JP2009175329A - 電子写真感光体及び電子写真装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】導電性支持体上に少なくとも電荷発生剤と電荷移動剤と結着樹脂とを有する感光層を積層してなる電子写真感光体において、前記電荷発生剤がオキシチタニウムフタロシアニンであって、該オキシチタニウムフタロシアニンがCuKαを線源とするX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)27.2°に最大ピークを有し、前記電荷移動剤が特定のトリフェニルアシン系スチリル化合物を含有することを特徴とする電子写真感光体。
【選択図】なし
Description
(1)「導電性支持体上に少なくとも電荷発生剤と電荷移動剤と結着樹脂とを有する感光層を積層してなる電子写真感光体において、前記電荷発生剤がオキシチタニウムフタロシアニンであって、該オキシチタニウムフタロシアニンがCuKαを線源とするX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)27.2°に最大ピークを有し、前記電荷移動剤が下記一般式(I)で表わされる化合物を含有することを特徴とする電子写真感光体;
(2)「前記電荷移動剤が下記式(Ia)で表わされる化合物を含有することを特徴とする前記第(1)項に記載の電子写真感光体;
(6)「前記オキシチタニウムフタロシアニンは、ブラッグ角(2θ±0.2°)27.2°に最大ピークを有し、かつ他の回折ピーク強度が27.2°の回折ピーク強度に対して30%以下の強度であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(5)項のいずれかに記載の電子写真感光体」、
(7)「前記オキシチタニウムフタロシアニンは、ブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、7.4°以上9.4゜未満の範囲にピークを有さず、更に26.3゜にピークを有さないことを特徴とする前記第(1)項乃至第(6)項のいずれかに記載の電子写真感光体」、
(8)「前記オキシチタニウムフタロシアニンは、更にブラッグ角(2θ±0.2°)9.7°、14.2°、18.0°、24.2°及び27.2°に回折ピークを有することを特徴とする前記第(7)項に記載の電子写真感光体」、
(9)「前記感光層にヒンダードフェノール系酸化防止剤を含有することを特徴とする前記第(1)項乃至第(8)項のいずれかに記載の電子写真感光体」、
(10)「前記感光層にアミン系酸化防止剤を含有することを特徴とする前記第(1)項乃至第(9)項のいずれかに記載の電子写真感光体」、
(11)「前記感光層に硫黄系酸化防止剤を含有することを特徴とする前記第(1)項乃至第(10)項のいずれかに記載の電子写真感光体」、
(12)「前記感光層にベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含有することを特徴とする前記第(1)項乃至第(11)項のいずれかに記載の電子写真感光体」、
(13)「感光体、および該感光体に接触するように配置された電圧が印加される帯電部材を有し、帯電、露光、現像、転写、除電(除電がない場合も含む。)を行なう電子写真装置において、該感光体が前記第(1)項乃至第(12)項のいずれかに記載の電子写真感光体を搭載することを特徴とする電子写真装置」。
また、後述する実施例と比較例の特性差からみてもわかるように、本発明の電子写真感光体は、高い応答性を持ち、繰り返し安定性を有し、高い市場要求に応えられるものである。
電荷発生層の形成方法としては、各種の方法を使用することができるが、例えば本発明のフタロシアニン組成物を電荷発生剤として用い、バインダー樹脂とともに適当な溶媒により分散もしくは溶解した塗布液を、所定の下地となる支持体上に塗布し、必要に応じて乾燥させて形成することができる。
また、電荷発生層と電荷移動層を上下逆に積層させた逆積層型電子写真感光体等についても適用することができる。さらに、電荷発生剤と電荷移動剤とを同一層に含有する単層型電子写真感光体にも適用できる。
さらに、基体にガラスを用いる場合、その表面に酸化錫、酸化インジウム、ヨウ化アルミニウムで被覆し、導電性を持たせてもよい。
感光層中からオキシチタニウムフタロシアニンを抽出する際に、オキシチタニウムフタロシアニンが結晶転移しないように注意しなければならない。また、感光層中にはバインダー樹脂や電荷移動剤等が含有されており、X線回折スペクトルを測定する上でそれらが障害となる。よって、バインダー樹脂や電荷移動剤等を除去し、オキシチタニウムフタロシアニンの結晶型を変えない溶媒を適宜選択する必要がある。
本発明で用いる特定結晶構造のオキシチタニウムフタロシアニンは、その具体的入手法、同定データも含めて、前記特許文献2の特開2004−233465号公報に、開示されている。
なお、感光層が電荷発生層と電荷移動層とからなる場合には、前記樹脂はどちらの層にも適用できる。
上記電荷移動剤は、本発明のオキシチタニウムフタロシアニンとの相性がよく、耐環境性に強い電子写真感光体を提供できるものである。
以下、具体的化合物を示すがこれらに限定されるものではない。
これら対称型構造のトリフェニルアミン系電荷移動物質は、例えば、特公平6−93124号公報記載の方法により容易に得ることができる。
(フタロシアニンの合成例1)
フタロジニトリル64.4gとα−クロロナフタレン150mlの混合物中に窒素気流下で6.5mlの四塩化チタンを5分間滴下した。滴下後、マントルヒーターにより200℃で2時間加熱して反応を完結させた。その後析出物をろ過し、ろ過残渣をαクロロナフタレンで洗浄した後、クロロホルムで洗浄し、さらにメタノールで洗浄した。その後、濃アンモニア水60mlとイオン交換水60mlの混合液により沸点下で10時間の加水分解反応を行なったのち、室温で吸引ろ過し、イオン交換水で洗浄が中性になるまで洗浄した。その後、メタノールで洗浄したのち、90℃の熱風で10時間乾燥したところ、青紫色の結晶型チタニルフタロシアニン粉末64.6gを得た。
次に、約10倍量の濃硫酸に溶解し、水にあけて析出させ、ろ過した後にウェットケーキをジクロロエタンにて室温で1時間攪拌して、本発明のチタニルフタロシアニン40gを得た。
1,3−ジイミノイソインドリン292部とスルホラン1800部を混合し、窒素気流下でチタニウムテトラブトキシド204部を滴下する。滴下終了後、徐々に180℃まで昇温し、反応温度を170℃〜180℃の間に保ちながら5時間撹拌して反応を行なった。反応終了後、放冷した後析出物を濾過し、クロロホルムで粉体が青色になるまで洗浄し、つぎにメタノールで数回洗浄し、さらに80℃の熱水で数回洗浄した後乾燥し、粗チタニルフタロシアニンを得た。
得られた熱水洗浄処理した粗チタニルフタロシアニン顔料のうち60部を96%硫酸1000部に3〜5℃下撹拌、溶解し、濾過した。得られた硫酸溶液を氷水35000部中に撹拌しながら滴下し、析出した結晶を濾過、ついで洗浄液が中性になるまで水洗を繰り返し、チタニルフタロシアニン顔料の水ペーストを得た。
この水ペーストにテトラヒドロフラン1500部を加え、室温下で撹拌し、ペーストの濃紺色の色が淡い青色に変化したら、撹拌を停止し、直ちに減圧濾過を行なった。濾過装置上で得られた結晶をテトラヒドロフランで洗浄し、顔料のウェットケーキ98部を得た。これを減圧下(5mmHg)、70℃で2日間乾燥して、チタニルフタロシアニン結晶78部を得た。
直径24mmの無切削アルミニウムからなる円筒ドラム上に、アルキド樹脂(ベッコライトM−6401−50大日本インキ化学工業社製)とアミノ樹脂(スーパーベッカミンG−821−60大日本インキ化学工業社製)を65:35の割合で混合し、さらに前記混合樹脂と酸化チタン(CR−EL石原産業社製)を1:3の割合とし、メチルエチルケトンに溶解して塗布液として、1.5μmの膜厚で形成した。
実施例1で得られた感光体表面に事務用カッターで円周方向とそれに交差する円筒軸方向にそれぞれ切込みを入れ、一辺が約2cmの切れ目を形成させる。その切り目の入った部分よりピンセットを用いて感光膜を剥離する。4−メトキシ−4−メチルペンタノン15mlを50mlビーカーに入れ、その中に前記剥離膜を浸漬し、電荷移動層を完全に溶解させた後によくかき混ぜてゲル状の微細片として溶媒中に分散させる。これをテフロン(登録商標)製メンブランフィルター(Pore size 0.2μm)で吸引ろ過し、ろ過物をPTX 10mlで洗浄する。次にろ過物が内側になるようにメンブランフィルターをシリコン無反射板に密着させ、メンブランフィルターだけを剥がしてシリコン無反射板にオキシチタニウムフタロシアニンを付着させ、それを風乾しX線回折の検体試料とした。
上記のように作成された検体試料を測定する場合は、粉末法にて測定しX線源としてCuKα(波長1.54178Å)を用い、測定条件は以下の通りである。
X線回折装置 フリップス社製 X’Pert
測定条件 X線管球 Cu
走査範囲 4°〜29°
管電圧 45kv
管電流 40mA
ステップ角度 0.01度
計数時間 20秒
受光スリット、発散スリット 可変型
照射幅 20mm
検体試料のX線回折図を図1に示す。図1によると、感光層から抽出されたオキシチタニウムフタロシアニンは、ブラッグ角(2θ±0.2°)9.7°、14.2°、18.0°、24.2°及び27.2°に回折ピークが確認された。
合成例1で得られた電荷発生剤に代えて、合成例2で得られたオキシチタニウムフタロシアニン10gとガラスビーズと共に乾式粉砕した後にメタノール150mlポリビニルブチラール樹脂5gを溶解させた液に加え、30分間サンドミルで分散し、次いでメチルエチルケトン350mlにポリビニルブチラール5gを溶解させた液を加えて再度サンドミルで20時間分散し、得られた分散液をろ過してガラスビーズを取り去り、電荷発生層用塗布液を作成した。これを浸漬塗工後乾燥し、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。以後実施例1と同様にして電子写真感光体を作成した。また、実施例1と同様のX線回折により感光層から抽出されたオキシチタニウムフタロシアニンのX線回折図を図2に示す。少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、7.4°以上9.4゜未満の範囲にピークを有さず、更に26.3゜にピークを有さないことが確認された。
実施例2で用いた電荷移動剤に代えて、式(Ib)で表わされる電荷移動剤を用い、他は実施例2と同様にして電子写真感光体を作成した。
実施例2で用いた電荷移動剤に代えて、式(Ic)で表わされる電荷移動剤を用い、他は実施例2と同様にして電子写真感光体を作成した。
実施例1で用いた電荷移動剤に代えて、式(Ib)で表わされる電荷移動剤を用いた以外は、他は実施例1と同様にして電子写真感光体を作成した。
実施例1で用いた電荷移動剤に代えて、式(Ic)で表わされる電荷移動剤を用いた以外は、他は実施例1と同様にして電子写真感光体を作成した。
実施例1で用いた電荷移動剤に代えて、式(Id)で表わされる電荷移動剤を用いた以外は、他は実施例1と同様にして電子写真感光体を作成した。
実施例1の電荷発生層を用い、バインダー樹脂としてポリカーボネート樹脂(Z400三菱瓦斯化学製)と、電荷移動剤として式(Ia)で表わされる化合物と、フェノール系酸化防止剤として2.6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、アミン系酸化防止剤としてN−フェニル−1−ナフチルアミン、硫黄系酸化防止剤としてジステアリル−3−3−チオジプロピオネート(スミライザーTPS、住友化学製)紫外線吸収剤として2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール(Tinuvin-P、geigy製)とを、重量比1.0:1.0:0.05:0.05:0.01:0.05で用意し、テトラヒドロフランに溶解し、電荷移動層用塗工液を調整した。電荷発生層を形成した基体を該電荷移動層用塗工液に浸漬塗工し、120℃で60分乾燥し、25.0μmの電荷移動層を形成し、電子写真感光体を作成した。
実施例2で用いられた電荷移動剤に代えて、下記式〔A〕で表わされる電荷移動剤を用い、他は実施例2と同様にして電子写真感光体を作成した。
実施例2で用いられた電荷移動剤に代えて、下記式〔B〕で表わされる電荷移動剤を用い、他は実施例2と同様にして電子写真感光体を作成した。
実施例2で用いられた電荷発生剤に代えて、図3で表わされるβ型オキシチタニウムフタロシアニンを用い、他は実施例2と同様にして電子写真感光体を作成した。
実施例1で用いられた電荷移動剤に代えて、式〔A〕で表わされる電荷移動剤を用い、他は実施例1と同様にして電子写真感光体を作成した。
実施例1で用いられた電荷移動剤に代えて、式〔B〕で表わされる電荷移動剤を用い、他は実施例1と同様にして電子写真感光体を作成した。
評価方法は、以下に述べるとおりである。
静電特性:電子写真感光体評価装置(山梨電子工業社製)を用い、実験例、実施例及び比較例によって作製された電子写真感光体を帯電、露光、現像、転写を1サイクルとして、1サイクル目の電位を初期とし、さらに1万サイクル後の表面電位(V0)、残留電位(VL)、露光量0.6μJ/cm2の静電特性を測定し、変化量を求めることにより評価した。その結果を表1に示す。
これに対し、比較例1〜5は、本発明の電荷発生剤と他の電荷移動剤との組み合わせにより、1万サイクル後の残留電位が大きく変化し、感光体特性として満足できるものでなかった。さらに他の電荷発生剤と本発明の電荷移動剤との組み合わせによると、1万サイクル後の残留電位が大きく変化し、感光体特性として満足できるものでなかった。
また、本発明によれば、接触帯電に対する耐絶縁破壊性に優れ、残留電位の上昇がない良好な感光体を提供できるものである。
12 帯電部材
13 電源
14 露光装置
15 現像装置
16 転写装置
17 クリーニング装置
18 除電器
19 定着装置
Claims (13)
- 前記オキシチタニウムフタロシアニンは、ブラッグ角(2θ±0.2°)27.2°に最大ピークを有し、かつ他の回折ピーク強度が27.2°の回折ピーク強度に対して30%以下の強度であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記オキシチタニウムフタロシアニンは、ブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、7.4°以上9.4゜未満の範囲にピークを有さず、更に26.3゜にピークを有さないことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記オキシチタニウムフタロシアニンは、更にブラッグ角(2θ±0.2°)9.7°、14.2°、18.0°、24.2°及び27.2°に回折ピークを有することを特徴とする請求項7に記載の電子写真感光体。
- 前記感光層にヒンダードフェノール系酸化防止剤を含有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記感光層にアミン系酸化防止剤を含有することを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記感光層に硫黄系酸化防止剤を含有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記感光層にベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含有することを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 感光体、および該感光体に接触するように配置された電圧が印加される帯電部材を有し、帯電、露光、現像、転写、除電(除電がない場合も含む。)を行なう電子写真装置において、該感光体が請求項1乃至12のいずれかに記載の電子写真感光体を搭載することを特徴とする電子写真装置。
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