JP2005055472A - ホログラム層とそれを用いたホログラム転写箔 - Google Patents

ホログラム層とそれを用いたホログラム転写箔 Download PDF

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Abstract

【課題】ホログラムの再生波長を制御することができるホログラム層およびそれを用いたホログラム転写箔を提供する。
【解決手段】屈折率が1.59以上の微粒子を含有することを特徴とする。
【効果】屈折率が、通常用いられているホログラム層の形成材料である樹脂と比較して高い微粒子をホログラム層に含有させることにより、ホログラム層の屈折率を調整することが可能となり、再生波長を制御することが可能となる。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホログラムの再生波長を制御することができるホログラム層およびそれを用いたホログラム転写箔に関する。
【0002】
【従来の技術】
ホログラムは、波長の等しい二つの光(物体光と参照光)を干渉させて物体光の波面を干渉縞として感光材料に記録したものである。このホログラムに元の参照光と同一条件の光を当てると干渉縞による回折現象が生じ、元の物体光と同一の波面が再生できる。ホログラムは、レーザー光またはコヒーレンス性の優れた光の干渉によって生じる干渉縞の記録形態により、いくつかの種類(表面レリーフ型ホログラム、体積型ホログラム等)に分類される。
【0003】
表面レリーフ型ホログラムは、ホログラム層の表面に微細な凹凸パターンが賦型されることによりホログラムが形成されるものである。一方、体積型ホログラムは、光の干渉によって生じる干渉縞を、屈折率の異なる縞として感光材料の厚み方向に三次元的に記録することによりホログラムが形成されるものである。
【0004】
ホログラムを被着体に付着させるには、通常、基材フィルム、ホログラム層、および感熱性接着剤層を順次積層したホログラム転写箔が用いられる。この場合、ホログラム転写箔を、その感光性接着剤層の面が被着体と接するように被着体に重ね合わせて、ホログラム転写箔の上から加熱・加圧(熱転写)することにより、ホログラムが被着体に付着される。
【0005】
ところで、表面レリーフ型ホログラムを形成する場合、例えば凹凸パターンが形成されているマスターホログラムから作製されたプレスタンパーを感光材料に圧着し、凹凸パターンを感光材料表面に形成し、感光材料を硬化させる。この際、感光材料の硬化に伴う凹凸パターンに歪みが生じて、凹凸ピッチがずれてしまうため、元の物体光と同じ波面が再生できないという問題がある。
【0006】
また、体積型ホログラムを形成する場合においても、感光材料の硬化に伴って干渉縞に歪みが生じてしまうため、元の物体光と同じ波面が再生できないという問題がある。
【0007】
そこで、元の物体光と同じ波面を再生するために、再生波長を制御する方法が求められている。
【0008】
特許文献1、特許文献2には、ホログラム層に低分子化合物を塗布し、干渉縞が記録されたホログラム層中に低分子化合物を拡散させてホログラム層を膨潤させることにより、再生波長を制御する方法が開示されている。しかしながら、この方法ではホログラム層の膨潤量は、低分子化合物の分子量、低分子化合物を含有した溶液の濃度、塗布量等に依存するため、再生波長の正確な制御が困難であり、再現性に欠けるという問題があった。
【0009】
また、従来ではホログラムを製造する際に、再生波長のずれを考慮してホログラムを設計する方法が用いられている。しかしながら、例えばホログラムを光学素子等に用いる場合は、再生波長を正確に制御する必要があるため、設計のみではなく、他の方法により再生波長を制御する方法が求められている。
【0010】
【特許文献1】
特開平1−321471号公報
【特許文献2】
特開平3−46687号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、ホログラムの再生波長をより正確に制御することができるホログラム層およびそれを用いたホログラム転写箔を提供することを主目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、屈折率が1.59以上の微粒子を含有することを特徴とするホログラム層を提供する。
【0013】
屈折率が、通常用いられているホログラム層の形成材料である樹脂と比較して高い微粒子をホログラム層に含有させることにより、ホログラム層の屈折率を調整することが可能となり、再生波長を制御することが可能となる。また、ホログラム層の屈折率の調整が、ホログラム層の形成材料である樹脂を変更するのではなく、種々の屈折率を有する微粒子を選択して添加することにより行うものであるため、ホログラムの設計の自由度が高くなるという利点を有する。さらに、本発明のホログラム層を用いてホログラム転写箔を形成した場合、ホログラム層に微粒子を含有させることにより、ホログラム層に脆性が付与されるため、ホログラムを被着体に付着させる際の箔切れ性が向上する利点も有する。
【0014】
上記発明においては、上記ホログラム層に記録されたホログラムの再生波長が、記録波長に対して±5nmの範囲であることが好ましい。ホログラム層は、体積型ホログラム用樹脂組成物に干渉縞を記録した後、または表面レリーフ型ホログラム用樹脂組成物に凹凸パターンを賦型した後、これらの樹脂組成物を硬化させて形成されるものである。よって、樹脂組成物の硬化に伴い、体積収縮が生じて干渉縞または凹凸パターンの間隔が小さくなるため、記録波長よりも再生波長が短波長になってしまい、ずれが生じて色調が変化する可能性がある。本発明では、ホログラム層に屈折率が1.59以上の高屈折率微粒子を含有させることにより、ホログラム層の屈折率が高くなるため、再生波長を高波長側にシフトさせることが可能となり、再生波長のずれを補正することが可能となるからである。また、微粒子自体は収縮しないため、樹脂組成物の硬化による体積収縮を抑制することができるからである。
【0015】
また、本発明は、基材フィルムと、上記基材フィルム上に形成され、上述した本発明のホログラム層と、上記ホログラム層上に形成された感熱性接着剤層とを有することを特徴とするホログラム転写箔を提供する。
【0016】
上記のホログラム転写箔は、上述したようなホログラム層の利点を有し、さらに、ホログラム層に微粒子を含有させることにより、ホログラム層に脆性が付与されるため、ホログラムを被着体に付着させる際の箔切れ性が向上する利点も有する。
【0017】
また本発明は、少なくとも1種の光重合性化合物と、光重合開始剤と、屈折率が1.59以上の微粒子とを有することを特徴とする体積型ホログラム用樹脂組成物を提供する。
【0018】
上記構成の体積型ホログラム用樹脂組成物を用いてホログラム層を形成する場合、通常用いられているホログラム層の形成材料である樹脂と比較して屈折率が高い微粒子を有することにより、ホログラム層の屈折率を調整することが可能となり、再生波長を制御することが可能となる。また、ホログラム層の屈折率の調整が、ホログラム層の形成材料である樹脂を変更するのではなく、種々の屈折率を有する微粒子を選択して添加することにより行うものであるため、ホログラムの設計の自由度が高くなるという利点を有する。
【0019】
上記発明においては、上記体積型ホログラム用樹脂組成物が、増感色素を有することが好ましい。体積型ホログラム用樹脂組成物に含まれる光重合性化合物および光重合開始剤は、紫外線に活性であるものが多いが、増感色素を添加することにより可視光にも活性となり、可視レーザー光を用いて干渉縞を記録することが可能となるからである。
【0020】
また、上記発明においては、上記体積型ホログラム用樹脂組成物が、バインダ樹脂を有することが好ましい。上記構成の体積型ホログラム用樹脂組成物を用いてホログラム層を形成する場合、バインダ樹脂を添加することにより、成膜性、膜厚の均一性を向上させることができ、記録された干渉縞を安定に存在させることができるからである。
【0021】
本発明は、また、樹脂材料と、屈折率が1.59以上の微粒子とを有することを特徴とする表面レリーフ型ホログラム用樹脂組成物を提供する。
【0022】
上記構成の表面レリーフ型ホログラム用樹脂組成物を用いてホログラム層を形成する場合、通常用いられているホログラム層の形成材料である樹脂と比較して屈折率が高い微粒子を有することにより、ホログラム層の屈折率を調整することが可能となり、再生波長を制御することが可能となる。また、ホログラム層の屈折率の調整が、ホログラム層の形成材料である樹脂を変更するのではなく、種々の屈折率を有する微粒子を選択して添加することにより行うものであるため、ホログラムの設計の自由度が高くなるという利点を有する。
【0023】
また、上記発明においては、上記微粒子の屈折率が、上記表面レリーフ型ホログラム用樹脂組成物に含まれる他の成分の屈折率よりも大きいことが好ましい。表面レリーフ型ホログラム用樹脂組成物に凹凸パターンを賦型した後、この樹脂組成物を硬化させることにより、ホログラム層が形成されるものである。よって、樹脂組成物の硬化に伴い、体積収縮が生じて凹凸の高さや間隔が小さくなるため、記録波長よりも再生波長が短波長になってしまい、ずれが生じて色調が変化する可能性がある。本発明では、他の成分よりも大きい屈折率を有する微粒子を含有させることにより、ホログラム層の屈折率を高くすることができ、再生波長を高波長側にシフトさせることが可能となり、再生波長のずれを補正することが可能となるからである。また、微粒子自体は収縮しないため、樹脂組成物の硬化による体積収縮を抑制することができるからである。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、具体的に説明する。本発明は、ホログラム層、それを用いたホログラム転写箔、体積型ホログラム用樹脂組成物、および表面レリーフ型ホログラム用樹脂組成物を含むものである。以下、それぞれについて、項を分けて説明する。
【0025】
A.ホログラム層
まず、本発明のホログラム層について説明する。
【0026】
本発明において、ホログラム層は、屈折率が1.59以上の微粒子を含有することを特徴とするものである。
【0027】
屈折率が、通常用いられているホログラム層の形成材料である樹脂と比較して高い微粒子をホログラム層に含有させることにより、ホログラム層の屈折率を調整することが可能となり、再生波長を制御することが可能となる。また、ホログラム層の屈折率の調整が、ホログラム層の形成材料である樹脂を変更するのではなく、種々の屈折率を有する微粒子を選択して添加することにより行うものであるため、ホログラムの設計の自由度が高くなるという利点を有する。さらに、本発明のホログラム層をホログラム転写箔に用いた場合、ホログラム層に微粒子を含有させることにより、ホログラム層中に意図的に欠陥を形成することができ、ホログラム層に脆性を付与することができるため、ホログラムを被着体に付着させる際の箔切れ性を向上させることができる。
【0028】
本発明においては、ホログラム層は体積型ホログラム層であっても、表面レリーフ型ホログラム層であってもよい。以下、体積型ホログラム層および表面レリーフ型ホログラム層にわけて説明する。
【0029】
1.体積型ホログラム層
本発明において、体積型ホログラム層は、屈折率が1.59以上の微粒子を含有することを特徴とするものである。さらに、本発明においては、体積型ホログラム層は、少なくとも1種の光重合性化合物および光重合開始剤から形成される体積型ホログラム用樹脂を有することが好ましい。
【0030】
本発明によれば、光重合性化合物および光重合開始剤から形成される体積型ホログラム用樹脂を含有することにより、体積型ホログラム層として像を形成したものとすることができるからである。また、種々の屈折率を有する微粒子を含有することにより、体積型ホログラム層の屈折率を調整することができ、再生波長を制御することができるからである。さらに、微粒子を含有することにより、体積型ホログラム層をホログラム転写箔に用いた際に、箔切れを良好なものとすることができるからである。
【0031】
以下、このような体積型ホログラム層の各構成について説明する。
【0032】
a.微粒子
本発明において微粒子は、その屈折率が1.59以上であることを特徴とするものである。
【0033】
通常用いられている体積型ホログラム層の形成材料である樹脂の屈折率が約1.5であるのに比較して、本発明に用いられる微粒子の屈折率は、1.59以上であることから、そのような屈折率が高い高屈折率微粒子を含有することにより、体積型ホログラム層の屈折率を調整することが可能となり、再生波長を制御することが可能となる。また、体積型ホログラム層の屈折率を調整するために、体積型ホログラム層の形成材料である樹脂を変更することも可能であるが、この場合には選択できる樹脂の種類が限定されてしまうという不具合が生じる。本発明においては、体積型ホログラム層の屈折率の調整が、種々の屈折率を有する微粒子を選択して添加することにより行うものであるため、ホログラムの設計の自由度が高くなるという利点を有する。さらに、本発明の体積型ホログラム層をホログラム転写箔に用いた際には、体積型ホログラム層が微粒子を含有することにより、体積型ホログラム層に脆性が付与されるため、ホログラムを被着体に付着させる際の箔切れ性が向上する利点も有する。
【0034】
また、体積型ホログラム層は、体積型ホログラム用樹脂に干渉縞を記録した後、この樹脂を硬化させて形成されるものである。よって、樹脂の硬化に伴い、体積収縮が生じて干渉縞の間隔が小さくなるため、記録波長よりも再生波長が短波長側にシフトしてしまい、色調が変化する可能性がある。本発明では、体積型ホログラム層に上記の高屈折率微粒子を含有させることにより、体積型ホログラム層の屈折率が高くなるため、再生波長を高波長側にシフトさせることが可能となり、体積収縮による再生波長のずれを補正することが可能となる。また、微粒子自体は収縮しないため、樹脂の硬化による体積収縮を抑制することができる。
【0035】
本発明に用いられる高屈折率微粒子の屈折率としては、1.59以上、好ましくは2.0以上である。なお、高屈折率微粒子の屈折率の上限としては、高ければ高いほどよいが、一般的に3.0以下のものが用いられる。このような高屈折率微粒子としては、無機化合物からなるものでもよく、有機化合物からなるものでもよい。例えばAl(1.62)、Sb(1.7)、Y(1.82)、SnO(1.9)、La(1.95)、In(2.0)、ZrO(2.1)、CeO(2.2)、TiO(2.2〜2.7)、架橋ポリスチレン、非架橋ポリスチレン、フッ素以外のハロゲン、硫黄、窒素、燐等の原子が導入された樹脂、芳香族環等が導入された樹脂等の微粒子を挙げることができる。また、高屈折率微粒子は1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、括弧内の数字は各々の屈折率を示す。
【0036】
さらに、この際にホログラムの記録波長に対して再生波長が±5nmの範囲、特に±2nmの範囲であることが好ましい。記録波長に対する再生波長が上記範囲にあることにより、体積収縮による再生波長のずれを正確に制御することが可能となるからである。
【0037】
また、本発明に用いられる微粒子としては、上記高屈折率微粒子の他に屈折率のより低い低屈折率微粒子も使用することができる。通常用いられている体積型ホログラム層の形成材料である樹脂の屈折率が約1.5であるのに比較して、微粒子の屈折率がそれよりも低いものであれば、そのような屈折率が低い微粒子を体積型ホログラム層に含有させることにより、体積型ホログラム層の屈折率を調整することが可能となり、再生波長を制御することが可能となるからである。また、体積型ホログラム層の屈折率を調整するために、体積型ホログラム層の形成材料である樹脂を変更するのではなく、種々の屈折率を有する微粒子を選択して添加することにより行うものであるため、ホログラムの設計の自由度が高くなるという利点を有するからである。さらに、本発明の体積型ホログラム層をホログラム転写箔に用いた際には、体積型ホログラム層が微粒子を含有することにより、体積型ホログラム層に脆性が付与されるため、ホログラムを被着体に付着させる際の箔切れ性が向上する利点も有するからである。
【0038】
このような低屈折率微粒子の屈折率としては、1.5以下、好ましくは1.43以下である。なお、低屈折率微粒子の屈折率の下限としては、低ければ低いほどよいが、一般的に1.25以上のものが用いられる。上記低屈折率微粒子としては、無機化合物からなるものでもよく、有機化合物からなるものでもよい。例えばCaF(1.26)、AlF(1.33〜1.39)、MgF(1.38)、SiO(1.46)、LiF(1.36〜1.37)、NaF(1.32〜1.34)、ThF(1.45〜1.5)、3NaF・AlF(1.4)、NaAlF(1.33)、SiO(シリカゾル、ただし1.50<X<2.0)(1.35〜1.48)、フッ素原子が導入された樹脂、有機ケイ素化合物等の微粒子を挙げることができる。また、低屈折率微粒子は1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、括弧内の数字は各々の屈折率を示す。
【0039】
また、上記微粒子の平均粒径としては、50nm〜600nmの範囲内、中でも100nm〜500nmの範囲内、特に200nm〜500nmの範囲内であることが好ましい。上記微粒子の平均粒径が、上述した範囲より小さいものは、製造が難しく、さらに体積型ホログラム層に脆性を付与することが困難となり、また微粒子の平均粒径が上述した範囲より大きい場合には、体積型ホログラム層のホログラムへの像形成に悪影響を及ぼす場合があるからである。本発明においては、上記の中でも特に、体積型ホログラム層へ像を記録する際に用いられるレーザー光等の波長より粒径が小さいものであることが好ましい。
【0040】
ここで、平均粒径とは、一般に粒子の粒度を示すために用いられるものであり、本発明においては、レーザー法により測定した値である。レーザー法とは、粒子を溶媒中に分散し、その分散溶媒にレーザー光線を当てて得られた散乱光を細くし、演算することにより、平均粒径、粒度分布等を測定する方法である。ここで上記平均粒径は、レーザー法による粒径測定機として、リーズ&ノースラップ(Leeds & Northrup)社製 粒度分析計 マイクロトラックUPA Model−9230を使用して測定した値である。
【0041】
上記微粒子は、体積型ホログラム層中に、1〜30重量%の範囲内、好ましくは5〜20重量%の範囲内で含有させるとよい。微粒子の含有量が上述した範囲未満である場合、体積型ホログラム層の屈折率を十分に調整することができず、十分な脆性を付与することができないからである。一方、微粒子の含有量が上述した範囲を超えて多い場合、体積型ホログラム層の強度や透明性を保つことが困難となるからである。
【0042】
b.体積型ホログラム用樹脂
次に、本発明に用いられる体積型ホログラム用樹脂について説明する。本発明においては、体積型ホログラム層は上記微粒子を含有し、さらに光重合性化合物および光重合開始剤から形成される体積型ホログラム用樹脂を含有することが好ましい。以下、このような体積型ホログラム用樹脂の各構成について説明する。
【0043】
(i)光重合性化合物
本発明に用いられる光重合性化合物としては、光ラジカル重合性化合物であってもよく、光カチオン重合性化合物であってもよい。以下、光ラジカル重合性化合物および光カチオン重合性化合物に分けて説明する。
【0044】
(光ラジカル重合性化合物)
本発明に用いられる光ラジカル重合性化合物としては、体積型ホログラム層を形成する際に、例えばレーザー照射等によって、後述する光ラジカル重合開始剤から発生した活性ラジカルの作用により重合する化合物であれば、特に限定されるものではないが、少なくとも一つの付加重合可能なエチレン性不飽和二重結合を持つ化合物を使用することができる。例えば、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸塩、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド結合物等を挙げることができる。上記不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステルのモノマーの具体例を以下に示す。
【0045】
アクリル酸エステルとしては、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー、2−フェノキシエチルアクリレート、フェノールエトキシレートモノアクリレート、2−(p−クロロフェノキシ)エチルアクリレート、p−クロロフェニルアクリレート、フェニルアクリレート、2−フェニルエチルアクリレート、ビスフェノールAの(2−アクリルオキシエチル)エーテル、エトキシ化されたビスフェノールAジアクリレート、2−(1−ナフチルオキシ)エチルアクリレート、o−ビフェニルアクリレート、9,9−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アクリロキシトリエトキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アクリロキシジプロポキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アクリロキシエトキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アクリロキシエトキシ−3−エチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アクリロキシエトキシ−3,5−ジメチル)フルオレン等が例示される。
【0046】
また、特開昭61−72748号公報に開示されている硫黄含有アクリル化合物を使用することもできる。例えば、4,4´−ビス(β−アクリロイルオキシエチルチオ)ジフェニルスルホン、4,4´−ビス(β−アクリロイルオキシエチルチオ)ジフェニルケトン、4,4´−ビス(β−アクリロイルオキシエチルチオ)3,3´,5,5´−テトラブロモジフェニルケトン、2,4−ビス(β−アクリロイルオキシエチルチオ)ジフェニルケトン等が挙げられる。
【0047】
さらに、メタクリル酸エステルとしては、上述したアクリル酸エステルに例示される化合物名のうち、「アクリレート」が「メタクリレート」に、「アクリロキシ」が「メタクリロキシ」に、および「アクリロイル」が「メタクリロイル」に変換された化合物が例示される。
【0048】
また、上記光ラジカル重合性化合物は、1種または2種以上を組み合わせて用いてもよいものである。
【0049】
(光カチオン重合性化合物)
本発明に用いられる光カチオン重合性化合物は、エネルギー照射を受け、後述する光カチオン重合開始剤の分解により発生したブレンステッド酸あるいはルイス酸によってカチオン重合する化合物である。例えば、エポキシ環やオキセタン環等の環状エーテル類、チオエーテル類、ビニルエーテル類等を挙げることができる。
【0050】
上記エポキシ環を含有する化合物としては、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ジグリセロールトリグリシジルエーテル、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、シクロヘキセンオキシド等が例示される。
【0051】
また、上記光カチオン重合性化合物は、1種または2種以上を組み合わせて用いてもよいものである。
【0052】
さらに、上記の光ラジカル重合性化合物および光カチオン重合性化合物は、1種または2種以上を組み合わせて用いてもよいものである。
【0053】
ここで、体積型ホログラム層を形成する際に、例えば目的とする像の形状にレーザーを照射して、光ラジカル重合性化合物を重合させた後、全面にエネルギーを照射することにより、光カチオン重合性化合物等の未硬化の物質を重合させることによって行われる。なお、像を形成する際のレーザー等と、全面にエネルギー照射されるエネルギーとは、通常異なる波長のものが用いられ、本発明に用いられる光カチオン重合性化合物は、像を形成する例えばレーザー等によって重合しない化合物であることが好ましい。
【0054】
また、このような光カチオン重合性化合物は、上記光ラジカル重合性化合物の重合が、比較的低粘度の組成物中で行われることが好ましいという点から、常温で液状であることが好ましい。
【0055】
(その他)
本発明に用いられる光重合性化合物は、後述するバインダ樹脂100重量部に対して10〜1000重量部、好ましくは10〜100重量部の割合で使用するとよい。
【0056】
ここで、体積型ホログラム層は、例えばレーザー光またはコヒーレンス性の優れた光等によって光重合性化合物を重合させて干渉縞を形成し、像を形成するものである。したがって、体積型ホログラム層に光ラジカル重合性化合物および光カチオン重合性化合物が含有されている場合には、それぞれにおける屈折率が異なるものが選択されて用いられるものであり、どちらの屈折率が大きいものであってもよい。本発明においては、中でも材料選択性の面から光ラジカル重合性化合物の平均の屈折率が光カチオン重合性化合物より大きいものであることが好ましく、具体的には、平均の屈折率が0.02以上大きいことが好ましい。これは、光ラジカル重合性化合物と光カチオン重合性化合物との平均の屈折率の差が上記値より低い場合には、屈折率変調が不十分となり、高精細な像を形成することが困難となるからである。ここでいう平均の屈折率とは、光カチオン重合性化合物または光ラジカル重合性化合物を重合させた後の重合体について測定する屈折率の平均値をいう。また、本発明の屈折率は、アッベ屈折率計により測定された値である。
【0057】
(ii)光重合開始剤
次に、本発明に用いられる光重合開始剤について説明する。
【0058】
光重合開始剤としては、上述した光重合性化合物により種類が異なるものである。すなわち、光重合性化合物が光ラジカル重合性化合物である場合は、光重合開始剤は光ラジカル重合開始剤を選択し、光重合性化合物が光カチオン重合性化合物である場合は、光重合開始剤は光カチオン重合開始剤を選択する必要がある。
【0059】
以下、光ラジカル重合開始剤および光カチオン重合開始剤にわけて説明する。
【0060】
(光ラジカル重合開始剤)
本発明に用いられる光ラジカル重合開始剤としては、体積型ホログラム層を形成する際に照射される例えばレーザー等によって、活性ラジカルを生成し、上記光ラジカル重合性化合物を重合させることが可能な開始剤であれば、特に限定されるものではない。例えば、イミダゾール誘導体、ビスイミダゾール誘導体、N−アリールグリシン誘導体、有機アジド化合物、チタノセン類、アルミナート錯体、有機過酸化物、N−アルコキシピリジニウム塩、チオキサントン誘導体等を使用することができる。具体的には、1,3−ジ(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3´,4,4´−テトラキス(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3−フェニル−5−イソオキサゾロン、2−メルカプトベンズイミダゾール、ビス(2,4,5−トリフェニル)イミダゾール、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(商品名イルガキュア651、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(商品名イルガキュア369、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、ビス(η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム(商品名イルガキュア784、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)等が挙げられる。
【0061】
(光カチオン重合開始剤)
本発明に用いられる光カチオン重合開始剤としては、エネルギー照射によりブレンステッド酸やルイス酸を発生し、上記光カチオン重合性化合物を重合させるものであれば、特に限定されるものではない。体積型ホログラム層が光ラジカル重合性化合物および光カチオン重合性化合物を含有する場合、光カチオン重合性化合物は、特に上記光ラジカル重合性化合物を重合させる例えばレーザーやコヒーレンス性の優れた光等に対しては反応せず、その後全面に照射されるエネルギーによって感光するものであることが好ましい。これにより、上記光ラジカル重合性化合物が重合する際、光カチオン重合性化合物がほとんど反応しないまま存在させることができ、体積型ホログラム層における大きな屈折率変調が得られるからである。
【0062】
具体的には、スルホン酸エステル、イミドスルホネート、ジアルキル−4−ヒドロキシスルホニウム塩、アリールスルホン酸−p−ニトロベンジルエステル、シラノール−アルミニウム錯体、(η−ベンゼン)(η−シクロペンタジエニル)鉄(II)等が例示される。さらに、ベンゾイントシレート、2,5−ジニトロベンジルトシレート、N−トシフタル酸イミド等も使用することができる。
【0063】
(その他)
本発明において、光ラジカル重合開始剤としても、光カチオン重合開始剤としても用いられるものとしては、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ホスホニウム塩、トリアジン化合物、鉄アレーン錯体等が例示される。具体的には、ジフェニルヨードニウム、ジトリルヨードニウム、ビス(p−t−ブチルフェニル)ヨードニウム、ビス(p−クロロフェニル)ヨードニウム等のヨードニウムのクロリド、ブロミド、ホウフッ化塩、ヘキサフルオロホスフェート塩、ヘキサフルオロアンチモネート塩等のヨードニウム塩、トリフェニルスルホニウム、4−t−ブチルトリフェニルスルホニウム、トリス(4−メチルフェニル)スルホニウム等のスルホニウムのクロリド、ブロミド、ホウフッ化塩、ヘキサフルオロホスフェート塩、ヘキサフルオロアンチモネート塩等のスルホニウム塩、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン等の2,4,6−置換−1,3,5−トリアジン化合物等が挙げられる。
【0064】
また、上記の光重合開始剤は1種または2種以上を組み合わせて用いてもよいものである。
【0065】
また、光重合開始剤は、後述するバインダ樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部、好ましくは5〜15重量部の割合で使用するとよい。
【0066】
(iii)増感色素
次に、本発明に用いられる増感色素について説明する。
【0067】
本発明においては、体積型ホログラム用樹脂が増感色素を含有することが好ましい。上記光重合性化合物および光重合開始剤は、紫外線に活性であるものが多いが、増感色素を添加することにより可視光にも活性となり、可視レーザー光を用いて干渉縞を記録することが可能となるからである。
【0068】
このような増感色素としては、干渉縞を記録する際に使用するレーザー光波長を考慮して選択されるものであるが、特に限定されるものではない。例えば、チオピリリウム塩系色素、メロシアニン系色素、キノリン系色素、スチリルキノリン系色素、クマリン系色素、ケトクマリン系色素、チオキサンテン系色素、キサンテン系色素、オキソノール系色素、シアニン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、シクロペンタノン系色素、シクロヘキサノン系色素等を使用することができる。
【0069】
上記シアニン系色素、メロシアニン系色素としては、3,3´−ジカルボキシエチル−2,2´−チオシアニンブロミド、1−カルボキシメチル−1´−カルボキシエチル−2,2´−キノシアニンブロミド、1,3´−ジエチル−2,2´−キノチアシアニンヨージド、3−エチル−5−[(3−エチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)エチリデン]−2−チオキソ−4−オキサゾリジン等が挙げられる。
【0070】
また、上記クマリン系色素、ケトクマリン系色素としては、3−(2´−ベンゾイミダゾール)7−N,N−ジエチルアミノクマリン、3,3´−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3,3´−カルボニルビスクマリン、3,3´−カルボニルビス(5,7−ジメトキシクマリン)、3,3´−カルボニルビス(7−アセトキシクマリン)等が挙げられる。
【0071】
可視光活性な増感色素は、光学素子のような高透明性が要求される場合には、干渉縞記録後の後工程、加熱や紫外線照射により分解されるなどして無色になるものが好ましい。このような増感色素としては、上述したシアニン系色素が好適に用いられる。
【0072】
また、増感色素は、後述するバインダ樹脂100重量部に対して0.01〜10重量部、好ましくは0.01〜2重量部の割合で使用するとよい。
【0073】
(iv)バインダ樹脂
次に、本発明に用いられるバインダ樹脂について説明する。
【0074】
本発明においては、体積型ホログラム用樹脂がバインダ樹脂を含有することが好ましい。体積型ホログラム用樹脂がバインダ樹脂を含有することにより、成膜性、膜厚の均一性を向上させることができ、記録された干渉縞を安定に存在させることができるからである。
【0075】
このようなバインダ樹脂としては、ポリメタアクリル酸エステルまたはその部分加水分解物、ポリ酢酸ビニルまたはその加水分解物、ポリビニルアルコールまたはその部分アセタール化物、トリアセチルセルロース、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリクロロプレン、シリコーンゴム、ポリスチレン、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリアリレート、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ−N−ビニルカルバゾールまたはその誘導体、ポリ−N−ビニルピロリドンまたはその誘導体、スチレンと無水マレイン酸との共重合体またはその半エステル等を挙げることができる。また、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリルアミド、アクリルニトリル、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、および酢酸ビニル等の共重合可能なモノマーからなる郡から選択される少なくとも1種のモノマーを重合させてなる共重合体を使用することもできる。さらに、1種または2種以上の混合物を用いることもできる。
【0076】
また、バインダ樹脂としては、オリゴマータイプの硬化性樹脂を使用することもできる。例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ノボラック、o−クレゾールノボラック、p−アルキルフェノールノボラック等の各種フェノール化合物とエピクロロヒドリンとの縮合反応により生成されるエポキシ化合物等が挙げられる。
【0077】
さらに、バインダ樹脂としては、ゾルゲル反応を利用した有機−無機ハイブリッドポリマーを使用することもできる。例えば、下記一般式(1)で表される重合性基を有する有機金属化合物とビニルモノマーとの共重合体が挙げられる。
【0078】
M(OR´) (1)
(ここで、MはSi、Ti、Zr、Zn、In、Sn、Al、Se等の金属、Rは炭素数1〜10のビニル基または(メタ)アクリロイル基、R´は炭素数1〜10のアルキル基を表し、m+nは金属Mの価数である)。
【0079】
金属MとしてSiを使用する場合の有機金属化合物の例としては、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリアリルオキシシラン、ビニルテトラエトキシシラン、ビニルテトラメトキシシラン、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0080】
また、上記ビニルモノマーとしては、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル等を挙げることができる。
【0081】
ここで、体積型ホログラムは、干渉縞が屈折率変調または透過率変調として記録され形成されるものである。よって、バインダ樹脂と光重合性化合物との屈折率差が大きいことが好ましい。本発明においては、バインダ樹脂と光重合性化合物との屈折率差を大きくするために、下記一般式(2)で表される有機金属化合物を添加することもできる。
【0082】
M´(OR´´) (2)
(ここで、MはTi、Zr、Zn、In、Sn、Al、Se等の金属、R´´は炭素数1〜10のアルキル基を表し、kは金属Mの価数である)。
【0083】
上記(2)式で表される化合物を添加すると、水、酸触媒の存在下でゾルゲル反応により、バインダ樹脂と網目構造を形成するため、バインダ樹脂の屈折率を高くするたけでなく、層の強靭性、耐熱性を向上させる効果がある。よって、光重合性化合物との屈折率差を大きくするには、金属M´は高い屈折率を有するものを使用することが好ましい。
【0084】
上記バインダ樹脂は、体積型ホログラム層中に、通常20〜50重量%の範囲内、好ましくは30〜40重量%の範囲内で用いられる。
【0085】
c.体積型ホログラム層
本発明において、体積型ホログラム層の形成は、まず微粒子と光重合性化合物および光重合開始剤等から形成される体積型ホログラム用樹脂とを有する体積型ホログラム用樹脂組成物を、例えば目的とする基材フィルム上に、一般的なコーティング手段により塗布し、必要に応じて乾燥し、体積型ホログラム形成用層とする。また、体積型ホログラム形成用層は、例えば2枚のガラス板等の基材フィルムの間に体積型ホログラム用樹脂組成物を注入することによって形成されたものであってもよい。次に、上記体積型ホログラム形成用層に、通常ホログラフィー露光装置に用いられるレーザー光はコヒーレンス性の優れた光(たとえば波長300nm〜1200nmの光)による露光によって、上述した光重合性化合物を重合させて、目的とする像の干渉縞を記録する。これにより、体積型ホログラム層が形成される。
【0086】
体積型ホログラム用樹脂組成物は、塗布の際、必要に応じて溶媒を用いてもよい。このような溶媒としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン、テトラヒドロフラン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、酢酸エチル、1,4−ジオキサン、1,2−ジクロロエタン、ジクロルメタン、クロロホルム、メタノール、エタノール、イソプロパノール等を使用することができる。また、これらの溶媒を1種または2種以上を混合して用いてもよい。
【0087】
また、体積型ホログラム用樹脂組成物の塗布方法としては、スピンコーター、グラビアコーター、コンマコーター、バーコーター等の方法を使用することができる。
【0088】
上記体積型ホログラム用樹脂組成物の塗布量は、体積型ホログラム層の用途や種類によって適宜選択されるものであるが、通常1g/m〜100g/mの範囲内とされ、体積型ホログラム形成用層の膜厚は、通常1μm〜100μm、中でも10μm〜40μmの範囲内とすることが好ましい。さらに、体積型ホログラム用樹脂組成物を硬化させて形成される体積型ホログラム層の膜厚としては、1〜100μm、中でも10〜40μmの範囲内とすることが好ましい。
【0089】
上記体積型ホログラム形成用層に、通常ホログラフィー露光装置に用いられるレーザー光はコヒーレンス性の優れた光(たとえば波長300nm〜1200nmの光)による露光によって、上述した光重合性化合物を重合させて、目的とする像の干渉縞を記録する。上記レーザー光としては、可視レーザー、例えばアルゴンイオンレーザー(458nm、488nm、514.5nm)、クリプトンイオンレーザー(647.1nm)、ヘリウム−ネオンレーザー(633nm)、YAGレーザー(532nm)等を使用することができる。
【0090】
上記の像の干渉縞を記録する方法としては、従来の公知の方法を使用することができる。例えば、上記体積型ホログラム形成用層に原版を密着させ、基材フィルム側から可視光、あるいは紫外線や電子線等の電離放射線を用いて干渉露光を行うことにより像の干渉縞が記録される。
【0091】
また、屈折率変調の促進、光重合性化合物等の重合反応完結のために干渉露光後、紫外線による全面露光や加熱等の処理を適宜行うことができる。
【0092】
また、体積型ホログラム層のガラス転移点温度が100℃以上であることが好ましい。これにより、体積型ホログラム層に熱が加えられた場合であっても、安定なものとすることができ、体積型ホログラム層を例えば熱転写法等により転写することが可能となるからである。
【0093】
2.表面レリーフ型ホログラム層
本発明において、表面レリーフ型ホログラム層は、屈折率が1.59以上の微粒子を含有することを特徴とするものである。さらに、本発明においては、表面レリーフ型ホログラム層は樹脂材料を有することが好ましい。
【0094】
本発明によれば、樹脂材料を含有することにより、表面レリーフ型ホログラム層として像を形成したものとすることができるからである。また、種々の屈折率を有する微粒子を含有することにより、表面レリーフ型ホログラム層の屈折率を調整することができ、再生波長を制御することができるからである。さらに、微粒子を含有することにより、表面レリーフ型ホログラム層をホログラム転写箔に用いた際に、箔切れを良好なものとすることができるからである。
【0095】
以下、このような表面レリーフ型ホログラム層の各構成について説明する。
【0096】
a.微粒子
本発明において微粒子は、その屈折率が1.59以上であることを特徴とするものである。
【0097】
通常用いられている表面レリーフ型ホログラム層の形成材料である樹脂の屈折率が約1.5であるのに比較して、本発明に用いられる微粒子の屈折率は、1.59以上であることから、そのような屈折率が高い微粒子を含有することにより、表面レリーフ型ホログラム層の屈折率を調整することが可能となり、再生波長を制御することが可能となる。また、表面レリーフ型ホログラム層の屈折率を調整するために、表面レリーフ型ホログラム層の形成材料である樹脂を変更することも可能であるが、この場合には選択できる樹脂の種類が限定されてしまうという不具合が生じる。本発明においては、表面レリーフ型ホログラム層の屈折率の調整が、種々の屈折率を有する微粒子を選択して添加することにより行うものであるため、ホログラムの設計の自由度が高くなるという利点を有する。さらに、本発明の表面レリーフ型ホログラム層をホログラム転写箔に用いた際には、表面レリーフ型ホログラム層が微粒子を含有することにより、表面レリーフ型ホログラム層に脆性が付与されるため、ホログラムを被着体に付着させる際の箔切れ性が向上する利点も有する。
【0098】
さらに、微粒子の屈折率が、表面レリーフ型ホログラム層に含まれる他の成分の屈折率よりも大きいことが好ましい。なお、ここでいう他の成分とは、後述する樹脂材料、添加剤等を意味するものである。
【0099】
表面レリーフ型ホログラムは、後述するように、表面レリーフ型ホログラム層を形成する樹脂組成物層に、干渉縞情報が記録されたマスタースタンパーの凹凸を賦型した後、この樹脂組成物を硬化させることにより、表面レリーフ型ホログラム層が形成されるものである。よって、樹脂組成物の硬化に伴い、体積収縮が生じて賦型された凹凸の高さや間隔が小さくなるため、記録波長よりも再生波長が短波長になってしまい、ずれが生じて色調が変化する可能性がある。本発明では、他の成分よりも大きい屈折率を有する微粒子を含有させることにより、表面レリーフ型ホログラム層の屈折率を高くすることができ、再生波長を高波長側にシフトさせることが可能となり、再生波長のずれを補正することが可能となるからである。また、微粒子自体は収縮しないため、樹脂組成物の硬化による体積収縮を抑制することができるからである。
【0100】
また、上記微粒子は、表面レリーフ型ホログラム層中に、1〜30重量%の範囲内、好ましくは5〜20重量%の範囲内で含有させるとよい。微粒子の含有量が上述した範囲未満である場合、表面レリーフ型ホログラム層の屈折率を十分に調整することができず、十分な脆性を付与することができないからである。一方、微粒子の含有量が上述した範囲を超えて多い場合、表面レリーフ型ホログラム層の強度や透明性を保つことが困難となるからである。
【0101】
なお、微粒子に関しては、上述した「1.体積型ホログラム層」の微粒子の欄に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0102】
b.樹脂材料
次に、本発明に用いられる樹脂材料について説明する。
【0103】
本発明に用いられる樹脂材料としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、電離放射線硬化性樹脂等を使用することができる。
【0104】
上記熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、エポキシ変性アクリル樹脂、エポキシ変性不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂等を挙げることができる。
【0105】
上記熱可塑性樹脂としては、アクリル酸エステル樹脂、アクリルアミド樹脂、ニトロセルロース樹脂、ポリスチレン樹脂等を挙げることができる。
【0106】
これらの樹脂材料は、単独重合体または2種以上の共重合体として使用してもよい。
【0107】
上記電離放射線硬化性樹脂としては、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、アクリル変性ポリエステル樹脂、特開2000−272295号公報に記載のウレタン変性アクリレート樹脂等を挙げることができる。
【0108】
上記樹脂材料は、表面レリーフ型ホログラム層中に、好ましくは10〜90重量%の範囲内、より好ましくは25〜85重量%の範囲内で含有させるとよい。
【0109】
c.添加剤
本発明においては、上述した熱硬化性樹脂または電離放射線硬化性樹脂に、熱硬化剤あるいは紫外線硬化剤を配合することができる。熱硬化剤あるいは紫外線硬化剤としては、イソシアネート樹脂、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛等の金属石鹸ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物、ベンゾフェノン、アセトフェノン、アントラキノン、ナフトキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルスルフィド等を挙げることができる。
【0110】
また本発明においては、上述した電離放射線硬化性樹脂に、架橋構造、粘度の調整等を目的として、以下に示すような単官能または多官能のモノマー、オリゴマーおよびポリマー等を包含させることができる。
【0111】
単官能のモノマーおよびオリゴマーとしては、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ビニルピロリドン、(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、(メタ)アクリロイルオキシエチルフタレート等のモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0112】
また、多官能のモノマー、オリゴマーおよびポリマーとしては、骨格構造で分類するとポリオール(メタ)アクリレート(エポキシ変性ポリオール(メタ)アクリレート、ラクトン変性ポリオール(メタ)アクリレート等)、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリブタジエン系、イソシアヌール酸系、ヒダントイン系、メラミン系、リン酸系、イミド系、フォスファゼン系等の骨格を有するポリ(メタ)アクリレートであり、紫外線、電子線硬化性である様々なモノマー、オリゴマーおよびポリマーを使用することができる。
【0113】
具体的には、2官能のモノマーおよびオリゴマーとしては、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。3官能のモノマーおよびオリゴマーとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、脂肪族トリ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。また、4官能のモノマーおよびオリゴマーとしては、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、脂肪族テトラ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。さらに、5官能以上のモノマーおよびオリゴマーとしては、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ポリエステル骨格、ウレタン骨格、フォスファゼン骨格を有する(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0114】
上記単官能または多官能のモノマー、オリゴマーの官能基数は特に限定されるものではないが、官能基数が3〜20のものが好ましい。官能基数が3より小さいと耐熱性が低下する傾向があり、官能基数が20を超えて大きいと柔軟性が低下する傾向があるからである。
【0115】
ところで、表面レリーフ型ホログラムを形成する際には、上述したような樹脂材料および微粒子等を有する表面レリーフ型ホログラム用樹脂組成物に、表面に凹凸が形成されているプレスタンパーに圧着し、表面レリーフ型ホログラム用樹脂組成物の表面に凹凸を形成するものである。本発明においては、表面レリーフ型ホログラム用樹脂組成物がプレスタンパーから容易に剥離できるように、予め離型剤を添加させることができる。このような離型剤としては、従来公知の離型剤、例えばポリエチレンワックス、アミドワックス、テフロンパウダー等の固形ワックス、弗素系、リン酸エステル系の界面活性剤、シリコーン等を使用することができる。特に、離型剤として変性シリコーンを使用することが好ましい。
【0116】
上記変性シリコーンとしては、(1)変性シリコーンオイル側鎖型、(2)変性シリコーンオイル両末端型、(3)変性シリコーンオイル片末端型、(4)変性シリコーンオイル側鎖両末端型、(5)トリメチルシロキケイ酸を含有するメチルポリシロキサン(シリコーンレジンと呼ぶ)、(6)シリコーングラフトアクリル樹脂、(7)メチルフェニルシリコーンオイル等を挙げることができる。
【0117】
また、上記変性シリコーンオイルは、反応性シリコーンオイルと非反応性シリコーンオイルとに分けられる。反応性シリコーンオイルとしては、アミノ変性、エポキシ変性、カルボキシル基変性、カルビノール変性、メタクリル変性、メルカプト変性、フェノール変性、片末端反応性、異種官能基変性等が挙げられる。一方、非反応性シリコーンオイルとしては、ポリエーテル変性、メチルスチリル変性、アルキル変性、高級脂肪エステル変性、親水性特殊変性、高級アルコキシ変性、高級脂肪酸変性、フッ素変性等が挙げられる。
【0118】
上述した変性シリコーンオイルの中でも、表面レリーフ型ホログラム用樹脂組成物と反応性である基を有する種類の反応性シリコーンオイルは、表面レリーフ型ホログラム用樹脂組成物の硬化とともにこの樹脂組成物と反応して結合するため、後に凹凸パターンが形成された表面レリーフ型ホログラム用樹脂組成物の表面にブリードアウトすることがなく、特徴的な性能を付与することができる。特に、蒸着法等により形成される例えば反射層等の蒸着層との密着性向上には有効である。
【0119】
d.表面レリーフ型ホログラム層
本発明において、表面レリーフ型ホログラム層の形成は、まず上述したような樹脂材料および微粒子等を有する表面レリーフ型ホログラム用樹脂組成物を、例えば目的とする基材フィルム上に、一般的なコーティング手段により塗布し、必要に応じて乾燥して、表面レリーフ型ホログラム形成用層とする。また、表面レリーフ型ホログラム形成用層は、例えば2枚のガラス板等の基材フィルムの間に表面レリーフ型ホログラム用樹脂組成物を注入することによって形成されたものであってもよい。次に、例えば凹凸パターンが形成されているマスターホログラムから作製されたプレスタンパーを表面レリーフ型ホログラム形成用層に圧着し、凹凸パターンを表面レリーフ型ホログラム形成用層の表面に形成し、像を記録する。さらに、表面レリーフ型ホログラム形成用層を硬化させることにより、表面レリーフ型ホログラム層が形成される。
【0120】
表面レリーフ型ホログラム用樹脂組成物は、塗布の際、必要に応じて溶媒を用いてもよい。このような溶媒としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン、テトラヒドロフラン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、酢酸エチル、1,4−ジオキサン、1,2−ジクロロエタン、ジクロルメタン、クロロホルム、メタノール、エタノール、イソプロパノール等を使用することができる。また、これらの溶媒を1種または2種以上を混合して用いてもよい。
【0121】
また、表面レリーフ型ホログラム用樹脂組成物の塗布方法としては、スピンコーター、グラビアコーター、コンマコーター、バーコーター等の方法を使用することができる。
【0122】
また、表面レリーフ型ホログラム層の用途や種類によって適宜選択されるものであるが、上記表面レリーフ型ホログラム用樹脂組成物の塗布量は、通常1g/m〜100g/mの範囲内とされ、表面レリーフ型ホログラム形成用層の膜厚は、通常0.2μm〜100μm、中でも1μm〜20μmの範囲内とすることが好ましい。さらに、表面レリーフ型ホログラム用樹脂組成物を硬化させて形成される表面レリーフ型ホログラム層の膜厚としては、0.2〜100μm、中でも1〜20μmの範囲内とすることが好ましい。
【0123】
ここで、上述したように表面レリーフ型ホログラムは、例えば凹凸パターンが形成されているマスターホログラムから作製されたプレスタンパーを表面レリーフ型ホログラム形成用層に圧着し、凹凸パターンを表面レリーフ型ホログラム形成用層の表面に形成し、像を記録するものである。このような像を記録する方法としては、従来の公知の方法を使用することができる。例えば、光学的な投影方式により、特定情報を有する微細な凹凸パターンからなる表面レリーフ型のマスター版を作製し、さらにマスター版から複製されたニッケル製のプレス版を使用する。このプレス版を加熱し、表面レリーフ型ホログラム形成用層に押し当てることにより、凹凸パターンを複製する、いわゆるエンボス法を用いることができる。
【0124】
上記マスター版を作製する際に、通常ホログラフィー露光装置に用いられるレーザー光はコヒーレンス性の優れた光(たとえば波長300nm〜1200nmの光)による露光によって、目的とする凹凸パターンを記録する。上記レーザー光としては、可視レーザー、例えばアルゴンイオンレーザー(458nm、488nm、514.5nm)、クリプトンイオンレーザー(647.1nm)、ヘリウム−ネオンレーザー(633nm)、YAGレーザー(532nm)等を使用することができる。
【0125】
また、表面レリーフ型ホログラム層が電離放射線硬化性樹脂を含有している場合は、凹凸形状を保持するため、エンボス時および/またはエンボス後に、紫外線等の電離放射線を照射し、硬化させる方法を用いることもできる。
【0126】
また、表面レリーフ型ホログラム層のガラス転移点温度が100℃以上であることが好ましい。これにより、表面レリーフ型ホログラム層に熱が加えられた場合であっても、安定なものとすることができ、表面レリーフ型ホログラム層を例えば熱転写法等により転写することが可能となるからである。
【0127】
B.ホログラム転写箔
次に、本発明のホログラム転写箔について説明する。
【0128】
本発明のホログラム転写箔は、基材フィルムと、上記基材フィルム上に形成された本発明のホログラム層と、上記ホログラム層上に形成された感熱性接着剤層とを有することを特徴とするものである。
【0129】
上記のホログラム転写箔は、本発明のホログラム層を有するものであり、上述したように屈折率が、通常用いられるホログラム層の形成材料である樹脂と比較して高い微粒子をホログラム層に含有させることにより、ホログラム層の屈折率を調整することが可能となり、再生波長を制御することが可能となる。また、ホログラム層の屈折率の調整が、ホログラム層の形成材料である樹脂を変更するのではなく、種々の屈折率を有する微粒子を選択して添加することにより行うものであるため、ホログラムの設計の自由度が高くなるという利点を有する。さらに、ホログラム層に微粒子を含有させることにより、ホログラム層に脆性が付与されるため、ホログラムを被着体に付着させる際の箔切れ性が向上する利点も有する。
【0130】
本発明のホログラム転写箔は、例えば図1に示すように、基材フィルム1と、その基材フィルム1上に形成されたホログラム層2と、そのホログラム層2上に形成された感熱性接着剤層3とを有するものである。
【0131】
本発明のホログラム転写箔は、上記感熱性接着剤と被着体とを接触させて、基材フィルム側から熱をかけることにより、感熱性接着剤によりホログラム層と被着体とを接着することができ、被着体上にホログラム層を転写することができるのである。この際本発明によれば、上述した箔切れ性の良好な上記ホログラム層を有することから、目的とする部分のみ、ホログラム層を被着体に転写することが可能となり、様々な用途に用いることが可能なホログラム転写箔とすることができるのである。
【0132】
このような転写は、例えば図2に示すように、ホログラムを転写する被着体6の表面に、上記感熱性接着剤層3が接するように重ね合わせ、上記基材フィルム側からホログラムを転写する部分に、例えば加熱可能な金型7等で加熱・加圧して、上記感熱性接着剤層3を溶融接着させ、その後基材フィルム1を剥離することによって行うことができる。
【0133】
本発明においては、上記ホログラム層は体積型ホログラム層であっても、表面レリーフ型ホログラム層であってもよい。ここで、ホログラム層に関しては、上述した「A.ホログラム層」に記載したものと同様であるので説明は省略する。以下、ホログラム転写箔の他の構成について説明する。
【0134】
1.基材フィルム
本発明に用いられる基材フィルムは、上述したホログラム層が形成されるものであり、ホログラム層を被着体に転写する際には、この基材フィルム側から熱転写が行われるものである。したがって、上記ホログラム層が形成可能であり、かつ熱転写の際に加わる熱や圧力に対して耐性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えばポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリフッ化エチレン系フィルム、ポリフッ化ビニリデンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリアミドフィルム、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム等の透明樹脂フィルムを用いることができる。
【0135】
また、このような基材フィルムの厚さとしては、ホログラム転写箔の用途や種類等に応じて適宜選択されるものであるが、通常2μm〜200μm、好ましくは10μm〜50μmの範囲内とされる。
【0136】
2.感熱性接着剤層
次に、本発明に用いられる感熱性接着剤層について説明する。本発明に用いられる感熱性接着剤層は、ホログラム転写箔の基材フィルムと反対側の表面に形成される層であり、ホログラム層を熱転写により被着体上に転写する際に密着させて加熱等することにより、ホログラム層と被着体とを接着する層である。
【0137】
このような感熱性接着剤層としては、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−イソブチルアクリレート共重合樹脂、ブチラール樹脂、ポリ酢酸ビニルおよびその共重合体樹脂、セルロース系樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、スチレンブタジエンスチレンブロック共重合体(SBS)、スチレンイソプレンスチレンブロック共重合体(SIS)、スチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレンエチレンプロピレンスチレンブロック共重合体(SEPS)等の熱可塑性樹脂を用いることができる。上記の中でも、180℃以下の温度でヒートシール可能な層であることが好ましく、さらにエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)の酢酸含量25%以上のものを用いることが好ましい。また、上記樹脂に、必要に応じて感熱性接着剤層が着色されたものであってもよい。
【0138】
3.ホログラム転写箔
次に、本発明のホログラム転写箔について説明する。本発明のホログラム転写箔は、上記ホログラム層と、上記基材フィルムと、上記感熱性接着剤層とを有するものであって、上記基材フィルム上にホログラム層が形成され、上記ホログラム層上に感熱性接着剤層が形成されているものであれば、その構成等は特に限定されるものではなく、上記の層以外に例えば、図3に示すように、基材フィルム1と、その基材フィルム1上に形成された剥離層4と、その剥離層4上に形成されたホログラム層2と、そのホログラム層2上に形成された感熱性接着剤層3とを有するものであってもよく、またさらに、例えば図4に示すように、基材フィルム1と、その基材フィルム1上に形成されたホログラム層2と、そのホログラム層2上に形成された反射層5と、その反射層5上に形成された感熱性接着剤層3とを有するものであってもよい。
【0139】
上記剥離層とは、ホログラム転写箔を用いて、被着体上にホログラム層を転写する際に、上記基材フィルムと上記ホログラム層とを剥離を容易に行うことを可能とする層であり、例えばアクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、シリコーン樹脂、塩化ゴム、カゼイン、各種界面活性剤、金属酸化物等から、1種または2種以上を混合したもの等を用いることができる。上記の中でも、分子量20000〜100000程度のアクリル系樹脂単独、またはアクリル系樹脂と分子量8000〜20000の塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂とからなり、さらに添加剤として分子量1000〜5000のポリエステル樹脂が1〜5重量%含有する組成物からなることが特に好ましい
また、本発明においては特に、上記基材フィルムと上記ホログラム層との間の剥離力が1〜5g/インチ(90°剥離)となるようなものであることが好ましい。また、その厚みは剥離力、箔切れ等の面から、0.1μm〜2μmの範囲内であることが好ましい。
【0140】
また、反射層としては、上記感熱性接着剤層とホログラム層との間に形成されるものであり、この反射層に光を反射する例えば金属薄膜等を用いると、不透明タイプのホログラムとなり、ホログラム層と屈折率差がある透明な物質を用いた場合には、透明タイプのホログラムとなるがいずれも本発明に用いることが可能である。このような反射層は、昇華、真空蒸着、スパッタリング、反応性スパッタリング、イオンプレーティング、電気めっき等の公知の方法により形成することが可能である。
【0141】
また、不透明タイプのホログラムを形成する金属薄膜としては、例えば、Cr、Ti、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、Au、Ge、Al、Mg、Sb、Pb、Pd、Cd、Bi、Sn、Se、In、Ga、Rb等の金属およびその酸化物、窒化物等を単独若しくは2種類以上組み合わせて形成される薄膜が挙げられる。上記金属薄膜の中でもAl、Cr、Ni、Ag、Au等が特に好ましく、その膜厚は1〜10,000nm、中でも20〜200nmの範囲であることが好ましい。
【0142】
一方、透明タイプのホログラムを形成する薄膜としては、ホログラム効果を発現できる光透過性のものであれば、いかなる材質のものも使用できる。例えば、体積型ホログラム用樹脂組成物および表面レリーフ型ホログラム用樹脂組成物に含まれる樹脂と、屈折率の異なる透明材料が挙げられる。この場合の屈折率は、ホログラム用樹脂組成物に含まれる樹脂の屈折率より大きくても、小さくてもよいが、屈折率の差は0.1以上が好ましく、より好ましくは0.5以上であり、1.0以上が最適である。また、上記以外では20nm以下の金属性反射膜が挙げられ、好適に使用される透明タイプ反射層としては、酸化チタン(TiO )、硫化亜鉛(ZnS)、Cu・Al複合金属酸化物等が挙げられる。
【0143】
さらに、本発明においては、上記剥離層とホログラム層との間、ホログラム層と感熱性接着剤層との間のいずれかもしくは双方にバリア層を設けることもできる。本発明の製造手段に使用するホログラム用樹脂組成物や剥離層ならびに感熱性接着剤層の組み合わせによっては、経時的に体積型ホログラム層から他の層への低分子量成分の移行が起こり、これに起因して記録されたホログラムのピーク波長が青側(短波長側)に移行したり、剥離層等にこれが移行した場合にはその剥離性を変化させたりする場合がある。上記のようなバリア層を設けることによって、これらの阻害要因を解消することができるのである。
【0144】
このようなバリア層として用いる材料としては、そのバリア性を発現する材料であれば、特に制限はないが、通常、透明性有機樹脂材料を用いることによってその目的を達成することができる。中でも、無溶剤系の3官能以上、好ましくは6官能以上の、紫外線や電子線等の電離放射線に反応する電離放射線硬化性エポキシ変性アクリレート樹脂、ウレタン変性アクリレート樹脂、アクリル変性ポリエステル樹脂等を用いることができる。特に、その中でもウレタン変性アクリレート樹脂がそのバリア性の高さから好ましく用いられる。
【0145】
また、これらの電離放射線硬化性樹脂としては、そのコーティング適正、最終的に得られるバリア層の硬度等を考慮すると、その分子量は500〜2000の範囲のものが好ましく用いられる。また、バリア層のコーティングは基本的に無溶剤系であるため、ホログラム層、剥離層、感熱性接着剤層のどの層にも積層形成することができる。
【0146】
また、各層の密着性が弱い場合には、密着向上層等が形成されたものであってもよい。
【0147】
上述したような本発明のホログラム転写箔は、上記基材フィルム、ホログラム層、および感熱性接着剤層を、それぞれ順次積層して製造されるものであってもよいが、各部材をそれぞれ独立の工程によって準備し、これらを積層することによって製造されるものであってもよい。
【0148】
例えば、像を記録したホログラム層、剥離層を形成した基材フィルム、および感熱性接着剤層を準備し、これらを積層する方法等が挙げられる。各部材をそれぞれ独立の工程によって準備する場合には、例えば基材フィルム上に剥離層等をドライプロセス等により形成することが可能となり、様々な材料を用いることや、製造効率等の面から好ましいものとすることができる。
【0149】
また例えば、上記基材フィルム(剥離層が形成されていてもよい)上に体積型ホログラム層を形成した後、体積型ホログラム層に像を記録した部材と、感熱性接着剤層とを準備し、これらを積層するもの等であってもよい。この場合、上述した体積型ホログラム層を形成する組成物を支持体上に塗布し、例えばレーザー等を照射することにより、ラジカル重合性化合物を重合させて像を記録し、上記基材フィルムと積層する。その後、上記体積型ホログラム用樹脂組成物全面に照射することにより、像が記録された体積型ホログラム層と上記基材フィルムとが積層された部材を形成する。続いて、上記支持体を剥離して、感熱性接着剤を例えば100℃〜180℃に加熱しながら積層する方法等とすることができる。
【0150】
ここで、上述した本発明の体積型ホログラム積層体は、例えばプラスチックカード、携帯電話、金券、日用品またはCD−ROMのパッケージなどに適用可能である。
【0151】
また、本発明においては、上記基材フィルムと上記ホログラム層との層間接着力を制御する方法も包含する。
【0152】
すなわち、上記のホログラム転写箔の層構成において剥離層を有する場合には、剥離層と基材フィルムとの間の層間接着力Aと剥離層とホログラム層との間の層間接着力Bと、ホログラム層と感熱性接着剤層との間の層間接着力Cの相対関係ならびにBの値が、下記の関係を満足することが望ましい。
層間接着力: C≧B>A
B値: 600gf/インチ 。
【0153】
C.体積型ホログラム用樹脂組成物
次に、本発明の体積型ホログラム用樹脂組成物について説明する。
【0154】
本発明の体積型ホログラム用樹脂組成物は、少なくとも1種の光重合性化合物と、光重合開始剤と、屈折率が1.59以上の微粒子とを有することを特徴とするものである。
【0155】
上記構成の体積型ホログラム用樹脂組成物を用いて体積型ホログラム層を形成する場合、通常用いられている体積型ホログラム層の形成材料である樹脂と比較して屈折率が高い微粒子を有することにより、体積型ホログラム層の屈折率を調整することが可能となり、再生波長を制御することが可能となる。また、体積型ホログラム層の屈折率の調整が、体積型ホログラム層の形成材料である樹脂を変更するのではなく、種々の屈折率を有する微粒子を選択して添加することにより行うものであるため、ホログラムの設計の自由度が高くなるという利点を有する。
【0156】
また、本発明においては、体積型ホログラム用樹脂組成物が増感色素を有することが好ましい。体積型ホログラム用樹脂組成物に含まれる光重合性化合物および光重合開始剤は、紫外線に活性であるものが多いが、増感色素を添加することにより可視光にも活性となり、可視レーザー光を用いて干渉縞を記録することが可能となるからである。
【0157】
さらに、本発明においては、体積型ホログラム用樹脂組成物がバインダ樹脂を有することが好ましい。上記構成の体積型ホログラム用樹脂組成物を用いて体積型ホログラム層を形成する場合、バインダ樹脂を添加することにより、成膜性、膜厚の均一性を向上させることができ、記録された干渉縞を安定に存在させることができるからである。
【0158】
なお、光重合性化合物、光重合開始剤、微粒子、増感色素、およびバインダ樹脂に関しては、上述した「A.ホログラム層」の体積型ホログラム層の欄に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0159】
D.表面レリーフ型ホログラム用樹脂組成物
次に、本発明の表面レリーフ型ホログラム用樹脂組成物について説明する。
【0160】
本発明の表面レリーフ型ホログラム用樹脂組成物は、樹脂材料と、屈折率が1.59以上の微粒子とを有することを特徴とするものである。
【0161】
上記構成の表面レリーフ型ホログラム用樹脂組成物を用いて表面レリーフ型ホログラム層を形成する場合、通常用いられている表面レリーフ型ホログラム層の形成材料である樹脂と比較して屈折率が高い微粒子を有することにより、表面レリーフ型ホログラム層の屈折率を調整することが可能となり、再生波長を制御することが可能となる。また、表面レリーフ型ホログラム層の屈折率の調整が、表面レリーフ型ホログラム層の形成材料である樹脂を変更するのではなく、種々の屈折率を有する微粒子を選択して添加することにより行うものであるため、ホログラムの設計の自由度が高くなるという利点を有する。
【0162】
さらに、本発明においては、上記微粒子の屈折率が、表面レリーフ型ホログラム用樹脂組成物に含まれる他の成分の屈折率よりも大きいことが好ましい。表面レリーフ型ホログラム用樹脂組成物に、干渉縞情報が記録されたマスタースタンパーの凹凸を賦型した後、この樹脂組成物を硬化させることにより、表面レリーフ型ホログラム層が形成されるものである。よって、樹脂組成物の硬化に伴い、体積収縮が生じて賦型された凹凸の高さや間隔が小さくなるため、記録波長よりも再生波長が短波長になってしまい、ずれが生じて色調が変化する可能性がある。本発明では、他の成分よりも大きい屈折率を有する微粒子を含有させることにより、表面レリーフ型ホログラム層の屈折率を高くすることができ、再生波長を高波長側にシフトさせることが可能となり、再生波長のずれを補正することが可能となるからである。また、微粒子自体は収縮しないため、樹脂組成物の硬化による体積収縮を抑制することができるからである。なお、ここでいう他の成分とは、表面レリーフ型ホログラム用樹脂組成物に含まれる樹脂材料および添加剤等を意味するものである。
【0163】
ここで、樹脂材料、微粒子、および添加剤に関しては、上述した「A.ホログラム層」の表面レリーフ型ホログラム層の欄に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0164】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0165】
【実施例】
以下、本発明について実施例を用いて具体的に説明する。
【0166】
[実施例1]
下記組成からなる体積型ホログラム用樹脂組成物を調製した。
【0167】
ポリ酢酸ビニル(平均重量分子量20万):100重量部
9,9−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)フルオレン:80重量部
1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル:70重量部
ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート:5重量部
3,9−ジエチル−3´−カルボキシメチル−2,2´−チアカルボシアニンヨードニウム塩:1重量部
ジルコニア微粒子(平均粒径50nm、屈折率2.1):30重量部
1−ブタノール:30重量部
メチルエチルケトン:30重量部
上記組成物を50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ製ルミラーT60)上に、乾燥後の膜厚が10μmとなるように塗布して体積型ホログラム形成用層を得た。この体積型ホログラム形成用層をミラー原版に密着させ、アルゴンイオンレーザー光(波長514.5nm)をPETフィルム側から入射し、体積型ホログラムを記録した。さらに、加熱、紫外線定着露光により固定化されたホログラムを得た。
【0168】
得られたホログラムの分光透過率曲線を分光光度計(島津製作所製UV−PC3100)により測定し、回折ピーク中心波長=再生波長を解析したところ、514nmとなり、記録波長とほぼ一致した色再現性を有するホログラムを得ることができた。
【0169】
[実施例2]
実施例1において、ジルコニア微粒子の代わりにポリスチレン微粒子(平均粒径400nm、屈折率1.59)を使用した以外は、同様にして体積型ホログラムを作製した。その結果、再生波長は510nmとなり、記録波長とほぼ一致した色再現性を有するホログラムを得ることができた。
【0170】
[実施例3]
下記組成からなる表面レリーフ型ホログラム用樹脂組成物を調製した。
【0171】
ウレタン変性アクリレート樹脂(特開2000−272295号公報記載):100重量部
トリメチルシロキケイ酸含有メチルポリシロキサン:1重量部
トリメチロールプロパントリアクリレート:10重量部
ポリエステルアクリレート:10重量部
2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン:5重量部
ジルコニア微粒子(平均粒径50nm、屈折率2.1):30重量部
トルエン:30重量部
メチルエチルケトン:30重量部
上記組成物を50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ製ルミラーT60)上に、乾燥後の膜厚が3μmとなるように塗布して表面レリーフ型ホログラム形成用層を得た。500nmの凹凸スタンパーに上記表面レリーフ型ホログラム形成用層を圧着し、スタンパーから剥離した後、紫外線定着露光を行った。得られたホログラム表面を原子間力顕微鏡で観察したところ、凹凸ピッチは497nmとなり、元のスタンパーの凹凸ピッチが良好に再現されたホログラムを得ることができた。
【0172】
[実施例4]
実施例3において、ジルコニア微粒子の代わりにポリスチレン微粒子(平均粒径400nm、屈折率1.59)を使用した以外は、同様にして表面レリーフ型ホログラムを作製した。得られたホログラムの凹凸ピッチは495nmとなり、元のスタンパーの凹凸ピッチが良好に再現されたホログラムを得ることができた。
【0173】
[比較例1]
実施例1において、ジルコニア微粒子を含有させなかった以外は、同様にして体積型ホログラムを作製した。その結果、再生波長は502nmとなり、記録波長より10nm以上短波長シフトした。
【0174】
[比較例2]
実施例3において、ジルコニア微粒子を含有させなかった以外は、同様にして表面レリーフ型ホログラムを作製した。得られたホログラムの凹凸ピッチは460nmとなり、元のスタンパーの凹凸ピッチに対して40nmずれていた。
【0175】
[比較例3]
実施例1において、ジルコニア微粒子の代わりにアクリル微粒子(平均粒径300nm、屈折率1.51)を使用した以外は、同様にして体積型ホログラムを作製した。その結果、再生波長は505nmとなり、記録波長より約10nm短波長シフトした。
【0176】
[比較例4]
実施例3において、ジルコニア微粒子の代わりにアクリル微粒子(平均粒径300nm、屈折率1.51)を使用した以外は、同様にして表面レリーフ型ホログラムを作製した。得られたホログラムの凹凸ピッチは473nmとなり、元のスタンパーの凹凸ピッチに対して約25nmずれていた。
【0177】
[実施例5〜8]
実施例1〜4のホログラム層を使用し、下記方法によりホログラム転写箔を作製した。
【0178】
(剥離層/PETの作製)
下記組成からなる剥離層形成材料を、25μm厚のPETフィルム(東レ製ルミラー60T)上に、乾燥後の膜厚が1μmとなるように塗布し、剥離層/PETを作製した。
【0179】
ポリメチルメタクリレート(平均重量分子量3万5千):97重量部
ポリエチレンワックス(平均重量分子量1万):3重量部
ポリエステル(平均重量分子量1500):0.3重量部
メチルエチルケトン:200重量部
トルエン:200重量部 。
【0180】
(感熱性接着剤層/離型処理PETの作製)
下記材料からなる感熱性接着剤層形成材料を、38μm厚の離型処理PETフィルム(東セロ製SP−PET)上に、乾燥後の膜厚が3μmとなるように塗布し、感熱性接着剤層/離型処理PETを作製した。
【0181】
エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂溶液(東洋モートン製AD1790−15)。
【0182】
(ホログラム転写箔の作製)
ミラー原版もしくは凹凸スタンパーから剥がしたホログラム面に、剥離層/PETの剥離層面を80℃でラミネートし、PET/剥離層/ホログラム層/PETからなる積層体を得た。次いで、ホログラム層に積層されているPETを剥がし、ホログラム面に、感熱性接着剤層/離型処理PETの感熱性接着剤層面を130℃でラミネートし、さらに離型処理PETを剥がすことにより、PET/剥離層/ホログラム層/感熱性接着剤層からなるホログラム転写箔を得た。
【0183】
(転写性評価)
被着体とした塩化ビニルカードに、得られたホログラム転写箔の感熱性接着剤層面を合わせ、PET側から、150℃に加熱した金型を押し当て、ホログラムを転写した結果、いずれも良好な転写性を示した。
【0184】
[比較例5、6]
比較例1、2のホログラム層(微粒子添加なし)を使用し、実施例5〜8と同様にしてホログラム転写箔を作製した。転写性の評価を行ったところ、箔切れが悪くバリが発生し、良好に転写することができなかった。
【0185】
【発明の効果】
本発明によれば、ホログラム層が、屈折率が1.59以上の微粒子を含有することにより、通常用いられているホログラム層の形成材料である樹脂と比較して屈折率が高い微粒子を有するため、ホログラム層の屈折率を調整することが可能となり、再生波長を制御することが可能となる。また、ホログラム層の屈折率の調整が、ホログラム層の形成材料である樹脂を変更するのではなく、種々の屈折率を有する微粒子を選択して添加することにより行うものであるため、ホログラムの設計の自由度が高くなるという利点を有する。さらに、本発明のホログラム層を用いてホログラム転写箔を形成した場合、ホログラム層に微粒子を含有させることにより、ホログラム層に脆性が付与されるため、ホログラムを被着体に付着させる際の箔切れ性が向上する利点も有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のホログラム転写箔の一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明のホログラム転写箔の転写の一例を示す概略断面図である。
【図3】本発明のホログラム転写箔の他の例を示す概略断面図である。
【図4】本発明のホログラム転写箔の他の例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 … 基材フィルム
2 … ホログラム層
3 … 感熱性接着剤層
4 … 剥離層
5 … 反射層
6 … 被着体
7 … 金型

Claims (8)

  1. 屈折率が1.59以上の微粒子を含有することを特徴とするホログラム層。
  2. 前記ホログラム層に記録されたホログラムの再生波長が、記録波長に対して±5nmの範囲であることを特徴とする請求項1に記載のホログラム層。
  3. 基材フィルムと、前記基材フィルム上に形成された請求項1または請求項2に記載のホログラム層と、前記ホログラム層上に形成された感熱性接着剤層とを有することを特徴とするホログラム転写箔。
  4. 少なくとも1種の光重合性化合物と、光重合開始剤と、屈折率が1.59以上の微粒子とを有することを特徴とする体積型ホログラム用樹脂組成物。
  5. 前記体積型ホログラム用樹脂組成物が、増感色素を有することを特徴とする請求項4に記載の体積型ホログラム用樹脂組成物。
  6. 前記体積型ホログラム用樹脂組成物が、バインダ樹脂を有することを特徴とする請求項4または請求項5に記載の体積型ホログラム用樹脂組成物。
  7. 樹脂材料と、屈折率が1.59以上の微粒子とを有することを特徴とする表面レリーフ型ホログラム用樹脂組成物。
  8. 前記微粒子の屈折率が、前記表面レリーフ型ホログラム用樹脂組成物に含まれる他の成分の屈折率よりも大きいことを特徴とする請求項7に記載の表面レリーフ型ホログラム用樹脂組成物。
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