JP2009186704A - 画像表示装置及びプロジェクタ - Google Patents
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Abstract
【課題】光学素子の光学特性を非一様に変化させることによって、投射画像の色ムラを低減する画像表示装置を提供すること。
【解決手段】第1ダイクロイックミラー31aが照明光の入射角度α、β、γに対応する光学特性が非一様に変化する特性分布を有することにより、照明光の入射角度依存性に応じて生じる光学特性のずれを第1ダイクロイックミラー31aの横方向CDに関して正確に又は近似的に補正することができる。これにより、第1ダイクロイックミラー31aの素子面3cの各領域AL、AC、ARにおいて所望の波長成分を適切に反射又は透過させることができ、投射画像の色ムラを抑えることができる。
【選択図】図2
【解決手段】第1ダイクロイックミラー31aが照明光の入射角度α、β、γに対応する光学特性が非一様に変化する特性分布を有することにより、照明光の入射角度依存性に応じて生じる光学特性のずれを第1ダイクロイックミラー31aの横方向CDに関して正確に又は近似的に補正することができる。これにより、第1ダイクロイックミラー31aの素子面3cの各領域AL、AC、ARにおいて所望の波長成分を適切に反射又は透過させることができ、投射画像の色ムラを抑えることができる。
【選択図】図2
Description
本発明は、照明光学系によって液晶パネル等を照明し、液晶パネル等に像を形成させる画像表示装置及びプロジェクタに関する。
画像表示装置において、ダイクロイックミラー等の光学素子は、光線入射角度依存性があり、光線入射角度ごとに光学特性(具体的には例えばカットオフ半値波長)が変わる。そのため、例えば色分離光学系内に傾斜して配置されるダイクロイックミラーの光学特性が面内で変わり、画像表示装置の色特性にばらつきが生じるという問題がある。そこで、ダイクロイックミラーの多層膜の左右方向(面の長手の横方向に相当)に特性傾斜をもたせることで、ダイクロイック特性を入射角に合わせて変化させ、入射光線の角度依存性を打ち消すものがある(例えば、特許文献1参照)。また、ダイクロイックミラーの特定方向に傾斜した厚さムラ又は屈折率ムラを設け、光学特性のずれを防止するものがある(例えば、特許文献2参照)。
特開平3−291644号公報
特開平6−18834号公報
しかしながら、上述のダイクロイックミラーのように、光学特性を例えば左右方向に単純に傾斜させたものでは、光線の角度依存性を正確に又は近似的に打ち消すことができない。そのため、入射光線の角度依存が残存することになり、投射画像の色ムラを低減しきれていないという問題がある。
そこで、本発明は、光学素子の光学特性を非一様に変化させることによって、投射画像の色ムラを低減する画像表示装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記画像表示装置を備えるプロジェクタを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る画像表示装置は、光源光を射出する光源と、光源光を均一化するための照明光学系と、照明光学系から射出された照明光を各色光に分離する色分離光学系と、色分離光学系によって分離された各色光の光束によってそれぞれ照明される各色の光変調装置と、膜厚が非一様に変化する膜厚分布を素子面内に有する光学素子と、を備える。
上記画像表示装置では、光学素子が膜厚が非一様に変化する膜厚分布を有することにより、照明光の入射角度依存性に応じて生じる光学特性のずれを光学素子の少なくとも1つの方向に関して正確に又は近似的に補正することができる。これにより、光学素子の素子面の各位置において所望の波長成分を適切に反射又は透過させることができ、投射画像の色ムラを抑えることができる。
また、本発明の具体的な態様又は観点では、膜厚分布は、光学素子の面内で照明光の入射角度に対応する透過及び反射に関する光学特性を非一様に変化させる。この場合、膜厚分布が照明光の入射角度に対応する光学特性を非一様に変化させることにより、照明光の入射角度依存性に応じて生じる光学特性のずれを光学素子の少なくとも1つの方向に関して正確に又は近似的に補正することができる。
また、本発明の別の態様によれば、光学素子の光学特性は、多層膜の膜厚構成に依存するカットオフ半値波長である。この場合、カットオフ半値波長を変化させることにより、光学素子の素子面の各位置での入射角度に依存する光学特性のずれに対応することができる。ここで、カットオフ半値波長とは、透過率が50%となる波長をいう。
また、本発明のさらに別の態様によれば、膜厚分布は、素子面に平行な第1の方向に関して素子面の位置に応じて変化率が異なるものである。この場合、照明光の入射角度に対応する光学特性が非一様に変化する膜厚分布を有することにより、光学素子の光学特性を第1の方向に関して補正することができる。
また、本発明のさらに別の態様によれば、膜厚分布は、第1の方向に対して所定角度を成す素子面に平行な第2の方向に関して素子面の位置に応じて変化率が異なるものである。この場合、第2の方向についても照明光の入射角度に対応する光学特性が非一様に変化する膜厚分布を有することにより、光学素子の光学特性を2次元的に補正することができる。
また、本発明のさらに別の態様によれば、第1の方向と第2の方向とは垂直の関係にある。この場合、例えば光学素子の横方向及び縦方向の光学特性を変化させることにより、光学素子の光学特性を2次元的に補正することができる。
また、本発明のさらに別の態様によれば、膜厚分布は、変化率の傾きの大きさが変化する部分を有する。この場合、光学特性を照明光の入射角度に対応させることができ、光学素子を構成する多層膜等の設計も容易である。
また、本発明のさらに別の態様によれば、光学素子は、ダイクロイックミラーである。この場合、ダイクロイックミラーの光学特性を補正することにより、照明光のうち所望の波長の光束を効率よく透過又は反射させることができる。
また、本発明のさらに別の態様によれば、光学素子は、ダイクロイック膜である。この場合、ダイクロイック膜のカットオフ波長等に関する光学特性を補正することにより、照明光のうち所望の波長の光束を効率よく透過又は反射させることができる。
また、本発明に係るプロジェクタは、上述の画像表示装置と、各色の光変調装置から射出された各色の像光を合成する合成光学系と、合成光学系を経た像光を投射する投射光学系と、を備える。
上記プロジェクタでは、上述の画像表示装置を備えることによって、投射画像の色ムラを抑えることができる。
〔第1実施形態〕
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態に係る画像表示装置及びプロジェクタの構造等について説明する。
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態に係る画像表示装置及びプロジェクタの構造等について説明する。
図1は、第1実施形態の画像表示装置を備えるプロジェクタの構造を説明するための概念図である。このプロジェクタ200は、光源10と、照明光学系20と、色分離光学系30と、光変調装置である液晶ライトバルブ40a、40b、40cと、合成光学系であるクロスダイクロイックプリズム50と、投射光学系である投射レンズ60とを備える。このプロジェクタ200のうち、画像形成のための光学エンジンである画像表示装置100は、光源10と、照明光学系20と、色分離光学系30と、液晶ライトバルブ40a、40b、40cとで構成される。
上記画像表示装置100において、光源10は、例えば、高圧水銀ランプ等の像光形成の必要に足る光量を有する略白色光を発生する光源装置であり、光源光を発生する発光管10aと、発光管10aからの光源光を前方に反射する凹面鏡を有するリフレクタ10bとを備える。
照明光学系20は、光源光を平行化する光平行化手段である平行化レンズ22と、光を分割及び重畳によって均一化するためのインテグレータ光学系を構成する第1及び第2フライアイレンズ23a、23bと、光の偏光方向を揃える偏光変換素子24と、両フライアイレンズ23a、23bを経た光を重畳させる重畳レンズ25とを備え、略白色の照明光を形成する。照明光学系20において、平行化レンズ22は、光源10から射出された照明光の光束方向を略平行に変換する。第1及び第2フライアイレンズ23a、23bは、それぞれマトリクス状に配置された複数の要素レンズからなり、第1フライアイレンズ23aを構成する要素レンズによって平行化レンズ22を経た光を分割して個別に集光し、第2フライアイレンズ23bを構成する要素レンズによって第1フライアイレンズ23aからの分割光束を適当な発散角にして射出させる。偏光変換素子24は、PBS、ミラー、位相差板等を一組の要素とするアレイで形成されており、第1フライアイレンズ23aにより分割された各部分光束の偏光方向を一方向の直線偏光に揃える役割を有する。重畳レンズ25は、偏光変換素子24を経た照明光を全体として適宜収束させて、後段の各色の光変調装置である液晶ライトバルブ40a、40b、40cの被照明領域に対する重畳照明を可能にする。
色分離光学系30は、第1及び第2ダイクロイックミラー31a、31bと、反射ミラー32a、32b、32cと、3つのフィールドレンズ33a、33b、33cとを備える。ここで、第1及び第2ダイクロイックミラー31a、31bは、図1に示すように、照明光学系20から延びるシステム光軸OAに対して45度傾斜して配置されている。色分離光学系30は、照明光学系20により均一化された照明光を青(B)、緑(G)、及び赤(R)の3色に分離するとともに、各色光を後段の液晶ライトバルブ40a、40b、40cへ導く。より詳しく説明すると、まず、第1ダイクロイックミラー31aは、BGRの3色のうちG光及びR光を透過させB光を反射する。また、第2ダイクロイックミラー31bは、GRの2色のうちG光を反射しR光を透過させる。次に、この色分離光学系30において、第1ダイクロイックミラー31aで反射されたB光は、反射ミラー32aを経て入射角度を調節するためのフィールドレンズ33aに入射する。また、第1ダイクロイックミラー31aで透過し、第2ダイクロイックミラー31bで反射されたG光は、入射角度を調節するためのフィールドレンズ33bに入射する。さらに、第2ダイクロイックミラー31bを透過したR光は、リレーレンズLL1、LL2及び反射ミラー32b、32cを経て入射角度を調節するためのフィールドレンズ33cに入射する。
液晶ライトバルブ40a、40b、40cは、入射した照明光の空間的強度分布を変調する非発光型の光変調装置であり、色分離光学系30から射出された各色光に対応してそれぞれ照明される。第1ダイクロイックミラー31aで反射されたB光は、フィールドレンズ33a等を介して液晶ライトバルブ40aに入射する。第1ダイクロイックミラー31aを透過し、第2ダイクロイックミラー31bで反射されたG光は、フィールドレンズ33b等を介して液晶ライトバルブ40bに入射する。第1及び第2ダイクロイックミラー31a、31bを透過したR光は、フィールドレンズ33c等を介して液晶ライトバルブ40cに入射する。各液晶ライトバルブ40a、40b、40cは、各色の照明光を通過させる際にそれぞれに対応する各色の像光を形成する。
クロスダイクロイックプリズム50は、各液晶ライトバルブ40a、40b、40cからの各色の像光を合成する。より詳しく説明すると、クロスダイクロイックプリズム50は、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視略正方形状をなし、直角プリズム同士を貼り合わせた界面には、X字状に交差する一対の誘電体多層膜51a、51bが形成されている。一方の第1誘電体多層膜51aは、B光を反射し、他方の第2誘電体多層膜51bは、R光を反射する。クロスダイクロイックプリズム50は、液晶ライトバルブ40aからのB光を誘電体多層膜51aで反射して進行方向右側に射出させ、液晶ライトバルブ40bからのG光を誘電体多層膜51a、51bを介して直進・射出させ、液晶ライトバルブ40cからのR光を誘電体多層膜51bで反射して進行方向左側に射出させる。このようにして、クロスダイクロイックプリズム50によりB光、G光、及びR光が合成され、カラー画像に対応する画像光である合成光が形成される。
投射レンズ60は、投射光学系であり、クロスダイクロイックプリズム50を経て形成された合成光による画像光を所望の拡大率で拡大してスクリーン(不図示)上にカラーの画像を投射する。
以下、図面を参照しつつ、色分離光学系30を構成する第1ダイクロイックミラー31aの構造及び機能について説明する。図2は、第1ダイクロイックミラー31aの概念図及び膜厚分布を示す図であり、図2(A)は、第1ダイクロイックミラー31aの正面図であり、図2(B)は、そのA−A断面図であり、図2(C)は、第1ダイクロイックミラー31aの位置と誘電体多層膜3bの膜厚との関係を示す図である。
第1ダイクロイックミラー31aに入射する照明光は、重畳レンズ25によって全体として収束されており、第1ダイクロイックミラー31aに対する入射角が光束断面内で一様でない。このため、以下に詳述するように、第1ダイクロイックミラー31aは、長手の横方向CDに非一様に変化する膜厚分布を有している。この第1ダイクロイックミラー31aは、図1に示すように、照明光学系20から延びるシステム光軸OAに対して45度傾斜して配置されている。図2に示すように、第1ダイクロイックミラー31aは、基板である透明な平板ガラス3aの一方の面に誘電体多層膜3bが形成された構造となっている。すなわち、誘電体多層膜3bは、長手の横方向CDに膜厚の増加率を変化させたものであり、横方向CDの左側における光学特性の変化率と右側における光学特性の変化率とが異なるものになっている。このような第1ダイクロイックミラー31aの製法については、第1ダイクロイックミラー31aの基板である平板ガラス3aを例えば自転及び公転等させつつ蒸着源に対向して配置し、蒸着源との間に介在させたマスク等で平板ガラス3a面上の各位置への誘電体の蒸着量を調整することにより誘電体多層膜3bを形成することが考えられる。なお、誘電体多層膜3bの表面は、第1ダイクロイックミラー31aの素子面3cとなっている。
以下、第1ダイクロイックミラー31aの具体的特性について説明する。図2に示すように、光源10からの照明光は、上述のように完全な平行光線ではないため、照明光の第1ダイクロイックミラー31aの素子面3cへの入射角度α、β、γは、第1ダイクロイックミラー31aの位置によって異なる。したがって、素子面3cには、素子面3c上の位置に応じて入射角が45度からずれた照明光が入射する。このため、第1ダイクロイックミラー31aの誘電体多層膜3bは、照明光の入射角度α、β、γに対応して異なる厚さに設定されており、光学特性、例えば透過率特性が変化する構成となっている。つまり、誘電体多層膜3bは、第1の方向、すなわちA−A断面に沿った横方向CDにおいて素子面3cに沿って透過率特性が変化する構成となっている。具体的に説明すると、図1において、第1ダイクロイックミラー31aの左側に入射する光線aの入射角度βは第1ダイクロイックミラー31aの中心に入射する光線bの入射角度αよりも大きくなり、誘電体多層膜3bの領域ALの厚さが領域ACの厚さよりも厚くなる。一方、第1ダイクロイックミラー31aの右側に入射する光線cの入射角度γは入射角度αよりも小さくなり、誘電体多層膜3bの領域ARの厚さが領域ACの厚さよりも薄くなる。つまり、図2(C)に示すように、A−A断面に沿った横方向CDにおいて、領域ARから領域ACにかけて誘電体多層膜3bの膜厚が第1の割合で増加し、領域ACから領域ALにかけて誘電体多層膜3bが第1の割合よりも大きな第2の割合で増加している。
図3は、第1ダイクロイックミラー31aに入射する照明光の波長とその透過率との関係を示す図である。また、図4は、第1ダイクロイックミラー31aの領域ACにおける透過率特性の入射角依存性を示す。なお、図3に示す透過率特性e、f、gは、素子面3cへの入射角が45度のときのものであり、それぞれ図1及び図2の光線a、b、cが入射する領域AL、AC、ARにおける透過率特性に対応する。また、図4に示す透過率特性h、i、jは、領域ACにおいて素子面3cへ入射する照明光の入射角度αがそれぞれ30度、45度、60度のときの透過率特性である。
図4に示すように、領域ACでは入射角度αが大きくなるほどカットオフ半値波長が短波長側に移動し、入射角度αが小さくなるほどカットオフ半値波長が長波長側に移動する。これは他の領域AL、ARでも同様である。つまり、入射角度β、γが大きくなるほどカットオフ半値波長が短波長側に移動し、入射角度β、γが小さくなるほどカットオフ半値波長が長波長側に移動する。よって、図3の関係を利用して、入射角度βが一般的に大きくなる領域ALにおいて入射角度βの増加を相殺するように膜厚を厚くすることで、透過率特性eを透過率特性fに見かけ上シフトさせて領域ACの透過率特性と見かけ上一致させることができる。また、入射角度γが一般的に小さくなる領域ALにおいて入射角度γの減少を相殺するように膜厚を薄くすることで、透過率特性gを透過率特性fに見かけ上シフトさせて領域ACの透過率特性と見かけ上一致させることができる。そのため、第1ダイクロイックミラー31aの透過率特性の横方向CDの誘電体多層膜3bの膜厚増加率を領域ACを境として第1の割合から第2の割合へと非一様に変化させている。つまり、領域ARの膜厚増加率を比較的小さな第1の割合とし、領域ALの膜厚増加率を比較的大きな第2の割合としており、各位置に入射する平均的な入射角度に適合させた膜厚傾斜としている。
以上の説明から明らかなように、本実施形態の画像表示装置100では、第1ダイクロイックミラー31aが照明光の入射角度α、β、γに対応する透過率特性が非一様に変化する特性分布を有することにより、例えば図3に示すように照明光の入射角度依存性に応じて生じる透過率特性e、gのずれを透過率特性fに見かけ上シフトさせることができる。つまり、本実施形態では、横方向CDにおいて透過率特性としてのカットオフ半値波長を非一様に変化させているので、第1ダイクロイックミラー31aの横方向CDに関して正確に又は近似的に透過率特性分布を補正することができる。これにより、第1ダイクロイックミラー31aの素子面3cの各領域AR、AC、ALにおいて所望の波長成分を反射又は透過させることができ、投射画像の色ムラを抑えることができる。
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態に係る画像表示装置等について説明する。なお、第2実施形態の画像表示装置110は、第1実施形態の画像表示装置100を一部変更したものであり、特に説明しない部分については第1実施形態と同様であるものとする。
以下、本発明の第2実施形態に係る画像表示装置等について説明する。なお、第2実施形態の画像表示装置110は、第1実施形態の画像表示装置100を一部変更したものであり、特に説明しない部分については第1実施形態と同様であるものとする。
図5は、第2実施形態の画像表示装置110を備えるプロジェクタ210の構造を説明するための概念図である。画像表示装置110において、色分離光学系30は、フィールドレンズ33a、33b、33cの前段にダイクロイックミラー34a、34b、34cをさらに備える。このダイクロイックミラー34a、34b、34cは、所定波長をカットする波長カットフィルタである。これにより、投射画像のカラーバランスを調整でき、あるいはフィールドレンズ33a、33b、33cでの迷光の発生を防止することができる。
以下、図面を参照しつつ、ダイクロイックミラー34a、34b、34cの構造及び機能について説明する。図6は、ダイクロイックミラー34a、34b、34cの概念図であり、図6(A)は、ダイクロイックミラー34a、34b、34cの正面図であり、図6(B)は、そのE−E断面図であり、図6(C)は、そのF−F断面図である。また、図7は、ダイクロイックミラー34a、34b、34cの位置と誘電体多層膜4bの膜厚との関係を示す図であり、図7(A)は、図6(B)のE−E断面における膜厚分布を示す図であり、図7(B)は、図6(C)のF−F断面における膜厚分布を示す図である。
ダイクロイックミラー34a、34b、34cは、システム光軸OAに対して垂直に配置されており、基板である透明な平板ガラス4aの一方の面に誘電体多層膜4bが形成された構造を有する。なお、誘電体多層膜4bの表面は、ダイクロイックミラー34a、34b、34cの素子面4cとなっている。
ダイクロイックミラー34a、34b、34cに入射する照明光は、重畳レンズ25によって全体として収束されており、光束断面内で一様でない。このため、以下に詳述するように、ダイクロイックミラー34a、34b、34cは、長手の横方向GH及び素子面4cに沿って横方向GHに垂直な縦方向JKに光学特性が非一様に変化する特性分布を有している。すなわち、誘電体多層膜4bは、長手の横方向GHにシステム光軸OAを中心として左右対称に膜厚を変化させるものであり、横方向GHの左側における光学特性の変化率と右側における光学特性の変化率とが異なるものになっている。また、誘電体多層膜4bは、縦方向JKにシステム光軸OAを中心として上下対称に膜厚を変化させるものであり、縦方向JKの上側における光学特性の変化率と下側における光学特性の変化率とが異なるものになっている。
以下、ダイクロイックミラー34a、34b、34cの具体的特性について説明する。図6に示すように、光源10からの照明光は、完全な平行光線ではないため、照明光のダイクロイックミラー34a、34b、34cの素子面4cへの光線k、m、n、p、qの入射角度δ、εは、ダイクロイックミラー34a、34b、34cの位置によって異なり、素子面4c上の位置に応じて0度からずれた入射角度の照明光が入射する。このため、ダイクロイックミラー34a、34b、34cの誘電体多層膜4bは、照明光の入射角度δ、εに対応する傾斜した厚みにより光学特性、例えば透過率特性が変化する構成となっている。つまり、誘電体多層膜4bは、第1の方向、すなわちE−E断面に沿った横方向GHにおいて素子面4c内で透過率特性が変化する構成となっている。具体的には、図6(B)に示すように、E−E断面に沿った横方向GHにおいて、領域ALから領域ACにかけて誘電体多層膜4bの膜厚が第1の割合で減少し、領域ACから領域ARにかけて誘電体多層膜4bが第1の割合と正負が入れ替わった第2の割合で増加している。また、図6(C)に示すように、第2の方向、すなわちF−F断面に沿った縦方向JKにおいて、領域AUから領域ACにかけて誘電体多層膜4bの膜厚が第3の割合で減少し、領域ACから領域ADにかけて誘電体多層膜4bが第3の割合と正負が入れ替わった第4の割合で増加している。
ダイクロイックミラー34a、34b、34cについても第1実施形態の第1ダイクロイックミラー31aと同様に、ダイクロイックミラー34a、34b、34cの横方向GHの光学特性は、照明光の入射角度δに対応しているため、横方向GHの照明光の入射位置における透過率特性が補正され、所望の波長を透過又は反射させることができる。また、ダイクロイックミラー34a、34b、34cの縦方向JKの光学特性も、照明光の入射角度εに対応しているため、縦方向JKの照明光の入射位置における透過率特性が補正され、所望の波長成分を透過又は反射させることができる。
以上の説明から明らかなように、本実施形態の画像表示装置110では、ダイクロイックミラー34a、34b、34cが照明光の入射角度δ、εに対応する透過率特性が非一様に変化する特性分布を有することにより、照明光の入射角度依存性に応じて生じる透過率特性のずれを補正することができる。つまり、本実施形態では、横方向GH及び縦方向JKにおいて透過率特性としてのカットオフ半値波長を非一様に変化させているので、ダイクロイックミラー34a、34b、34cの横方向GH及び縦方向JKに関して正確に又は近似的に透過率特性分布を補正することができる。これにより、ダイクロイックミラー34a、34b、34cの素子面4cの各領域AL、AC、AR、AU、ADにおいて所望の波長成分を反射又は透過させることができ、2次元的に投射画像の色ムラを抑えることができる。
なお、この発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
以上で説明した画像表示装置100等において、第1ダイクロイックミラー31aやダイクロイックミラー34a、34b、34cの膜厚分布は、上述したものに限らず、照明光の入射角度に対応して適切な膜厚分布とすることができる。例えば、図8に示すように、膜厚分布が滑らかな曲線であってもよい。これにより、第1ダイクロイックミラー31aやダイクロイックミラー34a、34b、34cの横方向CD、GHや縦方向JKの透過率特性は、照明光の入射角度α、β、γ、δ、εに対応しているため、横方向CD、GHや縦方向JKの照明光の入射位置における透過率特性が補正され、より正確に所望の波長成分を透過又は反射させることができる。
また、上記実施形態では、第1ダイクロイックミラー31aやダイクロイックミラー34a、34b、34cの光学特性を補正したが、第2ダイクロイックミラー31bの光学特性も補正してもよい。この場合、例えば第2ダイクロイックミラー31bの透過率特性のずれに応じて補正がなされる。また、このような光学特性の補正は、ダイクロイックミラーだけでなく他の光学素子、例えばNDフィルタ等でも行うことができる。
また、上記実施形態では、照明光が収束する場合の第1ダイクロイックミラー31aやダイクロイックミラー34a、34b、34cの光学特性を補正したが、照明光が発散する場合においてもその光学特性に応じて補正をすることができる。
また、上記実施形態では、第1ダイクロイックミラー31aはB光を反射するものであったが、R光を反射するものを用いた場合でもその光学特性に応じて補正をすることができる。
また、第2実施形態では、所定波長カットのためにフィールドレンズ33a、33b、33cの前段にダイクロイックミラー34a、34b、34cを設けたが、図9に示すようにフィールドレンズ33a、33b、33cの表面に誘電体多層膜4bに対応するダイクロイック膜5bをコートしてもよい。この場合、横方向GHの透過率特性は、照明光の入射角度δに対応して適切な膜厚分布となっている。また、縦方向についても同様である。
また、上記実施形態では、光源10に用いるランプとして高圧水銀ランプを用いたが、メタルハライドランプ等を用いてもよい。
また、上記実施形態では、第1ダイクロイックミラー31aを照明光学系20のシステム光軸OAに対して45度に配置したが、光学素子によって光学特性が最適となる任意の角度に配置してよい。これは、ダイクロイックミラー34a、34b、34cについても同様である。
また、上記実施形態では、第1ダイクロイックミラー31aやダイクロイックミラー34a、34b、34c等が図2(C)、図7等に示すような膜厚分布を有するとしたが、図2(C)、図7等は例示にすぎず、膜厚分布は誘電体多層膜3b,4b等の構造に応じて変わるので、第1ダイクロイックミラー31aに対する光線の入射角度に対応させて膜厚分布の傾斜量等を調整すればよい。
また、上記実施形態では、光源10からの光を複数の部分光束に分割するため、一対のフライアイレンズ23a、23bを用いていたが、この発明は、このようなフライアイレンズすなわちレンズアレイを用いない画像表示装置にも適用可能である。さらに、フライアイレンズ23a、23bをロッドインテグレータに置き換えることもできる。
また、上記実施形態では、光源10からの光を特定方向の偏光とする偏光変換素子24を用いていたが、この発明は、このような偏光変換素子24を用いない画像表示装置にも適用可能である。
また、上記実施形態では、透過型の画像表示装置に本発明を適用した場合の例について説明したが、本発明は、反射型画像表示装置にも適用することが可能である。ここで、「透過型」とは、液晶パネル等を含む液晶ライトバルブが光を透過するタイプであることを意味しており、「反射型」とは、液晶ライトバルブが光を反射するタイプであることを意味している。なお、光変調装置は液晶パネル等に限られず、例えばマイクロミラーを用いた光変調装置であってもよい。
また、画像表示装置としては、投射面を観察する方向から画像投射を行う前面画像表示装置と、投射面を観察する方向とは反対側から画像投射を行う背面画像表示装置とがあるが、図1等に示す画像表示装置の構成は、いずれにも適用可能である。
また、上記実施形態では、3つの液晶ライトバルブ40a〜40cを用いた画像表示装置100、110の例のみを挙げたが、本発明は、1つの液晶パネルのみを用いた画像表示装置、2つの液晶パネルを用いた画像表示装置、或いは、4つ以上の液晶パネルを用いた画像表示装置にも適用可能である。
また、上記実施形態では、色分離光学系30や液晶ライトバルブ40a、40b、40c等を用いて各色の光変調を行っているが、これらに代えて、例えば光源10及び照明光学系20によって照明されるカラーホイールと、マイクロミラーの画素によって構成されカラーホイールの透過光が照射されるデバイスとを組み合わせたものを用いることによって、カラーの光変調及び合成を行うこともできる。
10…光源、 20…照明光学系、 30…色分離光学系、 31a、31b、34a、34b、34c…ダイクロイックミラー、 40a、40b、40c…液晶ライトバルブ、 50…クロスダイクロイックプリズム、 60…投射レンズ、 100、110…画像表示装置、 200、210…プロジェクタ、 OA…システム光軸
Claims (10)
- 光源光を射出する光源と、
前記光源光を均一化するための照明光学系と、
前記照明光学系から射出された照明光を各色光に分離する色分離光学系と、
前記色分離光学系によって分離された各色光の光束によってそれぞれ照明される各色の光変調装置と、
膜厚が非一様に変化する膜厚分布を素子面内に有する光学素子と、
を備える画像表示装置。 - 前記膜厚分布は、前記光学素子の面内で前記照明光の入射角度に対応する透過及び反射に関する光学特性を非一様に変化させる、請求項1記載の画像表示装置。
- 前記光学素子の光学特性は、多層膜の膜厚構成に依存するカットオフ半値波長である、請求項2記載の画像表示装置。
- 前記膜厚分布は、前記素子面に平行な第1の方向に関して前記素子面の位置に応じて変化率が異なるものである、請求項1から請求項3までのいずれか一項記載の画像表示装置。
- 前記膜厚分布は、前記第1の方向に対して所定角度を成す前記素子面に平行な第2の方向に関して前記素子面の位置に応じて変化率が異なるものである、請求項4記載の画像表示装置。
- 前記第1の方向と前記第2の方向とは垂直の関係にある、請求項5記載の画像表示装置。
- 前記膜厚分布は、前記変化率の傾きの大きさが変化する部分を有する、請求項4及び請求項5のいずれか一項記載の画像表示装置。
- 前記光学素子は、ダイクロイックミラーである、請求項1から請求項7までのいずれか一項記載の画像表示装置。
- 前記光学素子は、ダイクロイック膜である、請求項1から請求項7までのいずれか一項記載の画像表示装置。
- 請求項1から請求項9までのいずれか一項記載の画像表示装置と、
前記各色の光変調装置から射出された前記各色の像光を合成する合成光学系と、
前記合成光学系を経た像光を投射する投射光学系と、
を備えるプロジェクタ。
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