JP2009250150A - エンジンの始動方法および始動装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数台のエアーモーター2・3を用いてエンジン1を始動する方法において、始動の際、駆動するエアーモーター2・3の台数を、エンジン1が自力で回転数上昇し始めるまでに減らすことを特徴とする。つまり、始動時のエンジン1の回転数上昇の間に、駆動するエアーモーター2・3の台数を、たとえば2台から1台へ減らすのである。
【選択図】図1
Description
この方法によると、エアーモーターの駆動台数を減らした後、エンジンの回転数上昇に要する時間は長くなるものの、圧縮空気の消費量は大幅に低減することができる。その空気消費量の低減度合いは極めて大きく、エアーモーターの駆動台数の低減割合をはるかに超える(たとえばエアーモーターの駆動台数を半減させることにより、空気消費量を1/3以下にまで低減できた)。その理由については、エアーモーターの空気消費量は一般に回転数が高くなるほど増大するが、上記方法では、エンジンの回転数が上昇してエアーモーターの回転数も高めになった時点でエアーモーターの駆動台数を減らし、各回転数の上昇速度を下げるからであると説明できる。エンジンが燃料に着火し自力で回転数上昇できるようになって始動が完了するためには、エアーモーター等によって回転数が所定値以上にされるだけでなく、所定以上の時間だけ回転させられる必要がある。その所定以上の時間を、エアーモーターの駆動台数を多いままにして高回転数とするのではなく、駆動台数を減らして回転数を低めにするのであるから、圧縮空気の消費量はエアーモーターの駆動台数の低減割合よりも下がるわけである。
始動の際の駆動するエアーモーターの台数については、エンジンが自力で回転数上昇し始める前の、定められた回転数に達した時点で減らすのがよい。エンジンの回転数が低すぎる時点で当該台数を減らすと、エアーモーターによるトルクが不足してエンジンの始動に失敗する可能性があり、逆に、エンジンの回転数が高くなりすぎた後に当該台数を減らすと、空気消費量の低減効果があまり得られない。そのため、始動の際に駆動するエアーモーターの台数は、定められた適切なエンジン回転数に達した時点で減らすのが有利なのである。
エアーモーターの駆動台数を減らすと、エンジンを回転させるトルクも減少するので、エアーモーターに供給する圧縮空気の圧力が極端に低下している場合や、駆動台数を減らすタイミングが早すぎる(エンジンの回転数がほとんど上昇していない)場合には、エアーモーターによるトルクが不十分になってエンジンの始動に失敗することがある。エアーモーターの駆動台数を減らすことの決定と当該台数を減らすときのエンジンの回転数の決定とを上記のように行うなら、そのような失敗が効果的に回避される。
圧縮空気の圧力が低いと、駆動台数を減らしたエアーモーターによる出力トルクは小さい(当然ながら圧縮空気の消費にともなってさらに圧力が低下し、出力トルクも小さくなる)ため、始動に必要な程度にまでエンジンの回転数を上昇させ得ないことがある。そこで、圧縮空気の圧力が低い場合には、エンジンの回転数が十分に上昇してエンジンの自力回転状態に近くなった状態で初めて駆動台数を減らすのが好ましい。また、圧縮空気の圧力がとくに低くて一定値(臨界値)以下である場合には、エンジンの回転数が相当上昇した後であってもトルク不足となってエンジン回転数を保てないことがあるため、エアーモーターの台数を減らすべきでない。上記の方法はこうした事情に沿ったものであり、エンジンの始動に失敗する可能性を低くすることができる。
この始動装置によれば、上述したエンジンの始動方法を実施することが可能である。始動の際、上記制御手段が開閉弁のいずれかに閉鎖の指示を出すことにより、駆動するエアーモーターの台数を減らすことができるからである。
なお、上記制御手段は、始動の際エンジンが自力で回転数上昇し始める前の定められた回転数に達した時点で、上記開閉弁のいずれかに閉鎖の指示を出力するものであるのが好ましい。定められた適切なエンジン回転数になった時点でエアーモーターの駆動台数を減らすなら、エアーモーターによるトルクが不足したり、空気消費量の低減効果が薄れたりすることが避けられるからである。
この装置によれば、上述のように、エアーモーター駆動台数を減らすときのエンジンの回転数の決定を、検出する上記圧縮空気の圧力に応じて行うことが可能である。そしてそれにより、エアーモーターのトルク不足によるエンジンの始動の失敗が効果的に防止される。
そのような制御手段を有する始動装置なら、エンジンの回転数が相当上昇した後であってもエアーモーターの駆動台数を減らすとトルク不足となり得るような場合に、エンジンの始動に失敗する可能性を低くすることができる。
つまりそのような装置なら、エアーモーターの駆動台数を適宜に選択して減らし、または駆動するエアーモーターの出力を適宜に選択することができる。そうすると、検出する圧縮空気の圧力にきめ細やかに対応づけながら、圧縮空気の消費量の抑制とエンジンの始動の確実性とを高いレベルで実現することが可能になる。
ガスエンジンは一般に着火性が低く、始動の際、自己着火して自力で回転数上昇し始めるまでには、低めの回転数であってもよいからエアーモーター等にて比較的長時間(十秒前後)回転させてやる必要がある。したがって、発明の装置により駆動台数を減らして回転数を低めにすると、エアーモーターの駆動台数を多いままにして高回転数で回転させる場合に比べて、圧縮空気の消費量をとくに大幅に減少させ得ることになる。
エンジンの回転数とエアーモーターへの圧縮空気の圧力とを検出し、検出する圧縮空気の圧力に応じて適切なタイミングでエアーモーターの駆動台数を減らす(または全く減らさないようにする)なら、エンジンの始動に失敗する可能性を低くすることができる。
始動するエンジンがガスエンジンであると、圧縮空気の消費量を減少させる点でとくに効果が大きい。
なお、圧縮空気槽9の圧力が低い場合には、上記の設定回転数を制御装置11が自動的に変更することにより、エアースターター1台でも確実に着火回転数まで回転上昇できるようにする。またさらに圧力が低い場合には、いずれの開閉弁4・5をも「閉」にせず、エアースターター2・3の2台をそのまま駆動することで、確実に起動できるように制御する(図4を参照。後述)。
2・3 エアースターター(エアーモーター)
4・5 開閉弁
9 圧縮空気槽
10 回転検出器
11 制御装置(制御手段)
12 圧力検出器
Claims (10)
- 複数台のエアーモーターを用いてエンジンを始動する方法であって、
始動の際、駆動するエアーモーターの台数を、エンジンが自力で回転数上昇し始める前に減らすことを特徴とするエンジンの始動方法。 - 始動の際、駆動するエアーモーターの台数を、エンジンが自力で回転数上昇し始める前の、定められた回転数に達した時点で減らすことを特徴とする請求項1に記載したエンジンの始動方法。
- エンジンの回転数とエアーモーターに供給する圧縮空気の圧力とを検出し、
駆動するエアーモーターの台数を減らすことの決定と、当該台数を減らすときのエンジンの回転数の決定とを、検出する上記圧縮空気の圧力に応じて行うことを特徴とする請求項1または2に記載したエンジンの始動方法。 - 検出する圧縮空気の圧力が低いほど、駆動するエアーモーターの台数を減らすときのエンジンの回転数を高いものに決定し、
検出する圧縮空気の圧力が一定値以下であれば、エアーモーターの台数を減らさないよう決定することを特徴とする請求項3に記載したエンジンの始動方法。 - エンジンと、そのエンジンを始動する複数台のエアーモーターと、それらエアーモーターに圧縮空気を供給する空気槽とを有するエンジンの始動装置であって、
上記空気槽からの圧縮空気の供給経路にエアーモーターごとに対応づけて設けられた開閉弁と、始動の際エンジンが自力で回転数上昇し始める前に、圧縮空気を供給するエアーモーターの台数を減らすべく上記開閉弁のいずれかに閉鎖の指示を出力する制御手段とを有することを特徴とするエンジンの始動装置。 - 上記制御手段が、始動の際エンジンが自力で回転数上昇し始める前の定められた回転数に達した時点で、上記開閉弁のいずれかに閉鎖の指示を出力するものであることを特徴とする請求項5に記載したエンジンの始動装置。
- エンジン回転数の検出器と圧縮空気圧力の検出器とが付設されて上記制御手段に接続されているとともに、
当該制御手段が、開閉弁のいずれかに閉鎖の指示を出力するときのエンジン回転数を、上記検出器にて検出される空気圧力に応じて決定し、上記検出器にて検出されるエンジン回転数が当該決定された値になったとき上記開閉弁のいずれかに閉鎖の指示を出力するものであることを特徴とする請求項5または6に記載したエンジンの始動装置。 - 上記制御手段は、空気圧力の臨界値が設定されていて、上記検出器にて検出される空気圧力がその臨界値以下となるときには、エンジンの回転数によらず、いずれの開閉弁にも閉鎖の指示を出力しないものであることを特徴とする請求項7に記載したエンジンの始動装置。
- 上記複数台のエアーモーターが、同一出力のものを3台以上含み、または、出力の異なるものを含むことを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載したエンジンの始動装置。
- 上記エンジンがガスエンジンであることを特徴とする請求項5〜9のいずれかに記載したエンジンの始動装置。
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