JP2007015879A - 重量セメント並びに重量コンクリート及びその製造方法 - Google Patents

重量セメント並びに重量コンクリート及びその製造方法 Download PDF

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省吾 松村
Ryuji Nakao
隆二 中尾
Tetsuya Yamamoto
哲也 山本
Ikuo Shiyoumoto
育男 庄本
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Abstract

【課題】 重量骨材の使用限定がなく、セメントと骨材とが分離することのない重量コンクリート及びその製造方法並びに重量コンクリート用として用いられる重量セメントを提供する。
【解決手段】 密度が4.0g/cm3以上の集塵ダストとセメント粉末とを混合してなることを特徴とする重量セメント、並びにこの重量セメントと重量骨材及び水を配合してなることを特徴とする重量コンクリート及びその製造方法である。セメント粉末に密度が4.0g/cm3以上の高密度の集塵ダストを混合することにより、全体として密度の高い重量セメントが形成される。この重量セメントを用いて重量骨材と混練した重量コンクリートは、重量セメントと重量骨材間で、密度差に起因する分離が発生することがない。
【選択図】 なし

Description

本発明は、重量セメント並びに重量コンクリート及びその製造方法に関するものである。
重量コンクリートとは、通常のコンクリートより単位容積重量を大きくしたコンクリートである。重量コンクリートは多くの分野で使用されており、例えば放射線遮蔽用コンクリート、橋梁ウェイト、船舶バラスト、消波ブロック、護岸堤用コンクリート等として用いられている。
重量コンクリートは、その単位容量重量を大きくするため、その骨材として、普通の岩石などからなる一般の骨材よりも密度の大きい重量骨材を配合して製造される。重量骨材としては、鉄等の人工重量骨材や、重晶石、磁鉄鉱、赤鉄鉱、砂鉄等の天然産重量骨材が用いられている。
従来の重量コンクリート製造に当たっては、セメントより密度の大きい重量骨材を用いているため、コンクリート打設後に骨材が下方に沈下しやすく、これにより打ち込み、締め固め、仕上げなどの作業性を示すワーカビリティが劣ってしまうとともに、セメントや骨材などの材料同士が分離してしまい、密度分布や強度分布が不均一なコンクリートとなる問題があった。
特許文献1においては、赤鉄鉱粗骨材、赤鉄鉱細骨材およびアトマイズ鉄粉を骨材とし、各骨材の粒度分布を厳密に規定し、さらに細骨材比率と水セメント比を規定することにより、ワーカビリティを改善するとともに密度の大きい粗骨材の分離が低減されるとしている。
特開平6−122538号公報
特許文献1に記載の方法では、重量コンクリートの製造に当たって、特定のサイズを有する赤鉄鉱粗骨材、赤鉄鉱細骨材、アトマイズ鉄粉を使用する必要があるため、使用可能な材料が限定されるという問題がある。
本発明は、重量骨材の使用限定がなく、セメントと骨材とが分離することのない重量コンクリート及びその製造方法並びに重量コンクリート用として用いられる重量セメントを提供することを目的とする。
セメント粉末に密度が4.0g/cm3以上の高密度の集塵ダストを混合することにより、全体として密度の高い重量セメントが形成される。集塵ダストとセメント粉末とはともに微粉であるため、両者を良好に混合させることができる。また、両者とも微粉であるため、混合後は両者が分離することがない。この重量セメントを用いて重量骨材と混練した重量コンクリートは、コンクリート打ち込み前、打ち込み後のいずれにおいても、重量セメントと重量骨材間で、密度差に起因する分離が発生することがない。
本発明は上記知見に基づいてなされたものであり、即ちその要旨とするところは以下のとおりである。
(1)密度が4.0g/cm3以上の集塵ダストとセメント粉末とを混合してなることを特徴とする重量セメント。
(2)前記集塵ダストの比表面積が2000cm2/g以上であることを特徴とする上記(1)に記載の重量セメント。
(3)上記(1)又は(2)に記載の重量セメントと重量骨材及び水を配合してなることを特徴とする重量コンクリート。
(4)前記重量骨材が、磁鉄鉱、赤鉄鉱、硫化鉄鉱、チタン鉱、重晶石、砂鉄、研削屑、集塵ダスト及びこれらをコンクリート成形した後粉砕あるいは定型成形したものであることを特徴とする上記(3)に記載の重量コンクリート。
(5)上記(1)又は(2)に記載の重量セメントと重量骨材及び水を配合し混練した後、所定の型枠内に流し込むことを特徴とする重量コンクリートの製造方法。
(6)前記重量骨材が、磁鉄鉱、赤鉄鉱、硫化鉄鉱、チタン鉱、重晶石、砂鉄、研削屑、集塵ダスト及びこれらをコンクリート成形した後粉砕あるいは定型成形したものであることを特徴とする上記(5)に記載の重量コンクリートの製造方法。
本発明においてセメント粉末とは、それ自体で水硬性を有する無機質の粉末をいい、重量セメントとは上記セメント粉末と高密度の集塵ダストとを混合してなるものをいう。
本発明の重量セメントは、密度が4.0g/cm3以上の集塵ダストをセメント粉末と混合しているので、従来のセメント粉に比較して高密度であり、重量骨材と配合して重量コンクリートを製造するに際して、重量セメントと重量骨材の密度の差が小さくできるため、重量骨材について使用制限をすることなく任意の材料・粒度分布のものを使用でき、重量セメントと重量骨材とが分離することがない。
また、本発明の重量コンクリート及びその製造方法は、上記重量セメントと重量骨材とを配合しているため、重量セメントと重量骨材とが分離することがなく、重量骨材について使用制限をすることなく任意の材料・粒度分布のものを使用でき、ワーカビリティの良好な製造を行うことができる。
本発明の重量セメントは、セメント粉末に密度が4.0g/cm3以上の高密度の集塵ダストを混合したものであり、全体として密度の高い重量セメントが形成される。集塵ダストとセメント粉末とはともに微粉であるため、両者を任意の比率で良好に配合することができ、混合後は両者が分離することがない。コンクリート打ち込み前、打ち込み後のいずれにおいても、集塵ダストとセメント粉末とが密度差に起因して分離することがない。
本発明においてセメント粉末とは、それ自体で水硬性を有する無機質の粉末をいい、ポルトランドセメント、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント、エコセメントなどの通常に用いられるセメントが該当する。セメントの比表面積はJIS化されており、例えば普通ポルトランドセメントでは2500cm2/g以上である。
密度が4.0g/cm3以上の集塵ダストとしては、転炉乾ダスト、転炉湿ダスト(OGダスト)、電炉集塵ダスト、鉄鋼製品の表面精製集塵ダスト等を用いることができる。これら集塵ダストは、酸化鉄粉や鉄粉を主体としており、密度4.0g/cm3以上で 且つ平均粒径が4〜10μmの微粉の割合が多い特徴がある。本発明の重量セメントに混合する材料として集塵ダストに限定したのは、密度4.0g/cm3以上と高く、微粉である原料を容易に入手できるからである。また、本発明の集塵ダストの密度を4.0g/cm3以上と限定したのは、これによって得られる重量セメントの密度を大きくすることができるからである。
本発明において、密度とは、いわゆる真密度を意味し、JIS R5201 (1)密度試験によって計測する。集塵ダストなどの被測定物を鉱油の入ったフラスコに入れ、増加した体積と質量により密度を求めることができる。
本発明の重量セメントに混合する集塵ダストは、比表面積が2000cm2/g以上であると好ましい。このような比表面積を有する集塵ダストは十分に微細であってセメント粉末との良好な混合を実現することができる。集塵ダストとして上記例示したものを用いることにより、集塵ダストの比表面積を上記良好な範囲とすることができる。比表面積の測定方法としては、JIS R5201 (2)粉末試験により、ブレーン空気透過装置によって計測する。
密度が4.0g/cm3以上の集塵ダストとセメント粉末とを混合することにより、生成した重量セメントの密度を高密度とすることができる。集塵ダストの混合比率を高くするほど、重量セメントの密度が高くなる。本発明の重量セメントは、その密度を3.5g/cm3以上とすると好ましい。密度を4.0g/cm3以上とするとさらに好ましい。
集塵ダストとセメント粉末の混合比率として任意の比率を選択することができる。集塵ダストの混合比率を最も高くする場合は、容量比で95:5の容積比率までは重量セメントとしての強度を得ることができた。混合比率は混合後の密度と要求する重量セメントの強度を勘案して決めることができる。セメントに微粉である集塵ダストを混合して製造した重量セメントは、セメントの混合比率が低いにも関わらず、極めて高い圧縮強度が実現できる。
本発明の重量コンクリートは、上記本発明の重量セメントと重量骨材及び水を配合してなる。また、本発明の重量コンクリートの製造方法は、用いる重量骨材の密度に近い密度の重量セメントを選び、これらを水と配合し混練した後、所定の型枠内に流し込む。重量骨材の密度に合わせた密度の重量セメントを用いることにより、重量骨材との密度差を低減することができるので、コンクリート打ち込み後においてセメントと重量骨材とが分離する問題を解消することができる。また、セメント自体が重量セメントであって通常のポルトランドセメントなどに比較して密度が高いので、できあがった重量コンクリートの単位容量重量をより高いものとすることができる。
本発明の重量コンクリート及びその製造方法に用いる重量骨材として、磁鉄鉱、赤鉄鉱、硫化鉄鉱、チタン鉱、重晶石、砂鉄、研削屑、集塵ダスト及びこれらをコンクリート成形した後粉砕あるいは定型成形したものから選択して用いると好ましい。
磁鉄鉱、赤鉄鉱、硫化鉄鉱、チタン鉱、重晶石、砂鉄は、従来から用いられている高密度の重量骨材であり、密度は凡そ4〜5g/cm3である。研削屑は、鉄鋼製品などの金属材料を研削した際に発生する屑であり、密度が6〜7g/cm3と高いので重量骨材として有用である。集塵ダストは密度が高く、且つ微粉である特徴がある。
また、上記の重量骨材原料をコンクリート成形した後粉砕あるいは定型成形したものを重量骨材として用いても良い。特に研削屑や集塵ダストは、それ自体では塊状ではないので粗骨材として用いることができない。しかし、これらをコンクリート成形した後粉砕することにより、あるいはコンクリート定型成形して塊状とすることにより、重量粗骨材として使用することが可能となる。
本発明の重量コンクリートの製造において、重量セメント、重量骨材及び水の配合を決める手法は普通コンクリートの施工前配合を決める方法と基本的な差はない。すなわち、重量コンクリートでは、要求される重量コンクリートの密度が決まれば、これに合った重量骨材の材料と重量セメントの密度を決め、施工工事に要求される強度、ワーカービリティなどから重量粗骨材と重量細骨材の配合比及び配合量、重量セメント量、水の配合量が決定され、これらを混練して製造する。重量骨材と重量セメントとの間の密度を合わせているので、コンクリートのセメントと骨材とが分離することはない。
本発明は、密度の高い集塵ダストをセメント粉末と混合するだけでセメントより密度の高い重量セメントを得ることができる。この重量セメントは固化すると強度も高く、放射線遮蔽様モルタルなどに使用することができる。
重量コンクリートの原料として重量骨材の材料として鉱石、鉄粉、鉄系材料を用い、さらに本発明の重量セメントを用いることにより、重量骨材の分離が発生することなく、良好なワーカビリティーを実現することができる。
密度が6.0g/cm3、比表面積が2200cm2/gの集塵ダストを用い、本発明の重量セメントを製造した。集塵ダストとしては鉄鋼製品の表面精製集塵ダストを用いた。平均粒径は4.5μmである。集塵ダストと混合するセメント粉末としては、普通ポルトランドを用いた。密度は3.2g/cm3、比表面積は3100cm2/gであった。
集塵ダストとセメント粉末の配合質量比を調整し、実施例1と実施例2に示す重量セメントを製造した。集塵ダストとセメント粉末との配合比(質量%)、製造した重量セメントの密度を表1に示す。実施例1では密度が4.6g/cm3、実施例2では密度が5.4g/cm3の重量セメントとすることができた。
これら重量セメントは、製造の過程、貯蔵・運搬、コンクリートミキシング、コンクリート打ち込みの過程において、集塵ダストとセメント粉末とが分離することなく、良好なハンドリングを実現することができた。比表面積が2000cm2/gを超える集塵ダストは、セメント粉末と粉体形状が似ているため、密度に差があっても分離することなく配合比を自由に変えて混合することができるからである。
次に実施例3及び比較例として、重量骨材を用いて重量コンクリートを製造した。重量骨材と混合するセメントとして、実施例3では上記実施例2で製造した重量セメント(密度5.4g/cm3)を用い、比較例では通常のセメント(密度3.2g/cm3)を用いた。
まず、実施例3及び比較例で使用する重量骨材について説明する。鋼材表面を研削して発生する研削屑を、セメント粉末及び水と混合してコンクリート成形した。研削屑、セメント粉末、水の配合比は、質量比で70:23:7とした。成形後の密度は4.2g/cm3であった。コンクリート成形後に粉砕し、粒径5〜25mmのものを重量粗骨材、粒径5mm以下を重量細骨材とした。
実施例3及び比較例それぞれについて、表2に示す原料の配合比率(単位重量(kg/m3)でコンクリートを成形した。単位重量は、成形したコンクリート1m3あたりに使用した原料使用量(kg)を意味する。重量骨材と重量セメント(あるいはセメント)に水を用いて混練し、型枠に打設するとともに、100mmφ×200mmLの試験供試体を製造した。表2には成形したコンクリートの気乾密度(g/cm3)、圧縮強度(N/mm2)を示す。圧縮強度の測定はJIS A1108 「コンクリートの圧縮試験方法」に従った。
実施例3と比較例で製造した試験供試体について、側面側からX線写真を撮影した。図1には、実施例3と比較例について、試験供試体の外観写真及びX線写真を示す。図1のX線写真において、重量骨材の存在部分は黒色に表示され、重量骨材が存在しない部分は白色に表示されている。実施例3については試験供試体の上端から下端まで均一に重量骨材が存在していることがわかり、重量骨材の分離が全く見られない。一方比較材については、重量骨材が沈下して分離が発生しており、上端付近には重量骨材が存在しない部分が発生している。
気乾密度に着目すると、通常のセメントを用いた比較例では3.4g/cm3であったものが、本発明の重量セメントを用いた実施例3は4.2g/cm3という高い気乾密度のものを得ることができた。
圧縮強度に着目すると、比較例の圧縮強度は38.5N/mm2であり、通常のコンクリート成形体の圧縮強度範囲内であった。それに対し、実施例3の圧縮強度は63.1N/mm2と極めて高い圧縮強度が実現した。重量セメントに配合される集塵ダスト微粉末粒子が、セメント水和物を架橋接続する役割をなし、さらに密度が高いことで強度を増加させたのではないかと推測される。即ち、本発明の重量セメント及びその重量セメントを用いてなる重量コンクリートは、密度が大きく、重量骨材と混合しても分離を起こさないという効果を有するのみならず、付随的に非常に高い圧縮強度を有する重量コンクリートを得ることができることがわかった。
本発明及び比較例のコンクリート供試体について、外観写真とX線写真を示す図である。

Claims (6)

  1. 密度が4.0g/cm3以上の集塵ダストとセメント粉末とを混合してなることを特徴とする重量セメント。
  2. 前記集塵ダストの比表面積が2000cm2/g以上であることを特徴とする請求項1に記載の重量セメント。
  3. 請求項1又は2に記載の重量セメントと重量骨材及び水を配合してなることを特徴とする重量コンクリート。
  4. 前記重量骨材が、磁鉄鉱、赤鉄鉱、硫化鉄鉱、チタン鉱、重晶石、砂鉄、研削屑、集塵ダスト及びこれらをコンクリート成形した後粉砕あるいは定型成形したものであることを特徴とする請求項3に記載の重量コンクリート。
  5. 請求項1又は2に記載の重量セメントと重量骨材及び水を配合し混練した後、所定の型枠内に流し込むことを特徴とする重量コンクリートの製造方法。
  6. 前記重量骨材が、磁鉄鉱、赤鉄鉱、硫化鉄鉱、チタン鉱、重晶石、砂鉄、研削屑、集塵ダスト及びこれらをコンクリート成形した後粉砕あるいは定型成形したものであることを特徴とする請求項5に記載の重量コンクリートの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104743965A (zh) * 2015-03-25 2015-07-01 西南科技大学 一种可快速升温的沥青混合料的制备方法

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