JP2009179493A - 重量コンクリート - Google Patents

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Abstract

【課題】メチルセルロースなどの増粘剤の添加を必要とせず、重量骨材とセメントペーストの分離が少なく、流動性が高くて施工性の良い重量コンクリートを提供する。
【解決手段】重量細骨材として鋼スラブ表面の溶削処理工程で発生するホットスカーフを含むことを特徴とし、また重量細骨材のうち呼び寸法0.15mmのふるいを通過する細骨材が質量百分率で10%ないし20%であって、下記する歪凹凸度が3.3以下の球状粒子が、粒径50μm以上5mm以下の全粒子のうち20%以上であることも特徴とする重量コンクリートを提供するものである。
[歪凹凸度]=[粒子輪郭の周の長さ]/[粒子輪郭面積と同じ面積の正円の直径]
【選択図】 なし

Description

本発明は、消波ブロック、放射線遮断壁等に用いられる重量コンクリートに関するものであり、特に重量骨材とセメントペーストが分離することなく、高い流動性を発現する重量コンクリートに関するものである。
重量コンクリートとは、通常より単位容積質量を大きくしたコンクリートであり、消波ブロック、護岸堤用コンクリート、放射線遮断壁、橋梁ウェイト等に用いられている。重量コンクリートに用いる重量骨材としては、磁鉄鉱や赤鉄鉱などの鉄鉱石が多く用いられてきたが、重量骨材として良質なものの入手が困難になってきており、高価な天然資源の使用は、経済的にも、環境配慮の観点からも好ましくない。鉄鉱石骨材に代わるものとしては、例えば、製鋼用転炉ダストを篩で分けた粗粒分を細骨材として活用する重量コンクリートが提案されている(特許文献1参照)。しかし、重量骨材として鉄鉱石を用いた場合にも、製鋼用転炉ダストの粗粒分などの代替物を用いた場合にも、重量骨材とセメントペーストとに大きな比重差があるため、分離が起こりやすいという課題があった。従来から、重量骨材とセメントペーストの分離を抑制するため、重量コンクリートにメチルセルロースなどの増粘剤の添加が行われている(例えば、特許文献2 3頁左上欄参照)。しかし、増粘剤の添加はセメントの水和反応を遅延させるため、大量に添加することは好ましくない。そのため、メチルセルロースなどの増粘剤の添加を必要とせず、重量骨材とセメントペーストの分離が少なく、流動性が高くて施工性の良い重量コンクリートが望まれていた。
特開平5−319880号公報 特開昭62−158181号公報
本発明は、メチルセルロースなどの増粘剤の添加を必要とせず、重量骨材とセメントペーストの分離が少なく、流動性が高くて施工性の良い重量コンクリートを提供するものである。
本発明は、少なくともセメント、重量骨材および水を混合してなる重量コンクリートにおいて、重量細骨材が、鋼スラブ表面の溶削処理工程で発生するホットスカーフを含むことを特徴とする重量コンクリート及びその硬化体を提供するものである。
また、本発明の重量コンクリートは、前記重量細骨材のうち呼び寸法0.15mmのふるいを通過する細骨材が質量百分率で10%ないし20%であって、下記する歪凹凸度が3.3以下の球状粒子が、粒径50μm以上5mm以下の全粒子のうち20%以上であることも特徴とする。
[歪凹凸度]=[粒子輪郭の周の長さ]/[粒子輪郭面積と同じ面積の正円の直径]
さらに、重量粗骨材が、製鋼過程で発生するダストを含む廃棄物を溶融して製造された人工石材を含むことも特徴とする。
本発明の重量コンクリートは、従来は増粘剤の大量添加なしには困難であると考えられていたセメントペーストと骨材の分離を抑えながら高い流動性を提供できる。これにより、例えば、重量コンクリートをポンプ圧送する場合に、材料分離を起こさず、したがって、管内の閉塞を生じさせず、さらに、増粘剤の大量添加を必要としないので、高い圧送圧を必要とせず、施工性が高まり、施工のための労力、コストが低減できる。また、型枠等への充填性が高まるため、より高密度となるほか、材料分離が抑えられるため、より一様な重量コンクリートが提供できる。
以下、本発明の重量コンクリートについてさらに詳細に説明する。本発明において重量コンクリートとは、特に言及しない場合は、粗骨材を含まない重量モルタルを含む広い概念で使用する。また、本発明において重量骨材とは、重量細骨材と重量粗骨材を含む概念で使用するが、重量コンクリートが重量モルタルを意味するときは、重量細骨材を示す。重量骨材は、通常の骨材よりも密度の高い骨材であり、本発明では表乾密度が4.0g/cm以上の骨材とする。ただし、表乾密度が4.0g/cm未満の骨材が混合されていても、全体で表乾密度が4.0g/cm以上であればよい。
本発明の重量コンクリートは、重量細骨材として、鋼スラブ表面の溶削処理工程で発生するホットスカーフを含むことを特徴とする。ホットスカーフは、連続鋳造スラブにより鋼スラブを鋳造する際、鋳型への溶鋼注入流によって、鋼スラブの長手方向表層部に連続的に析出するAl等の介在物を溶削除去する工程で発生するリサイクル材料であり、酸化鉄を主要構成成分とするため、重量骨材として使用するのに十分な4.8g/cm以上の表乾密度を有する。また、溶削工程で一旦液状に溶融した後、空中で冷え固まることにより、体積あたりの表面積が最小となる球形に近い形状の粒子またはその破砕物や凝集物で構成され、球状粒子が70%以上を占めている。さらには、粒度分布に偏りがなく、ホットスカーフを重量細骨材として用いることにより、材料分離を抑えながら高い流動性のある重量コンクリートが得られる。
しかし、ホットスカーフはリサイクル材としての発生量が多くないので、他のリサイクル材等と混合して用いることが好ましい。ホットスカーフと混合して用いる材としては、製鋼用転炉ダストを50μmふるいで分離した粗粒分や高炉水砕スラグから粉砕過程で分離される粒状銑鉄、製鋼の圧延工程で発生するミルスケールなどの製鋼リサイクル材が高い表乾密度を有するので好ましいが、電気炉酸化スラグや砕砂などの表乾密度が4g/cm以下の材であってもよい。ただし、混合した後の細骨材が、以下の条件を満たすときに、材料分離を抑えながら高い流動性のある重量コンクリートが得られる。すなわち、細骨材のうち呼び寸法0.15mmのふるいを通過する細骨材が質量百分率で10%ないし20%であって、球状粒子が粒径50μm以上5mm以下の全粒子のうち20%以上であることが望ましい。さらに、細骨材のうち呼び寸法1.2mmのふるいを通過する細骨材が質量百分率で70%ないし90%であることが好ましく、重量細骨材の最適粒度分布を示すと表1の通りとなる。
ここで、「球状粒子」とは、以下の式で定義される歪凹凸度が3.3以下の粒子をいう。
[歪凹凸度]=[粒子輪郭の周の長さ]/[粒子輪郭面積と同じ面積の正円の直径]
すなわち、走査型電子顕微鏡(SEM)画像の目視によって、その陰影から円板状や半球状と判断できる粒子を除き、明らかに球形に近い粒子を画像処理して解析する。画像処理は、一般的な画像処理ソフト(例えばAdobe Photoshop)を用いて行えばよい。まず、球形に近い粒子の画像から陰影を消して輪郭のみの図形を作成し、該図形の面積と、輪郭の周の長さを求める。該図形を円に近似して(該図形と同面積の円を想定して)、その円の面積πrから半径rを求め、その2倍として直径を求める。直径に対する周の長さの比は、輪郭が円に近いほど、すなわち粒子が球形に近いほど、小さくなり、円周率πに近い値になる。
Figure 2009179493
製鋼用転炉ダストのうち、50μmで篩い分けられた粗粉分であれば、ホットスカーフ70に対し、粗粉転炉ダスト30の容積比までならば、混合することができる。それ以上に粗粉転炉ダストを混合すると、呼び寸法0.15mmのふるいを通過する粒子が全粒子のうち質量百分率で20%を超えるため、十分なモルタルフローが得られない場合がある。
高炉水砕スラグから粉砕過程で分離される粒状銑鉄も金属鉄が主成分で4.8g/cm以上の表乾密度を示すとともに、球形に近い形状の粒子が50%程度含まれ、ホットスカーフと混合使用できるリサイクル材である。ホットスカーフ70に対し、粒状銑鉄30の容積比までならば、混合することができる。それ以上に粒状銑鉄を混合すると、呼び寸法0.15mmのふるいを通過する粒子が全粒子のうち質量百分率で10%に満たないため、十分なモルタルフローが得られない場合がある。
製鋼の圧延工程で発生するリサイクル材料のミルスケールであれば、ホットスカーフ30に対し、ミルスケール70の容積比までならば、混合することができる。それ以上にミルスケールを混合すると、球状粒子の割合が20%を下回り、流動性が確保できず、十分なモルタルフローが得られない場合がある。
本発明の重量コンクリートに用いる重量粗骨材としては、従来の鉄鉱石を用いることもできるが、高価な天然資源の使用は、経済的にも、環境配慮の観点からも好ましくない。また、電気炉酸化スラグ粗骨材を用いることもできる。本発明では、産業的な利用が十分になされていない資源の活用を目的のひとつにしており、製鋼過程で発生するダストを含む廃棄物を溶融して製造された人工石材を用いることが好ましい。特に、製鋼過程で発生するダストと、粉末状にした還元スラグとを混合して加熱溶融させ、冷却固化させて製造される人工石材は、溶融過程で遊離石灰や低沸点金属酸化物が除かれており、また重量粗骨材として十分な密度も有することから、本発明の粗骨材として有効である。また、重量コンクリートの単位容積質量が、あまり高くなくても良い用途の場合には、重量粗骨材に砕石等の密度の低い粗骨材を混合して使っても良い。
本発明の重量コンクリートに用いるセメントとしては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメントや、高炉セメント、フライアッシュセメント等の各種混合セメントや、エコセメント等が挙げられる。
本発明の重量コンクリートは、通常のコンクリートと同様の方法で製造することができる。すなわち、前記重量細骨材、前記重量粗骨材、前記セメントを混合し、水を加えて混練りすればよい。必要に応じて、減水剤や消泡剤などの混和剤を添加しても良い。重量コンクリートは高い密度を確保するため、単位水量を低くすることが好ましく、減水剤を添加することが好ましい。減水剤としては、リグニン系、ナフタレンスルホン酸系、メラミン系、ポリカルボン酸系の減水剤、AE減水剤、高性能減水剤または高性能AE減水剤を使用することができる。これらのうち、減水効果の大きな高性能減水剤や高性能AE減水剤を使用することが好ましい。また、高い密度を確保するために、空気の持込みを抑える必要がある場合には、消泡剤を添加しても良い。
細骨材粗骨材容積比、単位水量、水セメント比は、用途に合わせて適宜選択できる。現場施工でポンプ圧送を行う場合には、練り上がり時にスランプ18cm以上となる軟練りの配合やスランプフローが50〜60cmとなるような配合を行う。本発明では、例えば細骨材粗骨材容積比0.4〜0.8、単位水量160〜200kg/m、水セメント比30〜55%の範囲で適宜調整し、材料分離を抑えながらスランプ18cm以上またはスランプフロー50〜60cmを得ることができる。コンクリート製品工場で、流し込み振動成形する場合には、スランプ8〜18cm程度とすることで、高い充填性が得られる。本発明では、例えば細骨材粗骨材容積比0.4〜0.7、単位水量140〜200kg/m、水セメント比30〜55%の範囲で適宜調整し、材料分離を抑えながらスランプ8〜18cmを得ることができる。
重量モルタルの場合には、重量粗骨材を混合しない以外は、重量コンクリートと同様の方法で製造することができ、単位水量や水セメント比は、用途に合わせて適宜選択できる。モルタルの流動性を高めるためには、単位水量、水セメント比を高くすれば良いが、重量モルタルの密度を高く保つためには、単位水量、水セメント比を低くする必要がある。本発明では、前記重量細骨材を用いることにより、例えば単位水量220〜300kg/m、水セメント比30〜60%で、十分に高い流動性と材料分離抵抗性を得ることができる。
現場施工または型枠に充填した重量コンクリートは、通常のコンクリートと同様に、気中養生、湿潤養生、蒸気養生などの養生方法により、養生してコンクリート硬化体を得ることができる。本発明の重量コンクリートは高い流動性により、型枠の細部まで隙間なく充填が可能であり、また材料分離が抑えられるので、空洞や骨材の偏りがない良質の重量コンクリート硬化体が得られる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
(試験材料)
セメント(以下、略すときはCで示す)は、太平洋セメント社製の普通ポルトランドセメントを用いた。用いた細骨材(以下、略すときはSで示す)は、表2に示した。粗骨材(以下、略すときはGで示す)としては、大同テクニカ社製造(太平洋セメント社販売)の電気炉ダスト溶融人工石材;DSM2005(表乾密度4.13g/cm)を用いた。さらに、混和剤として、スランプ配合ではAE減水剤(BASFポゾリス社製;ポゾリスNo.70、以下、略すときはADで示す)を、スランプフロー配合では高機能AE減水剤(BASFポゾリス社製;レオビルドSP−8SV、以下、略すときはSPで示す)を用いた。
Figure 2009179493
試験1
(試験方法)
(1)表3に示すスランプ配合にて各材料を混合し、コンクリートを混練りした。ここで、Wは水を示し、W/C(水セメント比)は質量%比で50%とした。
(2)コンクリートのスランプ試験は、JIS A 1101に基づき、水平に設置した平滑な平板上にスランプコーン(上端内径100mm、下端内径200mm、高さ300mm)を置き、該スランプコーンにコンクリートを詰め、上端をならした後、直ちにスランプコーンを静かに鉛直に引き上げ、コンクリートの中央部において下がり(高さの減り)を0.5cm単位で測定し、スランプとした。
(試験結果)
スランプ測定結果を表3に示した。
Figure 2009179493
表3に示したとおり、本発明の重量コンクリート(実施例1)では、スランプ13.0cmが得られた一方で、同様の配合で従来の重量細骨材を用いて製造した重量コンクリートでは、磁鉄鉱を用いた比較例1でスランプ0.5cm、転炉ダスト粗粒分を用いた比較例2でスランプ1.0cmと極めて流動性が低くなった。この結果、本発明の重量コンクリートが従来の重量コンクリートに比して、極めて高い流動性を有することが示された。
試験2
(試験方法)
(1)表4に示すスランプフロー配合にて各材料を混合し、コンクリートを混練りした。W/C(水セメント比)は質量%比で37%とした。
(2)コンクリートのスランプフロー試験は、JIS A 1150に基づき、スランプ試験と同様にスランプコーンにコンクリートを詰め、スランプコーンを鉛直に引き上げ、コンクリートの動きが止まった後に、広がりが最大と思われる直径と、その直交する方向の直径を測定した。また、このときの材料分離の状態を目視観察した。
(試験結果)
スランプフロー測定結果および材料分離の有無を表4に示した。
Figure 2009179493
表4に示すとおり、実施例、比較例ともスランプフローが50cm程度となるように配合調整した。比較例では流動性を高めるため、実施例に比べ、単位水量を10kg/m、ペースト分(セメント)を27kg/m、高機能AE減水剤を比較例3では1.4kg/m、比較例4では0.9kg/m多く混合した。実施例では骨材とセメントペーストが分離することなく広がったが、比較例では材料が顕著に分離し、中心に骨材が残り、セメントペーストだけが広がった。
試験3
(試験方法)
試験2のスランプフロー試験で混練りしたコンクリートを内径15cm高さ30cmの円柱容器に投入し、テーブルバイブレーターで20秒間振動締固めを行い、気中養生にて14日間硬化した後、各試験体を垂直方向に切断して硬化体内の骨材の分布状況を観察し、材料分離の有無を確認した。
(試験結果)
代表例として、実施例2と比較例3の試験体の縦断面写真を図1に示した。
図1から明らかなとおり、実施例では骨材が試験体全体に均一に分布しているが、比較例では骨材が底部に偏り、ペーストが上部に分離した。
試験4
(試験方法)
(1)表乾密度5.08g/cm、球状粒子約75%のホットスカーフと、表乾密度5.84g/cm、球状粒子約73%の粗粉転炉ダストを適宜混合し、表5に粒度分布を示す混合砂1〜4を調整した。(混合砂2の混合容積比;ホットスカーフ70:粗粉転炉ダスト30)
(2)(1)で調整した混合砂に普通ポルトランドセメントを砂セメント容積比3.19で混合し、セメント547kg/mあたり、4.37kg/mのポリカルボン酸エーテル系高性能AE減水剤と、0.22kg/mの消泡剤と、246kg/mの水(水セメント比45.0%)を加えて、混練りした。
(3)JIS R 5201セメントの物理試験方法のフローコーンを用い、直径100mm、高さ40mmのフローコーンに(2)で調整したモルタルを充填し、コーンを引き抜いて、モルタルが広がった後の底部の直径をモルタルフローとして測定した。
(試験結果)
モルタルフローの測定結果を表5に示した。
Figure 2009179493
表5に示した結果より、混合砂1と2では、良好なモルタルフローが得られた。混合砂4では、粒径の小さな粒子が密に充填するため、混練りも困難なほど硬く、モルタルの流動が見られなかった。混合砂3ではわずかながらモルタルフローが見られ、詳細は示さないが、水セメント比を50%に増加すれば、モルタルフローは130mmまで増加したが、骨材とセメントペーストとの分離が生じた。以上のように、重量細骨材の粒度分布を呼び寸法0.15mmのふるいを通過する粒子が全粒子のうち質量百分率で20%以下となるように限定することにより、モルタルフローにおいて格段に顕著な効果が得られることが明らかになった。
試験5
(試験方法)
(1)表乾密度5.08g/cm、球状粒子約75%のホットスカーフと、表乾密度5.60g/cm、球状粒子約54%の粒状銑鉄(高炉水砕スラグから粉砕過程で磁選分離したもの)を適宜混合し、表6に粒度分布を示す混合砂5〜10を調整した。(混合砂7の混合容積比;ホットスカーフ70:粒状銑鉄30)
(2)(1)で調整した混合砂に普通ポルトランドセメントを砂セメント容積比3.19で混合し、セメント547kg/mあたり、5.46kg/mのポリカルボン酸エーテル系高性能AE減水剤と、0.22kg/mの消泡剤と、246kg/mの水(水セメント比45.0%)を加えて、混練りした。
(3)試験4と同様に、モルタルフローを測定した。
(試験結果)
モルタルフローの測定結果を表6に示した。
Figure 2009179493
表6に示した結果より、混合砂5、6および7では、良好なモルタルフローが得られた。これに比べ混合砂8、9および10では、明らかにモルタルの流動性が低くなった。また、混合砂9および10では若干、骨材とセメントペーストとの分離が生じた。以上のように、重量細骨材の粒度分布を呼び寸法0.15mmのふるいを通過する粒子が全粒子のうち質量百分率で10%以上となるように限定することにより、モルタルフローにおいて格段に顕著な効果が得られることが明らかになった。
試験6
(試験方法)
(1)表乾密度5.08g/cm、球状粒子約75%のホットスカーフと、表乾密度4.95g/cm、扁平な粒子で構成されるミルスケールを種々の容積比で混合し、混合砂を調整した。
(2)(1)で調整した混合砂に普通ポルトランドセメントを砂セメント容積比2.68で混合し、セメント584kg/mあたり、5.84kg/mのポリカルボン酸エーテル系高性能AE減水剤と、0.23kg/mの消泡剤と、292kg/mの水(水セメント比50.0%)を加えて、混練りした。
(3)試験4と同様に、モルタルフローを測定した。
(試験結果)
モルタルフローの測定結果を図2に示した。ホットスカーフ(HS)とミルスケール(MS)の混合比率が、20:80ではほとんどモルタルフローが見られず、骨材とセメントペーストとの分離が見られた。30:70からホットスカーフの混合比率が高い場合には、良好なモルタルフローが得られた。このとき、球状粒子の比率は20%以上であった。
本発明の重量コンクリートは、通常のコンクリートより高い単位容積質量を必要とする重量コンクリートの用途に広く利用でき、特にポンプ圧送などの高い施工性を必要とする用途で有用である。
重量コンクリート試験体の縦断面を示した写真である。左が実施例2、右が比較例3の試験体である。 ホットスカーフ(HS)とミルスケール(MS)の混合比率とモルタルフローの関係を示した図である。(試験6)

Claims (4)


  1. 少なくともセメント、重量骨材および水を混合してなる重量コンクリートにおいて、重量細骨材が、鋼スラブ表面の溶削処理工程で発生するホットスカーフを含むことを特徴とする重量コンクリート。

  2. 重量細骨材のうち呼び寸法0.15mmのふるいを通過する細骨材が質量百分率で10%ないし20%であって、下記する歪凹凸度が3.3以下の球状粒子が、粒径50μm以上5mm以下の全粒子のうち20%以上であることを特徴とする請求項1に記載の重量コンクリート。
    [歪凹凸度]=[粒子輪郭の周の長さ]/[粒子輪郭面積と同じ面積の正円の直径]
  3. 重量粗骨材が、製鋼過程で発生するダストを含む廃棄物を溶融して製造された人工石材を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の重量コンクリート。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の重量コンクリートを硬化させてなる重量コンクリート硬化体。
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