JP2009201363A - 易嚥下性豆腐様ゲル状食品 - Google Patents

易嚥下性豆腐様ゲル状食品 Download PDF

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Abstract

【課題】レトルト加熱を行ってもまとまりのある食塊を形成し易嚥下性である、嚥下困難者が誤嚥を起こしにくいテクスチャーで、且つ色調に優れる、大豆蛋白素材を含む豆腐様ゲル状食品を提供する。
【解決手段】大豆蛋白素材,還元澱粉分解物を配合し、さらにキレート剤存在下で二価金属イオンと大豆蛋白質を反応させることで、嚥下困難者に適した、離水が少なくまとまりのある食塊を形成する、豆腐様ゲル状食品を得ることができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、嚥下性に優れた保存性の良い豆腐様ゲル状食品に関する。
近年高齢者人口が増加するに伴い咀嚼及び嚥下困難者が増えており、誤嚥による肺炎や窒息などの危険性も増加している。咀嚼及び嚥下困難者の栄養管理手法として、経腸栄養などの技術革新がある一方、QOLの観点からは「食べる」実感を得るために、経口摂取ができるゲル状の固形食品が望まれている。
咀嚼及び嚥下困難者に適する食品のゲル特性としては、口腔内でまとまりのある食塊を維持し、上顎などの口内において付着が少なく、また崩れにくい性質を持つことが重要であるとされている。加えて、一般に医療食は、長期流通に耐えうる形態が望まれている。
一方、大豆蛋白質は、その摂取により脂質代謝を改善し疾病を予防する効果が数多く示されている上に、糖尿病腎症などの疾病を有している患者に対しても積極投与できることが判って来ている。大豆蛋白質を多く含む豆腐は高齢者に対する嗜好性が高いものの、崩れやすい性質から誤嚥しやすく、嚥下困難者が食べることが難しい。これを摂食するには、ミキサー等で崩し、適当なゲル化剤で固めるなどの工夫が必要となる。
更に、長期流通を可能とするために、豆腐にレトルト加熱(高温高圧)殺菌などの処理を行なうと、食感が滑らかではなく、崩壊感の強い荒れたゲル質となる上に、レトルト加熱で色調が暗くなるなどの外観上の問題も発生する。特に嚥下困難者にとっては、前述した誤嚥の問題に加え、レトルト加熱による品質の劣化から、更に食べづらいものとなる。従って、嚥下困難者用の、大豆蛋白質を高度に含有し、長期の流通に耐えうる豆腐様食品の開発が求められている。
豆腐を高温高圧殺菌(レトルト殺菌)した際の食感低下を改善する技術は、数多く開発されている。特許文献1には、キレート剤を使用する方法が、特許文献2には、澱粉やデキストリンを配合する方法が記載されている。しかし、これらの方法は前述した豆腐の崩れやすさを克服するものではなく、嚥下困難者用の物性を得るには至っていない。
特許文献3には、ゲル化剤と微結晶セルロースを配合する方法による、特許文献4には、ネイティブジェランガムを配合する方法による、レトルト殺菌された豆腐様のゲル状食品の製造法が記載されている。しかしこれらもまた、離水が少なく崩れにくい、嚥下困難者用の物性を得るには至っていない。
特許文献5では、トランスグルタミナーゼを加配することで、レトルト耐性に優れる豆腐の製造に関する記載がある。トランスグルタミナーゼにより耐熱性の向上は認められるものの、得られた豆腐の食感がやや硬くなり、易嚥下性についての改善は認められない。
特開昭62-294058号公報 特開平6-113777号公報 特開2004-73049号公報 特開平10-150942号公報 特開平3-168059号公報
本発明は、レトルト加熱を行ってもまとまりのある食塊を形成し易嚥下性である、嚥下困難者が誤嚥を起こしにくいテクスチャーで、且つ色調に優れる、大豆蛋白素材を含む豆腐様ゲル状食品を提供することを目的とした。
本発明者はかかる課題に鑑みて種々検討を行った結果、大豆蛋白素材,還元澱粉分解物を配合し、さらにキレート剤存在下で二価金属イオンと大豆蛋白質を反応させることで、嚥下困難者に適した、離水が少なくまとまりのある食塊を形成する、豆腐様ゲル状食品を得ることができる知見を得るに到った。
すなわち本発明は、
(1)大豆蛋白素材,二価金属塩,キレート剤および還元澱粉分解物を含み、高温加圧殺菌処理されていることを特徴とする、易嚥下性豆腐様ゲル状食品。
(2)還元澱粉分解物の、本明細書中に規定の方法によるDE値が5〜35である、(1)に記載の、易嚥下性豆腐様ゲル状食品。
(3)脂質を含有し、0.9キロカロリー/g以上のエネルギー量を有する、(1)に記載の易嚥下性豆腐様ゲル状食品。
(4)大豆蛋白素材,二価金属塩,キレート剤および還元澱粉分解物を原料とし、高温加圧殺菌処理により調製することを特徴とする、易嚥下性豆腐様ゲル状食品の製造方法。
を提供するものである。
本発明により、レトルト加熱を行ってもまとまりのある食塊を形成し、離水が少なく易嚥下性である、嚥下困難者が誤嚥を起こしにくいテクスチャーで、且つ色調に優れ、少量で高いエネルギー量を有する、大豆蛋白質を高度に含む豆腐様ゲル状食品を得ることが可能となったものである。
本発明のゲル状食品は、大豆蛋白素材,二価金属塩,還元澱粉分解物を含有し、さらにキレート剤存在下で二価金属イオンと大豆蛋白質を反応させることを特徴とする。以下、本発明について詳細に説明する。
(大豆蛋白素材)
本発明に使用する大豆蛋白素材としては、丸大豆,脱脂大豆,濃縮大豆たん白等から抽出した、スラリーまたは豆乳等を用いることができるが、蛋白質含量の強化や生産管理の観点から、脱脂大豆から抽出した豆乳を等電点沈澱し、得た蛋白質沈澱を中和して調製した、分離大豆たん白を用いることが好ましい。また、豆腐様のゲルを形成するに際しレトルトなどの高熱が加えられると、蛋白質とミネラルの反応が急激に進行し、ゲル質が荒れる場合がある。そのため、低粘度で且つカルシウム反応性の低い分離大豆たん白を用いることが、最も好ましい。
低粘度で且つカルシウム反応性の低い分離大豆たん白は、例えば以下の様にして調製することができる。脱脂大豆等から水または温水で可溶物を抽出し、オカラを除去することで、脱脂豆乳を得る。この脱脂豆乳をpH4〜5に調整し、蛋白質を等電点沈澱として回収した上で、加水と共にpH5.7〜7.4、好ましくはpH6.0〜7.0とし、そのまま水系下に110℃〜160℃、好ましくは115℃〜140℃にて、15〜70秒間、好ましくは20〜60秒間加熱処理を行ない得ることができる。加熱処理の際、次亜硫酸ナトリウムを蛋白質懸濁液に、その固形分当たり0.05重量%以上加えることも本物性の付与にとって好ましい。
(還元澱粉分解物)
本発明は、還元澱粉分解物の加配が必須である。還元澱粉分解物とは、澱粉を部分加水分解した後に還元し、還元末端を糖アルコールとした、非還元性のデキストリンである。還元澱粉分解物は、これ自身が炭水化物源になること、レトルト殺菌などでも褐変を起こしにくいことだけでなく、これを加配した豆腐ゲルは、通常の豆腐の様に崩壊することなく、まとまりのある物性とすることができる。ここで用いる還元澱粉分解物は、DE値として5〜35が好ましく、5〜25が更に好ましい。DE値が小さいと、最終に調製する豆腐の食感が固くなりやすく、また、崩れやすい食感になる。DE値が大きいと、食感が柔らかくなりやすく、また、甘味が強くなり、離水が多くなりやすい。尚、通常DE値はグルコースを100とした時の還元力の比較として表すが、本発明の還元澱粉分解物は基本的に還元性を持たない。そこで本出願に於いては、末端が還元されておらず同程度の平均分子量を持つ澱粉分解物のDE値をもって、還元澱粉分解物のDE値とみなしている。
本発明に使用する還元澱粉分解物の配合量は、得られるゲル状食品の品質に大きな影響を与える。配合量が少ないと、通常の豆腐のように崩れやすく、また離水も多くなるため嚥下性が悪くなりやすい。更には、炭水化物源が少なくなるため、栄養価が低いものとなる。配合量が多いと、食感が固くなりやすい。使用する還元澱粉分解物のDE値により、その好適な配合量が異なるため、一概に範囲を指定することが難しいが、例えば、DE値16〜19の還元澱粉分解物を使用する場合の好ましい配合量は5〜25重量%であり、更に好ましくは10〜25重量%であり、最も好ましくは13〜18重量%である。
(キレート剤)
本発明に使用するキレート剤は、金属を封鎖する機能を持つもので、クエン酸,リン酸,ポリリン酸,ヘキサメタリン酸,フィチン酸,エチレンジアミン四酢酸、またはこれらの塩類、例えば、ヘキサメタリン酸ナトリウム,リン酸三ナトリウムやクエン酸三ナトリウムなどが例示できる。キレート剤は、その配合比が最終の食感に影響を与えるため、添加量の調整が必要である。蛋白質含有量や使用する蛋白質の種類及び総固形量などの諸条件により、最適な添加量が異なるが、0.05重量%〜2重量%の範囲で適宜選ぶことができる。添加量が少ないとその効果が低く、あまり過剰に添加した場合は、豆腐ゲルの形成が阻害され好ましくない。
(二価金属塩)
本発明には、二価金属塩の添加が好ましい。使用する塩は、通常の豆腐製造に用いられるものを使用すればよいが、それ以外でもカルシウム塩やマグネシウム塩の形態であるものが少なくとも1種類以上含まれているものから適宜選ぶことができる。例えば、硫酸カルシウム,乳酸カルシウム,塩化マグネシウム,硫酸マグネシウムを例示することができる。使用量は通常の豆腐の調製に準じ、豆腐様ゲルの形成に必要な量を用いるが、二価金属として5〜150mg/100g、好ましくは10〜70mg/100g、更に好ましくは、15〜40mg/100gが例示できる。但し、キレート剤の量により増減することがある。
(油脂)
本発明に油脂を添加すると、栄養価が高まり好ましい。使用する油脂は、作業面などで不具合がなければ、特に制限がない。大豆油,菜種油,紅花油,コーン油,米糠油,ヒマワリ油,オリーブ油,パーム油,パーム核油,ヤシ油,カカオ脂,乳脂,魚油,牛脂,豚脂等、各種の油脂を使用することができる。消化吸収に優れる中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)は、栄養面で好適である。
(他の原料)
本発明のゲル状食品中には、上記の大豆蛋白素材,還元澱粉分解物,二価金属塩,キレート剤以外に、必要であれば油脂に加えて他の原料も配合することができる。例えば、豆腐の風合いを損なわない程度に大豆蛋白質以外の蛋白素材を配合することができる。これら蛋白素材として、コラーゲンペプチド,食肉ペプチド,各種食肉由来の蛋白質,鶏卵蛋白質,カゼインナトリウム,カゼイン,乳蛋白濃縮物,乳ホエー濃縮物,乳ホエー分離物,乳蛋白分解物などの動物性蛋白質や、とうもろこし蛋白質,小麦蛋白質等の植物性蛋白質を配合することができる。また、蛋白質以外では、本発明の目的である易嚥下性および豆腐様の風味,色調を損なわない範囲で、澱粉,水あめ,デキストリン,サイクロデキストリン,砂糖,果糖,乳糖,トレハロース,オリゴ糖などの炭水化物の配合が可能である。更に、乳化剤,色素,香料,ミネラル,ビタミンなどを目的に応じて配合することができる。易嚥下性ゲルの物性に大きな影響を与えない範囲内に於て、他のゲル化剤を添加することも可能である。
(エネルギー量)
嚥下困難者は、その摂食機能低下により喫食量が少なく、一回の食事でできるだけ栄養摂取出来ることが望まれる。そこで本発明の豆腐様ゲルは、上述した油脂,炭水化物,蛋白質から選ばれる1種以上の配合を増すことにより、ゲル状食品1g当り0.9キロカロリー以上の熱量を持つことが好ましい。この際、油脂の添加が熱量の増加に特に効果的である。固形分の増加により易嚥下性が低下することを考えれば、熱量はゲル状食品1g当り2.5キロカロリーを超えない範囲が好ましい。
(製造方法)
本発明は、キレート剤存在下で二価金属イオンと大豆蛋白質を緩慢に反応させることに特徴がある。従って、大豆蛋白素材,還元澱粉分解物、更に必要によって油脂等を含む水分散液を予め調製し、これを冷却した上で、キレート剤を含む二価金属塩溶液を混合することが望ましい。混合時の温度は、50℃以下が好ましく、25℃以下が更に好ましい。この温度範囲内で混合を行うことで、容器充填中などの作業時からの反応を抑制でき、均一なゲルを形成できる。
(ゲル状食品)
本発明のゲル状食品は、以上の原料を混合した溶液を、100℃を超える高温高圧環境で処理する高温加圧殺菌処理を行なうことが特色である。例えば混合溶液を適当なカップやパウチ等の容器に充填し高温高圧下でレトルト殺菌して得られる。混合溶液は、ホモミキサーなどの攪拌機で溶解すれば良いが、高圧ホモゲナイザーなどで調製することが好ましい。加熱条件は100℃を超える温度で且つ殺菌を達成できる条件であれば良く、F値として4以上の殺菌強度が例示できる。
(易嚥下性ゲル状食品)
易嚥下性とは、口腔内での付着性が少なく、崩れも抑制された、誤嚥を起こしにくいテクスチャーの物性である。これは以下の様な方法によって評価することもできる。例えば、パネラーが上方45度の角度で上方面を向き、試料を歯を使わずに歯茎のみで咀嚼し、むせたり、食べにくいことがあるかないかを5段階で評価する。また、ゲルからの適度な離水は、食塊をスムーズに通過させるために必要であるが、過度に離水した場合は誤嚥してしまう危険性があるため、離水の状態も目視にて確認する。これらを総合的に勘案して易嚥下性を評価する。
(用途)
本発明で得られたゲル状食品は、レトルト殺菌されており常温流通が可能な、口腔内での付着性が少なく、誤嚥を起こしにくいテクスチャーの高蛋白食品である。また、従来知られている豆乳をゲル化剤で固化させたものとは異なり、豆腐の風味食感を保持したものである。従って、嚥下困難な高齢者、特に褥瘡対策などの蛋白質補給が重要な患者の医療において、非常に有用な大豆蛋白供給食品を提供することができる。
以下に本発明の実施例を示し詳細に説明する。なお、例中、%及び部は、いずれも重量基準を意味する。
(製造例1)大豆蛋白素材Aの調製
水1,000重量部に低変性脱脂大豆100重量部を加えて、ホモミキサー(特殊機化工業(株)製)で攪拌しながら40℃,30分間抽出を行い、3,000×gで遠心分離してオカラを除き、脱脂豆乳を得た。これを塩酸でpH4.5に調整して等電点沈澱させ、遠心分離して酸沈カードを得た。これに4倍量の水を加えて水酸化ナトリウムでpH6.3に調整し、分離大豆たん白を含有する溶液を得た。この固形分に対し0.08%の亜硫酸ナトリウムを添加した後、連続式直接加熱方式殺菌装置(アルファラバル社製)で150℃,40秒間加熱を行い、スプレードライヤー(大川原化工機社製)で噴霧乾燥を行い、粉末状の大豆蛋白素材Aを得た。
(実施例1)
上記製造例で得られた大豆蛋白素材Aを使用し、本発明のゲル状組成物を下記表1の試作配合にて調製した。予め大豆蛋白素材Aと還元澱粉分解物(H-PDX(DE値16〜19)松谷化学工業株式会社製)を混合しておき、イオン交換水にTKホモミキサー(プライミックス製)を用いて分散させた。粉体原料が十分に分散した後、油脂を添加混合し予備乳化を行った。次いで、本乳化液を70℃まで昇温させ高圧ホモゲナイザー(APV社製)にて均質化し、溶液を10℃まで冷却した。冷却した乳化液に対して、予めイオン交換水に分散させた乳酸カルシウムと硫酸マグネシウム及びヘキサメタリン酸ナトリウム混合液を加え、均一な分散液とした後、レトルト用のカップに充填し、121℃,20分間の高温高圧殺菌(レトルト殺菌)を行った。
○表1.試作配合
Figure 2009201363
得られたゲル状組成物について、10人のパネラーにて官能評価をした。なお、易嚥下性の判断としては、パネラーが上方45度の角度で上方面を向き、試料を歯を使わずに歯茎のみで咀嚼し、むせたり、食べにくいことがあるかないかを5段階で評価した(5が良好、1は不良)。また、ゲルからの離水の多さを目視で評価した。
離水の評価基準を以下に示した。
0:離水がない。誤嚥について問題ないレベル
−1:僅かに離水が認められるが、誤嚥について問題ないレベル
−2:やや離水が認められるが、許容範囲レベル
−3:離水が認められる。患者によっては好ましくい場合がある。
−4:かなり離水が認められ、誤嚥の危険性が否定できない。
−5:非常に離水しており、誤嚥の危険性がある。

更に、色調や風味等を加味し総合的に判断し、総合評価として以下の様に示した。
◎:易嚥下性豆腐様ゲルとして最適
○:易嚥下性豆腐様ゲルとして好ましい
△:易嚥下性豆腐様ゲルとして使用できる
×:易嚥下性豆腐様ゲルとして使用が難しい

得られた豆腐様ゲル状食品は、色調が良好で、風味に優れ、まとまりのある食塊であるため、誤嚥を起こしにくいものであり良好であった。パネラーによる嚥下性評価では4.6点であり、離水もほぼ認められず良好であった。また、本試作品は、約1.05キロカロリー(kcal)/gのエネルギー量を含有しており、絹ごし豆腐のエネルギー量(0.56kcal/g)(5訂補強食品成分分析表2007・女子栄養大学出版部)よりも高く、食が細くなった高齢者に最適であった。
(実施例2)市販分離大豆たん白での調製
大豆蛋白素材Aに代えて、市販分離大豆たん白「フジプロE」(不二製油株式会社製)を用いた以外は、実施例1同様の配合及び手法にて豆腐様ゲル状食品を調製した。得られた試作品は、実施例1と比べてやや弾力が少なくゲルが弱いものであったが、まとまりがあり、誤嚥を起こしにくいものであり良好であった。パネラー10名による嚥下性評価では4.1点であり、離水についても僅かに認められる程度で良好であった。
(実施例3)キレート剤配合量の検討
ヘキサメタリン酸Na配合量を変更する以外は、実施例1同様の配合及び手法にて豆腐様ゲル状食品を調製した。ヘキサメタリン酸Naを配合しない場合は、離水が多く、崩れるような食感であり好ましくなかった。ヘキサメタリン酸Na配合量を増やすと、テクスチャーは改良され、0.3重量%以上で特に好ましい食感に調製することが可能であった。本条件に於ては0.2重量%〜1重量%がより好ましい範囲と設定できた。
○表2.ヘキサメタリン酸Na配合量の影響
Figure 2009201363
(実施例4)糖質の種類の検討
還元澱粉分解物を変更する以外は、実施例1同様の配合及び手法にて豆腐様ゲル状食品を調製した。トレハロースやソルビトールは大量の離水が認められ不適であった。還元澱粉分解物はDE値により差があり、DE値40(PO40/三菱フードテック株式会社製)ではやや離水が認められ、DE値10(BDH(DE値約10)松谷化学工業株式会社製,DE値20(PO20/三菱フードテック株式会社製)が特に良好だった。
○表3.糖質の種類の影響
Figure 2009201363
(実施例4)還元澱粉分解物の配合量の検討
還元澱粉分解物の配合量を変更する以外は、実施例1同様の配合及び手法にて豆腐様ゲル状食品を調製した。還元澱粉分解物が7.5部以上配合することで、良好な易嚥下ゲル食品が得られ、11.25部以上配合することで特に良好だった。
○表4.還元澱粉分解物の配合量の影響
Figure 2009201363
(実施例5)油脂の配合量増(エネルギー量増)の検討
油脂の配合量を8部とする以外は、実施例1同様の配合及び手法にて豆腐様ゲル状食品を調製した。得られた豆腐様ゲル状食品は、絹ごし豆腐的な食感でまとまりがあり、誤嚥を起こしにくいものであり良好であった。このゲル状食品は、約1.5kcal/gのエネルギー量を含有しており、少量で高いカロリーを必要とする場合に好適であった。
(実施例6)ゼラチンの配合の検討
ゼラチン(水溶性ゼラチンMAX-F/株式会社ニッピ製)を1.5部追加とする以外は、実施例1同様の配合及び手法にて豆腐様ゲル状食品を調製した。得られた豆腐様ゲル状食品は、非常に滑らかな食感を有し、易嚥下性に勝るものだった。

Claims (4)

  1. 大豆蛋白素材,二価金属塩,キレート剤および還元澱粉分解物を含み、高温加圧殺菌処理されていることを特徴とする、易嚥下性豆腐様ゲル状食品。
  2. 還元澱粉分解物の、本明細書中に規定の方法によるDE値が5〜35である、請求項1に記載の、易嚥下性豆腐様ゲル状食品。
  3. 脂質を含有し、0.9キロカロリー/g以上のエネルギー量を有する、請求項1に記載の易嚥下性豆腐様ゲル状食品。
  4. 大豆蛋白素材,二価金属塩,キレート剤および還元澱粉分解物を原料とし、高温加圧殺菌処理により調製することを特徴とする、易嚥下性豆腐様ゲル状食品の製造方法。
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