JP2001151928A - 成型用ポリプロピレン系樹脂発泡粒子 - Google Patents

成型用ポリプロピレン系樹脂発泡粒子

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JP2001151928A
JP2001151928A JP34222099A JP34222099A JP2001151928A JP 2001151928 A JP2001151928 A JP 2001151928A JP 34222099 A JP34222099 A JP 34222099A JP 34222099 A JP34222099 A JP 34222099A JP 2001151928 A JP2001151928 A JP 2001151928A
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polypropylene resin
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molding
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Hidehiro Sasaki
秀浩 佐々木
Akinobu Taira
晃暢 平
Mitsuhiro Akiyama
光宏 秋山
Toshio Tokoro
寿男 所
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JSP Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を金型内に充
填し、加熱発泡させて発泡成型体を製造するに際して、
低発泡倍率に発泡粒子を用いた場合、発泡粒子の二次発
泡性や融着性が不十分となり得られる発泡成型体の全体
の密度が比較的高密度であるのにもかかわらず、機械的
強度に優れた発泡成型体が得られ難いという問題があっ
た。 【解決手段】 本発明は、見かけ密度が100g/L〜
600g/Lのポリプロピレン系樹脂発泡粒子であっ
て、該粒子の気泡膜厚のバラツキが0.7以下で、気泡
の平均気泡径(Lav)が100μm以上であり、かつ発
泡粒子中心部に存在する気泡の気泡径(Lo)と最外壁
部に存在する気泡の気泡径(Ld)との間に、Lo
av >Ld の関係を有するポリプロピレン系樹脂発泡
粒子に関し、このような発泡粒子は二次発泡性や融着性
に優れており比較的低発泡倍率で機械的強度に優れた発
泡成型体を与えることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は成型用ポリプロピレ
ン系樹脂発泡粒子に関し、特に機械的強度に優れた見か
け密度が50g/L〜500g/Lである低発泡倍率の
ポリプロピレン系樹脂発泡成型体、特に、見かけ密度が
90g/L〜450g/Lである低発泡倍率のポリプロ
ピレン系樹脂発泡成型体の製造に好適な成型用ポリプロ
ピレン系樹脂発泡粒子に関する。
【0002】
【従来の技術】近年プラスチック材料の統合の動きなど
から、特にポリプロピレン系樹脂はその機械的強度、耐
熱性、加工性、価格のバランスに優れていること及び易
焼却性、易リサイクル性等の優れた性質を有することか
ら利用分野を拡大しつつある。同様に無架橋ポリプロピ
レン系樹脂型内発泡成型体は、上記ポリプロピレン系樹
脂の優れた性質を失うことなく更に、緩衝性、断熱性等
の特性を付加できるため、包装材料、建築材料、断熱材
料等として広く利用されている。
【0003】さらに近年、無架橋ポリプロピレン系樹脂
型内発泡成型体の優れた性質に着目して、従来無発泡の
インジェクション成型体が利用されてきた構造体用途に
省資源化、軽量化を目的として比較的低発泡倍率の無架
橋ポリプロピレン系樹脂型内発泡成型体が所望されてき
ている。
【0004】従来から、比較的低い発泡倍率のポロプロ
ピレン系樹脂粒子やその発泡粒子を用いた成型体は知ら
れている。例えば特公昭59−43493号公報に記載
の実施例1に見かけの発泡倍率5倍(見かけ密度約18
0g/L)のポリプロピレン系樹脂発泡粒子を金型内で
成型して融着状態、外観が良好で収縮のない成型体が得
られたことが記載されている。また特公昭62−332
53号公報に記載の実施例2には発泡倍率5倍のポリプ
ロピレン系樹脂発泡粒子を型内成型して機械的強度に優
れた発泡成型体を得たことが記載されている。特開昭6
1−4738号公報には発泡成型用として用いられるポ
リプロピレン系樹脂発泡粒子の製造法が記載されてお
り、同公報の表3の実験No.1に嵩密度5倍(見かけ
密度約270g/L)、実験No.5に嵩密度3倍(見
かけ密度約450g/L)、実験No.6に嵩密度7倍
(見かけ密度約193g/L)のポリプロピレン系樹脂
発泡粒子がそれぞれ示されている。尚、嵩密度とは、複
数個の発泡粒子を空のメスシリンダーに入れた時にメス
シリンダーの目盛りが示す体積で該発泡粒子の重量を除
して求められる値である。
【0005】また、特開平4−372630号公報の実
施例5にはポリプロピレン系樹脂を用いた発泡倍率2.
6cm3/g(見かけ密度約385g/L)の発泡粒子
を得たことが記載されている。特開平10−17607
7号公報、実施例1に平均発泡倍率3.6倍(見かけ密
度約250g/L)のポリプロピレン系樹脂発泡粒子を
得たことが記載されている。
【0006】しかしながら、これらの公報には、発泡粒
子の気泡膜の膜厚のバラツキを0.7以下とし、しかも
気泡の平均気泡径(Lav)が少なくとも100μmであ
ってかつ発泡粒子中心部に存在する気泡の気泡径
(Lo)が平均気泡径(Lav)よりも小さく、最外壁部
に存在する気泡の気泡径(Ld)が平均気泡径(Lav
よりも大きく、発泡粒子の中心部に存在する気泡の気泡
径と外壁部に存在する気泡の気泡径を異にした発泡粒子
については開示されていない。上記の特開平4−372
630号公報および特開平10−176077号公報に
は比較的低発泡倍率の発泡粒子が示されているが、これ
らの発泡粒子はいわゆる予備発泡粒子として示されてお
りそのまま成型体とされるのではなく、発泡粒子をさら
に発泡させて高い発泡倍率として成型体とされるもので
あり、本発明における得られた発泡粒子をそのまま型内
成型して比較的低発泡倍率のポリプロピレン系樹脂発泡
成型体を製造するのに適した低発泡粒子とは異なるもの
である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】見かけ密度が50g/
L〜500g/Lの比較的低発泡倍率で機械的強度に優
れたポリプロピレン系樹脂発泡成型体を得るには、通常
見かけ密度が100g/L〜640g/Lのポリプロピ
レン系樹脂発泡粒子を使用することが望ましい。しかし
ながら、そのような密度範囲のポリプロピレン系樹脂発
泡粒子を製造する場合には次のような問題があった。
【0008】すなわち、発泡剤を含有するポリプロピレ
ン系樹脂発泡粒子を加熱することにより、または発泡剤
を含有するポリプロピレン系樹脂粒子を高温高圧下の密
閉容器から低圧域へ急速に放出することにより樹脂粒子
を発泡させて発泡粒子を得る方法において、発泡剤とし
てブタン等の脂肪族炭化水素やフロン等のハロゲン化脂
肪族炭化水素等のごとき有機揮発性物質を使用して比較
的低発泡倍率の発泡粒子を製造した場合は、発泡粒子間
に発泡倍率の大きなバラツキを生じ易く、このような発
泡倍率のバラツキの大きい発泡粒子を使用して成型体を
製造すると、均一な機械的強度を持つ発泡成型体が得ら
れない。
【0009】一方、発泡剤として窒素や空気あるいは水
等の無機系物理発泡剤を主成分とする発泡剤を使用して
比較的低発泡倍率の発泡粒子を製造すると、発泡粒子間
に発泡倍率の大きなバラツキは生じ難いが、反面、発泡
粒子内で大きな気泡の集合部と小さな気泡の集合部が形
成され易い。その結果、発泡粒子内に気泡膜厚みの偏り
が生じ、特に低発泡倍率の発泡粒子ほどその傾向が高
く、あたかも発泡粒子内に高発泡部分と低発泡部分が混
在したかのような状態となる。すなわち、発泡粒子内で
大きな気泡の集合部と小さな気泡の集合部が形成された
場合には、気泡膜厚みの薄い集合部(小さな気泡の集合
部)は成型時に相対的に高発泡倍率の発泡粒子に近い成
型挙動を示すようになり、気泡膜厚みの厚い集合部(大
きな気泡の集合部)は成型時に相対的に低発泡倍率の成
型挙動を示すようになる。その結果、成型時における2
次発泡挙動が不均一になり易く、結果として成型範囲が
極端に狭くなると共に全体の見かけ密度のわりに機械的
強度の低い発泡成型体になってしまうといった問題があ
った。
【0010】ところで、発泡粒子の平均気泡径と実質的
に気泡を形成する気泡膜厚および発泡倍率(発泡粒子の
見かけ密度)には密接な相関があることが知られてお
り、平均気泡径が小さくなると気泡膜も薄くなり、平均
気泡径が大きくなると気泡膜は厚くなる傾向にあること
が広く知られている(日刊工業新聞社発行(昭和48年
2月28日初版発行)のプラスチックフォームハンドブ
ック、第222頁、1・3・2項参照)。その理論によ
ると、平均気泡径が同じ変化をしても低発泡倍率の発泡
粒子ほど気泡膜厚みの変化が大きくなる。例えば、見か
け密度45g/L、平均気泡径200μmのポリプロピ
レン系樹脂発泡粒子の気泡膜厚みは理論上5.6μmで
あり、この平均気泡径が300μmとなると気泡膜厚み
は8.5μmと計算され、その差は2.9μmであるの
に対し、見かけ密度180g/L、平均気泡径200μ
mのポリプロピレン系樹脂発泡粒子の気泡膜厚みは理論
上27.4μmであり、この平均気泡径が300μmと
なると気泡膜厚みは41.2μmと計算され、その差は
13.8μmとなることから、低発泡倍率の発泡粒子ほ
ど気泡膜厚みの変化が大きくなる。
【0011】以上のことから、低発泡倍率の発泡粒子ほ
ど気泡膜厚みのバラツキが大きい場合は、成形時に発泡
粒子が不均一に膨張し、発泡粒子間に空隙が生じ易くな
ったり、発泡成型体の全体密度が比較的高密度であるわ
りに機械的強度が低いという問題が生じてしまう。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者等は比較的低発
泡倍率で機械的強度に優れた発泡成型体を得るのに適し
たポリプロピレン系樹脂発泡粒子について鋭意研究した
結果、発泡粒子の気泡膜厚のバラツキが小さく、気泡径
が特定の条件を満たす発泡粒子が目的を達成することが
できることを見出し、このような条件を満足する発泡粒
子の製造方法について検討を加えることにより、本発明
を完成させるに至った。
【0013】すなわち、本発明は、見かけ密度が100
g/L〜640g/Lのポリプロピレン系樹脂発泡粒子
であって、該発泡粒子は、気泡膜厚のバラツキ(S)が
0.7以下であり、平均気泡径(Lav)が100μm
で、かつ発泡粒子中心部に存在する気泡の気泡径(Lo)
と最外壁部に存在する気泡の気泡径(Ld)の間にLo
av>Ldの関係を有することを特徴とする成型用ポリ
プロピレン系樹脂発泡粒子に関する。
【0014】さらに本発明に係る成型用ポリプロピレン
系樹脂発泡粒子は、見かけ密度が140g/L〜500
g/Lであることが好ましい。
【0015】本発明に係る成型用ポリプロピレン系樹脂
発泡粒子は、発泡粒子最外壁部に存在する気泡の気泡径
(Ld )に対する発泡粒子中心部に存在する気泡の気泡
径(Lo )の比(Lo/Ld)が1.1〜100であること
が好ましい。
【0016】本発明に係る成型用ポリプロピレン系樹脂
発泡粒子は、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の示差走査
熱量測定によって得られるDSC曲線における発泡粒子
の基材樹脂の融解熱に由来する基材樹脂固有の吸熱曲線
ピークよりも高温側に認められる吸熱曲線ピーク(以
下、単に高温側吸熱曲線ピークということがある)の熱
量が2J/g〜20J/gである成型用ポリプロピレン
系樹脂発泡粒子であることが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明に係る成型用ポリプロピレ
ン系樹脂発泡粒子は、発泡剤を含有するポリプロピレン
系樹脂粒子を密閉容器から基材樹脂の軟化温度以上の温
度で低圧域に放出して発泡粒子を製造するに際して、
(1)比較的低発泡倍率の発泡粒子を製造しても発泡粒
子間に大きな発泡倍率のバラツキを生じ難い無機系物理
発泡剤を使用し、かつ(2)発泡途上にある発泡粒子の
気泡の成長を遅延化させ気泡の均一化を図ることによっ
て得られる。
【0018】すなわち、本発明は、発泡剤として窒素、
酸素、空気あるいは水などから選ばれる少なくとも1種
の無機系物理発泡剤を主体として使用することにより比
較的低発泡倍率の発泡粒子であっても発泡粒子間に大き
な発泡倍率のバラツキを生じ難くし、発泡直前の密閉容
器内の気相部(容器内空間部)の圧力を通常適用される
圧力よりも低くして容器内と容器外の発泡させる環境と
の間の差圧を小さくし、そして発泡剤を含有するポリプ
ロピレン系樹脂粒子を大気圧下または略大気圧下の径の
大きな管内の低圧域へ放出し、この際、放出部の径の大
きな管内温度を78℃から基材樹脂の融点より20℃低
い温度の間の任意の温度に制御して放出することによ
り、本発明の目的とする所望の発泡粒子を製造すること
ができる。
【0019】本発明の発泡粒子に用いられる基材樹脂で
あるポリプロピレン系樹脂は架橋ポリプロピレン系樹脂
であっても無架橋ポリプロピレン系樹脂であってもよい
が、リサイクル性に優れる無架橋ポリプロピレン系樹脂
が好ましい。ポリプロピレン系樹脂とは、ポリプロピレ
ン単独重合体、またはプロピレン成分を60モル%以上
含有するプロピレンと他のコモノマーとの共重合体のい
ずれか、あるいはこれらから選ばれる2種以上の混合物
である。
【0020】プロピレン成分を60モル%以上含有する
プロピレンと他のコモノマーとの共重合体としては、例
えば、エチレンープロピレンランダムコポリマー、エチ
レンープロピレンブロックコポリマー、プロピレンーブ
テンランダムコポリマー、エチレンープロピレンーブテ
ンランダムコポリマー、などが例示される。
【0021】本発明において用いられるポリプロピレン
系樹脂の融点は、発泡粒子を成形する際の生産性や設備
コスト等を考慮すると、160℃以下であることが好ま
しく、155℃以下であることがより好ましい。しか
し、融点があまりに低くなりすぎると、発泡成形体の耐
熱性と機械的強度が著しく低下するので好ましくなく、
ポリプロピレン系樹脂の融点は130℃以上が好まし
く、135℃以上がより好ましい。
【0022】また、発泡成型体の耐熱性及び発泡粒子製
造時の発泡効率を考慮すると、メルトフローレイト(M
FR)が0.5〜12g/10分のポリプロピレン系樹
脂が好ましく、特にメルトフローレイト(MFR)が4
〜10g/10分のものが好ましい。尚、メルトフロー
レイト(MFR)はJIS K7210の試験条件14
で測定された値である。
【0023】本発明においては、ポリプロピレン系樹脂
中に、本発明の所期の効果を損なわない範囲内におい
て、ポリプロピレン系樹脂以外の他の合成樹脂又は及び
エラストマーを添加することができる。ポリプロピレン
系樹脂以外の他の合成樹脂又は及びエラストマーの添加
量は、ポリプロピレン系樹脂100重量部当たり、多く
ても35重量部であることが好ましい。
【0024】ポリプロピレン系樹脂以外の他の合成樹脂
としては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、
低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、直鎖
状超低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合
体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタク
リル酸共重合体等のエチレン系樹脂、或いはポリスチレ
ン、スチレン−無水マレイン酸共重合体等のスチレン系
樹脂等が例示される。
【0025】また上記エラストマーとしては、エチレン
−プロピレンゴム、エチレン−1−ブテンゴム、プロピ
レン−1−ブテンゴム、スチレン−ブタジエンゴムやそ
の水添物、イソプレンゴム、ネオプレンゴム、ニトリル
ゴム、或いはスチレン−ブタジエンブロック共重合体エ
ラストマーやその水添物等のエラストマーが例示され
る。
【0026】本発明において用いられる発泡剤は、前記
のとおり、窒素、酸素、空気、水といった無機系物理発
泡剤を主体とするものが用いられるが、発泡粒子の密度
の安定性、環境負荷やコストなどを考慮すると、無機系
物理発泡剤は空気や窒素が好ましい。また発泡剤として
使用される水は、樹脂粒子を密閉容器内に分散させるた
めに分散媒として使用される水を利用すればよい。
【0027】なお、本発明の発泡粒子を製造する場合の
発泡剤の容器内への投入量は、使用する発泡剤の種類と
発泡温度と目的とする発泡粒子の見かけ密度に応じて適
宜選定されるが、発泡剤として窒素を使用し、分散媒と
して水を使用した場合を例にとると、発泡開始直前の安
定した状態にある容器内の圧力、すなわち容器内空間部
の圧力(ゲージ圧)が、0.6〜1.4MPa、好まし
くは0.62〜1.1MPaとなるように選定される。
その容器内空間部の圧力は、次のことを基準にして選定
されることが好ましい。
【0028】すなわち、目的とする発泡粒子の見かけ密
度を定めたならば、放出部の径の大きな管内温度を相対
的に低く維持する場合には、前記容器内空間部の圧力は
前記範囲の中で高い方の圧力が採用されることが望ま
し、放出部の径の大きな管内温度を相対的に高く維持す
る場合には前記容器内空間部の圧力は前記範囲の中で低
い方の圧力が採用されることが望ましい傾向がある。ま
た放出部の径の大きな管内温度をある一定の温度に維持
するならば、目的とする発泡粒子の見かけ密度が小さい
ほど前記容器内空間部の圧力は前記範囲の中で高い方の
圧力が採用されることが望ましく、目的とする発泡粒子
の見かけ密度が大きいほど前記容器内空間部の圧力は前
記範囲の中で低い方の圧力が採用されることが望ましい
傾向がある。
【0029】本発明の目的を外れない範囲内において、
他の発泡剤を少量併用することも可能である。併用可能
な発泡剤としては、プロパン、ブタン、ヘキサン、ヘプ
タン等の脂肪族炭化水素類、シクロブタン、シクロヘキ
サン等の環式脂肪族炭化水素類、クロロフロロメタン、
トリフロロメタン、1,1−ジフロロエタン、1,2,
2,2−テトラフロロエタン、メチルクロライド、エチ
ルクロライド、メチレンクロライド等のハロゲン化炭化
水素、二酸化炭素、アルゴン等の無機ガス系発泡剤等が
例示され、これらは2種以上を混合して用いることがで
きる。
【0030】なお、ポリプロピレン系樹脂粒子中には、
所望に応じ各種添加剤を含有させることができる。この
ような添加剤としては、例えば酸化防止剤、紫外線吸収
剤、帯電防止剤、難燃剤、金属不活性剤、顔料、染料、
核剤、或いは気泡調整剤としてホウ酸亜鉛、タルク、炭
酸カルシウム、ホウ砂、水酸化アルミニウム等の無機粉
体等が挙げられる。これらの添加剤は合計で樹脂粒子1
00重量部当たり20重量部以下、特に5重量部以下に
とどめて使用することが好ましい。これらの添加剤は、
例えば押出機により押出したストランドを切断して樹脂
粒子を製造する際に押出機内で溶融した樹脂に添加・混
練することによって樹脂粒子中に含有させることができ
る。
【0031】発泡粒子製造に際して樹脂粒子を分散させ
る分散媒としては、一般的には水が用いられるが水に限
らず、樹脂粒子を溶解させない溶媒であれば使用するこ
とができる。水以外の分散媒としては、例えばエチレン
グリコール、グリセリン、メタノール、エタノール等が
挙げられる。また樹脂粒子を分散媒に分散させるに際
し、必要に応じて分散剤を使用することができる。分散
剤としては、微粒状の酸化アルミニウム、酸化チタン、
塩基性炭酸マグネシウム、塩基性炭酸亜鉛、炭酸カルシ
ウム、カオリン、マイカ、クレー等が挙げられる。
【0032】さらに本発明においては、必要に応じて分
散助剤を添加することができる。分散助剤としては陰イ
オン又は陽イオンの少なくとも片側が2価または3価で
あればよく、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム、硫
酸マグネシウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウ
ム、硫酸アルミニウム等が、その他にドデシルベンゼン
スルホン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムなどの界
面活性剤が例示される。これら分散剤及び分散助剤は通
常、樹脂粒子100重量部に対し、0.001〜10重
量部程度使用される。
【0033】本発明における、見かけ密度が100g/
L〜640g/Lであって、発泡粒子における気泡膜厚
バラツキ(S)が0.7以下で、平均気泡径(Lav)が
少なくとも100μmでありかつ発泡粒子の中心部に存
在する気泡の気泡径(Lo)と最外壁部に存在する気泡
の気泡径(Ld)との間にLo>Lav>Ldの関係を有す
る成型用ポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、無作為に選
んだ発泡粒子のほぼ中心部を通るように切断した発泡粒
子の断面を観察し、測定して下記により特定される。す
なわち、発泡粒子のほぼ中心部を通るように切断した発
泡粒子断面の略中点Oを通り直交するX軸とY軸を任意
に引く。次いで発泡粒子断面の最外相とX軸及びY軸と
の交点を各々A,A’、B,B’とすると、線分OA、
線分OA’、線分OB、線分OB’の4本の線分を得
る。具体的には、切断面を顕微鏡に写し出した画面上又
は顕微鏡写真上にて、点Oから各点A,A’,B,B’
までの線分長さ:li 上の気泡壁の数:Nを求め、下記
の式(2)から平均気泡径:Li を求める。但し、気泡
壁上に点Oが存在する場合該気泡壁は数えることとす
る。tは膜厚、tiは点Oから各点A,A’,B,B’
までの線分上にある膜厚tav は平均膜厚を示す。
【0034】
【数1】 S=Σ {(ti−tav)/tav2 ・・・・(1)
【0035】
【数2】 Li =1.62×(li ÷N) ・・・・(2) (i=OA,OA’,OB,OB’)
【0036】
【数3】 ti=Li×[{1−(d/ds)}-1/3−1] ・・・・(3) (i=OA,OA’,OB,OB’)
【0037】
【数4】 tav=Σti/4 ・・・・(4) (i=OA,OA’,OB,OB’)
【0038】上記より求めたLi と発泡粒子の見かけ密
度(d)及び基材樹脂の密度(ds)より(3)式から
i を求める。尚、本件発明においてds は便宜上、9
00g/L とする。次いで上記手法により求めた4つ
のtiの相加平均をtav として(4)式より求めた。得
られたti及びtavより(1)式から気泡膜厚バラツ
キ:Sを得る。
【0039】発泡粒子の見かけ密度:dは、約5g
(4.500〜5.500g)の発泡粒子をとり、これ
を0.001gまで正確に秤量し(小数点以下4桁目を
四捨五入)、次いで秤量された重量既知の発泡粒子を2
3℃の水100ccが収容されたメスシリンダー内の水
に水没させたときに上昇した目盛りから、発泡粒子の体
積:Y(cm3)を算出し、発泡粒子の重量(g)を発
泡粒子の体積:Y(cm3)で除すことにより求められ
る。
【0040】また本発明の発泡粒子は、平均気泡径(L
av)が100μm以上であり、かつ中心部に存在する気
泡の気泡径(Lo)と最外壁部に存在する気泡の気泡径(L
d)の間に、Lo>Lav>Ldなる関係を有することを特徴
とするものである。本発明において、Lo avおよびL
dは、具体的には、下記の式(5)、(6)および
(7)から求められる。
【0041】すなわち、上記の式(1)のS値を求める
ために使用した発泡粒子切断面を顕微鏡に写し出した画
面上または顕微鏡写真上にて測定したLi から、下記
(5)式よりLavを求める。一方、中心部に存在する気
泡の気泡径(Lo)は点Oが存在する気泡を対象とし、
点Oで直交するX軸方向の見かけの気泡径とY軸方向の
見かけの気泡径の平均値から測定された気泡の見かけ気
泡径(L’o)から(6)式より求める。(但し点Oが
気泡壁上に存在する場合は、該気泡壁に隣接する任意の
2つの気泡を対象とし、両気泡を横断するXまたはY軸
方向の見かけ気泡径の平均値をL’oとする)
【0042】同様に最外壁部に存在する気泡の気泡径
(Ld)は、各点A,A’,B,B’の気泡壁に隣接す
る気泡径を対象とし、各々X軸方向またはY軸方向にお
いて測定された気泡の見かけ気泡径の平均値(L’i
から(7)式より求めた値である。(上記手法により数
値が得られない場合は任意のX軸及びY軸を取り直して
良いものとする。)
【0043】
【数5】 Lav=ΣLi/4 ・・・・(5) (i=OA,OA’,OB,OB’)
【0044】
【数6】 Lo=1.62×L’o ・・・・(6)
【0045】
【数7】 Ld=1.62×L’i ・・・・(7)
【0046】また本発明に係る成型用ポリプロピレン系
樹脂発泡粒子は、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の示差
走査熱量測定によって得られるDSC曲線における発泡
粒子の基材樹脂の融解熱に由来する固有の吸熱曲線ピー
クよりも高温側に認められる吸熱曲線ピーク(高温側吸
熱曲線ピーク)の熱量が2J/g〜20J/gであるこ
とが好ましい。高温側吸熱曲線ピークの熱量が2J/g
未満の場合は、発泡成型体の圧縮強度、エネルギー吸収
量等が低下する。また高温側吸熱曲線ピークの熱量が2
0J/gを超える場合には、発泡粒子を成型する際の飽
和蒸気の圧力が高くなる虞れがあり好ましくない。本発
明においては高温側吸熱曲線ピークの熱量が4J/g〜
15J/gであることが特に好ましい。
【0047】上記高温側吸熱曲線ピークの熱量は、発泡
粒子2〜4mgを、示差走査熱量計によって室温から2
20℃まで10℃/分で昇温した時に得られる図1に示
すDSC曲線における高温側吸熱曲線ピークbの面積に
相当するもので、次のようにして求めることができる。
まずDSC曲線上の80℃に相当する点αと、発泡粒子
の融解終了温度TE に相当するDSC曲線上の点βとを
結ぶ直線(α−β)を引く。次に基材樹脂の融解時の吸
熱に相当する固有吸熱曲線ピークaと、高温側吸熱曲線
ピークbとの間の谷部に当たるDSC曲線上の点γから
グラフの縦軸と平行な直線を引き、前記直線(α−β)
と交わる点をδとする。高温側吸熱曲線ピークbの面積
は、DSC曲線の高温側吸熱曲線ピークb部分の曲線
と、線分(δ−β)と、線分(γ−δ)とによって囲ま
れる部分(図1において斜線を付した部分)の面積であ
り、これが高温側吸熱曲線ピークの熱量に相当する。
【0048】尚、この高温側吸熱曲線ピークbは、上記
のようにして測定した第1回目のDSC曲線には認めら
れるが、第1回目のDSC曲線を得た後、220℃から
10℃/分で、一旦、40℃付近まで降温し、再び10
℃/分で220℃まで昇温した時に得られる第2回目の
DSC曲線には認められず、図2に示されるような基材
樹脂の融解時の吸熱に相当する固有の吸熱曲線ピークa
のみが認められる。(図2はポリプロピレン系樹脂に対
する2回目のDSC曲線である。)
【0049】上記気泡膜厚バラツキ(S)が0.7を越
える場合、成型時における2次発泡の挙動が不均一なも
のとなってしまい、成型体の表面状態が悪化したり融着
不良を生じ易く、成型体の機械的強度も低下してしまい
好ましくない。このような理由から気泡膜厚バラツキ
(S)は0.7以下でなければならず、0.6以下が好
ましくは0.5以下が更に好ましい。
【0050】本発明において、上記Lo>Lav>Ldの関
係は、気泡径は中心部から最外壁にかけて膜厚に勾配が
ある方が好ましいということを示している。詳しくは、
一般的に型内成型は成型に供されるスチームの熱による
発泡粒子の膨張とスチームが発泡粒子内部へ透過するこ
とによる内圧上昇の効果による膨張の2つの効果が相乗
的に作用して達成されると考えられているが、成型に供
するスチーム圧力をできるだけ下げる為には、透過する
スチーム量を多くする方が好ましく最外壁の気泡膜は薄
い方が好ましいということを示している。
【0051】前述の通り、気泡径と気泡膜は密接な相関
があり気泡径が小さくなると気泡膜は薄くなるという関
係がある。しかしながら、この勾配が急激すぎても好ま
しいとはいえず適切な範囲を有していることが好まし
い。発泡粒子内部への伝熱とスチームの透過の速度はあ
る程度バランスしていた方が良好な成型体が得られ易い
が、勾配が急激な場合スチームの透過が勝ってしまい発
泡粒子の二次発泡に必要な伝熱が中心部へ伝わる以前に
発泡粒子の溶融が加速し、結果として良好な成型体が得
られないといった現象を生じる。
【0052】本発明の発泡粒子は、上記で規定されるL
o>Lav>Ldの関係を満たしており、平均気泡径
(Lav)が100μm以上であるため、発泡粒子の中心
部から最外壁にかけて気泡径の勾配は緩やかな方向とな
り易いので、前記したような成型時に二次発泡に必要な
伝熱が中心部へ伝わる前に発泡粒子の溶融が加速される
という問題が生じ難い。一方、平均気泡径(Lav)が1
00μm未満になると成型時に二次発泡に必要な伝熱が
中心部へ伝わる前に発泡粒子の溶融が加速され易いの
で、その結果良好な成型体が得られ難くなる。本発明の
発泡粒子の平均気泡径(Lav)は、このような観点から
120μm以上が好ましく、140μm以上がより好ま
しい。しかしながら、発泡粒子の平均気泡径が大きくな
り過ぎると発泡粒子ひいては成型体の外観を悪化させる
ので、700μm以下が好ましく、500μm以下がよ
り好ましく、さらには400μm以下が好ましい。
【0053】また本発明においては、Lo /Ldの値の
比が1.1から100が好ましく、1.1よりも小さい
場合には成型時に使用するスチームの圧力をより高く設
定しなければならなくなり好ましくない。逆に上記の比
が100を超える場合には、成型の際、二次発泡に必要
な伝熱が中心部へ伝わる前に発泡粒子の溶融が加速し易
いので好ましくない。
【0054】以上から、予め発泡剤と発泡条件を決めれ
ば、発泡粒子の気泡径を調節することにより、S値が
0.7以下であって気泡径が特定の範囲にある気泡膜厚
のバラツキの少ない発泡粒子を製造することができる。
発泡粒子の気泡径の調節は、主として無機粉体などの気
泡調整剤の使用によって行われるが、発泡温度によって
も気泡径は変化するので、目的とする気泡径に発泡粒子
を得るには、予備実験を行ってその条件を設定する必要
がある。
【0055】通常、適切な発泡温度を確認するには、発
泡粒子のDSC曲線における高温側吸熱曲線ピークの熱
量が2J/g以上、好ましくは5J/g以上となるよう
な条件で発泡粒子を製造すれば良い。DSC曲線の高温
側に吸熱曲線ピークを有する発泡粒子は、上記公知の方
法において樹脂粒子を密閉容器内で分散媒に分散させて
加熱する際に、樹脂粒子の融解終了温度(Te)以上に
昇温することなく、樹脂粒子の融点(Tm)−15℃以
上、融解終了温度(Te)未満の範囲内の任意の温度
(Ta)で止めて素の温度で十分な時間、好ましくは1
0〜60分程度保持した後、融点(Tm)−5℃ないし
融解終了温度(Te)+5℃の範囲の任意の温度(T
b)に調節し、その温度で止め、必要により当該温度で
さらに十分な時間、好ましくは10にし60分程度保持
してから樹脂粒子を容器内から低圧域に放出して発泡さ
せる方法により得ることができる。
【0056】また、本発明においては、発泡粒子におけ
る高温吸熱曲線ピークの熱量の大小は、主として、発泡
粒子を製造する際の樹脂粒子に対する上記温度Taと該
温度における保持時間、及び上記温度Tbと該温度にお
ける保持時間ならびに昇温速度に依存する。発泡粒子の
高温吸熱曲線ピークの熱量は、温度TaまたはTbが上
記温度範囲内において温度が低いほど、保持時間が長い
ほど、大きくなる傾向を示す。通常、昇温速度は0.5
〜5℃/分が採用される。これらの点を考慮して予備実
験を繰り返せば、所望の高温側吸熱曲線ピークの熱量を
示す発泡粒子の製造条件を容易に知ることができる。
【0057】尚、以上で説明した温度範囲は、発泡剤と
して無機系物理発泡剤を単独で使用した場合の適切な温
度範囲である。従って、有機系揮発性物理発泡剤が併用
された場合には、その種類や使用量に応じてその適切な
温度範囲は上記温度範囲よりもそれぞれ低温側にシフト
する。
【0058】また上記融点(Tm)とは、ポリプロピレ
ン系樹脂粒子2〜4mgを試料として用いて前述の如き
発泡粒子のDSC曲線を得るのと同様の方法で樹脂粒子
に対して示差走査熱量測定を行い、これによって得られ
た2回目のDSC曲線(その一例を図2に示す。)に認
められる基材樹脂固有の吸熱曲線ピークaの頂点の温度
であり、融解終了温度(Te)とは、該固有の吸熱曲線
ピークaの裾が高温側でベースライン(α−β)の位置
に戻ったときの温度を言う。
【0059】なお、本発明のポリプロピレン系樹脂発泡
粒子は、必要により大気圧下で熟成した後、加圧空気下
で加圧処理して内圧を付与し、その後、水蒸気や熱風を
用いて加熱することによって、より高発泡倍率の発泡粒
子とすることが可能である。
【0060】本発明のポリプロピレン系樹脂発泡粒子
は、加熱及び冷却が可能であって且つ開閉し密閉できる
型内に充填し、飽和水蒸気圧0.15〜0.59MPa
(G)のスチームを供給して加熱して発泡粒子を膨張させ
て型内で発泡粒子同士を融着させ、次いで冷却して型内
から取り出す通常のバッチ式成型法を採用して発泡成型
体を製造することができる。また、発泡成型体は発泡粒
子を、必要に応じて気泡内圧を高めてから、通路内の上
下に沿って連続的に移動するベルト間に連続的に供給
し、水蒸気加熱領域を通過する際に発泡粒子同士を膨張
融着させ、その後冷却領域を通過させて冷却し、次いで
得られた成型体を通路内から取り出し、適宜長さに順次
切断する連続式成型法(例えば特開平9−104026
号、特開平9−104027号及び特開平10−180
888号等に記載される成型方法)により製造すること
もできる。尚、発泡粒子の気泡内圧を高める場合には、
密閉容器に発泡粒子を入れ、該容器内に加圧空気を供給
した状態で適当な時間放置して発泡粒子内に加圧空気を
浸透させればよい。
【0061】以上のようにして製造される発泡成型体
は、通常、見かけ密度が50g/L〜500g/Lであ
るが、特に、見かけ密度が90g/L〜450g/L、
さらには見かけ密度が100g/L〜400g/Lのも
のであることが機械的強度に優れ好ましい。また、この
ようにして得られる発泡成型体は、ASTM−D285
6−70の手順Cに基づく連続気泡率が40%以下であ
ることが好ましく、30%以下であることがより好まし
く、25%以下であることが最も好ましい。連続気泡率
が小さい成型体ほど機械的強度に優れる。
【0062】
【実施例】つぎに本発明について実施例によりさらに具
体的に説明する。
【0063】実施例1〜4、比較例1 酸化防止剤0.12重量部、ステアリン酸カルシウム
(滑剤)0.05重量%及びエルカ酸アミド(滑剤)
0.05重量%、耐候性付与剤0.2重量%を含むエチ
レンープロピレンランダムコポリマー(エチレン成分含
有量2.4重量%、融点146℃、MFR=10g/10
分)に、気泡調整剤0.05重量部を添加して押出機内
で溶融混練した後、押出機からストランド状に押出し、
発泡粒子の直径と長さの比が略1.0になるようにスト
ランドを切断して、平均重量2mg/粒子の樹脂粒子を
得た。
【0064】次いで400リットルのオートクレーブ
に、上記樹脂粒子100重量部、水220重量部、カオ
リン0.3重量部、界面活性剤(ドデシルベンゼンスル
ホン酸ナトリウム)0.05重量部、硫酸アルミニウム
0.02重量部を仕込み、攪拌しながら表1に示す発泡
温度よりも5℃低い温度で15分間保持した。保持開始
直後に、容器内に窒素ガスを供給して15分間保持した
後、容器内圧力が表1に示す目標容器内圧力よりも0.
098MPa(G)低い圧力となるように調整した。次
いで、温度を発泡温度まで昇温して同温度で15分間保
持した。保持開始直後に更に窒素ガスを容器内に供給し
15分間保持後の容器内圧力が表1に示す目標容器内圧
力となるように調整した。この後、オートクレーブの一
端を開放し分散媒と共に発泡剤を含有する粒子を低圧域
に放出して発泡粒子を得た。尚、樹脂粒子をオートクレ
ーブから放出する間の容器内圧力が、目標容器内圧力に
保たれるように、オートクレーブ内に窒素ガスを供給し
ながら発泡を行った。
【0065】また、樹脂粒子をオートクレーブから放出
する間、表1に示す時間当たりの放出量(kg/hr)
で容器内容物を口金から大気下にある大径の管内に放出
することによって、その大径の管内の温度を表1に示す
温度に維持した。得られた発泡粒子を24時間大気圧下
に放置して養生した後、発泡粒子の高温吸熱曲線ピーク
の熱量、見かけ密度、平均気泡径、発泡粒子中心部に存
在する気泡の気泡径、最外壁部に存在する気泡の気泡
径、気泡膜厚みバラツキを測定した。これらの結果を表
1に示した。
【0066】次いで、この発泡粒子に加圧処理を施さず
に、250mm×250mm×250mm×50mmの
成型空間を持つ金型内に、金型を完全に閉鎖せずに僅か
な隙間(約1mm)を開けた状態で充填し、次いでスチ
ーム排気を行った後、完全に型締めし、表1に示す圧力
の飽和水蒸気によって成型した。金型内の発泡圧が0.
059MPa(G)となるまで水冷した後、成型体を型
から取り出し、60℃で24時間養生した後、室温まで
冷却し成型体を得た。
【0067】
【表1】
【0068】尚、表1に示す「二次発泡性」は、発泡粒
子間の空隙が成型によって良好に埋まったか否かを判別
するための評価であり、以下により行った。成型体表面
で無作為に選択した任意の場所において30mm×30
mm角中に存在する発泡粒子間に、発泡粒子が十分に膨
張されなかったことにより形成された窪み(ボイド)の
全てを観察して、ボイドの中で開口部における長さが最
も長いものから順番に3個のボイドにおける開口部の長
さ(mm)であるn1、n2、n3を測定し下記の数8に
より代表ボイド長さ:Y(mm)を計算する。尚、30
mm×30mm角中にボイドが全く存在しない場合に
は、n1、n2、n3の全てが0となり、当該角中にボイ
ドが一つしか存在しない場合には、n2、n3の両方が0
となる。
【0069】
【数8】Y=(n1 +n2 +n3)/3
【0070】以上の操作を成型体の表面において無作為
に選択した任意の異なる3箇所で行い、次の基準で二次
発泡性を評価した。 ○・・3箇所のいずれにおいてもYが下記数9の「Q」
が0〜50%、 △・・3箇所のうち1又は2箇所においてYが下記数9
の「Q」が50%を超える場合、 ×・・3箇所のいずれにおいてもYが下記数9の「Q」
が50%を超える場合、の三段階で評価した。
【0071】ここで、「Q」は、平均発泡粒子長さ(m
m)を意味し次の通り定義される。発泡成型体表面で無
作為に選択した任意の発泡粒子間の境界部分(A)から
無作為に選択した任意の方向に引いた50mmの直線の
終点に存在する発泡粒子間の境界部分(B)、または5
0mmの直線の終点に境界部分(B)が存在しない場合
には50mmの直線の延長線上に位置する最初の境界部
分(C)との間の直線の長さ:L(mm)とその直線上
に存在する発泡粒子の個数:N(個)より、下記式2に
より成型体表面における発泡粒子1個当たりの長さに相
当する平均発泡粒子長さ:Q(mm)を算出する。
【0072】
【数9】Q=L/N
【0073】実施例1と比較例1で得られた成型体よ
り、各々長さ150mm、幅25mm、厚み20mmの
サンプルを切り出し、JIS K7221に準じて、試
験速度10mm/分、支点間距離100mm、先端部の
半径が5mmの支持台と加圧くさびを使用して最大曲げ
強さを求めた結果、比較例1の成型体では2.21MP
aであったが、比較例1と同じ密度を示す実施例1の成
型体では2.45MPaを示した。このように、本発明
の発泡粒子を使用した成型体は従来の発泡粒子を使用し
て得られた成型体よりも機械的強度に優れていることが
分かる。
【0074】
【発明の効果】本発明の発泡粒子は、比較的低発泡倍率
であるにもかかわらず、気泡膜厚みのバラツキが小さい
ので、成型時に均一な膨張が可能となるので粒子間隙の
小さな成型体が容易に得られるとともに、得られた成型
体は、従来品よりも、見かけ密度のわりに高強度のもの
となるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の成型用ポリプロピレン系樹脂発泡粒子
の、第1回目のDSC曲線チャートの一例を示す図であ
る。
【図2】ポリプロピレン系樹脂粒子の第2回目のDSC
曲線チャートの一例を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 秋山 光宏 神奈川県平塚市東中原2−19−10 ライフ ピアモア平塚 201 (72)発明者 所 寿男 栃木県宇都宮市砥上町282−1 ブランシ ュール砥上103号室 Fターム(参考) 4F074 AA24 BA31 BA32 BA33 BA34 BA84 BC11 CA24 CA32 CA35 CA42 CC04Y CC05Z CC22X CC26Z DA03 DA15 DA23 DA24 DA32 DA33 DA59

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】見かけ密度が100g/L〜640g/L
    のポリプロピレン系樹脂発泡粒子であって、該発泡粒子
    は、気泡膜厚バラツキ(S)が0.7以下であり、平均
    気泡径(Lav)が100μm以上で、かつ発泡粒子の中
    心部に存在する気泡の気泡径(Lo)と最外壁部に存在
    する気泡の気泡径(Ld)との間にLo>Lav>Ldの関
    係を有する成型用ポリプロピレン系樹脂発泡粒子。
  2. 【請求項2】見かけ密度が140g/L〜500g/L
    である請求項1記載の成型用ポリプロピレン系樹脂発泡
    粒子。
  3. 【請求項3】気泡膜厚のバラツキ(S)が0.6以下で
    ある請求項1または2記載の成型用ポリプロピレン系樹
    脂発泡粒子。
  4. 【請求項4】発泡粒子最外壁部に存在する気泡の気泡径
    (Ld)に対する発泡粒子中心部に存在する気泡の気泡
    径(Lo)の比(Lo/Ld)が1.1〜100である請
    求項1〜3いずれかに記載の成型用ポリプロピレン系樹
    脂発泡粒子。
  5. 【請求項5】ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の示差走査
    熱量測定によって得られるDSC曲線における発泡粒子
    の基材樹脂の融解熱に由来する吸熱曲線ピークよりも高
    温側の吸熱曲線ピークの熱量が2J/g〜20J/gで
    ある請求項1〜4いずれかに記載の成型用ポリプロピレ
    ン系樹脂発泡粒子。
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