JP2009220825A - 集合包装用発泡緩衝材 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、ポリプロピレン系樹脂発泡体よりなり、相対向する二組の側壁によって形成される枠体内に、一組の側壁の長さ方向に沿って、箱状等の物品を保持するための物品毎の収納空間が複数並設された集合包装用緩衝材であって、収縮が小さく、内倒れ等がなく歪みが小さい集合包装用発泡緩衝材を提供することである。
【解決手段】ポリプロピレン系樹脂としてポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が10万以上であり、メルトフローレート(MFR)が1g/10分以上であって、且つ、下記式を満たすポリプロピレン系樹脂を用いることによって上記課題が解決される。
MFR(g/10分)≦16−2.5×10-5Mw
[式中、Mwはポリプロピレン系樹脂のポリスチレン換算重量平均分子量を表す。]
【選択図】 図2

Description

本発明は、発泡合成樹脂体よりなる、包装用の緩衝材に関するものであり、更に詳しくは、例えば、フロッピーディスク(以下「FD」と略称する。)、ハードディスク(以下「HD」と略称する。)、又は、コンパクトディスク・リードオンリーメモリー(以下「CD−ROM」と略称する。)等のドライブユニット等の箱状の電子機器、又はガラス基板などの板状の電子部品、等の物品を、同時に多数包装するための、集合包装用の緩衝材に関するものである。
上記のような箱状の電子機器または板状の電子部品等の物品を、同時に多数包装するための集合包装用の緩衝材としては、一般に、発泡ポリスチレン、発泡ポリエチレン、発泡ポリプロピレン、発泡ポリウレタン等の発泡合成樹脂体を使用し、その構造は、図1に例示すように、相対向する二組の側壁4、4、9、9で形成される枠体3内に、一組の側壁4,4の長さ方向にそって、箱状または板状の物品を保持するための物品毎の収納空間8を複数並設するように設計される。そして、図示しないFDやHDのドライブユニット等の電子機器類等が、各収納空間8に嵌め込まれ、多数の物品を並列状態とし、この枠体3を、更にダンボール紙等で作成した外箱20内に内装して、同じく発泡合成樹脂で作成した蓋形状の緩衝材22を充てがったうえで包装される。
発泡合成樹脂のなかで発泡ポリプロピレンは耐熱性があり機械強度が大きいため、重量が大きい物品の包装等によく使用される。発泡ポリプロピレンよりなる集合包装用の緩衝材は通常、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を集合包装緩衝材成形用金型内に充填し、水蒸気等で加熱して発泡粒子を発泡させ粒子同士を融着させる型内発泡成形により得られる。
しかしながら、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を用いて得られる型内発泡成形体は、通常金型の大きさに比較し収縮している。特に、高発泡倍率の成形体の場合、大きい収縮が生じる。箱形状や枠形状のポリプロピレン系樹脂発泡成形体において収縮が生じると、全体が均一に収縮せず、成形体が直方体でなく、例えば図10に示すように、各側面の中央部付近が内側に湾曲した形状になる。特に箱形状の場合、このような湾曲は内倒れと呼ばれている。
例えば図2、8、9に示すような集合包装用の緩衝材の場合、このような湾曲が生じると各収納空間の寸法が同一でなくなり、収納すべき物品を収納できなくなったり、物品と緩衝材の間の隙間が広くなったりする。型内成形された緩衝材を50℃〜100℃の雰囲気中において一定時間養生することにより収縮はある程度回復するが、通常、金型の大きさまで回復しない。
従って、箱形状や枠形状の成形体における側面の湾曲を防止するため、成形体の収縮が出来るだけ小さいことが求められる。また、養生時間を短縮させるためにも成形体の収縮が出来るだけ小さいことが望ましい。
特許文献1は、特定の2種のポリプロピレン系樹脂を混合したものを基材樹脂とすることにより、成形体の収縮を小さくして、内倒れを防止することを開示している。特許文献2は、石油樹脂、テルペン樹脂の1種以上および親水性ポリマー、トリアジン骨格を有する化合物のうち1種以上を含むポリプロピレン系樹脂組成物を基材樹脂とすることにより、成形体の収縮を小さくして、内倒れを防止することを開示している。また、特許文献3には、プロピレン系共重合体を基材樹脂とする発泡粒子であって、発泡粒子から求められるZ平均分子量が120万以上であるプロピレン系樹脂発泡粒子から得られる発泡体が優れた表面平滑性、収縮回復性及び融着性を有すること、また養生時間の短縮を図ることができることが開示されている。
特開2006−96805号公報 特開2007−302784号公報 特開2000−198872号公報
本発明の目的は、収縮が小さく、そのため内倒れ等の歪みがなく、各収納空間の寸法が同一である、特許文献1〜3とは別異の技術に基づく新規な集合包装用の緩衝材を提供することである。
本発明者は発泡粒子の原料として特定のポリスチレン換算重量平均分子量(以下、Mwと表記する場合がある)及びメルトフローレート(以下、MFRと表記する場合がある、単位はg/10分)を有するポリプロピレン系樹脂を使用することにより上記課題が解決されることを見いだした。すなわち本発明は次の集合包装用の緩衝材である。
(1)ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を用いた型内成形発泡体よりなり、相対向する二組の側壁によって形成される枠体内に、一組の側壁の長さ方向に沿って、箱状または板状の物品を保持するための物品毎の収納空間が複数並設された集合包装用緩衝材において、前記発泡粒子を構成するポリプロピレン系樹脂としてポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が10万以上であり、メルトフローレート(MFR)が1g/10分以上であって、且つ、下記式(I)を満たすポリプロピレン系樹脂を用いることを特徴とする集合包装用発泡緩衝材。
MFR(g/10分)≦16−2.5×10-5Mw (I)
[式中、MFRはメルトフローレート、Mwはポリプロピレン系樹脂のポリスチレン換算重量平均分子量、を表す。]
(2)ポリプロピレン系樹脂の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が4.5以下である(1)に記載の集合包装用発泡緩衝材。
(3)ポリプロピレン系樹脂の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が4以下である(2)に記載の集合包装用発泡緩衝材。
(4)ポリプロピレン系樹脂のZ平均分子量(Mz)が110万以下である請求項(1)〜(3)いずれかに記載の集合包装用発泡緩衝材。
(5)ポリプロピレン系樹脂がエチレンに基づく共重合成分を含む樹脂である(1)〜(4)のいずれかに記載の集合包装用発泡緩衝材。
(6)ポリプロピレン系樹脂が前記共重合成分を1〜10重量%含む樹脂である(5)に記載の集合包装用発泡緩衝材。
(7)ポリプロピレン系樹脂が前記共重合成分を3.5〜6重量%含む樹脂である(6)に記載の集合包装用発泡緩衝材。
(8)ポリプロピレン系樹脂が過酸化物により減成処理された樹脂である(1)〜(7)いずれかに記載の集合包装用発泡緩衝材。
(9)ポリプロピレン系樹脂発泡粒子が一旦製造された発泡粒子をさらに発泡させることによって得られる発泡粒子である(1)〜(8)のいずれかに記載の集合包装用発泡緩衝材。
(10)発泡倍率が30〜60倍である(1)〜(9)いずれかに記載の集合包装用発泡緩衝材。
(11)発泡倍率が35〜50倍である(10)に記載の集合包装用発泡緩衝材。
本発明の集合包装用の緩衝材は、原料樹脂として特定のMw及びMFRを有するポリプロピレン系樹脂を使用することにより、収縮を小さくすることができるため、内倒れ等の歪みがなく、各収納空間の寸法が同一であり、収納すべき物品を収納しやすく、物品と緩衝材の間の隙間がないものとすることができる。
図1〜図7は、本発明に係る集合包装用緩衝材の一例を示すものである。図1は、集合包装用緩衝材1の使用状態の説明用斜視図であり、図2は集合包装用緩衝材1の斜視図、図3は集合包装用緩衝材1の平面図、図4は同側面図、図5は同正面図である。また、図6は図3におけるA−A断面図、図7は図3におけるB−B断面図である。また、図8は、後述の本発明の実施例で製造した集合包装用緩衝材の斜視図、図9は、同実施例で製造した他の集合包装用緩衝材の斜視図であり、図10は、図9に示す集合包装用緩衝材において内倒れが生じた状態を示す斜視図である。尚、図8および9については、図2に示す集合包装用緩衝材1と同等の機能を有するものであり、図2乃至7に示す構造に対応する部分に同等の符号を付し、説明を省略する。
本発明に係る集合包装用緩衝材1は、本発明に係る所定条件を満たす発泡ポリプロピレンにて作製されており、底壁2の上面に平面視略矩形状の枠体3が一体に形成されている。この枠体3の長辺側の一対の側壁4、4間には中間壁5が形成されており、左右の側壁4、4内面と、中間壁5の両側面には、互いに対応する複数対のリブ6、7が形成されており、これらのリブ6、7により、中間壁5の左右に、FD、HD、CD−ROMのドライブユニット等の電子機器、又はガラス基板などの板状の電子部品、等の箱状又は板状の物品Mを、立てた状態で収納するための複数の収納空間8が、互いに重畳状態で収納空間8に収納される物品M(図3にのみ図示)の面が、枠体3の前後に位置する他の一対の側壁9、9に対面するように形成されている。
尚、図1〜7に例示のものでは、前後の側壁9、9の外面には、その上端部に横方向のリブ10が形成され、更にこの横リブ10から下方に縦方向のリブ11が形成されており、これらのリブ10、11が側壁9の外面を構成している。また、左右の側壁4、4の外面には横方向のリブ13と、この横リブ13から下方に複数の縦方向のリブ14が形成されている。前記横方向のリブ13は、側壁4の上端より下方に下がった位置に形成されている。これらのリブにより落下したときの衝撃が緩衝される。
また、前記各収納空間8は、これに収納される物品Mが対面する前後の側壁9、9の外面に対する角度が、例えば約15°となるように斜めに設けてもよい。これにより、特に側面落下時の衝撃が包装された物品に斜めに作用するため、包装される物品を、落下等に伴う衝撃から保護することができる。
更に、枠体3の左右の側壁4、4の内面には、これらの側壁4、4の長さ方向にそって並設された各収納空間8のそれぞれに対応して、収納空間8内に開口する平面視半円状の縦方向の凹溝を形成してもよい。側面落下等により側面から衝撃を受けると、このような凹溝により枠体の全体がアコーディオンのように歪むことで、各収納空間における衝撃のバラツキが抑制され、各収納空間に収納された物品を均一に保護することができる。
尚、この緩衝材1の四隅の角部には、隣接する側壁4、9に対して平面視で傾斜したテーパー面15が形成されており、又、枠体3の底壁2下面には、枠体3の長さ方向にそって、四条のリブ16が形成されている。
この集合包装用緩衝材1は、枠体3に形成された、複数の収納空間8のそれぞれに、FD、HDもしくはCD−ROM等のドライブユニット、又はガラス基板等の物品を、立てた状態で嵌め込んで収納し、これを更に図1に示すように、ダンボール箱等の外箱20に内装し、その上から集合包装用緩衝材1と同じく発泡合成樹脂体で作成した蓋形状の緩衝材22を充てがい、蓋21、23を閉じ、包装される。
本発明の集合包装用発泡緩衝材の原料となるポリプロピレン系樹脂は、共重合成分としてエチレンを含むことが好ましい。エチレンを含有すると発泡粒子や型内発泡成形体を容易に得ることができる。好ましいエチレン含量は1〜10重量%、さらには1〜7重量%、さらには2〜7重量%、さらには3〜7重量%、さらには3.5〜6重量%、特には3.5〜5重量%である。なお、ポリプロピレン系樹脂中のエチレンに基づく共重合成分の含有量は13C−NMRを用いて測定することができる。
本発明において用いるポリプロピレン系樹脂は、モノマーとしてプロピレンを80重量%以上含むものが好ましく、エチレン以外の他の共重合成分を含んでいてもよい。他の共重合成分としては、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3,4−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、3−メチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンなどの炭素数4〜12のα−オレフィン;シクロペンテン、ノルボルネン、テトラシクロ[6,2,11,8,13,6]−4−ドデセンなどの環状オレフィン;5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエンなどのジエン;塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、無水マレイン酸、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼンなどのビニル単量体などが挙げられ、これらを一種または二種以上使用することが出来る。
本発明において用いるポリプロピレン系樹脂はランダム共重合体、ブロック共重合体のどちらでも用いることができる。特に汎用性の高い、エチレン−プロピレンランダムコポリマーあるいはエチレン−プロピレン−ブテンランダムターポリマーを用いることが好ましい。エチレン含量が1〜7重量%、さらには、3〜7重量%、さらには3.5〜6重量%、特には3.5〜5重量%であるエチレン−プロピレンランダムコポリマー、あるいは、エチレン−プロピレン−ブテンランダムターポリマーが好ましい。
図11に、本発明において用いるポリプロピレン系樹脂のMwとMFRの範囲を太線の三角形で示す。
本発明において使用するポリプロピレン系樹脂は、図11に示すように、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が10万以上であり、メルトフローレート(MFR)が1g/10分以上であって、且つ、下記式(I)を満たすMFRを有する。
MFR≦16−2.5×10-5Mw (I)
式中、MFRはポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(単位はg/10分)、Mwはポリプロピレン系樹脂のポリスチレン換算重量平均分子量を表す。
従来の、型内成形用発泡粒子に用いられているポリプロピレン系樹脂は、上記式(I)を満たさないMwとMFRを有することが多い(図11において本発明を示す範囲の右側の領域)。
例えば、特開2000−198872(特許文献3)に開示されたポリプロピレン系樹脂と本発明に係る樹脂とを対比すると次のようになる。前記公報には、プロピレン系共重合体を基材樹脂とする発泡粒子であって、発泡粒子から求められるZ平均分子量、MFI等の物性が実施例および比較例において開示されており、その実施例に用いられているポリプロピレン系樹脂についてMwを横軸に、MFRを縦軸にプロットすると図11に示す関係(プロットa〜g)になる。図中のa〜gは、それぞれ前記公報の実施例1〜7に用いられた樹脂1〜7にあたり、いずれの樹脂も本発明の領域には含まれないことが分かる。
このように前記公報に例示されるMwとMFRを有するポリプロピレン系樹脂を使用する場合に比較し、本発明で規定する範囲であって、同じMwのポリプロピレン系樹脂を使用する場合には、収縮が小さく、歪みが小さい型内成形体を与える発泡粒子を得ることができるのであるが、その理由は、発明者による詳細な検討の結果、同じMwを有する樹脂であれば、MFRの小さい樹脂が小さい収縮率を有する発泡成形体を与えることができると推測されたことによるものである。
この点は、後述の本発明の実施例と比較例からも明らかであるが、前記公報を例に説明すると、図11において、例えばプロットaに対応する樹脂1とプロットgに対応する樹脂7はほぼ同じエチレン含量とMwを有しているが、前記公報によれば樹脂1を用いた発泡成形体は小さい収縮率を有しており、樹脂7を用いた発泡成形体は大きい収縮率を有していることからも裏付けられる。
さらに、本発明において使用するポリプロピレン系樹脂は、下記式(II)を満たすMFRを有することが好ましく、下記式(III)あるいは(IV)を満たすMFRを有することがさらに好ましく、下記式(V)あるいは(VI)を満たすMFRを有することが特に好ましい。
MFR≦15.5−2.5×10-5Mw (II)
9.5−2.5×10-5Mw≦MFR≦16−2.5×10-5Mw (III)
9.5−2.5×10-5Mw≦MFR≦15.5−2.5×10-5Mw (IV)
13−2.5×10-5Mw≦MFR≦16−2.5×10-5Mw (V)
13−2.5×10-5Mw≦MFR≦15.5−2.5×10-5Mw (VI)。
本発明において使用するポリプロピレン系樹脂は図11に示したように、10万以上のMwを有する。Mwが10万未満であるとMFRが大きくなり、発泡能力があるポリプロピレン系樹脂発泡粒子を得るのが困難になる。ポリプロピレン系樹脂のMwは20万以上が好ましく、30万以上がさらに好ましい。
本発明において使用するポリプロピレン系樹脂のMFRは、図11に示したように、1g/10分以上であり、好ましくは2g/10分以上である。MFRが1g/10分未満であると、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を得るのが困難になる。本発明において使用するポリプロピレン系樹脂のMFRの上限は7g/10分未満であることが好ましい。さらに、本発明において使用するポリプロピレン系樹脂のMFRは、2〜6g/10分、特には3〜6g/10分が好ましい。
また、本発明において使用するポリプロピレン系樹脂のMwと数平均分子量(以下、Mnと表記する場合がある)の比(Mw/Mn)は4.5以下であることが好ましく、さらには4.0以下、特には1.5以上4.0以下が好ましい。Mw/Mnが4.5を越える場合、型内発泡成形体の収縮率が大きくなる傾向にある。また、本発明において使用するポリプロピレン系樹脂は、Z平均分子量(以下、Mzと表記する場合がある)が110万以下、特には100万以下、であってよい。
MFRは、JIS−K7210記載のMFR測定器を用い、オリフィス2.0959±0.005mmφ、オリフィス長さ8.000±0.025mm、荷重2160g、230±0.2℃の条件下で測定する。
また、本発明のMn、Mw及びMzは以下の条件において測定される。
測定機器: Waters社製Alliance GPC 2000型 ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)
カラム: TSKgel GMH6−HT 2本、TSKgel GMH6−HTL 2本(それぞれ、内径7.5mm×長さ300mm、東ソー社製)
移動相: o−ジクロロベンゼン(0.025%BHT含有)
カラム温度: 140℃
流速: 1.0mL/min
試料濃度: 0.15%(W/V)−o−ジクロロベンゼン
注入量: 500μL
分子量較正: ポリスチレン換算(標準ポリスチレンによる較正)
本発明において使用するポリプロピレン系樹脂は、例えば、ポリプロピレン樹脂を有機過酸化物で酸化分解(減成処理)して製造することができる。所望のMwおよびMFRを有するポリプロピレン系樹脂は、元になるポリプロピレン系樹脂の種類、有機過酸化物の種類や量及び酸化分解温度や時間を調整して得ることができる。ポリプロピレン樹脂を酸化分解すると通常、分子量が低下し、MFRが増大する傾向にある。従って、Mw等分子量が大きくMFRが小さいポリプロピレン樹脂を酸化分解して本発明において使用するポリプロピレン系樹脂を得ることができる。
有機過酸化物の使用量は、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.001〜0.1重量部であることが好ましい。ポリプロピレン樹脂を分解するには、有機過酸化物を添加したポリプロピレン系樹脂を押出機内で加熱溶融により行うことができる。
使用しうる有機過酸化物としては、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート等が挙げられる。
本発明において使用するポリプロピレン系樹脂は、メタロセン触媒、ポストメタロセン触媒等の触媒を用いて、重合条件を調整することで得ることもできる。汎用のポリプロピレン系樹脂を有機過酸化物で分解する方法を用いると所望のMFRやMw等を有するポリプロピレン系樹脂を容易に得ることができるため好ましい。メタロセン触媒、ポストメタロセン触媒等の触媒を用いて得られたポリプロピレン系樹脂をさらに有機過酸化物で分解する方法を用いることもできる。
本発明において使用するポリプロピレン系樹脂は無架橋の状態が好ましいが、有機過酸化物や放射線等で処理することにより架橋を行っても良い。また、2以上のポリプロピレン系樹脂を混合しても良い。
また、ポリプロピレン系樹脂の以外に、他の熱可塑性樹脂、例えば低密度ポリエチレン、直鎖状密度ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブテン、アイオノマー等をポリプロプレン系樹脂の特性が失われない範囲で混合使用しても良い。
本発明において使用するポリプロピレン系樹脂の融点は、130℃以上150℃以下であることが好ましく、さらに好ましくは132℃以上145℃以下である。融点が当該範囲内であると、よく用いられている0.4MPa耐圧仕様の成形機でも良好な型内発泡成形体が得られる傾向にある。
融点の測定法は次のとおりである。示差走査熱量計(DSC)を用いて、ポリプロピレン系樹脂粒子試料5〜6mgを10℃/minの昇温速度で40℃から220℃まで昇温して樹脂を融解する。次に10℃/minで220℃から40℃まで降温することにより結晶化させる。結晶化後さらに10℃/minで40℃から220℃まで昇温する。2回目の昇温時に得られるDSC曲線において、融解ピーク温度を融点とする。
上記ポリプロピレン系樹脂は通常、発泡粒子を製造し易いように、押出機、ニーダー、バンバリーミキサー、ロール等を用いて溶融し、円柱状、楕円状、球状、立方体状、直方体状等の樹脂粒子形状に加工しておくことが好ましい。樹脂粒子の大きさは、一粒の重量が0.1mg〜30mgであることが好ましく、0.3mg〜10mgがより好ましい。樹脂粒子の一粒の重量は、樹脂粒子をランダムに100粒から得られる平均樹脂粒子重量であり、mg/粒で表示する。
樹脂に添加剤を加える場合、上記ポリプロピレン系樹脂粒子の製造前にブレンダー等を用い原料樹脂と混合することが好ましい。また、溶融した樹脂中に添加剤を添加してもよい。添加剤の例としてセル造核剤が挙げられる。プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等の炭化水素系発泡剤を使用する場合は、タルク、シリカ、炭酸カルシウムのような無機造核剤をポリプロピレン系樹脂100重量部に対して0.005〜0.5重量部添加することが好ましい。また、空気、窒素、炭酸ガス、水等の無機発泡剤を使用する場合は、前記無機造核剤および/または吸水物質を使用することが好ましい。
吸水物質の具体例として、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硼砂、硼酸亜鉛等の水溶性無機物、メラミン、イソシアヌル酸、メラミン・イソシアヌル酸縮合物等の吸水性有機物、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド等のポリエーテル、ポリエーテルのポリプロピレン等への付加物やこれらのアロイ、エチレン(メタ)アクリル酸共重合体のアルカリ金属塩、ブタジエン(メタ)アクリル酸共重合体のアルカリ金属塩、カルボキシル化ニトリルゴムのアルカリ金属塩、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体のアルカリ金属塩及びポリ(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩等の親水性ポリマーが挙げられる。
吸水物質の添加量は、目的とする発泡倍率、使用する発泡剤、使用する吸水物質の種類によって異なるが、水溶性無機物を使用する場合、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.01〜1重量部であることが好ましく、吸水性有機物を使用する場合、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して0.1〜5重量部であることが好ましく、親水性ポリマーを使用する場合、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、0.1〜5重量部であることが好ましい。また、これら、水溶性無機物、吸水性有機物や親水性ポリマーを2種以上併用してもよい。
更に、ポリプロピレン系樹脂粒子の製造の際、必要により着色剤、帯電防止剤、酸化防止剤、リン系加工安定剤、ラクトン系加工安定剤、金属不活性剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾエート系光安定剤、ヒンダードアミン系光安定剤、難燃剤、難燃助剤、酸中和剤、結晶核剤、アミド系添加剤等の添加剤を、ポリプロピレン系樹脂の特性を損なわない範囲内で添加することができる。
前記ポリプロピレン系樹脂粒子は、従来から知られている方法を利用してポリプロピレン系樹脂発泡粒子とすることが出来る。例えば次の方法をあげることができる。ポリプロピレン系樹脂粒子を耐圧容器内で分散媒に分散させ、発泡剤を添加する。次にポリプロピレン系樹脂粒子が軟化する温度以上、好ましくはポリプロピレン系樹脂粒子の融点−25℃以上でポリプロピレン系樹脂粒子の融点+25℃以下、更に好ましくはポリプロピレン系樹脂粒子の融点−15℃以上でポリプロピレン系樹脂粒子の融点+15℃以下の範囲の温度に加熱し、加圧して、ポリプロピレン系樹脂粒子内に発泡剤を含浸させる。この後、耐圧容器の一端を開放してポリプロピレン系樹脂粒子を耐圧容器内よりも低圧の雰囲気中に放出することによりポリプロピレン系樹脂発泡粒子を製造する。
ポリプロピレン系樹脂粒子を分散させる耐圧容器には特に制限はなく、発泡粒子製造時における容器内圧力、容器内温度に耐えられるものであればよいが、例えばオートクレーブ型の耐圧容器があげられる。
前記分散媒としては、メタノール、エタノール、エチレングリコール、グリセリン、水等が使用できるが、中でも水を使用することが好ましい。
分散媒中、ポリプロピレン系樹脂粒子同士の合着を防止するために、分散剤を使用することが好ましい。分散剤として、第三リン酸カルシウム、第三リン酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カオリン、タルク、クレー等の無機系分散剤が例示できる。
また、分散剤と共に分散助剤を使用することが好ましい。分散助剤の例としては、N−アシルアミノ酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド等のカルボン酸塩型、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸塩等のスルホン酸塩型、硫酸化油、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩等の硫酸エステル型、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンリン酸塩、アルキルアリルエーテル硫酸塩等のリン酸エステル型等の陰イオン界面活性剤をあげることができる。また、マレイン酸共重合体塩、ポリアクリル酸塩等のポリカルボン酸型高分子界面活性剤、ポリスチレンスルホン酸塩、ナフタルスルホン酸ホルマリン縮合物塩などの多価陰イオン高分子界面活性剤も使用することができる。
分散助剤として、スルホン酸塩型の陰イオン界面活性剤を使用することが好ましく、さらには、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩から選ばれた1種もしくは2種以上の混合物を用いるのが好ましく、アルキルスルホン酸塩を使用することがより好ましく、疎水基として炭素数10〜18の直鎖状の炭素鎖を持つアルキルスルホン酸塩を使用することが、発泡粒子に付着する分散剤を低減できるため特に好ましい。
これらの中でも、分散剤として第三リン酸カルシウム、第三リン酸マグネシウム、硫酸バリウムまたはカオリン、分散助剤としてn−パラフィンスルホン酸ソーダを併用することが好ましい。
分散剤や分散助剤の使用量は、その種類や、用いるポリプロピレン系樹脂の種類と使用量によって異なるが、通常、分散媒100重量部に対して分散剤0.2〜3重量部を配合することが好ましく、分散助剤0.001〜0.1重量部を配合することが好ましい。また、ポリプロピレン系樹脂粒子は、分散媒中での分散性を良好なものにするために、通常、分散媒100重量部に対して、20〜100重量部使用するのが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を製造するに当たり、発泡剤の種類に特に制限はなく、例えば、プロパン、イソブタン、ノルマルブタン、イソペンタン、ノルマルペンタン等の脂肪族炭化水素;空気、窒素、二酸化炭素等の無機ガス;水等およびそれらの混合物を用いることができる。これらの中では安全性等の点および本発明の効果を大きく利用できる点から無機ガス、特に二酸化炭素が好ましい。発泡剤として水を使用する場合、分散媒として使用する水を使用することが出来る。
一旦製造されたポリプロピレン系樹脂発泡粒子に空気等の不活性ガスを含浸させて発泡力を付与した後、加熱により更に発泡させてより高倍率のポリプロピレン系樹脂発泡粒子を製造する二段発泡法を採用することもできる。この方法により高発泡倍率の発泡粒子を得ることができる。また、二段発泡された発泡粒子をさらに発泡させてもよい。なお、本発明において、もとのポリプロピレン系樹脂発泡粒子を「一段発泡粒子」、得られたより高倍率のポリプロピレン系樹脂発泡粒子を「二段発泡粒子」と称する場合がある。
本発明において使用されるポリプロピレン系樹脂発泡粒子の発泡倍率は、特に限定されないが、2〜60倍、好ましくは3〜40倍である。特に20〜40倍、さらに25〜35倍、さらに25〜33倍、さらに26〜33倍の範囲が好ましい。
本発明において使用されるポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、その示差走査熱量計(DSC)測定(試料3〜6mg、温度範囲40℃〜220℃、昇温速度10℃/分)で得られるDSC曲線において、低温側と高温側に2つの融解ピークを有することが好ましい。ポリプロピレン系樹脂発泡粒子が2つの融解ピークを有すると、型内発泡成形行う際、加熱温度範囲等の成形条件の幅が広くなる。
DSC曲線の2つの融解ピークに対応する、低温側融解熱QLと高温側融解熱QHから算出できる、高温側の融解熱の比率(QH/(QH+QL)×100)(以下、DSC比という場合がある)が10〜40%の範囲にあることが好ましい。ここで、低温側の融解熱QLは、低温側融解ピークと高温側融解ピークの間の極大点から融解開始温度付近のベースラインへ引いた接線と低温側融解ピークで囲まれる領域に相当する熱量である。また、高温側融解ピーク熱量QHは、前記極大点から融解終了温度付近のベースラインへ引いた接線と高温側融解ピークで囲まれる領域に相当する熱量である。
DSC比が10%未満では、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の独立気泡率が低く、型内発泡成形体の収縮率が大きくなる傾向にある。DSC比が40%を超えると、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の型内発泡成形する際の2次発泡力が十分得られない場合があり、粒子同士の融着の劣る型内発泡成形体が得られる場合がある。
本発明の集合包装用発泡緩衝材を製造するため、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を型内発泡成形に用いる場合には次のような従来既知の方法が使用しうる。(イ)そのまま用いる方法、(ロ)あらかじめ発泡粒子中に空気等の無機ガスを圧入し、発泡能を付与する方法、(ハ)発泡粒子を圧縮状態で金型内に充填し成形する方法。
これらの中でも、あらかじめ発泡粒子中に空気等の無機ガスを圧入し、発泡能を付与する(ロ)の方法が好適である。具体的には次の型内発泡成形法によって型内発泡成形体を得ることが出来る。
[1]ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を耐圧容器内で空気加圧し、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子中に空気を圧入することにより発泡能を付与する。
[2]得られたポリプロピレン系樹脂発泡粒子を2つの金型からなる、閉鎖しうるが密閉し得ない成形空間内に充填する。
[3]水蒸気などを加熱媒体として0.2〜0.4MPa(G)程度のスチーム圧で3〜30秒程度の加熱時間で成形し、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子同士を融着させる。
[4]金型を水冷する。
[5]金型を開いて、型内発泡成形体を取り出す。
本発明の集合包装用発泡緩衝材の発泡倍率は、特に限定されないが、3〜90倍、好ましくは4〜60倍である。従来のポリプロピレン発泡成形体は30〜60倍の高発泡倍率の場合、型内発泡成形体の収縮が生じやすい。従って、本発明において用いるポリプロピレン系樹脂発泡粒子から得られる集合包装用発泡緩衝材は30〜60倍、さらに35〜55倍、さらに40〜50倍の発泡倍率を有する場合、有用である。
つぎに、本発明を実施例及び比較例に基づき説明する。なお、断りのない限り「部」「%」は重量基準である。なお、発泡粒子や型内発泡成形体の評価方法は次のとおりである。
(ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の発泡倍率)
発泡粒子3〜10g程度を取り、60℃で6時間乾燥したのち重量W(g)および水没体積V(cm3)を測定する。発泡倍率はポリプロピレン系樹脂の樹脂密度0.9(g/cm3)から次式によって計算される。
発泡倍率=V/(W/0.9)
(平均気泡径)
発泡粒子から任意に10個を取り出し、気泡膜が破壊されないように充分注意して発泡粒子を切断する。切断面の拡大顕微鏡写真(×100倍)において、表層部を除く部分に長さ2mmに相当する線分を引き、該線分が通る気泡数を数える。他の9個の発泡粒子についても同様に、気泡数を数え、発泡粒子10個の気泡数の平均を平均気泡数とする。発泡粒子の平均気泡径は、2mmを平均気泡数で除して計算される。
(型内発泡成形体の発泡倍率)
型内発泡成形体の乾燥重量W(g)、水没体積V(cm3)およびポリプロピレン系樹脂の樹脂密度0.9(g/cm3)から次式によって計算される。
型内発泡成形体の発泡倍率=V/(W/0.9)
(型内発泡成形体の収縮率)
収縮率は、外形寸法が400mm×300mm×20mmの平板成形用金型から得られた型内発泡成形体を用いて評価した。成形後、室温で1時間静置し、つぎに75℃で3時間養生した。さらに室温で1時間静置し、型内発泡成形体の長手方向の長さを測定した。さらに型内発泡成形体が一定の寸法になるまで75℃での養生と室温での静置を繰り返し、長手方向の長さを測定し、金型の長さに対する割合を収縮率とした。
(型内発泡成形体の融着率)
上記の、75℃で3時間養生しさらに室温で1時間静置した型内発泡成形体の表面に幅方向にナイフで約5mmの深さのクラックを入れた。このクラックに沿って型内発泡成形体を割り、破断面を観察した。破断面の全粒子数に対する破壊粒子数の割合を型内発泡成形体の融着率とした。
(型内発泡成形体の表面性)
上記の、75℃で3時間養生しさらに室温で1時間静置した型内発泡成形体の表面を観察した。表面性は次の基準により評価した。
◎:しわ、粒間少なく、美麗
〇:僅かなしわ、粒間あるが良好
×:しわ、ヒケがあり外観不良
実施例と比較例に使用したポリプロピレン系樹脂は次のとおりである。
ポリプロピレン樹脂A:有機過酸化物により減成処理されたエチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン含量:4.0重量%、MFR:5.2g/10分、Mn:10万、Mw:37万、Mz:94万、Mw/Mn:3.7、融点:137℃。
ポリプロピレン樹脂B:エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン含量:3.4重量%、MFR:6.1g/10分、Mn:9.1万、Mw:43万、Mz:130万、Mw/Mn:4.7、融点:141℃。
(実施例)
ポリプロピレン樹脂A100部、タルク0.05部及び平均分子量300のポリエチレングリコール0.5部を混合した。混合物を50mmφ単軸押出機に供給し、溶融混練したのち、直径1.8mmφの円筒ダイより押出した。押し出されたストランドを水冷後、カッターで切断し、円柱状のポリプロピレン樹脂粒子(1.2mg/粒)を得た。
得られたポリプロピレン樹脂粒子100部を、純水200部、第3リン酸カルシウム1.0部およびドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.05部とともに耐圧密閉容器に投入し脱気した。次に内容物を攪拌しながら炭酸ガス6部を密閉容器内に入れ、143℃に加熱した。このときの圧力は3MPaであった。次に密閉容器下部のバルブを開いて、内容物(樹脂粒子および水系分散媒)を直径4mmφのオリフィスを通じて大気圧下に放出して発泡粒子(一段発泡粒子)を得た。放出中は容器内の圧力が低下しないように、炭酸ガスで容器内圧力を保持した。
得られた一段発泡粒子は示差走査熱量計測定において、131℃と151℃に2つの融点を示し、発泡倍率及び平均気泡径はそれぞれ15倍、137μmであった。
得られた発泡粒子(一段発泡粒子)を60℃にて6時間乾燥させたのち、耐圧容器内にて、加圧空気を含浸させて、内圧を約0.4MPaにしたのち、約0.08MPa(G)の蒸気と接触させることで2段発泡させ、発泡倍率30倍、DSC比23.5%の二段発泡粒子を得た。
二段発泡させた発泡粒子を再度、耐圧容器内にて空気で加圧し、約0.17MPaの内圧を付与した。得られた発泡粒子を平板成形用金型(400mm×300mm×20mm)内に充填し、0.26MPa(G)の蒸気で成形し、発泡倍率44倍の型内発泡成形体を得た。得られた型内発泡成形体の収縮率、融着率及び表面性を表1に示す。
また、上記の二段発泡させた発泡粒子を再度、耐圧容器内にて空気で加圧し、約0.2MPaの内圧を付与した。得られた発泡粒子を図8及び図9に示す集合包装用発泡緩衝材成形用金型内に充填し、0.26MPa(G)の蒸気で成形し、発泡倍率44倍の型内発泡成形体を得た。得られた集合包装用発泡緩衝材を75℃で4時間養生した。養生後の集合包装用発泡緩衝材には内倒れは全くなかった。なお、図8の緩衝材の外寸法は約345mm×320mm×175mmであり、図9の緩衝材の外寸法は約485mm×335mm×110mmである。
(比較例)
ポリプロピレン樹脂Bを用い、ポリプロピレン樹脂粒子の耐圧密閉容器における加熱温度を147℃とする以外は実施例1と同様にして一段発泡粒子を得た。得られた一段発泡粒子は示差走査熱量計測定において、138℃と156℃に2つの融点を示し、発泡倍率及び平均気泡径はそれぞれ16倍、193μmであった。実施例1と同じ条件で二段発泡させ、発泡倍率31倍、DSC比25.0%の二段発泡粒子を得た。得られた二段発泡粒子を用い、実施例1と同じ条件で発泡倍率44倍の型内発泡成形体を得た。得られた型内発泡成形体の収縮率、融着率及び表面性を表1に示す。
Figure 2009220825
表1から明らかなように、比較例に比べ、実施例では発泡成形体の養生3時間後の長さ及び最終長さが大きく、収縮率が小さいことが分かる。このように、本発明に係るポリプロピレン系樹脂発泡粒子を用いることにより、得られる型内発泡成形体の収縮率を小さくすることができ、本発明に係るポリプロピレン系樹脂発泡粒子を原料発泡粒子として使用することにより、内倒れ等がなく、歪みが小さい集合包装用発泡緩衝材を得ることができる。
集合包装用緩衝材、蓋形状の緩衝材および外箱の使用状態を示す斜視図である。 集合包装用緩衝材の斜視図である。 図2に示す集合包装用緩衝材の平面図である。 図2に示す集合包装用緩衝材の側面図である。 図2に示す集合包装用緩衝材の正面図である。 図3におけるA−A断面図である。 図3におけるB−B断面図である。 本発明の実施例で製造した集合包装用緩衝材の斜視図である。 本発明の実施例で製造した他の集合包装用緩衝材の斜視図である。 図9に示す集合包装用緩衝材において、内倒れが発生した際の斜視図である。 MwとMFRの関係を示すグラフである。
符号の説明
1、1’、1” 集合包装用緩衝材
2、2” 底壁
3、3’、3” 枠体
4、4’、4” 側壁
5、5’ 中間壁
6、6’、6” リブ
7、7’ リブ
8、8’、8” 収納空間
9、9’、9” 側壁
10 横リブ
11、11’ 縦リブ
13 横リブ
14、14’ 縦リブ
15、15” テーパー面
16、16’ リブ
20 外箱
21 蓋
22 蓋形状の緩衝材
23 蓋
M 物品

Claims (11)

  1. ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を用いた型内成形発泡体よりなり、相対向する二組の側壁によって形成される枠体内に、一組の側壁の長さ方向に沿って、箱状または板状の物品を保持するための物品毎の収納空間が複数並設された集合包装用緩衝材において、前記発泡粒子を構成するポリプロピレン系樹脂としてポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が10万以上であり、メルトフローレート(MFR)が1g/10分以上であって、且つ、下記式(I)を満たすポリプロピレン系樹脂を用いることを特徴とする集合包装用発泡緩衝材。
    MFR(g/10分)≦16−2.5×10-5Mw (I)
    [式中、MFRはポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート、Mwはポリプロピレン系樹脂のポリスチレン換算重量平均分子量、を表す。]
  2. ポリプロピレン系樹脂の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が4.5以下である請求項1に記載の集合包装用発泡緩衝材。
  3. ポリプロピレン系樹脂の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が4.0以下である請求項2に記載の集合包装用発泡緩衝材。
  4. ポリプロピレン系樹脂のZ平均分子量(Mz)が110万以下である請求項1〜3のいずれかに記載の集合包装用発泡緩衝材。
  5. ポリプロピレン系樹脂がエチレンに基づく共重合成分を含む樹脂である請求項1〜4のいずれかに記載の集合包装用発泡緩衝材。
  6. ポリプロピレン系樹脂が前記共重合成分を1〜10重量%含む樹脂である請求項5に記載の集合包装用発泡緩衝材。
  7. ポリプロピレン系樹脂が前記共重合成分を3.5〜6重量%含む樹脂である請求項6に記載の集合包装用発泡緩衝材。
  8. ポリプロピレン系樹脂が過酸化物により減成処理された樹脂である請求項1〜7のいずれかに記載の集合包装用発泡緩衝材。
  9. ポリプロピレン系樹脂発泡粒子が一旦製造された発泡粒子をさらに発泡させることによって得られる発泡粒子である請求項1〜8のいずれかに記載の集合包装用発泡緩衝材。
  10. 発泡倍率が30〜60倍である請求項1〜9のいずれかに記載の集合包装用発泡緩衝材。
  11. 発泡倍率が35〜50倍である請求項10に記載の集合包装用発泡緩衝材。


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