JP2014025722A - 海水で練り混ぜた放射線遮蔽用コンクリート - Google Patents

海水で練り混ぜた放射線遮蔽用コンクリート Download PDF

Info

Publication number
JP2014025722A
JP2014025722A JP2012164049A JP2012164049A JP2014025722A JP 2014025722 A JP2014025722 A JP 2014025722A JP 2012164049 A JP2012164049 A JP 2012164049A JP 2012164049 A JP2012164049 A JP 2012164049A JP 2014025722 A JP2014025722 A JP 2014025722A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aggregate
fine powder
radiation shielding
radiation
concrete
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2012164049A
Other languages
English (en)
Inventor
Makoto Kanai
誠 金井
Nobufumi Takeda
宣典 竹田
Norihiko Miura
律彦 三浦
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Obayashi Corp
Original Assignee
Obayashi Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Obayashi Corp filed Critical Obayashi Corp
Priority to JP2012164049A priority Critical patent/JP2014025722A/ja
Publication of JP2014025722A publication Critical patent/JP2014025722A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Curing Cements, Concrete, And Artificial Stone (AREA)

Abstract

【課題】放射線から周囲を安全に隔離するために使用する放射線遮蔽用コンクリートにおいて緻密性を向上させ、ひび割れの発生を抑制する。
【解決手段】
本発明は、放射線を遮蔽する放射線遮蔽用コンクリートであって、高炉系セメントと骨材を、海水を練り混ぜ水として練り混ぜることを特徴とする。そして、骨材としては重量骨材を用いることができる。重量骨材は、銅スラグ細骨材及び電気炉酸化スラグ粗骨材の組み合わせが好ましい。また、粒径0.3mm以下の重晶石微粉末等で構成される重量微粉末混和材を用いることが好ましい。
【選択図】図4

Description

本発明は、原子力発電施設、放射性廃棄物の貯蔵施設や処分構造物等、放射線から周囲を安全に隔離するために使用する放射線遮蔽用コンクリートに関する。
放射性物質を扱う施設や設備では、放射性物質が発生する放射線から周囲を安全に隔離する必要がある。放射線の遮蔽には施設等をコンクリートで構築することが有効であるが、高い遮蔽性を得るためにはコンクリート壁を十分な厚さに構築する必要があった。このため、多くのコンクリート材料が消費されていた。
そこで、コンクリート材料の消費を抑制できることから、放射線の遮蔽性を向上する試みがなされてきた。例えば、特許文献1には骨材として劣化ウランを用いたコンクリートが開示されている。また、特許文献2には製鋼用転炉ダストにセメントを配合したコンクリートが開示されている。さらに、特許文献3には磁鉄鉱や純鉄等の重量骨材を配合したコンクリートが開示されている。
特開昭61−91598号公報 特開平5−319880号公報 特開2006−38465号公報
このように、放射線の遮蔽性を向上するためにコンクリートに重量物を混入することが様々に検討されてきたが、放射線を遮蔽するのみならず放射性有害物を含んだ水や空気等が漏洩しないようにする必要もある。
この点、コンクリートに重量物を混入する従来技術では、重量物の沈降等によってひび割れが生じ易く、このひび割れを通じて放射性有害物を含んだ水や空気等が漏洩することが懸念された。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、放射線の遮蔽性を向上させつつひび割れの発生を抑制できる放射線遮蔽用コンクリートを提供することにある。
前述の目的を達成するため、本発明者等は鋭意検討を重ねた結果、練り混ぜ水に海水を用いることで、硬化後におけるコンクリートの緻密性を向上させることができるという知見を得、本発明を完成させるに至ったものである。
前述の目的を達成するため、本発明は、放射線を遮蔽する放射線遮蔽用コンクリートであって、高炉系セメントと骨材を、海水を練り混ぜ水として練り混ぜることを特徴とするものである。
本発明によれば、海水中の塩分とセメント由来のカルシウム分によって塩化カルシウムが生成され、セメント分の水和反応が促進される。また、水酸化物イオンの濃度上昇によって高炉スラグ分の反応が促進される。さらに、高炉系セメントがアルカリ骨材反応を抑制する。これらの作用によって、コンクリートの緻密化が図れ、ひび割れの発生を抑制できる。その結果、放射性有害物を含んだ水や空気等の漏洩を抑制できる。加えて、ホウ素が中性子線を吸収する性質を有することから、海水に含まれるホウ素によって中性子線の吸収効果を高めることができる。
前述の放射線遮蔽用コンクリートにおいて、二酸化ケイ素の微粒子を微粉末混和材として用いた場合には、この微粒子がセメント粒子や骨材の隙間に入り込むので、コンクリートの緻密性が向上する。また、ポゾラン反応を活性化させることもできる。
前述の放射線遮蔽用コンクリートにおいて、前記骨材として重量骨材を用いた場合には、放射線の遮蔽効果を高めることができる。
前述の放射線遮蔽用コンクリートにおいて、前記骨材を、銅スラグ細骨材及び電気炉酸化スラグ粗骨材の組み合わせにした場合には、コンクリートの密度を高めることができ、放射線の遮蔽効果を高めることができる。
前述の放射線遮蔽用コンクリートにおいて、粒径0.3mm以下の粉体で構成される、天然岩石微粉末、金属酸化物微粉末、及び、スラグ微粉末の少なくとも一種を重量微粉末混和材として用いた場合には、骨材として重量骨材を用いてもその分離を抑制でき、打設が順調に行える。
前述の放射線遮蔽用コンクリートにおいて、前記重量微粉末混和材が重晶石微粉末である場合には、骨材として重量骨材を用いてもその分離を抑制でき、酸化腐食等が生じず安定なものが得られる。
本発明によれば、放射線から周囲を安全に隔離するために使用する放射線遮蔽用コンクリートにおいて緻密性を向上させることができ、ひび割れの発生を抑制できる。
試験ケースを説明する図である。 コンクリートの各材料を説明する図である。 (a)は重晶石微粉末の写真、(b)は銅スラグの写真、(c)は電気炉酸化スラグの写真である。 各試験ケースの配合を説明する図である。 フレッシュ性状、圧縮強度等の測定結果を説明する図である。 (a)は放射線の遮蔽率を測定した結果を示す図、(b)は透水係数を示す図である。 (a),(b)は放射線の遮蔽率を測定した結果を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について説明する。まず、放射線遮蔽用コンクリートの実施形態についてその概略を説明する。詳細は後で説明するが、図1における試験ケースNo2及びNo4が本実施形態の放射線遮蔽用コンクリートである。
この放射線遮蔽用コンクリートは、高炉系セメントと骨材とを海水を用いて練り混ぜている点に特徴を有している。ここで、高炉系セメントとは、セメント成分として高炉スラグが含まれているセメントであり、代表的なものとして高炉セメントB種がある。骨材は、山砂や海砂或いは銅スラグ等の細骨材と、砕石や電気炉酸化スラグ等の粗骨材とがある。細骨材に関し、試験ケースNo2では山砂を用いているが、これは海砂の代わりとして用いている。すなわち本実施形態では、山砂と食塩とを併用することで海砂を模している。また、必要に応じて混和材を用いることができる。混和材としては、シリカヒューム(二酸化ケイ素の微粒子,SF)や重晶石微粉末が用いられる。そして、これらの各材料を海水によって練り混ぜている。
そして、試験ケースNo2のように、細骨材として山砂を用い、粗骨材として砕石を用いると、設計単位容積質量が2.3t/mの海水練りコンクリートが得られる。また、試験ケースNo4のように、細骨材として銅スラグを用い、粗骨材として電気炉酸化スラグを用いると、設計単位容積質量が2.93t/mの海水練り重量コンクリートが得られる。
このように、セメントとして高炉系セメントを用い、練り混ぜ水として海水を用いて放射線遮蔽用コンクリートを作製すると、次の効果が期待できる。
まず、高炉系セメントは、アルカリ骨材反応の抑制に効果があることが知られている。当該反応では、ナトリウムイオン等のアルカリイオンとある種の骨材とが反応し、膨張性を示す。そして、高炉系セメントを用いた場合、高炉系セメントがアルカリ骨材反応を抑制するので、海水や海砂に含まれる塩化ナトリウムを起源とするナトリウムイオンが多量に存在しても、コンクリートの膨張を抑制できると考えられる。このように、コンクリートの膨張を抑制できることから、ひび割れの発生抑制効果が期待できる。
また、塩化カルシウム(CaCl)の生成による水和の促進作用が期待できる。すなわち、海水中の塩分(塩化ナトリウム)が、セメント由来のカルシウム分と反応することで塩化カルシウムが生成され、この塩化カルシウムによってセメントの水和反応が促進されることが期待できる。
また、水酸化物イオンの濃度上昇に起因する高炉スラグの反応促進作用が期待できる。すなわち、海水中の塩化物イオンがセメント中の未水和のアルミン酸三石灰と反応すると固定される(フリーデル氏塩)。これに伴って水酸化物イオンが溶出し、pHが上昇して高炉スラグの反応が促進されることが期待できる。
このように、水和の促進及び高炉スラグの反応促進が生じることで、放射線遮蔽用コンクリートにおける緻密性を向上させることができ、ひび割れの発生を抑制できる。その結果、放射性有害物を含んだ水や空気等がひび割れを通じて漏洩するのを抑制できる。また、緻密性が向上されることから、構造物の壁厚を薄くすることもできる。
さらに、海水にはホウ素が含まれている。一般に、海水中のホウ素濃度は4.5mg/Lといわれている。このホウ素が中性子線を吸収する性質を有することから、練り混ぜ水に海水を用いることで、ホウ素による中性子線の吸収効果も期待できる。
また、シリカフュームの微粒子(平均0.15μm)を微粉末混和材として用いているので、セメントや骨材の隙間に微粉末混和材が入り込み、コンクリートの緻密性を向上させることができる。また、練り混ぜ後から早期にポゾラン反応を活性化させることもできる。これによっても、コンクリートの緻密性を向上させることができる。
試験ケースNo4では、細骨材として銅スラグを用い、粗骨材として電気炉酸化スラグを用いている。このように、銅スラグ細骨材や電気炉酸化スラグ粗骨材等の重量骨材を用いると、設計単位容積質量が2.9t/m以上の重量コンクリートを作製でき、放射線(γ線)の遮蔽能力を向上させることができる。これにより、構造物を作製する際の壁厚を薄くすることができる。なお、重量骨材としては、普通の岩石よりも密度(比重)の大きい骨材を用いることができる。例えば、密度が3g/cm以上の金属酸化物やスラグを用いることができる。
また、試験ケースNo4では、重量微粉末混和材として重晶石微粉末を用いている。この重晶石微粉末を用いることで、ペースト分(高炉系セメントのスラリー)の密度を高めることができ、重量骨材がペースト分から分離される不具合を抑制できる。その結果、コンクリートの打設を順調に行うことができる。なお、この微粉末混和材に関しては、粒径0.3mm以下の粉体で構成される、天然岩石微粉末、金属酸化物微粉末、及び、スラグ微粉末の少なくとも一種を用いることができる。そして、重晶石微粉末は化学的に安定な物質であるため、酸化腐食等が生じず安定なコンクリートが得られる。
次に、実施形態の詳細について説明する。まず、図1に示す各試験ケースと、その配合について説明する。試験ケースNo1は、練り混ぜ水として真水を用いた普通コンクリートであり比較例である。試験ケースNo2は、練り混ぜ水として海水を用いた海水練りコンクリートであり第1実施例である。試験ケースNo3は、練り混ぜ水として真水を用い、かつ、重量骨材を用いた重量コンクリートであり比較例である。試験ケースNo4は、練り混ぜ水として海水を用いるとともに重量骨材を用いた海水練り重量コンクリートであり第2実施例である。
図2に示すように、これらの試験ケースNo1〜4では、セメント(C)、混和材(SF,BA)、水(W)、細骨材(S)、粗骨材(G)、AE減水剤(HWR)、高性能AE減水剤(SP)、防錆剤(PI)、食塩(NaCl)、及び、消泡剤(NonAE)を用いた。
セメントには、密度が3.04g/cmの高炉セメントB種(太平洋セメント株式会社)を用いた。
混和材に関し、試験ケースNo2においてはシリカフュームを、試験ケースNo4においてはシリカフュームと重晶石微粉末を用いた。シリカフュームは、二酸化ケイ素の球形微粒子であり、エルケム株式会社製の商品名「エルケム940−U」を用いた。このシリカフュームは、粒径が0.5μm以下、平均粒径が0.15μm、密度が2.20g/cmであった。重晶石微粉末は、清水工業株式会社のものを用いた。この重晶石微粉末は、硫酸バリウムを主成分するものであり、図3(a)に示す外観を呈し、密度が4.27g/cm、粒径が0.3mm以下であった。
練り混ぜ水に関し、試験ケースNo1,3においては水道水(真水)を、試験ケース2,4においては常陸産の海水をそれぞれ用いた。水道水の密度は1.00g/cmであり、海水の密度は1.02g/cmであった。また、海水中の塩化物イオン濃度は、1.8%であった。
細骨材に関し、試験ケースNo1,2においては山砂を、試験ケース3,4においては銅スラグ細骨材をそれぞれ用いた。山砂は木更津産のもので、密度が2.63g/cm、吸水率が1.52%、粗粒率が2.63であった。銅スラグ細骨材は三菱マテリアル株式会社製のもので、図3(b)に示す外観を呈し、密度が3.49g/cm、吸水率が0.49%、粗粒率が3.14であった。
粗骨材に関し、試験ケースNo1,2においては砕石を、試験ケース3,4においては電気炉酸化スラグをそれぞれ用いた。砕石は青梅産のもので、密度が2.65g/cm、吸水率が0.73%、粗粒率が6.70であった。電気炉酸化スラグは株式会社星野産商製のもので、図3(c)に示す外観を呈し、密度が3.79g/cm、吸水率が0.62%、粗粒率が6.49であった。
AE減水剤は、コンクリート中に微細空気泡を一様に分布させる機能と、セメントの分散による減水機能とを兼ね備えている。本実施形態では、AE減水剤として日本シーカ株式会社製の商品名「シーカメントJS」を用いた。
高性能AE減水剤は、空気連行性をもち、AE減水剤よりも高い減水性能及び良好なスランプ保持性能をもつ混和剤である。本実施形態では、高性能AE減水剤として株式会社フローリック製の商品名「SF500S」(試験ケースNo1,3),「SF500SB」(試験ケースNo2,4)を用いた。
防錆剤は、錆の発生を抑制するための混和剤である。本実施形態では、太平洋マテリアル株式会社製の商品名「ラスナイン」を用いている。このラスナインは、亜硝酸塩系混和剤の一種である。なお、亜硝酸塩系混和剤から亜硝酸イオンが電離されるが、この亜硝酸イオンが存在すると塩化物イオンが固定される。これにより、水酸化物イオンの濃度が一層上昇し、高炉スラグ分の反応促進が期待できる。
食塩は、試験ケースNo2のみに用いた。これは、試験ケースNo2が海水と海砂(細骨材)の組み合わせを想定しているからである。そして、このNo2では、細骨材として山砂を用いたことから、海砂相当分の塩分を補うために食塩を添加した。本実施形態では、食塩として株式会社日本海水小名浜工場製のものを用いた。
消泡剤は、気泡を低減させるための混和剤である。本実施形態では、BASFポゾリス社製の商品名「No404」を用いている。
試験ケースNo1では、水セメント比(W/C)を50.0%、細骨材率(s/a)を48.1%とした。そして、水の単位量を159kg/m、セメントの単位量を318kg/m、山砂の単位量を875kg/m、砕石の単位量を951kg/mとした。また、セメント量の1.00%のAE減水剤を添加した。これにより、単位容積質量の設計値を2.30t/mとした。
試験ケースNo2では、水セメント比を50.0%、細骨材率を47.3%とした。そして、海水の単位量を159kg/m、シリカフュームの単位量を24kg/m、セメントの単位量を318kg/m、山砂の単位量を847kg/m、砕石の単位量を951kg/mとした。また、防錆剤を内割で17kg/m添加し、食塩を外割で2.54kg/m添加し、セメント量の1.60%のAE減水剤を添加した。これにより、単位容積質量の設計値を2.30t/m、塩化物イオン量の設計値を4.20kg/mとした。
試験ケースNo3では、水セメント比(W/C)を50.0%、細骨材率(s/a)を50.0%とした。そして、水の単位量を159kg/m、セメントの単位量を318kg/m、銅スラグ細骨材の単位量を1173kg/m、電気炉酸化スラグの単位量を1275kg/mとした。また、セメント量の1.50%の高性能AE減水剤、セメント量の0.020%の高性能AE減水剤を添加した。これにより、単位容積質量の設計値を2.93t/mとした。
試験ケースNo4では、水セメント比(W/C)を50.0%、細骨材率(s/a)を47.3%とした。そして、海水の単位量を159kg/m、セメントの単位量を318kg/m、シリカフュームの単位量を24kg/m、重晶石微粉末の単位量を95kg/mとした。また、銅スラグ細骨材の単位量を1057kg/m、電気炉酸化スラグの単位量を1275kg/mとした。さらに、セメント量の1.80%の高性能AE減水剤、セメント量の0.020%の高性能AE減水剤を添加した。これにより、単位容積質量の設計値を2.93t/m、塩化物イオン量の設計値を2.66kg/mとした。
各試験ケースNo1〜4のフレッシュコンクリートを作製した後、それぞれのケースについてフレッシュ性状の測定と、硬化体の圧縮強度、静弾性係数、及び、見かけの密度の測定を行った。各測定は、JIS或いはJSCEに規定される測定法に則って行った。以下、測定結果について説明する。
試験ケースNo1に関し、スランプは12.5cm、空気量は2.9%、単位容積質量は2.35t/m、温度は19.8℃であった。そして、材齢28日での圧縮強度は40.8N/mm、静弾性係数は29.6kN/mm、見かけの密度は2.38t/mであった。また、放射線遮蔽の試験日(材齢56日)における圧縮強度は67.5N/mm、静弾性係数は34.9kN/mm、見かけの密度は2.36t/mであった。
試験ケースNo2に関し、スランプは9.0cm、空気量は3.4%、単位容積質量は2.34t/m、温度は20.2℃であった。そして、材齢28日での圧縮強度は61.0N/mm、静弾性係数は32.8kN/mm、見かけの密度は2.37t/mであった。また、放射線遮蔽の試験日(材齢56日)における圧縮強度は66.2N/mm、静弾性係数は34.6kN/mm、見かけの密度は2.36t/mであった。
試験ケースNo3に関し、空気量は4.6%、単位容積質量は3.03t/m、温度は19.8℃であった。そして、放射線遮蔽の試験日(材齢11日)における圧縮強度は30.6N/mm、静弾性係数は33.5kN/mm、見かけの密度は3.06t/mであった。
試験ケースNo4に関し、スランプは6.0cm、空気量は3.1%、単位容積質量は3.10t/m、温度は20.8℃であった。そして、材齢28日での圧縮強度は78.4N/mm、静弾性係数は44.8kN/mm、見かけの密度は3.12t/mであった。また、放射線遮蔽の試験日(材齢56日)における圧縮強度は84.2N/mm、静弾性係数は46.4kN/mm、見かけの密度は3.14t/mであった。
また、硬化後の各試験ケースに対して放射線(γ線)の遮蔽性を測定した。測定は、直方体ブロック状に切り出した各試験ケースNo1〜4の供試体に対して行った。供試体の厚さは20cmと50cmの2種類とし、供試体の前面に向けて所定強度の放射線を照射した。また、供試体の前面、及び、供試体の背面にアラニン線量計を取り付け、放射線の線量を測定した。その後、前面線量率(Gy/h)と背面線量率(Gy/h)の比率から遮蔽線量率(%)を算出した。
まず、厚さ20cmの供試体の測定結果について説明する。図6(a)及び図7(a)に示すように、普通コンクリートの試験ケースNo1と海水練りコンクリートの試験ケースNo2とを比較すると、前者の遮蔽線量率が90.13%であったのに対し、後者の遮蔽線量率が90.46%であった。前者の透過線量率(9.87%)を基準にした場合、後者の透過線量率(9.54%)であり、遮へい性能は3%向上している。同様に、普通重量コンクリートの試験ケースNo3と海水練り重量コンクリートの試験ケースNo4とを比較すると、前者の遮蔽線量率が94.2%であったのに対し、後者の遮蔽線量率が94.62%であった。前者の透過線量率(5.8%)を基準にした場合、後者の透過線量率(5.38%)であり、遮へい性能は7%向上している。
次に、厚さ50cmの供試体の測定結果について説明する。図6(a)及び図7(b)に示すように、試験ケースNo1とNo2とを比較すると、前者の遮蔽線量率が99.32%であったのに対し、後者の遮蔽線量率が99.33%であった。僅かではあるが後者の方が、遮へい性能が向上していた。同様に、試験ケースNo3とNo4とを比較すると、前者の遮蔽線量率が99.51%であったのに対し、後者の遮蔽線量率が99.55%であった。こちらも、僅かではあるが後者の方が、遮へい性能が向上していた。なお、放射線は人間による感知が困難であるにも拘わらず被爆時の健康被害が甚大であることから、遮蔽線量率の向上は、僅かではあっても極めて重要な意義を有する。
また、試験ケースNo1とNo4については透水性試験を行った。この試験では、硬化状態の供試体を加圧容器にセットして加圧水を供給した。そして、加圧水が供給された供試体を、軸方向に沿って半割り(2分割)し、加圧水の供試体内部への浸透深さを測定した。測定した浸透深さに基づいて拡散係数を求め、求めた拡散係数に基づいて推定透水係数を求めた。
図6(b)に示すように、試験ケースNo1の透水係数は3.3×10−12m/secであったのに対し、試験ケースNo4の透水係数は4.7×10−14m/secであった。透水係数で2桁小さくなっていることから、海水を用いたことに起因する緻密化と重量微粉末混和材と用いたことに起因する緻密化が相互に作用したものと考えられる。
このように、以上の試験結果は、実施形態の概要で説明した理論を裏付けるものであった。すなわち、高炉セメントを海水で練り混ぜると、真水で練り混ぜた場合よりも緻密性が向上し、放射線の遮蔽性が向上する。そして、重量骨材を使用することにより、放射線の遮蔽性が一層向上する。さらに、重量微粉末混和剤を使用することにより、重量骨材の材料分離を抑制でき、打設を順調に行える。
以上の実施形態の説明は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に本発明にはその等価物が含まれる。例えば、次のように構成してもよい。
骨材に関し、銅スラグ細骨材と電気炉酸化スラグ粗骨材の組み合わせを例示したが、この構成に限定されるものではない。例えば、未洗浄の海砂を細骨材として用い、電気炉酸化スラグを粗骨材として用いても良い。また、金属酸化物を含有する岩石を砕いて骨材としてもよい。
重量微粉末混和材に関し、粒径0.3mm以下の重晶石微粉末を例示したが、これに限定されるものではない。天然岩石微粉末、金属酸化物微粉末、及び、スラグ微粉末の少なくとも一種を用いることができる。

Claims (6)

  1. 放射性物質から放射される放射線を遮蔽する放射線遮蔽用コンクリートであって、
    高炉系セメントと骨材を、海水を練り混ぜ水として練り混ぜることを特徴とする放射線遮蔽用コンクリート。
  2. 二酸化ケイ素の微粒子を微粉末混和材として用いることを特徴とする請求項1に記載の放射線遮蔽用コンクリート。
  3. 前記骨材として重量骨材を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の放射線遮蔽用コンクリート。
  4. 前記骨材は、銅スラグ細骨材及び電気炉酸化スラグ粗骨材の組み合わせであることを特徴とする請求項3に記載の放射線遮蔽用コンクリート。
  5. 粒径0.3mm以下の粉体で構成される、天然岩石微粉末、金属酸化物微粉末、及び、スラグ微粉末の少なくとも一種を重量微粉末混和材として用いることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の放射線遮蔽用コンクリート。
  6. 前記重量微粉末混和材は、重晶石微粉末であることを特徴とする請求項5に記載の放射線遮蔽用コンクリート。
JP2012164049A 2012-07-24 2012-07-24 海水で練り混ぜた放射線遮蔽用コンクリート Pending JP2014025722A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012164049A JP2014025722A (ja) 2012-07-24 2012-07-24 海水で練り混ぜた放射線遮蔽用コンクリート

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012164049A JP2014025722A (ja) 2012-07-24 2012-07-24 海水で練り混ぜた放射線遮蔽用コンクリート

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2014025722A true JP2014025722A (ja) 2014-02-06

Family

ID=50199515

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012164049A Pending JP2014025722A (ja) 2012-07-24 2012-07-24 海水で練り混ぜた放射線遮蔽用コンクリート

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2014025722A (ja)

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS4836222A (ja) * 1971-09-07 1973-05-28
JPH10130043A (ja) * 1997-07-22 1998-05-19 Nitsukai:Kk 重量モルタル
JP2000247705A (ja) * 1999-02-25 2000-09-12 Taiheiyo Cement Corp セメント混和剤及びこれを含むセメント組成物
JP2009179493A (ja) * 2008-01-29 2009-08-13 Taiheiyo Cement Corp 重量コンクリート
JP2009280460A (ja) * 2008-05-23 2009-12-03 Taiheiyo Cement Corp 重量骨材及び重量コンクリート
JP2012126628A (ja) * 2010-12-17 2012-07-05 Ohbayashi Corp 海水練りコンクリート及びコンクリート構造物

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS4836222A (ja) * 1971-09-07 1973-05-28
JPH10130043A (ja) * 1997-07-22 1998-05-19 Nitsukai:Kk 重量モルタル
JP2000247705A (ja) * 1999-02-25 2000-09-12 Taiheiyo Cement Corp セメント混和剤及びこれを含むセメント組成物
JP2009179493A (ja) * 2008-01-29 2009-08-13 Taiheiyo Cement Corp 重量コンクリート
JP2009280460A (ja) * 2008-05-23 2009-12-03 Taiheiyo Cement Corp 重量骨材及び重量コンクリート
JP2012126628A (ja) * 2010-12-17 2012-07-05 Ohbayashi Corp 海水練りコンクリート及びコンクリート構造物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Tyagi et al. Radiation Shielding Concrete with alternate constituents: An approach to address multiple hazards
CN106977145B (zh) 一种防辐射混凝土
Khalaf et al. Physicomechanical and gamma-ray shielding properties of high-strength heavyweight concrete containing steel furnace slag aggregate
CN106495577B (zh) 用废弃混凝土和重晶石湿磨工艺制备防辐射混凝土的方法
CN102246244A (zh) 废料储存容器及其组合物
JP2008157801A (ja) 中性子遮蔽低放射化コンクリートおよびモルタル
EP3064480A1 (en) Anti-radiation concrete composition and method of its production
Wang et al. Effects of coral sand powder and corrosion inhibitors on reinforcement corrosion in coral aggregate seawater concrete in a marine environment
Jaha et al. Ionizing radiation shielding efficacy of common mortar and concrete used in Bangladeshi dwellings
KR20140112195A (ko) 고유동 콘크리트용 무시멘트결합재 및 상기 결합재를 포함하는 친환경 고유동 콘크리트
Gharieb et al. Effect of using heavy aggregates on the high performance concrete used in nuclear facilities
JP2929077B2 (ja) 中性子遮蔽用水硬性材料及びこれを用いた中性子遮蔽体の製造方法
Florez et al. Calcium silicate phosphate cement with samarium oxide additions for neutron shielding applications in nuclear industry
El Shazly et al. Effect of slag as a fine aggregate on mechanical, corrosion, and nuclear attenuation properties of concrete
JP2014025722A (ja) 海水で練り混ぜた放射線遮蔽用コンクリート
JP6131459B2 (ja) モルタルまたはコンクリート用組成物およびそれを成形してなる成形品
US3645916A (en) Metallic mortars
JP2007303953A (ja) 放射線遮蔽用コンクリート
KR102128822B1 (ko) 방사선 차폐용 콘크리트 조성물 및 이의 콘크리트 경화물
CN109748567A (zh) 一种中低放射性废树脂磷铝酸盐水泥基固化基材
JP6685110B2 (ja) 放射線遮蔽用コンクリートとその製造方法
Khan et al. Evaluation of mechanical strength, gamma-ray shielding characteristics, and ITZ microstructural properties of heavyweight concrete using nano-silica (SiO2) and barite aggregates
Zaghloul et al. Characterization of nano-silica concrete for nuclear uses
Elamin et al. The effect of replacements 30% for each concrete component by iron filling in concrete on attenuation properties
Camilleri et al. Utilization of pulverized fuel ash in Malta

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150619

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160329

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160524

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160816

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20170228