JP2009236054A - 内燃機関の冷却構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】内燃機関の冷却性を向上することができる内燃機関の冷却構造を提供する。
【解決手段】複数のシリンダボア14aを有するシリンダブロック14と、シリンダブロック14の上部に配置されるシリンダヘッド15と、シリンダヘッド15にクランク軸23と平行に2本並べて配置されるカム軸38aと、シリンダヘッド15に形成され、カム軸38aをそれぞれ収容するカム軸収容室38と、カム軸収容室38間に設けられる凹部39と、カム軸38a間において凹部39に形成されるプラグ座15aと、シリンダボア14a間に形成される冷却風通路101と、冷却風通路101から凹部39に連通する冷却風導入通路104,105と、を備える。
【選択図】図4

Description

本発明は、内燃機関の冷却構造に関し、特に、自動二輪車の内燃機関の冷却構造に関する。
従来の内燃機関の冷却構造として、複数の気筒を有するシリンダブロックの風上側面に形成した開口と、シリンダヘッドの上面に形成した開口と、をシリンダブロックのシリンダに沿って穿設した通路によって連通して、冷却風をシリンダ間及びシリンダヘッドの上面に案内するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
実開昭59−005711号公報
ところで、上記特許文献1に記載の内燃機関の冷却構造では、シリンダ同士が隣接した位置を冷却することが目的であり、効率よく冷却風を導入するためにシリンダヘッドの上面に冷却風を導く技術であるため、シリンダヘッド自体の冷却に関しては考慮されていなかった。
本発明は、このような不都合を解消するためになされたものであり、その目的は、内燃機関の冷却性を向上することができる内燃機関の冷却構造を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、複数のシリンダボアを有するシリンダブロックと、シリンダブロックの上部に配置されるシリンダヘッドと、シリンダヘッドにクランク軸と平行に2本並べて配置されるカム軸と、シリンダヘッドに形成され、カム軸をそれぞれ収容するカム軸収容室と、カム軸収容室間に設けられる凹部と、カム軸間において凹部に形成されるプラグ座と、シリンダボア間に形成される冷却風通路と、を備える内燃機関の冷却構造において、冷却風通路からシリンダヘッドの凹部に連通する冷却風導入通路を更に備えることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明の構成に加えて、気筒配列方向中央部にカムチェーンを収容するカムチェーン室が形成され、冷却風導入通路が、カムチェーン室に隣接して配置され、凹部の気筒配列方向端部が外側に開放して形成されることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明の構成に加えて、冷却風導入通路が、シリンダボア間でシリンダ中心を結ぶ線より前後にそれぞれ形成されることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明の構成に加えて、カム軸収容室は、凹部側にオーバーハングして形成され、冷却風導入通路の少なくとも一部が、シリンダヘッドの上面視において、カム軸収容室のオーバーハング部分で隠れる位置に形成されることを特徴とする。
請求項1に記載の内燃機関の冷却構造によれば、冷却風通路からシリンダヘッドの凹部に連通する冷却風導入通路を備えるため、凹部に冷却風を効率よく導入することができ、凹部の冷却性を向上することができる。これにより、凹部に配置され、特に高温となるプラグ座を積極的に冷却することがきるので、内燃機関の冷却性を向上することができる。また、車両が停車中であって、冷却風通路に冷却風が流れ込まない場合であっても、冷却風導入通路がシリンダブロックとシリンダヘッドの凹部とを連通するため、付近の空気の温度上昇により対流が生まれ、この空気の移動により凹部に熱せられた空気が滞留することなく新気が導入されるので、アイドリング時の内燃機関の冷却性も向上することができる。
請求項2に記載の内燃機関の冷却構造によれば、気筒配列方向中央部にカムチェーンを収容するカムチェーン室が形成され、冷却風導入通路が、カムチェーン室に隣接して配置され、凹部の気筒配列方向端部が外側に開放して形成されるため、凹部において空気が滞留しやすいカムチェーン室側に冷却風を導入することができ、内燃機関の冷却性を更に向上することができる。また、凹部の気筒配列方向端部が外側に開放して形成されるため、走行風の負圧が凹部の開放部に作用することにより、冷却風導入通路からの冷却風の導入が更に促進され、凹部の冷却性を更に向上することができる。
請求項3に記載の内燃機関の冷却構造によれば、冷却風導入通路が、シリンダボア間でシリンダ中心を結ぶ線より前後にそれぞれ形成されるため、シリンダボア間の冷却をすることができ、内燃機関の冷却性を向上することができる。
請求項4に記載の内燃機関の冷却構造によれば、カム軸収容室は、凹部側にオーバーハングして形成され、冷却風導入通路の少なくとも一部が、シリンダヘッドの上面視において、カム軸収容室のオーバーハング部分で隠れる位置に形成されるため、凹部側にオーバーハングしてカム軸収容室を形成することにより凹部空間を大きくとることができ、表面積を増加して冷却性を高めることができる。また、凹部において空気が滞留しやすいオーバーハング部分に冷却風を導入することができ、内燃機関の冷却性を更に向上することができる。
以下、本発明に係る内燃機関の冷却構造の一実施形態について、添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態の内燃機関は不図示の自動二輪車に搭載されるもので、以下の説明において、前後、左右、上下は、運転者から見た方向に従い、図面に自動二輪車の前方をFr、後方をRr、左側をL、右側をR、上方をU、下方をD、として示す。
本実施形態の内燃機関10は、図1に示すように、直列4気筒エンジンであって、その外殻は、主に、上側クランクケース12及び下側クランクケース13からなるクランクケース11と、クランクケース11の前方上端部に取り付けられるシリンダブロック14と、シリンダブロック14の上端部に取り付けられるシリンダヘッド15と、シリンダヘッド15の上部開口を覆うシリンダヘッドカバー16と、クランクケース11の下端開口を覆い、オイルが貯蔵されるオイルパン17と、クランクケース11の左右側面の開口を覆う不図示のクランクケースサイドカバーと、によって構成される。
シリンダヘッド15の後面には、不図示のスロットルボディが接続される吸気ポート18が形成され、前面には、不図示の排気管が接続される排気ポート19が形成される。また、シリンダヘッド15の下面には、燃焼室20が形成されており、この燃焼室20に臨むように、シリンダヘッド15のプラグ座15aにスパークプラグ20aが装着される。
図1に示すように、クランクケース11は、前部にクランク室21及び後部に変速機室22を備え、クランク室21内には、上側クランクケース12と下側クランクケース13との合わせ面上に設けられる不図示の軸受を介してクランク軸23が回動可能に支持される。このクランク軸23には、コンロッド24を介してピストン25が接続されており、このピストン25は、シリンダブロック14の直列4気筒のシリンダボア14a内でシリンダ軸線方向に往復運動する。また、本実施形態では、シリンダ軸線は、車両進行方向前方に傾斜して配置される。
変速機室22は、シリンダブロック14の後方側に配設されており、変速機室22内には、常時噛み合い式の変速機26が収納される。この変速機26は、上側クランクケース12と下側クランクケース13との合わせ面上に設けられる不図示の軸受を介して回動可能に支持されるメイン軸27及びカウンタ軸28と、メイン軸27の軸上に設けられる複数の駆動歯車29と、カウンタ軸28の軸上に設けられ、複数の駆動歯車29とそれぞれ噛合する複数の従動歯車30と、駆動歯車29及び従動歯車30に係合する複数のシフトフォーク31と、クランクケース11に回動可能に支持され、シフトフォーク31を軸方向にスライド移動させるシフトドラム32と、を備える。
そして、クランク軸23の回転駆動力は、クランク軸23の軸上に設けられるプライマリドライブギヤ33、メイン軸27の軸上に設けられ、プライマリドライブギヤ33と噛合するプライマリドリブンギヤ34、及びメイン軸27の軸上に設けられるクラッチ装置35を介して変速機26に伝達される。また、クランク室21内には、プライマリドライブギヤ33と噛合するバランサ歯車36が設けられる。
また、図3〜図5に示すように、シリンダブロック14及びシリンダヘッド15には、その気筒配列方向中央部に、シリンダヘッド15内に設けられる不図示の動弁装置を駆動させるカムチェーン37aを収容するカムチェーン室37が形成される。このカムチェーン室37はクランク室21と連通している。
また、図1、図8、図10に示すように、シリンダヘッド15には、クランク軸23と平行に不図示の動弁装置の2本のカム軸38a,38aが回動可能に支持されており、この2本のカム軸38a,38aをそれぞれ収容するカム軸収容室38,38が前後方向に独立して形成される。また、カム軸収容室38,38間には、気筒配列方向に延びる凹部39がカムチェーン室37を挟んで両側にそれぞれ形成される。また、凹部39の底部には、上記プラグ座15aが気筒配列方向に沿って2箇所ずつ形成される。また、凹部39の気筒配列方向外端部は開放されている。
また、本実施形態の内燃機関10は、内燃機関10を冷却するための冷却装置40を備えており、この冷却装置40は、図1〜図5に示すように、主として、オイルパン17内のオイルを吸引・圧送するオイルポンプユニット50と、シリンダブロック14の後面部に配設されるサーモスタット60と、シリンダヘッド15内に形成され、オイルを循環させることにより燃焼室20から伝達される熱を冷却するオイルジャケット70と、オイルを冷却する不図示のオイルクーラと、オイルポンプユニット50、サーモスタット60、オイルジャケット70、オイルクーラ、及びクランク室21をそれぞれ連通・接続させる冷却系油路80と、を備える。
オイルポンプユニット50は、図1に示すように、下側クランクケース13の右側面に取り付けられ、左右方向に並設される冷却用オイルポンプ51及び潤滑用オイルポンプ52と、オイルパン17の底部付近に配置されるストレーナ53と、冷却用オイルポンプ51及び潤滑用オイルポンプ52とストレーナ53との間を接続するオイル吸入管54と、を備える。
そして、オイルポンプユニット50は、クランク軸23の軸上に設けられるポンプ駆動歯車55と、冷却用オイルポンプ51及び潤滑用オイルポンプ52の共通のポンプ軸56の軸上に設けられるポンプ従動歯車57と、ポンプ駆動歯車55とポンプ従動歯車57との間に巻き掛けられるポンプチェーン58と、を介してクランク軸23の回転駆動力が伝達されることによって駆動される。
サーモスタット60は、シリンダブロック14の後面部に配置されるサーモスタットケース61と、サーモスタットケース61内に形成されるサーモスタット室62に収容されるサーモスタットバルブ63と、を備える。サーモスタットケース61は、シリンダブロック14と一体に形成されるケース本体64と、ケース本体64の上端部の開口を閉塞するフタ部65と、を有する。そして、サーモスタット60は、サーモスタット室62内に流入するオイルの温度に応じて、後述するオイルクーラを経由するオイル通路であるオイル排出側接続部87と、オイルクーラを迂回するバイパス通路84との開閉の切り換えを行う。また、本実施形態では、サーモスタット60は、シリンダブロック14の後方、且つ変速機室22の上方に配置される。
オイルジャケット70は、図5に示すように、シリンダヘッド15の吸気ポート18側から排気ポート19側に向かって内側2気筒IC,ICのプラグ座15aの周囲をそれぞれ経由するように形成される第1ジャケット通路71,71と、シリンダヘッド15の吸気ポート18側から排気ポート19側に向かって外側2気筒OC,OCのプラグ座15aの周囲をそれぞれ経由するように形成され、その下流端が第1ジャケット通路71の下流端に合流する第2ジャケット通路72,72と、第1ジャケット通路71と第2ジャケット通路72をプラグ座15aの周囲において連通させるジャケットバイパス通路73,73と、を備える。
また、本実施形態では、シリンダヘッド15のジャケットバイパス通路73の略中央部の下面には、オイルジャケット70を形成する中子の崩れた砂を抜くための砂抜き穴74が形成されており、この砂抜き穴74には、ジャケットバイパス通路73内に突出するように砂抜きプラグ75が挿嵌される。
冷却系油路80は、図1〜図5に示すように、冷却用オイルポンプ51の吐出口51aに接続される冷却用オイル供給管81と、上側クランクケース12の前方上端部に上方に向かって形成され、冷却用オイル供給管81が接続される第1オイル供給通路82と、シリンダブロック14の後面部に上方に向かって形成され、下端が第1オイル供給通路82と連通すると共に上端がサーモスタット室62と連通する第2オイル供給通路83と、シリンダブロック14の後面部に下方に向かって形成され、上端がサーモスタット室62と連通するバイパス通路84と、シリンダブロック14の後面部に気筒配列方向に沿って形成され、バイパス通路84の下端が接続されるオイル分配通路85と、シリンダブロック14の後面部に上方に向かって形成され、下端がオイル分配通路85と連通すると共に上端が第1,第2ジャケット通路71,71,72,72の上流端にそれぞれ接続されるオイル分岐通路86,86,86,86と、サーモスタットケース61のフタ部65に形成され、サーモスタット室62と連通すると共にオイルクーラへの配管が接続されるオイル排出側接続部87と、シリンダブロック14の後面部に形成され、オイルクーラからの戻り配管が接続されると共にバイパス通路84と連通するオイル戻り側接続部88と、シリンダブロック14に形成され、オイルジャケット70からオイルを導き出すと共に、カムチェーン室37に排出口89aが開口するオイル排出通路(オイル戻し通路)89と、を備える。
また、本実施形態では、図3に示すように、オイル排出通路89は、第1ジャケット通路71の下流端に連通すると共に、オイルジャケット70からオイル供給側であるオイルパン17にオイルを戻すように機能し、シリンダブロック14の上面の内側気筒IC側且つ排気ポート19側に、カムチェーン室37に向かって溝状に形成される。これにより、内側気筒IC,ICの排気ポート19,19が効率よく冷却される。
また、本実施形態では、図3に示すように、オイル排出通路89の排出口89aは、カムチェーン37aの下り側の側面に対向して設けられる。このため、排出口89aから排出されたオイルは、カムチェーン37aにより内燃機関10の下方まで運搬され、オイルパン17に戻される。
また、本実施形態では、図3に示すように、オイル排出通路89は、シリンダブロック14のシリンダヘッド15との合わせ面14bに、第1ジャケット通路71の下流端からカムチェーン室37に向かって溝状に形成される。そして、オイル排出通路89の上流端は、第1ジャケット通路71の下流端と連通している。これにより、第1ジャケット通路71の下流端からオイル排出通路89の上流端にオイルが受け渡される。
また、潤滑用オイルポンプ52の吐出口52aには、図1に示すように、内燃機関10の被潤滑部(各種回転軸、各種歯車等)にオイルを供給する潤滑系油路90が接続される。この潤滑系油路90は、潤滑用オイルポンプ52の吐出口52aに接続される潤滑用オイル供給管91と、この潤滑用オイル供給管91が接続され、内燃機関10の被潤滑部にオイルを供給する潤滑用オイル通路92と、を備える。これにより、冷却系油路80及び潤滑系油路90はオイルパン17を起点としてそれぞれ独立して設けられる。
また、本実施形態では、図1に示すように、サーモスタット60のサーモスタットバルブ63は、冷却用オイルポンプ51とオイルジャケット70との間のオイル通路であるサーモスタット室62に配置される。
また、本実施形態では、図1に示すように、オイルクーラ41の戻りオイル通路であるオイル戻り側接続部88は、サーモスタット60のサーモスタット室62とオイルジャケット70との間のオイル通路であるバイパス通路84に接続される。
また、本実施形態では、図2〜図4に示すように、シリンダブロック14及びシリンダヘッド15の後面の気筒配列方向中央部に、カムチェーン室37による膨出部95が形成され、この膨出部95の左側に隣接してサーモスタット60が設けられる。
また、本実施形態では、図5に示すように、第1ジャケット通路71の吸気ポート側18の端部である第1ジャケット通路71の上流端、第1ジャケット通路71の排気ポート側19の端部である第1ジャケット通路71の下流端、第2ジャケット通路72の吸気ポート側18の端部である第1ジャケット通路72の上流端、及び第2ジャケット通路72の排気ポート側19の端部であるオイルジャケット70を形成する中子の足部が貫通する貫通穴76を、シリンダヘッド15のシリンダブロック14との合わせ面15bに露出するように形成している。また、貫通穴76は、栓部材77により閉塞される。
また、本実施形態では、図2に示すように、シリンダブロック14の車両進行方向後方に油温センサ96が配置されており、この油温センサ96は、オイル分配通路85の左端部の内周に形成される不図示のねじ部に、オイル分配通路85の軸方向から取り付けられる。また、油温センサ96は、シリンダブロック14の気筒配列方向端部から内側に配置される。
また、本実施形態では、図4に示すように、オイル分岐通路86は、シリンダブロック14の後面部にシリンダボア14aから離間するように形成される。これにより、オイル分岐通路86を通過するオイルがシリンダボア14aなどから受熱するのを回避することができるので、オイルジャケット70の冷却効率を向上することができる。
このように構成された内燃機関10の冷却装置40では、暖機運転時の場合、冷却用オイルポンプ51から圧送されたオイルは、サーモスタットバルブ63によりバイパス通路84が開かれているため、冷却用オイル供給管81→第1オイル供給通路82→第2オイル供給通路83→サーモスタット室62→バイパス通路84→オイル分配通路85→オイル分岐通路86→オイルジャケット70→オイル排出通路89→カムチェーン室37→クランク室21→オイルパン17→冷却用オイルポンプ51の順で循環する。
また、暖機運転完了時の場合、冷却用オイルポンプ51から圧送されたオイルは、サーモスタットバルブ63によりオイル排出側接続部87が開かれているため、冷却用オイル供給管81→第1オイル供給通路82→第2オイル供給通路83→サーモスタット室62→オイル排出側接続部87→オイルクーラ→オイル戻り側接続部88→バイパス通路84→オイル分配通路85→オイル分岐通路86→オイルジャケット70→オイル排出通路89→カムチェーン室37→クランク室21→オイルパン17→冷却用オイルポンプ51の順で循環する。
また、本実施形態では、図2及び図4に示すように、シリンダブロック14のカムチェーン室37と内側気筒ICとの間、及び内側気筒ICと外側気筒OCとの間のシリンダボア15a間に、車両前方から後方に冷却風(走行風)を導くように冷却風通路101がそれぞれ形成される。これにより、冷却風通路101に導入された冷却風は、各気筒のシリンダボア14aを冷却して後方に排出される。
また、本実施形態では、図6〜図8に示すように、シリンダヘッド15のカムチェーン室37と内側気筒ICとの間、及び内側気筒ICと外側気筒OCとの間の排気ポート19側に、車両前方からシリンダヘッド15の凹部39に冷却風を導入する冷却風導入口102がそれぞれ形成されると共に、シリンダヘッド15の内側気筒ICと外側気筒OCとの間の吸気ポート18側に、凹部39からシリンダヘッド15の後方に冷却風を導出させる冷却風導出口103がそれぞれ形成される。これにより、冷却風導入口102から導入された冷却風は、凹部39内の各部及びプラグ座15a周辺などを冷却した後、冷却風導出口103及び凹部39の気筒配列方向外端部の開放部分から外部に導出される。
また、本実施形態では、図9及び図10に示すように、シリンダブロック14及びシリンダヘッド15のカムチェーン室37と内側気筒ICとの間の排気ポート19側に、カムチェーン室37隣接して、内側の冷却風通路101から凹部39に連通する第1冷却風導入通路104が縦方向に貫通してそれぞれ形成されると共に、シリンダブロック14及びシリンダヘッド15の内側気筒ICと外側気筒OCとの間のシリンダ中心を結ぶ線より前後側に、外側の冷却風通路101の前後端から凹部39に連通する第2冷却風導入通路105,105が縦方向に貫通してそれぞれ形成される。
これにより、内側の冷却風通路101に導かれた冷却風の一部は、第1冷却風導入通路104に導入され、カムチェーン室37と内側気筒ICとの間を冷却した後、凹部39に導入される。また、外側の冷却風通路101に導かれた冷却風の一部、及び外側の冷却風通路101を通過した冷却風の一部は、第2冷却風導入通路105,105に導入され、内側気筒ICと外側気筒OCとの間を冷却した後、凹部39に導入される。そして、凹部39に導入された冷却風は、冷却風導入口102から導入された冷却風と合流して、凹部39内の各部及びプラグ座15a周辺などを冷却した後、冷却風導出口103及び凹部39の気筒配列方向外端部の開放部分から外部に導出される。
また、本実施形態では、図3〜図5、図8、図10に示すように、第1及び第2冷却風導入通路104,105は、シリンダブロック14及びシリンダヘッド15をクランクケース11に締結するスタッドボルトを挿通させるためのスタッドボルト挿通穴97に隣接して設けられる。なお、図中の符号98は、凹部39の底部に立設される冷却フィンであり、符号99は、吸気ポート18及び排気ポート19を開閉する吸排気バルブを挿通させるためのバルブ挿通穴である。
また、本実施形態では、図8及び図10に示すように、カム軸収容室38は、凹部39側にオーバーハングして形成されており、第1冷却風導入通路104及び第2冷却風導入通路105が、シリンダヘッド15の上面視において、カム軸収容室38のオーバーハング部分で隠れる位置に形成される。
以上説明したように、本実施形態の内燃機関10の冷却構造によれば、冷却風通路101からシリンダヘッド15の凹部39に連通する第1及び第2冷却風導入通路104,105を備えるため、凹部39に冷却風を効率よく導入することができ、凹部39の冷却性を向上することができる。これにより、凹部39に配置され、特に高温となるプラグ座15aを積極的に冷却することがきるので、内燃機関10の冷却性を向上することができる。また、車両が停車中であって、冷却風通路101に冷却風が流れ込まない場合であっても、第1及び第2冷却風導入通路104,105がシリンダブロック14とシリンダヘッド15の凹部39とを連通するため、付近の空気の温度上昇により対流が生まれ、この空気の移動により凹部39に熱せられた空気が滞留することなく新気が導入されるので、アイドリング時の内燃機関10の冷却性も向上することができる。
また、本実施形態の内燃機関10の冷却構造によれば、気筒配列方向中央部にカムチェーン37aを収容するカムチェーン室37が形成され、第1冷却風導入通路104が、カムチェーン室37に隣接して配置され、凹部39の気筒配列方向端部が外側に開放して形成されるため、凹部39において空気が滞留しやすいカムチェーン室37側に冷却風を導入することができ、内燃機関10の冷却性を更に向上することができる。また、凹部39の気筒配列方向外端部が外側に開放して形成されるため、走行風の負圧が凹部39の開放部に作用することにより、第1及び第2冷却風導入通路104,105からの冷却風の導入が更に促進され、凹部39の冷却性を更に向上することができる。
また、本実施形態の内燃機関10の冷却構造によれば、第2冷却風導入通路105,105が、シリンダボア14a間でシリンダ中心を結ぶ線より前後にそれぞれ形成されるため、内側気筒IC及び外側気筒OCのシリンダボア14a間の冷却をすることができ、内燃機関10の冷却性を向上することができる。
さらに、本実施形態の内燃機関10の冷却構造によれば、カム軸収容室38は、凹部39側にオーバーハングして形成され、第1及び第2冷却風導入通路104,105が、シリンダヘッド15の上面視において、カム軸収容室38のオーバーハング部分で隠れる位置に形成されるため、凹部39側にオーバーハングしてカム軸収容室38を形成することにより凹部39の空間を大きくとることができ、表面積を増加して冷却性を高めることができる。また、凹部39において空気が滞留しやすいオーバーハング部分に冷却風を導入することができ、内燃機関10の冷却性を更に向上することができる。
本発明に係る内燃機関の冷却構造の一実施形態を説明するための一部切欠右側面図である。 図1に示すシリンダブロックの背面図である。 図2に示すシリンダブロックの平面図である。 図2のA−A線矢視断面図である。 図1に示すシリンダヘッドの底面図である。 図5に示すシリンダヘッドの正面図である。 図5に示すシリンダヘッドの背面図である。 図7のB−B線矢視断面図である。 図8のC−C線矢視断面斜視図である。 図8のD−D線矢視断面図である。
符号の説明
10 内燃機関
14 シリンダブロック
14a シリンダボア
15 シリンダヘッド
15a プラグ座
23 クランク軸
37 カムチェーン室
37a カムチェーン
38 カム軸収容室
38a カム軸
39 凹部
101 冷却風通路
102 冷却風導入口
103 冷却風導出口
104 第1冷却風導入通路
105 第2冷却風導入通路

Claims (4)

  1. 複数のシリンダボアを有するシリンダブロックと、
    前記シリンダブロックの上部に配置されるシリンダヘッドと、
    前記シリンダヘッドにクランク軸と平行に2本並べて配置されるカム軸と、
    前記シリンダヘッドに形成され、前記カム軸をそれぞれ収容するカム軸収容室と、
    前記カム軸収容室間に設けられる凹部と、
    前記カム軸間において前記凹部に形成されるプラグ座と、
    前記シリンダボア間に形成される冷却風通路と、を備える内燃機関の冷却構造において、
    前記冷却風通路から前記シリンダヘッドの前記凹部に連通する冷却風導入通路を更に備えることを特徴とする内燃機関の冷却構造。
  2. 気筒配列方向中央部にカムチェーンを収容するカムチェーン室が形成され、
    前記冷却風導入通路が、前記カムチェーン室に隣接して配置され、
    前記凹部の気筒配列方向端部が外側に開放して形成されることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の冷却構造。
  3. 前記冷却風導入通路が、前記シリンダボア間でシリンダ中心を結ぶ線より前後にそれぞれ形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の冷却構造。
  4. 前記カム軸収容室は、前記凹部側にオーバーハングして形成され、
    前記冷却風導入通路の少なくとも一部が、前記シリンダヘッドの上面視において、前記カム軸収容室のオーバーハング部分で隠れる位置に形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関の冷却構造。
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