JP2009181141A - 体積ホログラム層および体積ホログラム転写箔 - Google Patents

体積ホログラム層および体積ホログラム転写箔 Download PDF

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浩幸 大滝
Toshio Yoshihara
俊夫 吉原
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哲也 利根
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Abstract

【課題】 例えば体積ホログラム転写箔等に用いられる、箔切れ性の良好な体積ホログラム層を提供することを主目的とするものである。
【解決手段】 ルチル型二酸化チタンからなる微粒子を含有し、層厚20μmのときに25℃における破断強度が10MPa〜30MPaの範囲内、破断点伸度が0.1%〜3%の範囲内であり、かつ130℃における破断強度が0.1MPa〜1MPaの範囲内、破断点伸度が0.1%〜5%の範囲内であることを特徴とする、体積ホログラム層を提供することにより上記課題を解決する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば体積ホログラム転写箔等に用いられる体積ホログラム層、およびその体積ホログラム層を用いた体積ホログラム転写箔に関するものである。
ホログラムは波長の等しい2つの光(物体光と参照光)を干渉させて物体光の波面を干渉縞として感光材料に記録したものである。このホログラムに元の物体光と同一の条件の光を当てると干渉光による回折現象が生じ、元の物体光と同一の波面が再生できる。ホログラムは、レーザー光またはコヒーレンス性の優れた光の干渉によって生じる干渉縞の記録形態により、いくつかの種類(表面レリーフ型ホログラム、体積ホログラム等)に分類される。
ここで、上記ホログラムは、その同一意匠の複製が困難である特性を利用してセキュリティー用途に多く使用されている。この用途においては、ホログラム形成層表面に微細な凹凸が賦型されることにより干渉縞が記録される表面レリーフ型ホログラムが一般的に使用されている。しかしながら、近年、ホログラム技術の普及および偽造技術の高度化により、表面レリーフ型ホログラムの模倣複製が可能となり、セキュリティー用途への適用が困難となっている。
一方、体積ホログラムは、光の干渉によって生じる干渉縞を、屈折率の異なる縞として感光材料の厚み方向に3次元的に記録することにより作製される。この体積ホログラムは、現在広く使用されている表面レリーフ型ホログラムとは製造方法が異なり、視覚効果も全く異なるため真偽判断が容易である。また、製造設備が高価であり、意匠の模倣至っては高度な設計技術を要するため、偽造を目的としたホログラムの作製は極めて困難である。そのため、体積ホログラムのセキュリティー用途での使用が求められている。
ここで、ホログラムを被着体に付着させるには、通常、基材フィルム、ホログラム層および感熱性接着剤層を含む転写箔等が用いられる。この場合、ホログラム転写箔における感熱性接着剤層と被着体とを接触させて、基材フィルム側から熱転写が行われる。この際、目的とする形状にホログラム層を形成するためには、ホログラム層の切れ、すなわち箔切れ性が良好で、確実にホログラムが付着体に付与されることが必要である。しかしながら、体積ホログラムは、その形成層中に干渉縞を記録する特徴から、明瞭な画像を得るために体積ホログラム層を厚くする必要があり、その結果箔切れ性が劣ることとなる。また、体積ホログラム転写箔の大量生産を行うためには、ドライプロセスで処理が可能であるフォトポリマーを使用する必要がある。しかし、これらは屈折率変調能を向上させるために非反応性の可塑剤等が通常用いられるため、作製された体積ホログラムは軟化し、それに伴い箔切れ性もさらに劣ることとなる。
このような体積ホログラムとしては、例えば被膜強度に優れた体積ホログラム記録用感光性組成物(特許文献1参照)や、微粒子を添加した体積ホログラム積層体形成用ラベルについても提案されている(特許文献2参照)。また、破断点伸度について規定したホログラム転写箔も提案されている(特許文献3参照)。しかしながら、いずれの方法においても、明瞭な画像を有し、かつ転写性に優れ、大量生産可能なホログラム層とするまでには至っていない。
特許第2873126号公報 特開平10−97173号公報 特開2000−272295号公報
以上のことから、例えば体積ホログラム転写箔等に用いられる、箔切れ性の良好な体積ホログラム層の提供が望まれている。
本発明は、層厚20μmにおいて、25℃における破断強度が10MPa〜30MPaの範囲内、破断点伸度が0.1%〜3%の範囲内であり、かつ130℃における破断強度が0.1MPa〜1MPaの範囲内、破断点伸度が0.1%〜5%の範囲内であることを特徴とする体積ホログラム層を提供する。
本発明によれば、25℃および130℃における破断強度と破断点伸度が、上記範囲内であることによって、例えば体積ホログラム層を体積ホログラム転写箔とした場合、熱転写の際に、箔切れを良好なものとすることができ、様々な用途に用いることが可能な体積ホログラム層とすることができるのである。
上記発明においては、微粒子を含有することが好ましい。上記体積ホログラム層に、微粒子を含有させることにより、箔切れ性を良好なものとすることができるからである。
本発明はまた、カチオン重合性化合物と、ラジカル重合性化合物と、上記ラジカル重合性化合物を重合させる光ラジカル重合開始剤系と、上記カチオン重合性化合物を重合させる光カチオン重合開始剤系と、平均粒径100nm〜600nmの微粒子とを含有することを特徴とする体積ホログラム層を提供する。
本発明によれば、上記カチオン重合性化合物および上記ラジカル重合性化合物と、それらの重合開始剤系とを含有することにより、体積ホログラム層として像を形成したものとすることができ、また上記微粒子を含有することから、例えば体積ホログラム層を体積ホログラム転写箔とした場合、熱転写の際に、箔切れを良好なものとすることができるのである。
上記発明においては、上記カチオン重合性化合物が常温で液状であることが好ましい。これにより、例えばレーザー光等を照射することにより、像が形成された体積ホログラムを形成する際に、カチオン重合性化合物の層内での移動が容易となり、効率よく体積ホログラムの像を形成することが可能となるからである。
また、上記発明においては、上記カチオン重合性化合物が1分子あたり3官能以上の重合性官能基を有する化合物であることが好ましい。これにより、体積ホログラム層中の架橋密度の高いものとすることができ、体積ホログラム層の箔切れを良好なものとすることができるからである。
さらに、上記発明においては、上記体積ホログラム層が、層厚20μmにおいて、25℃における破断強度が10MPa〜30MPaの範囲内、破断点伸度が0.1%〜3%の範囲内であり、かつ130℃における破断強度が0.1MPa〜1MPaの範囲内、破断点伸度が0.1%〜5%の範囲内であることが好ましい。25℃および130℃における破断強度と破断点伸度が、上記範囲内であることによって、例えば体積ホログラム層を体積ホログラム転写箔とした場合、熱転写の際に、箔切れを良好なものとすることができるからである。
本発明においては、上記微粒子が、1重量%〜30重量%含有されることが好ましい。上記微粒子の含有量を上記範囲より少ない場合には、箔切れを良好なものとすることが困難となるからであり、また上記範囲より多い場合には、体積ホログラム層とした際に、強度が弱くなる場合があるからである。
また、本発明においては、上記微粒子が、フッ素系微粒子とすることができる。上記微粒子をフッ素系微粒子とすることにより、良好な箔切れを発現することができるからである。
また、本発明においては、上記微粒子が、チタニア微粒子とすることができる。上記微粒子がチタニア微粒子である場合にも、良好な箔切れを発現することができるからである。
また、本発明は、上記発明の体積ホログラム層と、基材と、感熱性接着剤層とを有する体積ホログラム転写箔であって、上記基材上に上記体積ホログラム層が形成され、上記体積ホログラム層上に感熱性接着剤層が形成されていることを特徴とする体積ホログラム転写箔を提供する。
本発明によれば、上記体積ホログラム層を有することから、箔切れが良好な体積ホログラム転写箔とすることができ、様々な用途に用いることが可能なものとすることができるのである。
本発明によれば、25℃および130℃における破断強度と破断点伸度が、上記範囲内であることによって、例えば体積ホログラム層を体積ホログラム転写箔とした場合、熱転写の際に、箔切れを良好なものとすることができ、様々な用途に用いることが可能な体積ホログラム層とすることができるのである。
本発明の体積ホログラム転写箔の一例を示す概略断面図である。 本発明の体積ホログラム転写箔の転写の一例を示す概略断面図である。 本発明の体積ホログラム転写箔の他の例を示す概略断面図である。 本発明の体積ホログラム転写箔の他の例を示す概略断面図である。
本発明は、体積ホログラム層、およびその体積ホログラム層を用いた体積ホログラム転写箔に関するものである。以下、それぞれについて説明する。
A.体積ホログラム層
まず、本発明の体積ホログラム層について説明する。本発明の体積ホログラム層には二つの態様がある。第1の態様としては、層厚20μmにおいて、25℃における破断強度が10MPa〜30MPaの範囲内、破断点伸度が0.1%〜3%の範囲内であり、かつ130℃における破断強度が0.1MPa〜1MPaの範囲内、破断点伸度が0.1%〜5%の範囲内であるものであり、第2の態様としては、カチオン重合性化合物と、ラジカル重合性化合物と、上記ラジカル重合性化合物を重合させる光ラジカル重合開始剤系と、上記カチオン重合性化合物を重合させる光カチオン重合開始剤系と、平均粒径100nm〜600nmの微粒子とを含有するものである。
本発明によれば、いずれの態様においても、体積ホログラム層を例えば体積ホログラム転写箔等に用いた場合、熱転写により被着体上に体積ホログラム層を形成する際、箔切れの良好なものとすることができるのである。
以下、それぞれの態様について説明する。
1.第1の態様
まず、本発明の体積ホログラム層の第1の態様について説明する。本発明の体積ホログラム層の第1の態様は、層厚20μmの体積ホログラム層の、25℃における破断強度と、130℃における破断強度と破断点伸度とが所定の範囲内であるものである。
これにより、体積ホログラム層を例えば体積ホログラム転写箔に用いた際、箔切れの良いものとすることができるのである。
上記破断強度および破断点伸度として具体的には、25℃における破断強度が10MPa〜30MPaの範囲内、中でも15MPa〜30MPaであることが好ましく、破断点伸度が0.1%〜3%の範囲内、中でもは0.1%〜1%の範囲内であることが好ましい。また、130℃における破断強度が0.1MPa〜1MPaの範囲内、中でも15MPa〜30MPaであることが好ましく、破断点伸度が0.1%〜5%の範囲内、中でも0.1%〜1.5%の範囲内であることが好ましい。
ここで、上記破断強度および破断点伸度は、自記録式試験機(INSTRON社製 テンシロン万能試験機INSTRON5565)を用いて、引張り速度2mm/分で測定した値である。
またさらに、本態様の体積ホログラム層は、ガラス転移点温度が100℃以上であることが好ましい。これにより、本態様の体積ホログラム層に熱が加えられた場合であっても、安定なものとすることができ、体積ホログラム層を例えば熱転写法等により転写することが可能となるからである。
ここで、本態様における体積ホログラム層は、微粒子を含有していることが好ましい。これにより、体積ホログラム層中に意図的に欠陥を形成することができ、体積ホログラム層に脆性を付与することができる。この脆性によって、破断強度および破断点伸度を上記範囲内とすることができるのである。
本態様において、上記微粒子は、平均粒径100nm〜600nmの範囲内、中でも150nm〜500nmの範囲内、特に200nm〜500nmの範囲内であることが好ましい。上記微粒子の平均粒径が、上記範囲より小さい場合には、体積ホログラム層に脆性を付与することが困難となり、また微粒子の平均粒径が上記範囲より大きい場合には、体積ホログラム層の体積ホログラムへの像形成に悪影響を及ぼす場合があるからである。本態様においては、上記の中でも特に、体積ホログラム層へ像を記録する際に用いられるレーザー光等の波長より粒径が小さいものであることが好ましい。
ここで、平均粒径とは、一般に粒子の粒度を示すために用いられるものであり、本態様においては、レーザー法により測定した値である。レーザー法とは、粒子を溶媒中に分散し、その分散溶媒にレーザー光線を当てて得られた散乱光を細くし、演算することにより、平均粒径、粒度分布等を測定する方法である。ここで上記平均粒径は、レーザー法による粒径測定機として、リーズ&ノースラップ(Leeds&Northrup)社製 粒度分析計 マイクロトラックUPA Model-9230を使用して測定した値である。
上記微粒子は、体積ホログラム層中に1重量%〜30重量%の範囲内、中でも5重量%〜20重量%の範囲内含有されていることが好ましい。上記微粒子が上記範囲内より少ない場合には、体積ホログラム層の箔切れに寄与することが困難となるからであり、また上記範囲内より多い場合には、体積ホログラム層の強度や透明性を保つことが困難となるからである。
ここで、上記微粒子としては、上記の粒径を有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば樹脂骨格として低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、(メタ)アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、エポキシまたはウレタンや、これらのコポリマーを含む有機微粒子や、シリカ、マイカ、タルク、クレー、グラファイト、炭酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、フェライト、チャイナクレー、カオリン、二酸化チタン、ガラスフレーク、アスベスト、ろう石粉、けい石粉、硫酸バリウム、シェルベン、シャモット、チタニア等の無機粒子等を用いることができ、これらの微粒子を1種、または2種以上混合して使用してもよい。
上記の中でも本態様においては、上記有機微粒子の樹脂中の骨格または側鎖の水素の一部または全部をフッ素原子で置換した含フッ素系樹脂の微粒子であるフッ素系微粒子、またはチタニア微粒子を用いることが好ましい。これにより、体積ホログラム層の箔切れをより良好なものとすることが可能となるからである。
また、上記含フッ素系樹脂の微粒子であるフッ素系微粒子は、摩擦係数が小さいことから、体積ホログラム層中に含有される他の成分との相互作用が小さく、少量で体積ホログラム層に脆性を付与することが可能となる。上記フッ素系微粒子としては、上記に例示した有機微粒子を部分的もしくは全フッ素化したものや、微粒子の表面をフッ素含有化合物で処理したものを使用することができる。特に、(メタ)アクリル酸エステル化合物を利用したフッ素系微粒子の使用が好ましい。そのような微粒子として、具体的には特開平5−194322号公報記載の含フッ素アクリル酸エステルや、特開平9−104655号公報記載の含フッ素(メタ)アクリル化合物、特開2001−72646号公報記載の含フッ素多官能(メタ)アクリル酸エステル化合物で示されるフッ素モノマーを1種以上用いたモノマー重合体、または他のフッ素を含まない1分子中に少なくとも1のエチレン性不飽和結合を持った化合物と共重合を行ったモノマー共重合体、特開平6−73137号公報で示される含フッ素樹脂複合微粒子、特開平5−194668号公報で示されるフッ素含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。これらのフッ素系微粒子は、1種または2種以上混合して用いることが可能である。
また、本態様において用いられるチタニア微粒子としては、例えば二酸化チタンのうち、光触媒作用によりホログラム層に経時劣化を与えないルチル型のチタニア微粒子が使用される。また、箔切れを良くする方法として、フッ素化アルキルを含有するシランカップリング剤による表面処理や金属酸化物、例えば、アルミナ、シリカでの表面処理が有効である。具体的には石原産業製のR−820、R−830、R−930、R−550、R−630、R−680、CR−80、CR−90、CR−95、CR−60等が挙げられる。
ここで、本態様の体積ホログラム層に用いられる材料としては、通常の体積ホログラム層に用いられる材料を用いることが可能であり、例えば後述する第2の態様と同様のものを用いることが可能であるので、ここでの説明は省略する。
2.第2の態様
次に、本発明の体積ホログラム層の第2の態様について説明する。本発明の体積ホログラム層の第2の態様は、カチオン重合性化合物と、ラジカル重合性化合物と、上記ラジカル重合性化合物を重合させる光ラジカル重合開始剤系と、上記カチオン重合性化合物を重合させる光カチオン重合開始剤系と、平均粒径100nm〜600nmの微粒子とを含有するものである。
本態様によれば、上記カチオン重合性化合物および上記ラジカル重合性化合物と、それらの重合開始剤系とを含有することにより、体積ホログラム層として像を形成したものとすることができ、また所定の範囲内の平均粒径の微粒子を含有することにより、体積ホログラム層を、体積ホログラム転写箔等に用いた際に、箔切れを良好なものとすることができるのである。
上記破断強度および破断点伸度として具体的には、25℃における破断強度が10MPa〜30MPaの範囲内、中でも15MPa〜30MPaであることが好ましく、破断点伸度が0.1%〜3%の範囲内、中でもは0.1%〜1%の範囲内であることが好ましい。また、130℃における破断強度が0.1MPa〜1MPaの範囲内、中でも15MPa〜30MPaであることが好ましく、破断点伸度が0.1%〜5%の範囲内、中でも0.1%〜1.5%の範囲内であることが好ましい。ここで、破断強度および破断点伸度は、上述した方法により測定した値である。
また、本態様の体積ホログラム層は、ガラス転移点温度が100℃以上であることが好ましい。これにより、本態様の体積ホログラム層に熱が加えられた場合であっても、安定なものとすることができ、体積ホログラム層を例えば熱転写法等により転写することが可能となるからである。
以下、本態様の体積ホログラム層の各構成についてそれぞれ説明する。なお、本態様に用いられる微粒子については、上述した第1の態様と同様であるので、ここでの説明は省略する。
(1)カチオン重合性化合物
まず、本態様に用いられるカチオン重合性化合物について説明する。本態様に用いられるカチオン重合性化合物は、エネルギー照射を受け、後述する光カチオン重合開始剤系の分解により発生したブレンステッド酸あるいはルイス酸によってカチオン重合する化合物である。
ここで、体積ホログラム層の形成は、例えば目的とする像の形状にレーザーを照射して、後述するラジカル重合性化合物を重合させた後、全面にエネルギーを照射することにより、カチオン重合性化合物等の未硬化の物質を重合させることによって行われる。なお、像を形成する際のレーザー等と、全面にエネルギー照射されるエネルギーとは、通常異なる波長のものが用いられ、本態様に用いられるカチオン重合性化合物は、像を形成する例えばレーザー等によって重合しない化合物であることが好ましい。
また、本態様において、このようなカチオン重合性化合物は、上記ラジカル重合性化合物の重合が、比較的低粘度の組成物中で行われることが好ましいという点から、常温で液状であることが好ましい。このようなカチオン重合性化合物としては、例えば「ケムテク・オクト・(Chemtec.Oct.)」J.V.クリベロ(J.V.Crivello)、第624頁(1980)、特開昭62−149784号公報、日本接着学会誌[第26巻、No.5、第179−187頁(1990)]等に記載されているような化合物が挙げられる。
具体的には、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、1,4−ビス(2,3−エポキシプロポキシパーフルオロイソプロピル)シクロヘキサン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、パラターシャリーブチルフェニルグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、オルソフタル酸ジグリシジルエステル、ジブロモフェニルグリシジルエーテル、ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,2,7,8−ジエポキシオクタン、1,6−ジメチロールパーフルオロヘキサンジグリシジルエーテル、4,4’−ビス(2,3−エポキシプロポキシパーフルオロイソプロピル)ジフェニルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルオキシラン、1,2,5,6−ジエポキシ−4,7−メタノペルヒドロインデン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−3’,4’−エポキシ−1,3−ジオキサン−5−スピロシクロヘキサン、1,2−エチレンジオキシ−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメタン)、4’,5’−エポキシ−2’−メチルシクロヘキシルメチル−4,5−エポキシ−2−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、エチレングリコール−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ジ−2,3−エポキシシクロペンチルエーテル、ビニル−2−クロロエチルエーテル、ビニル−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールエタントリビニルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、及び式
Figure 2009181141
および、
Figure 2009181141
で表わされる化合物が挙げられる。
また、本態様においては、上記の中でもカチオン重合性化合物として1分子あたり3官能以上の重合性官能基を有するカチオン重合性化合物を使用することが好ましい。これにより、体積ホログラム層中の架橋密度の高いものとすることができることから、体積ホログラム層の箔切れを良好なものとすることができるからである。これらのカチオン重合性化合物は1種または2種以上組み合わせて用いてもよい。
ここで、本態様においては、上記カチオン重合性化合物を、1重量%〜60重量%の範囲内、中でも20重量%〜50重量%の範囲内用いることが好ましい。
(2)ラジカル重合性化合物
次に、本態様に用いられるラジカル重合性化合物について説明する。本態様に用いられるラジカル重合性化合物は、体積ホログラム層を形成する際に、例えばレーザー照射等によって、後述する光ラジカル重合開始剤系から発生した活性ラジカルの作用により重合する化合物であれば、特に限定されるものではないが、本態様においては、分子中に少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を有するものが好ましい。
ここで、体積ホログラム層は、例えばレーザー光またはコヒーレンス性の優れた光等によってラジカル重合性化合物を重合させて干渉縞を形成し、像を形成するものである。したがって、ラジカル重合性化合物およびカチオン重合性化合物は、それぞれにおける屈折率が異なるものが選択されて用いられるものであり、どちらの屈折率が大きいものであってもよい。本態様においては、中でも材料選択性の面からラジカル重合性化合物の平均の屈折率が上記カチオン重合性化合物より大きいものであることが好ましく、具体的には、平均の屈折率が0.02以上大きいことが好ましい。これは、ラジカル重合性化合物と上記カチオン重合性化合物との平均の屈折率の差が上記値より低い場合には、屈折率変調が不十分となり、高精細な像を形成することが困難となるからである。ここでいう平均の屈折率とは、カチオン重合性化合物またはラジカル重合性化合物を重合させた後の重合体について測定する屈折率の平均値をいう。また、本態様の屈折率は、アッベ屈折計により測定された値である。
本態様に用いられるラジカル重合性化合物としては、例えばメチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ラウリルアクリレート、N−アクリロイルモルホリン、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、イソボニルアクリレート、メトキシプロピレングリコールアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、スチレン、2−ブロモスチレン、フェニルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、2,3−ナフタレンジカルボン酸(アクリロキシエチル)モノエステル、メチルフェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレート、β−アクリロキシエチルハイドロゲンフタレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、2,4,6−トリブロモフェニルアクリレート、ジフェン酸(2−メタクリロキシエチル)モノエステル、ベンジルアクリレート、2,3−ジブロムプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ナフチルアクリレート、N−ビニルカルバゾール、2−(9−カルバゾリル)エチルアクリレート、トリフェニルメチルチオアクリレート、2−(トリシクロ〔5,2,10〕ジブロモデシルチオ)エチルアクリレート、S−(1−ナフチルメチル)チオアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、メチレンビスアクリルアミド、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジフェン酸(2−アクリロキシエチル)(3−アクリロキシプロピル−2−ヒドロキシ)ジエステル、2,3−ナフタリンジカルボン酸(2−アクリロキシエチル)(3−アクリロキシプロピル−2−ヒドロキシ)ジエステル、4,5−フェナントレンジカルボン酸(2−アクリロキシエチル)(3−アクリロキシプロピル−2−ヒドロキシ)ジエステル、ジブロムネオペンチルグリコールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、1,3−ビス〔2−アクリロキシ−3−(2,4,6−トリブロモフェノキシ)プロポキシ〕ベンゼン、ジエチレンジチオグリコールジアクリレート、2,2−ビス(4−アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)メタン、ビス(4−アクリロキシエトキシ−3,5−ジブロモフェニル)メタン、2,2−ビス(4−アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アクリロキシエトキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、ビス(4−アクリロキシエトキシフェニル)スルホン、ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)スルホン、ビス(4−アクリロキシプロポキシフェニル)スルホン、ビス(4−アクリロキシエトキシ−3,5−ジブロモフェニル)スルホン、及び上記におけるアクリレートをメタクリレートに変えた化合物、更には特開平2−247205号公報や特開平2−261808号公報に記載されているような分子内に少なくともS原子を2個以上含む、エチレン性不飽和二重結合含有化合物が挙げられ、これらを1種、または2種以上混合して用いることができる。
ここで本態様においては、このようなラジカル重合性化合物を、1重量%〜60重量%、中でも20重量%〜50重量%用いることができる。
(3)光ラジカル重合開始剤系
次に、本態様に用いられる光ラジカル重合開始剤系について説明する。本態様に用いられる光ラジカル重合開始剤系は、体積ホログラム層を形成する際に、照射される例えばレーザー等によって、活性ラジカルを生成し、上記ラジカル重合性化合物を重合させることが可能な開始剤系であれば、特に限定されるものではなく例えば、米国特許第4,766,055号、同第4,868,092号、同第4,965,171号、特開昭54−151024号公報、同58−15,503号公報、同58−29,803号公報、同59−189,340号公報、同60−76735号公報、特開平1−28715号公報、特願平3−5569号及び「プロシーディングス・オブ・コンフェレンス・オン・ラジエーション・キュアリング・エイジア」 (PROCEEDINGS OF CONFERENCE ON RADIATION CURING ASIA)」(P.461〜477、1988年)等に記載されている開始剤系等が挙げられる。
ここで、開始剤系とは、一般に光を吸収する成分である増感剤と活性ラジカル発生化合物や酸発生化合物を組み合わせて用いることができることを意味する。このような光ラジカル重合開始剤系における増感剤は可視レーザー光を吸収するために色素のような有色化合物が用いられる場合が多いが、最終的なホログラムに無色透明性が要求される場合(例えば、自動車等のヘッドアップディスプレーとして使用する場合)の増感剤としては、特開昭58−29803号公報、特開平1−287105号公報、特願平3−5569号に記載されているようなシアニン系色素の使用が好ましい。シアニン系色素は一般に光によって分解しやすいため、本態様における後露光、または室内光や太陽光の下に数時間から数日放置することでホログラム中の色素が分解されて可視域に吸収を持たなくなり、無色透明な体積ホログラムを得ることができるからである。シアニン系色素の具体例としては、アンヒドロ−3,3’−ジカルボキシメチル−9−エチル−2,2’チアカルボシアニンベタイン、アンヒドロ−3−カルボキシメチル−3’,9−ジエチル−2,2’チアカルボシアニンベタイン、3,3’,9−トリエチル−2,2’−チアカルボキシアニン・ヨウ素塩、3,9−ジエチル−3’−カルボキシメチル−2,2’−チアカルボシアニン・ヨウ素塩、3,3’,9−トリエチル−2,2’−(4,5,4’,5’−ジベンゾ)チアカルボシアニン・ヨウ素塩、2−[3−(3−エチル−2−ベンゾチアゾリデン)−1−プロペニル]−6−[2−(3−エチル−2−ベンゾチアゾリデン)エチリデンイミノ]−3−エチル−1,3,5−チアジアゾリウム・ヨウ素塩、2−[[3−アリル−4−オキソ−5−(3−n−プロピル−5,6−ジメチル−2−ベンゾチアゾリリデン)−エチリデン−2−チアゾリニリデン]メチル]3−エチル−4,5−ジフェニルチアゾリニウム・ヨウ素塩、1,1’,3,3,3’,3’−ヘキサメチル−2,2’−インドトリカルボシアニン・ヨウ素塩、3,3’−ジエチル−2,2’−チアトリカルボシアニン・過塩素酸塩、アンヒドロ−1−エチル−4−メトキシ−3’−カルボキシメチル−5’−クロロ−2,2’−キノチアシアニンベタイン、アンヒドロ−5,5’−ジフェニル−9−エチル−3,3’−ジスルホプロピルオキサカルボシアニンヒドロキシド・トリエチルアミン塩、2−[3−(3−エチル−2−ベンゾチアゾリデン)−1−プロペニル]−6−[2−(3−エチル−2−ベンゾチアゾリデン)エチリデンイミノ]−3−エチル−1,3,5−チアジアゾリウム・ヨウ素塩等が挙げられ、これらの1種、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
シアニン系色素と組み合わせて用いてもよい活性ラジカル発生化合物としては、上記の特開昭58−29803号公報、特開平1−287105号公報、特願平3−5569号に記載されているようなジアリールヨードニウム塩類、あるいは2,4,6−置換−1,3,5−トリアジン類が挙げられる。高い感光性が必要なときは、ジアリールヨードニウム塩類の使用が特に好ましい。上記ジアリールヨードニウム塩類の具体例としては、ジフェニルヨードニウム、4,4’−ジクロロジフェニルヨードニウム、4,4’−ジメトキシジフェニルヨードニウム、4,4’−ジターシャリーブチルジフェニルヨードニウム、3,3’−ジニトロジフェニルヨードニウムなどのクロリド、ブロミド、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネート、トリフルオロメタンスルホン酸塩などが例示される。又2,4,6−置換−1,3,5−トリアジン類の具体例としては、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)ー1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(p−メトキシフェニルビニル)−1,3,5−トリアジン、2−(4’−メトキシ−1’−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
ここで、このような光ラジカル重合開始剤系は、0.3重量%〜15重量%、中でも1重量%〜10重量%用いられる。
(4)光カチオン重合開始剤系
次に、本態様で用いられる光カチオン重合開始剤系について説明する。本態様に用いられる光カチオン重合開始剤系は、エネルギー照射によりブレンステッド酸やルイス酸を発生し、上記カチオン重合性化合物を重合させるものであれば、特に限定されるものではないが、特に上記ラジカル重合性化合物を重合させる例えばレーザーやコヒーレンス性の優れた光等に対しては反応せず、その後全面に照射されるエネルギーによって感光するものであることが好ましい。これにより、上記ラジカル重合性化合物が重合する際、カチオン重合性化合物がほとんど反応しないまま存在させることができ、体積ホログラム層における大きな屈折率変調が得られるからである。
ここで、レーザー光やコヒーレンス性の優れた光に対して、低感光性である光カチオン重合開始剤とは、以下の条件で熱分析を行った際、光カチオン重合開始剤系によって開始された光重合に起因するDSC値の最大値が測定試料1mgあたり500mW以下(0mWを含む)であるものとすることができる。
測定条件
測定装置:セイコー電子工業(株)製SSC5200H熱分析システムにおいて示差走査熱計量DSC220と光源装置UV−1を使用
測定試料:対象となる光カチオン重合開始剤系をユニオンカーバイド社製UVR−6110(カチオン重合性化合物)に対して3重量%溶解させることにより調製(有機溶剤を加えて溶解させた後に有機溶剤を蒸発させてもよい。)
照射光:干渉フィルター(半値幅約10nm)を使用してレーザー光またはコヒーレンス性の優れた光と同程度に調節した光を200mJ/cm照射
このような光カチオン重合開始剤系としては、例えば「UV硬化;科学と技術(UV Curing:Science and Technology)」、第23〜76頁、エス・ピーター・パーパス(S. Peter Pappas)編集、ア・テクノロジー・マーケッティング・パブリケーション(A Technology Marketing Publication)および「コメンツ・インオーガニック・ケミストリ(Coments Inorg. Chem.)」、ビー・クリンゲルト、エム・リーディーカーおよびエイ・ロロフ(B. Klingert,M.Riediker and A. Roloff)、第7巻、第3号、第109〜138頁(1988年)などに記載されているもの等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
また、上記の中でもジアリールヨードニウム塩類で好ましいものとしては上述した光ラジカル重合開始剤系で示したヨードニウムのテトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネート、トリフルオロメタンスルホネート、9,10−ジメトキシアントラセンスルホネートなどが挙げられる。トリアリールスルホニウム塩類で好ましいものとしては、トリフェニルスルホニウム、4−ターシャリーブチルトリフェニルスルホニウム、トリス(4−メチルフェニル)スルホニウム、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウム、4−チオフェニルトリフェニルスルホニウムなどのスルホニウムのテトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネートおよびヘキサフルオロアンチモネート、トリフルオロメタンスルホネート、9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホネート等が挙げられる。
ここで、このような光カチオン重合開始剤系は、0.3重量%〜15重量%、中でも1重量%〜10重量%用いられる。
(5)その他
また、本態様の体積ホログラム層中には、上述した成分以外に、必要に応じて例えば熱重合防止剤、シランカップリング剤、可塑剤、着色剤、高分子結合剤等の添加剤等を含有するものであってもよい。
本態様においては、特に高分子結合剤を含有することが好ましく、この高分子結合剤によって、体積ホログラム層を均一にすることができ、また上記ラジカル重合性化合物の重合により形成された像を保つことが可能となるのである。
このような高分子結合剤としては、上記ラジカル重合性化合物および上記カチオン重合性化合物と相溶性の良好なものが用いられ、例えば塩素化ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレートと他の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの共重合体、塩化ビニルとアクリロニトリルの共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、エチルセルロース、アセチルセルロース等の側鎖または主鎖にカチオン重合性基を有する高分子等が挙げられ、これらの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
このような高分子結合剤は、通常20重量%〜50重量%、中でも30重量%〜40重量%用いられる。
(6)体積ホログラム層
次に、本態様の体積ホログラム層について説明する。本態様の体積ホログラム層は、上記カチオン重合性化合物、上記ラジカル重合性化合物、上記光ラジカル重合開始剤、上記光カチオン重合開始剤、および上記微粒子とを含有する層であれば、特に限定されるものではない。
このような体積ホログラム層の形成は、まず上述した各成分を混合した組成物を、例えば目的とする基材上に、一般的なコーティング手段、例えば、スピンコーター、グラビアコーター、コンマコーター、バーコーター等により塗布し、必要に応じて乾燥する。また例えば2枚のガラス板等の基材の間に上記組成物を注入することによって形成されたものであってもよい。
また、上記材料の塗布の際、必要に応じて溶媒を用いてもよく、この溶媒としては、例えばメチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールジアセテートなどのエステル系溶媒、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのセロソルブ系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン系溶媒等が挙げられる。
次に、上記組成物が塗布された層に、通常ホログラフィー露光装置に用いられるレーザー光はコヒーレンス性の優れた光(たとえば波長300nm〜1200nmの光)による露光によって、上述したラジカル重合性化合物を重合させて、目的とする像の干渉縞を記録する。続いて、未反応のまま残っているカチオン重合性化合物を、上記光カチオン重合開始剤系の感光する光(例えば200nm〜700nmの光)を上記組成物に全面に照射して硬化させることにより、本態様の体積ホログラム層とすることができるのである。この際、未反応のまま残っているラジカル重合性化合物を同時に硬化させてもよい。また、上記像を形成後、エネルギーを全面に照射する前に、赤外線や熱で処理することで、回折効率や回折光のピーク波長、半値幅等を変化させてもよい。
また、体積ホログラム層の用途や種類によって適宜選択されるものであるが、上記組成物の塗布量は、通常1g/m〜50g/mの範囲内とされ、体積ホログラム層の膜厚は、通常0.1μm〜50μm、中でも1μm〜20μmの範囲内とされる。
B.体積ホログラム転写箔
次に、本発明の体積ホログラム転写箔について説明する。本発明の体積ホログラム転写箔は、上述した体積ホログラム層と、基材と、感熱性接着剤層とを有する体積ホログラム転写箔であって、上記基材上に前記ホログラム層が形成され、上記ホログラム層上に感熱性接着剤層が形成されているものである。
本発明の体積ホログラム転写箔は、例えば図1に示すように、基材1と、その基材1上に形成されたホログラム層2と、そのホログラム層2上に形成された感熱性接着剤層3とを有するものである。
本発明の体積ホログラム転写箔は、上記感熱性接着剤と被着体とを接触させて、基材側から熱をかけることにより、感熱性接着剤により体積ホログラム層と被着体とを接着することができ、被着体上に体積ホログラム層を転写することができるのである。この際本発明によれば、上述した箔切れ性の良好な上記体積ホログラム層を有することから、目的とする部分のみ、体積ホログラム層を被着体に転写することが可能となり、様々な用途に用いることが可能な体積ホログラム転写箔とすることができるのである。
このような転写は、例えば図2に示すように、体積ホログラムを転写する被着体6の表面に、上記感熱性接着剤層3が接するように重ね合わせ、上記基材側から体積ホログラムを転写する部分に、例えば加熱可能な金型7等で加熱・加圧して、上記感熱性接着剤層3を溶融接着させ、その後基材1を剥離することによって行うことができる。
以下、本発明の体積ホログラム転写箔の各構成について説明する。なお、体積ホログラム層については、上記体積ホログラム転写箔と同様であるので、ここでの説明は省略する。
1.基材
まず、本発明の体積ホログラム転写箔に用いられる基材について説明する。本発明に用いられる基材は、上記ホログラム層が形成されるものであり、体積ホログラム層を被着体に転写する際には、この基材側から熱転写が行われるものである。したがって、上記ホログラム層が形成可能であり、かつ熱転写の際に加わる熱や圧力に対して耐性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えばPETフィルム、ポリ塩化ビニル(PVC)フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリエチレンフイルム、ポリプロピレンフイルム、ポリカーボネートフイルム、セロハンフィルム、アセテートフィルム、ナイロンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリアミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム、ポリメチルメタクリレート(PMMA)フィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)フィルム等を用いることができる。また、このような基材の厚さとしては、体積ホログラム転写箔の用途や種類等に応じて適宜選択されるものであるが、通常5μm〜200μm、好ましくは10μm〜50μmの範囲内とされる。
2.感熱性接着剤層
次に、本発明に用いられる感熱性接着剤層について説明する。本発明に用いられる感熱性接着剤層は、体積ホログラム転写箔の基材と反対側の表面に形成される層であり、体積ホログラム層を熱転写により被着体上に転写する際に密着させて加熱等することにより、体積ホログラム層と被着体とを接着する層である。
このような感熱性接着剤層としては、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−イソブチルアクリレート共重合樹脂、ブチラール樹脂、ポリ酢酸ビニルおよびその共重合体樹脂、セルロース系樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、スチレンブタジエンスチレンブロック共重合体(SBS)、スチレンイソプレンスチレンブロック共重合体(SIS)、スチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレンエチレンプロピレンスチレンブロック共重合体(SEPS)等の熱可塑性樹脂を用いることができる。上記の中でも、180℃以下の温度でヒートシール可能な層であることが好ましく、さらにエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)の酢酸含量25%以上のものを用いることが好ましい。また、上記樹脂に、必要に応じて感熱性接着剤層が着色されたものであってもよい。
3.体積ホログラム転写箔
次に、本発明の体積ホログラム転写箔について説明する。本発明の体積ホログラム転写箔は、上記体積ホログラム層と、上記基材と、上記感熱性接着剤層とを有するものであって、上記基材上に前記ホログラム層が形成され、上記ホログラム層上に感熱性接着剤層が形成されているものであれば、その構成等は特に限定されるものではなく、上記の層以外に例えば、図3に示すように、基材1と、その基材1上に形成された剥離層4と、その剥離層4上に形成されたホログラム層2と、そのホログラム層2上に形成された感熱性接着剤層3とを有するものであってもよく、またさらに、例えば図4に示すように、基材1と、その基材1上に形成されたホログラム層2と、そのホログラム層2上に形成された反射層5と、その反射層5上に形成された感熱性接着剤層3とを有するものであってもよい。
上記剥離層とは、体積ホログラム転写箔を用いて、被着体上に体積ホログラム層を転写する際に、上記基材と上記体積ホログラム層とを剥離を容易に行うことを可能とする層であり、例えばアクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、シリコーン樹脂、塩化ゴム、カゼイン、各種界面活性剤、金属酸化物等から、1種または2種以上を混合したもの等を用いることができる。上記の中でも、分子量20000〜100000程度のアクリル系樹脂単独、またはアクリル系樹脂と分子量8000〜20000の塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂とからなり、さらに添加剤として分子量1000〜5000のポリエステル樹脂が1〜5重量%含有する組成物からなることが特に好ましい
また、本発明においては特に、上記基材と上記体積ホログラム層との間の剥離力が1〜5g/インチ(90°剥離)となるようなものであることが好ましい。また、その厚みは剥離力、箔切れ等の面から、0.1μm〜2μmの範囲内であることが好ましい。
また、反射層としては、上記感熱性接着剤層と体積ホログラム層との間に形成されるものであり、この反射層に光を反射する例えば金属薄膜等を用いると、不透明タイプの体積ホログラムとなり、ホログラム層と屈折率差がある透明な物質を用いた場合には、透明タイプの体積ホログラムとなるがいずれも本発明に用いることが可能である。このような反射層は、昇華、真空蒸着、スパッタリング、反応性スパッタリング、イオンプレーティング、電気メッキ等の公知の方法により形成することが可能である。
また、不透明タイプのホログラムを形成する金属薄膜としては、例えば、Cr、Ti、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、Au、Ge、Al、Mg、Sb、Pb、Pd、Cd、Bi、Sn、Se、In、Ga、Rb等の金属およびその酸化物、窒化物等を単独若しくは2種類以上組み合わせて形成される薄膜が挙げられる。上記金属薄膜の中でもAl、Cr、Ni、Ag、Au等が特に好ましく、その膜厚は1〜10,000nm、中でも20〜200nmの範囲であることが好ましい。
一方、透明タイプのホログラムを形成する薄膜としては、ホログラム効果を発現できる光透過性のものであれば、いかなる材質のものも使用できる。例えば、ホログラム形成層(光硬化樹脂層)の樹脂と屈折率の異なる透明材料が挙げられる。この場合の屈折率はホログラム形成層の樹脂の屈折率より大きくても、小さくてもよいが、屈折率の差は0.1以上が好ましく、より好ましくは0.5以上であり、1.0以上が最適である。また、上記以外では20nm以下の金属性反射膜が挙げられ、好適に使用される透明タイプ反射層としては、酸価チタン(TiO )、硫化亜鉛(ZnS)、Cu・Al複合金属酸化物等が挙げられる。
さらに、本発明においては、上記剥離層と体積ホログラム層との間、体積ホログラム層と感熱性接着剤層との間のいずれかもしくは双方にバリア層を設けることもできる。本発明の製造手段に使用する感光材料や剥離層ならびに感熱性接着剤層の組み合わせによっては、経時的に体積ホログラム層から他の層への低分子量成分の移行が起こり、これに起因して記録されたホログラムのピーク波長が青側(短波長側)に移行したり、剥離層等にこれが移行した場合にはその剥離性を変化させたりする場合がある。上記のようなバリア層を設けることによって、これらの阻害要因を解消することができるのである。
このようなバリア層として用いる材料としては、そのバリア性を発現する材料であれば、特に制限はないが、通常、透明性有機樹脂材料を用いることによってその目的を達成することができる。中でも、無溶剤系の3官能以上、好ましくは6官能以上の、紫外線や電子線等の電離放射線に反応する電離放射線硬化性エポキシ変性アクリレート樹脂、ウレタン変性アクリレート樹脂、アクリル変性ポリエステル樹脂等を用いることができる。特に、その中でもウレタン変性アクリレート樹脂がそのバリア性の高さから好ましく用いられる。
また、これらの電離放射線硬化性樹脂としては、そのコーティング適正、最終的に得られるバリア層の硬度等を考慮すると、その分子量は500〜2000の範囲のものが好ましく用いられる。また、バリア層のコーティングは基本的に無溶剤系であるため、体積ホログラム層、剥離層、感熱性接着剤層のどの層にも積層形成することができる。
また、各層の密着性が弱い場合には、密着向上層等が形成されたものであってもよい。
上述したような本発明の体積ホログラム転写箔は、上記基材、体積ホログラム層、および感熱性接着剤層を、それぞれ順次積層して製造されるものであってもよいが、各部材をそれぞれ独立の工程によって準備し、これらを積層することによって製造されるものであってもよい。
例えば、像を記録した体積ホログラム層、剥離層を形成した基材、および感熱性接着剤層を準備し、これらを積層する方法等が挙げられる。各部材をそれぞれ独立の工程によって準備する場合には、例えば基材上に剥離層等をドライプロセス等により形成することが可能となり、様々な材料を用いることや、製造効率等の面から好ましいものとすることができる。
また例えば、上記基材(剥離層が形成されていてもよい)上に体積ホログラム層を形成した後、体積ホログラム層に像を記録した部材と、感熱性接着剤層とを準備し、これらを積層するもの等であってもよい。この場合、上述した体積ホログラム層を形成する組成物を支持体上に塗布し、例えばレーザー等を照射することにより、ラジカル重合性化合物を重合させて像を記録し、上記基材と積層する。その後、上記組成物全面に照射することにより、像が記録された体積ホログラム層と上記基材とが積層された部材を形成する。続いて、上記支持体を剥離して、感熱性接着剤を例えば100℃〜180℃に加熱しながら積層する方法等とすることができる。
ここで、上述した本発明の体積ホログラム積層体は、例えばプラスチックカード、携帯電話、金券、日用品またはCD−ROMのパッケージなどに適用可能である。
また、本発明においては、上記基材と上記体積ホログラム層との層間接着力を制御する方法も包含する。
すなわち、上記の体積ホログラム転写箔の層構成において剥離層を有する場合には、剥離層と支持フィルムとの間の層間接着力Aと剥離層とホログラム形成層との間の層間接着力Bと、体積ホログラム層と感熱性接着剤層との間の層間接着力Cの相対関係ならびにBの値が、下記の関係を満足することが望ましい。
層間接着力: C≧B>A
B値: 600gf/インチ
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。実施例中の「部」および「%」は特に断りのない限り全て重量基準である。
〔破断点伸度、破断強度測定方法〕
本発明における体積ホログラム層の破断点伸度、破断強度は、JIS K7127−1989に従うINSTRON社製試験機「INSTRON5565」により下記の条件により測定した値から、応力(Stress)−伸度(Strain)曲線(S−S曲線)を自記録させ、この曲線から破断点伸度を求めた値である。
測定雰囲気:25℃または130℃
試験片 :25mm幅
引張り速度:2mm/分
〔破断強度および破断点伸度測定用サンプルの作製〕
体積ホログラム記録用感光性組成物は、
カチオン重合性化合物(表中「CM」と記載) 30重量部
ラジカル重合性化合物(表中「RM」と記載) 30重量部
増感剤(表中「DYE」と記載) 1重量部
活性ラジカル発生化合物(表中「PI」と記載) 4重量部
高分子結合剤(表中「BP」と記載 30重量部
微粒子 5重量部
で調製した。この調製において、ラジカル重合性化合物として、ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)メタンを、光ラジカル重合開始剤系として3,9−ジエチル−3’−カルボキシメチル−2,2’−チアカルボシアニン・ヨウ素塩とジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネートとの組み合わせを用いた。光カチオン重合開始剤系はジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネートを兼用させた。高分子結合剤として、メチルメタクリレート/グリシジルメタクリレートの共重合体(共重合比90/10、Mw50000)を用いた。
上記の体積ホログラム記録用感光性組成物40重量部に、メチルエチルケトン(MEK)30重量部およびメタノール30重量部を加え、体積ホログラム記録用感光性組成物の溶液を得た。この組成物の溶液を50μmのPETフィルム(デュポン社製Myler200)に乾燥後の膜厚が20μmとなるようにグラビアコートで塗工し、さらに塗工面に50μmのPETフィルムをラミネートして、体積ホログラム形成層を有する第1部材を作製した。
このフィルムを高圧水銀灯4J/cmで硬化させた後、支持体から剥がし、幅20mm、長さ50mmのフィルム状試験片を作製した。なお、フィルム形成の際に、支持体表面が離型処理されていると、硬化ホログラム層の剥離が容易となる。
〔箔切れ性評価用サンプルの作製〕
体積ホログラム形成層を有する第1部材(PETフィルム/体積ホログラム形成層/(剥離性)PETフィルム)、剥離層を有する第2部材(剥離層/PETフィルム)、および感熱性接着剤層を有する第3部材(感熱性接着剤層/剥離性PETフィルム)をそれぞれ独立の工程によって別々に用意した。
〔第1部材の作製〕
上記〔破断強度および破断点伸度測定用サンプルの作製〕で調製した体積ホログラム記録用感光性組成物40重量部に対し、メチルエチルケトン(MEK)30重量部およびメタノール30重量部を加え、体積ホログラム記録用感光性組成物の溶液を得た。この組成物の溶液を50μmのPETフィルム(ルミラーT60(50μm);東レ(株)製)に乾燥後の膜厚が10μmとなるようにグラビアコートで塗工し、さらに塗工面に表面離型処理PETフィルム(トーセロ(株)製・SP−PET(38μm))をラミネートして、体積ホログラム形成層を有する第1部材を作製した。
〔第2部材の作製〕
第2部材はPETフィルム(ルミラーT60(50μm);東レ(株)製)上に剥離層(ハクリニス45−3)を公知の塗工方法を利用して乾燥後の膜厚が1μmとなるように均一にコートした。
〔第3部材の作製〕
第3部材は、表面離型処理PETフィルム(SP−PET(50μm);トーセロ(株)製)上に感熱性接着剤(EC1200;中央理化(株)製)を、公知の塗工方法を利用して乾燥後の層厚が2μmとなるように塗布して作製した。
〔評価サンプルの作製〕
上記の体積ホログラム形成層を有する第1部材の一方のPETフィルムを剥離し、予め用意された体積ホログラム原版に、第1部材をラミネートした。次いで波長514nmのアルゴンレーザー光を照度1mW/cmで60秒間露光し、干渉縞を形成した。続いて100℃で10分間加熱処理し、第1部材の片面の表面離型処理PETフィルムを剥がし、体積ホログラム形成層の面に対向するように第2部材の剥離層面を80℃にてラミネートした。これによりPETフィルム/剥離層/体積ホログラム形成層/PETフィルムからなる積層体を得た。その後、体積ホログラム形成層を高圧水銀灯にて2500mJ/cmの照射による定着処理(後露光)を行い、感材に接するPETフィルムを剥がし、剥がした面に第3部材の感熱性接着剤層面を100℃にてラミネートした。これによりPETフィルム/剥離層/体積ホログラム層/感熱性接着剤層/表面離型処理PETフィルムからなる積層体から表面離型処理PETフィルムを剥がし、本発明の体積ホログラム転写箔を得た。
これにより、以下に示す実施例、比較例の全てにおいて十分実用範囲にある無色透明の体積ホログラム転写箔が得られた。
〔体積ホログラム転写箔の転写試験方法〕
PETフィルム/剥離層/体積ホログラム層/感熱性接着剤層からなる体積ホログラム転写箔を作製した。体積ホログラムを転写させる被着体(塩化ビニルカード)の表面に、本発明の体積ホログラムの転写箔を、該転写箔の感熱性接着剤層が接するように重ね合わせ、体積ホログラムを転写させる部分の転写箔の上から、10mm×10mmの矩形金型を150℃で押し当てた。所望部分の感熱性接着剤層を溶融接着させて、転写層を付与した。
箔切れ性の評価は、転写部外縁に余分な転写箔が付着しているかを確認することにより行った。評価基準として、転写部分と非転写部分とが、明瞭に破断した場合を○、特に再現良く明瞭に破断した場合を◎とした。また、転写部の4辺のうち、1辺もしくは2辺にわずかに非転写部が付着している場合を△、2以上の辺に大きな非転写部が付着している場合を×とした。ここでいう「非転写部」とは、体積ホログラム転写箔から体積ホログラムを付着させる際に、付着が望まれない部分をいう。
(実施例1〜16、比較例1〜8)
カチオン重合性化合物の種類、フッ素系粒子(FM108重合体)の粒径の組み合わせを変えて、体積ホログラム層の破断強度、破断点伸度、転写適性を評価した。これらの各条件と結果を下記の表1に示す。いずれの実施例においても、十分実用範囲にある体積ホログラム転写箔が得られた。
Figure 2009181141
(実施例17〜40、比較例9〜16)
次に、カチオン重合性化合物の種類、フッ素系粒子(PTFE重合体)の粒径の組み合わせを変えて、体積ホログラム層の破断強度、破断点伸度、転写適性を評価した。これらの各条件と結果を下記の表2に示す。いずれの実施例においても、十分実用範囲にある体積ホログラム転写箔が得られた。
Figure 2009181141
(比較例17〜24)
次に、粒子を含有させず、カチオン重合性化合物の種類を変えて、体積ホログラム層の破断強度、破断点伸度、転写適性を評価した。これらの各条件と結果を下記の表3に示す。いずれの比較例においても、実用範囲にある体積ホログラム転写箔が得られなかった。
Figure 2009181141
(比較例25、26)
次に、体積ホログラム記録材料にオムニデックス352を使用し、特願平10−97173号公報の実施例1に記載の配合でフッ素系粒子(FM108重合体:200nm、PTFE粒子:200nm)を添加し、体積ホログラム層の破断強度、破断点伸度、転写適性を評価した。これらの各条件と結果を下記の表4に示す。いずれの比較例においても、実用範囲にある体積ホログラム転写箔が得られなかった。
Figure 2009181141
(比較例27、比較例28)
次に、体積ホログラム記録材料にオムニデックス352を使用し、特願平10−97173号公報の実施例1および2に記載の配合で各粒子を含んだ体積ホログラム層の破断強度、破断点伸度、転写適性を評価した。これらの各条件と結果を下記の表5に示す。いずれの比較例においても、実用範囲にある体積ホログラム転写箔が得られなかった。
Figure 2009181141
(比較例29〜36)
次に、粒子をコロイダルシリカ(MIBK−ST(日産化学社製))とし、カチオン重合性化合物の種類を変えて、体積ホログラム層の破断強度、破断点伸度、転写適性を評価した。これらの各条件と結果を下記の表6に示す。いずれの比較例においても、実用範囲にある体積ホログラム転写箔が得られなかった。
Figure 2009181141
(実施例41、42)
次に、粒子をチタニア微粒子(R−630(石原産業社製))とし、カチオン重合性化合物の種類を変えて、体積ホログラム層の破断強度、破断点伸度、転写適性を評価した。これらの各条件と結果を表7に示す。いずれの実施例においても、十分実用範囲にある体積ホログラム転写箔が得られた。
Figure 2009181141
表1から表7までで使用したカチオン重合性化合物「CM」を下記の表8に示す。
Figure 2009181141
また、上記で使用したラジカル重合性化合物の屈折率は、1.54であり、上記カチオン重合性化合物の屈折率より大きいものである。なお、屈折率はアッベ屈折計を用いてJIS K4172に準拠して測定した値である。
さらに、表1から表7までで使用した微粒子を下記の表9に示す。
Figure 2009181141
1 … 基材
2 … 体積ホログラム層
3 … 感熱性接着層
4 … 剥離層
5 … 反射層
6 … 被着体
7 … 金型

Claims (10)

  1. ルチル型二酸化チタンからなる微粒子を含有し、層厚20μmのときに25℃における破断強度が10MPa〜30MPaの範囲内、破断点伸度が0.1%〜3%の範囲内であり、かつ130℃における破断強度が0.1MPa〜1MPaの範囲内、破断点伸度が0.1%〜5%の範囲内であることを特徴とする、体積ホログラム層。
  2. 前記微粒子が、フッ化アルキルを含有するシランカップリング剤による表面処理がされていることを特徴とする、請求項1に記載の体積ホログラム層。
  3. 前記微粒子が、アルミナまたはシリカで表面処理されていることを特徴とする、請求項1に記載の体積ホログラム層。
  4. カチオン重合性化合物と、ラジカル重合性化合物と、前記ラジカル重合性化合物を重合させる光ラジカル重合開始剤系と、前記カチオン重合性化合物を重合させる光カチオン重合開始剤系とを含有することを特徴とする、請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の体積ホログラム層。
  5. 高分子結合剤を含有することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の体積ホログラム層。
  6. 前記カチオン重合性化合物が常温で液状であることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の体積ホログラム層。
  7. 前記カチオン重合性化合物が1分子あたり3官能以上の重合性官能基を有する化合物であることを特徴とする請求項4から請求項6までのいずれかの請求項に記載の体積ホログラム層。
  8. 前記微粒子が1重量%〜30重量%含有されることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれかの請求項に記載の体積ホログラム層。
  9. 前記微粒子の平均粒径が100nm〜600nmの範囲内であることを特徴とする、請求項1から請求項8までのいずれかの請求項の記載の体積ホログラム層。
  10. 請求項1から請求項9までのいずれかの請求項に記載の体積ホログラム層と、基材と、感熱性接着剤層とを有する体積ホログラム転写箔であって、前記基材上に前記体積ホログラム層が形成され、前記体積ホログラム層上に感熱性接着剤層が形成されていることを特徴とする体積ホログラム転写箔。
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