JP2009180518A - プローブカード用配線基板およびプローブカード - Google Patents

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Abstract

【課題】 低抵抗金属を含む内部配線層を有する耐薬品性に優れたプローブカード用配線基板およびプローブカードを提供する。
【解決手段】 本発明は、α−Alを主結晶とするアルミナ質焼結体からなる絶縁基体11と、絶縁基体11の内部に形成された、Cu、AuおよびAgからなる群から選ばれる少なくとも1種の低抵抗金属と、WおよびMoの少なくともいずれか一方の高融点金属との複合導体からなる内部配線層12とを備えており、アルミナ質焼結体は、MnAlSi12を有するとともに実質的にMnSiOを有しておらず、X線回折における前記α−Alの(110)面の回折強度をIa、前記MnAlSi12の(420)面の回折強度をImとしたとき、Im/Iaの値が0.02〜0.3であることを特徴とするプローブカード用配線基板である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、半導体ウェハの電気特性を測定するための微細な配線を備えたプローブカード用配線基板およびプローブカードに関するものである。
Siウェハ等の半導体ウェハに多数個同時に形成される大規模集積回路を有する半導体素子には、異物の付着などに起因する電気不良等によって、ほぼ一定の割合で電気的接続および電気特性の不良品が含まれている。
上記半導体素子の不良品を検出するために、半導体ウェハの状態のまま同時に多数の半導体素子を一括して電気特性の検査を行なうことができるプローブカードが知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
このプローブカードは、主としてアルミナ質焼結体からなる絶縁基体の表面および内部に微細な配線が形成されてなる配線基板と、この配線基板の表面に精度よく配置された複数のプローブピンと呼ばれる探針(測定端子)とを含んでいて、このプローブピンを多数の半導体素子の端子に当てて、電圧をかけたときの出力を測定して期待値と比較することで、多数の半導体素子の良否を一括して判定するものである。
近年、半導体素子に形成された集積回路の配線微細化に伴って、プローブカードの単位面積当たりのプローブピン数を多くすることが求められ、またプローブカードの配線基板に形成される配線もより微細化することが求められている。
ところが、配線の微細化、すなわち線幅を狭くすることにより、配線抵抗が増大して電気信号の遅延を招いたり、集積回路の動作状態について正しく判断できず、検査ミスにつながるという問題があった。
そこで、配線としてCu、Ag、Auなどの低抵抗金属を用いることが考えられるが、これらの低抵抗金属は融点が低いため、アルミナ質焼結体との同時焼成ができない。
これに対し、アルミナ質焼結体からなる絶縁基体の表面および内部にCu、Ag、Auなどの低抵抗金属とMo、Wなどの高融点金属との複合導体からなる配線の形成された配線基板(アルミナ基板)が提案されている(特許文献2を参照。)。
特許文献2によれば、MnおよびSiを焼結助剤として含有させることにより、従来のアルミナ基板に対して200℃以上低い1500℃以下の温度で焼成することができ、上記低抵抗金属および高融点金属の複合導体とアルミナ質焼結体との同時焼成を可能としている。
しかしながら、特許文献2に記載の配線基板をプローブカード用配線基板に適用しようとすると、絶縁基体の表面に形成された配線とプローブピンとの間に隙間が生じて導通不良を起こしたり、絶縁基体の内部に水分が浸入して絶縁不良を起こしてしまうという問題があった。
すなわち、プローブカードの製造において、プローブカード用配線基板上にSi等の材質を用いてプローブピンを形成する際に、エッチングのためにアルカリ水溶液に浸漬(例えば、40wt%KOH水溶液に2時間浸漬)するため、プローブカード用配線基板には耐薬品性が要求されるが、低温で焼成している特許文献2に記載のアルミナ基板はプローブカードの製造に用いられる上記アルカリ水溶液への浸漬に十分に耐えうるほどの耐薬品性を備えるものではなかった。
特開平11−160356号公報 特開2003−163425号公報
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、低抵抗金属を含む内部配線層を有する耐薬品性に優れたプローブカード用配線基板およびプローブカードを提供することを目的とする。
本発明者等は、鋭意検討した結果、1500℃以下の温度で焼成する場合においても、アルミナ質焼結体の主結晶であるα−Alの粒界にMnSiOを排除しつつ所望の割合でMnAlSi12を析出させることによって、耐薬品性を向上させることができることを見い出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、α−Alを主結晶とするアルミナ質焼結体からなる絶縁基体と、該絶縁基体の内部に形成された、Cu、AuおよびAgからなる群から選ばれる少なくとも1種の低抵抗金属と、WおよびMoの少なくともいずれか一方の高融点金属との複合導体からなる内部配線層とを備えており、前記アルミナ質焼結体は、MnAlSi12を有するとともに実質的にMnSiOを有しておらず、X線回折における前記α−Alの(110)面の回折強度をIa、前記MnAlSi12の(420)面の回折強度をImとしたとき、Im/Iaの値が0.02〜0.3であることを特徴とするプローブカード用配線基板である。
また本発明は、前記プローブカード用配線基板の一方の表面に表面配線層が形成され、該表面配線層に半導体素子の電気特性を測定するための測定端子が接続されてなることを特徴とするプローブカードである。
本発明によれば、アルミナ質焼結体の主結晶であるα−Alの粒界に、MnSiOを析出させずにMnAlSi12を析出させてガラスの割合を減少させたことによって、エッチング液(アルカリ水溶液)に浸漬させたときのアルミナ質焼結体のアルカリ水溶液中への溶出を著しく抑制できることから、低抵抗金属を含む内部配線層を有する耐薬品性に優れたプローブカード用配線基板を実現することができる。
また、本発明のプローブカードによれば、低抵抗金属を含む内部配線層を有する耐薬品性に優れたプローブカード用配線基板を具備しているので、検査ミスを抑制することができる。
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明のプローブカード用配線基板の一実施形態の概略断面図であり、図2は本発明のプローブカードの一実施形態を用いた半導体素子の評価装置の説明図である。
図1に示すプローブカード用配線基板1は、α−Alを主結晶とするアルミナ質焼結体からなる絶縁基体11と、絶縁基体11の内部に形成された低抵抗金属および高融点金属の複合導体からなる内部配線層12とを備えている。また、絶縁基体11の表面に表層配線層13を備えているとともに、絶縁基体11の内部に内部配線層12同士または内部配線層12と表面配線層13とを電気的に接続するビアホール導体14を備えている。
絶縁基体11は複数の絶縁層11a、11b、11c、11dからなるもので、それぞれの絶縁層11a、11b、11c、11dはα−Alを主結晶とするアルミナ質焼結体で形成されている。ここで、アルミナ質焼結体における主結晶であるα−Alの割合は85〜95質量%程度である。このα−Alは粒状または柱状の結晶として存在する。本発明においてα−Alの結晶粒径は特に限定されるものではないが、結晶粒径が大きくなるに従い熱伝導性が向上し、結晶粒径が小さくなるに従い強度が向上することから、高熱伝導性および高強度の両立という点から、α−Alの平均結晶粒径は1.0〜5.0μm、特に1.7〜2.5μmであることが望ましい。なお、α−Alが柱状の結晶である場合の平均結晶粒径は短軸径に基づいて求めることとする。
ここで、絶縁基体11がアルミナ質焼結体で形成されていることで、ある程度の耐薬品性は得られている。しかしながら、プローブカード用配線基板1として用いるためには、さらなる耐薬品性が求められる。
そこで、本発明においては、アルミナ質焼結体の主結晶であるα−Alの粒界に実質的にMnSiOを有しないことが重要である。ここで、ガラス(非晶質部)は酸性溶液やアルカリ性溶液等の薬品への浸漬によりその構造を破壊されやすいものであるから、アルミナ質焼結体の耐薬品性を上げるためには、主結晶であるα−Alの粒界に結晶が存在していることが好ましいと考えられる。しかし、存在している結晶がMnSiOであると、耐薬品性が向上しない。これは、MnSiOが酸性溶液やアルカリ性溶液等の薬品への浸漬によりその構造を破壊されやすいからではないかと考えられる。したがって、アルミナ質焼結体の主結晶であるα−Alの粒界に実質的にMnSiOを含まないことが重要である。なお、実質的に含まないとはX線回折においてその結晶相に由来するピークが認められない程度の量であることを意味する。
また、アルミナ質焼結体の主結晶であるα−Alの粒界に所望の割合のMnAlSi12を有することが重要である。ここで、所望の割合とは、具体的にはX線回折におけるα−Alの(110)面の回折強度をIa、MnAlSi12の(420)面の回折強度をImとしたとき、Im/Iaの値が0.02〜0.3となるような割合である。Im/Iaの値が0.02未満であると、粒界中のガラス(非晶質部)の比率が多く、耐薬品性が低下してしまう。一方、Im/Iaの値が0.3を超えると、MnAlSi12が多く析出してアルミナ質焼結体の緻密化が阻害されることから、耐薬品性が低下する。より耐薬品性に優れたアルミナ質焼結体を得るためには、Im/Iaの値は0.04〜0.25、さらには0.05〜0.2であることが望ましい。
また、MnAlSi12に加えてMnAlOが析出していることが、絶縁基体1の耐薬品性をさらに向上させる点で望ましい。
なお、アルミナ質焼結体の主結晶であるα−Alの粒界にMnAlSi12やMnAlOを存在させるためには、後述の焼結助剤成分の混合および所定の焼成条件の下での焼成が必要となる。
一方、絶縁基体1の内部には、Cu、AuおよびAgからなる群から選ばれる少なくとも1種の低抵抗金属と、WおよびMoの少なくともいずれか一方の高融点金属との複合導体からなる内部配線層12が形成されている。
アルミナ質焼結体と同時焼成可能な配線材料として、W、Moなどの高融点金属が挙げられるが、このような高融点金属からなる配線は抵抗値が高い。一方、低抵抗金属としてのCu、Au、Agは融点が低いため、これら単体ではアルミナ質焼結体と同時焼成することはできない。そこで、Cu、AuおよびAgからなる群から選ばれる少なくとも1種の低抵抗金属と、WおよびMoの少なくともいずれか一方の高融点金属との複合導体からなる配線とすることで、低抵抗金属に比べると抵抗値は多少あがってしまうものの、後述する1200℃〜1500℃の焼成温度で、アルミナ質焼結体との同時焼成が可能となる。ただし、同時焼成可能といえども、低抵抗金属の融点を超える温度での焼成となるため、低抵抗金属の溶融を抑制して配線の形態を保つことが必要となる。そこで、配線の低抵抗化と保形性をともに達成するうえで、低抵抗金属が10〜70体積%、特に40〜60体積%、高融点金属が30〜90体積%、特に40〜60体積%の割合からなることが望ましい。また、高融点金属は平均粒径が1〜10μmの粒子として、低抵抗金属からなるマトリックス中に分散していることが望ましい。
なお、表層配線層13は、高融点金属および低抵抗金属の割合が内部配線層12と同じであっても異なっていてもよく、高融点金属のみで形成されていてもよい。また、ビアホール導体14は、表面配線層13と同様の組成からなることが焼成時にビアホール導体14からの導体成分の脱落を防止する上で望ましい。
このようなプローブカード用配線基板1は、エッチング液(アルカリ水溶液)に浸漬させたときのアルミナ質焼結体のアルカリ水溶液中への溶出を著しく抑制でき、耐薬品性に優れたものである。
上記のプローブカード用配線基板1は、例えば図2に示すようなプローブカードとして用いることができる。
図2に示すプローブカード2は、プローブカード用配線基板1の一方の表面に表面配線層(図示せず)が形成され、該表面配線層に半導体素子の電気特性を測定するための測定端子21が接続されたものである。プローブカード用配線基板1の他方の表面に接続端子(図示せず)が形成され、この接続端子が半田3を介して外部回路基板4に接合され、外部回路基板4の電気回路(図示せず)と電気的に接続されている。また、外部回路基板4は、テスタ5に電気的に接続されている。
そして、ステージ6の上に載置された半導体ウェハ7の上面にプローブカード2の測定端子21を接触させて半導体素子の電気特性を測定することができる。
なお、プローブカード2および外部回路基板4は、昇降装置8によって上下に駆動させることができ、プローブカード2の測定端子21を半導体ウェハ7の上面に接触させたり離したりすることができる。
次に、上記のプローブカード用配線基板1の製造方法について説明する。
まず、絶縁基体を形成するために、アルミナ原料粉末として、平均粒径が0.5〜2.5μm、特に1.0〜2.0μmの粉末を用いる。これは、平均粒径を0.5μm以上とすることでシート成形性を良好なものとし、2.5μm以下とすることで1500℃以下の温度での焼成によっても緻密化を促進させるためである。
そして、上記アルミナ原料粉末100質量%に対して、純度99%以上、平均粒径が0.7〜1.7μmのMn粉末を1〜10質量%添加する。これにより、シート成形性を良好なものとし、Mn成分の分散性を向上させ、MnAlSi12の結晶化および1200〜1500℃の焼成温度での緻密化を促すことができる。なお、Mnのより好ましい添加量は、Mn換算で2〜9質量%、さらには4〜8質量%である。
また、上記アルミナ原料粉末100質量%に対して、純度99%以上、平均粒径が1〜3μmのSiO粉末を1〜10質量%添加する。これにより、SiOとMn化合物との反応性を制御しつつ、MnAlSi12の結晶化および1200〜1500℃の焼成温度での緻密化を促すことができる。
MnおよびSiは、上記の酸化物粉末以外に焼成によって酸化物を形成しうる炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩等として添加しても良い。この場合、MnがMn換算で1〜10質量%、SiがSiO換算で1〜10質量%となるように添加し、好ましくは2〜9質量%、特に4〜7質量%の割合でそれぞれ添加することが、より焼結性を高め、緻密化を促進させることができる。
さらに、Mg、Ca、Sr、B、Nb、CrおよびCoのうちから選ばれる1種以上を酸化物換算で0.1〜4質量%の割合で添加してもよい。これにより、配線を形成する複合導体との同時焼結性を高めることができる。この成分の最適な含有量は酸化物換算による合量で0.2〜2.5質量%である。
またさらに、アルミナ質焼結体を黒色化するための着色成分としてW、Moなどの金属を2質量%以下の割合で含んでもよい。
なお、TiOやZrO等の周期表第4族元素化合物が存在するとアルミナ質焼結体の誘電損失が増大してしまうので、これらの元素含有量が酸化物換算で0.1質量%以下、特に0.05質量%以下であることが好ましい。
そして、この混合粉末に対して有機バインダ、溶媒を添加してスラリーを調整した後、これをプレス法、ドクターブレード法、圧延法、射出法などの成形方法によってグリーンシートを作製する。あるいは、混合粉末に有機バインダを添加し、プレス成形、圧延成形等の方法により所定の厚みのグリーンシートを作製する。なお、グリーンシートの厚みは特に規定されず、たとえば50〜300μmとすることができる。
そして、適宜、このグリーンシートに対して、マイクロドリル、レーザー等により直径が50〜250μmのビアホールを形成する。
このようにして作製されたグリーンシートに対して、Cu、AuおよびAgからなる群から選ばれる少なくとも1種の低抵抗金属粉末と、W、Moのうちの少なくとも1種の高融点金属粉末とを前述した比率(低抵抗金属が10〜70体積%、高融点金属が30〜90体積%)で混合して導体ペーストを調製し、この導体ペーストを各グリーンシートのビアホール内に充填し、またスクリーン印刷、グラビア印刷などの方法により配線パターン状に印刷塗布する。
なお、この導体ペースト中には、絶縁層との密着性を高めるために、上記の金属粉末以外にアルミナ粉末あるいは絶縁基体と同一組成物の混合粉末を添加してもよく、さらにはNi等の活性金属あるいはそれらの酸化物を0.05〜2体積%の割合で添加してもよい。
その後、導体ペーストを印刷塗布したグリーンシートを位置合わせして積層圧着した後、この積層体を非酸化性雰囲気中、最高温度が1200〜1500℃、特に1250〜1400℃の温度となる条件で焼成する。このとき、MnAlSi12の結晶化および1200〜1500℃の焼成温度での緻密化を促すことができるとともに、MnSiOの生成およびガラス(非晶質部)の残存を抑制するために、焼成時の1000℃から最高温度までの昇温過程における昇温速度を30〜50℃/hr、最高温度から1000℃までの降温過程における降温速度を30〜50℃/hrとするのが重要である。
この時の最高温度が1200℃より低いと、通常の原料を用いた場合において、アルミナ質焼結体を相対密度95%以上まで緻密化させることができず、熱伝導性や強度が低いものとなってしまい、最高温度が1500℃より高いと、WあるいはMo自体の焼結が進み、Cuの流動により均一組織を維持できなく、強いては低抵抗を維持することが困難となってしまう。また、アルミナ結晶の粒径が大きくなり異常粒成長が発生したり、Cuがセラミックス中へ拡散するときのパスである粒界の長さが短くなるとともに拡散速度も速くなる結果、拡散距離が30μmを超えて大きくなり、微細配線化を阻害してしまう。
また、昇温速度および降温速度が30℃未満であると製造上効率が悪く、50℃を越えると、MnSiOが生成されて耐薬品性が低下してしまう。
また、この焼成時の非酸化性雰囲気としては、窒素雰囲気あるいは窒素と水素との混合雰囲気であることが望ましい。特に、配線層中の銅の拡散を抑制する上では、水素および窒素を含み露点が+30℃以下、特に+25℃以下の非酸化性雰囲気であることが望ましい。なお、この雰囲気には所望によりアルゴンガス等の不活性ガスが混入されてもよい。焼成時の露点が+30℃より高いと、焼成中に酸化物セラミックスと雰囲気中の水分とが反応し酸化膜を形成し、この酸化膜と銅とが反応してしまい、導体の低抵抗化の妨げとなるのみでなく、銅の拡散を助長してしまうためである。
以上述べた方法により作製されたプローブカード用配線基板は、低抵抗金属を含む内部配線層を具備しつつ、耐薬品性に優れたものとなる。プローブカードは、半導体ウェハに接触させてテストするためのピン(測定端子21)がSi等により形成されているが、このピン形成工程において、エッチングのために40%の高濃度に調整されたKOH水溶液に2時間の長時間にわたって浸漬されたとしても、KOH水溶液中にプローブカード用配線基板1の絶縁基体11中の成分が溶出することによる質量減少を0〜0.5質量%に抑制することができる。
純度が99%で平均粒子径が1.8μmのAl粉末に対して、純度が99%で平均粒子径が1.5μmのMn粉末、純度が99%で平均粒子径が1.0μmのSiO粉末、純度が99.9%で平均粒子径が0.7μmのMgCO粉末、純度が99%で平均粒子径が1.3μmのCaCO粉末、純度が99%で平均粒子径が1.0μmのSrCO粉末、純度が99%で平均粒子径が1.0μmのBaCrO粉末、純度90%を表1に示すような割合で混合した後、さらに、成形用有機樹脂(有機バインダ)としてアクリル系バインダと、有機溶媒としてトルエンを混合してスラリーを調製した後、ドクターブレード法にて厚さ200μmのシート状に成形し、グリーンシートを得た。
Figure 2009180518
得られたグリーンシートを所定厚みに積層し、露点+25℃の窒素水素混合雰囲気にて脱脂を行なった後、引き続き焼成を行ない、1000℃から最高温度の1350℃までを表2に示す昇温速度で昇温し、最高温度にて露点+25℃の窒素水素混合雰囲気にて1時間保持した後、1000℃までを表2に示す降温速度で冷却した。
得られたアルミナ質焼結体の粒界結晶相は、当該アルミナ質焼結体を粉砕し、X線回折により同定した。X線回折の結果より、α−Alのピーク強度Ia、MnAlSi12のピーク強度Im、MnSiOのピーク強度Ims、MnAlのピーク強度Imaを読み取り、Im/Ia、Ims/Ia、Ima/Iaを算出して表2に示した。
また、耐薬品性の指標として、焼結体の初期の質量及び100℃の水酸化カリウム40質量%水溶液に5時間浸漬させた後の質量を測定し、(「焼結体の初期質量」−「100℃の水酸化カリウム40質量%水溶液に5時間浸漬させた後の質量」)/「焼結体の初期質量」を算出し、質量減少率として表2に示した。なお、質量減少率が0.5%以下のものを○、0.5%を超えるものを×として表2に示した。
Figure 2009180518
表2から明らかなように、本発明のプローブカード用配線基板を構成する絶縁基体の形成材料であるアルミナ質焼結体は、水酸化カリウム40質量%水溶液に5時間浸漬させた際の質量減少率が0.5%以下であることから、このアルミナ質焼結体で絶縁基体を形成すれば、耐薬品性に優れたものが得られることがわかる。
なお、本発明範囲内の試料について、上記と同様にして作製したグリーンシートに対して、打抜き加工を施し、直径が200μmのビアホールを形成した。そして、平均粒径が2.5μmのCu粉末を50体積%、平均粒径が1.5μmのW粉末を50体積%にアクリル系バインダとアセトンを溶媒として混合し、導体ペーストを調製し、この導体ペーストをスクリーン印刷法によって上記のグリーンシートのビアホール内に充填するとともに、配線パターン状に印刷塗布した。なお、配線パターンは、線幅150μmとなるように調製した。
そして、作製した各シート状成形体を位置合わせして積層圧着して積層体を作製した。
その後、この積層成形体を露点+25℃の窒素水素混合雰囲気にて脱脂を行なった後、引き続き、1000℃から最高温度の1350℃までを表2に示す昇温速度で昇温し、焼成温度にて露点+25℃の窒素水素混合雰囲気にて1時間保持した後、1000℃までを表2に示した速度で冷却して配線基板を作製した。
この配線基板の配線層を走査型電子顕微鏡にて観察したところ、本発明のプローブカード用配線基板は導体層に剥離やクラックが生じていないことを確認した。
図1は本発明のプローブカード用配線基板の一実施形態の概略断面図である。 図2は本発明のプローブカードの一実施形態を用いた半導体素子の評価装置の説明図である。
符号の説明
1:プローブカード用配線基板
11:絶縁基体
12:内部配線層
13:表面配線層
14:ビアホール導体
2:プローブカード
21:測定端子

Claims (2)

  1. α−Alを主結晶とするアルミナ質焼結体からなる絶縁基体と、該絶縁基体の内部に形成された、Cu、AuおよびAgからなる群から選ばれる少なくとも1種の低抵抗金属と、WおよびMoの少なくともいずれか一方の高融点金属との複合導体からなる内部配線層とを備えており、
    前記アルミナ質焼結体は、MnAlSi12を有するとともに実質的にMnSiOを有しておらず、X線回折における前記α−Alの(110)面の回折強度をIa、前記MnAlSi12の(420)面の回折強度をImとしたとき、Im/Iaの値が0.02〜0.3であることを特徴とするプローブカード用配線基板。
  2. 請求項1に記載のプローブカード用配線基板の一方の表面に表面配線層が形成され、該表面配線層に半導体素子の電気特性を測定するための測定端子が接続されてなることを特徴とするプローブカード。
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