JP2009255116A - 形状凍結性に優れたプレス成形方法およびその装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 スプリングバックによる角度変化といった2次元的な形状不良や稜線そり(面そり)などの3次元的な形状不良を防止してプレス成形品を得ることができる形状凍結性に優れた金属板のプレス成形方法およびその装置を提供すること
【解決手段】 断面形状が変化する部品や湾曲したハット形断面形状のビームをプレス成形する際に、成形開始時からダイとパンチの相対変位が零になるまではパッドとパンチの相対変位を10〜20mmの範囲内になるようパッドの位置を制御することでパンチ底に金属板をたるませながらプレス成形し、成形後期ではパンチ底のたるみがなくなるようにパッドとダイを連動して制御しつつ部品形状へプレス成形する。
【選択図】 図8

Description

本発明は、金属板のプレス成形において生じるスプリングバックを低減し、部品の寸法精度を高める形状凍結性に優れた金属板のプレス成形方法およびその装置に関するものである。
衝突安全性と軽量化の要請から、自動車車体への高強度鋼板の適用が進展しつつある。これらの高強度鋼板は板厚を増加させることなく、衝突時の吸収エネルギーや強度を高めることができる。しかしながら、プレス加工の場合、鋼板の強度上昇とともにスプリングバックと呼ばれる形状凍結不良が発生し、部品の寸法精度の確保が困難となる。この形状凍結不良は最終製品の外観品質を著しく損なうばかりでなく、成形後に行われる組立作業において溶接不良の原因となるため、特にメンバやフレームなどの構造部品では形状凍結不良の対策が課題である。
形状凍結不良は現象に応じて、角度変化、壁そり、ねじれ、稜線そり(面そり)、パンチ底の形状凍結不良に分類される。いずれの場合でも、成形品を成形後に金型から取り出す、あるいは、不要な部分をトリミングするなど、拘束を緩和することで残留応力が駆動力となり、新たなつりあいを満たすよう部品に弾性変形(スプリングバック)が生じる。例えば、曲げ角度変化や壁そりは、板厚方向の応力分布が駆動力となり、剛性は主に板厚で決定される。あるいは、長手方向に高低差や湾曲したハット断面のビームをドロー成形すると、壁そりと稜線そり(面そり)、ねじれが生じるが、湾曲の曲率が小さいと部品剛性が高まり、壁そりが小さくなること、および、伸びフランジ変形部と縮みフランジ変形部の応力の差がねじりモーメントを与えている可能性があることが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
従来の寸法精度不良の対策方法として、スプリングバック後に所定の寸法に収まるよう、変形を見込んで意図的に製品形状と異なる金型形状を用いるプレス成形方法(例えば、特許文献1、特許文献2、非特許文献1参照)が広く知られている。しかし、この方法では、所望の金型形状を得るために、金型形状の修正を機械加工によって数回〜数十回繰り返して行なう必要があり、多大な工数と熟練した技能を要し、コストも高くなるという問題がある。さらに、金型形状の見込みで寸法精度を確保しようとする場合、広く普及している成形シミュレーションを活用したスプリングバック解析の精度予測については十分な実用信頼性を得ているとは言えず、実物トライアル中心の試行錯誤による調整が大きな負荷となっている。さらに、従来のスプリングバック対策は角度変化や壁そりに代表される2次元的な形状不良に対するものが多く、複雑形状の部品で問題となる稜線そり(面そり)やねじれなど3次元的なスプリングバックに関する対策方法、あるいはこれらを同時に対策する方法については提案されていない。
また、ハット形断面形状のプレス成形において、パンチ肩部でのスプリングバックやパンチ側壁部での壁そりなどの形状不良を防止できるプレス成形方法として、プレス成形により発生する壁反りの曲率ρ、しわ押さえ力BHFとの間に、ρ=F(BHF)の関係を与え、この関係に基づき、曲率が小さくなるようにしわ押さえ力を付加すると共に、パンチの行程が成形開始後下死点の直前までの間は、パンチ頭部に設けたたわみ調節装置で金属板にたわみを付与し、下死点でたわみを解消して成形するプレス成形方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかしこの方法では、しわ押さえにより材料の移動が拘束されているため、パンチ頭部のたるみを決め押しすることにより材料に圧縮の残留応力が導入され、パンチ底の形状不良やねじれが生じるという問題がある。さらに、この方法はハット断面ビーム部品の壁そりや稜線部の角度変化といった2次元的な形状不良に対するものであり、ねじれや面そりなどの3次元的なスプリングバックに関する対策方法、あるいはこれらを同時に対策する方法については提案されていない。
特開平8−243657号公報 特開2003−33828号公報 特開2000−42635号公報 「プレス成形難易ハンドブック第3版」、日刊工業新聞社、2007年3月30日発行、第365〜377頁
そこで本発明は、上記実状に鑑み、金型形状の修正を行なわずにプレス成形を行い、スプリングバックによる角度変化といった2次元的な形状不良や稜線そり(面そり)などの3次元的な形状不良を防止してプレス成形品を得ることができる形状凍結性に優れた金属板のプレス成形方法およびその装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討の結果、断面形状が変化する部品や湾曲したハット形断面形状のビームをプレス成形する際に、成形開始時からダイとパンチの相対変位が零になるまではパッドとパンチの相対変位を所定の範囲になるようパッドの位置を制御することでパンチ底に被加工材である金属板のたるみ量を制御しながら成形し、成形後期ではパンチ底のたるみがなくなるようにパッドとダイを連動して制御しつつ部品形状へ成形することで、スプリングバックによる角度変化や稜線そり(面そり)などの形状不良が防止でき、形状凍結性に優れたプレス成形品が得られることを見出して、本発明を完成した。
本発明の要旨は、次の通りである。
(1) パンチとダイおよびパンチと連動して被加工材の金属板を押さえるパッドを備えたプレス成形装置を用いて、パンチとダイの相対的な直進移動によって金属板をハット形断面形状に成形するプレス成形方法であって、プレス成形中に前記パンチ位置とダイ位置およびパッド位置を測定し、測定したパンチ位置zP[mm]と測定したダイ位置zD[mm]および測定したパッド位置zPad[mm]の位置関係が、成形開始時からダイとパッドの相対変位(zD−zPad)[mm]が零になるまでは、パッドとパンチの相対変位(zPad−zP)[mm]を10〜20mmの範囲内になるように、前記パッドの位置zPad[mm]を制御してプレス成形することを特徴とする形状凍結性に優れた金属板のプレス成形方法。
(2) 成形開始時から前記ダイとパッドの相対変位(zD−zPad)が零になるまではパッドとパンチの相対変位(zPad−zP)を10〜20mmの範囲になるようパッドの位置zPad[mm]を制御することでパンチ底に金属板をたるませながら成形する第1の手段と、前記手順以降から成形下死点までは前記パンチ底のたるみがなくなるようにパッドとダイを連動して制御しつつ部品形状へ成形する第2の手段を含むことを特徴とする上記(1)に記載の形状凍結性に優れた金属板のプレス成形方法。
(3) 油圧プレス機またはサーボプレス機でパンチおよびパッドを駆動して成形することを特徴とする上記(1)または(2)に記載の形状凍結性に優れた金属板のプレス成形方法。
(4) パンチとダイおよびパッドを備え、パンチとダイの相対的な直進移動によって金属板をハット形断面形状に成形するプレス成形装置であって、パンチと連動して金属板を押さえるパッドを備え、パンチ位置測定部とダイ位置測定部およびパッド位置測定部を有し、パンチ位置測定部が測定したパンチ位置zP[mm]とダイ位置測定部が測定したダイ位置zD[mm]およびパッド位置測定部が測定したパッド位置zPad[mm]からダイとパッドの相対変位(zD−zPad)[mm]とパッドとパンチの相対変位(zPad−zP)[mm]に基づき、パッドの位置zPad[mm]を制御するパッド位置制御部を有することを特徴とする形状凍結性に優れた金属板のプレス成形装置。
(5) 前記パッドの駆動機構が電動サーボモータを備えていることを特徴とする上記(4)に記載の形状凍結性に優れた金属板のプレス成形装置。
本発明によれば、パンチ底とパッド間に金属板の所定のたるみ量を制御して形成することができ、形成したたるみを成形後期の決め押しで潰すことにより曲げ領域が拡大するものであるため、縦壁のスプリングバックとスプリングゴーをバランスさせ角度変化といった2次元的な形状不良や稜線そり(面そり)などの3次元的な形状不良を防止して形状不良のない形状凍結性に優れたプレス成形品を得ることができ、従来のようにプレス成形品の形状不良を避けるためのプレス金型の修正も不要となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
断面形状が変化するハット形断面形状のビームでは、壁そりや開きなどの2次元的な形状不良に加え、稜線そり(面そり)やねじれが同時に発生する。このような3次元的な形状不良は現象が複雑なため、その形状不良を解決する対策立案が容易でない。
図1は、自動車のメンバ部品であるハット形断面形状のサイドメンバのプレス成形品の模式図である。ここでは、プレス成形による形状不良の事例としてサイドメンバを模した図1の形状を対象に、本発明による具体的な形状凍結対策例について説明する。
まず、従来のフォーム成形で、980MPa級高張力鋼板(ハイテン)の1.4mm厚の薄板を、図1のハット形断面形状にプレス成形する事例について、図2および図3を参酌して説明する。
図2はプレス成形装置の概要を示す図で、図3は従来のフォーム成形工法のパンチ、ダイ、パッドの制御方法を説明するための図である。図3(a)はプレス成形時のパンチ、ダイ、パッドのz方向の位置関係を示す図で、図3(b)〜(d)は成形加工時のパンチ、ダイ、パッドの位置を示す模式図である。
プレス成形装置は、図2に示すように、ダイ1とパッド2およびパンチ4を用いて薄板3をハット形断面形状に成形する。50mm高さ(図1のz方向参照)のハット形断面形状のサイドメンバについて従来のフォーム成形工法では、図3(b)の下死点40mm前に示すように、成形開始からパンチ4とパッド2で薄板3を押さえてパンチ4とパッド2とを上昇させてプレス成形し、図3(c)の下死点10mm前に示すように、成形途中で薄板3が動かないよう拘束したままパンチ4とダイ1によってプレス成形を継続し、引き続き、図3(d)の成形下死点に示すように、成形下死点までプレス成形をして最終プレス成形品とされる。このプレス成形時のパンチ(zP)、ダイ(zD)、パッド(zPad)のz方向(図1参照)の位置関係は、パンチ(zP)位置をパンチ底部の位置、ダイ(zD)の位置をパンチ底部が下死点となるダイ位置、そして、パッド(zPad)位置をパンチ底部と対向する面の位置としたときに、夫々のz方向の位置関係は、図3(a)に示すように、プレス成形ではパンチ4とパッド2で薄板3を押さえて成形途中で薄板3が動かないよう拘束したままプレス成形するので、成形開始から成形終了までパンチ(zP)とパッド(zPad)とのz方向の距離は零となっている。
この従来工法により高さ方向(図1のz方向)に高低差を有するハット断面ビームを成形すると、スプリングバックにより図6(a)に示すように、下死点形状12よりもスプリングバック後形状13の方が右端がz方向に上がる。これは、成形品を成形後に金型から取り出すことで拘束が緩和され、成形下死点での応力分布が駆動力となり、新たなつりあいを満たすよう部品に弾性変形が生じたためである。ここでは、縦壁部の板厚方向の応力分布が駆動力となり縦壁が開き、上面の撓みを起こし、面そりを容易にするためである。
すなわち、図1に示す凸稜線14のyz面内z方向撓みは、zx面内で屈曲している上面を直線化するように働く。このとき凸稜線より左側の3点をz方向に拘束しているため、y軸周りのモーメントによりz方向変位(面そり)を発生させる。断面形状が変化するハット形断面ビーム形状では縦壁の開きと撓みを介して面そりが生じる。図4に従来工法でプレスした際のスプリングバック後のz方向変位分布の面そり状態を示した。図4中の数値は、面そり状態のz方向変位分布を示している。
このような観点から発明者らはスプリングバックの機構を考え、縦壁の開き対策は面そり抑制に有効であることに想到した。
そこで、本発明者らはこのような壁そりや開きなどの2次元的な形状不良に加え、稜線そり(面そり)が同時に発生するような3次元的な形状不良について、スプリングバックの機構に基づき鋭意研究し、その結果、成形開始時からダイとパッドの相対変位が零になるまではパッドとパンチの相対変位を所定の範囲になるようパッドの位置を制御することでパンチ底に材料をたるませながら成形し、それ以降から成形下死点まではパンチ底のたるみがなくなるようにパッドとダイを連動して制御しつつ部品形状へ成形する方法がプレス製品の形状不良を解決するのに有効であることを見出し、本発明を完成した。
本発明は、プレス成形中に前記パンチ位置とダイ位置およびパッド位置を測定し、測定したパンチ位置zP[mm]と測定したダイ位置zD[mm]および測定したパッド位置zPad[mm]の位置関係が、成形開始時からダイとパッドの相対変位(zD−zPad)[mm]が零になるまでは、パッドとパンチの相対変位(zPad−zP)[mm]を10〜20mmの範囲内になるように、前記パッドの位置zPad[mm]を制御して
パンチとダイの相対的な直進移動によって金属板をハット形断面形状にプレス成形することを特徴とするものである。
本発明によれば、パンチ底とパッド間で生じた材料のたるみを成形後期の決め押しで潰すことにより曲げ領域が拡大するものであるため、縦壁のスプリングバックとスプリングゴーをバランスさせ形状不良のない縦壁を得ることができる。
本発明による50mm高さ(図1のz方向参照)のハット形断面形状のサイドメンバをプレス成形する場合について具体的に説明する。
プレス成形装置は、図2に示すように、ダイ1とパッド2およびパンチ4を用いて薄板(金属板)3をハット形断面形状に成形する。
図5は本発明のプレス成形時のパンチ、ダイ、パッドのz方向の位置関係を示す図で、図5(b)〜(e)は成形加工時のパンチ、ダイ、パッドの位置を示す模式図である。
プレス開始時は、図5(b)の下死点40mm前に示すように、パンチ4底に被加工材である薄板3をたるませてたるみ3’を形成するようにパッド2とパンチ4との相対変位(zP−zPad)を所定の範囲となるように制御し、ついで、図5(c)〜(e)に示すように、成形下死点10mm{図5(c)参照}以降は前記パンチ底のたるみ3’がなくなるようにパッド2とパンチ4を連動して制御しつつ部品形状へ成形を行なう{図5(d)、(e)参照}。このようにパンチ底に被加工材の薄板にたるみを持たせてプレス成形することで、パンチ底からハット形断面形状のコーナー部に向かって、たるみ量に相当する金属板が供給され、形状不良の原因となるコーナー部での引張残留応力および圧縮残留応力が相殺されて、図6(b)に示すように、縦壁のスプリングバックとスプリングゴーをバランスさせ壁開きが低減され、同時にz方向への面そりは大きく改善される。図7に本発明工法によるスプリングバック後のz方向変位分布の面そり状態を示す。図7中の数値は、面そり状態のz方向変位分布を示している。本発明によれば、従来工法による図4に示す面そり状態よりも、面そり状態のz方向変位分布の値が小さくなり、大幅に面そりが改善されていることが分かる。すなわち、2次元的な形状不良や3次元的な形状不良が抑制される。
なお、パンチ、パッドの駆動は、油圧プレス機またはサーボプレス機で駆動して成形することができるが、電動サーボモータを備えたサーボプレス機で行なうことが好ましい。これはパンチ、パッドの夫々の位置が電動サーボモータの回転角速度を検出することによって、容易に測定できるからである。
図5(a)に上記に述べたプレス成形でのダイ(zD)とパッド(zPad)との相対変位およびパッド(zPad)とパンチ(zP)との相対変位を示した。このプレス成形時のパンチ(zP)、ダイ(zD)、パッド(zPad)のz方向の位置において、ダイ(zD)とパッド(zPad)の相対変位(zD−zPad)はダイの底部およびパッドの上部との相対間隔を意味し、そして、パッド(zPad)とパンチ(zP)の相対変位(zPad−zP)はパッドの下部とパンチ底との相対間隔を意味する。ここにおいて、パッド(zPad)−パンチ(zP)の相対変位がたるみ量である。たるみ量が20mmを超えて過大となると縦壁が内側に向くいわゆるスプリングゴーが発生し、たるみ量が10mm未満の過小であると縦壁が開くいわゆるスプリングバックが発生することとなる。したがって、たるみ量となるパッド(zPad)−パンチ(zP)の相対変位は10〜20mmに制御する必要がある。
次に、ハット形断面ビームを対象に、面そり量(図7の部品右端のz方向変位)におよぼすパンチ底での材料たるみ量の影響を説明する。
パッドとパンチの相対変位を0(成形途中でもパッドとパンチを密着させた従来工法)、5mm、10mm、20mm、50mmと変化させ、スプリングバック後の面そり量を調査した。その結果を、図8にパッドとパンチの相対変位量(zPad−zP)[mm]と面そりとの関係に示す。図8に示すように、パンチ底でのたるみ量と面そり量には相関が認められ、たるみ量が大きいほど面そり量は改善されるが、たるみ量が大きすぎると、逆に右端は下がり(z方向マイナスを示し)スプリングゴーになることがわかる。
このように、パッドとパンチの相対変位を最適量に制御することで部品寸法精度(形状凍結精度)を確保することができ、パッドとパンチの相対変位の最適量としては、10〜20mmの範囲内であることが分かった。好ましくは12mm〜18mmである。
続いて、本発明のプレス成形装置におけるパッド位置制御の具体的な実施の形態について、図9のパッド制御装置の構成のブロック図を用いて説明する。
パッド駆動機構は電動サーボモータ5と動力伝達機構とで構成されている。また、エンコーダ6(パッド位置検出手段)は、電動サーボモータの回転角速度を検出し、その検出値を用いてパッド位置測定部7によりパッド位置が演算される。さらに、パンチやダイの位置もそれぞれのエンコーダを介してパンチ位置測定部、ダイ位置測定部で演算される。
ここでは、高低差を有するハット形断面ビームへの適用事例に沿ってパッド制御方法について説明する。
まず、前記パンチ位置測定部とダイ位置測定部およびパッド位置測定部で測定したパンチ位置zP[mm]、ダイ位置zD[mm]、パッド位置zPad[mm]からダイとパッドの相対変位(zD−zPad)[mm]とパッドとパンチの相対変位(zPad−zP)[mm]を演算する。次のステップで、ダイがパッドより相対的に高い位置(zD−zPad>0)であれば、zPad=zP+X[mm](ここではXは10[mm]とした)となるようパッド位置制御部10からサーボアンプ11へ位置指令信号を出力し、サーボアンプ11から電動サーボモータ5へ駆動用の電流を供給する。また、|zPad−zP|<Y[mm]の範囲であれば(ここではYは0.1[mm]とした)、zPad=zD[mm]に近づくようパッド制御部10からサーボアンプ11へ位置指令信号を出力し、サーボアンプ11から電動サーボモータ5へ駆動用の電流を供給することで、パッドの位置を制御する。
本発明では、上記に述べたパッド位置制御機構によって、パッド位置を所定の位置に制御してプレス成形を行うことができる。
また、油圧プレスでもパッドやダイ、パンチの位置を検出する変位計とサーボバルブによる油圧調整によりパンチやダイの位置を制御することができ、上記と同様にパッド位置制御によるプレスを行うことができる。
以上述べたように、本発明によればスプリングバックによる角度変化といった2次元的な形状不良や稜線そり(面そり)などの3次元的な形状不良を防止してプレス成形品を得ることができる。
断面形状が変化するハット断面を有する金属製部材の外観を示す図である。 パンチ、ダイ、パッドからなる成形工具の外観を示す模式図である。 従来工法のパンチ、ダイ、パッドの制御方法を説明するための図である。 従来工法でプレスした際のスプリングバック後のz方向変位分布を示す図である。 本発明工法のパンチ、ダイ、パッドの制御方法を説明するための図である。 従来工法と本発明工法の2次元形状不良(壁開き)を説明するための図である。 本発明工法によるスプリングバック後のz方向変位分布を示す図である。 パッド制御量(パンチとパッドの相対変位)と面そり量の関係を示す図である。 パッド制御装置の構成を説明するブロック図である。
符号の説明
1 ダイ
2 パッド
3 薄板
3’ たるみ
4 パンチ
5 電動サーボモータ
6 エンコーダ
7 パッド位置測定部
8 パンチ位置測定部
9 ダイ位置測定部
10 パッド位置制御部
11 サーボアンプ
12 下死点形状
13 スプリングバック後形状
14 凸稜線

Claims (5)

  1. パンチとダイおよびパンチと連動して被加工材の金属板を押さえるパッドを備えたプレス成形装置を用いて、パンチとダイの相対的な直進移動によって金属板を成形するプレス成形方法であって、プレス成形中に前記パンチ位置とダイ位置およびパッド位置を測定し、測定したパンチ位置zP[mm]と測定したダイ位置zD[mm]および測定したパッド位置zPad[mm]の位置関係が、成形開始時からダイとパッドの相対変位(zD−zPad)[mm]が零になるまでは、パッドとパンチの相対変位(zPad−zP)[mm]を10〜20mmの範囲内になるように、前記パッドの位置zPad[mm]を制御してプレス成形することを特徴とする形状凍結性に優れた金属板のプレス成形方法。
  2. 成形開始時から前記ダイとパッドの相対変位(zD−zPad)が零になるまではパッドとパンチの相対変位(zPad−zP)を10〜20mmの範囲になるようパッドの位置zPad[mm]を制御することでパンチ底に金属板をたるませながら成形する第1の手段と、前記手順以降から成形下死点までは前記パンチ底のたるみがなくなるようにパッドとダイを連動して制御しつつ部品形状へ成形する第2の手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の形状凍結性に優れた金属板のプレス成形方法。
  3. 油圧プレス機またはサーボプレス機でパンチおよびパッドを駆動して成形することを特徴とする請求項1または2に記載の形状凍結性に優れた金属板のプレス成形方法。
  4. パンチとダイおよびパッドを備え、パンチとダイの相対的な直進移動によって金属板を成形するプレス成形装置であって、パンチと連動して金属板を押さえるパッドを備え、パンチ位置測定部とダイ位置測定部およびパッド位置測定部を有し、パンチ位置測定部が測定したパンチ位置zP[mm]とダイ位置測定部が測定したダイ位置zD[mm]およびパッド位置測定部が測定したパッド位置zPad[mm]からダイとパッドの相対変位(zD−zPad)[mm]とパッドとパンチの相対変位(zPad−zP)[mm]に基づき、パッドの位置zPad[mm]を制御するパッド位置制御部を有することを特徴とする形状凍結性に優れた金属板のプレス成形装置。
  5. 前記パッドの駆動機構が電動サーボモータを備えていることを特徴とする請求項4に記載の形状凍結性に優れた金属板のプレス成形装置。
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