JP2021017018A - 多層フィルム及びそれから形成された包装袋 - Google Patents

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Abstract

【課題】飲料、化粧料、薬品などの液体を包装する包装袋をヒートシールにより形成するための部材として使用される共押出しバリア多層フィルムにおける、ヒートシールを行う際に発生する問題点(シール部分の厚さ、白化、切断、シール強度)、を解決した多層フィルムの提供。【解決手段】熱可塑性樹脂からなる最外層(A)11、エチレン—ビニルアルコール共重合体からなるバリア層(B)12、高周波発熱性樹脂組成物からなる発熱層(C)13、ヒートシール性を有するポリオレフィン系樹脂からなる最内層(D)14がこの順で配設されており、共押出し法により得られる液体包装袋を形成するための部材として用いられる多層フィルム10。【選択図】図1

Description

本発明は、液体を包装する包装袋をヒートシールにより形成するための部材として使用される共押出しバリア多層フィルム及びそれらにより形成された包装袋に関するものである。
複数のバリアフィルム部材をヒートシールすることにより形成される包装袋は、省資源や廃棄物低減の目的で、ガラス、金属、プラスチックの容器の代替品として広く普及している。このような包装袋を構成するバリアフィルム部材としては、主として、エチレンビニルアルコール共重合体樹脂、ポリアミド樹脂、またはポリエチレンテレフタレート樹脂などからなる二軸延伸フィルムあるいはアルミ箔などの基材を単独、または複数組み合わせて、ヒートシール性に優れたオレフィン系樹脂フィルムと硬化性樹脂組成物の接着剤により貼り合わせた積層フィルムが使用されている。前記積層フィルムを部材フィルムとしてヒートシールにより包装袋を形成する際には、積層フィルムは前記基材側が熱板に接触するように配される。このとき、前記基材は、その耐熱性によりシール切れを防止し、包装袋の機械的強度やシートシール強度を担保する役割を担う。しかしながら、このような積層フィルムは、アルミ箔や硬化性樹脂組成物の接着剤を使用していることから、溶融再生が難しく、樹脂原料としてリサイクルすることができない。このため、使用後は廃棄物として焼却や埋め立てするしかなかった。
このような問題を解決できる技術として、前記のような積層フィルムの代わりに、硬化性樹脂層を含まない多層共押出しフィルムを使用することが提案されている。米国特許第9248632には、包装袋、特にバッグインボックス用内袋を形成する部材フィルムとして、5層からなる多層共押出しフィルムであって、第1層及び第5層がメタロセンポリエチレン及び線状低密度ポリエチレンとの混合樹脂組成物からなり、第3層がエチレンビニルアルコール共重合体樹脂からなり、第2層及び第4層が接着性樹脂である多層共押出しフィルムが開示されている。この多層共押出しフィルムは、第3層のエチレンビニルアルコール共重合体樹脂が化学物質や酸素に対する好適なバリア性を奏し、且つ、第1層及び第5層のメタロセンポリエチレン及び線状低密度ポリエチレンとの混合樹脂組成物が優れたヒートシール性を有する。また、硬化性樹脂からなる接着剤や易接着剤を使用していないため、溶融再生が可能である。このため、樹脂組成や層構成を適宜設計することで、使用後に樹脂原料として再利用が可能で、フィルムへの還元も実現できるという特徴を有している。
しかし、前記多層共押出しフィルムは、飲料、化粧料、薬品などの液体の包装袋の様に、内容物充填後の破袋を防ぐために高い機械的強度やシール強度が求められる用途、例えばバックインボックスの内袋などにおける使用には問題があった。すなわち、フィルム部材同士を熱板によりヒートシールして包装袋を形成する場合、高温の熱板を所定の圧力でフィルム表面に押しあて、厚み方向への熱量の伝達によりシール面を溶着しうるに十分な温度とする必要がある。このため、一般的に、熱板の温度はシール面が溶着可能な温度より高く設定される。そして、熱板に接触している表面樹脂層も高温の熱板の温度とほぼ同じ温度に曝されることになる。前記した、二軸延伸ナイロンフィルムや二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのような基材フィルムにヒートシール層としてポリオレフィン系樹脂フィルムを接着剤により貼り合わせた積層フィルムでは、基材フィルムに耐熱性があるためヒートシール性に問題は無かった。一方、多層共押出しフィルムを熱板によりヒートシールする際には、全層に亘って半溶融状態となったフィルムが熱板で押されることにより、シール部分が薄くなったり、白化したり、切断したりするなどの不具合を招くという問題が発生する。特に、飲料、化粧料、薬品などの液体の包装袋には、高い機械的強度やシール強度を担保するため、比較的厚みの厚いフィルムが使用される。この場合、シール面まで熱量が届き難く、熱板の温度を通常より上げる必要があり、前記の問題が顕著である。また、この問題は、例えば、ガゼット袋の底部や内袋を有する二重袋の内袋と外袋の接合部など、フィルムを4枚あるいはそれ以上重ねてヒートシールする場合には更に顕著である。
米国特許第9248632公報
本発明は、飲料、化粧料、薬品などの液体を包装する際の包装袋形成用部材フィルムとして使用される共押出しバリア多層フィルムにおける、ヒートシールを行う際に発生する、シール部分が薄くなったり、白化したり、切断したり、シール強度が低いといった問題を解決することを目的とする。
すなわち、本発明によると、上記課題を解決するために、熱可塑性樹脂からなる最外層(A)、エチレン―ビニルアルコール共重合体からなるバリア層(B)、高周波発熱性樹脂組成物からなる発熱層(C)、ポリオレフィン系樹脂からなる最内層(D)がこの順で配設されていることを特徴とする、液体包装袋を形成するための部材として用いられる多層フィルム(1)が提供される。
また、(1)記載の、最外層(A)を構成する熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂であって、液体包装袋が外袋及び内袋から構成される二重袋であって、部材が前記内袋を形成するための部材であることを特徴とする、多層フィルム(2)が提供される。
また、(1)記載の、最外層(A)を構成する熱可塑性樹脂がポリアミドであることを特徴とする、多層フィルム(3)が提供される。
また、前記最外層(A)とバリア層(B)の間に、更に、接着層(E)が配設されていることを特徴とする、(1)乃至(3)の何れかに記載の多層フィルム(4)が提供される。
また、(4)記載の接着層(E)が高周波発熱性樹脂組成物からなることを特徴とする、多層フィルム(5)が提供される。
また、前記発熱層(C)及び接着層(E)における高周波発熱性樹脂組成物が、エチレンと不飽和カルボン酸からなるエチレン共重合体のカルボキシル基の一部又は全部がアルカリ金属で中和され、該アルカリ金属の含有量が樹脂1g当たり0.4ミリモル以上であるアイオノマー樹脂2重量%以上と、エチレン70〜95重量%とエチレン性不飽和二重結合を有する極性モノマー30〜5重量%からなるポリオレフィン系共重合体98重量%以下からなることを特徴とする、(1)乃至(5)の何れかに記載の多層フィルム(6)が提供される。
また、前記アルカリ金属がカリウムであり、前記高周波発熱性樹脂組成物が、更に多価アルコールを含有していることを特徴とする、(6)記載の多層フィルム(7)が提供される。
また、(1)乃至(7)の何れかに記載の多層フィルムから形成された液体包装袋(8)が提供される。
さらに、前記液体包装袋が外袋及び内袋から構成される二重袋であることを特徴とする、(8)に記載の液体包装袋(9)が提供される。
本発明の多層フィルムによれば、飲料、化粧料、薬品などの液体を包装する際、とくに、ガゼット袋の底部や内袋を有する二重袋の内袋と外袋の接合部など、フィルムを4枚あるいはそれ以上重ねて熱板ヒートシールにより包装袋を形成する場合においても、外観上綺麗で十分な強度を有するシール部を有する包装袋を得ることができる。したがって、本発明は、その産業上の利用価値が極めて高いものである。
図1は、本発明の一実施形態に係る多層フィルムの断面図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る多層フィルムの断面図である。 図3は、本発明の一実施形態に係る外袋及び内袋から構成される二重包装袋のヒートシール部分の断面図である。
以下、本発明の多層フィルム及びそれから形成される包装袋の実施の形態について図1〜図3を参酌しつつ説明する。尚、本発明は以下の形態に限定されるものではなく、同様の効果を奏する範囲において種々の形態をとることができる。
本発明において最外層(A)として用いられる熱可塑性樹脂は、他の樹脂層と一緒に溶融状態で共押出しして多層フィルムを形成できる樹脂であれば特に限定されない。例えば、低密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレンーαオレフィン共重合体樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂、エチレンービニルアルコール共重合体樹脂、ポリメチルメタアクリレート樹脂、エチレン−酢酸ビニル系共重合樹脂、アイオノマー樹脂、ポリブテン系樹脂、ナイロン樹脂等のポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられ、一種以上組み合わされて用いられる。なお、本発明の多層フィルムを包装袋の外層として用いる場合には、上記したうちでも、ナイロン樹脂等のポリアミド樹脂、が包装袋の機械的強度及びヒートシール強度保持の観点から好ましい。
本発明に用いるポリアミド樹脂として具体的には、ナイロン−6(ポリカプラミド)、ナイロン−66(ポリヘキサメチレンアジパミド)、ナイロン−610(ポリヘキサメチレンセバカミド)、ナイロン−12(ラウリルラクタムの開環重合体)、ナイロン−6/66(ε−カプロラクタムとヘキサメチレンアジパミドの共重合体)、ナイロン−6/610(ε−カプロラクタムとヘキサメチレンセバカミドの共重合体)、ナイロン−6/12(ε−カプロラクタムとラウリルラクタムの共重合体)、ナイロン−6/66/610(ε−カプロラクタム、ヘキサメチレンアジパミドおよびヘキサメチレンセバカミドの共重合体)、ナイロン−6/66/12(ε−カプロラクタム、ヘキサメチレンアジパミドおよびラウリルラクタムの共重合体)、ナイロン−MXD6(ポリメタキシリレンアジパミド)、ナイロン−6I/6T(ヘキサメチレンイソフタラミドとヘキサメチレンテレフタラミドの共重合体)などを例示することができる。これらのうちナイロン−6や共重合タイプのナイロン等が加工性、コストの面で好ましい。
また、本発明の多層フィルムを外袋及び内袋からなる二重袋の内袋を形成するための部材フィルムとして使用する場合には、最外層(A)を最内層(D)を構成する樹脂と同様の樹脂を使用することが、溶融再生により樹脂原料としてリサイクルするために好ましい。
最外層(A)の厚みは2〜50μm、より好ましくは5〜30μmとする。厚みが2μm未満では液体を包装した際の多層フィルム及びヒートシールの強度を維持できず好ましくない。100μmを超えると積層フィルムが柔軟性を失い、とりわけ輸液バッグ等の柔軟性が要求される包装袋の用途には不向きとなる。
次いで、本発明の包装袋形成用部材フィルムのバリア層(B)について説明する。本発明の包装袋形成用部材フィルムのバリア層(B)はエチレン―ビニルアルコール共重合体から主としてなる。エチレン―ビニルアルコール共重合体としては、エチレンから導かれる構造単位の含有量が好ましくは15〜70モル%、より好ましくは20〜50モル%である共重合体が好ましく用いられる。このようなエチレン―ビニルアルコール共重合体は、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより調製することができる。
バリア層(B)の厚みは2〜40μm、より好ましくは5〜30μmとする。厚みが2μm未満であるとバリア性が十分でなく好ましくない。40μmを超えると、不経済であるとともに、厚みに比例した前記効果の向上が見られなくなる。
本発明の、発熱層(C)は、高周波発熱性を示す熱可塑性樹脂であれば特に限定されないが、エチレンと不飽和カルボン酸からなるエチレン共重合体のカルボキシル基の一部又は全部がアルカリ金属で中和され、前記アルカリ金属の含有量が樹脂1g当たり0.4ミリモル以上であるアイオノマー樹脂(C−1)2重量%以上と、ポリオレフィン系共重合体(C−2)98重量%以下からなる高周波発熱性樹脂組成物が好ましい。
前記アイオノマー樹脂(C−1)はエチレンと不飽和カルボン酸を共重合して得られる共重合体のカルボキシル基を金属の酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、水酸化物、酢酸塩等で中和することによって得られるが、この際使用する不飽和カルボン酸としてはアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、ビニル酢酸、イタコン酸等が挙げられる。また、エチレンと不飽和カルボン酸からなる共重合体中の不飽和カルボン酸の含有量は1モル%以上が好ましく、3〜40モル%がより好ましい。一般に、アイオノマー樹脂としては、ナトリウム、カリウム或いは亜鉛で中和したものが知られているが、本発明においては、アルカリ金属でない亜鉛で中和したものは高周波発熱性を示さず本発明の範囲外である。また、当該共重合体中のカルボキシル基の一部又は全部を中和するのに使用するアルカリ金属としてはナトリウム、カリウム、ルビジウム或いはセシウム等が挙げられるが、好ましくはナトリウム又はカリウム、特に、カリウムが好ましい。更に、共重合体中のアルカリ金属の含有量が樹脂1g当たり0.4ミリモル以上、好ましくは0.8〜6.0ミリモルとする必要がある。このアルカリ金属の含有量が樹脂1g当たり0.4ミリモル未満では十分な高周波発熱性を付与することができず好ましくない。また、本発明におけるアイオノマー樹脂の分子量は3000以上であることが得られる組成物の機械的性質を維持する上で望ましい。なお、アイオノマー樹脂中に必要により少量の不飽和カルボン酸のアルキルエステル等のセグメントを分子鎖に含有するものも本発明に含まれる。以上述べたアイオノマー樹脂は単独で、あるいは、複数種組み合わせて用いることができる。
前記ポリオレフィン系共重合体(C−2)として、エチレン70〜95重量%と、酢酸ビニル、エチルアクリレート、メチルアクリレート、アクリル酸、メタアクリル酸、メチルメタアクリレート等のエチレン性不飽和二重結合を有する極性モノマー30〜5重量%とから得られるポリオレフィン系共重合体が使用され、これらは単独で、或いは混合して使用される。このようなポリオレフィン系共重合体はそれ自身がある程度の高周波発熱性を有しているので、得られる組成物の高周波発熱性能を更に高くし、或いはコストダウンや環境依存特性の観点から上述したアイオノマー樹脂の配合量を少なくした場合でも高周波発熱性を付与できるという利点を有している。なお、このようなポリオレフィン系共重合体としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタアクリル酸共重合体及びエチレン−メチルメタアクリレート共重合体等が挙げられる。
本発明においては、上述したアイオノマー樹脂が極めて優れた高周波発熱性を有していることから、組成物中にアイオノマー樹脂を少量配合するだけで十分優れた高周波発熱性を示す。すなわち、本発明の高周波発熱性樹脂組成物におけるアイオノマー樹脂とポリオレフィン系共重合体との配合割合は、併用するポリオレフィン系共重合体の種類や融点にもよるが、アイオノマー樹脂:ポリオレフィン系樹脂が2〜100重量%:98〜0重量%の範囲になるように配合すればよい。また、本発明の高周波発熱性樹脂組成物を発熱層として使用して他の層を熱融着させる場合にはアイオノマー樹脂:ポリオレフィン系樹脂が4〜100重量%:96〜0重量%の範囲になるように配合するのが好ましい。組成物中に占めるアイオノマー樹脂の割合が2重量%を下回ると、前記高周波発熱性樹脂組成物の高周波発熱性が十分でなくなり好ましくない。
また、本発明においては、前記高周波発熱性樹脂組成物に多価アルコールを配合することによって高周波発熱性樹脂組成物の高周波発熱性がさらに向上する。なお、多価アルコールとしては、グリセロール、ジグリセロール、トリメチロールプロパン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ソルビトール等の1分子中に水酸基を2個以上含有する多価アルコール或いはそれらの部分エステル化物が挙げられる。その配合割合はアイオノマー樹脂100重量部に対して5〜50重量部とするのが好ましい。
更にまた、本発明の組成物を吸湿させることによって高周波発熱性を向上させることが可能である。特に本発明で使用するアイオノマー樹脂(A)は、吸湿性があり、含水率を0.1〜5wt%とすることによって高周波発熱性が大きく向上する。したがって、高周波融着時に水の気化に起因する発泡の問題が起こらない範囲で組成物が水を含有するようにすることが望ましい。
なお、本発明においては、アイオノマー樹脂とポリオレフィン系樹脂との相溶性を向上させる目的で、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体をグラフト反応せしめることにより得られる変性ポリオレフィンなど公知の相溶化剤や、必要に応じて、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、難燃剤、滑剤、アンチブロッキング剤、加工助剤、顔料等を高周波発熱性を損なわない範囲で添加することも何ら差し支えない。
本発明の高周波発熱性樹脂組成物は、共押出しによる多層フィルムの製造に先立ち、予め、前記した高周波発熱性樹脂組成物の原料組成物を加圧ニーダーや二軸混錬機により混錬し、ペレット等の形状に成形しておくことが好ましい。
発熱層(C)の厚みは2〜150μm、より好ましくは5〜75μmとする。厚みが2μm未満であると、最内層(D)をヒートシールするために必要な熱量が発熱層(C)の発熱量だけで供給できない。厚みが150μmを超えると、フィルム全体厚みを不必要に引き上げてしまう結果となる。
本発明の多層フィルムの最内層(D)を構成するヒートシール性を有するポリオレフィン系樹脂は、ヒートシール可能なものであれば特に限定されるものではない。例示すると、低密度、中密度、或いは高密度のポリエチレンやα−オレフィン類を共重合したポリエチレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、あるいは、アイオノマー樹脂、ポリプロピレンホモポリマー、ポリプロピレン系共重合ランダムポリマー、ポリプロピレン系共重合ブロックポリマー等があげられる。耐ブロッキング性、柔軟性、透明性等の要求に応じて、各種アンチブロッキング剤、エラストマー成分、その他の添加剤をブレンドすることが可能である。
最内層(D)の厚みは2〜150μm、より好ましくは5〜75μmとする。厚みが2μm未満であるとヒートシール強度が十分でなく好ましくない。150μmを超えると、最内層をヒートシールするために必要な熱量が発熱層の発熱量だけで供給できない。さらに、厚みに比例したヒートシール強度の向上が見られなくなるし、フィルム全体厚みを不必要に引き上げてしまう結果となる。
本発明の多層フィルムの接着層(E)を構成する樹脂は、最外層(A)とバリア層(B)の界面の接着強度が低い際に設けることができる。このため、最外層(A)とバリア層(B)の界面の接着強度を向上させる効果のある熱可塑性樹脂であれば特に限定されるものではない。接着層(E)は、最外層(A)とバリア層(B)の界面の接着強度を向上させる効果に加えて高周波発熱性を呈することが好ましい。発熱層(C)の発熱に接着層(E)の発熱が加算されることで本発明の多層フィルムのヒートシール性が更に向上する。このため、接着層(E)を構成する樹脂は、発熱層(C)を構成する樹脂組成物と同じであることが好ましい。
接着層(E)の厚みは2〜50μm、より好ましくは5〜30μmとする。厚みが2μm未満であると接着層としての機能が十分でなく好ましくない。50μmを超えると、多層フィルム全体の厚さに占める接着層(E)の厚みの割合が大きくなりすぎ、多層フィルム全体厚みを不必要に引き上げてしまい好ましくない。
次に、本発明の多層フィルムにおける樹脂層の位置関係であるが、図1に示したように、最外層(A)11/バリア層(B)12/発熱層(C)13/最内層(D)14、または、図2に示したように、最外層(A)11/接着層(E)21/バリア層(B)12/発熱層(C)13/最内層(D)14を基本とする。しかし、本発明の目的を逸脱しない範囲において、更に別の熱可塑性樹脂層を含んでもよい。また、本発明の多層フィルムの全体厚みは50〜300μm、さらには80〜200μmとするのが好ましい。この範囲とすることで、多層フィルムを部材として形成した液体を包装するための包装袋の機械的強度、ヒートシール強度、柔軟性、経済性等において問題がない。
本発明の多層フィルムの製造方法としては、上記樹脂組成物を複数の押出機に供給して溶融混練した後、多層ダイスにて共押出し成形することにより製造される。共押出し成形方法としては、例えば、T−ダイ法、インフレ−ション法等が採用される。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。なお、以下の実施例においては、樹脂及び化合物として以下のものを使用できる。
《ポリアミド系樹脂》
・6ナイロン(PA−6と略称する):宇部興産(株)製「1022FDX32」
《アイオノマー樹脂(C−1)》
・アイオノマー(IOMと略称する。):三井デュポンケミカル社製「ハイミラン MK153」エチレン−メタクリル酸共重合体のカリウム塩、アイオノマー樹脂1g当たりのカリウム含有量:0.90ミリモル
《ポリオレフィン系共重合樹脂(C−2)》
・エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVAと略称する。):日本ユニカー(株)製「NUC−3758」(酢酸ビニル含量:15重量%、MI:2.3g/10min、融点:93℃)
・エチレン−メチルメタアクリレート共重合体(EMMAと略称する):住友化学工業(株)製「アクリフトCM2007」(メチルメタクリレート含量:18重量%、MI:3g/10min、融点:89℃)
《多価アルコール》
・グリセロール
《エチレン―ビニルアルコール共重合体》
・エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOHと略称する):エチレン含有率44%、ケン化度90%以上
《ポリオレフィン系樹脂》
・直鎖状低密度ポリエチレン(LLと略称する):住友化学(株)製「スミカセンα FZ201−0」(密度:0.912g/cm3 、MI:2g/10min、融点:117℃)
以下の実施例では、予め、発熱層(C)及び接着層(E)を構成する高周波発熱性樹脂組成物の原料を加圧ニーダーや二軸混錬機により混錬し、高周波発熱性樹脂組成物をペレット等の形状で得ておく。その後、前記高周波発熱性樹脂組成物及び各層を構成する熱可塑性樹脂を複数の押出機に供給して溶融混練した後、多層ダイスにて共押出ししてインフレ−ション法により多層フィルムを製造する。
以下の実施例では、高周波発熱性樹脂組成物として、以下の組成物を成分とした混合樹脂組成物を用いる。
《高周波発熱性樹脂組成物1》
IOM:4.5重量%
EVA:95重量%
グリセロール:0.5重量%
《高周波発熱性樹脂組成物2》
IOM:9重量%
EMMA:90重量%
グリセロール:1重量%
<実施例1>
・最外層(A):LL 30μm
・バリア層(B):EVOH 15μm
・発熱層(C):高周波発熱性樹脂組成物1 30μm
・最内層(D):LL 30μm
フィルム全体厚さ:105μm
<実施例2>
・最外層(A):LL 30μm
・接着層(E):高周波発熱性樹脂組成物1 20μm
・バリア層(B):EVOH 15μm
・発熱層(C):高周波発熱性樹脂組成物1 20μm
・最内層(D):LL 30μm
フィルム全体厚さ:115μm
<実施例3>
・最外層(A):LL 30μm
・バリア層(B):EVOH 15μm
・発熱層(C):高周波発熱性樹脂組成物2 30μm
・最内層(D):LL 30μm
フィルム全体厚さ:105μm
<実施例4>
・最外層(A):LL 30μm
・接着層(E):高周波発熱性樹脂組成物2 20μm
・バリア層(B):EVOH 15μm
・発熱層(C):高周波発熱性樹脂組成物1 20μm
・最内層(D):LL 30μm
フィルム全体厚さ:115μm
<実施例3>
本発明の多層フィルムは、各部材形状にカットされたのち、高周波シールまたは高周波とヒーター加熱の複合加熱(以下、ハイブリッドシールという。)によりヒートシールされ、三方袋、ガゼット袋、シート材容器など、公知の液体包装用の包装袋に成形される。この際、必要に応じて、一部の部材のみ高周波シールまたはハイブリッドシールを利用し、他を熱板シールのみでヒートシールすることもできる。本発明の多層フィルムは、外袋と内袋を有する二重袋を形成する際に、とくに効果を奏する。すなわち、二重袋は、図3にそのヒートシール部分30を示したように、外袋を形成する多層フィルム31及び内袋を形成する多層フィルム32がそれぞれ二枚づつ4枚重ねでシールされることで形成される。ここで、内袋を形成する多層フィルム32は、外袋を構成する多層フィルムと内袋を構成する多層フィルムのヒートシール界面33及び内袋を構成する多層フィルム同士のヒートシール界面34の両方の界面にて、シール部分のフィルムが薄くなったり、白化したり、切断したりすることなく、十分なヒートシール強度が得られることが求められる。従来のフィルムがこのような用途で使用され、従来の熱板シールが行われる場合、とくに内袋を構成する多層フィルム同士のヒートシール界面34をヒートシール可能温度にまで上昇させるためには、熱板温度を通常の温度より高くし、且つシール圧力も上げる必要がある。その結果、ヒートシール部分のフィルムは厚さが薄くなったり、白化したり、切断したりする不具合が発生する。本発明の多層フィルムを高周波シールまたはハイブリッドシールを使用してヒートシールすれば、このような不具合を発生することなく十分なヒートシール強度を得ることができる。
10 多層フィルム
11 最外層(A)
12 バリア層(B)
13 発熱層(C)
14 最内層(D)
20 多層フィルム
21 接着層(E)
30 外袋及び内袋からなる二重袋のヒートシール部分
31 外袋を構成する多層フィルム
32 内袋を構成する多層フィルム
33 外袋を構成する多層フィルムと内袋を構成する多層フィルムのヒートシール面
34 内袋を構成する多層フィルム同士のヒートシール面

Claims (9)

  1. 熱可塑性樹脂からなる最外層(A)、エチレン―ビニルアルコール共重合体からなるバリア層(B)、高周波発熱性樹脂組成物からなる発熱層(C)、ポリオレフィン系樹脂からなる最内層(D)がこの順で配設されていることを特徴とする、液体包装袋を形成するための部材として用いられる多層フィルム。
  2. 前記最外層(A)を構成する熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂であって、前記液体包装袋が外袋及び内袋から構成される二重袋であって、前記部材が前記内袋を形成するための部材であることを特徴とする、請求項1記載の多層フィルム。
  3. 前記最外層(A)を構成する熱可塑性樹脂がポリアミドであることを特徴とする、請求項1記載の多層フィルム。
  4. 前記最外層(A)とバリア層(B)の間に、更に、接着層(E)が配設されていることを特徴とする、請求項1乃至3の何れかに記載の多層フィルム。
  5. 前記接着層(E)が高周波発熱性樹脂組成物からなることを特徴とする、請求項4記載の多層フィルム。
  6. 前記発熱層(C)及び接着層(E)における高周波発熱性樹脂組成物が、エチレンと不飽和カルボン酸からなるエチレン共重合体のカルボキシル基の一部又は全部がアルカリ金属で中和され、該アルカリ金属の含有量が樹脂1g当たり0.4ミリモル以上であるアイオノマー樹脂2重量%以上と、エチレン70〜95重量%とエチレン性不飽和二重結合を有する極性モノマー30〜5重量%からなるポリオレフィン系共重合体98重量%以下からなることを特徴とする、請求項1乃至5の何れかに記載の多層フィルム。
  7. 前記アルカリ金属がカリウムであり、前記高周波発熱性樹脂組成物が、更に多価アルコールを含有していることを特徴とする、請求項6記載の多層フィルム。
  8. 請求項1乃至7の何れかに記載の多層フィルムから形成された液体包装袋
  9. 前記液体包装袋が外袋及び内袋から構成される二重袋であることを特徴とする、請求項8記載の液体包装袋

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