JP5588613B2 - セメントモルタル - Google Patents
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Description
(1)セメント、ポゾラン微粉末、水溶性カルシウム塩、減水剤、発泡剤、消泡剤、及び細骨材を含有してなり、セメントが普通ポルトランドセメントであり、膨張材を含有しないセメントモルタル組成物と、セメントとポゾラン微粉末からなる結合材100部に対して、15〜19部の水とからなるセメントモルタルであって、前記ポゾラン微粉末が、前記結合材100部中、16〜25部であり、SiO2含有率が90%以上で、酸化ジルコニウムを含有し、水素イオン濃度が酸性領域にあるシリカ質微粉末であり、前記水溶性カルシウム塩が酢酸カルシウムで、前記結合材100部に対して、0.2〜1.0部であり、前記減水剤がポリカルボン酸系減水剤であるセメントモルタルである。
(2)前記減水剤が、前記結合材100部に対して、固形分換算で0.4〜1.0部である前記(1)に記載のセメントモルタルである。
(3)前記発泡剤と消泡剤が、前記結合材100部に対して、発泡剤0.0001〜0.002部、消泡剤0.05〜0.3部である前記(1)又は前記(2)に記載のセメントモルタルである。
(4)前記細骨材が、最大粒径2.5mmで密度が3.0g/cm3以上の重量骨材である前記(1)〜(3)のいずれかに記載のセメントモルタルである。
本発明で使用する部や%は特に規定のない限り質量基準である。
また、本発明で、セメントモルタルとは、セメントペーストも含むものである。
ここで言う水素イオン濃度とは、シリカフューム20gを純水100gに入れ、マグネティックスタラーにて5分間攪拌した後、懸濁液中の水素イオン濃度をpHメータにより計測した値である。
一般に、シリカフュームとは、JIS A 6207で規定されているように、金属シリコンやフェロシリコンをアーク炉で製造する際に発生ずる排ガスから捕集される非晶質の二酸化けい素を主成分とする球状の超微粒子であり、その製造方法は、前記の他、例えば、金属シリコン微粉末を火炎中で酸化させる方法や高温火炎中でシリカ質原料微粉末を溶融する方法において、原料の熱処理条件を調整し、捕集温度を550℃以上にすることによって製造することができる。また、電気炉においてジルコンサンドを電融した際に、サイクロンなどで捕集した後、分級して製造されるものもある。その平均粒子径は、1μm以下の超微粒子である。
本発明では、電気炉においてジルコンサンドを電融した際に、サイクロンなどで捕集した後、分級して製造される、いわゆる、ジルコニア起源シリカフュームを使用する。
ジルコニア起源シリカフュームは、耐火物、研磨・研削材、電子材料、及び窯業顔料等に使用される電融ジルコニア(酸化ジルコニウムZrO2)を製造する際に副生されるもので、ジルコンサンド(ZrSiO4)を、例えば、2,200℃で電融した際に生じる排ガスを集塵したものである。
その平均粒子径は、0.1〜0.3μmの従来の金属シリコンやフェロシリコンをアーク炉で製造する際に発生ずる排ガスから捕集されるシリカフュームより粒が大きく、平均粒子径は、1μmである。
ポゾラン微粉末の使用量は、セメントとポゾラン微粉末からなる結合材100部中、16〜25部である。6部未満では強度発現が不充分であったり、ボールベアリング効果がなくなって、練り混ぜ時の負荷が大きくなる場合があり、25部を超えると練り混ぜ時の負荷が大きくなり所定の水量で流動性が得られない場合がある。
一般に、水溶性カルシウム塩には、酢酸カルシウム、蟻酸カルシウム、及び硝酸カルシウムなどがあるが、本発明では酢酸カルシウムを使用する。
低水比で優れた流動性を得るには、SiO2含有率が90%以上で、酸化ジルコニウムを含有し、水素イオン濃度が酸性領域にあるシリカフュームと、ポリカルボン酸系減水剤を用いることにより可能であるが、セメントの種類によっては、減水剤を多量に添加しなければならない場合があり、初期強度への影響がでるので、減水剤の添加量を一定範囲に抑えるため併用する。
水溶性カルシウム塩の使用量は、結合材100部に対して、0.2〜1.0部である。0.2部未満では流動性が不充分となる場合があり、1.0部を超えると効果は変わらず低下する場合もある。
減水剤の使用形態は粉体、液体のいずれでも使用できるが、プレミックス製品として使用する際には粉体が好ましい。
減水剤の使用量は、結合材100部に対して、固形分換算で0.4〜1.0部が好ましい。0.4部未満では高流動性が得られない場合があり、1.0部を超えると泡が発生したり凝結遅延を起こす場合がある。
また、本発明の効果を阻害しない範囲でメラミンスルホン酸系減水剤やリグニンスルホン酸系減水剤を併用することができる。
発泡剤としては特に限定されるものではなく、例えば、金属粉末や過酸化物等が挙げられる。なかでも添加量と効果の面からアルミニウム粉末が好ましいが、アルミニウム粉末の表面は酸化されやすく、酸化皮膜で覆われると反応性が低下するため、植物油、鉱物油、又はステアリン酸等で表面処理したアルミニウム粉末が好ましい。
発泡剤の使用量は、結合材100部に対して、0.0001〜0.002部が好ましい。0.0001部未満では発泡効果が不充分となる場合があり、0.002部を超えると発泡が大きく、強度が低下する場合がある。
消泡剤としては特に限定されるものではないが、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系消泡剤やプルロニック系化合物消泡剤等があげられる。
消泡剤の使用量は、結合材100部に対して、0.05〜0.3部が好ましい。0.05部未満では消泡効果が不充分でエントラップエアや減水剤のエントレンドエアが抜けきれず、流動性が得られにくかったり、強度が不充分となる場合があり、0.3部を超えると消泡された泡がセメントモルタル表面に多量にあがってくる場合がある。
重量骨材としては、流動性の保持性能、強度発現性等が得られ、密度が3.0g/cm3以上で、砕砂であれば特に限定されるものではないが、例えば、磁鉄鉱石、赤鉄鉱石、橄欖岩、フェロクロムスラグ、フェロニッケルスラグ、銅スラグ、及び電気炉酸化スラグなどの砕砂が挙げられる。本発明では、これらのうち一種又は二種以上を併用することが可能である。プレミックス製品として使用する際にはこれら砕砂の乾燥砂が好ましい。
細骨材の粒度は、流動性の面から最大粒径が2.5mmであることが好ましい。
細骨材の使用量は、結合材100部に対して、50〜150部が好ましい。50部未満では収縮量が多くなる場合があり、150部を超えると流動性や強度発現性が低下する場合がある。
ハンドミキサや高速グラウトミキサでの練り混ぜは、例えば、ペール缶等の練り容器やミキサにあらかじめ所定の水を入れ、その後ミキサを回転させながら前記混合したセメントモルタル組成物を投入し、3分以上練り混ぜることが好ましい。また、強制ミキサでの練り混ぜは、例えば、あらかじめ前記混合したセメントモルタル組成物をミキサに投入し、ミキサを回転させながら所定の水を投入し、少なくとも4分以上練り混ぜることが好ましい。練り混ぜ時間が所定時間未満では、練り不足のため適切なセメントモルタルの流動性が得られない場合がある。
セメントと、セメントとポゾラン微粉末からなる結合材100部中、表1に示すポゾラン微粉末と、結合材100部に対して、酢酸カルシウム0.5部、減水剤a0.6部(固形分換算)、発泡剤0.0008部、消泡剤0.15部、及び細骨材100部とを混合してモルタル組成物を調製し、水/結合材比が16%となるように水を添加して、高速ハンドミキサを用い、3分間練り混ぜして、モルタルを作製した。
作製したモルタルを用いて、20℃、80%RHの恒温恒湿室でその流動性を測定した。また、作製したモルタルを、20℃、80%RHの恒温恒湿室で型枠に打設し、膨張率や圧縮強度を測定した。結果を表1に併記する。
セメント :普通ポルトランドセメント、市販品
ポゾラン微粉末A:シリカヒューム、SiO2含有率95.2%、PH=2.90、ZrO2含有、市販品
ポゾラン微粉末B:シリカヒューム、SiO2含有率96.3%、PH=7.73、市販品
ポゾラン微粉末C:シリカヒューム、SiO2含有率89.1%、PH=9.49、市販品
酢酸カルシウム:市販品
減水剤a :ポリカルボン酸系減水剤、市販品
発泡剤 :アルミニウム粉末、市販品
消泡剤 :ポリオキシエチレンアルキルエーテル系消泡剤、市販品
細骨材 :フェロクロムスラグ、密度3.20g/cm3、2.5mm下品、市販品
流動性 :日本規格協会JIS R 5201-1997「セメントの物理試験方法」11.フロー試験で 15回の落下運動を行わない静置フローを測定。ここで使用するフローコーンは、附属書1セメントの試験方法−凝結と安定性の測定で使用するセメントペースト容器とした。流動性の経時変化はそのつどモルタルを高速ハンドミキサにて10秒間練り返して測定。
膨張率 :土木学会基準JSCE-F533-1999「PCグラウトのブリーディング率および膨張率試験方法」に準じて測定。材齢1日の測定値
圧縮強度 :土木学会JSCE-G505-1999「円柱供試体を用いたモルタルまたはセメントペーストの圧縮強度試験方法」に準じて測定。1日で脱型後、材齢まで20℃水中養生とし、材齢28日の測定値。
5は、圧縮強度が低いことが分かる。
また、SiO2含有率が90%以上であるが、水素イオン濃度がアルカリ領域であるポゾラン微粉末Bや、SiO2含有率が90%未満で水素イオン濃度がアルカリ領域であるポゾラン微粉末Cの比較例である実験No.1-6〜実験No.1- 9のモルタルは、ポゾラン微粉末A同等の減水剤量では練り混ぜができず、減水剤量を増して練り混ぜても、泡が多量に発生し、優れた流動性が得にくく、圧縮強度が低下する。
したがって、優れた流動性、優れた流動性の保持性能、適当な膨張率、及び高い圧縮強度を得るには、SiO2含有率が90%以上で水素イオン濃度が酸性領域にあるシリカフュームを、セメントとポゾラン微粉末からなる結合材100部中、16〜25部使用するのが好ましい。
セメントと、結合材100部中20部のポゾラン微粉末Aと、結合材100部に対し、酢酸カルシウム0.5部、表2に示す減水剤、発泡剤0.0008部、消泡剤0.15部、及び細骨材100部とを混合してモルタル組成物を調製したこと以外は実験例1と同様に行った。結果を表2に併記する。
減水剤b :ナフタレンスルホン酸系減水剤、市販品
セメントと、結合材100部中20部のポゾラン微粉末と、結合材100部に対して、表3に示す酢酸カルシウム、減水剤a0.6部、発泡剤0.0008部、消泡剤0.15部、及び細骨材100部とを混合してモルタルを調製したこと以外は実験例1と同様に行った。結果を表3に併記する。
セメントと、結合材100部中20部のポゾラン微粉末Aと、結合材100部に対して、酢酸カルシウム0.5部、減水剤a0.6部、発泡剤0.0008部、消泡剤0.15部、及び細骨材100部とを混合してモルタル組成物を調製し、表4に示す水/結合材比で練り混ぜたこと以外は実験例1と同様に行った。結果を表4に併記する。
- 2〜実験No.4- 4のモルタルは、優れた流動性、優れた流動性の保持性能、適当な膨張率、及び高い圧縮強度が得られる。
これに対して水/結合材比が15%未満の比較例である実験No.4- 1では、練り混ぜに大き
な負荷がかかり練り混ぜが困難であり、また、水/結合材比が19%を超える比較例である
実験No.4- 5では、泡の発生が多量にみられ、流動性保持は優れているが圧縮強度が低下
する。
したがって、本発明におけるモルタルの練り混ぜに使用する水/結合材比は15〜19%で
ある。
Claims (4)
- セメント、ポゾラン微粉末、水溶性カルシウム塩、減水剤、発泡剤、消泡剤、及び細骨材を含有してなり、セメントが普通ポルトランドセメントであり、膨張材を含有しないセメントモルタル組成物と、セメントとポゾラン微粉末からなる結合材100質量部に対して、15〜19質量部の水とからなるセメントモルタルであって、前記ポゾラン微粉末が、前記結合材100質量部中、16〜25質量部であり、SiO2含有率が90質量%以上で、酸化ジルコニウムを含有し、水素イオン濃度が酸性領域にあるシリカ質微粉末であり、前記水溶性カルシウム塩が酢酸カルシウムで、前記結合材100質量部に対して、0.2〜1.0質量部であり、前記減水剤がポリカルボン酸系減水剤であることを特徴とするセメントモルタル。
- 前記減水剤が、前記結合材100質量部に対して、固形分換算で0.4〜1.0質量部であることを特徴とする請求項1に記載のセメントモルタル。
- 前記発泡剤と消泡剤が、前記結合材100質量部に対して、発泡剤0.0001〜0.002質量部、消泡剤0.05〜0.3質量部であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のセメントモルタル。
- 前記細骨材が、最大粒径2.5mmで密度3.0g/cm3以上の重量骨材であることを特徴とする請求項1〜請求項3のうちのいずれか1項に記載のセメントモルタル。
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