JP2009246256A - 高強度高比抵抗低損失複合軟磁性材とその製造方法及び電磁気回路部品 - Google Patents
高強度高比抵抗低損失複合軟磁性材とその製造方法及び電磁気回路部品 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2009246256A JP2009246256A JP2008093406A JP2008093406A JP2009246256A JP 2009246256 A JP2009246256 A JP 2009246256A JP 2008093406 A JP2008093406 A JP 2008093406A JP 2008093406 A JP2008093406 A JP 2008093406A JP 2009246256 A JP2009246256 A JP 2009246256A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- soft magnetic
- grain boundary
- low
- powder
- strength
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Landscapes
- Soft Magnetic Materials (AREA)
Abstract
【解決手段】本発明は、Fe系の軟磁性金属粒子と該軟磁性金属粒子の表面に被覆されたMg含有酸化物皮膜を具備してなるMg含有酸化物被覆軟磁性粒子が、焼成処理により得られた複合化合物からなる絶縁性の粒界層を介し複数結合され、前記粒界層中に少なくともFeと2価金属とMgとOが拡散され、前記粒界層が前記Feと2価金属とMgの複合酸化物を主体としてなるとともに、前記Mg含有酸化物被覆軟磁性粒子間に位置する粒界層中に2価金属の高濃度領域と低濃度領域とが存在し、前記粒界層中にFeの高濃度領域と低濃度領域とが存在することを特徴とする。
【選択図】図1
Description
この種の軟磁性焼結材において、磁歪や実効透磁率を高め、渦電流損失を抑制するために、鉄を含む金属磁性粒子の表面を非鉄金属の下層被膜と無機化合物を含む絶縁膜とで覆った圧粉軟磁性材料などが提案されている(特許文献1参照)。
更に、金属磁性粒子とその周囲の絶縁性下地膜と、上昇被膜と下層被膜に設けられた金属酸化物の分散粒子を具備した圧粉磁心が開示されている。(特許文献3)
更に、Fe、Co、Niの1種以上で示される元素に添加金属元素として、Hf、Zr、W、Tiなどを添加してなる軟磁性合金粉末と合成樹脂とからなることを特徴とする高周波用複合材料が知られている。(特許文献4)
このような背景から本出願人は、鉄粉末の表面にMg−Fe−Oの三元系酸化物を含む堆積膜を形成した酸化膜被覆鉄粉末について研究開発を進めており、粉末圧密時においても亀裂が生じ難く、高比抵抗であり、耐熱性にも優れた軟磁性複合材料を提供しようとしている。
即ち、Fe系の軟磁性粉末を予め酸化雰囲気中で加熱することにより軟磁性粉末の表面に酸化鉄の膜を形成した酸化処理軟磁性粉末を作製し、この酸化処理軟磁性粉末にMg粉末を添加し、造粒転動攪拌混合装置で混合して得られた混合粉末を不活性ガス雰囲気または真空雰囲気中において加熱するなどしたのち、更に、必要に応じて酸化性雰囲気中で加熱する酸化処理を施す技術である。この技術によれば、一般に知られているMgO−FeO−Fe2O3系の中で代表される(Mg,Fe)O、(Mg,Fe)3O4などのMg−Fe−O三元系各種酸化物のうちで、少なくとも(Mg,Fe)Oを含むMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜が軟磁性粉末粒子の表面に形成されたものを得ることができる。
本発明者らの研究によりこの水分含有雰囲気において加熱処理を行うと、強度を向上できることは判明したが、この処理を行うと、鉄粉末中のFeとスチーム中のH2Oが反応してFe3O4が増加し、比抵抗が低下するおそれがあった。
本発明は、水分含有雰囲気における加熱処理により2価金属を拡散させた後において高抵抗化することができ、低損失かつ高強度と優れた軟磁気特性を確保できる高強度高比抵抗低損失複合軟磁性材の提供とその製造方法並びに磁気回路部品の提供を目的とする。
また、本発明は、Mg含有酸化物被覆軟磁性粒子を圧密し、焼成して得ることができる高強度高比抵抗低損失複合軟磁性材において、水分雰囲気における加熱処理時に、Fe濃度を下げてFeの2価サイトの置換を行うことができる技術の提供を目的とする。
即ち、Fe系の軟磁性粉末を予め酸化雰囲気中で加熱することにより軟磁性粉末の表面に酸化鉄の膜を形成した酸化処理軟磁性粉末を作製し、この酸化処理軟磁性粉末にMg粉末を添加し、造粒転動攪拌混合装置で混合して得られた混合粉末を不活性ガス雰囲気または真空雰囲気中において加熱するなどしたのち、更に、必要に応じて酸化性雰囲気中で加熱する酸化処理を施す技術により得られる軟磁性粉末である。この技術によれば、一般に知られているMgO−FeO−Fe2O3系の中で代表される(Mg,Fe)O、(Mg,Fe)3O4などのMg−Fe−O三元系各種酸化物のうちで、少なくとも(Mg,Fe)Oを含むMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜が軟磁性粉末粒子の表面に形成されたものを得ることができる。
本発明者らはこの技術に着目し、前述のMg含有酸化物被覆軟磁性粉末を圧密成形して得られる圧密材を研究したところ、本願発明に到達した。
前記Mg含有酸化物被覆軟磁性粒子間に位置する粒界層中に2価金属の高濃度領域と低濃度領域とが存在し、前記粒界層中にFeの高濃度領域と低濃度領域とが存在する表層部と、前記Mg含有酸化物被覆軟磁性粒子間に位置する粒界層中に2価金属を粒子状態で分散させたコア部とを具備してなる。
表層部において複数のMg含有酸化物被覆軟磁性粒子どうしが粒界層を介して結合され、粒界層に2価金属が拡散して高濃度領域と低濃度領域とが存在することにより、粒界層に存在するFeの一部を2価金属により置換した粒界層構造の表層部とすることができ、表層部における粒界層の比抵抗を向上できる。
(2)上記目的を達成するために本発明の高強度高比抵抗低損失複合軟磁性材は、前記表層部のMg含有酸化物被覆軟磁性粒子間に位置する粒界層中に2価金属が、前記粒界層の厚さ方向内部側で高濃度に前記粒界層の縁部側で低濃度となるように拡散された領域を少なくとも有していることを特徴とする。
(3)上記目的を達成するために本発明の高強度高比抵抗低損失複合軟磁性材は、前記表層部の粒界層が前記Feと2価金属とMgの複合酸化物中にSiが存在された構造とされてなることを特徴とする。
(5)上記目的を達成するために本発明の高強度高比抵抗低損失複合軟磁性材は、前記表層部の粒界層に、前記Mg含有酸化物皮膜のMgと前記Fe系の軟磁性金属粒子のFeが相互拡散されて前記粒界層に前記Mg含有酸化物被覆が複合一体化されてなることを特徴とする。
(6)上記目的を達成するために本発明の高強度高比抵抗低損失複合軟磁性材は、前記表層部においてMg含有酸化物被覆軟磁性粒子間に位置する粒界層中に2価金属が高濃度で存在する領域が生成され、その領域におけるFeの2価サイトが2価金属に置換されてFeの濃度が低下され、前記粒界層が高比抵抗化されてなることを特徴とする。
(7)上記目的を達成するために本発明の高強度高比抵抗低損失複合軟磁性材は、前記Mg含有酸化物皮膜が、(Mg、Fe)Oを主体として構成され、前記Siを含む化合物がSi−O−C化合物であることを特徴とする。
(9)上記目的を達成するために本発明の高強度高比抵抗低損失複合軟磁性材の製造方法は、前記酸化性雰囲気として400℃〜600℃のスチーム雰囲気または大気中とすることを特徴とする。
(10)上記目的を達成するために本発明の高強度高比抵抗低損失複合軟磁性材の製造方法は、Mg含有酸化物被覆軟磁性粒子と2価金属またはその酸化物を圧密する前に、バインダーを混合してから圧密することを特徴とする。
(12)上記目的を達成するために本発明の高強度高比抵抗低損失複合軟磁性材の製造方法は、前記2価金属をZnO、MgO、CoO、NiO、MnO、CuO、CaOのいずれか1種または2種の酸化物の状態で添加することを特徴とする。
(13)上記目的を達成するために本発明の高強度高比抵抗低損失複合軟磁性材の製造方法は、前記Mg含有酸化物皮膜として、(Mg、Fe)Oを主体としてなるMg含有酸化物皮膜を用い、前記シリコン化合物としてSi−O−C化合物を用いることを特徴とする。
(14)上記目的を達成するために本発明の高強度高比抵抗低損失複合軟磁性材の製造方法は、前記2価金属の酸化物として平均粒径10〜500nmの酸化物粉末を用いることを特徴とする。
(15)上記目的を達成するために本発明の電磁気回路部品は、先の(1)〜(7)のいずれかに記載の高強度高比抵抗低損失複合軟磁性材からなることを特徴とする。
2価金属として、Zn、Mg、Co、Ni、Mn、Cu、Caのいずれか1種または2種以上が粒界層中に拡散されているならば、Feの一部の2価のサイトを置換する形で粒界層中に存在するFeの量を削減できるので、焼成後の粒界層の低損失化を図ることができる。
また、2価金属とFeとMgとOの複合酸化物中にSiが存在された構造を有し、Mg含有酸化物被覆軟磁性粒子同士の結合力も高く、高強度な表層部を複合軟磁性材の表面側に設けることで複合軟磁性材の全体としての強度を向上させることができる。
特に、酸化性雰囲気として、水分を含む雰囲気中において熱処理することにより、2価金属とFeとMgとOとバインダー成分を含む複合酸化物を表層部に生成させた構造を有し、Mg含有酸化物被覆軟磁性粒子同士の結合力が高く、高強度な表層部を生成できるので、高強度と高磁束密度、かつ、高周波低鉄損の特徴を兼ね備えた優れた高強度高比抵抗低損失複合軟磁性材を確実に製造することができる。
そして、これら電磁気回路部品を組み込んだ電気機器には、電動機、発電機、ソレノイド、インジェクタ、電磁駆動弁、インバータ、コンバータ、変圧器、継電器、磁気センサシステム等があり、これら電気機器の高効率高性能化や小型軽量化に寄与するという効果がある。
本発明ではまず、(Mg,Fe)Oを含むMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜が軟磁性金属粒子の表面に被覆形成されたMg含有酸化物被覆軟磁性粒子(粉末)を作製する。
この被覆軟磁性金属粒子を得るためには、以下のいずれかの原料粉末を用い、後述する(A)〜(D)に記載の方法のいずれかを選択して実施すれば良い。
この発明のMg含有酸化物被覆軟磁性金属粒子の製造方法において使用する原料粉末としてのFe系軟磁性金属粒子は、従来から一般に知られている鉄粉末、絶縁処理鉄粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Co系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末またはFe−P系鉄基軟磁性合金粉末であることが好ましい。
更に具体的には、鉄粉末は純鉄粉末であり、絶縁処理鉄粉末は、リン酸塩被覆鉄粉末、またはシリカのゾルゲル溶液(シリケート)もしくはアルミナのゾルゲル溶液などの湿式溶液を添加し混合して鉄粉末表面に被覆したのち乾燥して焼成した酸化ケイ素もしくは酸化アルミニウム被覆鉄粉末であり、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末はA1:0.1〜20質量%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Al系鉄基軟磁性合金粉末(例えば、Fe−15質量%Alからなる組成を有するアルパーム粉末)であることが好ましい。
また、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末は、Si:0.1〜10質量%、Al:0.1〜20質量%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末であり、Fe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末は、Co:0.1〜52質量%、V:0.1〜3質量%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Co−V系鉄基軟磁性合金粉末であり、Fe−Co系鉄基軟磁性合金粉末は、Co:0.1〜52質量%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Co系鉄基軟磁性合金粉末であり、Fe−P系鉄基軟磁性合金粉末は、P:0.5〜1質量%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−P系鉄基軟磁性合金粉末であることが好ましい。
このMg含有酸化物被覆軟磁性粒子は、従来のMgフェライト膜を形成したMg含有酸化物被覆軟磁性粒子に比べて密着性が格段に優れたものとなり、このMg含有酸化物被覆軟磁性粒子をプレス成形して圧粉体を作製しても絶縁被膜が破壊し剥離することが少なく、また、このMg含有酸化物被覆軟磁性粒子の圧粉体を温度:400〜1300℃で焼成して得られた軟磁性複合圧密焼成材は粒界にMg含有酸化膜が均一に分散し、粒界三重点にMg含有酸化膜が集中していない組織が得られる。
(D)前記軟磁性金属粒子を酸化雰囲気中で室温〜500℃に保持することにより軟磁性金属粒子の表面に鉄の酸化膜を形成した酸化物被覆軟磁性粉末にMg粉末を添加し混合した後または混合しながら真空雰囲気中、温度:400〜800℃保持の条件で加熱すると軟磁性粉末の表面にMg含有酸化膜が形成されたMg含有酸化物被覆軟磁性粉末が得られる。
このMg含有酸化物被覆軟磁性粉末にさらに一酸化ケイ素粉末を添加し混合した後または混合しながら真空雰囲気中、温度:600〜1200℃保持の条件で加熱すると、軟磁性粉末の表面にMg−Si含有酸化物膜が形成されたMg−Si含有酸化物被覆軟磁性粉末が得られ、この方法で作製したMg−Si含有酸化物被覆軟磁性粉末を用いて作製した複合軟磁性焼結材であれば、従来のSiO2を生成する化合物とMgCO3またはMgOの粉末からなる混合物を圧縮成形し焼結して得られた複合軟磁性焼結材よりも密度、抗折強度、比抵抗および磁束密度を優れさせることができる。
前記一酸化ケイ素粉末の添加量は0.01〜1質量%の範囲内にあることが好ましく、前記Mg粉末の添加量は0.05〜1質量%の範囲内にあることが好ましい。
前記真空雰囲気は、圧力:1×10−12〜1×10−1MPaの真空雰囲気であることが好ましい。
軟磁性金属粒子の酸化処理は、Mgの被覆性を向上させる効果があり、酸化雰囲気中、温度150〜500℃または蒸留水または純水中、温度:50〜100℃に保持することにより行う。この場合、いずれも50℃未満では効率的でなく、一方、酸化雰囲気中で500℃を越えて保持すると焼結が起るために好ましくないからである。酸化雰囲気は乾燥した酸化雰囲気であることが一層好ましい。
以上説明した方法により前述の如く作製したMg含有酸化物被覆軟磁性粒子を使用して高強度高比抵抗低損失複合軟磁性材を製造するには、まず、前述の方法で作製したMg含有酸化物被覆軟磁性粒子に対し、バインダー材としてのシリコーンレジンなどのSiを含むバインダー材と、2価金属粉末(粒子)を混合してから通常の方法で圧粉成形し、この成形体をアルゴン雰囲気中、窒素雰囲気中、水素雰囲気中などの非酸化性雰囲気において500〜1000℃で焼成して高強度高比抵抗低損失複合軟磁性材の前駆体を形成する。
そして、この焼成後、先の前駆体を後述する如く、スチーム雰囲気、大気などの酸化性雰囲気中において400〜600℃の範囲内の温度で熱処理することにより、本発明で目的とする軟磁性複合圧密焼成材を得ることができる。
以上説明した工程S1〜S12において選択するべき各種の条件は前述した条件、あるいは後述する条件が好ましい。
2価金属粉末として、Zn、Mg、Co、Ni、Mn、Cu、Caのいずれか1種の単体金属粉末、2種以上の混合粉末、合金粉末、あるいは、これらの2価金属の酸化物粉末などの化合物粉末であっても差し支えない。酸化物粉末として添加する場合、ZnO粉末、MgO粉末、CoO粉末、NiO粉末、MnO粉末、CuO粉末、CaO粉末のいずれか1種以上を用いることができる。
これらの粉末を微細な粉末として均一に添加することが好ましい。前述の方法により作製されたMg含有酸化物被覆軟磁性粒子は、その表面にMg含有酸化膜が形成され、その膜厚は5nm〜500nmの範囲内にあるのが好ましいので、この膜厚より大きな2価金属粉末を添加すると、圧密成形時にMg含有酸化膜が損傷するおそれがあるので、Mg含有酸化膜の膜厚よりも粒径の小さな2価金属粉末を用いることが好ましい。
2価金属の添加量は0.1〜0.5質量%の範囲が好ましく、0.1〜0.15質量%の範囲がより好ましい。2価金属の好ましい添加量、粉末の好ましい粒径等については後に詳述する。
前記低融点ガラスを用いる場合は、Bi2O3−B2O3、SnO−P2O5、SiO2−B2O3−ZnO、SiO2−B2O3−R2O(Rはアルカリ土類金属)、Li2O−ZnOのいずれかを用いることができる。これらの添加量は、0.2〜1.5質量%の範囲内とすることができる。
あるいは、前記Mg含有酸化物被覆軟磁性粒子に、酸化アルミニウム、酸化ホウ素、酸化バナジウム、酸化ビスマス、酸化アンチモンおよび酸化モリブデンの内の1種または2種以上の金属酸化物をB2O3、V2O5、Bi2O3、Sb2O3、MoO3換算で0.05〜1質量%の範囲内で配合し、混合した後に圧粉、成形し、得られた圧粉体を温度500〜1000℃で真空中、アルゴン雰囲気、窒素雰囲気、水素雰囲気、大気中のいずれかにおいて焼成することにより高強度高比抵抗低損失複合軟磁性材を作製することができる。前記焼成雰囲気は、望ましくは窒素雰囲気、水素雰囲気が良く、中でも水素雰囲気が好ましい。
前記バインダーとして混合する低融点ガラス、金属酸化物は、粉末状態でも良く、ゾルゲル溶液あるいは金属有機物などの前駆体溶液なども用いることができる。
ここでの酸化性雰囲気における熱処理により、前駆体における(Mg,Fe)Oを含むMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜を軟磁性金属粒子の表面に被覆形成した被覆軟磁性金属粒子(粉末)と、それらの界面に存在する(Mg,Fe)Oを含むMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜と、この堆積膜の周囲に形成されたバインダー層が存在し、添加した2価金属粉末からなる2価金属が前記Mg−Fe−O三元系酸化物堆積膜に拡散し、更に軟磁性金属粒子からFeがこれらの各層に拡散する結果、軟磁性金属粒子と該軟磁性金属粒子の表面に被覆されたMg含有酸化物とを具備してなるMg含有酸化物被覆軟磁性粒子が、酸化鉄を含むシリコン酸化物(例えば、Fe2O4あるいはFeOを主体とする酸化鉄と2価金属「M(II)」を含むシリコーンレジンなどのシリコン酸化物を主体とする(MgM(II)Fe)Oなる組成あるいは(MgM(II)Fe)Fe2O4なる組成の複合酸化物を主体としてなる粒界層を介し複数結合されてなる構造となり、最終的に目的とする高強度高比抵抗低損失複合軟磁性材を得ることができる。
前述のスチーム雰囲気における加熱処理条件として、400℃未満の温度とすると、(MgM(II)Fe)Oなる組成あるいは(MgM(II)Fe)Fe2O4なる組成の複合酸化物の形成が促進されず、強度が発現しない問題があり、逆に600℃を越える加熱条件とすると、FeOの形成と分解により望ましい強度が発現しないおそれがある。また、スチーム雰囲気中での加熱処理条件として、前記FeOをできるだけ生成しないためには、400℃〜560℃の範囲がより好ましい。
(Mg,Fe)Oを含む酸化物堆積膜を軟磁性金属粒子の表面に被覆形成したMg含有酸化物被覆軟磁性粉末(粒子)については、(Mg,Fe)Oを含む酸化物堆積膜はウスタイト相を主とした堆積膜であるが、焼成時にバインダー層中に拡散し、Mg、Fe、バインダー成分、Oからなるウスタイト相を主とした粒界層を形成する。例えば、バインダーがシリコーンレジンの場合に粒界層は、Mg、2価金属、Si、O、Fe、Cからなる粒界化合物を形成し、比抵抗の増大を図ることができる。なお、この組成の粒界化合物に対して本実施形態では、2価金属を含有させているので、加熱後の熱拡散により、Mg、Si、O、Fe、Cからなるウスタイト相を主体とした粒界化合物中に2価金属が拡散された構造となる。粒界層として例えば、[MgM(II)Fe]Oなる組成か、あるいは、[MgM(II)Fe]Fe2O4なる組成式で示される複合酸化物にSiが拡散されている粒界層が得られると考えられる。
この例の軟磁性複合圧密焼成材7は例えば平板状とされ、その上下左右の表層側に2〜4mmの厚さの表層部7aが形成され(密度7.5g/cm3の場合)、それよりも内部側にコア部7bが形成された2層構造とされてなる。なお、表層部7aの厚さは、製品としての軟磁性複合圧密焼成材の密度に影響を受ける。前述の如く密度7.5g/cm3の場合にその厚さは2〜4mmとなるが、密度7.0g/cm3の場合に最大15mm程度まで増大し、密度が向上するか、熱処理条件によっては0.3mm程度の厚さとなる。これは後述する熱処理時に生じる各元素の拡散反応がスチーム雰囲気などの酸化性雰囲気の影響を受ける結果として、酸化性雰囲気が熱処理に及ぼす際の深さ方向への影響が、製品としての軟磁性複合圧密焼成材の密度に影響を受けることに起因する。
図2に示す如く軟磁性金属粒子1の周囲に前述の(Mg,Fe)Oを含む酸化物堆積膜2が形成され、対向する軟磁性粒子1の酸化物堆積膜2どうしの間にバインダー層3が形成され、これらの間に2価金属粒子4が分散された状態が示されている。
図2の状態から前述の如く窒素雰囲気中などの非酸化性雰囲気において500〜1000℃で焼成することにより、Mg含有酸化物被覆軟磁性粒子中のFeが拡散して酸化物堆積膜2とバインダー層3側に拡散した結果の焼成体としてのシリコン酸化物3’が図3に示すように形成され、更にスチーム雰囲気中において加熱することで、図4に示す如く2価金属粒子の成分が拡散されて酸化鉄を含むシリコン酸化物(例えば、Fe2O4あるいはFeOを主体とする酸化鉄と2価金属「M(II)」を含むシリコーンレジンなどのシリコン酸化物3’とを主体とする(MgM(II)Fe)Oなる組成あるいは(MgM(II)Fe)Fe2O4なる組成の複合酸化物を主体としてなる粒界層5を介し複数結合されてなる構造となり、最終的に目的とする図1(B)に示す断面構造の高強度高比抵抗低損失複合軟磁性材7を得ることができる。
図5(A)に示す如く、Feを主体とする軟磁性金属粒子10、10の周囲に(Mg,Fe)Oを含むMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜11を備えたMg含有酸化物被覆軟磁性粒子どうしの間の粒界層12として、圧密成形した後の工程S11において、粒界層12にはシリコーンレジンの内部に2価金属粉末粒子としてのZnO粉末粒子が分散された状態となっている。この状態から前述の如く窒素雰囲気などの非酸化性雰囲気中において焼成すると、図5(B)に示す如く粒界層13は多孔質のSiO2とZnOの混合された状態になると推定できる。
この状態から更に水分を含有する雰囲気中における処理、スチーム処理を施すと、外部から水分が粒界に拡散侵入するので、[MgZnFe]Fe2O4+SiO2 の状態となり、Fe2+とZn2+が一部置換し、比抵抗が向上して目的とする粒界層14が生成するものと推定できる。
この粒界層14が生成している部分が高強度高比抵抗低損失複合軟磁性材7の表層部7aとなるが、焼成雰囲気中の水分が侵入できる深さはそれほど深くないので、粒界層が前述した図5(C)の構造となるのは高強度高比抵抗低損失複合軟磁性材7の表面から所定深さの部分であり、それよりも深いコア部7bにおいて粒界層は図5(B)に示す構造を維持する。
また、以上の製造方法により得られた高強度高比抵抗低損失複合軟磁性材7にあっては、(Mg,Fe)Oを含むMg−Fe−O三元系酸化物堆積膜と、その界面に存在するSiを含むバインダー成分と2価金属を熱拡散させた、粒界層を表層部7aを備えているので、特にMg含有酸化物被覆軟磁性粒子同士の接合が良好になされていて、強度が高く、2価金属の拡散により比抵抗の高い、渦電流損失の少ない、低鉄損失の軟磁気特性に優れた高強度高比抵抗低損失複合軟磁性材を得ることができる。
なお、前記の如くMg含有酸化物被覆軟磁性粒子が粒界層を介し複数結合されてなる構造となるのは、高強度高比抵抗低損失複合軟磁性材7の全体厚ではなく、前述した通常の熱処理条件では密度7.5g/cm3の場合に前駆体の最表面から2mm〜4mm程度の厚みの部分となる。
これはスチーム雰囲気などの酸化性雰囲気が粒界層の生成に影響を与えるのが前駆体の厚さ方向全体ではなく、その最表面からある程度の厚みの領域に限られるためである。即ち、粒界に酸化物が生成されることで酸化性雰囲気の通り道が塞がれるため、内部側まで水分を含む酸化性雰囲気が供給されず、酸化物の形成が表面から限られた領域となる。
このため、その中心部にはスチーム雰囲気などの酸化性雰囲気による影響を受けないか、影響の少ない状態で熱処理された結果生じる内部側粒界層によりFe系のMg被覆軟磁性合金粉末が結合されたコア部7bが生成する。
なお、高強度高比抵抗低損失複合軟磁性材7において、表層部7aの厚みの最小値は製品の大きさや密度により影響されるので一概には規定できないが、肉厚5mm程度の試料に限る場合、0.3mm以上が望ましい。また、製品としての密度が7.5g/cm3の場合、酸化性雰囲気における熱処理時の温度、時間等のパラメータを制御しても表層部7aの厚みは4mm程度が最大となる。
また、比較例試料として、2価金属を添加していない試料も製造した。得られた各試料のZn換算質量%(全体に対するZnの純量換算)、密度(g/cm3)、比抵抗(μΩ・m)、飽和磁束密度B2kA/m、飽和磁束密度B10kA/m、保磁力(Hc)、最大透磁率(μmax)、コアロス(Pcm)、ヒステリシス損(Phm)、渦電流損(Pem)、圧環強度(MPa)、スチーム雰囲気により生成された表面層の厚さ(mm)の値を測定した結果を表1に示す。
また、Zn添加量について0.5質量%の試料9においても良好な軟磁気特性と高い比抵抗を発揮したが、試料6〜8との軟磁気特性の対比(特に、最大透磁率と飽和磁束密度)などから、軟磁気特性の面から見て特性が低下する傾向となるので、0.5質量%以下が好ましく、0.3質量%以下がより好ましいと考えられる。
次に、表1に示すスチーム処理前の圧環強度の測定結果とスチーム処理後の圧環強度の測定結果から、スチーム処理を施すことで著しく強度が(最大4倍程度)向上していることが明らかである。
図7、図8は粒界の厚さ方向に沿って、粒界に接する一方のMg含有酸化物被覆軟磁性粒子から他方のMg含有酸化物被覆軟磁性粒子までをライン分析した結果を示す。図7は分析値のまま、図8はバインダーとして添加したシリコーンレジンの焼成物であるSiを除いた他の元素の割合を示す。
図7、図8に示す分析値から明らかなように、粒界の厚さ方向についてZn、Mg、Fe共に拡散が進行しており、Zn濃度の勾配、Fe濃度の勾配、Mg濃度の勾配を有している。
図10、図11はMg含有酸化物被覆軟磁性粒子の粒界の長さ方向に沿ってライン分析した結果を示すものである。
また、図6に示す如く粒界の厚さ方向にライン分析した結果を示す表2、表3、並びに、その関係をグラフ化した図7、図8から、粒界の厚さ方向にZnの濃度勾配、Mgの濃度勾配、Feの濃度勾配を有していることが明らかである。また、粒界の長さ方向にライン分析した結果を示す図10、図11から、粒界の長さ方向においてはO、Fe、Mg、Znがほぼ同程度の濃度で存在することがわかる。
以上のことから、窒素雰囲気における焼成処理とスチーム処理とによって、ZnとMgとFeが拡散したことを示し、粒界においてこれら元素の拡散により、本発明の目的とする2価金属を添加した粒界層を備えた高強度高比抵抗低損失複合軟磁性材が得られていることが判る。
これらの結果を総合し、2価金属としてのZn添加量は、0.03〜0.5質量%の範囲が好ましく、0.06〜0.30質量%の範囲がより好ましい範囲と思われる。
先の実施例で使用したMg含有酸化物皮膜を形成した軟磁性粒子を用い、バインダーとして0.05%KBP−90(信越化学工業社製シランカップリング剤溶液)と、0.3%KR−311溶液(信越化学工業社製KR−311、0.3%溶液)を混合したものを用い、バインダー添加時に溶液中に分散させる方法によりZn粉末を用いて試料を作成した。添加量は原子として0.10質量%とし、成形条件、焼成条件、スチーム処理条件は先の試験例と同等の条件とした。
得られた試料の試験結果を以下に示す。
先の最初の実施例を実施する際、ZnO粉末として平均粒径10nmの粉末、平均粒径30nmの粉末、平均粒径500nmの粉末、平均粒径1μmの粉末を別々に用意し、バインダーとして0.05%KBP−90(信越化学工業社製商品名:シランカップリング剤)溶液と、0.3%KR−311溶液(信越化学工業社製KR−311、0.3%溶液)を混合したものを用い、これらを使い分け、Zn原子としての添加量を0.10質量%に規定し、各試料を作成した。
成形条件は、8ton/cm2の圧力、温度150℃で圧密後、窒素雰囲気中、650℃にて0.5時間焼成し、その後、560℃のスチーム雰囲気中において6時間加熱するスチーム処理を施して高強度高比抵抗低損失複合軟磁性材を得た。
得られた各試料のスチーム処理前の特性評価とスチーム処理後の特性評価を行った結果を表7、表8に示すとともに、図16〜図21に示す。
これらのことから、低保磁力、低ヒステリシス損、低渦電流損を示し、高い最大透磁率と高い飽和磁束密度を示す優れた軟磁気特性を満たしながら、比抵抗を高めるためには、ZnO粉末として、10〜500nm程度の微細な粉末状態としてMg含有酸化物被覆軟磁性粒子の周囲に供給することが望ましいことが明らかになった。
これは、添加するZnOの粉末の粒径が大きすぎると圧密成形時にMgOの皮膜が破れ易くなるためではないかと推定できる。
先の実施例で使用したMg含有酸化物皮膜を形成した軟磁性粒子を用い、バインダーとして0.05%KBP−90(信越シリコン社製商品名:シランカップリング剤)溶液と、0.3%KR−311溶液(信越化学工業社製KR−311、0.3%溶液)を混合したものを用い、バインダー添加時に溶液中に分散させる方法によりCuO粉末を用いて試料を作成した。添加量は原子として0.10質量%とし、成形条件、焼成条件、スチーム処理条件は先の試験例と同等の条件とした。また、同じ条件において2価金属の添加を行っていない試料と、ZnO粉末を用いて製造した試料も製造し、それらの特性も比較のために測定した。
得られた各試料の試験結果を以下の表9、表10と図22〜図27に示す。
即ち、2価金属無添加の試料と比較し、同等の保磁力、同等のヒステリシス損、同等の最大透磁率、飽和磁束密度を有した上に、高い比抵抗、低い渦電流損失の高強度高比抵抗低損失複合軟磁性材を得られることが判明した。
そして、これら電磁気回路部品を組み込んだ電気機器には、電動機、発電機、ソレノイド、インジェクタ、電磁駆動弁、インバータ、コンバータ、変圧器、継電器、磁気センサシステム等があり、これら電気機器の高効率高性能化や小型軽量化を推進できる。
5…粒界層、7…高強度高比抵抗低損失複合軟磁性材、7a…表層部、7b…コア部、
10…軟磁性金属粒子、11…Mg−Fe−O三元系酸化物堆積膜、12、13、14…粒界層、
Claims (15)
- Fe系の軟磁性金属粒子と該軟磁性金属粒子の表面に被覆されたMg含有酸化物皮膜を具備してなるMg含有酸化物被覆軟磁性粒子が、焼成処理により得られた複合化合物からなる絶縁性の粒界層を介し複数結合され、前記粒界層中に少なくともFeと2価金属とMgとOが拡散され、前記粒界層が前記Feと2価金属とMgの複合酸化物を主体としてなる高強度高比抵抗低損失複合軟磁性材であって、
前記Mg含有酸化物被覆軟磁性粒子間に位置する粒界層中に2価金属の高濃度領域と低濃度領域とが存在し、前記粒界層中にFeの高濃度領域と低濃度領域とが存在する表層部と、
前記Mg含有酸化物被覆軟磁性粒子間に位置する粒界層中に2価金属を粒子状態で分散させたコア部とを具備してなることを特徴とする高強度高比抵抗低損失複合軟磁性材。 - 前記表層部のMg含有酸化物被覆軟磁性粒子間に位置する粒界層中に2価金属が、前記粒界層の厚さ方向内部側で高濃度に前記粒界層の縁部側で低濃度となるように拡散された領域を少なくとも有していることを特徴とする請求項1に記載の高強度高比抵抗低損失複合軟磁性材。
- 前記表層部の粒界層が、前記Feと2価金属とMgの複合酸化物中にSiを存在させた構造とされてなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の高強度高比抵抗低損失複合軟磁性材。
- 前記2価金属が、Zn、Co、Ni、Mn、Cu、Caのいずれか1種または2種以上であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の高強度高比抵抗低損失複合軟磁性材。
- 前記表層部の粒界層に、前記Mg含有酸化物皮膜のMgと前記Fe系の軟磁性金属粒子のFeが相互拡散されて前記粒界層に前記Mg含有酸化物被覆が複合一体化されてなることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の高強度高比抵抗低損失複合軟磁性材。
- 前記表層部のMg含有酸化物被覆軟磁性粒子間に位置する粒界層中に2価金属が高濃度で存在する領域が生成され、その領域におけるFeの2価サイトが2価金属に置換されてFeの濃度が低下され、前記粒界層が高比抵抗化されてなることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の高強度高比抵抗低損失複合軟磁性材。
- 前記Mg含有酸化物皮膜が、(Mg、Fe)Oを主体として構成され、前記Siを含む化合物がSi−O−C化合物であることを特徴とする請求項3〜請求項6のいずれかに記載の高強度高比抵抗低損失複合軟磁性材。
- Fe系の軟磁性金属粒子と該軟磁性金属粒子の表面に被覆されたMg含有酸化物皮膜を具備してなるMg含有酸化物被覆軟磁性粒子を2価金属の酸化物と混合して圧密し、非酸化性雰囲気において焼成処理して軟磁性金属圧密焼成材の前駆体とした後、酸化性雰囲気において熱処理することにより、
前記Mg含有酸化物被覆軟磁性粒子を、少なくともFeと2価金属とMgとOが拡散された複合化合物からなる絶縁性の粒界層を介し複数結合し、該粒界層中に2価金属の高濃度領域と低濃度領域とを存在させ、前記粒界層中にFeの高濃度領域と低濃度領域とを存在させた表層部と、前記Mg含有酸化物被覆軟磁性粒子間に位置する粒界層中に2価金属を粒子状態で分散させたコア部とを形成することを特徴とする高強度高比抵抗低損失複合軟磁性材の製造方法。 - 前記酸化性雰囲気として400℃〜600℃のスチーム雰囲気または大気中とすることを特徴とする請求項8に記載の高強度高比抵抗低損失複合軟磁性材の製造方法。
- 前記Mg含有酸化物被覆軟磁性粒子と2価金属またはその酸化物を圧密するに際し、バインダーを混合してから圧密することを特徴とする請求項8または請求項9高強度高比抵抗低損失複合軟磁性材の製造方法。
- 前記2価金属として、Zn、Mg、Co、Ni、Mn、Cu、Caのいずれか1種または2種以上を選択することを特徴とする請求項8〜請求項10のいずれかに記載の高強度高比抵抗低損失複合軟磁性材の製造方法。
- 前記2価金属をZnO、MgO、CoO、NiO、MnO、CuO、CaOのいずれか1種または2種の酸化物の状態で添加することを特徴とする請求項8〜請求項11のいずれかに記載の高強度高比抵抗低損失複合軟磁性材の製造方法。
- 前記Mg含有酸化物皮膜として、(Mg、Fe)Oを主体としてなるMg含有酸化物皮膜を用い、前記シリコン化合物としてSi−O−C化合物を用いることを特徴とする請求項8〜請求項12のいずれかに記載の高強度高比抵抗低損失複合軟磁性材の製造方法。
- 前記2価金属の酸化物として平均粒径10〜500nmの酸化物粉末を用いることを特徴とする請求項8〜13のいずれかに記載の高強度高比抵抗低損失複合軟磁性材の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の高強度高比抵抗低損失複合軟磁性材からなることを特徴とする電磁気回路部品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008093406A JP5049845B2 (ja) | 2008-03-31 | 2008-03-31 | 高強度高比抵抗低損失複合軟磁性材とその製造方法及び電磁気回路部品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008093406A JP5049845B2 (ja) | 2008-03-31 | 2008-03-31 | 高強度高比抵抗低損失複合軟磁性材とその製造方法及び電磁気回路部品 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009246256A true JP2009246256A (ja) | 2009-10-22 |
JP5049845B2 JP5049845B2 (ja) | 2012-10-17 |
Family
ID=41307805
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008093406A Expired - Fee Related JP5049845B2 (ja) | 2008-03-31 | 2008-03-31 | 高強度高比抵抗低損失複合軟磁性材とその製造方法及び電磁気回路部品 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5049845B2 (ja) |
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009259939A (ja) * | 2008-04-15 | 2009-11-05 | Toyota Central R&D Labs Inc | 圧粉磁心並びにそれらの製造方法 |
EP2466597A1 (en) * | 2010-12-20 | 2012-06-20 | Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho (Kobe Steel, Ltd.) | Production process of dust core and dust core obtained thereby |
JP2014060183A (ja) * | 2012-09-14 | 2014-04-03 | Aisin Seiki Co Ltd | 軟磁性体及びその製造方法 |
JP2014203847A (ja) * | 2013-04-01 | 2014-10-27 | 株式会社ダイヤメット | 高い表面抵抗を有する圧粉磁心 |
JP2015079931A (ja) * | 2013-10-14 | 2015-04-23 | サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. | 積層型電子部品 |
CN108565109A (zh) * | 2018-06-11 | 2018-09-21 | 彭晓领 | 一种软磁复合材料的制备方法 |
DE112018004572T5 (de) | 2017-10-17 | 2020-06-04 | Denso Corporation | Komprimierter pulver-magnetkern, pulver für magnetischen kern, und deren herstellungsverfahren |
CN113241246A (zh) * | 2021-04-26 | 2021-08-10 | 武汉科技大学 | 一种高电阻率低涡流铁损的软磁合金粉末材料及其制备方法 |
Citations (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0888115A (ja) * | 1994-09-19 | 1996-04-02 | Mitsubishi Materials Corp | ヨーク |
JPH0974011A (ja) * | 1995-09-07 | 1997-03-18 | Tdk Corp | 圧粉コアおよびその製造方法 |
JP2003245183A (ja) * | 2002-02-27 | 2003-09-02 | Kaoru Kashishita | 飲物類の保冷スタンド |
JP2005243794A (ja) * | 2004-02-25 | 2005-09-08 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 複合焼結磁性材料の製造方法 |
JP2006241504A (ja) * | 2005-03-02 | 2006-09-14 | Mitsubishi Materials Pmg Corp | 積層酸化膜被覆鉄粉末 |
JP2006332525A (ja) * | 2005-05-30 | 2006-12-07 | Mitsubishi Materials Pmg Corp | 高強度、高磁束密度および高抵抗を有する鉄損の少ない高強度複合軟磁性材およびその製造方法 |
JP2006332524A (ja) * | 2005-05-30 | 2006-12-07 | Mitsubishi Materials Pmg Corp | 高強度、高磁束密度および高抵抗を有する鉄損の少ない高強度複合軟磁性材およびその製造方法 |
JP2007070719A (ja) * | 2005-05-31 | 2007-03-22 | Mitsubishi Materials Pmg Corp | 堆積酸化膜被覆Fe−Si系鉄基軟磁性粉末およびその製造方法 |
-
2008
- 2008-03-31 JP JP2008093406A patent/JP5049845B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0888115A (ja) * | 1994-09-19 | 1996-04-02 | Mitsubishi Materials Corp | ヨーク |
JPH0974011A (ja) * | 1995-09-07 | 1997-03-18 | Tdk Corp | 圧粉コアおよびその製造方法 |
JP2003245183A (ja) * | 2002-02-27 | 2003-09-02 | Kaoru Kashishita | 飲物類の保冷スタンド |
JP2005243794A (ja) * | 2004-02-25 | 2005-09-08 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 複合焼結磁性材料の製造方法 |
JP2006241504A (ja) * | 2005-03-02 | 2006-09-14 | Mitsubishi Materials Pmg Corp | 積層酸化膜被覆鉄粉末 |
JP2006332525A (ja) * | 2005-05-30 | 2006-12-07 | Mitsubishi Materials Pmg Corp | 高強度、高磁束密度および高抵抗を有する鉄損の少ない高強度複合軟磁性材およびその製造方法 |
JP2006332524A (ja) * | 2005-05-30 | 2006-12-07 | Mitsubishi Materials Pmg Corp | 高強度、高磁束密度および高抵抗を有する鉄損の少ない高強度複合軟磁性材およびその製造方法 |
JP2007070719A (ja) * | 2005-05-31 | 2007-03-22 | Mitsubishi Materials Pmg Corp | 堆積酸化膜被覆Fe−Si系鉄基軟磁性粉末およびその製造方法 |
Cited By (13)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009259939A (ja) * | 2008-04-15 | 2009-11-05 | Toyota Central R&D Labs Inc | 圧粉磁心並びにそれらの製造方法 |
EP2466597A1 (en) * | 2010-12-20 | 2012-06-20 | Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho (Kobe Steel, Ltd.) | Production process of dust core and dust core obtained thereby |
CN102543350A (zh) * | 2010-12-20 | 2012-07-04 | 株式会社神户制钢所 | 压粉磁心的制造方法及由该制造方法得到的压粉磁心 |
US8323422B2 (en) | 2010-12-20 | 2012-12-04 | Kobe Steel, Ltd. | Production process of dust core and dust core obtained thereby |
JP2014060183A (ja) * | 2012-09-14 | 2014-04-03 | Aisin Seiki Co Ltd | 軟磁性体及びその製造方法 |
JP2014203847A (ja) * | 2013-04-01 | 2014-10-27 | 株式会社ダイヤメット | 高い表面抵抗を有する圧粉磁心 |
JP2015079931A (ja) * | 2013-10-14 | 2015-04-23 | サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. | 積層型電子部品 |
CN104575942A (zh) * | 2013-10-14 | 2015-04-29 | 三星电机株式会社 | 多层电子元件 |
US9767950B2 (en) | 2013-10-14 | 2017-09-19 | Samsung Electro-Mechanics Co., Ltd. | Multilayer electronic component |
DE112018004572T5 (de) | 2017-10-17 | 2020-06-04 | Denso Corporation | Komprimierter pulver-magnetkern, pulver für magnetischen kern, und deren herstellungsverfahren |
US11679437B2 (en) | 2017-10-17 | 2023-06-20 | Denso Corporation | Compressed powder magnetic core, powder for magnetic core, and production methods therefor |
CN108565109A (zh) * | 2018-06-11 | 2018-09-21 | 彭晓领 | 一种软磁复合材料的制备方法 |
CN113241246A (zh) * | 2021-04-26 | 2021-08-10 | 武汉科技大学 | 一种高电阻率低涡流铁损的软磁合金粉末材料及其制备方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP5049845B2 (ja) | 2012-10-17 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4782058B2 (ja) | 高強度軟磁性複合圧密焼成材の製造方法および高強度軟磁性複合圧密焼成材 | |
JP2009117651A (ja) | 高強度軟磁性複合圧密焼成材およびその製造方法 | |
JP5049845B2 (ja) | 高強度高比抵抗低損失複合軟磁性材とその製造方法及び電磁気回路部品 | |
JP6071211B2 (ja) | 低磁歪高磁束密度複合軟磁性材とその製造方法 | |
US8409371B2 (en) | Method for producing soft magnetic metal powder coated with Mg-containing oxide film | |
JP4903101B2 (ja) | 高比抵抗低損失複合軟磁性材とその製造方法 | |
WO2010073590A1 (ja) | 複合軟磁性材料とその製造方法 | |
WO2005083725A1 (ja) | 軟磁性材料ならびに圧粉磁心およびその製造方法 | |
JP2004297036A (ja) | Znを含むスピネルフェライト膜被覆鉄軟磁性粉末の製造方法およびその方法で作製した複合焼結軟磁性材 | |
JP4863628B2 (ja) | Mg含有酸化膜被覆軟磁性金属粉末の製造方法およびこの粉末を用いて複合軟磁性材を製造する方法 | |
JP2007013069A (ja) | MgおよびSi含有酸化物被覆軟磁性粉末の製造方法 | |
JP2009164317A (ja) | 軟磁性複合圧密コアの製造方法。 | |
JP4863648B2 (ja) | Mg含有酸化膜被覆軟磁性金属粉末の製造方法およびこの粉末を用いて複合軟磁性材を製造する方法 | |
JP2009141346A (ja) | 高強度高比抵抗低損失複合軟磁性材とその製造方法及び電磁気回路部品 | |
JP2015088529A (ja) | 圧粉磁心、磁心用粉末およびそれらの製造方法 | |
JP6582745B2 (ja) | 複合軟磁性材料及びその製造方法 | |
JP4480015B2 (ja) | 積層酸化膜被覆鉄粉末 | |
JP2011216571A (ja) | 高強度低損失複合軟磁性材とその製造方法及び電磁気回路部品 | |
JP4883755B2 (ja) | 酸化膜被覆Fe−Si系鉄基軟磁性粉末、その製造方法、複合軟磁性材、リアクトル用コア、リアクトル、電磁気回路部品および電気機器 | |
JP6556780B2 (ja) | 圧粉磁心、磁心用粉末およびそれらの製造方法 | |
JP2004156102A (ja) | 高密度および高抵抗を有する複合軟磁性焼結材の製造方法 | |
WO2005024858A1 (ja) | 軟磁性材料およびその製造方法 | |
JP6836106B2 (ja) | 鉄基軟磁性体の製造方法 | |
JP3946150B2 (ja) | 高密度、高抵抗および高磁束密度を有する複合軟磁性材の製造方法 | |
JP2004197115A (ja) | 高密度および高抵抗を有する複合軟磁性材の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20110325 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20111122 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20120104 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20120301 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20120626 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20120723 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150727 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5049845 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |