JP2009242546A - 多孔フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】微小な孔を有する多孔層を両面に備えた多孔フィルムを簡単に製造する。
【解決手段】第1室35にて、ディップコータ40により支持体11の両面に塗布液20を塗布する。裏面側の塗布液20をブレード44で掻き取り、表面側の第1塗布膜46と裏面側の第2塗布膜47との厚みを変える。第2室36の送風吸引ユニット51,52により、各塗布膜46,47に結露を発生させる。第3室37で微小水滴を成長させる。第4室38で水滴を乾燥させて、孔を両面に有する多孔フィルム10を形成する。両面に多孔層を有する多孔フィルム10を簡単に製造することができる。
【選択図】図4

Description

本発明は、多孔フィルムの製造方法に関するものである。
今日、光学分野や電子分野では、集積度の向上や情報量の高密度化、画像情報の高精細化といった要求がますます大きくなっている。そのため、それら分野に用いられるフィルムに対しては、より微細な構造をもつことが強く求められている。また、微細構造をもつフィルムは、医療分野等でも求められている。医療分野で求められるフィルムとしては、細胞培養の場となるフィルムや、血液ろ過膜として利用するフィルムがある。
微細構造をもつフィルムとしては、μmレベルの微細な孔が多数形成されたハニカム構造を有するフィルム(多孔フィルム)がある。このような多孔フィルムを製造する方法としては、所定のポリマが溶剤に溶けている溶液を支持体に塗布し、その溶剤を蒸発させると同時に、塗布された液の表面で結露させ、結露により生じた微小な水滴を蒸発させる方法がある(例えば、特許文献1参照)。このような方法で製造されるフィルムは、微細構造の形成挙動から自己組織化膜とも言われる。
特開2006−070254号公報
ところで、多孔フィルムは、その微細構造から用途のさらなる広がりを見せており、μmレベルよりも微細な孔を有する多孔フィルムの開発も望まれている。しかし、微細な孔を形成するためには、多孔膜自体を薄膜で且つ厚みのむらを無くした状態で形成する必要がある。例えば、流延ダイを用いたキャスト法や、スライドコータ、エクストリュージョンコータ、ワイヤバーコータ等を用いた塗布法では、μm以下のオーダーで多孔膜を形成することが困難であるという問題がある。
また、多孔フィルムは、今まで片面でしか形成されておらず、両面に多孔層を有するフィルムを簡単に製造することが望まれていた。
本発明は、孔径が0.01μm以上5μm程度の微細な複数の孔を形成することができ、しかも両面に多孔層を有するフィルムを簡単に製造することができる多孔フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の多孔フィルムの製造方法は、ポリマ及び溶剤が含まれる塗布液に支持体を浸漬させた後に取り出して、前記支持体の表面に第1塗布膜、裏面に第2塗布膜を形成するディップコート工程と、前記第1及び/又は第2塗布膜に結露を形成させ、この結露により水滴を形成する水滴形成工程と、前記水滴を成長させる水滴成長工程と、前記水滴を前記第1及び/又は第2塗布膜から蒸発させて、前記各塗布膜に前記水滴を型とする孔を形成する孔形成工程とを有することを特徴とする。
本発明は、前記ディップコート工程で前記支持体を前記塗布液から取り出してから60秒以内に前記水滴形成工程を行うことを特徴とする。また、本発明は、第1塗布膜及び第2塗布膜の厚みを変えて前記ディップコート工程を行うことを特徴とする。また、本発明は、第1塗布膜及び第2塗布膜に対して異なる条件で前記水滴成長工程及び前記孔形成工程を行い、前記孔の径を第1塗布膜と第2塗布膜とで変えることを特徴とする。さらには、前記ディップコート工程は、前記第1塗布膜及び前記第2塗布膜の一方をブレードにより掻き取ることを特徴とする。
本発明によれば、孔径が0.01μm以上5μm程度の微細な複数の孔を有し、両面に多孔層を有する多孔フィルムを簡単に製造することができる。
図1に示すように、本発明の多孔フィルム10は、支持体11と、この支持体11の一方の面に形成された第1多孔層12と、他方の面に形成された第2多孔層13とを備える。第1及び第2多孔層12,13には、多数の孔14,15が形成されている。
図2に示すように、孔14の形状は略円形とされ、これら孔14が密に形成されることにより、全体がハニカム状になっている。孔15も同様に形成されており、孔15の径が孔14の径よりも小さく形成されている。孔14,15は、本実施形態では、独立した孔となっているが、これは内部で各孔が複数個、連通したものであってもよい。
多孔層12,13に形成される孔は、図1に示すような略半球状の孔14,15の他に、図示は省略したが、各多孔層12,13を貫通する孔や、浅い孔(窪み)などであってもよい。これら孔14,15は、後に詳しく説明するように、水滴の成長過程を制御することにより、多孔層12,13に形成される。例えば、水滴の成長を早期に止めると浅い孔が得られ、水滴を成長させると、孔がそれに応じて深くなり、深い孔や貫通孔が得られる。さらに水滴を成長させると、複数の水滴が結合した連通孔が得られる。
本実施形態では、第1多孔層12と第2多孔層13とで厚みを変えており、また、各多孔層12,13に形成される孔14,15の径も変えているが、これらは同じ厚みで同じ孔径であってもよい。また、後に説明するディップコート工程において、一方の面の塗布液20をブレード44で全て掻き取ってしまうことで、片面のみに多孔層を形成してもよい。さらには、ディップコート工程を出た支持体11の一方の塗布面、例えば第2塗布面47に対し結露工程、水滴成長工程、孔形成工程を行わず、他方の塗布面である第1塗布面46のみに多孔層を形成してもよい。
図3は、支持体11と各多孔層12,13の間に中間層16,17を形成した多孔フィルム18を示している。中間層16,17は、支持体11の両面に形成する他に、一方の面のみに形成してもよい。また、必要に応じて中間層16,17の一方または両方を複層にしてもよい。また、支持体も必要に応じて、複層にしてもよい。
多孔層12,13は、疎水性のポリマと両親媒性の化合物とを含む塗布液20(図4参照)により形成される。この塗布液20を用いることにより、後述の製造方法において水滴をより均一な形状及び大きさに形成することができる。
両親媒性の化合物は、(親水基の数):(疎水基の数)は0.1:9.9〜4.5:5.5であることがより好ましい。これにより、より細かな水滴をより密に、塗布液の塗膜の上に形成することができる。上記親水基の比率が上がると、(親水基の数):(疎水基の数)の比が上記範囲よりも小さい場合には、多孔層に形成される孔の大きさが大きくばらつき、すなわち不均一になることがある。この不均一さの程度は、具体的には、{(孔の径の標準偏差)/(孔の平均値)}×100で求める孔径変動係数(単位;%)が10%以上である。また、(親水基の数):(疎水基の数)の比が上記範囲よりも大きい場合には、孔の配列が不規則となる傾向がある。
なお、両親媒性の化合物として、互いに異なる2種以上の化合物を用いることができる。2種類以上の化合物を用いることにより、後述する製造方法において、水滴の大きさと水滴を形成する位置とをより精度よく、制御することができる。また、塗布液20のポリマ成分として、複数の化合物を用いることにより、同様の効果を得ることができる。
前記塗布液20として用いるポリマの好ましい例は、ビニル重合ポリマ(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロペン、ポリビニルエーテル、ポリビニルカルバゾール、ポリ酢酸ビニル、ポリテトラフルオロエチレン等)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリ乳酸等)、ポリラクトン(例えばポリカプロラクトンなど)、セルロースアセテート、ポリアミド又はポリイミド(例えば、ナイロンやポリアミド酸など)、ポリウレタン、ポリウレア、ポリブタジエン、ポリカーボネート、ポリアロマティックス、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリシロキサン誘導体等である。
支持体11として用いるポリマは、塗布液20として用いるポリマとして好ましい上記の化合物を挙げることができるが、支持体11を厚くしてかつフレキシビリティを多孔フィルム10にもたせる観点からは、例えば、セルロースアセテート、環状ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリブタジエン等が挙げられる。これらを用いることにより、支持体11を厚くしてもコストが抑えられるとともに、また、破れにくく使用時における形状の自由度のある多孔フィルム10となる。塗布液20に対し、支持体11は溶解性があっても無くてもよい。溶解性がある場合には、後述するようにディップコータ40(図4参照)における浸漬時の滞留時間を規定し、または前述の中間層16,17により、溶解による影響を少なくする。
塗布液20の溶媒となる溶剤は、疎水性かつ高分子化合物を溶解させるものであれば、特に限定されない。例としては、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン,トルエンなど)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン,クロロベンゼン、四塩化炭素、1−ブロモプロパンなど)、シクロヘキサン、ケトン(例えば、アセトン,メチルエチルケトンなど)、エステル(例えば、酢酸メチル,酢酸エチル,酢酸プロピルなど)及びエーテル(例えば、テトラヒドロフラン,メチルセロソルブなど)などが挙げられる。これらのうち複数の化合物が溶媒として併用されてもよい。また、これらの化合物の単体又は混合物に、アルコール等が添加されたものを用いてもよい。
また、環境に対する影響を最小限に抑えることを目的に、ジクロロメタンを使用しない場合には、炭素原子数が4〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステル、1−ブロモプロパン等の臭素系炭化水素等が好ましく用いられる。これらは、互いに混合して用いてもよい。例えば、酢酸メチル、アセトン、エタノール、n−ブタノールの混合有機溶媒が挙げられる。これらのエーテル、ケトン、エステル及びアルコールは、環状構造を有するものであってもよい。また、エーテル、ケトン、エステル及びアルコールの官能基(すなわち、−O−,−CO−,−COO−及び−OH)のいずれかを2つ以上有する化合物も、溶媒として用いることができる。
溶剤として互いに異なる2種以上の化合物を用い、その割合を適宜変更することにより、後述の水滴の形成速度、及び後述の塗膜への水滴の入り込みの深さ等を制御することができる。
塗布液20については、有機溶剤100重量部に対しポリマが0.02重量部以上30重量部以下とすることが好ましい。これにより、生産性良く高品質の多孔層12,13を形成することができる。有機溶剤100重量部に対しポリマが0.02重量部未満であると、溶液における溶媒割合が大きすぎて蒸発に要する時間が長くなるので、多孔フィルム10の生産性が悪くなり、一方、30重量%を超えると、結露で発生した水滴が塗膜を構成する塗布液を変形させることができず、そのため不均一な凹凸が形成された多孔層12,13になってしまうことがある。
中間層16,17は塗布液20のポリマと同じ材質としてもよく、または異なる材質としてもよい。また、塗布液20に対して、溶解性はあっても無くてもよい。溶解性がある場合には、溶解性がある支持体11の場合と同じように、ディップコータ40(図4参照)における浸漬時の滞留時間を規定し、溶解による影響を少なくする。中間層16,17は、ポリマであることが好ましいが、必ずしもポリマである必要はなく、例えば、モノマー、オリゴマー等の各種有機化合物や、TiO等の無機化合物であってもよい。
図4に示すように、本発明を実施した多孔フィルム製造装置30は、支持体送出部31、塗布乾燥室32、及び製品カット部33から構成されている。支持体送出部31は、支持体ロール34から支持体11を引き出して、これを塗布乾燥室32に送る。
塗布乾燥室32は、支持体11の搬送方向に上流側から順に第1室35〜第4室38に区画されており、各室35〜38を支持体11が通過することで、各室35〜38において、塗布工程、結露工程、水滴成長工程、孔形成工程を行い、多孔フィルム10を製造する。
製品カット部33は、得られた多孔フィルム10を所定のサイズに切断し、中間製品や最終製品とする。中間製品の場合には、各種加工を施すことにより、最終製品が得られる。
塗布乾燥室32の第1室35には、ディップコータ40が設けられている。ディップコータ40は、ガイドローラ41、液槽42、浸漬ローラ43、ブレード44、無接触ローラ45を備えている。ガイドローラ41は支持体送出部31からの支持体11を液槽42に案内する。液槽42には塗布液20が収容されている。塗布液20は塗布液供給部49により、液槽42内で常に一定レベルを保つように供給されている。浸漬ローラ43は支持体11を液槽42内の塗布液20に浸漬する。液槽42から引き出された支持体11の両面には塗布液20が一定の厚みで塗布される。
ガイドローラ41及び浸漬ローラ43は温度調整手段を備えており、支持体11を任意の温度に調節することができる。このように支持体11の温度を調節することにより、効率のよい結露条件に設定することができる。また、浸漬ローラ43による温度調節に代えて、または加えて、塗布液20の温度を調節することにより、支持体11の温度を所望の温度にして、効率のよい結露条件に設定することもできる。
ブレード44は、支持体の一方の面(裏面)側に設けられており、塗布液20の一部を掻き取り、他方の面(表面)よりも膜厚を小さくする。これにより、支持体11の表面には第1塗布膜46が、裏面には第2塗布膜47がそれぞれ形成される。なお、ブレード44は省略してもよく、または、逆に両面に設けてもよい。
無接触ローラ45は、裏面側の第2塗布膜47に無接触状態で支持体11を案内し、第2室36に支持体11を送る。無接触ローラ45としては、エア浮上による搬送ローラや、支持体11の両側縁部のみを支持する鐔付きローラなどを用いる。鐔付きローラの場合には、ディップコータ40において、支持体11の両側縁部に対応する部分に別のブレードを設け、このブレードにより支持体11の両側縁部の第2塗布膜47を掻きとり、無接触ローラの鐔部分に塗布液20が付着することがないようにする。
第2室36には、支持体11を挟むように、両面に近接させて、表面送風吸引ユニット51及び裏面送風吸引ユニット52が設けられている。送風吸引ユニット51は、送風口53a及び吸気口53bを有するダクト53と送風部54とを備える。送風部54は、送風口53aから送り出す加湿空気の温度、露点、湿度を制御し、吸気口53bから塗膜の周辺気体を吸排気し、循環させる。この送風部54による送風及び吸気により、第1塗布膜46の表面には結露が生じる。この結露によって、極めて小さな水滴を塗布膜46の表面に形成する。また、送風部54には加湿空気の塵埃を除去するフィルタが設けられている。なお、ダクト53は支持体11の走行方向に複数並べて設けられてもよい。裏面送風吸引ユニット52も、表面送風吸引ユニット51と同様に構成されており、送風口及び吸気口を有するダクト56と送風部57とを備える。
ディップコータ40から支持体11が引き出された後60秒以内に水滴形成工程に送られて、結露が行われる。ディップコータ40から結露開始までの時間は、好ましくは30秒以下がよく、より好ましくは10秒以下である。60秒を越えるとポリマ溶液の乾燥が進行し、粘度が高くなり過ぎることで、水滴による孔の形成がされない、または、孔の形成が不均一になる。
第3室37には、表面送風吸引ユニット61及び裏面送風吸引ユニット62が設けられている。この第3室37では、結露工程で結露された水滴を成長させ、極めて小さな水滴を徐々に大きく成長させる。また、第3室37では、水滴の成長の間と後のいずれか一方又は両方で溶剤を蒸発させる。表面及び裏面送風吸引ユニット61,62は、送風吸引ユニット51,52と同様に構成されており、その詳細な説明は省略する。なお、本実施形態では、送風吸引ユニット61,62を支持体走行方向に2台併設しているが、これは適宜増減してよい。
送風吸引ユニット61,62から送り出す空気の風速は、支持体11の移動速度に応じて設定することが好ましい。支持体11の走行速度との相対速度が0.02m/秒以上2m/秒以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.05m/秒以上1.5m/秒以下の範囲であり、最も好ましくは0.1m/秒以上0.5m/秒以下の範囲である。前記相対速度が0.02m/秒未満であると、水滴が細密に配列して形成されないうちに、塗布膜が第4室38に導入されてしまうことがある。一方、前記相対速度が2m/秒を超えると、塗布膜の露出面が乱れたり、結露が充分に進行しなかったりするおそれがある。
第4室38には、表面及び裏面送風吸引ユニット71,72が設けられており、水滴の蒸発が行われる。送風吸引ユニット71,72は、送風吸引ユニット61,62と同様に構成されており、詳細な説明は省略する。本実施形態では、送風吸引ユニット71,72は4台併設しているが、併設数は適宜増減してよい。
以上のように第1室35〜第4室38を支持体11が通過することで、支持体11上に塗布液20が塗布されて、この塗布液20の塗布膜46,47に対し結露が形成される。結露はその後、第3室37で大きく成長した後、第4室38で乾燥され、所定の様態の孔14,15を有する多孔層12,13となる。
そして、第1塗布膜46、第2塗布膜47に対して、各送風吸引ユニット51,52,61,62,71,72の支持体走行方向における長さや、各ユニット51,52,61,62,71,72における加湿空気の温度、露点、湿度等を変更することで、第1塗布膜46、第2塗布膜47にそれぞれ異なる径の水滴を均一に形成することができ、これら水滴を型として孔14,15が形成される。これにより、支持体11の両面には、径の異なる孔14,15を有する多孔層12,13が得られる。
なお、前記多孔層12,13の各孔14,15の配列は、水滴の疎密の度合いや大きさ、乾燥速度、多孔層12,13を形成するための塗布液20の固形分濃度、塗布液中の溶剤の蒸発のタイミング等によって異なるものとなる。したがって、これらの条件を変えることによって、孔径や疎密度合を所望のものに近づけることができる。
各室36〜38内には、適宜ピッチで複数のローラ80が設けられている。ローラ80は主要なもののみ図示し、その他は省略している。このローラ80は、鐔付きローラから構成されており、支持体11の両側縁部のみに接触して、支持体11を搬送する。ローラ80は、駆動ローラとフリーローラとから構成されている。駆動ローラが適宜ピッチで配置されることにより、各室36〜38内で支持体11が一定速度で搬送される。また、各ローラ80は、図示しない温度コントローラにより各室毎に温度制御されており、塗膜乾燥、結露、水滴成長、孔形成などの各工程が最適条件で行われるように、支持体11の温度を制御する。
塗布乾燥室32の各室には図示しない溶剤回収装置が設けられており、各室内の溶剤を回収する。回収した溶剤は、図示しない再生装置で再生されて再利用される。
次に、本実施形態の作用を説明する。図4に示すように、第1室35では、ディップコータ40により塗布液20が支持体11の両面に塗布される。裏面側の塗布液20はブレード44により塗布液20の一部が掻き取られ、表面側の塗布膜よりも膜厚が小さくされる。乾燥される前の塗膜の厚みは、0.005mm以上1mm以下の範囲の所定厚みとされる。ディップコータ40で両面に塗布液20が塗布された支持体11は、第2室36に送られる。
第2室36における結露工程では、送風吸引ユニット51,52の送風口53a,56aから塗膜に向けて、加湿空気が送られる。また、吸気口53b,56bから塗膜の周辺気体が吸排気される。ここで、送風口53a,56bからの風の露点をTD、塗膜の表面温度をTS、TD−TSで求められる値をΔTとするときに、ΔTが3℃以上30℃以下となるように、表面温度TSと露点TDとの少なくとも一方が制御される。塗膜の表面温度TSは、例えば、市販される赤外式温度計等の非接触式温度測定手段を塗膜の走行路の近傍に設けて測定することができる。なお、ΔTが3℃未満であると、水滴が発生しにくくなる。また、ΔTが30℃を越えると水滴が急激に発生してしまい、水滴の大きさが不均一になったり、水滴が2次元、つまり平面に並ばずに3次元に重なってしまったりすることがある。
第2室36においては、ΔTは支持体走行方向において、大きな値から小さい値に変化させることが好ましい。これにより、水滴の発生速度や発生する水滴の大きさをコントロールすることができ、2次元、つまり塗膜の面方向に径が均一な水滴を形成することができる。
第2室36では、塗膜の表面温度TSは、ローラ80の温度を調節することにより調節されるが、これに代えて又は加えて、支持体11に近接して配された温度制御板(図示なし)を用いて塗膜の表面温度TSを制御してもよい。露点TDは、送風吸引ユニット51,52から出される加湿空気の条件を変えることにより、制御される。
第3室37では、表面送風吸引ユニット71,裏面送風吸引ユニット72により、第2室36で結露により形成された水滴が一様に成長される。第2室36と第3室37とが互いに離れるほど、つまり水滴を形成してから第3室37に入るまでの時間が長くなるほど、成長し終えたときの水滴の大きさが不均一になってしまう。なお、送風吸引ユニット71,72の数は2に限定されず、1以上であればよい。送風吸引ユニット71,72は、送風吸引ユニット61と同じものとしているが、これに限定されない。
第3室37では、ΔTが0℃を越えて10℃未満となるように、表面温度TSと露点TDとのいずれか一方が制御される。表面温度TSは、塗膜の近傍に設けた温度制御板(図示なし)により、制御される。この温度制御板は、第2室36の温度制御板と基本的には同一の構造であり、支持体11に対し温度を変化させることができる。
また、露点TDは、送風吸引ユニット71,72の送風口からの加湿空気の条件を制御することにより、変化させることができる。この第3室37においても、塗膜の表面温度TSは、上記と同様な温度測定手段を塗膜の近傍に設けて測定することができる。第3室37の条件をこのように設定することにより、水滴をゆっくり成長させて毛管力により水滴の配列を促し、均一な水滴を密に形成することができる。
なお、ΔTが0℃以下の場合には、水滴の成長が不十分で密な状態にならなくなる他に孔の形状や大きさ及び多孔フィルムにおける孔の配列が不均一となることがある。また、ΔTが10℃よりも大きいと、水滴が局所的に多層化、つまり三次元的に形成され、孔の形状や大きさ及び多孔フィルムにおける孔の配列が不均一となることがある。なお、第3室37においては、表面温度TSは露点TDと略同等であることが望ましい。
水滴を成長させている間に、できるだけ多くの溶媒を塗膜から蒸発させることが好ましい。第3室37における表面温度TSと露点TDとを上記範囲にすることにより、塗膜中の溶媒を十分に蒸発させるとともに、急激な蒸発を抑制することができる。また、水滴を蒸発させずに溶媒だけを選択的に蒸発させることが好ましい。したがって、溶媒としては、同温同圧下において水滴よりも蒸発速度が速いものが好ましい。これにより、溶媒の蒸発に伴い水滴が塗膜の内部に入り込むことがより容易になる。
第4室38では、送風吸引ユニット71,72を用いて、表面温度TSまたは露点TDのいずれか一方を制御し、表面温度TSが露点TDよりも高くなるようにする。表面温度TSの制御は、主に温度制御板によりなされる。また、露点TDの制御は送風口からの乾燥空気の条件制御によりなされる。表面温度TSは上記と同様な温度測定手段を塗膜の近傍に設けて測定する。表面温度TSを露点TDよりも高く設定することにより、水滴の成長を止めて蒸発させ、均一な孔をもつ多孔フィルムを製造することができる。なお、TS≦TDとすると、水滴の上にさらに結露して、形成された多孔構造を破壊してしまうことがあり、好ましくない。第4室38では、水滴の蒸発を主たる目的としているが、第4室38に至るまでに蒸発しきれなかった溶媒も蒸発させる。
第4室38における水滴の蒸発工程では、送風吸引ユニット71,72に代えて減圧乾燥装置や、いわゆる2Dノズルを用いてもよい。減圧乾燥を行うことで、溶媒と水滴との蒸発速度をそれぞれ調整することがより容易になる。これにより、有機溶媒の蒸発と水滴の蒸発とをより良好にし、水滴をより良好に塗膜の内部に形成することができるので、前記水滴が存在する位置に、大きさ、形状が制御された孔を形成することができる。2Dノズルとは、風を出す送風ノズル部材と、塗膜近傍の空気を吸い込んで排気する排気口が支持体走行方向に複数交互に配置されたものである。
本発明に係る多孔フィルムを拡大して示す断面図である。 多孔フィルムを拡大して示す平面図である。 支持体と多孔層との間に中間層を設けた別の実施形態の多孔フィルムを拡大して示す断面図である。 多孔フィルム製造設備を示す概略の側面図である。
符号の説明
10,18 多孔フィルム
11 支持体
12,13 多孔層
14,15 孔
16,17 中間層
30 多孔フィルム製造装置
32 塗布乾燥室
40 ディップコータ
42 液槽
43 浸漬ローラ
45 無接触ローラ
51,52,61,62,71,72 送風吸引ユニット

Claims (5)

  1. ポリマ及び溶剤が含まれる塗布液に支持体を浸漬させた後に取り出して、前記支持体の表面に第1塗布膜、裏面に第2塗布膜を形成するディップコート工程と、
    前記第1及び/又は第2塗布膜に結露を形成させ、この結露により水滴を形成する水滴形成工程と、
    前記水滴を成長させる水滴成長工程と、
    前記水滴を前記第1及び/又は第2塗布膜から蒸発させて、前記各塗布膜に前記水滴を型とする孔を形成する孔形成工程とを有することを特徴とする多孔フィルムの製造方法。
  2. 前記ディップコート工程で前記支持体を前記塗布液から取り出してから60秒以内に前記水滴形成工程を行うことを特徴とする請求項1記載の多孔フィルムの製造方法。
  3. 前記ディップコート工程は、第1塗布膜及び第2塗布膜の厚みを変えて行うことを特徴とする請求項1または2記載の多孔フィルムの製造方法。
  4. 前記水滴成長工程及び前記孔形成工程は、第1塗布膜及び第2塗布膜に対して異なる条件で行い、前記孔の径を第1塗布膜と第2塗布膜とで変えることを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の多孔フィルムの製造方法。
  5. 前記ディップコート工程は、前記第1塗布膜及び前記第2塗布膜の一方をブレードにより掻き取ることを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載の多孔フィルムの製造方法。
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