JP4044956B1 - 重量骨材 - Google Patents

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Abstract

【課題】重量コンクリートや重量モルタルの細骨材として適切な粒径と密度を備えた重量骨材を安価に提供する。
【解決手段】主要構成成分としてFeO、Fe、金属鉄の少なくともひとつを含む骨材であって、全粒子のうち球状の粒子が20%以上であり、呼び寸法0.15mmのふるいを通過する粒子が全粒子のうち質量百分率で10%ないし20%であることを特徴とする重量骨材を提供するものである。また、本発明の重量骨材は、鋼スラブ表面の溶削処理工程で発生するリサイクル材料のホットスカーフを含むことも特徴とし、製鋼の圧延工程で発生するミルスケール、製鋼用転炉ダストのうち粒径50μmで篩い分けられた粗粒分、及び高炉水砕スラグから分離された粒状銑鉄から選択される少なくとも1種以上とホットスカーフとを混合して得られることも特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、消波ブロック、放射線遮断壁等の重量コンクリート、重量モルタルに用いられる重量骨材に関するものである。
重量コンクリートとは、通常より単位容積重量を大きくしたコンクリートであり、消波ブロック、護岸堤用コンクリート、放射線遮断壁、橋梁ウェイト等に用いられている。重量コンクリートに用いる重量骨材としては、磁鉄鉱や赤鉄鉱の鉄鉱石が多く用いられてきたが、重量骨材として良質なものの入手が困難になってきており、高価な天然資源の使用は、経済的にも、環境配慮の観点からも好ましくない。鉄鉱石骨材に代わるものとして、電気炉酸化スラグなどの鉄含有量の多いスラグも用いられるが、密度が4g/cm未満のものが多く、重量骨材として十分な密度のものの入手は困難である。他には、製鋼用転炉ダストにセメントを配合する重量コンクリートが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、コンクリートやモルタルの細骨材としてそのまま使用するためには、製鋼用転炉ダストの粒径は十分でなく、篩で分けた粗粒分しか使用できない。細粒ダストにセメントを配合して造粒し、直径200μm以上のペレットにして、骨材として用いる技術(例えば、特許文献2参照)も提案されているが、ペレット製造工程を経れば、コスト高になる。
特開平5−319880号公報 特開平6−24813号公報
また、特許文献3には、重量コンクリートの細骨材としてふるい呼び寸法2.5mmないし0.15mmのショットブラスト用スチール細粒を粒度調整して用いることが提案されている。しかし、種々のサイズの均一粒度に調整して製造された高価なショットブラスト用スチール細粒を配合して粒度調整することは極めてコスト高になるため、商業的な適用は進まなかった。これに代わる重量コンクリート用細骨材の材料として、高炉水砕スラグから分離された粒状銑鉄を用いることが提案されている(例えば、特許文献4参照)。しかし、これらの重量コンクリート用細骨材は、粗骨材とともに用いるコンクリート用細骨材として有効であるが、後に詳細を述べるとおり、細骨材のみを用いる重量モルタル用の細骨材としては、十分なモルタルフローが得られない、あるいは骨材とセメントペーストの分離が発生する場合があるという課題があった。
特開平2−172846号公報 特開2004−210574号公報
本発明は、重量コンクリートや重量モルタルの細骨材として適切な粒径と密度を備えた重量骨材を安価に提供するものである。特に、粗骨材とともに用いる重量コンクリート用だけでなく、重量モルタル用にも有用な重量細骨材を提供するものである。
本発明者は、上記課題を解決するため、重量骨材として十分な密度を有するリサイクル材料を種々比較し、重量骨材として最適な使用のための骨材の粒子形状および粒度分布を鋭意研究した結果、主要構成成分としてFeO、Fe、金属鉄の少なくともひとつを含む骨材であって、全粒子のうち球状の粒子が20%以上であり、呼び寸法0.15mmのふるいを通過する粒子が全粒子のうち質量百分率で10%ないし20%である場合に、格段に良好なモルタルフローが得られることなどの知見を得た。
したがって、本発明は、主要構成成分としてFeO、Fe、金属鉄の少なくともひとつを含む骨材であって、全粒子のうち球状の粒子が20%以上であり、呼び寸法0.15mmのふるいを通過する粒子が全粒子のうち質量百分率で10%ないし20%であることを特徴とする重量骨材を提供するものである。また、本発明の重量骨材は、鋼スラブ表面の溶削処理工程で発生するリサイクル材料のホットスカーフを含むことも特徴とし、製鋼の圧延工程で発生するミルスケール、製鋼用転炉ダストのうち粒径50μmで篩い分けられた粗粒分、及び高炉水砕スラグから分離された粒状銑鉄から選択される少なくとも1種以上とホットスカーフとを混合して得られることも特徴とする。さらにホットスカーフと、製鋼の圧延工程で発生するリサイクル材料のミルスケールとを混合容積比が100:0から30:70の範囲で混合して得られること、ホットスカーフと製鋼用転炉ダストのうち粒径50μmで篩い分けられた粗粒分とを混合容積比が100:0から70:30の範囲で混合して得られること、ホットスカーフと高炉水砕スラグから分離された粒状銑鉄とを混合容積比が100:0から70:30の範囲で混合して得られることも特徴とする。
本発明の重量骨材は、コンクリートやモルタルの細骨材に求められる適切な粒度分布を備え、球状粒子を適度に含有するため、コンクリートやモルタルのフレッシュ性状に適度な流動性とワーカビリティーを与えることができ、また密度が4.5g/cm以上で重量骨材として十分な密度を提供できる。さらに、製鋼工程で発生するリサイクル材料を混合して得られるため、資源の枯渇が懸念される高価な天然資源である鉄鉱石骨材の代替として有効である。
以下、本発明の重量骨材についてさらに詳細に説明する。本発明において重量骨材とは、表乾密度が4g/cm以上の骨材を指す。
本発明の重量骨材は、主要構成成分としてFeO、Fe、金属鉄の少なくともひとつを含む。主要構成成分としてFeO、Fe、金属鉄の少なくともひとつを含むとは、構成元素を蛍光X線分析により酸化物換算で求めたときのFeが65%以上であることが好ましい。構成元素を蛍光X線分析により酸化物換算で求めたときのFeが65%に満たないときは、骨材の表乾密度が4g/cm未満となる場合があり、好ましくない。より好ましくは、構成元素を蛍光X線分析により酸化物換算で求めたときのFeが75%以上であり、このときの重量骨材の表乾密度は、4.5g/cm以上になる。
重量骨材は、セメントペーストとの密度差が大きいため、コンクリートやモルタルの打設時に骨材とペーストが分離しやすい。したがって、重量骨材の形状により流動性が確保される必要がある。本発明の重量骨材は、全粒子のうち球状の粒子が20%以上含まれるため流動性が高く、コンクリートやモルタルに用いたときにセメントペーストと分離することなく、打設することができる。球状粒子が20%に満たない場合には、コンクリートやモルタルの打設時に骨材とペーストが分離する場合があり、好ましくない。
コンクリート、モルタルに用いる細骨材の最適粒度は、骨材の形状、表面粗滑度、配合などにより変化するものである。例えば砕砂のJIS規格(A 5005;非特許文献1)では、表1のように粒度分布が規定され、呼び寸法0.15mmのふるいを通過する粒子が全粒子のうち質量百分率で2%ないし15%とされている。一方、電気炉酸化スラグ骨材のJIS規格(A 5011−4;非特許文献2)では、その解説の中で微粒分を多くした方が良好なフレッシュコンクリートの性状が得られることが示され、1.2mm電気炉酸化スラグ骨材では、呼び寸法0.15mmのふるいを通過する粒子が全粒子のうち質量百分率で10%ないし30%とされている。しかし、密度が4.5g/cm以上であり、全粒子のうち球状の粒子が20%以上含まれる重量骨材で、良好なフレッシュコンクリートの性状を得るための最適な粒度分布についての知見が公開されたことはない。特許文献3には、重量コンクリート用の細骨材としてショットブラスト用スチール細粒を配合して用いることが示されているが、JASS5(日本建築学会 建築工事標準仕様書5 鉄筋コンクリート工事)に規定された粒度分布を満足するように調整されているだけで、コンクリート、モルタルの良好なフレッシュ性状を得るための重量骨材の詳細な粒度分布についての検討はなされていない。本発明者は、良好なモルタルフローを得るための重量骨材の粒度分布を詳細に検討し、表1に示す最適粒度分布を見出した。すなわち、本発明の重量骨材は、呼び寸法0.15mmのふるいを通過する粒子が全粒子のうち質量百分率で10%ないし20%であることを特徴とする。呼び寸法0.15mmのふるいを通過する粒子が全粒子のうち質量百分率で10%に満たないとき、あるいは20%を超えるときには、十分なモルタルフローが得られない、あるいは骨材とセメントペーストの分離が発生する場合があり好ましくない。
日本工業規格 JIS A 5005 コンクリート用砕石及び砕砂 日本工業規格 JIS A 5011−4 コンクリート用スラグ骨材―第4部:電気炉酸化スラグ骨材
Figure 0004044956
連続鋳造スラブにより鋳造した鋼スラブは、鋳型への溶鋼注入流によって、鋼スラブの長手方向表層部に連続的にAlなどの介在物が析出する。この鋼スラブの表層介在物を溶削除去する工程で発生するリサイクル材料のホットスカーフは、主要構成成分としてFeO、Fe、金属鉄を含み、構成元素を蛍光X線分析により酸化物換算で求めたときのFeが80%以上で、表乾密度は、4.8g/cm以上になる。また球状粒子が約70%を占め、しかも呼び寸法0.15mmのふるいを通過する粒子が全粒子のうち質量百分率で10%ないし20%の範囲内であり、そのまま本発明の重量骨材として用いることができる。しかし、本リサイクル材料の発生量はあまり多くはなく、他のリサイクル材料との混合使用が好ましい。例えば、製鋼用転炉ダストのうち、50μmで篩い分けられた粗粉分であれば、ホットスカーフ70に対し、粗粉転炉ダスト30の容積比までならば、混合することができる。それ以上に粗粉転炉ダストを混合すると、呼び寸法0.15mmのふるいを通過する粒子が全粒子のうち質量百分率で20%を超えるため、十分なモルタルフローが得られない場合があり、好ましくない。
高炉水砕スラグから粉砕過程で分離される粒状銑鉄も金属鉄が主成分で4.8g/cm以上の表乾密度を示すとともに、球形に近い形状の粒子が50%程度含まれ、ホットスカーフと混合使用できるリサイクル材である。ホットスカーフ70に対し、粒状銑鉄30の容積比までならば、混合することができる。それ以上に粒状銑鉄を混合すると、呼び寸法0.15mmのふるいを通過する粒子が全粒子のうち質量百分率で10%に満たないため、十分なモルタルフローが得られない場合があり、好ましくない。
製鋼の圧延工程で発生するリサイクル材料のミルスケールも、主要構成成分としてFeO、Fe、金属鉄を含み、構成元素を蛍光X線分析により酸化物換算で求めたときのFeが80%以上で、表乾密度は、4.8g/cm以上になる。また、ホットスカーフよりも少し粗粒側にシフトし、砕砂JISに近い粒度分布を有している。しかもリサイクル材料としての発生量が比較的多い。しかし、粒子形状はやや扁平なものが多いため、骨材として利用した場合にはコンクリートやモルタルの流動性が低下しやすく、過剰に単位水量や減水剤量を増やした場合には骨材とペーストが分離しやすい。したがって、ミルスケールをそのまま単独で重量骨材として用いることはできない。
本発明者は、ホットスカーフとミルスケールを種々の混合比で混合し、重量骨材としての適正を検討した。その結果、ホットスカーフ30に対し、ミルスケール70の容積比まで混合できることを確認した。それ以上にミルスケールを混合すると、球状粒子の割合が20%を下回り、流動性が確保できず、十分なモルタルフローが得られないため、好ましくない。さらに、モルタルフローを得るために単位水量を増加した場合には、骨材とセメントペーストとの分離が生じる場合がある。なお、ホットスカーフとミルスケールの混合容積比が40:60か、それよりもホットスカーフの割合が多い場合には、モルタルから空気が抜けやすく、モルタルの単位容積質量が大きくできるので、より好ましい。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明する。
(試験方法)
(1)表乾密度5.08g/cm、球状粒子約70%のホットスカーフと、表乾密度5.84g/cm、球状粒子約70%の粗粉転炉ダストを適宜混合し、表2に粒度分布を示す混合砂1〜4を調整した。(混合砂2の混合容積比;ホットスカーフ70:粗粉転炉ダスト30)
(2)(1)で調整した混合砂に普通ポルトランドセメントを砂セメント容積比3.19で混合し、セメント547kg/mあたり、4.37kg/mのポリカルボン酸エーテル系高性能AE減水剤と、0.22kg/mの消泡剤と、246kg/mの水(水セメント比45.0%)を加えて、混練りした。
(3)JIS R 5201セメントの物理試験方法のフローコーンを用い、直径100mm、高さ40mmのフローコーンに(2)で調整したモルタルを充填し、コーンを引き抜いて、モルタルフローを測定した。
(試験結果)
モルタルフローの測定結果を表2に示した。
Figure 0004044956
表2に示した結果より、混合砂1と2では、良好なモルタルフローが得られた。混合砂4では、粒径の小さな粒子が密に充填するため、混練りも困難なほど硬く、モルタルの流動が見られなかった。混合砂3ではわずかながらモルタルフローが見られ、詳細は示さないが、水セメント比を50%に増加すれば、モルタルフローは130mmまで増加したが、骨材とセメントペーストとの分離が生じた。以上のように、重量骨材の粒度分布を呼び寸法0.15mmのふるいを通過する粒子が全粒子のうち質量百分率で20%以下となるように限定することにより、モルタルフローにおいて格段に顕著な効果が得られることが明らかになった。
(試験方法)
(1)表乾密度5.08g/cm、球状粒子約70%のホットスカーフと、表乾密度5.60g/cm、球状粒子約50%の粒状銑鉄(高炉水砕スラグから粉砕過程で磁選分離したもの)を適宜混合し、表3に粒度分布を示す混合砂5〜10を調整した。(混合砂7の混合容積比;ホットスカーフ70:粒状銑鉄30)
(2)(1)で調整した混合砂に普通ポルトランドセメントを砂セメント容積比3.19で混合し、セメント547kg/mあたり、5.46kg/mのポリカルボン酸エーテル系高性能AE減水剤と、0.22kg/mの消泡剤と、246kg/mの水(水セメント比45.0%)を加えて、混練りした。
(3)実施例1と同様に、モルタルフローを測定した。
(試験結果)
モルタルフローの測定結果を表3に示した。
Figure 0004044956
表3に示した結果より、混合砂5、6および7では、良好なモルタルフローが得られた。これに比べ混合砂8、9および10では、明らかにモルタルの流動性が低くなった。また、混合砂9および10では若干、骨材とセメントペーストとの分離が生じた。以上のように、重量骨材の粒度分布を呼び寸法0.15mmのふるいを通過する粒子が全粒子のうち質量百分率で10%以上となるように限定することにより、モルタルフローにおいて格段に顕著な効果が得られることが明らかになった。
(試験方法)
(1)表乾密度5.08g/cm、球状粒子約70%のホットスカーフと、表乾密度4.95g/cm、やや扁平な粒子で構成されるミルスケールを種々の容積比で混合し、混合砂11〜18を調整した。
(2)(1)で調整した混合砂に普通ポルトランドセメントを砂セメント容積比2.68で混合し、セメント584kg/mあたり、5.84kg/mのポリカルボン酸エーテル系高性能AE減水剤と、0.23kg/mの消泡剤と、292kg/mの水(水セメント比50.0%)を加えて、混練りした。
(3)実施例1と同様に、モルタルフローを測定した。また、モルタルの単位容積質量を測定した。
(試験結果)
モルタルフローの測定結果を図1に、モルタルの単位容積質量を図2に示した。
ホットスカーフ(HS)とミルスケール(MS)の混合比率が、20:80ではほとんどモルタルフローが見られず、骨材とセメントペーストとの分離が見られた。30:70からホットスカーフの混合比率が高い場合には、良好なモルタルフローが得られた。このとき、球状粒子の比率は20%以上であった。
ホットスカーフとミルスケールの混合比率が、40:60からホットスカーフの混合比率が高い場合には、モルタルの単位容積質量が格段に高くなっており、より好ましいことが示された。このとき、球状粒子の比率は25%以上であった。
ホットスカーフ(HS)とミルスケール(MS)の混合比率とモルタルフローの関係を示した図である。(実施例3) ホットスカーフ(HS)とミルスケール(MS)の混合比率とモルタルの単位容積質量の関係を示した図である。(実施例3)

Claims (5)

  1. 主要構成成分としてFeO、Fe23、金属鉄の少なくともひとつを含む骨材であって、全粒子のうち球状の粒子が20%以上であり、呼び寸法0.15mmのふるいを通過する粒子が全粒子のうち質量百分率で10%ないし20%であり、さらに、前記球状の粒子が、鋼スラブ表面の溶削処理工程で発生するホットスカーフ由来であることを特徴とする重量骨材。
  2. 製鋼の圧延工程で発生するミルスケール、製鋼用転炉ダストのうち粒径50μmで篩い分けられた粗粒分、及び高炉水砕スラグから分離された粒状銑鉄から選択される少なくとも1種以上とホットスカーフとを混合して得られることを特徴とする請求項1記載の重量骨材。
  3. ホットスカーフとミルスケールとを混合容積比が100:0から30:70の範囲で混合して得られる請求項1から2のいずれかに記載の重量骨材。
  4. ホットスカーフと製鋼用転炉ダストのうち粒径50μmで篩い分けられた粗粒分とを混合容積比が100:0から70:30の範囲で混合して得られる請求項1から2のいずれかに記載の重量骨材。
  5. ホットスカーフと高炉水砕スラグから分離された粒状銑鉄とを混合容積比が100:0から70:30の範囲で混合して得られる請求項1から2のいずれかに記載の重量骨材。
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