JP6530853B1 - ミント風味経口製品のコク味増強剤、コク味増強用香料組成物およびこれらを使用するコク味増強方法 - Google Patents

ミント風味経口製品のコク味増強剤、コク味増強用香料組成物およびこれらを使用するコク味増強方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6530853B1
JP6530853B1 JP2018229493A JP2018229493A JP6530853B1 JP 6530853 B1 JP6530853 B1 JP 6530853B1 JP 2018229493 A JP2018229493 A JP 2018229493A JP 2018229493 A JP2018229493 A JP 2018229493A JP 6530853 B1 JP6530853 B1 JP 6530853B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mint
ppm
flavor
lactone
oral product
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2018229493A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020089323A (ja
Inventor
敦嗣 重藤
敦嗣 重藤
真人 寺澤
真人 寺澤
泰貴 浅井
泰貴 浅井
熊沢 賢二
賢二 熊沢
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ogawa and Co Ltd
Original Assignee
Ogawa and Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ogawa and Co Ltd filed Critical Ogawa and Co Ltd
Priority to JP2018229493A priority Critical patent/JP6530853B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6530853B1 publication Critical patent/JP6530853B1/ja
Publication of JP2020089323A publication Critical patent/JP2020089323A/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Abstract

【課題】ミントの自然な風味を損なうことなく、ミント風味を有する経口製品に対してコク味を増強する。【解決手段】ミントラクトン、メントフロラクトン、デヒドロメントフロラクトン、ジヒドロミントラクトンおよびエポキシメントフロラクトンからなる群より選択される1種または2種以上からなることを特徴とする、ミント風味経口製品のコク味増強剤、コク味増強用香料組成物およびこれらを使用するコク味増強方法。【選択図】なし

Description

本発明は、ミント風味経口製品(ミントの風味を有し、口腔内でミントの風味を発現させる飲食品やオーラルケア製品)を対象とするコク味増強剤、コク味増強用香料組成物およびコク味増強方法に関する。
詳細には、ミントラクトン、メントフロラクトン、デヒドロメントフロラクトン、ジヒドロミントラクトンおよびエポキシメントフロラクトンからなる群より選択される1種または2種以上の化合物からなることを特徴とする、ミント風味経口製品のコク味増強剤、当該コク味増強剤と香料からなるコク味増強用香料組成物、および当該コク味増強剤またはコク味増強用香料組成物をミント風味経口製品に添加することを特徴とする、ミント風味経口製品のコク味増強方法に関する。
近年、消費者ニーズの多様化にともない、飲料、冷菓、ゼリー、ガムやタブレットなどの菓子、歯磨きや洗口液などのオーラルケア製品(歯や口の中を清潔に保つための口腔衛生用品)に代表されるような多種多様な形態、多種多様な香調のミント風味経口製品が開発されている。
ミント風味製品の風味を改良する(特にミント風味増強)従来技術としては、例えば、以下の技術が提案されている。
ミント系香料とラカンカ抽出物とを共存させることでミントの風味を増強させる方法(特許文献1)、ミント類に1,3,5,8−ウンデカテトラエン類を含有させ、拡散性や強さ、インパクト、嗜好性に優れたミント組成物を得る方法(特許文献2)、ミント系香料にポリゴジアールもしくはポリゴジアールを含有する植物の抽出物を添加することにより香味を改善する方法(特許文献3)、ミント系香料に6,8,10−ウンデカトリエン−3−オン、3−メチル−2,4−ノナンジオンおよび4−エチルグアヤコールを併用することにより香味を改善する方法(特許文献4)などである。
一方、呈味性の観点からすると、多くの飲食物、オーラルケア製品の風味には、コク味(呈味にまろやかさや深みを与える)が重要であり、ミント風味を有する製品もまた例外ではない。
従来からコク味を強めるための方法は種々開発されており、畜肉エキス、魚介エキス、野菜エキスなどの天然エキスが広く用いられている。
しかしながら、ミント風味経口製品についていえば、従来技術が風味の点で適合しているとは限らない。
汎用性のある呈味付与剤としては、特定のアマドリ化合物(特許文献5)やピログルタミルジペプチド(特許文献6)などが提案されている。しかし、ミント風味とのマッチングとしては十分なものであるとは言えなかった。
そこで、ミントの風味を損なうことのないコク味増強法としては、メンタ属植物の精油を分子蒸留することにより、ミント精油中の不快臭物質や不快味成分を除去して相対的にコク味を増強する方法が提案されている(特許文献7)。
その一方、ミント成分はそのまま維持し、付加的にコク味を増強するという添加剤の提供において更なる技術の開発が求められていた。
特開2015−140381号公報 特開2007−246682号公報 特開平07−145398号公報 特開2013−107976号公報 特開2012−029615号公報 特開2012−029616号公報 特開2002−038187号公報 特開昭56−169621号公報 特表平07−503281号公報 特表2003−505556号公報
印藤元一著、「合成香料 化学と商品知識」、化学工業日報社発行、1996年3月6日発行、第559〜560頁
本発明が解決しようとする課題は、従来の天然エキスやアミノ系化合物等の添加では十分ではなかった、ミント風味経口製品の風味に調和(マッチ)したコク味増強剤、コク味増強用香料組成物およびコク味増強方法を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決すべく、ミント精油の香気成分やその類縁化合物の中にコク味増強効果のある化合物を探索した結果、特定のパラメンタンラクトン骨格を有する化合物をミント風味経口製品に添加することで、ミント特有の風味を損なうことなくコク味を増強できることを見出した。
すなわち、本発明は、次に掲げる、ミント風味を有する経口製品のコク味増強剤、コク味増強用香料組成物およびコク味増強方法に関する。
〔1〕ミントラクトン、メントフロラクトン、デヒドロメントフロラクトン、ジヒドロミントラクトンおよびエポキシメントフロラクトンからなる群より選択される1種または2種以上の化合物からなることを特徴とする、ミント風味経口製品のコク味増強剤。
〔2〕ミント風味経口製品中の含有量が下記の濃度範囲であることを特徴とする、上記〔1〕記載のミント風味経口製品のコク味増強剤。
ミントラクトン:0.01〜100ppm
メントフロラクトン:0.002〜20ppm
デヒドロメントフロラクトン:0.01〜100ppm
ジヒドロミントラクトン:0.001〜100ppm
エポキシメントフロラクトン:0.01〜100ppm
〔3〕ミント風味経口製品に対して、ミントラクトン、メントフロラクトン、デヒドロメントフロラクトン、ジヒドロミントラクトンおよびエポキシメントフロラクトンからなる群より選択される1種または2種以上の化合物を添加することを特徴とする、ミント風味経口製品のコク味増強方法。
〔4〕ミント風味経口製品への添加量が下記の濃度範囲であることを特徴とする、上記〔3〕記載のミント風味経口製品のコク味増強方法。
ミントラクトン:0.01〜100ppm
メントフロラクトン:0.002〜20ppm
デヒドロメントフロラクトン:0.01〜100ppm
ジヒドロミントラクトン:0.001〜100ppm
エポキシメントフロラクトン:0.01〜100ppm
〔5〕ペパーミント精油、スペアミント精油およびハッカ油よりなる群より選ばれる1種または2種以上の香料に、ミントラクトン、メントフロラクトン、デヒドロメントフロラクトン、ジヒドロミントラクトンおよびエポキシメントフロラクトンからなる群より選択される1種または2種以上の化合物を以下の量で添加されたことを特徴とする、ミント風味経口製品のコク味増強用香料組成物。
ミントラクトン:10〜100000ppm
メントフロラクトン:2〜20000ppm
デヒドロメントフロラクトン:10〜100000ppm
ジヒドロミントラクトン:1〜100000ppm
エポキシメントフロラクトン:10〜100000ppm
本発明のコク味増強剤は、ミント風味経口製品に対して添加したとき、ミント特有の風味を損なうことなく、むしろミント風味を改善しつつコク味を増強することができる。
すなわち、異味異臭を与えないことは当然として、ミントらしさを保ちつつ、ミント風味の広がり、厚み、持続性、濃厚感のみを増強する効果がもたらされる。
以下に本発明を詳細に記載する。
〔1〕コク味増強剤の有効成分
本発明のコク味増強剤は、ミントラクトン、メントフロラクトン、デヒドロメントフロラクトン、ジヒドロミントラクトンおよびエポキシメントフロラクトンからなる群より選択される1種または2種以上の化合物を有効成分として含有する。
しかしながら、いずれの化合物についても、ミント風味経口製品に対するコク味の増強効果については知られていなかった。
(1)ミントラクトン(Mintlactone)
ミントラクトン(CAS No.:13341-72-5)は、別名が3,6−ジメチル−5,6,7,7a−テトラヒドロ−2(4H)−ベンゾフラノンあるいはメンタラクトン(Menthalactone)であり、下記式(1)の構造を有する。
Figure 0006530853
ミントラクトンは、ミント精油に含まれる香気成分であり、甘いクマリン、ココナッツ様香気を有するとされている(非特許文献1)。
本発明で用いられるミントラクトンはミント精油から分離した天然物由来のものでも、化学合成したものであってもよい。
さらに、試薬として製品化されている市販品(例えば、シグマ−アルドリッチ社製品)を入手して使用することも可能である。
(2)デヒドロメントフロラクトン(Dehydromenthofurolactone)
デヒドロメントフロラクトン(CAS No.:80417-97-6)は、別名が5,6−ジヒドロ−3,6−ジメチル−2(4H)−ベンゾフラノンであり、下記式(2)の構造を有する。
Figure 0006530853
デヒドロメントフロラクトンは、メントフランより合成され、クマリン、キャラメル芳香を有するとされている(特許文献8)。
特許文献8の記載によれば、メントフランは、空気酸素による光酸化反応中にハイドロパーオキサイドに酸化され、これはその場で苛性ソーダ液により7α−ヒドロキシ−3,6−ジメチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−2−ベンゾフラノン(別名、ヒドロキシメントフロラクトン)に分解される。このヒドロキシメントフロラクトンから、例えば硫酸水素ナトリウムを用いる水の開裂分離によって、5,6−ジヒドロ−3,6−ジメチル−2(4H)−ベンゾフラノンが得られる(J. Am. Chem. Soc. 72, 399 (1950))。
(3)ジヒドロミントラクトン(Dihydromintlactone)
ジヒドロミントラクトン(CAS No.:92015-65-1)は、別名がヘキサヒドロ−3,6−ジメチル−2(3H)−ベンゾフラノンであり、下記式(3)の構造を有する。
Figure 0006530853
ジヒドロミントラクトンは、ミントラクトンからの接触還元等により合成され、バニラ・クマリン様ノート、カラメル香、バルサム香、トンカ香を与えるとされている(特許文献9)。
(4)メントフロラクトン(Menthofurolactone)
メントフロラクトン(CAS No.:16642-41-4)は、別名が4,5,6,7−テトラヒドロ−3,6−ジメチル−3H−ベンゾ[b]フラン−2−オンであり、下記式(4)の構造を有する。
Figure 0006530853
メントフロラクトンは、甘さを付与する成分であり、ミントよりもむしろハーバルなノートを与えるとされている(特許文献10)。メントフランからのリパーゼ・過酸化水素酸化等により合成される。
特許文献10の実施例1に(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−3,6−ジメチル−3H−ベンゾ[b]フラン−2−オンの製造が詳細に記載されている。
それによれば、(R)−(+)−メントフラン、オクタン酸および固定化リパーゼをトルエン中で希釈して、過酸化水素を反応混合物へ滴加し、次いで反応混合物を周囲温度で放置し、濾過後、ジエチルエーテルを添加し、次いで有機相をNa2CO3、ブライン、および再度ブラインで、連続洗浄して、黄色の油分を得、真空蒸留した後、(6R)−4,5,6,7−テトラヒドロ−3,6−ジメチル−3H−ベンゾ[b]フラン−2−オンをほぼ1/1の割合の2種類のジアステレオ異性体混合物として取得できる。
(5)エポキシメントフロラクトン(Epoxymenthofurolactone)
エポキシメントフロラクトンは、下記の構造(5)を有する、任意の立体異性体形態の式(1)の化合物であるペルヒドロ−3,6−ジメチル−3a,7a−エポキシベンゾ[b] フラン−2(3H)−オン、もしくは立体異性体形態の任意の比率の混合物である。
Figure 0006530853
ペルヒドロ−3,6−ジメチル−3a,7a−エポキシベンゾ[b]フラン−2(3H)−オンは、乳脂様、スイート、アニス様、ミント様を想起させる化合物である。
ペルヒドロ−3,6−ジメチル−3a,7a−エポキシベンゾ[b]フラン−2(3H)−オンは、下記反応式に示すように、4,5,6,7−テトラヒドロ−3,6−ジメチル−3H−ベンゾ[b] フラン−2−オンをメタクロロ過安息香酸によってエポキシ化して得ることができる。
Figure 0006530853
ただし、ペルヒドロ−3,6−ジメチル−3a,7a−エポキシベンゾ[b] フラン−2−オンの合成法は、上記の方法に限定されるものではない。
〔2〕ミント風味経口製品
本発明でいうミント風味経口製品とは、少なくともミントの風味を有し、口腔内でミントの風味を発現させる製品をいい、具体的にはペパーミント、スペアミント、ハッカ油等を含むミント風味を有する飲食物およびオーラルケア製品をいう。
本発明の対象となるミント風味の飲食物とは、ペパーミント、スペアミントに代表されるような、一般にミントと称されるハーブまたはその抽出物、またはその香りを表現した香料等により風味付けされた飲食物である。
飲食物の形態としては特に制限がなく、例えば、果実類又はその加工品、野菜又はその加工品、魚介類又はその加工品、練製品、調理食品、総菜類、スナック類、珍味類、加工食品、栄養食品、茶飲料およびコーヒー飲料などの嗜好飲料、果汁飲料、炭酸飲料、清涼飲料、機能性飲料、アルコール飲料、アイスクリーム、シャーベット等の冷菓類、ゼリー、プリン、羊かん等のデザート類、クッキー、ケーキ、チョコレート、チューイングガム、饅頭等の菓子類、菓子パン、食パン等のパン類、ジャム類、ラムネ菓子、タブレット、錠菓類などが挙げられる。
本発明の対象となるミント風味のオーラルケア製品とは、ペパーミント、スペアミントに代表されるような、一般にミントと称されるシソ科多年草のハーブまたはその抽出物、またはその香りを表現した香料等により風味付けされたオーラルケア製品である。
オーラルケア製品の形態としては特に制限がなく、例えば、歯磨剤、歯用ゲル、口内洗浄剤、口内スプレー、口腔用ムース、義歯ケア製品、トローチ剤、チュアブル錠、および歯に直接付着させるストリップの形態の口腔用組成物などが挙げられる
〔3〕コク味増強剤の適用
本発明におけるコク味とは、基本5味(甘味、塩味、苦味、酸味、うま味)では表現されない味であり、ボリュームやまとまり、広がり、厚み、濃厚感、持続性で表現される、基本5味を増強し、飲食物のおいしさを向上する感覚を指す。
本発明のコク味増強剤をミント風味経口製品に添加する場合、その添加量は特に限定されるものではないが、ミント特有の風味を損なうことなく、むしろミント風味を改善しつつコク味を増強するための適正濃度としては、各化合物について以下の濃度が例示される。
添加濃度が下記濃度範囲に満たない場合は、コク味増強効果が十分発揮されない可能性があり、下記濃度範囲を超えた場合には、ミント風味に変調を来す可能性がある。
ミントラクトン:0.01〜100ppm、好ましくは0.1〜100ppm、さらに
好ましくは0.1〜10ppm。
メントフロラクトン:0.002〜20ppm、好ましくは0.02〜20ppm、さらに好ましくは0.02〜10ppm。
デヒドロメントフロラクトン:0.01〜100ppm、好ましくは0.1〜100ppm、さらに好ましくは0.1〜10ppm。
ジヒドロミントラクトン:0.001〜100ppm、好ましくは0.01〜100ppm、さらに好ましくは0.01〜50ppm。
エポキシメントフロラクトン:0.01〜100ppm、好ましくは0.1〜100ppm、さらに好ましくは0.1〜10ppm。
本発明のコク味増強剤は、任意でその他の成分とともに使用することができる。そのような成分としては、各種酸味料、各種乳化剤、飲食物に使用できる各種溶剤、各種賦形剤、各種甘味料、各種香料、各種着色料などである。
なお、本発明のコク味増強剤は、ミント風味経口製品の任意の製造工程において通常の方法で適宜添加することができる。
〔4〕コク味増強用香料組成物
本発明のコク味増強剤をミント風味経口製品に添加する場合、いったん既存の香料中に添加して香料組成物としてから、ミント風味経口製品に使用することも有効である。
その場合に用いられる香料としては、特に制限はなく、用途や目的に応じて従来より使用されていた種々の香料が使用可能である。例えば、「特許庁公報 周知慣用技術集(香料) 第II部 食品用香料」(平成12(2000)年1月14日発行、日本国特許庁)や、「特許庁公報 周知慣用技術集(香料) 第III部 香粧品用香料」(平成13(2001)年6月15日発行、日本国特許庁)等に記載された香料(精油、エッセンス、コンクリート、アブソリュート、エキストラクト、オレオレジン、レジノイド、回収フレーバー、炭酸ガス抽出精油、単離香料、合成香料などが挙げられる。特に、前記特許庁公報 周知慣用技術集(香料)第II部 食品用香料の「3・6 ミント系フレーバー」に記載された香料を用いることが好ましい。
より具体的には、香料として、ペパーミント精油、スペアミント精油、ハッカ油などを例示することができる。
上記の香料組成物は、必要に応じて溶剤を含有させた液状香料として飲食品やオーラルケア製品等に使用する態様が好適である。
ここで、溶剤としては、ジエチルフタレート、トリエチルシトレート等のエステル類;トリアセチン、中鎖脂肪酸トリグリセライド、動植物油脂等のトリグリセライド類;プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ブチルジグリコール、1,3-ブチレングリコール等のグリコール類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、3-メチル-3-メトキシブタノール等のアルコールエーテル類;エタノール等のアルコール類を例示することができる。
なお、香料組成物を界面活性剤ともに乳化した乳化香料として使用する態様、さらには賦形剤(加工デンプン、サイクロデキストン等)と混合した後、乾燥(噴霧乾燥、凍結乾燥等)することにより粉末香料として使用する態様も好適である。
本発明のコク味増強剤と香料からなる香料組成物中のコク味増強剤の配合量は特に限定されるものではないが、香料組成物をミント風味経口製品に添加する場合に、ミント特有の風味を損なうことなく、むしろミント風味を改善しつつコク味を増強することを考慮すると、香料組成物中での適正濃度としては、各化合物について以下の濃度が例示される。
ミントラクトン:10〜100000ppm、好ましくは100〜100000ppm。さらに好ましくは100〜10000ppm。
メントフロラクトン:2〜20000ppm、好ましくは20〜20000ppm。さらに好ましくは20〜2000ppm。
デヒドロメントフロラクトン:10〜100000ppm、好ましくは100〜100000ppm。さらに好ましくは100〜10000ppm。
ジヒドロミントラクトン:1〜100000ppm、好ましくは10〜100000ppm。さらに好ましくは10〜10000ppm。
エポキシメントフロラクトン:10〜100000ppm、好ましくは100〜100000ppm。さらに好ましくは100〜10000ppm。
添加濃度が上記濃度範囲に満たない場合は、香料組成物をミント風味経口製品に添加する場合に、コク味増強効果が十分発揮されない可能性があり、上記濃度範囲を超えた場合には、ミント風味に変調を来す可能性がある。
本発明のコク味増強用香料組成物には、任意でその他の成分を加えることができる。任意に加えることができる成分としては、各種酸味料、各種乳化剤、飲食物に使用できる各種溶剤、各種賦形剤、各種甘味料、各種着色料などである。
なお、本発明のコク味増強用香料組成物は、ミント風味経口製品の任意の製造工程において通常の方法で適宜添加することができる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例の記載に限定されるものではない。
ミントラクトンは、シグマ−アルドリッチ社より購入した試薬(製品名:Menthalactone)を用いた。
デヒドロメントフロラクトンは、メントフランを原料とする特許文献8の製法に従って調製した。
ジヒドロミントラクトンは、ミントラクトンを原料とする特許文献9の製法に従って調製した。
メントフロラクトンは、メントフランを原料とする特許文献10の製法に従って調製した。
エポキシメントフロラクトンは、4,5,6,7−テトラヒドロ−3,6−ジメチル−3H−ベンゾ[b] フラン−2−オンをメタクロロ過安息香酸によってエポキシ化する製法に従って調製した。
[実施例1〜5、比較例1]
本発明のコク味増強剤、市販のペパーミント精油およびシュガーレスガム生地を用い、表1の処方にしたがって実施例1〜実施例5のミント風味のチューインガムを調製した。
なお、比較例1として、コク味増強剤の替わりにエタノールのみを添加したミント風味チューインガムを調製した。
Figure 0006530853
[試験例1]
実施例1〜実施例5および比較例1で得られたチューインガムについて官能評価を行った。
評価項目は、ミント風味の広がり、ミント風味の厚み、ミント風味の持続性、ミント風
味の濃厚感、ミントらしさ、異味異臭の有無とし、10名の熟練したパネルで評価した。
評価基準は、比較例1の各項目の評価値を4とし、非常に強く感じられた場合を7、非常に弱く感じられた場合を1とした場合の7段階の相対評価とした。その結果を表2に示す。
Figure 0006530853
表2の結果から、本発明のコク味増強剤は、ミントの風味を損なうことなく、ミントのコク味(ミント風味の広がり、厚み、持続性、濃厚感)を増強する効果がみられた。
[実施例6〜17]
表1と同様の処方にて、本発明のコク味増強剤の含有量を表3になるように調整したミント風味のチューインガムを調製した。
[試験例2]
実施例1〜17で調製したミント風味チューインガムについて官能評価を行った。
評価は10名の熟練したパネルで行い、評価基準は、ミントの風味を損なわないか、コク味は増強されているか、異味異臭はないか、の3点について総合評価を行い、△:不十分、○:良い、◎:非常に良い、の3段階評価とした。結果を表3に示す。
Figure 0006530853
表3の結果から、本発明のコク味増強剤を適正量添加することで、ミントの風味を損なうことなく、ミントのコク味(ミント風味の広がり、厚み、持続性、濃厚感)のみを増強する効果がみられた。
[実施例18](香料組成物1を添加したアイスクリーム)
ペパーミント精油にミントラクトンを0.1質量%添加し、香料組成物1を作製した。
この香料組成物1を0.1質量%添加した本発明のミント風味アイスクリームは、ミントラクトン無添加のペパーミント精油を用いて作製したミント風味アイスクリームと比較してコクが強く、より長い風味持続性を有していた。
[実施例19](香料組成物2を添加したソフトキャンディー)
ペパーミント精油にメントフロラクトンを0.1質量%添加し香料組成物2を作製した。
この香料組成物2を0.1質量%添加した本発明のミント風味ソフトキャンディーは、メントフロラクトン無添加のペパーミント精油を用いて作製したソフトキャンディーと比較してミント風味の広がりをより強く感じられた。
[実施例20](香料組成物3を添加したクッキー)
ペパーミント精油にデヒドロメントフロラクトンを0.1質量%添加し香料組成物3を作製した。
この香料組成物3を0.1質量%添加した本発明のミント風味クッキーは、デヒドロメントフロラクトン無添加のペパーミント精油を用いて作製したクッキーと比較してミントの厚みをより強く感じられた。
[実施例21](香料組成物4を添加したタブレットキャンディー)
ペパーミント精油にジヒドロミントラクトンを0.1質量%添加し香料組成物4を作製した。
この香料組成物4を0.1質量%添加した本発明のミント風味タブレットキャンディーは、ジヒドロミントラクトン無添加のペパーミント精油を用いて作製したタブレットキャンディーと比較してミントのコク味をより強く感じられた。
[実施例22](香料組成物5を添加した清涼飲料)
ペパーミント精油にエポキシメントフロラクトンを0.1質量%添加し香料組成物5を作製した。
この香料組成物5を0.1質量%添加した本発明のミント風味清涼飲料は、エポキシメントフロラクトン無添加のペパーミント精油を用いて作製した清涼飲料と比較してミントの濃厚感をより強く感じられた。
[実施例23](香料組成物1を添加したヨーグルト)
香料組成物1を0.1質量%添加した本発明のミント風味ヨーグルトは、ミントラクトン無添加のペパーミント精油を用いて作製したヨーグルトと比較して、より強いコク味とボリュームが感じられた。
[実施例24](香料組成物2を添加したゼリー)
香料組成物2を0.1質量%添加した本発明のミント風味ゼリーは、メントフロラクトン無添加のペパーミント精油を用いて作製したゼリーと比較して、より強いコク味とボリュームが感じられた。
[実施例25](香料組成物3を添加した洗口液)
香料組成物3を0.1質量%添加した本発明のミント風味洗口剤は、デヒドロメントフロラクトン無添加のペパーミント精油を用いて作製した洗口剤と比較して、風味の広がりをより強く感じられた。
[実施例26](香料組成物4を添加した歯磨き粉)
香料組成物4を0.1質量%添加した本発明のミント風味歯磨き粉は、ジヒドロミントラクトン無添加のペパーミント精油を用いて作製した歯磨き粉と比較して、風味の広がりをより強く感じられた。
本発明のコク味増強剤は、ミント風味を有する経口製品に添加することにより、簡便にコク味を増強する効果があり、飲食品分野やオーラルケア製品分野で幅広く利用することができる。さらに、ミント風味のコク味が増強された特徴ある新製品が提供されることによって、新たな需要を喚起することができる。

Claims (5)

  1. ミントラクトン、メントフロラクトン、デヒドロメントフロラクトン、ジヒドロミントラクトンおよびエポキシメントフロラクトンからなる群より選択される1種または2種以上の化合物からなることを特徴とする、ミント風味経口製品のコク味増強剤。
  2. ミント風味経口製品中の含有量が下記の濃度範囲であることを特徴とする、請求項1記載のミント風味経口製品のコク味増強剤。
    ミントラクトン:0.01〜100ppm
    メントフロラクトン:0.002〜20ppm
    デヒドロメントフロラクトン:0.01〜100ppm
    ジヒドロミントラクトン:0.001〜100ppm
    エポキシメントフロラクトン:0.01〜100ppm
  3. ミント風味経口製品に対して、ミントラクトン、メントフロラクトン、デヒドロメントフロラクトン、ジヒドロミントラクトンおよびエポキシメントフロラクトンからなる群より選択される1種または2種以上の化合物を添加することを特徴とする、ミント風味経口製品のコク味増強方法。
  4. ミント風味経口製品への添加量が下記の濃度範囲であることを特徴とする、請求項3記載のミント風味経口製品のコク味増強方法。
    ミントラクトン:0.01〜100ppm
    メントフロラクトン:0.002〜20ppm
    デヒドロメントフロラクトン:0.01〜100ppm
    ジヒドロミントラクトン:0.001〜100ppm
    エポキシメントフロラクトン:0.01〜100ppm
  5. ペパーミント精油、スペアミント精油およびハッカ油よりなる群より選ばれる1種または2種以上の香料に、ミントラクトン、メントフロラクトン、デヒドロメントフロラクトン、ジヒドロミントラクトンおよびエポキシメントフロラクトンからなる群より選択される1種または2種以上の化合物を以下の量で添加されたことを特徴とする、ミント風味経口製品のコク味増強用香料組成物。
    ミントラクトン:10〜100000ppm
    メントフロラクトン:2〜20000ppm
    デヒドロメントフロラクトン:10〜100000ppm
    ジヒドロミントラクトン:1〜100000ppm
    エポキシメントフロラクトン:10〜100000ppm
JP2018229493A 2018-12-07 2018-12-07 ミント風味経口製品のコク味増強剤、コク味増強用香料組成物およびこれらを使用するコク味増強方法 Expired - Fee Related JP6530853B1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018229493A JP6530853B1 (ja) 2018-12-07 2018-12-07 ミント風味経口製品のコク味増強剤、コク味増強用香料組成物およびこれらを使用するコク味増強方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018229493A JP6530853B1 (ja) 2018-12-07 2018-12-07 ミント風味経口製品のコク味増強剤、コク味増強用香料組成物およびこれらを使用するコク味増強方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP6530853B1 true JP6530853B1 (ja) 2019-06-12
JP2020089323A JP2020089323A (ja) 2020-06-11

Family

ID=66821567

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018229493A Expired - Fee Related JP6530853B1 (ja) 2018-12-07 2018-12-07 ミント風味経口製品のコク味増強剤、コク味増強用香料組成物およびこれらを使用するコク味増強方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6530853B1 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021222486A1 (en) * 2020-05-01 2021-11-04 The Procter & Gamble Company Mint flavor compositions
WO2021244953A1 (en) * 2020-06-03 2021-12-09 Firmenich Sa Compositions for reducing off tastes and uses thereof
WO2022112432A1 (en) * 2020-11-29 2022-06-02 Firmenich Sa Compositions that reduce peroxide off taste and uses thereof

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021222486A1 (en) * 2020-05-01 2021-11-04 The Procter & Gamble Company Mint flavor compositions
CN115551360A (zh) * 2020-05-01 2022-12-30 宝洁公司 薄荷风味物组合物
WO2021244953A1 (en) * 2020-06-03 2021-12-09 Firmenich Sa Compositions for reducing off tastes and uses thereof
CN115250612A (zh) * 2020-06-03 2022-10-28 弗门尼舍有限公司 用于减少异味的组合物及其用途
WO2022112432A1 (en) * 2020-11-29 2022-06-02 Firmenich Sa Compositions that reduce peroxide off taste and uses thereof

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020089323A (ja) 2020-06-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4183142B1 (ja) 柑橘香味増強剤
JP6530853B1 (ja) ミント風味経口製品のコク味増強剤、コク味増強用香料組成物およびこれらを使用するコク味増強方法
JP4360654B1 (ja) 香酸柑橘様香味増強剤
US10945938B2 (en) Lactone-containing compositions for malodor elimination
JP6262170B2 (ja) 柑橘香味増強剤
JP6262171B2 (ja) 果実香味増強剤
JP6307118B2 (ja) 柑橘香味付与乃至増強剤
JP2009296951A (ja) 焙煎嗜好飲料または焙煎嗜好飲料風味飲食品の余韻改善剤
JP6238349B2 (ja) 温州みかん香料又は温州みかん風味飲食品の果汁感向上剤、それを添加してなる香料、飲食品又は香粧品
JP4510340B2 (ja) 呈味改善剤
JP4800132B2 (ja) アズキ食品添加用香料組成物、アズキ食品及びアズキ食品の香味改善方法
JP6808299B2 (ja) 飲食品の風味改善剤
JP4931900B2 (ja) ゴマ様香味増強剤
JP7269479B2 (ja) 果実感付与又は増強剤
JP7027677B2 (ja) 柑橘系香料の果皮感付与又は果皮感増強剤
JP6605563B2 (ja) 2−(2−メチル−1−プロペニル)−4−メチレンテトラヒドロピランを含有する香料組成物
JP2022103542A (ja) 酸素原子および硫黄原子を含む環状化合物
JP7332563B2 (ja) ラクトン化合物
US10582721B2 (en) Aroma composition including 2,4-nonadiene
WO2020116117A1 (ja) 風味増強剤及び経口製品の風味増強方法ならびに香粧品の香気増強方法
JP7215918B2 (ja) 酢酸含有製品の酢酸臭マスキング剤
JP6171125B1 (ja) 香料組成物、及び該香料組成物を含む乳、乳製品、乳もしくは乳製品を含む飲食品、又は乳製品代用品
JP2017184665A (ja) 柑橘様飲食品添加用香料組成物
WO2019022233A1 (ja) 飲食品
JP2022103541A (ja) 含硫ラクトン化合物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20181207

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20181207

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20190107

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190129

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190514

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190517

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6530853

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees