JP2001145931A - 型内発泡成形装置及び方法並びに型内発泡成形品 - Google Patents

型内発泡成形装置及び方法並びに型内発泡成形品

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JP2001145931A
JP2001145931A JP32751399A JP32751399A JP2001145931A JP 2001145931 A JP2001145931 A JP 2001145931A JP 32751399 A JP32751399 A JP 32751399A JP 32751399 A JP32751399 A JP 32751399A JP 2001145931 A JP2001145931 A JP 2001145931A
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Masahiko Samejima
昌彦 鮫島
Yoshiyuki Kobayashi
喜幸 小林
Kenji Yamaguchi
健二 山口
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 バリの発生を極力防止しつつ可動仕切部材の
スムーズな移動を確保し得る型内発泡成形装置及び方法
並びに型内発泡成形品を提供する。 【解決手段】 コア型11を挿通して成形空間13内に
出没自在な可動仕切部材32と、コア型11に一体的に
設けた固定仕切部材40とで、成形空間13を複数の区
画成形空間13A,13Bに区画可能となし、可動仕切
部材32が出没するコア型11のうちの各区画成形空間
13A,13Bをそれぞれ構成する区画成形部11a,
11bを、固定仕切部材40に対応する位置において一
体化させた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、1つの成形品に特
性の異なる原料ビーズからなる成形部分を形成するのに
好適な型内発泡成形装置及び方法並びに型内発泡成形品
に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性合成樹脂からなる原料ビーズを
用いて成形品を製作する型内発泡成形装置として、例え
ば米国特許5164257号公報には、一方の金型にエ
アシリンダー等のアクチュエータを介して成形空間内に
出没自在な可動仕切部材を設け、この可動仕切部材によ
り成形空間内を複数の区画成形空間に区画するととも
に、各区画成形空間に対して原料ビーズを供給する充填
器を個別に接続し、可動仕切部材により成形空間内を区
画した状態で、隣接する区画成形空間内に、例えば発泡
倍率の異なる原料ビーズを充填し、充填後、可動仕切部
材を後退させてから成形空間内に蒸気を供給すること
で、原料ビーズを加熱融着させて成形品を得るように構
成した型内発泡成形技術が記載されている。
【0003】この型内発泡成形技術により成形された成
形品においては、成形品の部位によって使用する原料ビ
ーズを変更することで、例えば部位によって機械的特性
が異なる成形品を製作することが可能で、成形品の性能
や品質を向上できる利点を有しており、自動車用バンパ
ーの芯材や、家電製品や家具等の梱包用のクッション材
として採用されつつある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前述の型内
発泡成形技術では、可動仕切部材を出没自在に金型に設
ける関係上、金型には可動仕切部材が挿通する挿通孔が
形成される。一方、金型は、原料ビーズの蒸気による加
熱時には膨張し、冷却水による冷却時には収縮すること
になるが、前述のような挿通孔が形成されていると、挿
通孔に臨む金型部分の強度が低下することから金型の歪
みが挿通孔に集中し、挿通孔の開口幅が拡縮することに
より吸収されようとする。また、挿通孔をL字状やコ字
状などの形状に形成した場合には、特定方向に対する強
度が低下することから挿通孔の形状が変形する。そし
て、このような挿通孔の拡縮や変形により、可動仕切部
材のスムーズな進退移動が阻害されたり、可動仕切部材
が挿通孔の内壁に接触して変形したり破損したりすると
いう問題があった。特に、挿通孔により金型を複数の分
割金型に分割構成し、これら複数の分割金型を固定板に
ネジ等で固定した場合には、金型に対して挿通孔を容易
に形成することが可能となるが、金型の膨張や収縮によ
り固定板に対する分割金型の取付位置がずれて、挿通孔
の開口幅が大きく変動する。このような現象は、金型が
大型になるほど、また挿通孔が長尺になるほど顕著にな
り、可動仕切部材を有する型内発泡成形装置の大きな課
題になっている。一方、挿通孔の開口幅を大きく設定
し、可動仕切部材と金型間の隙間を大きく設定すると、
可動仕切部材の進退移動をスムーズに行うことが可能に
なるのであるが、このように構成すると、可動仕切部材
と金型間の隙間に原料ビーズが侵入してバリが発生する
という新たな問題が発生する。
【0005】また、可動仕切部材の前端部の形状は、相
手方の金型の内面形状に沿った形状に形成されている
が、必ずしも挿通孔を設けた金型の内面と同じ形状であ
るわけではないので、原料ビーズの充填後、可動仕切部
材を後退させたときに、可動仕切部材の一部は挿通孔の
奧部側まで没入し、挿通孔の内部空間が成形空間に開口
した状態になることがある。もっとも、挿通孔の開口幅
は、原料ビーズの直径よりも小さく設定され、挿通孔内
に原料ビーズが侵入しないように構成されているので、
可動仕切部材を後退させただけでは原料ビーズが挿通孔
内に侵入することはないが、成形空間内に蒸気を供給し
て原料ビーズを加熱融着させたときに、原料ビーズが軟
化して発泡することにより、原料ビーズの一部が挿通孔
内に侵入して、成形品の挿通孔に対応する位置に沿った
細長いバリが突出状に形成されるという問題がある。
【0006】このようなバリは、表面の寸法精度に対す
る要求がラフな成形品に関しては大きな問題になること
はないが、要求の厳しい成形品においては製品欠陥とな
ることがある。例えば、自動車用バンパーにおいては、
自動車のフロントビームの前側に型内発泡成形品として
の芯材を固定し、この芯材を覆うように合成樹脂製のカ
バー部材を配置させたものが広く採用されているが、こ
のような自動車用バンパーにおいては、芯材とフロント
ビーム間や芯材とカバー部材間に隙間が形成され、フロ
ントビームの取付面の適正な位置に芯材を固定できなく
なったり、車体の適正な位置にカバー部材を固定できな
くなるという不具合が発生するので、これを防止するた
め芯材の成形後にバリを除去する必要があった。
【0007】本発明の目的は、バリの発生を極力防止し
つつ可動仕切部材のスムーズな移動を確保し得る型内発
泡成形装置及び方法並びに型内発泡成形品を提供するこ
とである。
【0008】
【課題を解決するための手段及びその作用】本発明に係
る型内発泡成形装置は、コア型又はキャビティ型を挿通
して成形空間内に出没自在な可動仕切部材と、コア型又
はキャビティ型に一体的に設けた固定仕切部材とで、成
形空間を複数の区画成形空間に区画可能となし、可動仕
切部材が出没する金型のうちの各区画成形空間をそれぞ
れ構成する区画成形部を、固定仕切部材に対応する位置
において一体化させたものである。
【0009】この成形装置においては、可動仕切部材と
固定仕切部材とにより成形空間内を複数の区画成形空間
に区画した状態で、隣接する区画成形空間内に異なる特
性の原料ビーズを充填できるので、区画成形空間の形成
位置やサイズ、充填する原料ビーズの特性などを適正に
設定することで、成形品の性能や品質を向上できる。例
えば、強度面を重視する部位には、発泡倍率の低い原料
ビーズを用いて成形品の強度剛性を高め、そうでない部
位には発泡倍率の高い原料ビーズを用いることで成形品
重量を軽減し、成形品の強度向上と重量軽減の両立を図
ることが可能となる。
【0010】また、成形品の成形時、成形空間内に原料
ビーズを充填した後、蒸気により原料ビーズを加熱融着
することになるが、この成形装置においては、可動仕切
部材を成形空間内に出没自在に設けているので、原料ビ
ーズを成形空間内に充填した後、蒸気により原料ビーズ
同士が相互に融着する前に可動仕切部材を後退させるこ
とで、特性の異なる原料ビーズの境界においても原料ビ
ーズ同士が十分に密着し、境界における成形品強度を十
分に確保できる。
【0011】更に、可動仕切部材が出没する金型のうち
の各区画成形空間をそれぞれ構成する区画成形部を、固
定仕切部材に対応する位置において一体化させているの
で、金型の膨張や収縮時における、隣接する区画成形部
の相対移動を確実に防止して、挿通孔の開口幅が変動す
ることを防止できる。しかも、可動仕切部材を出没自在
に構成するために金型に形成した挿通孔の形状を単純な
直線状に設定したり、挿通孔の長さを短く設定して、金
型の膨張や収縮による挿通孔の開口幅の拡縮や挿通孔の
変形を防止することが可能となり、可動仕切部材のスム
ーズな移動を確保することが可能となる。
【0012】前記固定仕切部材の形状は任意に設定可能
であり、例えば柱状に形成したり、壁状に形成したり、
櫛状に形成できる。また、これらの固定仕切部材は、隣
接する区画成形空間の境界の両端部や途中部に対応させ
て配置されていれば任意の位置に配置することが可能で
あるが、境界が方形状であれば、挿通孔の形状が直線状
になるように、柱状の固定仕切部材を境界の角部に配置
させたり、壁状や櫛状の固定仕切部材を境界の1辺に配
置させることになる。また、境界が直線状であればその
両端部や途中部にこれらの固定仕切部材を配置させるこ
とになる。
【0013】本発明に係る他の構成の型内発泡成形装置
は、成形空間内を複数の区画成形空間に区画するための
可動仕切部材を成形空間内に出没自在に設け、前記区画
成形空間を構成する複数の可動仕切部材を2組に分け
て、第1の可動仕切部材をコア型に配置させ、第2の可
動仕切部材をキャビティ型に配置させ、各区画成形空間
をそれぞれ構成するコア型の複数の区画成形部を、キャ
ビティ型に設けた第2の可動仕切部材に対応する位置に
おいて一体化させるとともに、各区画成形空間をそれぞ
れ構成するキャビティ型の複数の区画成形部を、コア型
に設けた第1の可動仕切部材に対応する位置において一
体化させたものである。
【0014】この成形装置においては、前記型内発泡成
形装置と同様に、区画成形空間の形成位置やサイズ、充
填する原料ビーズの特性などを適正に設定することで、
成形品の性能や品質を向上できるとともに、原料ビーズ
同士が相互に融着する前に可動仕切部材を後退させるこ
とで、特性の異なる原料ビーズの境界においても原料ビ
ーズ同士が十分に密着するので、境界における成形品強
度を十分に確保できる。
【0015】また、この成形装置において、第1及び第
2の少なくとも2枚の可動仕切部材により成形空間が複
数の区画成形空間に区画されることになるが、第1の可
動仕切部材はコア型側に配置され、第2の可動仕切部材
はキャビティ型側に配置されているので、コア型の複数
の区画成形部がキャビティ型に設けた第2の可動仕切部
材に対応する位置において一体化されるとともに、キャ
ビティ型の複数の区画成形部がコア型に設けた第1の可
動仕切部材に対応する位置において一体化される。この
ため、金型の膨張や収縮時における、隣接する区画成形
部の相対移動を確実に防止して、可動仕切部材を出没自
在に案内するコア型及びキャビティ型に形成した挿通孔
の開口幅が変動することを防止できる。しかも、挿通孔
をそれぞれ直線的な単純な形状に構成にすることが可能
となり、金型の膨張や収縮による挿通孔の開口幅の拡縮
や挿通孔の変形を防止して、可動仕切部材のスムーズな
移動を確保することが可能となる。更に、この成形装置
では、可動仕切部材のみで区画成形空間を区画できるの
で、固定仕切部材を用いた場合のように、成形品の固定
仕切部材に対応する位置に貫通孔が形成されることもな
く、成形品の強度低下や外観低下を防止することが可能
となる。
【0016】ここで、前記可動仕切部材を設けたコア型
又はキャビティ型に可動仕切部材が挿通する挿通孔を形
成するとともに、挿通孔に沿って成形空間内へ突出する
突部を形成し、挿通孔の成形空間側の開口部を突部の幅
方向の途中部に開口させることが好ましい。つまり、可
動仕切部材を後退させたときに挿通孔が成形空間内に開
口し、そこに原料ビーズが侵入して成形品の適正表面外
へ突出するバリが形成されるが、この成形装置では、挿
通孔に沿って成形空間内へ突出する突部を形成し、挿通
孔の成形空間側の開口部を突部の幅方向の途中部に開口
させているので、成形品にはこの突部により溝部が形成
され、バリは溝部の奧端面に突出状に形成されるので、
溝部の深さがバリの高さよりも深くなるように設定する
ことで、成形品にはバリが形成された状態になるもの
の、このバリが成形品の適正表面外へ突出することが防
止される。このため、バリを除去するなどの後加工を施
すことなく、成形品を被着対象物の取付面の適正な位置
に略隙間なく密着させて取り付けたり、成形品に略隙間
なく密着させた状態でカバー部材を外装することが可能
となる。
【0017】前記挿通孔の開口幅は、原料ビーズの直径
よりも小さく設定することが好ましい。挿通孔の開口幅
が原料ビーズの直径よりも大きいと、挿通孔内に原料ビ
ーズが侵入し易くなり大きなバリがされるので、挿通孔
に対する原料ビーズの侵入を極力防止するために、挿通
孔の開口幅を原料ビーズの直径よりも小さく設定するこ
とが好ましい。
【0018】また、前記突部の高さを挿通孔により形成
されるバリの高さよりも高く設定することが好ましい。
バリは先が尖った形状になるので、先端部分が成形品の
適正表面外へ多少突出していても、例えば成形品にカバ
ー部材を外装したときに先端部分が変形して溝部内に収
まるので、成形品とカバー部材間に隙間が形成されるこ
とはないが、突部の高さを挿通孔により形成されるバリ
の高さよりも高く設定すると、挿通孔により形成される
バリが、成形品の適正表面外へ確実に突出しないように
構成できるので好ましい。
【0019】更に、可動仕切部材を後退させた状態で、
可動仕切部材の前端部が可動仕切部材を設けた金型内面
と面一或いは成形空間内に突出するように、可動仕切部
材の長さを設定することが好ましい。この場合には、可
動仕切部材を後退させても、挿通孔が可動仕切部材によ
り閉鎖されて、原料ビーズが挿通孔内に侵入しないの
で、バリの発生を未然に防止できる。このため、バリを
除去するなどの後加工を施すことなく、成形品を被着対
象物の取付面の適正な位置に略隙間なく密着させて取り
付けたり、成形品に略隙間なく密着させた状態でカバー
部材を外装することが可能となる。
【0020】可動仕切部材としては、櫛状のものを用い
てもよいが、櫛状の可動仕切部材の各櫛歯が挿通する挿
通孔を金型に多数形成する必要があり、金型の加工が煩
雑になるので、板状部材を用いることが好ましい。
【0021】本発明に係る型内発泡成形方法は、請求項
1〜10のいずれか1項記載の型内発泡成形装置を用
い、可動仕切部材を前進させて成形空間を複数の区画成
形空間に区画した状態で、少なくとも隣接する区画成形
空間に特性の異なる原料ビーズが充填されるように成形
空間内に原料ビーズを充填し、原料ビーズを充填してか
ら蒸気の供給により原料ビーズが相互に融着するまでの
間に、前記可動仕切部材を後退させるものである。
【0022】この成形方法においては、可動仕切部材及
び固定仕切部材により成形空間内を複数の区画成形空間
に区画した状態で、少なくとも隣接する区画成形空間に
特性の異なる原料ビーズが充填されるように成形空間内
に原料ビーズを充填するので、区画成形空間の形成位置
やサイズ、充填する原料ビーズの特性などを適正に設定
することで、成形品の性能や品質を向上できる。例え
ば、強度面を重視する部位には、発泡倍率の低い原料ビ
ーズを用いて成形品の強度剛性を高め、そうでない部位
には発泡倍率の高い原料ビーズを用いることで成形品重
量を軽減し、成形品の強度向上と重量軽減の両立を図る
ことが可能となる。
【0023】また、原料ビーズを充填してから蒸気の供
給により原料ビーズが相互に融着するまでの間に、可動
仕切部材を後退させるので、特性の異なる原料ビーズの
境界においても原料ビーズ同士が十分に密着し、境界に
おける成形品強度を十分に確保できる。更に、隣接する
区画成形部が一体化された前記型内発泡成形装置を用い
ているので、金型の膨張や収縮時における、隣接する区
画成形部の相対移動を確実に防止して、挿通孔の開口幅
が変動することを防止できる。しかも、可動仕切部材が
挿通する金型の挿通孔の形状を、例えば直線的な単純な
形状に構成にすることが可能となり、金型の膨張や収縮
による挿通孔の開口幅の拡縮や挿通孔の変形を防止し
て、可動仕切部材のスムーズな移動を確保することが可
能となる。
【0024】ここで、前記成形方法において、成形空間
内に原料ビーズを充填した後、可動仕切部材を後退さ
せ、その後成形空間内に蒸気を供給して、原料ビーズを
加熱融着させることが好ましい。可動仕切部材を後退さ
せるタイミングは、原料ビーズを充填してから蒸気の供
給により原料ビーズが相互に融着するまでの間であれば
任意のタイミングで後退させることが可能であるが、蒸
気により原料ビーズが相互に融着する実際のタイミング
は、成形品のサイズによっても異なるし、成形空間の部
位や蒸気温度などによっても変動するので、具体的なタ
イミングを取り難い。このため成形空間内に原料ビーズ
を充填した後、成形空間内に蒸気を供給するまでの間
に、可動仕切部材を後退させることが好ましい。
【0025】また、前記特性の異なる原料ビーズとし
て、発泡倍率の異なる原料ビーズを可動仕切部材で区画
された隣接する区画成形空間内に充填することが考えら
れる。例えば、強度面を重視する部位には、発泡倍率の
低い原料ビーズを用いて成形品の強度剛性を高め、そう
でない部位には発泡倍率の高い原料ビーズを用いること
で成形品重量を軽減し、成形品の強度向上と重量軽減の
両立を図ることが可能となる。
【0026】本発明に係る型内発泡成形品は、特性の異
なる原料ビーズを用いて成形された成形部分の境界の一
部に貫通孔が形成されてなるものである。このような成
形品は、固定仕切部材を備えた前述の型内発泡成形装置
により成形されるものであり、固定仕切部材に対応する
位置には貫通孔が形成されることになるが、成形装置に
おける可動仕切部材のスムーズな移動を確保しつつ、可
動仕切部材が挿通する挿通孔の開口幅を極力狭くして、
可動仕切部材と金型間に原料ビーズが侵入することによ
るバリの発生を防止できるので好ましい。
【0027】ここで、境界のうちの貫通孔を有しない部
分の外面に、境界に沿って溝部が形成され、該溝部の底
面に成形品の適正表面外へ突出しないようにバリを形成
することが好ましい。このような成形品においては、バ
リが成形品の適正表面外へ突出しないので、バリを除去
するなどの後加工を施すことなく、成形品を被着対象物
の取付面の適正な位置に略隙間なく密着させて取り付け
たり、成形品に略隙間なく密着させた状態でカバー部材
を外装することが可能となる。このような成形品は、金
型に突部を形成した前述の型内発泡成形装置により製作
することが可能である。
【0028】型内発泡成形品の具体的な例としては、自
動車用バンパーの芯材が考えられる。このよう自動車用
バンパーの芯材は、自動車の正面衝突(正突)時におけ
る衝撃や、オフセット衝突時における衝撃や、斜め前側
からの衝突(斜突)時における衝撃を効率的に吸収する
必要があるとともに、車体重量を軽減するため、芯材の
重量は極力軽く構成する必要がある。本発明に係る自動
車用バンパーの芯材においては、自動車の各種前面衝突
時において芯材に作用する局部的衝撃応力を受けやすい
部分付近を、発泡倍率の低い原料ビーズからなる低発泡
部で構成し、他の部分を低発泡部よりも発泡倍率の高い
原料ビーズからなる高発泡部で構成することで、芯材の
重量を極力低減しつつ、オフセット衝突時や斜突時にお
いても、衝撃エネルギーを効果的に吸収することが可能
となる。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照しながら説明する。尚、本実施の形態は、
型内発泡成形品としての自動車用バンパーの芯材と、こ
れを成形するための型内発泡成形装置及び型内発泡成形
方法に本発明を適用した場合ものである。
【0030】先ず、型内発泡成形品としての自動車用バ
ンパーの芯材について説明する。図1、図2に示すよう
に、芯材1は、両端部側を緩やかに後方へ湾曲させた前
部衝撃吸収部2と、前部衝撃吸収部2の両端部から後方
へ延びる側部衝撃吸収部3とを有している。前部衝撃吸
収部2から側部衝撃吸収部3に至る角部4の下半部には
発泡倍率の低い原料ビーズからなる低発泡部5が形成さ
れ、その他の部分は低発泡部5よりも発泡倍率の高い原
料ビーズからなる高発泡部6で構成されている。
【0031】つまり、前部衝撃吸収部2の中央部は、正
突時における衝撃エネルギーを吸収するためのものであ
るが、衝撃エネルギーの受圧面積を大きく設定できるの
で、発泡倍率の高い軟質軽量な原料ビーズで構成し、前
部衝撃吸収部2の両端部及び側部衝撃吸収部3は、オフ
セット衝突時や斜突時における衝撃エネルギーを吸収す
るためのものであるが、衝撃エネルギーの受圧面積を大
きく設定することが困難なので、他の部分よりも重たく
なるが発泡倍率の低い硬質な原料ビーズからなる低発泡
部5を設けることで、各種前面衝突時における十分な衝
突安全性能を確保しつつ、芯材1の重量を極力低減でき
るように構成されている。尚、低発泡部5の長さや高さ
は、芯材1に作用する衝撃エネルギーを十分に吸収でき
るように構成されていれば、任意のサイズに設定するこ
とが可能である。また、本実施例では、低発泡部5を芯
材1の角部4の下半部にのみ形成したが、角部4の全体
を低発泡率の原料ビーズで構成することも可能である。
また、芯材1の外観形状はサイズは、適用する自動車に
応じて任意に設定可能である。
【0032】図2に示すように、芯材1の後面には低発
泡部5と高発泡部6との境界Lに沿って溝部7が形成さ
れ、溝部7の底面にはバリ8が芯材1の適正表面外へ突
出しないように突出状に形成されている。つまり、芯材
1の後面は自動車のフロントビームの前面に固定される
ことになるが、芯材1の適正表面外へ突出しないように
バリ8が形成されるので、芯材1からバリ8を除去する
ことなく、芯材1をフロントビームの前面に略隙間なく
密着させて固定することが可能となる。
【0033】溝部7の深さは溝部7の底面に形成される
バリ8の高さに応じて、バリ8が芯材1の適正表面外へ
突出しないように設定されている。溝部7の幅は、極力
小さく設定することが好ましいが、小さく設定し過ぎる
と、後述するように、溝部7を成形するためにコア型1
1(図3参照)に設けた突部34の強度が十分に確保で
きなくなるので、バリ8の厚さの3〜10倍に設定する
ことが好ましい。
【0034】図1,図7(a)に示すように、低発泡部
5と高発泡部6とは正面視略コ字状の境界Lの位置にお
いて区画され、境界Lの上側2つの角部には芯材1を前
後方向に貫通する貫通孔9aがそれぞれ形成され、境界
Lの下端には前後方向に延びる溝部9bがそれぞれ形成
されている。この貫通孔9a及び溝部9bは、後述する
型内発泡成形装置10により芯材1を成形したことによ
り形成されるものであるが、この成形装置の固定仕切部
材の形状如何により、境界Lに沿った任意の位置に形成
することが可能で、例えば図8(a)に示すような細長
いスリット状の貫通孔9Aを形成したり、図9(a)、
図10(a)に示すように、並列状に配置される複数の
貫通孔9B,9Cを形成したり、図11(a)に示すよ
うに、貫通孔が形成されないように構成することが可能
である。
【0035】尚、境界Lは必ずしも正面視コ字状に形成
する必要はなく、正面視L字状や直線状、或いは曲線状
の境界に沿って芯材を区画することも可能である。ま
た、本実施例では、自動車用バンパーの芯材1について
説明したが、特性の異なる原料ビーズからなる成形部を
有する成形品であれば、芯材以外の型内発泡成形品に対
しても本発明を同様に適用できる。更に、成形品によっ
ては、その使用条件に適合するように、発泡倍率以外の
特性の異なる原料ビーズ、例えばビーズ嵩密度、セル
径、ビーズ径、素材などの特性の異なる原料ビーズを用
いて成形品を構成してもよい。
【0036】原料ビーズの素材としては、製作する成形
品の使用条件などに応じた物性の素材を選択することに
なるが、ポリスチレン系合成樹脂材料や、ポリエチレン
系樹脂やポリプロピレン系樹脂材料などのポリオレフィ
ン系合成樹脂材料や、これらの合成樹脂材料の共重合体
などを採用できる。原料ビーズの発泡倍率は、原料ビー
ズの素材にもよるが、3〜150倍の範囲内が好まし
い。具体的には、ポリスチレン系合成樹脂材料からなる
原料ビーズにおいては3〜100倍、好ましくは3〜8
0倍、ポリオレフィン系合成樹脂材料からなる原料ビー
ズにおいては、3〜90倍、好ましくは3〜60倍のも
のが好適に利用できる。また、粒径は1〜10mm、好
ましくは2.0〜8mmの範囲のものが好適に利用でき
る。
【0037】ポリオレフィン系樹脂材料の具体例として
は、エチレンプロピレンランダムポリプロピレン樹脂、
エチレンプロピレンブロックポリプロピレン樹脂、ホモ
ポリプロピレンエチレンプロピレンブテンランダムター
ポリマー、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、
架橋低密度ポリエチレン(架橋LDPE)などを好適に
利用できる。
【0038】このようなポリオレフィン系樹脂材料から
なる原料ビーズのセル径は、100μm未満の場合に
は、成形時に表面伸びが悪く、ヒケ易く、適正表面外観
の見栄えが劣るという問題があり、900μmを越える
場合には、セル径が不均一になり易く、セル径が大きい
ため表面のきめが粗く、適正表面外観が劣るという問題
があるので、100〜900μmの範囲内、より好まし
くは150〜700μm、特に好ましくは170〜55
0μmに設定することになる。
【0039】DSC2’ndピーク比は、8%〜60%
に設定することが好ましい。DSC2’ndピーク比と
は、基材樹脂を加熱したときに、基材樹脂の結晶融点に
起因して形成される、低温側と高温側の2つのDSC
(示差走査熱量測定)のピークの合計面積に対する高温
側ピークの面積の割合であり、このDSC2’ndピー
ク比が、8%未満の場合には、成形時の加熱条件幅が狭
く、成形体が収縮し易く、ヒケ易い。また、60%を越
えると、加熱条件を大幅にアップする必要があり、成形
機の大型化が必要であり、且つ省エネルギーという観点
からもマイナスとなるので8〜60%、より好ましくは
10〜50%、特に好ましくは15〜40%に設定する
ことになる。
【0040】独立気泡率は、65%未満の場合には、成
形時の加熱圧をアップしてなんとかビーズ同士を融着さ
せたとしても、成形体の収縮、ヒケが大きくなり易く、
目標の品質の成形体が得られ難くなるので、65%以
上、より好ましくは75%以上、特に好ましくは85%
以上に設定することになる。
【0041】次に、前述した芯材1を成形可能な型内発
泡成形装置10について説明する。図3に示すように、
型内発泡成形装置10は、対向配置された1組の金型と
してのコア型11及びキャビティ型12と、コア型11
とキャビティ型12とで形成される成形空間13内に空
気の流れに乗せて原料ビーズを充填するための充填機1
4とを備えている。
【0042】コア型11及びキャビティ型12は、枠状
フレームと裏板とを有するハウジング15にそれぞれ取
り付けられ、コア型11及びキャビティ型12の背面側
には1組の第1チャンバー16及び第2チャンバー17
がそれぞれ形成され、コア型11及びキャビティ型12
には両チャンバー16,17と成形空間13とを連通す
る多数の通気孔18が形成されている。尚、通気孔18
は、実際には、図4、図5に例示するように、0.5m
mφ程度の丸孔や幅0.5mm程度のスリットからなる
通気孔18を複数個透設した外径7〜12mmの蓋を有
する筒体からなるコアベント19を、金型11,12に
孔明け配置したコアベント取付孔20に嵌め込んで形成
したものと、金型11,12に直接的に形成した0.5
mmφ程度のコアベントホール21とで構成されてい
る。
【0043】第1チャンバー16及び第2チャンバー1
7には、蒸気や圧縮空気などの用役流体を供給するため
の供給管22がそれぞれ接続されるとともに、減圧手段
やドレン配管に連なる排出管23がそれぞれ接続されて
いる。
【0044】成形空間13内は、低発泡部5に対応させ
て設けた2組の区画手段30を介して、低発泡部5を成
形するための2つの区画成形空間13Aと、高発泡部6
を成形するための1つの区画成形空間13Bとに区画さ
れ、各区画成形空間13A,13Bには原料ビーズの充
填機14がそれぞれ接続されており、隣接する区画成形
空間13A,13B内に異なる特性の原料ビーズを充填
できるように構成ている。尚、本実施例では自動車用バ
ンパーの芯材1を成形すべく、成形空間13を3つに区
画したが、成形空間13の区画形状や区画個数や区画位
置は、製作する成形品に応じて任意に設定可能である。
また、発泡倍率の異なる原料ビーズを隣接する区画成形
空間13A,13Bに充填したが、成形品の用途などに
応じて、ビーズ嵩密度、セル径、ビーズ径、素材などの
特性の異なる原料ビーズを充填することも可能である。
【0045】区画手段30について説明すると、図3、
図7に示すように、芯材1の低発泡部5と高発泡部6と
は正面視略コ字状の境界Lに沿って区画されており、境
界Lの角部と下端部とに対応する位置においてコア型1
1には柱状の固定仕切部材40が設けられている。ま
た、隣接する固定仕切部材40間においてコア型11に
は細長いスリット状の挿通孔31が形成され、挿通孔3
1には可動仕切部材32がエアシリンダなどのアクチュ
エータ33を介して成形空間13内に出没自在に装着さ
れ、固定区画部材40と可動区画部材32とで成形空間
13が複数の区画成形空間13A,13Bbに区画され
るように構成されている。但し、固定仕切部材40及び
可動仕切部材32は、コア型11とキャビティ型12の
どちらに設けてもよいが、可動仕切部材32に関して
は、金型構造が複雑にならないように、充填機14が設
けられていない金型に設けることが好ましい。
【0046】挿通孔31の開口幅は、原料ビーズのビー
ズ径よりも小さく設定され、原料ビーズが挿通孔31内
に不用意に侵入することが防止されている。具体的に
は、原料ビーズの直径の20〜70%に設定されてい
る。また、可動仕切部材32とコア型11間の隙間は、
バリが形成されることを防止するため、極力狭くなるよ
うに設定することが好ましく、原料ビーズの発泡倍率に
より異なるが例えば0.5〜5mmに設定されている。
【0047】可動仕切部材32としては、金属材料や合
成樹脂材料やセラミックス材料などからなる板状部材で
構成することが好ましいが、櫛状や柵状や網状の部材で
構成することも可能である。また、3枚の可動仕切部材
32を1つのエアシリンダー等のアクチュエータにより
進退駆動することも可能である。可動仕切部材32の厚
さは、原料ビーズの充填圧に耐え得る強度を有していれ
ば、任意の厚さに設定可能であるが、原料ビーズの充填
後、可動仕切部材32を後退させたときに、成形空間1
3内の容積がほとんど変化しないように、極力薄く設定
することが好ましい。
【0048】ところで、この型内発泡成形装置10を用
いて芯材1を成形する場合には、可動仕切部材32が挿
通孔31の奧部側へ没入し、成形空間13内に充填した
原料ビーズの一部が、蒸気による加熱融着時に挿通孔3
1内に侵入して、挿通孔31に沿った細長いバリ8が芯
材1に突出状に形成される。
【0049】本発明の第1の特徴的な構成は、図3,図
6に示すように、挿通孔31を形成したコア型11に、
挿通孔31に沿って成形空間13内へ突出する突部34
を形成し、挿通孔31の成形空間13側の開口部を突部
34の幅方向の途中部に開口させ、突部34により成形
される溝部7の底面にバリ8が突出状に形成されるよう
に構成することで、芯材1の適正表面外へバリ8が突出
しないように構成した点にある。但し、キャビティ型1
2に挿通孔を形成する場合には、この挿通孔に沿ってキ
ャビティ型12に突部を形成することになる。また、バ
リ8が形成される具体的なメカニズムは、後述の成形方
法において説明する。
【0050】前記突部34は、コア型11に一体的に形
成することが好ましいが、コア型11とは別部材で構成
して、溶接やボルトなどによりコア型11に固定しても
よい。突部34の断面形状は芯材1の離型性を向上する
ため、抜き勾配を有する台形状や部分円状(ドーム状)
に形成されている。突部34の高さは、挿通孔31によ
り成形されるバリ8の高さよりも高く設定され、例えば
3〜12mmに設定されている。突部34の幅は、突部
34の強度剛性を考慮して、挿通孔31の3〜10倍に
設定されている。
【0051】この型内発泡成形装置10により自動車用
バンパーの芯材1を製作した場合には、芯材1における
挿通孔31に対応する位置にバリ8が形成されることに
なるが、このバリ8は、図2に示すように、突部34に
より芯材1に成形された溝部7の底面に突出状に形成さ
れることになるので、芯材1の適正表面外へ突出するこ
とはない。このため、芯材1からバリ8を除去すること
なく、芯材1をフロントビームの前面に略隙間なく密着
させて固定することが可能となり、自動車用バンパーの
品質を低下させることなく、バリ8を除去のための工程
を省略して、芯材1の製作コストを低減できる。
【0052】本発明の第2の特徴的な構成は、蒸気や冷
却水によるコア型11の膨張や収縮による歪みにより、
挿通孔31の開口幅が変動しないように、コア型11の
うちの隣接する区画成形空間13A,13Bをそれぞれ
形成するための区画成形部11a,11b(図7参照)
を挿通孔31の途中部で一体化させた点にある。
【0053】具体的には、コア型11における境界Lの
角部及び下端部に対応する位置に、キャビティ型12側
へ延びる固定仕切部材40を一体的に形成し、この固定
仕切部材40の基端部を接続部41として区画成形部1
1a,11bを一体化させることにより、区画成形部1
1a,11bの相対移動を確実に防止して、挿通孔31
の開口幅が変動しないように構成されている。しかも、
固定仕切部材40を設けることにより、挿通孔31が単
純な直線状に構成されるので、コア型11の膨張や収縮
により、挿通孔31の開口幅が拡縮したり、挿通孔31
が変形したりすることを効果的に防止できる。このよう
に、挿通孔31の開口幅の拡縮や挿通孔11の変形が防
止されることから、可動仕切部材32のスムーズな進退
移動を確保しつつ、挿通孔31の開口幅を極力狭くし
て、可動仕切部材32とコア型11間に原料ビーズが侵
入することによるバリの発生を防止できる。
【0054】固定仕切部材40は、任意の形状に形成す
ることが可能で、図7に示すように、円柱状や半円柱状
に形成してもよし、角柱状や楕円柱状に形成することも
可能である。また、図1,図7(a)に示すように、固定
仕切部材40により、芯材1には貫通孔9a及び溝部9
bが形成されるので、この貫通孔9a及び溝部9bが極
力小さくなるように、固定仕切部材40の断面積を極力
小さく設定することが好ましい。固定仕切部材40は、
コア型11に一体的に形成してもよいし、コア型11と
は別部材で構成し、溶接やビス等によりコア型11に固
定することも可能である。また、固定仕切部材40の側
面に可動仕切部材32の側縁を進退方向に案内するガイ
ド溝を形成してもよい。更に、芯材1の離型性を向上す
るため、固定仕切部材に抜き勾配を付けることが好まし
い。
【0055】次に、区画手段30の構成を部分的に変更
した他の実施例について説明する。尚、前記実施例と同
一部材には同一符号を付してその詳細な説明を省略す
る。 (1) 図8(b)(c)に示す区画手段30Aのように、コア
型11のうちの低発泡部5の上面に対応する位置にキャ
ビティ型12側へ延びる壁状の固定仕切部材42を一体
的に設け、この固定仕切部材42の基部を連続部43と
して内外の区画成形部11a,11bを一体化させるこ
とにより、挿通孔31の開口幅の変動を防止してもよ
い。この場合には、図8(a)に示すように、固定仕切部
材42により、芯材1Aには貫通孔9Aが形成されるの
で、前記固定仕切部材40と同様に、この貫通孔9Aが
極力小さくなるように、固定仕切部材42の断面積を小
さく設定することが好ましい。また、固定仕切部材42
の側部に可動仕切部材32の側縁を進退方向に案内する
ガイド溝を形成してもよい。
【0056】(2) 図9(b)(c)に示す区画手段30Bの
ように、コア型11のうちの低発泡部5の上面に対応す
る位置にキャビティ型12側へ延びる複数の櫛歯44を
並列状に配した固定仕切部材45を設け、この固定仕切
部材45の各櫛歯44間を連続部46として内外の区画
成形部11a,11bを一体化させたり、図10(b)(c)
に示す区画手段30Cのように、コア型11のうちの低
発泡部5の左右両側面に対応する位置に固定仕切部材4
5を設け、コア型11のうちの各櫛歯44間の部分を連
続部46として内外の金型11,12部分を一体化させ
ることにより、挿通孔31の開口幅の変動を防止しても
よい。
【0057】櫛歯44としては、細長い棒状やパイプ状
の部材で構成され、外形は、多角形状や円形状や楕円形
状など任意の外形のものを採用できる。また、櫛歯44
の素材は、原料ビーズの充填圧に耐え、しかも原料ビー
ズの加熱融着時における熱に耐え得る素材であれば、金
属材料、合成樹脂材料、セラミックスなどの任意の材料
で構成できる。また、この区画手段30B,30Cを用
いた場合においても、図9(a),図10(a)に示すよう
に、芯材1B,1Cには櫛歯44に対応する位置に貫通
孔9B、9Cが形成されることになるので、櫛歯44の
直径は極力小さく設定することが好ましく、櫛歯44の
直径は、例えば1〜10mm、好ましくは1.5〜5m
mに設定されている。また、櫛歯44を先細りに構成す
ると、芯材1の離型性を向上できるので好ましい。
【0058】隣接する櫛歯44間の間隔は、原料ビーズ
が通り抜けできない間隔に設定されている。この間隔
は、狭すぎると、隣接する区画成形空間13A,13B
内に充填される原料ビーズ同士の密着性が十分に確保で
きず、成形品の強度が低下するので、原料ビーズの直径
の30〜90%、より好ましくは50〜80%に設定す
ることが好ましい。但し、成形品のうちのビーズの特性
が異なる部分の境界面で成形品を割れやすくする場合に
は、櫛歯44の断面積を大きく設定したり、櫛歯44を
帯板状に構成したり、櫛歯44間の間隔を狭く構成する
ことになる。
【0059】尚、図9、図10に例示する区画手段30
B,30Cにおいては、複数の櫛歯44をコア型11に
直接的に植設したが、棒状や板状の支持部材に、一定間
隔おきに予め複数本の櫛歯44を植設し、これをコア型
11に固定するように構成してもよい。また、複数の櫛
歯44の一部をキャビティ型12側に植設してもよい。
例えば、並列状に配置される複数の櫛歯44をコア型1
1とキャビティ型12とに交互に植設してもよい。
【0060】(3) 図11(b)(c)に示す区画手段30D
のように、低発泡部5の左右の側面に対応する位置に設
けられる可動仕切部材32をコア型11側に配置させ、
低発泡部5の上面に対応する位置に配置される可動仕切
部材32Dをキャビティ型12側に配置させることで、
キャビティ型12側の可動仕切部材32Dに対面するコ
ア型11の部分を連続部47として内外の区画成形部1
1a,11bを一体化させることにより、挿通孔31の
開口幅の変動を防止してもよい。この場合には、芯材1
Dの低発泡部5と高発泡部6との境界分に貫通孔等が形
成されることもないので、芯材1Dの外観を向上でき
る。
【0061】尚、固定仕切部材40,42,45の一部
又は全部をキャビティ型12側に設けることも可能であ
る。また、型内発泡成形装置において複数の区画手段を
用いる場合には、異なる構成の区画手段を組み合わせて
用いることも可能である。また、本実施例では、低発泡
部5と高発泡部6との境界Lが正面視略コ字状の場合に
ついて説明したが、その他の形状、例えばL字状やクラ
ンク状や直線状の場合には、基本的には、挿通孔が直線
状になるように境界の両端部や角部や辺に固定仕切部材
を配置させ、また直線状であっても挿通孔が長尺な場合
には、その途中部に固定仕切部材を配置させることにな
る。
【0062】尚、型内発泡成形装置10に代えて、図1
2に示すように、コア型11及びキャビティ型12から
通気孔18を完全に或いは略完全に省略した型内発泡成
形装置50を採用することも可能である。この場合に
は、コア型11とキャビティ型12とを型閉めした状態
においても成形空間13内に開口するクリアランス51
を両金型11,12の合わせ目に沿って形成し、このク
リアランス51を介して両チャンバー16,17とは独
立に成形空間13内に対して蒸気等の用役流体を供給し
たり、成形空間13からドレン等を排出することにな
る。このような成形装置50においては、通気孔18の
跡のない表面美麗な芯材1を製作できること、通気孔1
8を形成することによる金型11,12の強度低下を防
止できるので、金型11,12を薄肉に構成してその熱
容量を小さく設定することが可能となり、加熱冷却の熱
効率を向上したり、温度制御の精度を向上できること、
通気孔18を形成するための加工コストを大幅に削減で
き、金型11,12の製作コストを低減できること、通
気孔18の目詰まりに基づく加熱不良、離型不良、冷却
不良が発生せず、コアベント19の取替えまたは定期的
な高圧洗浄水による洗浄などのメンテナンス作業が全く
不要となること、冷却工程で用いられる冷却水が成形空
間13内に侵入しなくなるので、芯材1の水分を従来の
6〜10%程度から0.5〜2%程度にまで低下でき、
乾燥工程が不要となり、サイクル時間短縮に大いに寄与
できること、などの効果が得られる。
【0063】但し、この型内発泡成形装置50では、コ
アベント19やコアベントホール21などの通気孔18
を金型11,12に形成していないことから、原料ビー
ズの充填用エアはクリアランス51を介して排出するこ
とになり、しかもクリアランス51はごく限られた位置
にしか形成されていないので、可動仕切部材32として
板状部材を用いる場合には、原料ビーズが通り抜けでき
ないサイズの貫通孔やスリットを可動仕切部材32に形
成し、充填用エアが円滑に排出されるように構成するこ
とが好ましい。また、このような貫通孔やスリットは、
区画成形空間13A,13B内において原料ビーズが充
填され難い部分に対して他の部分よりも多く設け、充填
され難い部分にも十分に原料ビーズが充填されるように
構成してもよい。
【0064】尚、本実施例では、可動仕切部材32の先
端部の側面形状と、挿通孔31の開口部の側面形状とが
異なる場合について説明したが、両者が同じ形状の場合
には、可動仕切部材32の先端部が開口部と面一になる
ように、可動仕切部材32により挿通孔31の開口部の
全体が完全に閉鎖されるように、可動仕切部材32を後
退させることになり、また、両者が略同じ形状の場合に
は、可動仕切部材32の先端部が開口部と面一或いは開
口部から突出するように、可動仕切部材32を後退させ
ることにより、芯材1にバリ8が形成されることを防止
することになる。また、本実施例では、型内発泡成形品
として自動車用バンパーの芯材1を製作するための型内
発泡成形装置10、50について説明したが、芯材1以
外の成形品を製作する成形装置に対しても本発明を同様
に適用することが可能である。
【0065】次に、図3に示す発泡成形装置10を用い
た芯材1の成形方法の一例について説明する。先ず、区
画成形空間13A,13Bに原料ビーズを充填するた
め、コア型11とキャビティ型12とを型閉めするとと
もに、可動仕切部材32を前進させて可動仕切部材32
と固定仕切部材40とにより成形空間13内を複数の区
画成形空間13A,13Bに区画する。
【0066】次に、充填機14から区画成形空間13
A,13Bに対して個別に特性の異なる原料ビーズを空
気の流れに乗せて供給し、成形空間13内に原料ビーズ
を充填する。本実施例では、自動車バンパーの芯材1を
成形すべく、発泡倍率が5倍の原料ビーズを区画成形空
間13Aに充填し、発泡倍率が20倍の原料ビーズを区
画成形空間13Bに充填する。但し、原料ビーズの発泡
倍率は芯材1の強度等を考慮して任意に設定することが
可能である。また、成形品の用途などに応じて、発泡倍
率以外の特性の異なる原料ビーズ、例えばビーズ嵩密
度、セル径、ビーズ径、素材などの特性の異なる原料ビ
ーズを充填することも可能である。また、原料ビーズと
して、ポリオレフィン系樹脂からなる原料ビーズを用い
る場合には、原料ビーズの充填前に、図示外の成含タン
ク内に原料ビーズを充填して、0.03〜0.2MPa
の無機ガスを原料ビーズに圧入することで、原料ビーズ
の発泡力を高めるように構成してもよい。原料ビーズの
具体的な充填方法としては、クラッキング充填法、加圧
充填法、圧縮充填法などの周知の充填方法を採用でき
る。
【0067】次に、可動仕切部材32の全体を成形空間
13外へ後退させて、隣接する区画成形空間13A,1
3B内の原料ビーズを相互に接触させる。このとき、挿
通孔31の開口部の一部は可動仕切部材32の前端部で
閉鎖された状態になるが、他の部分は可動仕切部材32
の前端部が挿通孔31の奧部側まで没入し、挿通孔31
の内部空間が成形空間13内に連通した状態になる。但
し、原料ビーズのビーズ径は挿通孔31の開口幅よりも
大きく設定されているので、可動仕切部材32を後退さ
せただけでは、原料ビーズが挿通孔31に入り込むこと
はない。尚、可動仕切部材32の後退移動のタイミング
は、原料ビーズの充填完了後、次に説明する原料ビーズ
の加熱融着の工程において、原料ビーズ同士が相互に融
着するまでの間であれば、任意のタイミングで後退させ
ることが可能である。
【0068】次に、両チャンバー16,17及び通気孔
18を介して成形空間13に蒸気を供給して原料ビーズ
を加熱した後、蒸気圧を開放することで原料ビーズを発
泡させ、原料ビーズを略隙間なく相互に融着させること
になる。このとき原料ビーズ間に空気が残存していると
密着性が低下するので、両チャンバー16,17及び成
形空間13内の空気を蒸気に置き換える作業を予め行う
ことになる。また、このときの発泡圧により、図6に示
すように、原料ビーズの一部が挿通孔31内に侵入し、
これがバリ8として芯材1の外面に突出状に形成される
ことになるが、挿通孔31が突部34上に開口されてい
るので、挿通孔31により形成されるバリ8は、突部3
4により成形される溝部7の底面に突出状に形成される
ことになり、芯材1の適正表面外へ突出することはな
い。
【0069】次に、コア型11及びキャビティ型12に
向けて図示外のノズルから冷却水を噴霧し、成形空間1
3内の芯材1を冷却してから、金型11,12を開け、
芯材1をキャビティ型12側に残置させた状態とし、図
示外のエジェクタピンを用いて芯材1をキャビティ型1
2から離型する。
【0070】このようにして成形した芯材1において
は、前述したように、挿通孔31により形成されたバリ
8が芯材1の適正表面外へ突出しないので、バリ8を除
去することなく、芯材1の後面を自動車のフロントビー
ムの前面に固定する場合においても、芯材1からバリ8
を除去することなく、芯材1をフロントビームの前面に
略隙間なく密着させて固定することが可能となり、製品
の品質を低下させることなく、バリ8を除去するための
工程を省略して、芯材1の成形工程を簡略に構成するこ
とが可能となる。また、固定仕切部材40を成形空間1
3内に残した状態で成形を行うので、芯材1のうちの固
定仕切部材40に対応する部分には貫通孔9aや溝部9
bが形成されることになるが、固定仕切部材40を設け
ることにより、前述のように挿通孔31の開口幅の拡縮
や挿通孔11の変形が防止されることから、可動仕切部
材32のスムーズな進退移動を確保しつつ、挿通孔31
の開口幅を極力狭くして、可動仕切部材32とコア型1
1間に原料ビーズが侵入することによるバリの発生を防
止できる。
【0071】尚、前記型内発泡成形装置50を用いた場
合には、芯材1の外面の目立つ場所を成形する成形部に
通気孔18が形成されていないコア型11及びキャビテ
ィ型12を用いていることから、原料ビーズの充填時に
は原料ビーズとともに成形空間13内に供給される充填
用エアを、クリアランス51を介して成形空間13外へ
排出することになる。また、蒸気により原料ビーズを加
熱融着するときには、チャンバー16,17に蒸気を供
給するとともに、クリアランス51を介して成形空間1
3内へ蒸気を供給することになる。但し、可動仕切部材
32の出没タイミングは、前記通気孔18を有する成形
方法と同様に取り扱うことが可能である。また、本実施
例では、自動車用バンパーの芯材1を成形するための成
形方法について説明したが、芯材1以外の型内発泡成形
品を成形する場合においても、本発明を同様に適用でき
る。
【0072】
【発明の効果】本発明に係る型内発泡成形装置によれ
ば、可動仕切部材及び固定仕切部材により成形空間内を
複数の区画成形空間に区画した状態で、隣接する区画成
形空間内に異なる特性の原料ビーズを充填できるので、
区画成形空間の形成位置やサイズ、充填する原料ビーズ
の特性などを適正に設定することで、成形品の性能や品
質を向上できる。
【0073】また、原料ビーズを成形空間内に充填した
後、蒸気により原料ビーズ同士が相互に融着する前に可
動仕切部材を後退させることで、特性の異なる原料ビー
ズの境界においても原料ビーズ同士が十分に密着するの
で、境界における成形品強度を十分に確保できる。
【0074】更に、可動仕切部材が出没する金型のうち
の各区画成形空間をそれぞれ構成する区画成形部を、固
定仕切部材に対応する位置において一体化させているの
で、金型の膨張や収縮時における、隣接する区画成形部
の相対移動を確実に防止して、挿通孔の開口幅が変動す
ることを防止できる。しかも、可動仕切部材を出没自在
に構成するために金型に形成した挿通孔の形状を単純な
直線状に設定したり、挿通孔の長さを短く設定して、金
型の膨張や収縮による挿通孔の開口幅の拡縮や挿通孔の
変形を防止することが可能となり、可動仕切部材のスム
ーズな移動を確保することが可能となる。このため、可
動仕切部材のスムーズな移動を確保しつつ、挿通孔の開
口幅を極力狭くして、金型と可動仕切部材間へ原料ビー
ズが侵入することによるバリの発生を効果的に防止する
ことが可能となる。
【0075】このような固定仕切部材を使用すると、成
形品の固定仕切部材に対応する位置に貫通孔が形成さ
れ、成形品の強度低下や外観低下を招くので、固定仕切
部材の断面積は極力小さく設定することが好ましい。固
定仕切部材として柱状のものを採用すると、必要箇所に
のみ固定仕切部材を設けて挿通孔の開口幅の変動や貫通
孔の変形を防止できることになるので、貫通孔の開口面
積を極力小さく設定することが可能となる。また、固定
仕切部材として壁状のものを採用すると、貫通孔の開口
面積は大きくなるが、金型構造が複雑になることを防止
できるので好ましい。更に、固定仕切部材として櫛状の
ものを採用すると、多数の貫通孔が形成されるものの、
各貫通孔の開口面積を極小さなものに設定できるので、
成形品の強度低下や外観低下を抑制することが可能とな
る。
【0076】本発明に係る他の構成の型内発泡成形装置
によれば、前記型内発泡成形装置と同様に、区画成形空
間の形成位置やサイズ、充填する原料ビーズの特性など
を適正に設定することで、成形品の性能や品質を向上で
きるとともに、原料ビーズ同士が相互に融着する前に可
動仕切部材を後退させることで、特性の異なる原料ビー
ズの境界においても原料ビーズ同士が十分に密着するの
で、境界における成形品強度を十分に確保できる。
【0077】また、この成形装置によればコア型の複数
の区画成形部がキャビティ型に設けた第2の可動仕切部
材に対応する位置において一体化されるとともに、キャ
ビティ型の複数の区画成形部がコア型に設けた第1の可
動仕切部材に対応する位置において一体化されるので、
可動仕切部材を出没自在に案内するコア型及びキャビテ
ィ型に形成した挿通孔をそれぞれ直線的な単純な形状に
構成にすることが可能となり、金型の膨張や収縮時にお
ける、隣接する区画成形部の相対移動を確実に防止し
て、可動仕切部材を出没自在に案内するコア型及びキャ
ビティ型に形成した挿通孔の開口幅が変動することを防
止できる。しかも、挿通孔をそれぞれ直線的な単純な形
状に構成にすることが可能となり、金型の膨張や収縮に
よる挿通孔の開口幅の拡縮や挿通孔の変形を防止して、
可動仕切部材のスムーズな移動を確保することが可能と
なる。更に、この成形装置では、可動仕切部材のみで区
画成形空間を区画できるので、固定仕切部材を用いた場
合のように、成形品の固定仕切部材に対応する位置に貫
通孔が形成されることもなく、成形品の強度低下や外観
低下を防止することが可能となる。
【0078】ここで、前記可動仕切部材を設けたコア型
又はキャビティ型に可動仕切部材が挿通する挿通孔を形
成するととに、挿通孔に沿って成形空間内へ突出する突
部を形成し、挿通孔の成形空間側の開口部を突部の幅方
向の途中部に開口させると、この型内発泡成形装置を用
いて成形した成形品には挿通孔に沿ってバリが形成され
るが、このバリは溝部の奧端面に突出状に形成されるの
で、溝部の深さをバリの高さよりも深く設定すること
で、このバリが成形品の適正表面外へ突出することが防
止される。このため、バリを除去するなどの後加工を施
すことなく、成形品を被着対象物の取付面の適正な位置
に略隙間なく密着させて取り付けたり、成形品に略隙間
なく密着させた状態でカバー部材を外装することが可能
となる。
【0079】ここで、前記挿通孔の開口幅を原料ビーズ
の直径よりも小さく設定すると、挿通孔内への原料ビー
ズの侵入を防止して、成形品の挿通孔に対応する位置に
大きなバリが突出状に形成されることを防止できる。
【0080】また、前記突部の高さを挿通孔により形成
されるバリの高さよりも高く設定すると、挿通孔により
形成されるバリが、成形品の適正表面外へ突出すること
を確実に防止できる。
【0081】更に、可動仕切部材を後退させた状態で、
可動仕切部材の前端部が可動仕切部材を設けた金型内面
と面一或いは成形空間内に突出するように、可動仕切部
材の長さを設定すると、挿通孔内に原料ビーズが充填さ
れることを防止して、バリの発生を確実に防止できる。
このため、例えば成形品をカバー部材等で外装する場合
においても、バリを除去することなく、カバー部材を成
形品に密着させた状態で外装することが可能となる。
【0082】可動仕切部材としては、櫛状のものを用い
てもよいが、櫛状の可動仕切部材の各櫛歯が挿通する挿
通孔を金型に多数の形成する必要があり、金型の加工が
煩雑になるので、板状部材を用いることが好ましい。
【0083】本発明に係る型内発泡成形方法によれば、
区画成形空間の形成位置やサイズ、充填する原料ビーズ
の特性などを適正に設定することで、成形品の性能や品
質を向上できる。例えば、強度面を重視する部位には、
発泡倍率の低い原料ビーズを用いて成形品の強度剛性を
高め、そうでない部位には発泡倍率の高い原料ビーズを
用いることで、成形品重量を軽減し、成形品の強度向上
と重量軽減の両立を図ることが可能となる。
【0084】また、原料ビーズを充填してから蒸気の供
給により原料ビーズが相互に融着するまでの間に、可動
仕切部材を後退させるので、特性の異なる原料ビーズの
境界においても原料ビーズ同士が十分に密着するので、
境界における成形品強度を十分に確保できる。
【0085】更に、隣接する区画成形部が一体化された
前記型内発泡成形装置を用いているので、金型の膨張や
収縮時における、隣接する区画成形部の相対移動を確実
に防止して、挿通孔の開口幅が変動することを防止でき
る。しかも、可動仕切部材が挿通する金型の挿通孔の形
状を、例えば直線的な単純な形状に構成にすることが可
能となり、金型の膨張や収縮による挿通孔の開口幅の拡
縮や挿通孔の変形を防止して、可動仕切部材のスムーズ
な移動を確保することが可能となる。
【0086】ここで、前記成形方法において、成形空間
内に原料ビーズを充填した後、可動仕切部材を後退さ
せ、その後成形空間内に蒸気を供給して、原料ビーズを
加熱融着させると、可動仕切部材を後退させるタイミン
グを設定し易いので好ましい。
【0087】また、前記特性の異なる原料ビーズとし
て、発泡倍率の異なる原料ビーズを可動仕切部材及び固
定仕切部材で区画された隣接する区画成形空間内に充填
すると、例えば、強度面を重視する部位には、発泡倍率
の低い原料ビーズを用いて成形品の強度剛性を高め、そ
うでない部位には発泡倍率の高い原料ビーズを用いるこ
とで成形品重量を軽減し、成形品の強度向上と重量軽減
の両立を図ることが可能となる。
【0088】本発明に係る型内発泡成形品によれば、特
性の異なる原料ビーズを用いて成形された成形部を有す
るものなので、成形品に要求される機械的特性等の条件
を成形品の各部においてきめ細かく設定することが可能
で、性能や品質の良い成形品を実現できる。また、この
ような成形品は、固定仕切部材を備えた前述の型内発泡
成形装置により成形されるものであり、固定仕切部材に
対応する位置には貫通孔が形成されることになるが、成
形装置における可動仕切部材のスムーズな移動を確保で
きるので好ましい。
【0089】ここで、境界のうちの貫通孔を有しない部
分の外面に、境界に沿って溝部が形成され、該溝部の底
面に成形品の適正表面外へ突出しないようにバリを形成
すると、バリが成形品の適正表面外へ突出しないので、
バリを除去するなどの後加工を施すことなく、成形品を
被着対象物の取付面の適正な位置に略隙間なく密着させ
て取り付けたり、成形品に略隙間なく密着させた状態で
カバー部材を外装することが可能となる。
【0090】また、自動車用バンパーの芯材をこの型内
発泡成形品で構成する場合には、この芯材のうちの自動
車の各種前面衝突時において芯材に作用する局部的衝撃
応力を受けやすい部分付近を発泡倍率の低い原料ビーズ
からなる低発泡部で構成し、他の部分を低発泡部よりも
発泡倍率の高い原料ビーズからなる高発泡部で構成する
ことで、芯材の重量を極力低減しつつ、各種前面衝突時
における衝撃エネルギーを効果的に吸収することが可能
となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 自動車用バンパーの芯材の斜視図
【図2】 (a)は図1のII-II線断面図、(b)は
(a)の要部Aの拡大図
【図3】 型内発泡成形装置の縦断面図
【図4】 通気孔付近の金型の縦断面図
【図5】 コアベントの正面図
【図6】 突部付近における金型の縦断面図
【図7】 (a)は本発明に係る成形品の斜視図、
(b)、(c)は同成形品を成形するための成形装置の
説明図
【図8】 (a)は他の構成の成形品の斜視図、
(b)、(c)は同成形品を成形するための成形装置の
説明図
【図9】 (a)は他の構成の成形品の斜視図、
(b)、(c)は同成形品を成形するための成形装置の
説明図
【図10】 (a)は他の構成の成形品の斜視図、
(b)、(c)は同成形品を成形するための成形装置の
説明図
【図11】 (a)は他の構成の成形品の斜視図、
(b)、(c)は同成形品を成形するための成形装置の
説明図
【図12】 他の構成の成形装置の縦断面図
【符号の説明】
1 芯材 2 前部衝撃吸収部 3 側部衝撃吸収部 4 角部 5 低発泡部 6 高発泡部 7 溝部 8 バリ 9a 貫通孔 9b 溝部 10 型内発泡成形装置 11 コア型 11a 区画成形部 11b 区画成形部 12 キャビティ型 13 成形空間 13A 区画成形空間 13B 区画成形空間 14 充填機 15 ハウジング 16 第1チャンバー 17 第1チャンバー 18 通気孔 19 コアベント 20 コアベント取付孔 21 コアベントホール 22 供給管 23 排出管 30 区画手段 31 挿通孔 32 可動仕切部材 33 アクチュエータ 34 突部 40 固定仕切部材 41 連続部 1A 芯材 9A 貫通孔 30A 区画手段 42 固定仕切部材 43 連続部 1B 芯材 9B 貫通孔 30B 区画手段 44 櫛歯 45 固定仕切部材 46 連続部 1C 芯材 9D 貫通孔 47 連続部 30D 区画手段 32D 可動仕切部材 50 型内発泡成形装置 51 クリアランス

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コア型又はキャビティ型を挿通して成形
    空間内に出没自在な可動仕切部材と、コア型又はキャビ
    ティ型に一体的に設けた固定仕切部材とで、成形空間を
    複数の区画成形空間に区画可能となし、可動仕切部材が
    出没する金型のうちの各区画成形空間をそれぞれ構成す
    る区画成形部を、固定仕切部材に対応する位置において
    一体化させたことを特徴とする型内発泡成形装置。
  2. 【請求項2】 前記固定仕切部材を柱状に形成した請求
    項1記載の型内発泡成形装置。
  3. 【請求項3】 前記固定仕切部材を壁状に形成した請求
    項1又は2記載の型内発泡成形装置。
  4. 【請求項4】 前記固定仕切部材を櫛状に形成した請求
    項1〜3のいずれか1項記載の型内発泡成形装置。
  5. 【請求項5】 成形空間内を複数の区画成形空間に区画
    するための可動仕切部材を成形空間内に出没自在に設
    け、前記区画成形空間を構成する複数の可動仕切部材を
    2組に分けて、第1の可動仕切部材をコア型に配置さ
    せ、第2の可動仕切部材をキャビティ型に配置させ、各
    区画成形空間をそれぞれ構成するコア型の複数の区画成
    形部を、キャビティ型に設けた第2の可動仕切部材に対
    応する位置において一体化させるとともに、各区画成形
    空間をそれぞれ構成するキャビティ型の複数の区画成形
    部を、コア型に設けた第1の可動仕切部材に対応する位
    置において一体化させたことを特徴とする型内発泡成形
    装置。
  6. 【請求項6】 前記可動仕切部材を設けたコア型又はキ
    ャビティ型に可動仕切部材が挿通する挿通孔を形成する
    ととに、挿通孔に沿って成形空間内へ突出する突部を形
    成し、挿通孔の成形空間側の開口部を突部の幅方向の途
    中部に開口させた請求項1〜5のいずれか1項記載の型
    内発泡成形装置。
  7. 【請求項7】 前記挿通孔の開口幅を原料ビーズの直径
    よりも小さく設定した請求項6記載の型内発泡成形装
    置。
  8. 【請求項8】 前記突部の高さを挿通孔により形成され
    るバリの高さよりも高く設定した請求項6又は7記載の
    型内発泡成形装置。
  9. 【請求項9】 前記可動仕切部材を後退させた状態で、
    可動仕切部材の前端部が可動仕切部材を設けた金型内面
    と面一或いは成形空間内に突出するように、可動仕切部
    材の長さを設定した請求項1〜5のいずれか1項記載の
    型内発泡成形装置。
  10. 【請求項10】 前記可動仕切部材として板状部材を用
    いた請求項1〜9のいずれか1項記載の型内発泡成形装
    置。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10のいずれか1項記載の
    型内発泡成形装置を用い、可動仕切部材を前進させて成
    形空間を複数の区画成形空間に区画した状態で、少なく
    とも隣接する区画成形空間に特性の異なる原料ビーズが
    充填されるように成形空間内に原料ビーズを充填し、原
    料ビーズを充填してから蒸気の供給により原料ビーズが
    相互に融着するまでの間に、前記可動仕切部材を後退さ
    せることを特徴とする型内発泡成形方法。
  12. 【請求項12】 前記成形空間内に原料ビーズを充填し
    た後、可動仕切部材を後退させ、その後成形空間内に蒸
    気を供給して、原料ビーズを加熱融着させる請求項11
    記載の型内発泡成形方法。
  13. 【請求項13】 前記複数の区画成形空間に、発泡倍率
    の異なる原料ビーズを充填するための充填器をそれぞれ
    接続した請求項11又は12記載の型内発泡成形装置。
  14. 【請求項14】 特性の異なる原料ビーズを用いて成形
    された成形部分の境界の一部に貫通孔が形成されてなる
    型内発泡成形品。
  15. 【請求項15】 境界のうちの貫通孔を有しない部分の
    外面に、境界に沿って溝部が形成され、該溝部の底面に
    成形品の適正表面外へ突出しないようにバリが形成され
    てなる請求項14記載の型内発泡成形品。
  16. 【請求項16】 前記型内発泡成形品が自動車用バンパ
    ーの芯材であり、この芯材は、自動車の各種前面衝突時
    において芯材に作用する局部的衝撃応力を受けやすい部
    分付近が発泡倍率の低い原料ビーズからなる低発泡部で
    構成され、他の部分は低発泡部よりも発泡倍率の高い原
    料ビーズからなる高発泡部で構成されている請求項14
    又は15記載の型内発泡成形品。
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US10/617,127 US6878431B2 (en) 1999-09-29 2003-07-11 In-mold foam molded articles
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009119748A (ja) * 2007-11-15 2009-06-04 Kaneka Corp 型内発泡成形装置

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