JP2005062757A - 体積型ホログラム用樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、耐熱性、形状安定性、箔切れ性等の物理的性質に優れ、明瞭な像を得ることができる体積型ホログラム用樹脂組成物および体積型ホログラム層を提供することを主目的とするものである。
【解決手段】 上記目的を達成するために、本発明は、少なくとも1種の光重合性化合物と、光重合開始剤と、無機金属系微粒子とを有する体積型ホログラム用樹脂組成物であって、上記無機金属系微粒子の平均粒径が、ホログラムの記録波長より小さいことを特徴とする体積型ホログラム用樹脂組成物を提供する。
【選択図】 無し

Description

本発明は、耐熱性、形状安定性、箔切れ性等の物理的性質に優れ、明瞭な像を得ることができる体積型ホログラム用樹脂組成物、体積型ホログラム層およびホログラム転写箔に関するものである。
ホログラムは、波長の等しい二つの光(物体光と参照光)を干渉させて物体光の波面を干渉縞として感光材料に記録したものである。このホログラムに元の参照光と同一条件の光を当てると干渉縞による回折現象が生じ、元の物体光と同一の波面が再生できる。ホログラムは、レーザー光またはコヒーレンス性の優れた光の干渉によって生じる干渉縞の記録形態により、いくつかの種類(表面レリーフ型ホログラム、体積型ホログラム等)に分類される。
ここで、上記ホログラムは、その同一意匠の複製が困難である特性を利用してセキュリティ用途に多く使用されている。この用途においては、ホログラム形成層表面に微細な凹凸が賦型されることにより干渉縞が記録される表面レリーフ型ホログラムが一般的に使用されている。しかしながら、近年、ホログラム技術の普及および偽造技術の高度化により、表面レリーフ型ホログラムの模倣複製が可能となり、セキュリティ用途への適用が困難となっている。
一方、体積型ホログラムは、光の干渉によって生じる干渉縞を、屈折率の異なる縞として感光材料の厚み方向に3次元的に記録することにより作製される。この体積型ホログラムは、現在広く使用されている表面レリーフ型ホログラムとは製造方法が異なり、視覚効果も全く異なるため真偽判断が容易である。また、製造設備が高価であり、意匠の模倣に至っては高度な設計技術を要するため、偽造を目的としたホログラムの作製は極めて困難である。そのため、体積型ホログラムのセキュリティ用途での使用が求められている。
ここで、ホログラムを被着体に付着させるには、通常、基材フィルム、ホログラム層および感熱性接着剤層を含むホログラム転写箔等が用いられる。この場合、ホログラム転写箔における感熱性接着剤層と被着体とを接触させて、基材フィルム側から熱転写が行われる。
体積型ホログラムを製造するための感光材料としては、一般的に光重合性化合物、バインダー樹脂、光重合開始剤、および増感色素等を主成分としたフォトポリマーが用いられるが、このようなフォトポリマーはホログラム記録性能に優れるが、耐熱性、透明性に問題がある。また、フォトポリマーには、屈折率変調能を向上させるために非反応性の可塑剤等が通常用いられるため、作製されたホログラムは軟化し、それに伴い箔切れ性も劣るという問題もある。
特許文献1には、無機物質と光重合性有機モノマーとを有する材料系が開示されており、この材料系は無機材料をバインダーとして用いるため、耐熱性、耐環境性、機械強度に優れると共に、光重合性有機モノマーとの屈折率差を大きく取れるという利点を有する。しかしながら、この材料系で形成したホログラム層は脆く、柔軟性や加工適性、コーティング適性に劣り、無機バインダーと光重合性有機モノマーとの相溶性が悪いために、均一な塗工材料を調製することが困難であるという問題があった。
また、特許文献2には、固体マトリックスに金属超微粒子を分散した材料系が開示されているが、マトリックスに流動性を持たせる必要があり、固形性が悪いという問題があった。
さらに、特許文献3には、有機−無機ハイブリッドポリマーと有機金属微粒子とを有する材料系が開示されており、有機−無機ハイブリッドポリマーをバインダーとして用いるため、この材料系で形成されたホログラム層は、耐熱性、強靭性、柔軟性等の様々な物理的性質に優れている。しかしながら、明瞭な像を得ることができ、かつ転写性に優れた体積型ホログラム層とするまでには至っていない。
一方、表面レリーフ型ホログラムは、体積型ホログラムとはホログラムの記録方法や製造方法が異なるものであり、その形成材料も異なるものであるが、形状安定性を付与するために、表面レリーフ型ホログラムの形成材料として光重合性官能基を有するバインダー樹脂と無機超微粒子とを有する材料が開示されている(特許文献4)。しかしながら、特許文献4には体積型ホログラムの形成材料については述べられていない。
特許第2953200号公報 特表2000−508783号公報 特開2003−236440号公報 特開2003−82043号公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、耐熱性、形状安定性、箔切れ性等の物理的性質に優れ、明瞭な像を得ることができる体積型ホログラム用樹脂組成物および体積型ホログラム層を提供することを主目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明は、少なくとも1種の光重合性化合物と、光重合開始剤と、無機金属系微粒子とを有する体積型ホログラム用樹脂組成物であって、上記無機金属系微粒子の平均粒径が、ホログラムの記録波長より小さいことを特徴とする体積型ホログラム用樹脂組成物を提供する。
体積型ホログラムは干渉縞を屈折率変調として記録するものであるため、光重合性化合物と体積型ホログラム用樹脂組成物に含まれるその他の材料との屈折率差が大きいほど明瞭な像が得られるホログラムとなるものである。また一般的に、無機金属系微粒子と、通常体積型ホログラムに用いられる光重合性化合物が硬化してなる樹脂とは屈折率が大きく異なるため、無機金属系微粒子を含有することにより、明瞭な像を得ることが可能となる。さらに、一般的に体積型ホログラムに用いられる樹脂が有機化合物であるのに対し、本発明においては無機金属系微粒子を含有させるため、耐熱性、耐環境性、機械的強度等に優れるホログラムを得ることが可能となる。また、ホログラムの屈折率調整が、ホログラムの形成材料である樹脂を変更するのではなく、種々の屈折率を有する無機金属系微粒子を選択して添加することにより行うものであるため、ホログラムの設計の自由度が高くなるという利点を有する。さらに、本発明の体積型ホログラム用樹脂組成物を用いてなる体積型ホログラム層をホログラム転写箔に用いた場合、体積型ホログラム用樹脂組成物に無機金属系微粒子を含有させることにより、体積型ホログラム層に脆性が付与されるため、ホログラムを被着体に付着させる際の箔切れ性が向上する利点も有する。また、無機金属系微粒子の平均粒径がホログラムの記録波長より小さいことにより、ホログラムへの像形成に悪影響を及ぼすことなく、ホログラムを形成することが可能となる。
上記発明においては、上記体積型ホログラム用樹脂組成物が、増感色素を有することが好ましい。体積型ホログラム用樹脂組成物に含まれる光重合性化合物および光重合開始剤は、紫外線に活性であるものが多いが、増感色素を添加することにより可視光にも活性となり、可視レーザー光を用いて干渉縞を記録することが可能となるからである。
また、上記発明においては、上記体積型ホログラム用樹脂組成物が、バインダー樹脂を有することが好ましい。上記構成の体積型ホログラム用樹脂組成物を用いて体積型ホログラム層を形成する場合、バインダー樹脂を添加することにより、成膜性、膜厚の均一性を向上させることができ、記録された干渉縞を安定に存在させることができるからである。
本発明はまた、上記発明の体積型ホログラム用樹脂組成物を用いて形成される体積型ホログラム層であって、上記体積型ホログラム層のガラス転移温度が100℃以上であることを特徴とする体積型ホログラム層を提供する。
体積型ホログラム層のガラス転移温度が上記範囲にあることにより、体積型ホログラム層に熱が加えられた場合であっても、安定なものとすることができ、体積型ホログラム層を例えば熱転写法等により転写することが可能となる。また、体積型ホログラム層が上記体積型ホログラム用樹脂組成物を用いて形成されることから、耐熱性、形状安定性、機械的強度、箔切れ性等の物理的性質に優れ、ホログラム像が明瞭である体積型ホログラム層とすることができる。
また、本発明は、上記発明の体積型ホログラム層と、基材フィルムと、感熱性接着剤層とを有するホログラム転写箔であって、上記基材フィルム上に上記体積型ホログラム層が形成され、上記体積型ホログラム層上に上記感熱性接着剤層が形成されていることを特徴とするホログラム転写箔を提供する。
本発明によれば、上記体積型ホログラム層を有することから、耐熱性、形状安定性、箔切れ性等の物理的性質に優れ、明瞭な像を得ることができ、箔切れが良好なホログラム転写箔とすることができ、様々な用途に用いることが可能なものとすることができるのである。
本発明において、体積型ホログラム用樹脂組成物が、少なくとも1種の光重合性化合物と、光重合開始剤と、無機金属系微粒子とを有しており、上記無機金属系微粒子の平均粒径がホログラムの記録波長より小さいことにより、明瞭な像を得ることが可能となり、さらに耐熱性、耐環境性、機械的強度等に優れるホログラムを得ることが可能となる。また、本発明の体積型ホログラム用樹脂組成物を用いてなる体積型ホログラム層をホログラム転写箔に用いた場合、体積型ホログラム用樹脂組成物に無機金属系微粒子を含有させることにより、体積型ホログラム層に脆性が付与されるため、ホログラムを被着体に付着させる際の箔切れ性が向上する利点も有する。
以下、本発明について、具体的に説明する。本発明は、体積型ホログラム用樹脂組成物、それを用いて形成される体積型ホログラム層およびホログラム転写箔を含むものである。以下、それぞれについて、項を分けて説明する。
A.体積型ホログラム用樹脂組成物
まず、本発明の体積型ホログラム用樹脂組成物について説明する。本発明の体積型ホログラム用樹脂組成物は、少なくとも1種の光重合性化合物と、光重合開始剤と、無機金属系微粒子とを有する体積型ホログラム用樹脂組成物であって、上記無機金属系微粒子の平均粒径が、ホログラムの記録波長より小さいことを特徴とするものである。
このような本発明の体積型ホログラム用樹脂組成物を用いて得られる体積型ホログラム層は、明瞭な像を得ることができるという利点を有する。これは、以下に説明する理由によるものである。
すなわち、例えば、少なくとも1種の光重合性化合物と光重合開始剤とからなる体積型ホログラム用樹脂組成物を用いた場合、まず干渉露光により光の明暗領域が形成される。この光の明部で光重合性化合物の重合が始まり、重合体が生成する。光の明部は光重合性化合物の重合体、光の暗部は体積型ホログラム用樹脂組成物のその他の材料が集まり、光重合性化合物と体積型ホログラム用樹脂組成物に含まれるその他の材料との屈折率差により干渉光の明暗が記録され、ホログラムが形成される。この際、光重合性化合物と体積型ホログラム用樹脂組成物に含まれるその他の材料との屈折率差が大きいほど明瞭な像が得られるホログラムとなる。
さらに、上記の体積型ホログラム用樹脂組成物に無機金属系微粒子が含有されている場合、光の明部で光重合性化合物の重合が始まると共に、暗部から光重合性化合物が拡散移動していき、代わりに光の明部から無機金属系微粒子が排除され光の暗部に移動する。最終的に光の明部は光重合性化合物の重合体、光の暗部は無機金属系微粒子がそれぞれ多く集まることとなる。一般的に、無機金属系微粒子と光重合性化合物が硬化してなる樹脂とは屈折率が大きく異なるため、最終的に得られた光の明暗領域において、明部と暗部との屈折率差は大きいものとなる。よって、本発明においては無機金属系微粒子を含有することにより、明瞭な像を得ることが可能となる。
また、通常体積型ホログラム用樹脂組成物に用いられる樹脂が有機化合物であるのに対し、本発明においては無機金属系微粒子を含有させるため、耐熱性、耐環境性、機械的強度等に優れるホログラムを得ることが可能となる。さらに、体積型ホログラム用樹脂組成物を用いて体積型ホログラム層を形成する場合、体積型ホログラム用樹脂組成物を硬化させるものであるが、この硬化の際に体積収縮が生じるという不具合が起こる場合がある。無機金属系微粒子自体は収縮するものではないため、本発明においては、無機金属系微粒子が体積収縮を抑制することにより、ホログラムの形状安定性に優れるという利点も有する。さらにまた、本発明の体積型ホログラム用樹脂組成物を用いて形成される体積型ホログラム層をホログラム転写箔に用いた場合、体積型ホログラム用樹脂組成物に無機金属系微粒子を含有させることにより、体積型ホログラム層に脆性が付与されるため、ホログラムを被着体に付着させる際の箔切れ性が向上する利点も有する。
また、ホログラムの屈折率調整が、ホログラムの形成材料である樹脂を変更するのではなく、種々の屈折率を有する無機金属系微粒子を選択して添加することにより行うものであるため、ホログラムの設計の自由度が高くなるという利点も有する。さらに、無機金属系微粒子の平均粒径がホログラムの記録波長より小さいことにより、ホログラムへの像形成に悪影響を及ぼすことなく、ホログラムを形成することが可能となる。
以下、このような体積型ホログラム用樹脂材料の各構成について説明する。
1.無機金属系微粒子
まず、本発明に用いられる無機金属系微粒子について説明する。本発明における無機金属系微粒子は、その平均粒径がホログラムの記録波長より小さいことを特徴とするものである。本発明によれば、無機金属系微粒子の平均粒径がホログラムの記録波長より小さいことにより、ホログラムへの像形成に悪影響を及ぼすことなく、上述した利点を有するホログラムを形成することが可能となる。これは、以下に説明する理由によるものである。
すなわち、例えば、少なくとも1種の光重合性化合物と光重合開始剤と無機金属系微粒子とを有する体積型ホログラム用樹脂組成物を用いて体積型ホログラムを形成する場合、上述したように、まず干渉露光により光の明暗領域が形成され、光の明部で光重合性化合物の重合が始まると共に、暗部から光重合性化合物が拡散移動していき、代わりに光の明部から無機金属系微粒子が排除され光の暗部に移動する。最終的に光の明部は光重合性化合物の重合体、光の暗部は無機金属系微粒子がそれぞれ多く集まることとなる。一般的に光重合性化合物が硬化してなる樹脂の屈折率が約1.5であるのに対し、無機金属系微粒子の屈折率は上記値より高いまたは低いものであるため、最終的に得られた光の明暗領域において、明部と暗部との屈折率差は大きいものとなる。よって、本発明においては無機金属系微粒子を含有することにより、明瞭な像を得ることが可能となる。
また、本発明において、体積型ホログラム用樹脂組成物に無機金属系微粒子を含有させることにより、上述したように耐熱性、耐環境性、機械的強度、形状安定性、箔切れ性等に優れるホログラムを形成することが可能となる。
本発明に用いられる無機金属系微粒子とは、無機金属単体、もしくはその酸化物、硫化物、フッ化物等である。
また、本発明において、無機金属系微粒子は、屈折率が1.47以下である低屈折率微粒子または1.53以上である高屈折率微粒子であることが好ましい。通常、体積型ホログラム用樹脂組成物を用いてなる樹脂の屈折率が約1.5であることから、無機金属系微粒子の屈折率が上記範囲であれば樹脂との屈折率差が大きくなり、明瞭な像を得ることが可能となるからである。
上記低屈折率微粒子の屈折率としては、1.47以下、好ましくは1.4以下である。なお、低屈折率微粒子の屈折率の下限としては、低ければ低いほどよいが、一般的に1.25以上のものが用いられる。このような低屈折率微粒子としては、例えばCaF(1.26)、AlF(1.33〜1.39)、MgF(1.38)、SiO(1.46)、LiF(1.36〜1.37)、NaF(1.32〜1.34)、ThF(1.45)、3NaF・AlF(1.4)、NaAlF(1.33)、SiO(シリカゾル、ただし1.50<X<2.0)(1.35〜1.47)等を挙げることができる。また、低屈折率微粒子は1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、括弧内の数字は各々の屈折率を示す。
また、上記高屈折率微粒子の屈折率としては、1.53以上、好ましくは1.6以上、より好ましくは2.0以上である。なお、高屈折率微粒子の屈折率の上限としては、高ければ高いほどよいが、一般的に3.0以下のものが用いられる。このような高屈折率微粒子としては、例えばAl(1.62)、Sb(1.7)、Y(1.82)、SnO(1.9)、La(1.95)、In(2.0)、ZrO(2.1)、CeO(2.2)、TiO(2.2〜2.7)等を挙げることができる。また、高屈折率微粒子は1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、括弧内の数字は各々の屈折率を示す。
本発明においては、上述したように、上記無機金属系微粒子の平均粒径が、ホログラム像を記録する際に用いられるレーザー光等の波長(記録波長)より小さいものである。上記無機金属系微粒子の平均粒径が記録波長より大きい場合には、ホログラムへの像形成に悪影響を及ぼす場合があるからである。ここで、例えばカラーホログラムを作製する際には、使用する記録波長の中で最も短い波長より小さい粒径の無機金属系微粒子を選択することになる。よって、使用する記録波長により無機金属系微粒子の粒径を適宜選択して用いればよいものである。
具体的な無機金属系微粒子の平均粒径としては、50nm〜700nm、中でも50nm〜400nmの範囲内であることが好ましい。上記無機金属系微粒子の平均粒径が、上述した範囲より小さいものは製造が難しく、さらに本発明の体積型ホログラム用樹脂組成物を用いて体積型ホログラム層を形成した場合に脆性を付与することが困難となり、また無機金属系微粒子の平均粒径が上述した範囲より大きい場合には、ホログラムへの像形成に悪影響を及ぼす場合があるからである。
ここで、平均粒径とは、一般に粒子の粒度を示すために用いられるものであり、本発明においては、レーザー法により測定した値である。レーザー法とは、粒子を溶媒中に分散し、その分散溶媒にレーザー光線を当てて得られた散乱光を細くし、演算することにより、平均粒径、粒度分布等を測定する方法である。上記平均粒径は、レーザー法による粒径測定機として、リーズ&ノースラップ(Leeds & Northrup)社製 粒度分析計 マイクロトラックUPA Model-9230を使用して測定した値である。
上記無機金属系微粒子は、体積型ホログラム用樹脂組成物中に、1〜30重量%の範囲内、好ましくは5〜20重量%の範囲内で含有させるとよい。無機金属系微粒子の含有量が上述した範囲未満であると、本発明の体積型ホログラム用樹脂組成物中を用いて形成した体積型ホログラム層の屈折率を十分に調整することができず、またこの体積型ホログラム層をホログラム転写箔に用いた場合に十分な脆性を付与することができない可能性があるからである。一方、無機金属系微粒子の含有量が上述した範囲を超えて多いと、体積型ホログラム層の強度や透明性を保つことが困難となる場合があるからである。
2.光重合性化合物
次に、本発明に用いられる光重合性化合物について説明する。本発明における光重合性化合物としては、光ラジカル重合性化合物であってもよく、光カチオン重合性化合物であってもよい。以下、光ラジカル重合性化合物および光カチオン重合性化合物に分けて説明する。
a.光ラジカル重合性化合物
本発明に用いられる光ラジカル重合性化合物としては、本発明の体積型ホログラム用樹脂組成物を用いて体積型ホログラムを形成する際に、例えばレーザー照射等によって、後述する光ラジカル重合開始剤から発生した活性ラジカルの作用により重合する化合物であれば、特に限定されるものではないが、少なくとも一つの付加重合可能なエチレン性不飽和二重結合を持つ化合物を使用することができる。例えば、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸塩、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド結合物等を挙げることができる。上記不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステルのモノマーの具体例を以下に示す。
アクリル酸エステルとしては、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー、2−フェノキシエチルアクリレート、フェノールエトキシレートモノアクリレート、2−(p−クロロフェノキシ)エチルアクリレート、p−クロロフェニルアクリレート、フェニルアクリレート、2−フェニルエチルアクリレート、ビスフェノールAの(2−アクリルオキシエチル)エーテル、エトキシ化されたビスフェノールAジアクリレート、2−(1−ナフチルオキシ)エチルアクリレート、o−ビフェニルアクリレート、9,9−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アクリロキシトリエトキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アクリロキシジプロポキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アクリロキシエトキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アクリロキシエトキシ−3−エチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アクリロキシエトキシ−3,5−ジメチル)フルオレン等が例示される。
また、特開昭61−72748号公報に開示されている硫黄含有アクリル化合物を使用することもできる。例えば、4,4´−ビス(β−アクリロイルオキシエチルチオ)ジフェニルスルホン、4,4´−ビス(β−アクリロイルオキシエチルチオ)ジフェニルケトン、4,4´−ビス(β−アクリロイルオキシエチルチオ)3,3´,5,5´−テトラブロモジフェニルケトン、2,4−ビス(β−アクリロイルオキシエチルチオ)ジフェニルケトン等が挙げられる。
さらに、メタクリル酸エステルとしては、上述したアクリル酸エステルに例示される化合物名のうち、「アクリレート」が「メタクリレート」に、「アクリロキシ」が「メタクリロキシ」に、および「アクリロイル」が「メタクリロイル」に変換された化合物が例示される。
また、上記光ラジカル重合性化合物は、1種または2種以上を組み合わせて用いてもよいものである。
b.光カチオン重合性化合物
本発明に用いられる光カチオン重合性化合物は、エネルギー照射を受け、後述する光カチオン重合開始剤の分解により発生したブレンステッド酸あるいはルイス酸によってカチオン重合する化合物である。例えば、エポキシ環やオキセタン環等の環状エーテル類、チオエーテル類、ビニルエーテル類等を挙げることができる。
上記エポキシ環を含有する化合物としては、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ジグリセロールトリグリシジルエーテル、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、シクロヘキセンオキシド等が例示される。
また、上記光カチオン重合性化合物は、1種または2種以上を組み合わせて用いてもよいものである。
さらに、上記の光ラジカル重合性化合物および光カチオン重合性化合物は、1種または2種以上を組み合わせて用いてもよいものである。
ここで、本発明の体積型ホログラム用樹脂組成物を用いて体積型ホログラムを形成する際に、例えば目的とする像の形状にレーザーを照射して、光ラジカル重合性化合物を重合させた後、全面にエネルギーを照射することにより、光カチオン重合性化合物等の未硬化の物質を重合させることによって行われる。なお、像を形成する際のレーザー等と、全面にエネルギー照射されるエネルギーとは、通常異なる波長のものが用いられ、本発明に用いられる光カチオン重合性化合物は、像を形成する例えばレーザー等によって重合しない化合物であることが好ましい。
また、このような光カチオン重合性化合物は、上記光ラジカル重合性化合物の重合が、比較的低粘度の組成物中で行われることが好ましいという点から、常温で液状であることが好ましい。
c.その他
本発明に用いられる光重合性化合物は、後述するバインダー樹脂100重量部に対して10〜1000重量部、好ましくは10〜300重量部の割合で使用するとよい。
ここで、体積型ホログラムは、例えばレーザー光またはコヒーレンス性の優れた光等によって光重合性化合物を重合させて干渉縞を形成し、像を形成するものである。したがって、体積型ホログラム用樹脂組成物に光ラジカル重合性化合物および光カチオン重合性化合物が含有されている場合には、それぞれにおける屈折率が異なるものが選択されて用いられるものであり、どちらの屈折率が大きいものであってもよい。本発明においては、中でも材料選択性の面から光ラジカル重合性化合物の平均の屈折率が光カチオン重合性化合物より大きいものであることが好ましく、具体的には、平均の屈折率が0.02以上大きいことが好ましい。これは、光ラジカル重合性化合物と光カチオン重合性化合物との平均の屈折率の差が上記値より低い場合には、屈折率変調が不十分となり、高精細な像を形成することが困難となる可能性があるからである。ここでいう平均の屈折率とは、光カチオン重合性化合物または光ラジカル重合性化合物を重合させた後の重合体について測定する屈折率の平均値をいう。また、本発明の屈折率は、アッベ屈折率計により測定された値である。
3.光重合開始剤
次に、本発明に用いられる光重合開始剤について説明する。本発明における光重合開始剤としては、上述した光重合性化合物により種類が異なるものである。すなわち、光重合性化合物が光ラジカル重合性化合物である場合は、光重合開始剤は光ラジカル重合開始剤を選択し、光重合性化合物が光カチオン重合性化合物である場合は、光重合開始剤は光カチオン重合開始剤を選択する必要がある。以下、光ラジカル重合開始剤および光カチオン重合開始剤にわけて説明する。
a.光ラジカル重合開始剤
本発明に用いられる光ラジカル重合開始剤としては、本発明の体積型ホログラム用樹脂組成物を用いて体積型ホログラム層を形成する際に照射される例えばレーザー等によって、活性ラジカルを生成し、上記光ラジカル重合性化合物を重合させることが可能な開始剤であれば、特に限定されるものではない。例えば、イミダゾール誘導体、ビスイミダゾール誘導体、N−アリールグリシン誘導体、有機アジド化合物、チタノセン類、アルミナート錯体、有機過酸化物、N−アルコキシピリジニウム塩、チオキサントン誘導体等を使用することができる。具体的には、1,3−ジ(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3´,4,4´−テトラキス(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3−フェニル−5−イソオキサゾロン、2−メルカプトベンズイミダゾール、ビス(2,4,5−トリフェニル)イミダゾール、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(商品名イルガキュア651、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(商品名イルガキュア369、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、ビス(η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム(商品名イルガキュア784、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)等が挙げられる。
b.光カチオン重合開始剤
本発明に用いられる光カチオン重合開始剤としては、エネルギー照射によりブレンステッド酸やルイス酸を発生し、上記光カチオン重合性化合物を重合させるものであれば、特に限定されるものではない。体積型ホログラム用樹脂組成物が光ラジカル重合性化合物および光カチオン重合性化合物を含有する場合、光カチオン重合性化合物は、特に上記光ラジカル重合性化合物を重合させる例えばレーザーやコヒーレンス性の優れた光等に対しては反応せず、その後全面に照射されるエネルギーによって感光するものであることが好ましい。これにより、上記光ラジカル重合性化合物が重合する際、光カチオン重合性化合物がほとんど反応しないまま存在させることができ、体積型ホログラムにおける大きな屈折率変調が得られるからである。
具体的には、スルホン酸エステル、イミドスルホネート、ジアルキル−4−ヒドロキシスルホニウム塩、アリールスルホン酸−p−ニトロベンジルエステル、シラノール−アルミニウム錯体、(η−ベンゼン)(η−シクロペンタジエニル)鉄(II)等が例示される。さらに、ベンゾイントシレート、2,5−ジニトロベンジルトシレート、N−トシフタル酸イミド等も使用することができる。
c.その他
本発明において、光ラジカル重合開始剤としても、光カチオン重合開始剤としても用いられるものとしては、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ホスホニウム塩、トリアジン化合物、鉄アレーン錯体等が例示される。具体的には、ジフェニルヨードニウム、ジトリルヨードニウム、ビス(p−t−ブチルフェニル)ヨードニウム、ビス(p−クロロフェニル)ヨードニウム等のヨードニウムのクロリド、ブロミド、ホウフッ化塩、ヘキサフルオロホスフェート塩、ヘキサフルオロアンチモネート塩等のヨードニウム塩、トリフェニルスルホニウム、4−t−ブチルトリフェニルスルホニウム、トリス(4−メチルフェニル)スルホニウム等のスルホニウムのクロリド、ブロミド、ホウフッ化塩、ヘキサフルオロホスフェート塩、ヘキサフルオロアンチモネート塩等のスルホニウム塩、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン等の2,4,6−置換−1,3,5−トリアジン化合物等が挙げられる。
また、上記の光重合開始剤は1種または2種以上を組み合わせて用いてもよいものである。
さらに、光重合開始剤は、後述するバインダー樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部、好ましくは5〜15重量部の割合で使用するとよい。
4.添加剤
次に、本発明の体積型ホログラム用樹脂組成物に添加することができる添加剤について説明する。
a.増感色素
本発明においては、体積型ホログラム用樹組成物が増感色素を含有することが好ましい。上記光重合性化合物および光重合開始剤は、紫外線に活性であるものが多いが、増感色素を添加することにより可視光にも活性となり、可視レーザー光を用いて干渉縞を記録することが可能となるからである。
このような増感色素としては、干渉縞を記録する際に使用するレーザー光波長を考慮して選択されるものであるが、特に限定されるものではない。例えば、チオピリリウム塩系色素、メロシアニン系色素、キノリン系色素、スチリルキノリン系色素、クマリン系色素、ケトクマリン系色素、チオキサンテン系色素、キサンテン系色素、オキソノール系色素、シアニン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、シクロペンタノン系色素、シクロヘキサノン系色素等を使用することができる。
上記シアニン系色素、メロシアニン系色素としては、3,3´−ジカルボキシエチル−2,2´−チオシアニンブロミド、1−カルボキシメチル−1´−カルボキシエチル−2,2´−キノシアニンブロミド、1,3´−ジエチル−2,2´−キノチアシアニンヨージド、3−エチル−5−[(3−エチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)エチリデン]−2−チオキソ−4−オキサゾリジン等が挙げられる。
また、上記クマリン系色素、ケトクマリン系色素としては、3−(2´−ベンゾイミダゾール)7−N,N−ジエチルアミノクマリン、3,3´−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3,3´−カルボニルビスクマリン、3,3´−カルボニルビス(5,7−ジメトキシクマリン)、3,3´−カルボニルビス(7−アセトキシクマリン)等が挙げられる。
可視光領域に吸収波長を有する増感色素は、例えばホログラムを光学素子に用いる際には高透明性が要求されるため、このような場合には、干渉縞記録後の後工程、加熱や紫外線照射により分解されるなどして無色になるものが好ましい。このような増感色素としては、上述したシアニン系色素が好適に用いられる。
また、増感色素は、後述するバインダー樹脂100重量部に対して0.01〜10重量部、好ましくは0.01〜2重量部の割合で使用するとよい。
b.バインダー樹脂
本発明においては、体積型ホログラム用樹脂組成物がバインダー樹脂を含有することが好ましい。バインダー樹脂を含有することにより、成膜性、膜厚の均一性を向上させることができ、記録された干渉縞を安定に存在させることができるからである。
このようなバインダー樹脂としては、ポリメタアクリル酸エステルまたはその部分加水分解物、ポリ酢酸ビニルまたはその加水分解物、ポリビニルアルコールまたはその部分アセタール化物、トリアセチルセルロース、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリクロロプレン、シリコーンゴム、ポリスチレン、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリアリレート、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ−N−ビニルカルバゾールまたはその誘導体、ポリ−N−ビニルピロリドンまたはその誘導体、スチレンと無水マレイン酸との共重合体またはその半エステル等を挙げることができる。また、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリルアミド、アクリルニトリル、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、および酢酸ビニル等の共重合可能なモノマーからなる郡から選択される少なくとも1種のモノマーを重合させてなる共重合体を使用することもできる。また、側鎖に熱硬化または光硬化可能な官能基を有するモノマーを重合させてなる共重合体も使用することができる。さらに、1種または2種以上の混合物を用いることもできる。
また、バインダー樹脂としては、オリゴマータイプの硬化性樹脂を使用することもできる。例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ノボラック、o−クレゾールノボラック、p−アルキルフェノールノボラック等の各種フェノール化合物とエピクロロヒドリンとの縮合反応により生成されるエポキシ化合物等が挙げられる。
さらに、バインダー樹脂としては、ゾルゲル反応を利用した有機−無機ハイブリッドポリマーを使用することもできる。例えば、下記一般式(1)で表される重合性基を有する有機金属化合物とビニルモノマーとの共重合体が挙げられる。
M(OR´) (1)
(ここで、MはSi、Ti、Zr、Zn、In、Sn、Al、Se等の金属、Rは炭素数1〜10のビニル基または(メタ)アクリロイル基、R´は炭素数1〜10のアルキル基を表し、m+nは金属Mの価数である)。
金属MとしてSiを使用する場合の有機金属化合物の例としては、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリアリルオキシシラン、ビニルテトラエトキシシラン、ビニルテトラメトキシシラン、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
また、上記ビニルモノマーとしては、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル等を挙げることができる。
ここで、体積型ホログラムは、干渉縞が屈折率変調または透過率変調として記録され形成されるものである。よって、バインダー樹脂と光重合性化合物との屈折率差が大きいことが好ましい。本発明においては、バインダー樹脂と光重合性化合物との屈折率差を大きくするために、下記一般式(2)で表される有機金属化合物を体積型ホログラム用樹脂組成物中に添加することもできる。
M´(OR´´) (2)
(ここで、MはTi、Zr、Zn、In、Sn、Al、Se等の金属、R´´は炭素数1〜10のアルキル基を表し、kは金属Mの価数である)。
上記(2)式で表される化合物を体積型ホログラム用樹脂組成物中に添加すると、水、酸触媒の存在下でゾルゲル反応により、バインダー樹脂と網目構造を形成するため、バインダー樹脂の屈折率を高くするたけでなく、膜の強靭性、耐熱性を向上させる効果がある。よって、光重合性化合物との屈折率差を大きくするには、金属M´は高い屈折率を有するものを使用することが好ましい。
上記バインダー樹脂は、体積型ホログラム用組成物中に、通常15〜50重量%の範囲内、好ましくは20〜40重量%の範囲内で用いられる。
B.体積型ホログラム層
次に、本発明の体積型ホログラム層について説明する。
本発明の体積型ホログラム層は、上記体積型ホログラム用樹脂組成物を用いて形成される体積型ホログラム層であって、上記体積型ホログラム層のガラス転移温度が100℃以上であることを特徴とするものであり、本発明においては、無機金属系微粒子を含有させることによりガラス転移温度を上記範囲とすることができるのである。
本発明において、体積型ホログラム層のガラス転移温度が上記範囲であることにより、体積型ホログラム層に熱が加えられた場合であっても、安定なものとすることができ、体積型ホログラム層を例えば熱転写法等により転写することが可能となる。また本発明によれば、体積型ホログラム層は上記体積型ホログラム用樹脂組成物を用いて形成されるものであり、上述したように無機金属系微粒子を体積型ホログラム用樹脂組成物に含有させることにより、明瞭な像を得ることが可能となる。さらに、一般的に体積型ホログラムに用いられる樹脂が有機化合物であるのに対し、本発明においては無機金属系微粒子を含有させるため、耐熱性、耐環境性、機械的強度等に優れるホログラムを得ることが可能となる。また、体積型ホログラム層の屈折率の調整が、体積型ホログラム層の形成材料である樹脂を変更するのではなく、種々の屈折率を有する無機金属系微粒子を選択して添加することにより行うものであるため、ホログラムの設計の自由度が高くなるという利点を有する。さらに、体積型ホログラム層に無機金属系微粒子を含有させることにより、体積型ホログラム層に脆性が付与されるため、ホログラムを被着体に付着させる際の箔切れ性が向上する利点も有する。
なお、本発明に用いられる体積型ホログラム用樹脂組成物に関しては、上述した「A.体積型ホログラム用樹脂組成物」に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
本発明において、体積型ホログラム層の形成は、まず上記体積型ホログラム用樹脂組成物を、例えば目的とする基材フィルム上に、一般的なコーティング手段により塗布し、必要に応じて乾燥し、体積型ホログラム形成用層とする。また、体積型ホログラム形成用層は、例えば2枚のガラス板等の基材の間に体積型ホログラム用樹脂組成物を注入することによって形成されたものであってもよい。次に、上記体積型ホログラム形成用層に、通常ホログラフィー露光装置に用いられるレーザー光はコヒーレンス性の優れた光(たとえば波長300nm〜1200nmの光)による露光によって、上述した光重合性化合物を重合させて、目的とする像の干渉縞を記録する。これにより、体積型ホログラム層が形成される。
上記体積型ホログラム用樹脂組成物は、塗布の際、必要に応じて溶媒を用いてもよい。このような溶媒としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン、テトラヒドロフラン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、酢酸エチル、1,4−ジオキサン、1,2−ジクロロエタン、ジクロルメタン、クロロホルム、メタノール、エタノール、イソプロパノール等を使用することができる。また、これらの溶媒を1種または2種以上を混合して用いてもよい。
また、体積型ホログラム用樹脂組成物の塗布方法としては、スピンコーター、グラビアコーター、コンマコーター、バーコーター等の方法を使用することができる。
上記体積型ホログラム用樹脂組成物の塗布量は、体積型ホログラム層の用途や種類によって適宜選択されるものであるが、通常1g/m〜100g/mの範囲内、好ましくは10g/m〜40g/mの範囲内とされ、体積型ホログラム形成用層の膜厚は、通常1μm〜100μm、中でも10μm〜40μmの範囲内とすることが好ましい。さらに、体積型ホログラム用樹脂組成物を硬化させて形成される体積型ホログラム層の膜厚としては、1〜100μm、中でも10〜40μmの範囲内とすることが好ましい。
上記体積型ホログラム形成用層に、通常ホログラフィー露光装置に用いられるレーザー光はコヒーレンス性の優れた光(たとえば波長300nm〜1200nmの光)による露光によって、上述した光重合性化合物を重合させて、目的とする像の干渉縞を記録する。上記レーザー光としては、可視レーザー、例えばアルゴンイオンレーザー(458nm、488nm、514.5nm)、クリプトンイオンレーザー(647.1nm)、ヘリウム−ネオンレーザー(633nm)、YAGレーザー(532nm)等を使用することができる。
上記の像の干渉縞を記録する方法としては、従来の公知の方法を使用することができる。例えば、上記体積型ホログラム形成用層に原版を密着させ、基材フィルム側から可視光、あるいは紫外線や電子線等の電離放射線を用いて干渉露光を行うことにより像の干渉縞が記録される。
また、屈折率変調の促進、光重合性化合物等の重合反応完結のために干渉露光後、紫外線による全面露光や加熱等の処理を適宜行うことができる。
本発明においては、体積型ホログラム層のガラス転移温度が100℃以上、中でも110℃以上であることが好ましい。上述したように、体積型ホログラム層のガラス転移温度が上述した範囲であることにより、体積型ホログラム層に熱が加えられた場合であっても、安定なものとすることができ、体積型ホログラム層を例えば熱転写法等により転写することが可能となるからである。
なお、本発明におけるガラス転移温度は、レオメトリックス社製 固体粘弾性アナライザーRSA−IIを使用し、下記条件で測定した値である。動的貯蔵弾性率(E´)および動的損失弾性率(E´´)を測定し、E´´/E´で定義される損失正接のピーク温度をガラス転移温度とした。
(測定条件)
サンプル形状:フィルム(膜厚20μm以上)
測定モード:フィルム引張モード
測定周波数:1Hz
測定温度範囲:−50〜150℃
昇温速度:5℃/min
C.ホログラム転写箔
次に、本発明のホログラム転写箔について説明する。
本発明のホログラム転写箔は、上記体積型ホログラム層と、基材フィルムと、感熱性接着剤層とを有するホログラム転写箔であって、上記基材フィルム上に上記体積型ホログラム層が形成され、上記体積型ホログラム層上に上記感熱性接着剤層が形成されていることを特徴とするものである。
本発明によれば、ホログラム転写箔は本発明の体積型ホログラム層を有するものであり、上述したように無機金属系微粒子を体積型ホログラム層に含有させることにより、明瞭な像を得ることが可能となる。さらに、一般的に体積型ホログラムに用いられる樹脂が有機化合物であるのに対し、本発明においては無機金属系微粒子を含有させるため、耐熱性、耐環境性、機械的強度等に優れるホログラムを得ることが可能となる。また、体積型ホログラム層の屈折率の調整が、体積型ホログラム層の形成材料である樹脂を変更するのではなく、種々の屈折率を有する無機金属系微粒子を選択して添加することにより行うものであるため、ホログラムの設計の自由度が高くなるという利点を有する。さらに、体積型ホログラム層に無機金属系微粒子を含有させることにより、体積型ホログラム層に脆性が付与されるため、ホログラムを被着体に付着させる際の箔切れ性が向上する利点も有する。
本発明のホログラム転写箔は、例えば図1に示すように、基材フィルム1と、その基材フィルム1上に形成された体積型ホログラム層2と、その体積型ホログラム層2上に形成された感熱性接着剤層3とを有するものである。
また、本発明のホログラム転写箔は、上記感熱性接着剤と被着体とを接触させて、基材フィルム側から熱をかけることにより、感熱性接着剤により体積型ホログラム層と被着体とを接着することができ、被着体上に体積型ホログラム層を転写することができるのである。この際本発明によれば、上述した箔切れ性の良好な体積型ホログラム層を有することから、目的とする部分のみ、体積型ホログラム層を被着体に転写することが可能となり、様々な用途に用いることが可能なホログラム転写箔とすることができるのである。
このような転写は、例えば図2に示すように、ホログラムを転写する被着体6の表面に、上記感熱性接着剤層3が接するように重ね合わせ、上記基材フィルム側からホログラムを転写する部分に、例えば加熱可能な金型7等で加熱・加圧して、上記感熱性接着剤層3を溶融接着させ、その後基材フィルム1を剥離することによって行うことができる。
なお、本発明に用いられる体積型ホログラム層に関しては、上述した「B.体積型ホログラム層」に記載したものと同様であるのでここでの説明は省略する。以下、ホログラム転写箔の他の構成について説明する。
1.基材フィルム
本発明のホログラム転写箔に用いられる基材フィルムは、上述した体積型ホログラム層が形成されるものであり、体積型ホログラム層を被着体に転写する際には、この基材フィルム側から熱転写が行われるものである。したがって、上記体積型ホログラム層が形成可能であり、かつ熱転写の際に加わる熱や圧力に対して耐性を有するものであれば、特に限定されるものではない。例えばポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリフッ化エチレン系フィルム、ポリフッ化ビニリデンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリアミドフィルム、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム等の透明樹脂フィルムを用いることができる。
また、このような基材フィルムの厚さとしては、ホログラム転写箔の用途や種類等に応じて適宜選択されるものであるが、通常2μm〜200μm、好ましくは10μm〜50μmの範囲内とされる。
2.感熱性接着剤層
次に、本発明のホログラム転写箔に用いられる感熱性接着剤層について説明する。感熱性接着剤層は、ホログラム転写箔の基材フィルムと反対側の表面に形成される層であり、体積型ホログラム層を熱転写により被着体上に転写する際に密着させて加熱等することにより体積型ホログラム層と被着体とを接着する層である。
このような感熱性接着剤層としては、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−イソブチルアクリレート共重合樹脂、ブチラール樹脂、ポリ酢酸ビニルおよびその共重合体樹脂、セルロース系樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、スチレンブタジエンスチレンブロック共重合体(SBS)、スチレンイソプレンスチレンブロック共重合体(SIS)、スチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレンエチレンプロピレンスチレンブロック共重合体(SEPS)等の熱可塑性樹脂を用いることができる。上記の中でも、180℃以下の温度でヒートシール可能な層であることが好ましく、さらにエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)の酢酸含量25%以上のものを用いることが好ましい。また、上記樹脂に、必要に応じて感熱性接着剤層が着色されたものであってもよい。
3.ホログラム転写箔
次に、本発明のホログラム転写箔について説明する。本発明のホログラム転写箔は、上記体積型ホログラム層と、上記基材フィルムと、上記感熱性接着剤層とを有するものであって、上記基材フィルム上に体積型ホログラム層が形成され、上記体積型ホログラム層上に感熱性接着剤層が形成されているものであれば、その構成等は特に限定されるものではない。上記の層以外に例えば、図3に示すように、基材フィルム1と、その基材フィルム1上に形成された剥離層4と、その剥離層4上に形成された体積型ホログラム層2と、その体積型ホログラム層2上に形成された感熱性接着剤層3とを有するものであってもよい。またさらに、例えば図4に示すように、基材フィルム1と、その基材フィルム1上に形成された体積型ホログラム層2と、その体積型ホログラム層2上に形成された反射層5と、その反射層5上に形成された感熱性接着剤層3とを有するものであってもよい。
上記剥離層とは、ホログラム転写箔を用いて、被着体上に体積型ホログラム層を転写する際に、上記基材フィルムと上記体積型ホログラム層とを剥離を容易に行うことを可能とする層であり、例えばアクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、シリコーン樹脂、塩化ゴム、カゼイン、各種界面活性剤、金属酸化物等から、1種または2種以上を混合したもの等を用いることができる。上記の中でも、分子量20000〜100000程度のアクリル系樹脂単独、またはアクリル系樹脂と分子量8000〜20000の塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂とからなり、さらに添加剤として分子量1000〜5000のポリエステル樹脂が1〜5重量%含有する組成物からなることが特に好ましい
また、上記基材フィルムと上記体積型ホログラム層との間の剥離力が1〜5g/インチ(90°剥離)となるようなものであることが好ましい。また、その厚みは剥離力、箔切れ等の面から、0.1μm〜2μmの範囲内であることが好ましい。
また、反射層としては、上記感熱性接着剤層と体積型ホログラム層との間に形成されるものであり、この反射層に光を反射する例えば金属薄膜等を用いると、不透明タイプのホログラムとなり、体積型ホログラム層と屈折率差がある透明な物質を用いた場合には、透明タイプのホログラムとなるがいずれも本発明に用いることが可能である。このような反射層は、昇華、真空蒸着、スパッタリング、反応性スパッタリング、イオンプレーティング、電気めっき等の公知の方法により形成することが可能である。
また、不透明タイプのホログラムを形成する金属薄膜としては、例えば、Cr、Ti、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、Au、Ge、Al、Mg、Sb、Pb、Pd、Cd、Bi、Sn、Se、In、Ga、Rb等の金属およびその酸化物、窒化物等を単独若しくは2種類以上組み合わせて形成される薄膜が挙げられる。上記金属薄膜の中でもAl、Cr、Ni、Ag、Au等が特に好ましく、その膜厚は1〜10,000nm、中でも20〜200nmの範囲であることが好ましい。
一方、透明タイプのホログラムを形成する薄膜としては、ホログラム効果を発現できる光透過性のものであれば、いかなる材質のものも使用できる。例えば、体積型ホログラム用樹脂組成物に含まれる樹脂と、屈折率の異なる透明材料が挙げられる。この場合の屈折率は、体積型ホログラム用樹脂組成物に含まれる樹脂の屈折率より大きくても、小さくてもよいが、屈折率の差は0.1以上が好ましく、より好ましくは0.5以上であり、1.0以上が最適である。また、上記以外では20nm以下の金属性反射膜が挙げられ、好適に使用される透明タイプ反射層としては、酸化チタン(TiO )、硫化亜鉛(ZnS)、Cu・Al複合金属酸化物等が挙げられる。
さらに、上記剥離層と体積型ホログラム層との間、体積型ホログラム層と感熱性接着剤層との間のいずれかもしくは双方にバリア層を設けることもできる。本発明に使用する体積型ホログラム用樹脂組成物や剥離層ならびに感熱性接着剤層の組み合わせによっては、経時的に体積型ホログラム層から他の層への低分子量成分の移行が起こり、これに起因して記録されたホログラムのピーク波長が青側(短波長側)に移行したり、剥離層等にこれが移行した場合にはその剥離性を変化させたりする場合がある。上記のようなバリア層を設けることによって、これらの阻害要因を解消することができるのである。
このようなバリア層として用いる材料としては、そのバリア性を発現する材料であれば、特に制限はないが、通常、透明性有機樹脂材料を用いることによってその目的を達成することができる。中でも、無溶剤系の3官能以上、好ましくは6官能以上の、紫外線や電子線等の電離放射線に反応する電離放射線硬化性エポキシ変性アクリレート樹脂、ウレタン変性アクリレート樹脂、アクリル変性ポリエステル樹脂等を用いることができる。特に、その中でもウレタン変性アクリレート樹脂がそのバリア性の高さから好ましく用いられる。
また、これらの電離放射線硬化性樹脂としては、そのコーティング適性、最終的に得られるバリア層の硬度等を考慮すると、その分子量は500〜2000の範囲のものが好ましく用いられる。また、バリア層のコーティングは基本的に無溶剤系であるため、体積型ホログラム層、剥離層、感熱性接着剤層のどの層にも積層形成することができる。
また、各層の密着性が弱い場合には、密着向上層等が形成されたものであってもよい。
本発明のホログラム転写箔は、上記基材フィルム、体積型ホログラム層、および感熱性接着剤層を、それぞれ順次積層して製造されるものであってもよいが、各部材をそれぞれ独立の工程によって準備し、これらを積層することによって製造されるものであってもよい。
例えば、像を記録した体積型ホログラム層、剥離層を形成した基材フィルム、および感熱性接着剤層を準備し、これらを積層する方法等が挙げられる。各部材をそれぞれ独立の工程によって準備する場合には、例えば基材フィルム上に剥離層等をドライプロセス等により形成することが可能となり、様々な材料を用いることや、製造効率等の面から好ましいものとすることができる。
また例えば、上記基材フィルム(剥離層が形成されていてもよい)上に体積型ホログラム層を形成した後、体積型ホログラム層に像を記録した部材と、感熱性接着剤層とを準備し、これらを積層するもの等であってもよい。この場合、上述した体積型ホログラム層を形成する組成物を支持体上に塗布し、例えばレーザー等を照射することにより、ラジカル重合性化合物を重合させて像を記録し、上記基材フィルムと積層する。その後、上記体積型ホログラム用樹脂組成物全面に照射することにより、像が記録された体積型ホログラム層と上記基材フィルムとが積層された部材を形成する。続いて、上記支持体を剥離して、感熱性接着剤を例えば100℃〜180℃に加熱しながら積層する方法等とすることができる。
ここで、上述した本発明の体積型ホログラム積層体は、例えばプラスチックカード、携帯電話、金券、日用品またはCD−ROMのパッケージなどに適用可能である。
また、上記基材フィルムと上記体積型ホログラム層との層間接着力を制御する方法も包含する。
すなわち、本発明のホログラム転写箔の層構成において剥離層を有する場合には、剥離層と基材フィルムとの間の層間接着力Aと剥離層と体積型ホログラム層との間の層間接着力Bと、体積型ホログラム層と感熱性接着剤層との間の層間接着力Cの相対関係ならびにBの値が、下記の関係を満足することが望ましい。
層間接着力: C≧B>A
B値: 600gf/インチ
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、本発明について実施例を用いて具体的に説明する。
[実施例1]
下記組成からなる体積型ホログラム用樹脂組成物を調製した。
ポリ酢酸ビニル樹脂(分子量100,000) 100重量部
2−フェノキシエチルアクリレート 120重量部
2−エトキシエチルアクリレート 120重量部
ヘキサアリルビイミダゾール 10重量部
2,5−ビス[4−(ジエチルアミノ)フェニル]メチレン−シクロペンタノン
1重量部
ジルコニア微粒子(平均粒径50nm、屈折率2.1) 30重量部
1−ブタノール 100重量部
メチルエチルケトン 100重量部
上記体積型ホログラム用樹脂組成物を50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ製ルミラーT60)上に、乾燥後膜厚10μmとなるように塗布して体積型ホログラム形成用層を得た。この体積型ホログラム形成用層をミラー原版に密着させ、アルゴンイオンレーザー光(波長514.5nm)をPETフィルム側から入射し、体積型ホログラムを記録した。さらに、加熱、紫外線定着露光により固定化されたホログラムを得た。
また、得られた体積型ホログラム層の動的粘弾性測定より、ガラス転移温度は115℃となり、耐熱性に優れるホログラムを得ることができた。
[実施例2]
実施例1において、ジルコニア微粒子をアルミナ微粒子(平均粒径100nm、屈折率1.62)に変更した以外は実施例1と同様にして体積型ホログラムを作製した。その結果、ガラス転移温度は103℃となり、耐熱性に優れるホログラムを得ることができた。
[実施例3]
実施例1において、ジルコニア微粒子をチタニア微粒子(平均粒径200nm、屈折率2.4)に変更した以外は実施例1と同様にして体積型ホログラムを作製した。その結果、ガラス転移温度は115℃となり、耐熱性に優れるホログラムを得ることができた。
[実施例4]
実施例1において、ジルコニア微粒子を硫化亜鉛微粒子(平均粒径400nm、屈折率2.3)に変更した以外は実施例1と同様にして体積型ホログラムを作製した。その結果、ガラス転移温度は108℃となり、耐熱性に優れるホログラムを得ることができた。
[比較例1]
実施例1において、ジルコニア微粒子をポリスチレン微粒子(平均粒径400nm、屈折率1.59)に変更した以外は実施例1と同様にして体積型ホログラムを作製した。その結果、ガラス転移温度は50℃となり、耐熱性が劣るものであった。
[比較例2]
実施例1において、ジルコニア微粒子を硫化亜鉛微粒子(平均粒径800nm、屈折率2.3)に変更した以外は実施例1と同様にして体積型ホログラムの作製を試みたが、ホログラムを記録することができなかった。
[比較例3]
実施例1において、ジルコニア微粒子を除いた以外は、実施例1と同様にして体積型ホログラムを作製した。その結果、ガラス転移温度は45℃となり、耐熱性が劣るものであった。
[実施例5〜8]
実施例1〜4の体積型ホログラム層を使用し、下記方法によりホログラム転写箔を作製した。
(剥離層/PETの作製)
下記組成からなる剥離層形成材料を25μm厚のPETフィルム(東レ製ルミラーT60)上に、乾燥後膜厚1μmとなるように塗布して、剥離層/PETを作製した。
ポリメチルメタクリレート(平均重量分子量3万5千) 97重量部
ポリエチレンワックス(平均重量分子量1万) 3重量部
ポリエステル(平均重量分子量1500) 0.3重量部
メチルエチルケトン 200質量部
トルエン 200質量部
(感熱性接着剤層/離型処理PETの作製)
下記の感熱性接着剤層形成材料を38μm厚の離型剤処理PETフィルム(東セロ製SP−PET)上に、乾燥後膜厚3μmとなるように塗布して、感熱性接着剤層/離型処理PETを作製した。
エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂溶液(東洋モートン製AD1790−15)
(ホログラム転写箔の作製)
ミラー原版から剥がしたホログラム面に、剥離層/PETの剥離層面を80℃でラミネートし、PET/剥離層/体積型ホログラム層/PETからなる積層体を得た。次いで、体積型ホログラム層に積層されているPETを剥がし、ホログラム面に、感熱性接着剤層/離型処理PETの感熱性接着剤層を130℃でラミネートし、更に離型処理PETを剥がすことで、PET/剥離層/体積型ホログラム層/感熱性接着剤層からなるホログラム転写箔を得た。
(転写性評価)
被着体とした塩化ビニルカードに、得られたホログラム転写箔の感熱性接着剤層面を合わせ、PET側から、150℃に加熱した金型を押し当て、ホログラムを転写した結果、いずれも良好な転写性を示した。
[比較例4]
比較例1(ポリスチレン微粒子)の体積型ホログラム層を使用し、実施例5〜8と同様にしてホログラム転写箔を作製した。転写性の評価を行ったところ、箔切れが悪くバリが発生し、良好に転写することができなかった。
[比較例5]
比較例3(微粒子添加なし)の体積型ホログラム層を使用し、実施例5〜8と同様にしてホログラム転写箔を作製した。転写性の評価を行ったところ、加えられた圧力により画像が変質し、良好に転写することができなかった。
本発明のホログラム転写箔の一例を示す概略断面図である。 本発明のホログラム転写箔の転写の一例を示す概略断面図である。 本発明のホログラム転写箔の他の例を示す概略断面図である。 本発明のホログラム転写箔の他の例を示す概略断面図である。
符号の説明
1 … 基材フィルム
2 … 体積型ホログラム層
3 … 感熱性接着剤層
4 … 剥離層
5 … 反射層
6 … 被着体
7 … 金型

Claims (5)

  1. 少なくとも1種の光重合性化合物と、光重合開始剤と、無機金属系微粒子とを有する体積型ホログラム用樹脂組成物であって、前記無機金属系微粒子の平均粒径が、ホログラムの記録波長より小さいことを特徴とする体積型ホログラム用樹脂組成物。
  2. 前記体積型ホログラム用樹脂組成物が、増感色素を有することを特徴とする請求項1に記載の体積型ホログラム用樹脂組成物。
  3. 前記体積型ホログラム用樹脂組成物が、バインダー樹脂を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の体積型ホログラム用樹脂組成物。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の体積型ホログラム用樹脂組成物を用いて形成される体積型ホログラム層であって、前記体積型ホログラム層のガラス転移温度が100℃以上であることを特徴とする体積型ホログラム層。
  5. 請求項4に記載の体積型ホログラム層と、基材フィルムと、感熱性接着剤層とを有するホログラム転写箔であって、前記基材フィルム上に前記体積型ホログラム層が形成され、前記体積型ホログラム層上に前記感熱性接着剤層が形成されていることを特徴とするホログラム転写箔。
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