JP2009274734A - チューブ容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】ガスバリア性に優れ、かつヘッド部とチューブ部との接合強度も充分で、長期にわたって良好に用いることのできるチューブ容器を提供する。
【解決手段】キャップと、キャップが着脱自在に係合される口部2を有するヘッド部3と、内容物を収容するためのチューブ部4とを備え、上記ヘッド部3が、ポリオレフィン系樹脂を主成分とし、第1の接着性樹脂を5〜30重量%含有する樹脂層によって形成され、上記チューブ部4が、EVOHを主成分とし、第2の接着性樹脂を5〜100重量%含有する樹脂層からなる内層10と、少なくとも一層の外層11とを有する積層体によって形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、化粧品、医薬品、食品等に広く用いられるチューブ容器に関するものである。
従来から、ペースト状、クリーム状の内容物を収容する容器として、図4に示すようなチューブ容器が汎用されている。この容器は、キャップ1と、このキャップ1が着脱自在に係合される口部2を有するヘッド部3と、内容物を収容するためのチューブ部4とで構成されており、通常、(1)ブロー成形によって1工程でヘッド部3とチューブ部4を形成する方法、(2)予め筒状のチューブ部4を成形しておき、ヘッド部3を成形しながらチューブ部4と一体化する方法、(3)予め筒状のチューブ部4とヘッド部3とを成形しておき、この両者を熱融着する方法、のいずれかの方法で製造されている。
上記ヘッド部3およびチューブ部4の材料としては、成形性、コスト、柔軟性、安定性等を考慮して、従来から、ポリオレフィン系樹脂が主として用いられているが、内容物に溶剤等の揮発性物質が含有される場合等に対応するために、最近は、チューブ部4を、例えば図5(a)に示すように、ポリオレフィン系樹脂からなる内層5と外層6の間に、ガスバリア性に優れた樹脂、例えばエチレン−ビニルアルコール共重合体(以下「EVOH」と略す)からなる中間層7を挟んだ多層構造にしたもの(特許文献1等を参照)や、EVOHを、中間層7ではなく、図5(b)に示すように、内層5′に用い、接着剤層8を介して外層6と接合したもの(特許文献2等を参照)が、多く出回っている。
特開2003−54589公報 特開2000−272643公報
しかしながら、EVOHを中間層7に用いたものは、容器内外のガスバリア性には優れるものの、内層5がガスバリア性に乏しいため、油性成分の多い内容物を充填すると、経時的に内層5が膨潤し、ついにはチューブ容器の形状が凹凸になってしまうという問題がある。
また、EVOHを内層5′に用いたものは、上記のような形状変化を防ぐことはできるが、EVOHの、通常のポリオレフィン系樹脂に対する接着性が低いため、ヘッド部3とチューブ部4とを熱融着して製造したものは、経時的にヘッド部3とチューブ部4との接合部に剥離を生じて、内容物が洩れる等の問題がある。
そこで、ヘッド部3全体をEVOHで形成することも考えられるが、EVOHは、ポリオレフィン系樹脂より高価で、成形性や安定性がポリオレフィン系樹脂に劣るため、ヘッド部3をEVOH単独成形品とすることは好ましくない。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、ガスバリア性に優れ、かつヘッド部とチューブ部との接合強度も充分で、長期にわたって良好に用いることのできるチューブ容器の提供を、その目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明は、キャップと、キャップが着脱自在に係合される口部を有するヘッド部と、内容物を収容するためのチューブ部とを備え、上記ヘッド部とチューブ部とが熱融着によって接合一体化されてなるチューブ容器であって、上記ヘッド部が、ポリオレフィン系樹脂を主成分とし、第1の接着性樹脂を5〜30重量%含有する樹脂層によって形成され、上記チューブ部が、EVOHを主成分とし、第2の接着性樹脂を5〜50重量%含有する樹脂層からなる内層と、少なくとも一層の外層とを有する積層体によって形成されているチューブ容器を第1の要旨とする。
また、本発明は、そのなかでも、特に、上記ヘッド部に用いられるポリオレフィン系樹脂が、高密度ポリエチレンと、低密度ポリエチレンおよび中密度ポリエチレンの少なくとも一方との混合物であるチューブ容器を第2の要旨とし、上記チューブ部の内層に用いられるEVOHが、エチレン含有量3〜70モル%、ケン化度50〜100%のものであるチューブ容器を第3の要旨とする。
そして、本発明は、それらのなかでも、特に、上記ヘッド部に用いられる第1の接着性樹脂が、熱可塑性エラストマー変性物であり、上記チューブ部に用いられる第2の接着性樹脂が、酸変性ポリオレフィン組成物であるチューブ容器を第4の要旨とする。
すなわち、本発明のチューブ容器は、ポリオレフィン系樹脂を主成分とするヘッド部に、第1の接着性樹脂を所定割合で含有し、チューブ部の、EVOHを主成分とする内層に、第2の接着性樹脂を所定割合で含有したものである。したがって、このものは、チューブ部全体のガスバリア性が、EVOHを主成分とする内層によって高められているとともに、ヘッド部とチューブ部とが、互いに強固に接合一体化されており、長期にわたって、外観の変形や接合部剥離等が生じることがなく、良好に使用することができる。
なお、本発明のなかでも、特に、上記ヘッド部に用いられるポリオレフィン系樹脂が、高密度ポリエチレンと、低密度ポリエチレンおよび中密度ポリエチレンの少なくとも一方との混合物であるものは、第1の接着性樹脂による接着力の向上効果が高く、チューブ部との接着性を、より高めることができる。
また、本発明のなかでも、特に、上記チューブ部の内層に用いられるEVOHが、エチレン含有量3〜70モル%、ケン化度50〜100%のものであるものは、成形性およびガスバリア性に優れるため、好適である。
さらに、本発明のなかでも、特に、上記ヘッド部に用いられる第1の接着性樹脂が、熱可塑性エラストマー変性物であり、上記チューブ部に用いられる第2の接着性樹脂が、酸変性ポリオレフィン組成物であるものは、ヘッド部とチューブ部との接着性がより高強度となり、好適である。
つぎに、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1(a)は、本発明のチューブ容器の最良の形態を示す部分的な断面図である。このチューブ容器は、図2に示すチューブ容器と同様、キャップ1(図1(a)では省略)と、キャップ1が着脱自在に係合される口部2とを有するヘッド部3と、内容物を収容するためのチューブ部4とを備えている。
なお、上記ヘッド部3とチューブ部4とは、予め筒状のチューブ部4を成形しておき、ヘッド部3を成形しながらチューブ部4と一体化する方法か、予め筒状のチューブ部4とヘッド部3とを成形しておき、この両者を熱融着する方法、のいずれかの方法によって、接合一体化されている。
そして、上記チューブ部4は、その断面の一部を拡大して示す図1(b)に示すように、内層10と外層11とで構成されている。
上記ヘッド部3は、ポリオレフィン系樹脂を主成分とし、これに、第1の接着性樹脂を所定割合で含有する樹脂層によって形成されている。
上記ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、エチレン−プロピレン共重合体等があげられ、なかでもポリエチレンを用いることが、成形性、柔軟性、安全性等の上で、最適である。もちろん、単独で用いても2種類以上のポリオレフィンを併用してもよい。
そして、上記ポリエチレンのなかでも、特に、高密度ポリエチレン(以下「HDPE」と略す)と、中密度ポリエチレン(以下「MDPE)と略す)および低密度ポリエチレン(以下「LDPE)と略す)の少なくとも一方と組み合わせて用いたものが、チューブ部との高い接着強度を得る上で、好適である。すなわち、HDPE100%のものは、強度および耐熱性に優れているが、ポリエチレンの密度が高すぎて、これに含有させる第1の接着性樹脂の接着力向上効果が発揮されにくいからである。そして、上記HDPEとLDPEとを組み合わせて用いる場合、LDPEのなかでも、特に、直鎖状低密度ポリエチレン(以下「LLDPE」と略す)を用いることが、効果の上で、最適である。
上記HDPEと、MDPEおよびLDPE(LLDPEを含む)の少なくとも一方との含有割合は、用いる第1の接着性樹脂の種類にもよるが、通常、ポリエチレン全体の平均密度が930〜955kg/m3 となるよう設定することが好適である。
また、上記ポリオレフィン系樹脂とともに用いられる第1の接着性樹脂は、ポリオレフィン系樹脂組成物中に官能基を配合することによって、EVOHに対する接着強度を高める作用を果たすもので、具体的には、不飽和カルボン酸またはその誘導体(無水物、エステル等)で変性されたポリオレフィン系樹脂があげられる。
上記不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸があげられる。また、その誘導体としては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、酢酸ビニル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸ナトリウム等があげられる。比較的沸点の高い溶剤、例えば水、揮発性シリコン等の溶剤を用いた場合に、より優れた効果を得ることができる。
なお、上記不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性するポリオレフィン系樹脂としては、前記ヘッド部3の主成分として用いるポリオレフィン系樹脂と同様であり、その説明を省略する。ただし、用いる種類は、上記ヘッド部3の主成分として用いるポリオレフィン系樹脂と同一であっても異なっていてもよい。
上記第1の接着性樹脂は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。そして、なかでも、熱可塑性エラストマー変性物が、EVOHに対し優れた接着性を発現し、好適である。このような接着性樹脂の市販品としては、例えば、IK750(クラレ社製)をあげることができる。
上記第1の接着性樹脂は、ヘッド部3の形成に用いられる樹脂組成物全体に対し、5〜30重量%含有させることが必要で、なかでも、2.0〜15重量%に設定することが好適である。すなわち、第1の接着性樹脂の含有量が少なすぎると、EVOHに対する接着力向上効果が不充分となり、逆に、多すぎても、それ以上の効果は期待できずコスト負担が大きくなるからである。
一方、チューブ部4の内層10は、EVOHを主成分とし、これに、第2の接着性樹脂を所定割合で含有する樹脂組成物によって形成されている。
上記EVOHは、エチレンとビニルエステルとを共重合し、ついでアルカリ触媒下でケン化する方法によって得られるもので、上記ビニルエステルとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、安息香酸ビニル等があげられる。これらのビニルエステルを、単独もしくは2種以上を併用して用いることができる。
また、上記EVOHには、他の共重成分を、その一部として共重合させても差し支えない。このような、他の共重合成分としては、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等のオレフィン系単量体や、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N′−ジメチルアクリルアミド等のアクリルアミド系単量体、メクリルアミド、N−メタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N′−ジメチルメタクリルアミド等のメタクリルアミド系単量体、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル等のビニルエーテル系単量体、アリルアルコール、ビニルトリメトキシシラン、N−ビニル−2−ピロリドン等があげられる。
そして、上記EVOHのなかでも、エチレン含量が3〜70モル%、ケン化度が50〜100%のものが、とりわけ、成形性に優れるとともに、第2の接着性樹脂と組み合わせた場合の接着力向上効果に優れており、好適である。
また、上記EVOHとともに用いられる第2の接着性樹脂としては、前記ヘッド部3に用いられる第1の接着性樹脂と同様であり、その説明を省略する。ただし、用いる種類は、上記第1の接着性樹脂と同一であっても異なっていてもよい。
そして、上記第2の接着性樹脂も、第1の接着性樹脂と同じく、単独で用いても2種以上を併用してもよいが、なかでも、酸変性ポリオレフィン組成物が、ヘッド部3の主成分であるポリオレフィン系樹脂に対し優れた接着性を発現し、好適である。このような接着剤樹脂の市販品としては、例えば、LB540(三井化学社製)をあげることができる。
上記第2の接着性樹脂は、内層10の形成に用いられる樹脂組成物全体に対し、5〜50重量%含有させることが必要で、なかでも、2.0〜5重量%に設定することが好適である。すなわち、第2の接着性樹脂の含有量が少なすぎると、ヘッド部3に対する接着力向上効果が不充分となり、逆に、多すぎると、EVOHのガスバリア性を損なうおそれがあるからである。
そして、チューブ部4の外層11は、どのような樹脂組成物を用いて形成されたものであってもよいが、通常、ヘッド3と同様、ポリオレフィン系樹脂を主成分となるものが用いられる。なかでも、柔軟性をもたせる点で、LDPEが好適に用いられる。
なお、上記外層11は、一層に限らず、2種類以上の層を組み合わせて多層にしても差し支えない。外層11においても、EVOHを用いたガスバリア層を設けるようにしてもよい。
また、本発明のチューブ容器の各樹脂層には、必要に応じて、酸化防止剤、帯電防止剤、着色顔料、抗菌性樹脂等を、適宜配合することができる。
つぎに、本発明の実施例について、比較例と併せて説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〜8、比較例1〜5〕
後記の表1〜表5に示す材質(組成は重量部)のチューブ容器を、予め筒状のチューブ部を成形しておき、つぎに、ヘッド部を成形しながらチューブ部と一体化する方法により、作製した。そして、各例の、ヘッド部とチューブ部との接着強度と、チューブエンド部の接着強度とを、下記の方法に従って測定した。また、各例について、チューブ容器内に、所定の油性組成物を充填し、40℃の恒温槽にて3カ月間放置後に、チューブ容器外観を目視により観察して、チューブ部の膨潤に伴う形状変化の有無を評価した。これらの結果を、後記の表1〜表5に併せて示した。
〔ヘッド部とチューブ部との接着強度〕
各例のチューブ容器において、図2(a)に示すように、そのヘッド部とチューブ部にまたがる部分を、幅10mmの帯状に切断した。そして、その切断片Pを、図2(b)に示すように、オートストレイン(ミネベア社製、TG−20KN)に装着して、その接着強度(N)を測定した。
〔チューブエンド部の接着強度〕
各例のチューブ容器において、図3(a)に示すように、そのチューブエンド部の前後にまたがる部分を、幅10mmの帯状に切断した。そして、その切断片Qを、図3(b)に示すように、上記と同様のオートストレインに装着して、その接着強度(N)を測定した。
Figure 2009274734
Figure 2009274734
Figure 2009274734
Figure 2009274734
Figure 2009274734
上記の結果から、実施例1〜8品は、いずれの評価項目においても、概ね優れた性能を有していることがわかる。これに対し、比較例1、3、5品は、ヘッド部およびチューブ部の少なくとも一方に接着性樹脂を含有させていないものであるため、接着強度が悪く、実用上問題である。また、比較例2、4品は、ヘッド部もしくはチューブ部に含有させた接着性樹脂の割合が過剰であり、変形が大きく使用することができない。
(a)は本発明の一実施例であるチューブ容器の部分的な縦断面図、(b)はその一点鎖線で囲われた部分の拡大図である。 (a)、(b)は、ともにヘッド部とチューブ部との接着強度の測定方法の説明図である。 (a)、(b)は、ともにチューブエンド部の接着強度の測定方法の説明図である。 一般的なチューブ容器の説明図である。 (a)は従来のチューブ容器の一例の説明図、(b)は従来のチューブ容器の他の例の説明図である。
符号の説明
2 口部
3 ヘッド部
4 チューブ部
10 内層
11 外層

Claims (4)

  1. キャップと、キャップが着脱自在に係合される口部を有するヘッド部と、内容物を収容するためのチューブ部とを備え、上記ヘッド部とチューブ部とが熱融着によって接合一体化されてなるチューブ容器であって、上記ヘッド部が、ポリオレフィン系樹脂を主成分とし、第1の接着性樹脂を5〜30重量%含有する樹脂層によって形成され、上記チューブ部が、エチレン−ビニルアルコール共重合体を主成分とし、第2の接着性樹脂を5〜50重量%含有する樹脂層からなる内層と、少なくとも一層の外層とを有する積層体によって形成されていることを特徴とするチューブ容器。
  2. 上記ヘッド部に用いられるポリオレフィン系樹脂が、高密度ポリエチレンと、低密度ポリエチレンおよび中密度ポリエチレンの少なくとも一方との混合物である請求項1記載のチューブ容器。
  3. 上記チューブ部の内層に用いられるエチレン−ビニルアルコール共重合体が、エチレン含有量3〜70モル%、ケン化度50〜100%のものである請求項1または2記載のチューブ容器。
  4. 上記ヘッド部に用いられる第1の接着性樹脂が、熱可塑性エラストマー変性物であり、上記チューブ部に用いられる第2の接着性樹脂が、酸変性ポリオレフィン組成物である請求項1〜3のいずれか一項に記載のチューブ容器。
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