JP2005281257A

JP2005281257A - 美肌剤

Info

Publication number: JP2005281257A
Application number: JP2004101142A
Authority: JP
Inventors: Takeshi Kato; 健加藤; Noriko Ueda; 典子上田; Susumu Miura; 晋三浦; Toshimitsu Yoshioka; 俊満吉岡
Original assignee: Snow Brand Milk Products Co Ltd
Current assignee: Snow Brand Milk Products Co Ltd
Priority date: 2004-03-30
Filing date: 2004-03-30
Publication date: 2005-10-13
Also published as: NZ550269A; HK1105361A1; KR101094693B1; EP1736159A4; EP1736159A1; AU2005228742B2; KR20070002062A; PT1736159E; CN1997376A; CN1997376B; EP1736159B1; WO2005094839A1; CA2561729C; US20110065670A1; DK1736159T3; ES2402299T3; AU2005228742A1; CA2561729A1; US20080064664A1; US8920822B2

Abstract

【課題】経口摂取により皮膚の保湿、保護作用や肌荒れ防止・改善、しわ防止等の美容効果を示す、食品由来で安全な原料を有効成分とする美肌剤、美肌用飲食品又は飼料を提供する。
【解決手段】リン脂質であるスフィンゴミエリンを美肌剤の有効成分とする。また、スフィンゴミエリンを美肌用飲食品又は飼料の有効成分として配合する。本発明により、経口摂取することにより、皮膚の保湿、保護作用や肌荒れ防止・改善、しわ防止等の美容効果を示す美肌剤、美肌用飲食品又は飼料を提供することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、スフィンゴミエリンを有効成分とし、経口摂取により、肌の保湿、美肌、肌荒れ防止、しわ防止等の美容効果を有する美肌剤、及びスフィンゴミエリンを配合した美肌用飲食品又は飼料に関する。

皮膚は、生体と外界との接点であり、水分の体外喪失を防ぎ、また外界からの微生物やアレルゲン等の生体傷害物質の侵入を阻止する皮膚バリア機能を有している。角質層においてセラミドを中心とした角質細胞間脂質や皮脂等がこれらの機能を担っていると言われている。角質層が正常な機能を果たし健康な状態を保つには10〜20%の水分を含むことが必要とされ、皮膚バリア機能によって角質層に水分が保持され、皮膚の柔軟性・弾力性を保っている。

角質層の水分が減少すると柔軟性が失われて硬くなり、ひび割れ等の発生の原因になる。皮紋が消失あるいは不鮮明な状態である、いわゆる肌荒れした皮膚では、角質層の水分量は有意に低下する。肌荒れした皮膚は見栄えが悪いという美容だけの問題ではなく、皮膚疾患を惹起する準備段階であり、病態的意義を有する。また、肌荒れ状態を改善することにより、かさかさした皮膚表面がすべすべした滑らかな皮膚になることで微細なしわの改善につながる。
皮膚バリア機能の低下した角質層では、皮膚からの水分の消失が健康な状態に比べ激しいことが知られており、皮膚の水分蒸散量（Trans Epidermal Water Loss: TEWL）の増加が認められる。このTEWLは角質層のバリア機能や保湿機能と密接に関連しており、皮膚バリア機能の指標とされている。
従って皮膚の水分量を増加させたり、TEWLの増加を抑制させることで皮膚を健康な状態、すなわち美肌状態にすることができる。
また、動物、特にペットにおいては、アレルギー等の影響で皮膚状態が悪化することが近年問題になっており、皮膚の保湿、保護をすることで改善され、健康な皮膚状態とすることができる。

一方、セラミドは、ヒトの皮膚構成成分の１つで、皮膚の保湿、保護作用や肌荒れ防止・改善の効果を有する。セラミドを利用した化粧品としては、セラミド、グルコシルセラミド、ガラクトシルセラミド等のセラミド類とジイソプロピルアミンジクロロアセテートまたはγ-アミノ酪酸を配合した皮膚化粧料が知られている（特許文献１）。しかし、皮膚に補給したセラミドは、表皮脂質に阻まれて、皮膚内に到達吸収できなかったり、セラミド以外の化粧品等の成分により、かぶれ、炎症を引き起こすという問題点があった。また、スフィンゴシン、脂肪酸および糖が結合したセラミド類を有効成分する健康食品も知られている（特許文献２）。このスフィンゴシン、脂肪酸および糖からなるセラミド類の原料としては、こんにゃく芋や米由来のものが上市されている。しかし、これらのセラミド類の原料は、セラミド類の含有量が3%未満と僅かであり、経口摂取による効果を期待するには原料を多量に配合する必要があり、その価格も高価なため、満足できるものではなかった。従って、日常の食事で手軽に摂取できるような素材が求められていた。

一方、スフィンゴミエリンは、牛乳中のリン脂質の約30%を占め、スフィンゴシンと脂肪酸からなるセラミド骨格にホスホコリンが結合した構造を有しており、脳や神経組織に大量に存在することが知られている（非特許文献１）。また、卵黄等の食品中にも僅かに含まれることが知られている。
スフィンゴミエリンは、経口摂取した場合、小腸から血管に取り込まれることが報告されている（非特許文献２）。また、皮膚顆粒層のスフィンゴミエリンは、スフィンゴミエリナーゼの作用により加水分解され角質層のセラミドとして供給されることが知られている（非特許文献３）。
しかしながら、スフィンゴミエリンを経口摂取することによって、皮膚の保湿、保護作用や肌荒れ防止・改善、しわ防止等の美容効果を示すという報告はない。
特開平1-22810号公報特開平11-113530号公報原書24版ハーパー・生化学、162頁、1997年 Schmelzら、J. Nutr.、124、702-712頁、1994年内田良一ら、生化学、73巻、4号、269-272頁、2001年

本発明は、経口摂取により皮膚の保湿、保護作用や肌荒れ防止・改善、しわ防止等の美容効果を示す、食品由来で安全な原料を有効成分とする美肌剤を提供することを課題とする。また、本発明は、経口摂取により皮膚の保湿、保護作用や肌荒れ防止・改善、しわ防止等の美容効果を示す、食品由来で安全な原料を配合した美肌用飲食品又は飼料を提供することを課題とする。

本発明者らは、これらの問題点を鑑み、経口的に摂取し、皮膚の保湿、保護作用や肌荒れ防止・改善、しわ防止等の美容効果を示す成分について、鋭意、探索を進めたところ、リン脂質であるスフィンゴミエリンを経口摂取することにより、皮膚の保湿、保護作用や肌荒れ防止・改善、しわ防止等の美容効果を示すことを見出した。そして、このスフィンゴミエリンを美肌剤の有効成分として利用できることを見出した。また、このスフィンゴミエリンを飲食品や飼料に配合して美肌用飲食品又は飼料とすることができることを見出し、本発明を完成するに至った。なお、本発明でいう美肌用飼料とは、動物において皮膚の保湿、保護作用を有することで皮膚状態を改善する飼料のことである。

本発明により、スフィンゴミエリンを有効成分とする美肌剤や、スフィンゴミエリンを配合した美肌用飲食品又は飼料を提供することができる。本発明の美肌剤は、有効成分が食品由来のため安全であり、経口摂取により皮膚の保湿、保護作用や肌荒れ防止・改善、しわ防止等の美容効果を示すことができる。

本発明の特徴は、リン脂質であるスフィンゴミエリンを有効成分とすることにある。
本発明に用いることができるスフィンゴミエリンとしては、天然に由来するものであって、例えば、牛乳やヤギ乳等の乳由来のものや鶏卵等の卵黄由来のものを使用することが可能である。実際、牛乳由来のスフィンゴミエリン原料としては、スフィンゴミエリンの含量が25%以上と高濃度で安価なものが上市されているので、このような原料を用いるとよい。
本発明の美肌剤は、上記スフィンゴミエリンをそのまま美肌剤として用いることも可能であるが、スフィンゴミエリンの他に糖類や脂質、タンパク質、ビタミン類、ミネラル類、フレーバー等、他の医薬品、飲食品や飼料に通常使用する原材料等を混合して栄養組成物とすることや、さらに常法に従い粉末剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、ドリンク剤などに製剤化した形態とすることも可能である。また、スフィンゴミエリンに加えて、他の美容効果を示す成分、例えば皮膚のコラーゲン産生を促進するコラーゲン、ビタミンＣや鉄等とともに使用することも可能である。
本発明の美肌剤の有効量としては、後述するヌードマウスを用いた動物試験により、マウス体重1kgあたり、スフィンゴミエリンを2mg以上、好ましくは5mg以上経口摂取させることにより、皮膚の水分量が増加し、また、皮膚の水分蒸散量（TEWL）が低下することが分かった。したがって、通常、成人一人一日あたり、スフィンゴミエリンを2mg以上、好ましくは5mg以上摂取させることにより皮膚の保湿、保護作用や肌荒れ防止・改善、しわ防止等の美容効果が期待できるので、この必要量を確保できるようにすればよい。

また、本発明の美肌用飲食品は、通常の飲食品、例えばヨーグルト、乳飲料、ウエハース、デザート等にスフィンゴミエリンを配合すればよい。これらの美肌用飲食品については、成人一人一日あたり、スフィンゴミエリンを2mg以上摂取させるためには、飲食品の形態にもよるが飲食品100gあたりスフィンゴミエリンを0.1〜400mg配合することが好ましい。
また、本発明の美肌用飼料は、通常の飼料、例えば家畜用飼料やペットフード等にスフィンゴミエリンを配合すればよい。これらの飼料については、一日あたり、スフィンゴミエリンを2mg以上摂取させるためには、飼料100gあたりスフィンゴミエリンを0.1〜400mg配合することが好ましい。

本発明では、スフィンゴミエリンを配合する方法に特に制限はないが、例えば、溶液中で添加、配合するには、スフィンゴミエリン原料を脱イオン水に懸濁あるいは溶解し、撹拌混合した後、医薬品、飲食品や飼料の形態に調製して使用する。撹拌混合の条件としては、スフィンゴミエリンが均一に混合されればよく、ウルトラディスパーサーやTKホモミクサー等を使用して撹拌混合することも可能である。また、このスフィンゴミエリンの溶液は、医薬品、飲食品や飼料に使用しやすいように、必要に応じて、RO膜等で濃縮したり、凍結乾燥等により乾燥して使用することができる。
本発明では、医薬品、飲食品や飼料の製造に通常使用される殺菌処理が可能であり、粉末状であっては乾熱殺菌も可能である。従って、本発明のスフィンゴミエリンを含有する液状、ゲル状、粉末状、顆粒状等様々な形態の医薬品、飲食品や飼料を製造することができる。

ヌードマウスを用いた動物試験により、本発明の美肌剤の効果を調べた。
（飼料の調製）
スフィンゴミエリン含量10%のスフィンゴミエリン原料（Phospholac 500、NZMP社製）を表１に示したように脱イオン水に溶解し、50℃まで加熱後、ウルトラディスパーサー（ULTRA-TURRAX T-25；IKAジャパン社製）にて、9500rpmで20分間撹拌混合して、試験用飼料１〜３を調製した。

（動物試験）
5週齢のCD-1(ICR)-nu/nuマウスを生理食塩水をマウス体重1kgあたり10g投与する群（A群）、試験用飼料１をマウス体重1kgあたり10g投与する群（B群）、試験用飼料２をマウス体重1kgあたり10g投与する群（C群）、試験用飼料３をマウス体重1kgあたり10g投与する群（D群）の4試験群（各群10匹ずつ）にわけ、それぞれを毎日1回ゾンデで経口投与して4週間飼育した。飼育開始時と飼育終了時にマウス尾尻部分の皮膚の水分量および水分蒸散量を測定し、飼育開始時のそれぞれの値を100としたときの飼育終了時の値（増加率）を算出した。皮膚の水分量および水分蒸散量は、それぞれCourage+Khazaka社製のCorneometerおよびTewameterを用いて測定した。その結果を表２に示す。

これによると、4週間投与後の皮膚水分量は、A群ではほとんど変化しなかったが、B群では約1.5倍に、C群およびD群では約2.5倍にまで増加した。また、4週間投与後の皮膚水分蒸散量は、A群では約1.7倍にまで増加したが、B群では約1.5倍、C群およびD群では約1.4倍しか増加しなかった。このことから、スフィンゴミエリンを経口投与することにより、皮膚の水分量が増加し、皮膚からの水分蒸散量が減少することが明らかになった。また、スフィンゴミエリンを、マウス体重1kgあたり、2mg以上投与することにより、当該効果が認められ、5mg以上投与するとその効果が顕著に認められた。
以下に、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、これらは単に本発明の実施態様を例示するのみであり、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。

乳清タンパク質濃縮物(WPC)の10％水溶液にプロテアーゼを作用させて得られた反応液をクロロホルム‐メタノール(2:1)溶液で抽出した後、濃縮し、さらにアセトン抽出して複合脂質画分を得た。次に、この複合脂質画分をフロリジルカラムクロマトグラフィーにて、クロロホルム‐メタノール溶液で段階抽出してリン脂質画分を得た。このリン脂質画分をシリカゲルクロマトグラフィーにて、クロロホルム‐メタノール溶液で段階抽出して得られた画分を凍結乾燥してスフィンゴミエリン原料を得た。このスフィンゴミエリン原料について薄層クロマトグラフィー後、ディットマー試薬で発色し、デンシトメトリー法でスフィンゴミエリン含量を測定したところ、95.2％であった。このスフィンゴミエリン原料はそのまま本発明の美肌剤として利用可能である。

表３に示す配合で原料を混合後、常法により1gに成型、打錠して本発明の美肌剤を製造した。

なお、この美肌剤1g中には、スフィンゴミエリンが10mg含まれていた。

スフィンゴミエリン含量25%のスフィンゴミエリン原料（α-Lipid、NZMP社製）50gを4950gの脱イオン水に溶解し、50℃まで加熱後、TKホモミクサー（TK ROBO MICS；特殊機化工業社製）にて、6000rpmで30分間撹拌混合してスフィンゴミエリン含量250mg/100gのスフィンゴミエリン溶液を得た。このスフィンゴミエリン溶液4.0kgに、カゼイン5.0kg、大豆タンパク質5.0kg、魚油1.0kg、シソ油3.0kg、デキストリン18.0kg、ミネラル混合物6.0kg、ビタミン混合物1.95kg、乳化剤2.0kg、安定剤4.0kg、香料0.05kgを配合し、200mlのレトルトパウチに充填し、レトルト殺菌機 (第1種圧力容器、TYPE: RCS-4CRTGN、日阪製作所製)で121℃、20分間殺菌して、本発明の美肌用液状栄養組成物50kgを製造した。なお、この美肌用液状栄養組成物には、100gあたり、スフィンゴミエリンが20mg含まれていた。

スフィンゴミエリン含量10%のスフィンゴミエリン原料（Phospholac 500、NZMP社製）10gを700gの脱イオン水に溶解し、50℃まで加熱後、ウルトラディスパーサー（ULTRA-TURRAX T-25；IKAジャパン社製）にて、9500rpmで30分間撹拌混合した。この溶液に、ソルビトール 40g、酸味料2g、香料2g、ペクチン5g、乳清タンパク質濃縮物5g、乳酸カルシウム1g、脱イオン水235gを添加して、撹拌混合した後、200mlのチアパックに充填し、85℃、20分間殺菌後、密栓し、本発明の美肌用ゲル状食品5袋（200g入り）を調製した。このようにして得られた美肌用ゲル状食品は、すべて沈殿等は認められず、風味に異常は感じられなかった。なお、この美肌用ゲル状食品には、100gあたり、スフィンゴミエリンが100mg含まれていた。

酸味料 2gを700gの脱イオン水に溶解した後、スフィンゴミエリン含量25%のスフィンゴミエリン原料（α-Lipid、NZMP社製）10gを溶解し、50℃まで加熱後、ウルトラディスパーサー（ULTRA-TURRAX T-25；IKAジャパン社製）にて、9500rpmで30分間撹拌混合した。マルチトール100g、還元水飴20g、香料2g、脱イオン水166gを添加した後、100mlのガラス瓶に充填し、90℃、15分間殺菌後、密栓し、本発明の美肌用飲料10本（100ml入り）を調製した。このようにして得られた美肌用飲料は、すべて沈殿は認められず、風味に異常は感じられなかった。なお、この美肌用飲料には、100gあたり、スフィンゴミエリンが250mg含まれていた。

スフィンゴミエリン含量4%のスフィンゴミエリン原料（SM-4、Corman社製）2kgを98kgの脱イオン水に溶解し、50℃まで加熱後、TKホモミクサー（MARK II 160型；特殊機化工業社製）にて、3600rpmで40分間撹拌混合してスフィンゴミエリン含量80mg/100gのスフィンゴミエリン溶液を得た。このスフィンゴミエリン溶液10kgに大豆粕12kg、脱脂粉乳14kg、大豆油4kg、コーン油2kg、パーム油23.2kg、トウモロコシ澱粉14kg、小麦粉9kg、ふすま2kg、ビタミン混合物5kg、セルロース2.8kg、ミネラル混合物2kgを配合し、120℃、4分間殺菌して、本発明のイヌ用美肌用飼料100kgを製造した。なお、このイヌ用美肌用飼料には、100gあたり、スフィンゴミエリンが8mg含まれていた。

Claims

スフィンゴミエリンを有効成分とする美肌剤。
スフィンゴミエリンが牛乳由来である請求項１に記載の美肌剤。
スフィンゴミエリンを配合した美肌用飲食品又は飼料。
スフィンゴミエリンが牛乳由来である請求項３に記載の美肌用飲食品又は飼料。