JP2009203438A - 柑橘香味増強剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】 柑橘特有の果皮様のボディー感のある香味を付与することができる柑橘香味増強剤および柑橘香料組成物を提供する。
【解決手段】 (E)−6−ノネナールを有効成分とする柑橘香味増強剤および(E)−6−ノネナールを、10-6ppm〜103ppm含有することを特徴とする柑橘香料組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、柑橘特有の果皮様のボディー感のある香味を付与する柑橘香味増強剤に関し、更に詳しくは、(E)−6−ノネナールを極微量添加することにより、従来にない柑橘特有のフレッシュでピール感のある香味を付与する柑橘香味増強剤に関する。
近年、消費者の嗜好性が多様化してきていることに伴い、各種各様の商品の開発が望まれている。特に、飲食品・香粧品業界はこの傾向が強く、消費者の嗜好性に合うバラエティーに富んだ飲食品または香粧品の開発が強く要求されている。これらの要求に対して、飲食品または香粧品の一つの原料素材である香料についても、従来から提案されている香料化合物だけでは十分には対応しきれず、従来にないユニークな香気香味特性を有し、且つ、その持続性に優れた香料化合物の開発が緊急の課題となっている。オレンジ、レモン、グレープフルーツ、ライム、ユズなどの柑橘類で香味付けられた製品においても、より天然感のある香気香味を有する香料化合物が要求されている。
(Z)−6−ノネナールはメロンを始めとする各種フルーツなどからの香気成分として見出され、香料化合物として一般的に用いられており、その香気特性は「強いメロン様」とされている(非特許文献1)。また、実際にメロン様香気を有する調合香料に使用された例も記載されている(特許文献1)。
一方(Z)−6−ノネナールの幾何異性体である(E)−6−ノネナールも公知化合物であり、例えば、ルイボスティーの香気成分(非特許文献2)、雄ヤギ頭皮の香気成分(非特許文献3)、粉乳製造時に発生するオフフレーバー(非特許文献4)などから見出されたことが報告されている。しかしながら(E)−6−ノネナールの香気は非特許文献3によると、ヤギ臭の成分であり、また引用文献4によると粉乳中のオフフレーバーとしての閾値は0.07ppbときわめて低く、そのため通常の香料の調合においては「異臭物質」となる可能性が高く、従来、調合香料の香料素材としては使用されていなかった。
したがって、前記非特許文献2〜4を始めとする従来技術には、(E)−6−ノネナールがヤギのような香気、腐った脂肪のような香気、メロン的ムスク香気を有することは開示されているが、(E)−6−ノネナールを飲食品、香粧品または香料に極微量を添加することにより、柑橘特有の果皮様のボディー感のある香味を付与することは記載も示唆もされていない。
なお、(E)−6−ノネナールの構造式は[化1]で、(Z)−6−ノネナールの構造式は[化2]で示される。
Figure 2009203438
Figure 2009203438
印藤元一著「<増補改訂版> 合成香料 化学と商品知識」 化学工業日報社 2005年3月22日 168頁 J.Agric.Food Chem.,41,633−636 (1993) J.Dairy Sci.,67(4),794−801(1984) J.Dairy Sci.,52(7),953−956(1969) 特開2005−15686号公報 請求項58(5行目)、実施例64
本発明の目的は柑橘特有の果皮様のボディー感のある香味を付与することができる柑橘香味増強剤を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意研究を行ってきた結果、意外なことに従来は異臭物質と考えられていた(E)−6−ノネナールを柑橘香料組成物中に10-6ppm〜103ppmという極微量添加することにより、柑橘果皮様のボディー感のある香味を付与することができることを見いだし、さらにその柑橘香味増強剤を飲食品または香粧品に有効量添加することにより柑橘果皮様のボディー感のある香味を付与することができることを見いだし本発明を完成するに至った。
従って本発明は、(E)−6−ノネナールを有効成分とする柑橘香味増強剤を提供するものである。また、本発明は前記の柑橘香味増強剤を(E)−6−ノネナール濃度として10-6ppm〜103ppm含有させさたことを特徴とする柑橘香料組成物を提供するものである。さらに本発明は前記の柑橘香料組成物を(E)−6−ノネナール濃度として10-6ppb〜103ppb含有させたことを特徴とする飲食品を提供するものである。さらにまた、本発明は前記の柑橘香料組成物を(E)−6−ノネナール濃度として10-6ppb〜103ppb含有させたことを特徴とする香粧品を提供するものである。
本発明の柑橘香味増強剤は、柑橘香味を有する物質に配合して使用される。配合の対象となる物質は、柑橘香味を有すればその種類を問わない。当該物質としては、香料、飲食品、香粧品が例示される。
本発明の柑橘香味増強剤の有効成分である(E)−6−ノネナールは、オレンジ様、レモン様、グレープフルーツ様、ライム様、ユズ様などの香気を有する柑橘香料組成物中に10-6ppm〜103ppm配合することで、従来にはない柑橘特有の果皮様のボディー感を付与することができる。また、その柑橘香味増強剤を飲食品または香粧品に有効量添加することにより柑橘果皮様のボディー感のある香味を付与することができる。
本発明の実施の態様について更に詳しく説明する。
本発明で使用される(E)−6−ノネナールは、公知文献による方法で合成することができる。例えば、(E)−3−ヘキセニルクロリドと2−(2−ブロモエチル)−1,3―ジオキソランとのカップリング反応により合成できる(特開昭56−95142号公報)。
(E)−6−ノネナールは、柑橘香味を有する飲食品または香粧品に対して単独で使用しても良いが、好ましくはオレンジ様、レモン様、ライム様、グレープフルーツ様、ユズ様などの柑橘香料組成物に(E)−6−ノネナールを極微量配合して香料組成物を得、それを飲食品や香粧品に配合することで、従来にはない柑橘特有の果皮様のボディー感のある香味を付与することができる。
かかる柑橘香料組成物の素材としては、例えば、オシメン、リモネン、α−フェランドレン、テルピネン、3−カレン、ビサボレン、バレンセンなどの炭化水素類;3−ヘプタノール、1−ウンデカノール、2−ウンデカノール、1−ドデカノール、プレノール、10−ウンデセン−1−オール、ジヒドロリナロール、テトラヒドロムゴール、ミルセノール、ジヒドロミルセノール、テトラヒドロミルセノール、オシメノール、テルピネオール、3−ツヤノール、ベンジルアルコール、β−フェニルエチルアルコール、α−フェニルエチルアルコールなどのアルコール類;アセトアルデヒド、n−ヘキサナール、n−ヘプタナール、n−オクタナール、n−ノナナール、2−メチルオクタナール、3,5,5−トリメチルヘキサナール、デカナール、ウンデカナール、2−メチルデカナール、ドデカナール、トリデカナール、テトラデカナール、トランス−2−ヘキセナール、トランス−4−デセナール、シス−4−デセナール、トランス−2−デセナール、10−ウンデセナール、トランス−2−ウンデセナール、トランス−2−ドデセナール、3−ドデセナール、トランス−2−トリデセナール、2,4−ヘキサジエナール、2,4−デカジエナール、2,4−ドデカジエナール、5,9−ジメチル−4,8−デカジエナール、シトラール、ジメチルオクタナール、α−メチレンシトロネラール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、ミルテナール、ネラール、α−あるいはβ−シネンサール、マイラックアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、オクタナールジメチルアセタール、ノナナールジメチルアセタール、デカナールジメチルアセタール、デカナールジエチルアセタール、2−メチルウンデカナールジメチルアセタール、シトラールジメチルアセタール、シトラールジエチルアセタール、シトラールプロピレングリコールアセタールなどのアルデヒド類;3−ヘプタノン、3−オクタノン、2−ノナノン、2−ウンデカノン、2−トリデカノン、メチルヘプテノン、ジメチルオクテノン、ゲラニルアセトン、2,3,5−トリメチル−4−シクロヘキセニル−1−メチルケトン、ネロン、ヌートカトン、ジヒドロヌートカトン、アセトフェノン、4,7−ジヒドロ−2−イソペンチル−2−メチル−1,3−ジオキセピンなどのケトン類;ギ酸プロピル、ギ酸オクチル、ギ酸リナリル、ギ酸シトロネリル、ギ酸ゲラニル、ギ酸ネリル、ギ酸テルピニル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸シス−3−ヘキセニル、酢酸トランス−2−ヘキセニル、酢酸オクチル、酢酸ノニル、酢酸デシル、酢酸ドデシル、酢酸ジメチルウンデカジエニル、酢酸オシメニル、酢酸ミルセニル、酢酸ジヒドロミルセニル、酢酸リナリル、酢酸シトロネリル、酢酸ゲラニル、酢酸ネリル、酢酸テトラヒドロムゴール、酢酸ラバンジュリル、酢酸ネロリドール、酢酸ジヒドロクミニル、酢酸テルピニル、酢酸シトリル、酢酸ノピル、酢酸ジヒドロテルピニル、酢酸2,4−ジメチル−3−シクロヘキセニルメチル、酢酸ミラルディル、酢酸ベチコール、プロピオン酸デセニル、プロピオン酸リナリル、プロピオン酸ゲラニル、プロピオン酸ネリル、プロピオン酸テルピニル、プロピオン酸トリシクロデセニル、プロピオン酸スチラリル、酪酸オクチル、酪酸ネリル、酪酸シンナミル、イソ酪酸イソプロピル、イソ酪酸オクチル、イソ酪酸リナリル、イソ酪酸ネリル、イソ吉草酸リナリル、イソ吉草酸テルピニル、イソ吉草酸フェニルエチル、2−メチル吉草酸2−メチルペンチル、3−ヒドロキシヘキサン酸メチル、3−ヒドロキシヘキサン酸エチル、オクタン酸メチル、オクタン酸オクチル、オクタン酸リナリル、ノナン酸メチル、ウンデシレン酸メチル、安息香酸リナリル、ケイヒ酸メチル、アンゲリカ酸イソプレニル、ゲラン酸メチル、クエン酸トリエチルなどのエステル類;チモール、カルバクロール、β−ナフトールイソブチルエーテルなどのフェノール類;γ−ウンデカラクトン、δ−ドデカラクトンなどのラクトン類;酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、2−デセン酸、ゲラン酸などの酸類;アントラニル酸メチル、アントラニル酸エチル、N−メチルアントラニル酸メチル、N−2′−メチルペンチリデンアントラニル酸メチル、リガントラール、ドデカンニトリル、2−トリデセンニトリル、ゲラニルニトリル、シトロネリルニトリル、3,7−ジメチル−2,6−ノナジエノニトリル、インドール、5−メチル−3−ヘプタノンオキシム、チオゲラニオール、リモネンチオール、P−メンチル−8−チオールなどの含窒素・含硫化合物類など公知の合成香料化合物及び柑橘果皮の圧搾、溶剤抽出、水蒸気蒸留などにより得られる柑橘香料などを挙げることができ、これらを任意に組み合わせて混合した柑橘香料組成物を挙げることができる。また、ここで柑橘とは、例えばオレンジ、スイートオレンジ、ビターオレンジ、ネロリ、マンダリン、プチグレン、ベルガモット、タンゼリン、レモン、グレープフルーツ、スウィーティー、ライム、ベルガモットなどのほか、ユズ、シークワーサー、スダチ、イヨカン、ダイダイ、ハッサク、カボス、温州ミカンなどの和柑橘をあげることができる。
本発明の(E)−6−ノネナールの配合量は、重要であり、その目的あるいは柑橘香料組成物の種類によっても異なるが、例えば、柑橘香料組成物の全体重量に対して10-6ppm〜103ppm、好ましくは、10-4ppm〜102ppm、より好ましくは10-3ppm〜10ppmの範囲を例示することができる。これらの範囲内では、柑橘香料組成物に対し柑橘のピール感、フレッシュ感、ボディー感、みずみずしさなどを付与する優れた効果を有する。一方、柑橘香料組成物に対する(E)−6−ノネナールの配合量が103ppmを越える場合には、(E)−6−ノネナール単独特有のヤギ様、石鹸様、脂肪様の異臭としての香気・香味特性が出てしまい好ましくない。また、柑橘香料組成物に対する(E)−6−ノネナールの配合量が10-6ppmを下回る場合は本発明特有の香気・香味付与効果が得られない。
さらに、本発明は、(E)−6−ノネナールを有効成分とする柑橘香味増強剤を含有させた柑橘香料組成物を有効量添加したことを特徴とする飲食品または香粧品に関し、該製品に果皮様のボディー感のある香気・香味を付与することができる。かかる飲食品または香粧品としては特に制限はなく、柑橘香味を有するものであればよく、広い分野の各種飲食品または香粧品に配合利用することができる。飲食品としては、例えば、コーラ飲料、果汁入炭酸飲料、乳類入炭酸飲料などの炭酸飲料類;果汁飲料、野菜飲料、スポーツドリンク、ハチミツ飲料、豆乳、ビタミン補給飲料、ミネラル補給飲料、栄養ドリンク、滋養ドリンク、乳酸菌飲料、乳飲料などの食系飲料類;緑茶、紅茶、ウーロン茶、ハーブティー、コーヒー飲料などの嗜好飲料類;チューハイ、カクテルドリンク、発泡酒、果実酒、薬味酒などのアルコール飲料類;アイスクリーム、ラクトアイス、氷菓、ヨーグルト、プリン、ゼリー、デイリーデザートなどのデザート類及びそれらを製造するためのミックス類;キャラメル、キャンディー、錠菓、クラッカー、ビスケット、クッキー、パイ、チョコレート、スナックなどの菓子類及びそれらを製造するためのケーキミックスなどのミックス類;パン、スープ、各種インスタント食品などの一般食品類;をあげることができる。また、香粧品としては、例えば、香水;シャンプー、リンス、ヘアクリーム、ポマードなどのヘアケア製品;オシロイ、口紅などの化粧品類;フェイス用石鹸、ボデイ用石鹸、洗濯用石鹸、洗濯用洗剤、消毒用洗剤、防臭洗剤などの保健・衛生用洗剤類;歯みがき、ティッシュペーパー、トイレットペーパーなどの保健・衛生材料類;室内芳香剤、カーコロンなどの芳香製品;をあげることができる。
また、本発明の(E)−6−ノネナールの飲食品への配合量は、その目的あるいは飲食品の種類によっても異なるが、前記柑橘香味増強剤を有効量添加することにより柑橘果皮様のボディー感のある香味を付与することができる。その際の飲食品の(E)−6−ノネナール含有量は、例えば、飲食品の全体重量に対して10-6ppb〜103ppb、好ましくは、10-4ppb〜102ppb、より好ましくは10-3ppb〜10ppbの範囲を例示することができる。一方、飲食品の全体重量に対する(E)−6−ノネナールの配合量が103ppbを越える場合には、(E)−6−ノネナール単独特有のヤギ様、石鹸様、脂肪様の異臭としての香気・香味特性が出てしまい好ましくない。また、飲食品の全体重量に対する(E)−6−ノネナールの配合量が10-6ppbを下回る場合は本発明特有の香気・香味付与効果が得られない。
また、本発明の(E)−6−ノネナールの香粧品への配合量は、その目的あるいは香粧品の種類によっても異なるが、前記柑橘香味増強剤を有効量添加することにより柑橘果皮様のボディー感のある香味を付与することができる。その際の香粧品の(E)−6−ノネナール含有量は、例えば、香粧品の全体重量に対して10-6ppb〜103ppb、好ましくは、10-4ppb〜102ppb、より好ましくは10-3ppb〜10ppbの範囲を例示することができる。一方、香粧品の全体重量に対する(E)−6−ノネナールの配合量が103ppbを越える場合には、(E)−6−ノネナール単独特有のヤギ様、石鹸様、脂肪様の異臭としての香気・香味特性が出てしまい好ましくない。また、香粧品の全体重量に対する(E)−6−ノネナールの配合量が10-6ppbを下回る場合は本発明特有の香気・香味付与効果が得られない。
以下に実施例、比較例および参考例をあげて本発明を詳しく説明する。
[実施例1](オレンジ様香料の調合)
オレンジ様の調合香料組成物として下記の各成分(重量部)を調合した(比較品1)。
ビターオレンジオイル 70
プチグレンオイル 5
ネロリ油 5
酢酸ラバンジュリル 1
シトラールジメチルアセタール 2
プレノール 1
バレンセン 0.5
テトラヒドロミルセノール 0.2
95%エタノール 15.3
合計 100.0
上記オレンジ調合香料(比較品1)に対し、(E)−6−ノネナールの添加量をさまざまに変えて添加したものを本発明品1〜4および比較品2、3とした。それぞれの発明品および比較品の調製に当たっては、表1に示した濃度の(E)−6−ノネナールのエタノール希釈液を調製し、表1に示した量を添加した。それぞれの調合香料は、専門のパネラー10名により、官能評価を行った。その平均的な香気評価結果を表1に示す。
Figure 2009203438
表1に示した通り、オレンジ様調合香料組成物に対し、(E)−6−ノネナールを10-6ppm、10-4ppm、1ppm、100ppm添加した本発明品1〜4は果皮様のボディー感が賦与され、良好なオレンジ様香気が強調されているとの評価であり、香料組成物中に僅か10-6ppm存在するだけでも香気にフレッシュ感が付与されるという結果であった。一方、10-7ppmの添加では無添加と大差なく、2000ppm(0.2%)の添加では石鹸様脂肪様の異臭が出てしまい、良好ではなかった。
[比較例1]((Z)−6−ノネナールとの比較)
実施例1で使用したオレンジ様調合香料(比較品1)に実施例1の(E)−6−ノネナールに替えて(Z)−6−ノネナールを下記表2に示す濃度を添加し比較品4〜9とした。それぞれの調合香料は、専門のパネラー10名により、官能評価を行った。その平均的な香気評価結果を表2に示す。
Figure 2009203438
表2に示したとおり、(Z)−6−ノネナールの添加ではオレンジ様調合香料組成物に対し1ppmでもコントロールと大差がなく、また100ppm以上添加した場合の香気も、(E)−6−ノネナールを同量添加した場合と質的に異なり、いかなる濃度でも(E)−6−ノネナールを添加した場合の様に、果皮様のフレッシュ感、ボディー感が付与されることはなかった。
[実施例2](レモン様香料の調合)
レモン様の調合香料組成物として下記の各成分(重量部)を調合した(比較品10)。
レモンオイル 70
ライムオイル 10
ギ酸プロピル 0.5
ギ酸オクチル 0.5
酢酸イソプロピル 0.3
ウンデカナール 5
ドデカナール 0.3
ミルセノール 0.3
オシメン 0.05
95%エタノール 13.05
合計 100.0
上記レモン様調合香料組成物(比較品10)100重量部に、(E)−6−ノネナールの0.01%アルコール溶液0.1重量部を混合して新規レモン様調合香料組成物(本発明品5)を調製した。この本発明品5と該化合物を加えていない上記のレモン様調合香料組成物(比較品10)について、専門パネラー10人により比較した。その結果、専門パネラー10人の全員が(E)−6−ノネナールを加えた本発明品5は、果皮様のボディー感が賦与され、良好なレモン様香気が強調されていると評価した。
[実施例3](グレープフルーツ様香料の調合)
グレープフルーツ様の調合香料組成物として下記の各成分(重量部)を調合した(比較品11)。
グレープフルーツオイル 90
オクタナール 0.5
デカナール 0.5
ドデカナール 0.5
シトロネラール 0.5
95%エタノール 8
合計 100.0
上記グレープフルーツ様調合香料組成物100重量部に、(E)−6−ノネナールの0.01%アルコール溶液0.1重量部を混合して新規グレープフルーツ様調合香料組成物(本発明品6)を調製した。この本発明品6と(E)−6−ノネナールを加えていない上記のグレープフルーツ様調合香料組成物(比較品11)について、専門パネラー10人により比較した。その結果、専門パネラー10人の全員が該化合物を加えた本発明品6は、果皮様のボディー感が賦与され、良好なグレープフルーツ様香気が強調されていると評価した。
[実施例4](ライム様香料の調合)
ライム様の調合香料組成物として下記の各成分(重量部)を調合した(比較品12)。
ライムオイル 90
γ−テルピネン 5
フェンコール 3
シトラール 1
95%エタノール 1
合計 100.0
上記ライム様調合香料組成物100重量部に、(E)−6−ノネナールの0.01%アルコール溶液0.1重量部を混合して新規ライム様調合香料組成物(本発明品7)を調製した。この本発明品7と(E)−6−ノネナールを加えていない上記のライム様調合香料組成物(比較品12)について、専門パネラー10人により比較した。その結果、専門パネラー10人の全員が該化合物を加えた本発明品7は、果皮様のボディー感が賦与され、良好なライム様香気が強調されていると評価した。
[実施例5](ユズ様香料の調合)
ユズ様の調合香料組成物として下記の各成分(重量部)を調合した(比較品13)。
ユズオイル 80
スイートオレンジオイル 5
クラリセージオイル 1
ペッパーオイル 1
ジンジャーオイル 1
カルバクロール 0.5
cis−3ーヘキセナール 0.5
ネリルアセテート 0.5
チモール 0.5
リナロール 5
ミルセン 5
合計 100.0
上記ユズ様調合香料組成物100重量部に、(E)−6−ノネナールの0.01%アルコール溶液0.1重量部を混合して新規ユズ様調合香料組成物(本発明品8)を調製した。この本発明品8と(E)−6−ノネナールを加えていない上記のユズ様調合香料組成物(比較品13)について、専門パネラー10人により比較した。その結果、専門パネラー10人の全員が該化合物を加えた本発明品8は、果皮様のボディー感が賦与され、良好なユズ様香気が強調されていると評価した。
[実施例6](オレンジ果汁飲料への配合)
実施例1および比較例1で得られたオレンジ様調合香料組成物(本発明品1〜4および比較品1〜9)を下記処方の飲料基材に添加しオレンジ果汁飲料を調製した。
オレンジ果汁飲料配合処方 (重量部)
果糖ぶどう糖液糖 300
クエン酸(結晶) 1.5
ビタミンC 0.05
本発明品または比較品 2
バレンシアオレンジ果汁 1000
水にて全量を2000とする
これらのオレンジ果汁飲料を、専門パネラー10人により官能評価を行った。その平均的な風味評価結果を表3に示す。
Figure 2009203438
表3に示すとおり、本発明品1〜4および比較品1〜9を添加したオレンジ果汁飲料は、実施例1および2で調合香料を評価した時と同様の風味が飲料中でもそのまま再現されていた。すなわち(E)−6−ノネナールの飲料中添加量が10-6ppb、10-4ppb、1ppb、100ppbとなる本発明品1〜4を添加した飲料は果皮様のボディー感が賦与され、良好なオレンジ様香気が強調されているとの評価であり、飲料中に僅か10-6ppb存在するだけでも香気にフレッシュ感が付与されるという結果であった。一方、飲料中10-7ppbの添加となる比較品2を添加した飲料は(E)−6−ノネナール無添加の調合香料(比較品1)を添加した飲料と大差なく、(E)−6−ノネナール2000ppbの添加となる比較品3を添加した飲料では石鹸様脂肪様の異臭が出てしまい、良好ではなかった。一方、(Z)−6−ノネナールの添加ではオレンジ果汁飲料に対し1ppbでもコントロールと大差がなく、また100ppb以上添加した場合の香気も、(E)−6−ノネナールを同量添加した場合と質的に異なり、いかなる濃度でも(E)−6−ノネナールを添加した場合の様に、果皮様のフレッシュ感、ボディー感が付与されることはなかった。
[実施例7](キャンディーへの配合)
実施例2で得られたレモン様調合香料組成物(本発明品5及び比較品10)を下記処方のキャンディー基材に添加し、常法によりキャンディーを調製し実施例6と同様に官能評価を行った。
キャンディー配合処方 (重量部)
グラニュー糖 48
水飴(75%) 32
水 20
ゼラチン 2
硬化ヤシ油(融点34℃) 9
全脂加糖練乳 5
クエン酸(結晶) 0.5
着色料 0.06
本発明品5(または比較品10) 0.2
濃縮オレンジ果汁 2
できあがり生地量 約100
これらのキャンディーを、専門パネラー10人により官能評価を行った。その結果、専門パネラー10人全員が、本発明品5を添加したキャンディーは比較品10を添加したキャンディーに較べて、果皮様のボディー感が強調されていると評価した。
[実施例8](スポンジケーキへの配合)
実施例3で得られたグレープフルーツ様調合香料組成物(本発明品6及び比較品11)を下記処方のスポンジケーキ生地に添加し、常法によりスポンジケーキを調製し、実施6と同様に官能評価を行った。
スポンジケーキ配合処方 (重量部)
薄力粉 1000
ベーキングパウダー 30
砂糖 1300
全卵 1600
牛乳 400
無塩バター 30
バニラオイル 1
本発明品6(または比較品11) 1
合計 4362
これらのスポンジケーキを、専門パネラー10人により官能評価を行った。その結果、専門パネラー10人全員が、本発明品6を添加したスポンジケーキは比較品11を添加したスポンジケーキに較べて、果皮様のボディー感が強調されていると評価した。
[実施例9](シャーベットへの配合)
実施例4で得られたライム様調合香料組成物(本発明品7及び比較品12)を下記処方のシャーベットに添加し、常法によりシャーベットを調製し、実施例6と同様に官能評価を行った。
シャーベット配合処方 (重量部)
砂糖 10
水飴(75%) 6
果糖ぶどう糖液糖(75%) 5
クエン酸(結晶) 0.1
1/5ライム果汁 10
本発明品7(または比較品12) 0.2
水にて合計量を100とする
これらのシャーベットを、専門パネラー10人により官能評価を行った。その結果、専門パネラー10人全員が、本発明品7を添加したシャーベットは比較品12を添加したシャーベットに較べて、果皮様のボディー感が強調されていると評価した。
[実施例10](ゼリーへの配合)
実施例5で得られたユズ様調合香料組成物(本発明品8及び比較品13)を下記処方のゼリーに添加し、常法によりゼリーを調製し、実施例6と同様に官能評価を行った。
ゼリー配合処方 (重量部)
グラニュー糖 60
ソルビトール 12
1/5柚子果汁 5
寒天 1
クエン酸(結晶) 0.3
着色料 0.03
本発明品8(または比較品13) 0.2
水にて合計量を 100とする
これらのゼリーを、専門パネラー10人により官能評価を行った。その結果、専門パネラー10人全員が、本発明品8を添加したゼリーは比較品13を添加したゼリーに較べて、果皮様のボディー感が強調されていると評価した。
[実施例11](台所用液体洗剤への配合)
実施例1および比較例1で得られたオレンジ様調合香料組成物(本発明品1〜4および比較品1〜9)を下記処方の台所用液体洗剤に添加し、常法により台所用液体洗剤を調製し、実施例6と同様に官能評価を行った。
台所用液体洗剤配合処方 (重量部)
塩化ベンザルコニウム 1.0
クエン酸 5.0
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 3.0
キサンタンガム 0.5
アルキルグリコシド 2.0
本発明品(または比較品) 0.1
水にて合計量を100.0とする
これらの台所用液体洗剤について実際の台所洗浄時の香気を、良く訓練された専門パネラー10人により評価した。その平均的な香気評価結果を表4に示す。
Figure 2009203438
表4に示したとおり、本発明品1〜4および比較品1〜9を添加した台所用液体洗剤を用いて洗浄した時の香気は、実施例1および2で調合香料を評価した時と同様の香気がそのまま再現されていた。すなわち(E)−6−ノネナールを洗剤中に10-6ppb、10-4ppb、1ppb、102ppb添加となる、本発明品1〜4の香料を配合した洗剤を用いて洗浄した場合、果皮様のボディー感あり、良好なオレンジ様香気が感じられるとの評価であり、洗剤中に僅か10-6ppb存在するだけでも香気にフレッシュ感が付与されるという結果であった。一方、(E)−6−ノネナールを洗剤中に10-7ppbの添加では無添加と大差なく、2000ppbの添加では石鹸様脂肪様の異臭が出てしまい、良好ではなかった。一方、(Z)−6−ノネナールの添加では洗剤中に1ppbでもコントロールと大差がなく、また100ppb以上添加した場合の香気も、(E)−6−ノネナールを同量添加した場合と質的に異なり、いかなる濃度でも(E)−6−ノネナールを添加した場合の様に、果皮様のフレッシュ感、ボディー感が付与されることはなかった。
[実施例12](ガスレンジ用クリーナーの配合)
実施例3で得られたグレープフルーツ様調合香料組成物(本発明品6および比較品11)を下記処方のガスレンジ用クリーナーに添加した。
ガスレンジ用クリーナー処方 (重量部)
ブチルセロソルブ 5
ドデシルポリオキシエチレンエーテル 2
モノエタノールアミン 4
本発明品6(または比較品11) 0.5
水にて合計量を100.0とする
これらのガスレンジクリーナーについて実際のガスレンジ洗浄時の香気を、良く訓練された専門パネラー10人により評価した。専門パネラー10人により官能評価を行った。その結果、専門パネラー10人全員が、本発明品6を添加したガスレンジクリーナー使用時の香気は比較品11を添加したガスレンジ用クリーナー使用時に較べて、果皮様のボディー感が強調されていると評価した。
[実施例13](消臭芳香剤ゲルへの配合)
実施例2で得られたレモン様調合香料組成物(本発明品5及び比較品10)を下記処方の油性ゲル状消臭芳香剤に添加し、常法により油性ゲル状消臭芳香剤を調製した。
油性ゲル状消臭芳香剤処方 (重量部)
ステアリン酸ナトリウム 7.5
精製水 2.0
ヘキシレングリコール 4.0
ジブチルヒドロキシトルエン 0.2
d−リモネン 76.3
本発明品5(または比較品10) 10.0
合計 100.0
これらの消臭芳香剤を、専門パネラー10人により官能評価を行った。その結果、専門パネラー10人全員が、本発明品5を添加した消臭芳香剤は比較品10を添加した消臭芳香剤に較べて、果皮様のボディー感が強調されていると評価した。

Claims (4)

  1. (E)−6−ノネナールを有効成分とする柑橘香味増強剤。
  2. 請求項1に記載の柑橘香味増強剤を(E)−6−ノネナール濃度として10-6ppm〜103ppm含有させたことを特徴とする柑橘香料組成物。
  3. 請求項2に記載の柑橘香料組成物を(E)−6−ノネナール濃度として10-6ppb〜103ppb含有させたことを特徴とする飲食品。
  4. 請求項2に記載の柑橘香料組成物を(E)−6−ノネナール濃度として10-6ppb〜103ppb含有させたことを特徴とする香粧品。
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