく設定することが好ましく、櫛歯31の直径は、例えば1〜10mm、好ましくは1.5〜5mmに設定されている。更に、櫛歯31として弾性変形可能な金属材料や合成樹脂材料からなるものを用いることが好ましい。このように構成すると、充填圧や発泡圧により櫛歯31が多少変形しても元の形状に復帰できるので、櫛歯31の塑性変形による充填不良や離型不良などの成形不良を防止しつつ、櫛歯31の断面積を極力小さく設定して、芯材1の外観低下や強度低下を抑制できる。
【0048】
型内発泡成形装置10には、図示していないが、キャビティ型12から芯材1を離型するためのエジェクタピンが設けられ、仕切部材33,34を含む金型11,12からの芯材1の離型抵抗に関して、櫛歯31A,31Bの構成を次のように調整することで、コア型11側よりもキャビティ型12側の離型抵抗を大きく設定し、型開き時にエジェクタピンを有するキャビティ型12側に芯材1が確実に残置されるように構成されている。
【0049】
即ち、第1仕切部材33の櫛歯31Aと第2仕切部材34の櫛歯31Bとの総表面積、本数、総長さ、横断面積、横断面形状、表面性、抜き勾配などを調整したり、或いはこれらの調整を組み合わせて、キャビティ型12側の離型抵抗がコア型11側よりも大きくなるように構成している。もっとも金型は、基本的には、エジェクタピンを有する金型側に芯材1が残置されるように設計されているので、両櫛歯31A,31Bからの芯材1の離型抵抗を同じに設定すれば、キャビティ型12側に芯材1が残置され、またコア型11側の櫛歯31Bからの離型抵抗をキャビティ型12側の櫛歯31Aからの離型抵抗よりも多少大きく設定しても、キャビティ型12側に芯材1が残置されることになるが、キャビティ型12側に確実に芯材1が残置されるように、キャビティ型12側の櫛歯31Aからの離型抵抗がコア型11側の櫛歯31Bからの離型抵抗よりも大きくなるように、前述したように櫛歯31A,31Bの構成を調整することが好ましい。但し、両櫛歯31A,31Bからの離型抵抗の差を大きく設定し過ぎると、エジェクタピンによる芯材1の離型作業に支障がでることが考えられるので、キャビティ型12の櫛歯31Aからの離型抵抗がやや大きくなるように設定することが好ましい。
【0050】
尚、区画手段30に代えて、図11に示す区画手段50のように、低発泡部5と高発泡部6の境界面Lの角部や端部に対応させて柱状の固定仕切部材51をコア型11又はキャビティ型12に一体的に設けたり、図12に示す区画手段55のように、低発泡部5と高発泡部6の境界面Lの途中部に壁状の固定仕切部材56をコア型11又はキャビティ型12に一体的に設けたりしてもよい。この場合には、図11に示すように、芯材1Aには固定仕切部材52により貫通孔57及び溝部58が形成され、また図12に示すように、芯材1Bには固定仕切部材56により長孔状の貫通孔59が形成されるが、櫛歯31により区画困難な、芯材の薄肉部などを固定仕切部材51,56により区画することが可能となるので、成形品形状に応じて採用することが好ましい。
【0051】
また、前記実施例では、仕切部材の複数の櫛歯をそれぞれ同一平面内に配置して、各仕切部材による低発泡部5と高発泡部6との境界面Lを平坦面で構成したが、この境界面Lが例えば矩形波状や三角波状やサイン波状などの波形面状になるように、櫛歯31を配置すると、隣接する原料ビーズの接触面積を増やして、両者の結合強度を向上できるので好ましい。また、低発泡部5と高発泡部6との境界面Lが正面視略コ字状の場合について説明したが、その他の形状、例えばL字状やクランク状や直線状の場合においても、本発明を同様に適用できる。
【0052】
更に、型内発泡成形装置10に代えて、図13に示すように、コア型11及びキャビティ型12から通気孔18を完全に或いは略完全に省略した型内発泡成形装置60を採用することも可能である。この場合には、コア型11とキャビティ型12とを型閉めした状態においても成形空間13内に開口するクリアランス61を両金型11,12の合わせ目に沿って形成し、このクリアランス61を介して両チャンバー16,17とは独立に成形空間13内に対して蒸気等の用役流体を供給したり、成形空間13からドレン等を排出することになる。このような成形装置60においては、通気孔18の跡のない表面美麗な芯材1を製作できること、通気孔18を形成することによる金型11,12の強度低下を防止できるので、金型11,12を薄肉に構成してその熱容量を小さく設定することが可能となり、加熱冷却の熱効率を向上したり、温度制御の精度を向上できること、通気孔18を形成するための加工コストを大幅に削減でき、金型11,12の製作コストを低減できること、通気孔18の目詰まりに基づく加熱不良、離型不良、冷却不良が発生せず、コアベント19の取替えまたは定期的な高圧洗浄水による洗浄などのメンテナンス作業が全く不要となること、冷却工程で用いられる冷却水が成形空間13内に侵入しなくなるので、芯材1の水分を従来の6〜10%程度から0.5〜2%程度にまで低下でき、乾燥工程が不要となり、サイクル時間短縮に大いに寄与できること、などの効果が得られる。
【0053】
また、本実施例では、型内発泡成形品として自動車用バンパーの芯材1を製作するための型内発泡成形装置10、60について説明したが、芯材1以外の成形品を製作する成形装置に対しても本発明を同様に適用することが可能である。
【0054】
次に、図3に示す発泡成形装置10を用いた芯材1の成形方法の一例について説明する。
先ず、コア型11とキャビティ型12とを型閉めして仕切部材33,34により成形空間13内を3つの区画成形空間13A,13Bに区画する。
【0055】
次に、充填器14から区画成形空間13A,13Bに対して、櫛歯31間の間隔Tよりも大きな直径で且つ特性の異なる原料ビーズを空気の流れに乗せてそれぞれ個別に供給し、成形空間13内に原料ビーズを充填する。このとき、隣接する区画成形空間13A,13Bに充填された原料ビーズは、櫛歯31間の隙間を介して相互に接触した状態となる。尚、本実施例では、自動車バンパーの芯材1を成形すべく、発泡倍率が5倍の原料ビーズを区画成形空間13Aに充填し、発泡倍率が20倍の原料ビーズを区画成形空間13Bに充填する。但し、原料ビーズの発泡倍率は芯材1の強度等を考慮して任意に設定することが可能である。また、成形品の用途などに応じて、発泡倍率以外の特性の異なる原料ビーズ、例えば基材樹脂組成、結晶化構造、粒子サイズ、粒子形状、粒子重量、粒子内セル径、色の1種又は2種以上の特性の異なる原料ビーズを充填することも可能である。また、原料ビーズとして、ポリオレフィン系樹脂からなる原料ビーズを用いる場合には、原料ビーズの充填前に、図示外の成含タンク内に原料ビーズを充填して、0.03〜0.2MPaの無機ガスを原料ビーズに圧入することで、原料ビーズの発泡力を高めるように構成してもよい。原料ビーズの具体的な充填方法としては、クラッキング充填法、加圧充填法、圧縮充填法などの周知の充填方法を採用できる。
【0056】
次に、両チャンバー16,17及び通気孔18を介して成形空間13に蒸気を供給して原料ビーズを加熱した後、蒸気圧を開放することで原料ビーズを発泡させ、原料ビーズを略隙間なく相互に融着させることになる。このとき原料ビーズ間に空気が残存していると原料ビーズ同士の密着性が低下するので、両チャンバー16,17及び成形空間13内の空気を蒸気に置き換える作業を予め行うことになる。また、この蒸気による加熱により、隣接する区画成形空間13A,13Bの原料ビーズ同士も櫛歯31間の隙間を介して相互に融着することになる。
【0057】
次に、コア型11及びキャビティ型12に向けて図示外のノズルから冷却水を噴霧し、成形空間13内の芯材1を冷却してから、金型11,12を型開きするが、前述のように仕切部材33,34の櫛歯31A,31Bの構成を調整することで、キャビティ型12側の離型抵抗がコア型11側の離型抵抗よりも大きく設定されるので、金型11,12を型開きした状態で、芯材1はキャビティ型12側に残置されることになる。こうして、金型11,12を型開きして、芯材1をキャビティ型12側に残置させた状態とし、図示外のエジェクタピンを用いて芯材1をキャビティ型12から離型する。
【0058】
尚、原料ビーズとして、櫛歯31間を通り抜け不能な直径の第1原料ビーズと、櫛歯31間を通り抜け可能な第2原料ビーズとを用いる場合には、成形空間13への原料ビーズの充填時に、第1原料ビーズを区画成形空間13Bに充填した後、第2原料ビーズを区画成形空間13Aに充填することになる。この場合には、第1原料ビーズの一部が櫛歯31間を通って区画成形空間13A内へ移動するので、第1原料ビーズと第2原料ビーズの密着性をより一層高めることが可能となる。
【0059】
また、前記型内発泡成形装置60を用いて成形を行う場合には、芯材1の外面の目立つ場所を成形する成形部に通気孔18が形成されていないコア型11及びキャビティ型12を用いていることから、原料ビーズの充填時には原料ビーズとともに成形空間13内に供給される充填用エアを、クリアランス61を介して成形空間13外へ排出することになる。また、蒸気により原料ビーズを加熱融着するときには、チャンバー16,17に蒸気を供給するとともに、クリアランス61を介して成形空間13内へ蒸気を供給することになる。
本実施例では、自動車用バンパーの芯材1を成形するための成形方法について説明したが、芯材1以外の型内発泡成形品を成形する場合においても、本発明を同様に適用できる。
【0060】
【発明の効果】
本発明に係る型内発泡成形装置によれば、隣接する区画成形空間内に特性の異なる原料ビーズを充填できるので、区画成形空間の形成位置やサイズ、充填する原料ビーズの特性などを適正に設定することで、成形品の性能や品質を向上できる。例えば、強度面を重視する部位には、発泡倍率の低い原料ビーズを用いて成形品の強度剛性を高め、そうでない部位には発泡倍率の高い原料ビーズを用いることで成形品重量を軽減し、成形品の強度向上と重量軽減の両立を図ることが可能となる。
【0061】
また、仕切部材をコア型又はキャビティ型に固定的に設けているので、成形装置の製作コストを低減できること、成形品の設計変更等に容易に対応できること、成形品のうちの特性の異なる原料ビーズで成形された成形部分の接合強度を十分に確保できること、境界部分にバリが形成されるという不具合を確実に防止でき、しかも金型強度の部分的な低下を防止して成形品精度を向上できること、などの効果が得られる。
【0062】
更に、櫛歯を有する2つの仕切部材と成形空間を区画するので、型開き時における離型性を格段に向上できるととも、エジェクタピンによる成形品の離型性も向上する。しかも、仕切部材を含む金型からの成形品の離型抵抗に関して、第1仕切部材と第2仕切部材の構成を調整することで、エジェクタピンを有しない金型に成形品が残置されることによる離型不良を確実に防止することが可能となる。
【0063】
更にまた、型開きした状態で、櫛歯の先端部が長さ方向に多少重なるように両仕切部材を配置すると、隣接する区画成形部間における原料ビーズの移動を阻止しつつ、両仕切部材の櫛歯を短尺に構成して、成形品の離型性を向上できること、櫛歯として小径のものを採用して、成形品に形成される有底孔を極力小径に構成できること、櫛歯の長さ設定がラフになるので、成形品形状の変更等に対しても容易に対応でき、しかもクラッキング充填にも容易に対応できること、などの効果が得られる。
【0064】
第1仕切部材の櫛歯と第2仕切部材の櫛歯の総表面積、本数、総長さを調整すると、エジェクタピンを有する金型側の離型抵抗を容易に大きく設定できる。
【0065】
櫛歯として、直径が1〜10mmの棒状部材を用いると、有底孔や貫通孔が形成されることによる成形品の強度低下及び外観低下を極力防止できるとともに、櫛歯の強度を十分に確保して、櫛歯の破損や変形を防止できる。
【0066】
隣接する櫛歯の間隔を、通り抜けできない原料ビーズの直径の30〜90%に設定すると、櫛歯を挟んで隣接する区画成形空間内の原料ビーズ同士における密着性を向上して、境界部分における強度を十分に確保できるとともに、柔らかい原料ビーズを用いた場合でも、原料ビーズが仕切部材の櫛歯間を通って隣接する区画成形空間に移動するという不具合を防止できる。
【0067】
櫛歯を弾性変形可能な素材で構成すると、櫛歯の塑性変形による成形不良や離型不良を防止しつつ、櫛歯の断面積を極力小さく設定して、成形品の外観低下や強度低下を抑制できる。
第1仕切部材の櫛歯と第2仕切部材の櫛歯とを交互に配置させると、金型を開くときに、成形品に対して無理な力が作用することを防止できるので、型開き時における成形品の破損等を効果的に防止できる。
【0068】
本発明に係る型内発泡成形方法によれば、前記型内発泡成形装置を用いているので、前述と同様の効果が得られる。しかも、原料ビーズとして仕切部材の櫛歯間を通り抜け不能なサイズのものを用いているので、複数の区画成形空間に対して特性の異なる原料ビーズを同時に充填することが可能となり、原料ビーズの充填時間が長くなることもない。
【0069】
本発明に係る他の型内発泡成形方法によれば、前記型内発泡成形装置を用いているので、前述と同様の作用が得られる。しかも、櫛歯間を通り抜け不能な第1原料ビーズを充填した後、櫛歯間を通り抜け可能な第2原料ビーズを充填するので、原料ビーズの充填時間は長くなるが、第2ビーズの一部は櫛歯を通り抜けて隣接する区画成形空間内へ移動するので、第1ビーズと第2ビーズとの接合強度をより一層高めることが可能となる。
【0070】
特性の異なる原料ビーズとして、発泡倍率の異なる原料ビーズを仕切部材で区画された隣接する区画成形空間内に充填すると、例えば、強度面を重視する部位には、発泡倍率の低い原料ビーズを用いて成形品の強度剛性を高め、そうでない部位には発泡倍率の高い原料ビーズを用いることで成形品重量を軽減し、成形品の強度向上と重量軽減の両立を図ることが可能となる。
【0072】
自動車用バンパーを成形した場合には、自動車の各種前面衝突時において芯材に作用する局部的衝撃応力を受けやすい部分付近を、発泡倍率の低い原料ビーズからなる低発泡部で構成し、他の部分を低発泡部よりも発泡倍率の高い原料ビーズからなる高発泡部で構成することで、芯材の重量を極力低減しつつ、オフセット衝突時や斜突時においても、衝撃エネルギーを効果的に吸収することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 自動車用バンパーの芯材の斜視図
【図2】 (a)は図1のII-II線断面図、(b)は(a)のb−b線断面図
【図3】 型内発泡成形装置の縦断面図
【図4】 通気孔付近の金型の縦断面図
【図5】 コアベントの正面図
【図6】 図3のVI-VI線断面図
【図7】 区画手段の側面図
【図8】 区画手段の斜視図
【図9】 他の構成の区画手段の斜視図
【図10】 櫛歯の断面形状の説明図
【図11】 (a)は他の構成の成形品の斜視図、(b)は同成形品を成形するための成形装置の説明図
【図12】 (a)は他の構成の成形品の斜視図、(b)は同成形品を成形するための成形装置の説明図
【図13】 他の構成の成形装置の縦断面図
【符号の説明】
1 芯材 2 前部衝撃吸収部
3 側部衝撃吸収部 4 角部
5 低発泡部 6 高発泡部
7 有底孔 8 有底孔
10 型内発泡成形装置 11 コア型
12 キャビティ型 13 コア型
13A 区画成形空間 13B 区画成形空間
14 充填器 15 ハウジング
16 第1チャンバー 17 第2チャンバー
18 通気孔 19 コアベント
19b スリット 19a 丸孔
20 コアベント取付孔 21 コアベントホール
22 供給管 23 排出管
30 区画手段 31 櫛歯
31A 櫛歯 31B 櫛歯
32 支持部材 33 第1仕切部材
34 第2仕切部材
40 区画手段 41 第1仕切部材
42 第2仕切部材
1A 芯材 1B 芯材
50 区画手段 51 固定仕切部材
52 固定仕切部材 55 区画手段
56 固定仕切部材 57 貫通孔
58 溝部 59 貫通孔
60 型内発泡成形装置 61 クリアランス

Claims (8)

  1. 成形空間内を複数の区画成形空間に区画する仕切部材であって、隣接する区画成形空間に充填する原料ビーズの少なくとも一方が通り抜け不能な間隔をあけて型開閉方向に片持ち状に延びる複数の櫛歯を有する仕切部材を、コア型及びキャビティ型にそれぞれ固定し、仕切部材を含む金型からの成形品の離型抵抗に関して、エジェクタピンを有する金型に固定した第1仕切部材の櫛歯の、総表面積、本数、総長さから選ばれる少なくとも1種を、エジェクタピンを有しない金型に固定した第2仕切部材の櫛歯のそれよりも大きく設定することで、エジェクタピンを有する金型側を大きく設定した、
    ことを特徴とする型内発泡成形装置。
  2. 前記櫛歯として直径が1〜10mmの棒状部材を用いた請求項1記載の型内発泡成形装置。
  3. 隣接する櫛歯の間隔を、通り抜けできない原料ビーズの直径の30〜90%に設定した請求項1又は2記載の型内発泡成形装置。
  4. 前記櫛歯を弾性変形可能な素材で構成した請求項1〜3のいずれか1項記載の型内発泡成形装置。
  5. 前記第1仕切部材の櫛歯と第2仕切部材の櫛歯とを交互に配置させた請求項1〜4のいずれか1項記載の型内発泡成形装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項記載の型内発泡成形装置を用いるとともに、原料ビーズとして櫛歯間を通り抜け不能な原料ビーズを用い、コア型とキャビティ型を型閉めして、仕切部材により成形空間を複数の区画成形空間に区画した状態で、各区画成形空間内に個別に原料ビーズを充填することを特徴とする型内発泡成形方法。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項記載の型内発泡成形装置を用いるとともに、原料ビーズとして櫛歯間を通り抜け不能な第1原料ビーズと通り抜け可能な第2原料ビーズを用い、コア型とキャビティ型を型閉めして、仕切部材により成形空間を複数の区画成形空間に区画した状態で、第1原料ビーズを充填した後、第2原料ビーズを充填することを特徴とする型内発泡成形方法。
  8. 前記複数の区画成形空間に発泡倍率の異なる原料ビーズを充填する請求項6又は7記載の型内発泡成形方法。
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