JP2007293248A - 電子写真感光体及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】感光層の電荷発生材料が、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に最大のピークを有するとともに、示差走査熱量分析において、吸着水の気化に伴なうピーク以外に270〜400℃の範囲内に、1つのピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を含有し、前記感光層の正孔輸送剤が下記一般式(1)で表される電子写真感光体。
【選択図】なし
Description
前記感光層が、少なくとも結着樹脂と電荷発生材料と正孔輸送材料を含有するとともに、前記電荷発生材料が、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に最大のピークを有するとともに、示差走査熱量分析において、吸着水の気化に伴なうピーク以外に270〜400℃の範囲内に、1つのピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を少なくとも含有し、前記正孔輸送材料が下記一般式(1)で示される電子写真感光体が提供され、上述した問題を解決することができる。
すなわち、このような光学特性及び熱特性を有するチタニルフタロシアニン結晶を電荷発生剤として用い、さらに正孔輸送剤として特定の構造を有する正孔輸送剤を含有する電子写真感光体であれば、当該チタニルフタロシアニン結晶の感光層における分散性が良好であり、且つ感光層のクラックを抑制できるので、良質な画像を形成することができる。
すなわち、このように構成することにより、チタニルフタロシアニン結晶がβ型に転移することをさらに長期にわたって制御することができ、有機溶媒中におけるチタニルフタロシアニン結晶の貯蔵安定性を、さらに優れたものとすることができる
また、本発明の電子写真感光体を形成するにあたり、前記チタニルフタロシアニン結晶が有機溶媒中に7日間浸漬した後に回収したチタニルフタロシアニン結晶が、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、少なくともブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に最大ピークを有するとともに、26.2°にピークを有さないことが好ましい。
すなわち、このように構成することにより、有機溶媒中における結晶転移を、さらに確実に制御することができ、その結果、貯蔵安定性に優れたチタニルフタロシアニン結晶の良否を定量的に判断することができる。
前記感光層が、少なくとも結着樹脂と電荷発生材料と電荷輸送材料を含有するとともに、前記電荷発生材料が、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に最大のピークを有するとともに、示差走査熱量分析において、吸着水の気化に伴なうピーク以外に270〜400℃の範囲内に、1つのピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を少なくとも含有し、前記正孔輸送材料が下記一般式(1)で示される正孔輸送材料を含み、当該電子写真感光体の周囲に少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、及び転写手段が順次配置されたことを特徴とする画像形成装置である。
すなわち、このように構成することにより有機溶媒中に長期間浸漬した場合であっても結晶転移が少なく、貯蔵安定性に優れたチタニルフタロシアニン結晶を、電荷発生剤として用いる電子写真感光体を搭載することによって、良好な電気特性及び画像特性を有する画像形成装置を安定的に得ることができる。
本発明の第1の実施形態は、前記電荷発生材料が、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に最大のピークを有するとともに、示差走査熱量分析において、吸着水の気化に伴なうピーク以外に270〜400℃の範囲内に、1つのピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を少なくとも含有し、前記正孔輸送材料が上記一般式(1)で示される正孔輸送材料とを含有していることを特徴とする、電子写真感光体である。
1.電子写真感光体
本発明の画像形成装置を構成するにあたり、使用される感光体としては、単層型電子写真感光体または積層型電子写真感光体のいずれであってもよい。以下、単層型電子写真感光体及び積層型電子写真感光体について、それぞれ具体的に説明する。
1−1 単層型電子写真感光体
(1)基本的構成
本発明の画像形製装置を構成するにあたり、電子写真感光体が単層型電子写真感光体であることが好ましい。
(2)電荷発生剤
(2)−1 光学特性
本発明を構成するチタニルフタロシアニン結晶は、光学特性として、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に最大のピークを有することを特徴とする(第1の光学特性)。
(2)−2 熱特性
また、本発明を構成する特定のチタニルフタロシアニン結晶は、熱特性として、示差走査熱量分析において、吸着水の気化に伴うピーク以外に270〜400℃の範囲内に、1つのピークを有することを特徴とする。
(2)−3 チタニルフタロシアニン化合物の構造
また、チタニルフタロシアニン化合物の構造が、下記一般式(3a)で表される化合物であることが好ましい。
また、感光体における感度領域を調整するために、他の電荷発生剤を併用してもよい。他の電荷発生剤としては、これに限定されるものではないが、例えばセレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム、及びアモルファスシリコンなどの無機光導電材料の粉末、アゾ系顔料、ビスアゾ系顔料、ペリレン系顔料、アンサンスロン系顔料、本発明のチタニルフタロシアニン結晶以外の、従来のフタロシアニン系顔料、インジゴ系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、キナクリドン系顔料、及びジチオケトピロロピロール系顔料などの1種または2種以上が挙げられる。
(2)−5 添加量
また、電荷発生剤の添加量としては、後述する結着樹脂100重量部に対して0.1〜50重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
(3)結着樹脂
結着樹脂は、従来の結着樹脂を使用することができる。結着樹脂としては例えばスチレン系重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル系重合体、スチレン−アクリル系共重合体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、アルキッド樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、及びポリエーテル樹脂などの熱可塑性樹脂や、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、及びその他架橋性の熱硬化性樹脂、さらにエポキシ−アクリレート、及びウレタン−アクリレートなどの光硬化性樹脂などがあげられる。
(4)−1 種類
電子輸送材料としては、従来公知の種々の電子輸送性化合物がいずれも使用可能である。特にベンゾキノン系化合物、ジフェノキノン系化合物、ナフトキノン系化合物、マロノニトリル、チオピラン系化合物、テトラシアノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、フルオレノン系化合物〔例えば2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノンなど〕、ジニトロベンゼン、ジニトロアントラセン、ジニトロアクリジン、ニトロアントラキノン、無水こはく酸、無水マレイン酸、ジブロモ無水マレイン酸、2,4,7−トリニトロフルオレノンイミン系化合物、エチル化ニトロフルオレノンイミン系化合物、トリプトアントリン系化合物、トリプトアントリンイミン系化合物、アザフルオレノン系化合物、ジニトロピリドキナゾリン系化合物、チオキサンテン系化合物、2−フェニル−1,4−ベンゾキノン系化合物、2−フェニル−1,4−ナフトキノン系化合物、5,12−ナフタセンキノン系化合物、α−シアノスチルベン系化合物、4,’−ニトロスチルベン系化合物、及びベンゾキノン系化合物の陰イオンラジカルとカチオンとの塩などの電子吸引性化合物が好適に使用される。これらはそれぞれ単独で使用される他、2種以上を併用することもできる。
また、電子輸送剤の添加量としては、結着樹脂100重量部に対して20〜500重量部の範囲内の値とすることが好ましく、30〜200重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。なお、電子輸送剤と、後述の正孔輸送剤とを併用する場合には、その合計量を、結着樹脂100重量部に対して20〜500重量部の範囲内の値とすることが好ましく、30〜200重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
(5)正孔輸送剤
(5)−1 種類
一般式(I)において、Ra〜Rgにおける、ハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子が挙げられる。アルキル基は、炭素原子が1〜20、好ましくは1〜8のものが挙げられる。アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、t−ブチル、n−ブチル、ペンチル、ヘプチル等が挙げられる。アルコキシ基は、炭素原子が1〜20、好ましくは1〜8のものが挙げられる。アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等が挙げられる。アリール基としては、炭素数6〜30、好ましくは6〜12のものが挙げられる。例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基等が挙げられる。なかでもフェニル基が好ましい。アリール基に置換されていてもよい置換基は、特に限定されないが、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基等が挙げられる。なかでも、水素原子又はアルキル基が好ましい。
(5)−2 添加量
また、正孔輸送剤の添加量としては、結着樹脂100重量部に対して20〜500重量部の範囲内の値とすることが好ましく、30〜200重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。なお、正孔輸送剤と、上述の電子輸送剤とを併用する場合には、その合計量を、結着樹脂100重量部に対して20〜500重量部の範囲内の値とすることが好ましく、30〜200重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
(6)その他の添加剤
また、感光層には、上述の各成分の他に、例えば増感剤、フルオレン系化合物、紫外線吸収剤、可塑剤、界面活性剤、レベリング剤などの種々の添加剤を添加することもできる。また感光体の感度を向上させるために、例えばターフェニル、ハロナフトキノン類、及びアセナフチレンなどの増感剤を、電荷発生剤と併用してもよい。
(7)基体
上述の感光層が形成される基体としては、導電性を有する種々の材料を使用することができる。例えば鉄、アルミニウム、銅、スズ、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、及び真鍮などの金属にて形成された基体や、上述の金属が蒸着またはラミネートされたプラスチック材料からなる基体、あるいはヨウ化アルミニウム、酸化スズ、及び酸化インジウムなどで被覆されたガラス製の基体などが例示される。
(8)製造方法
単層型感光体を製造するにあたり、結着樹脂と、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、さらに必要に応じて電子輸送剤と、を溶媒に添加して、分散混合し、感光層用塗布液とする。すなわち、単層型感光体を塗布方法により形成する場合には、電荷発生剤としてのチタニルフタロシアニン結晶、電荷輸送剤、及び結着樹脂等を適当な溶剤とともに、公知の方法、例えばロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカー、及び超音波分散機等を用いて分散混合して分散液を調整し、これを公知の手段により塗布して乾燥させればよい。
(9)チタニルフタロシアニン結晶の製造方法
また、ここで本発明を構成するCuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に最大のピークを有するとともに、示差走査熱量分析において、吸着水の気化に伴なうピーク以外に270〜400℃の範囲内に、1つのピークを有するチタニルフタロシアニン結晶の製造方法について説明する。
(a)o−フタロニトリルまたはその誘導体、もしくは1,3−ジイミノイソインドリンまたはその誘導体1モルに対して、チタンアルコキシドまたは四塩化チタンを0.40〜0.53モルの範囲内の値で添加し、かつ、o−フタロニトリルまたはその誘導体、もしくは1,3−ジイミノイソインドリンまたはその誘導体1モルに対して尿素化合物を0.1〜0.95モルの範囲内の値で添加して反応させ、チタニルフタロシアニン化合物を製造する工程
(b)(a)工程において製造したチタニルフタロシアニン化合物に対して、酸処理を実施し、チタニルフタロシアニン結晶を製造する工程
以下、電荷発生剤の項において既に説明した内容は適宜省略し、上述のチタニルフタロシアニン結晶の製造方法について中心に説明する。
(9)−1 チタニルフタロシアニン化合物の製造工程
チタニルフタロシアニン化合物の製造方法としては、かかる分子の製造材料としてのo−フタロニトリルまたはその誘導体、もしくは1,3−ジイミノイソインドリンまたはその誘導体と、チタンアルコキシドまたは四塩化チタンと、を尿素化合物の存在下において反応させて、チタニルフタロシアニン化合物を製造することが好ましい。
(9)−2 チタニルフタロシアニン結晶の製造工程
次いで、上述した工程において製造されたチタニルフタロシアニン化合物に対して、後処理としての酸処理を実施し、チタニルフタロシアニン結晶を得ることが好ましい。
1−2 積層型感光体
(1)基本的構成
図2(a)に示すように、積層型感光体20は、基体12上に、蒸着または塗布等の手段によって、電荷発生剤としての特定のチタニルフタロシアニン結晶を含有する電荷発生層24を形成し、次いでこの電荷発生層24上に、電荷輸送剤等と、結着樹脂を含む感光層用塗布液を塗布し、それを乾燥させて電荷輸送層22を形成することによって作成することができる。
(2)種類
本発明の積層型感光体を構成するにあたり、電荷発生剤、正孔輸送剤、結着樹脂、及びその他の添加剤等の種類については、上述した単層型感光体と基本的に同様の内容とすることができる。
(3)添加量
また、本発明の積層型感光体に用いられる電荷発生剤の添加量は、電荷発生層を構成する結着樹脂100重量部に対して、5〜1000重量部の範囲内の値とすることが好ましく、30〜500重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
(4)製造方法
電荷発生層、電荷輸送層、及び中間層等の製造方法は、それぞれ結着樹脂、及びその他の添加物を適当な分散媒とともに、公知の方法を用いて分散混合して感光層用塗布液を調製し、次に、それぞれ公知の手段で塗布、及び乾燥すればよい。
以下、本発明の画像形成装置及びそれを用いた画像形成方法について、各構成要件に分けて説明する。
1.基本的構成及び画像形成方法
第1の実施形態における画像形成装置の基本的構成として、図3に示すような複写機30を挙げることができる。かかる複写機30は、画像形成ユニット31、排紙ユニット32、画像読取ユニット33、及び原稿給送ユニット34を備えている。また、画像形成ユニット31には、画像形成部31a及び給紙部31bがさらに備えられている。
2. プロセススピード
また、上述した電子写真感光体におけるプロセススピードを100〜250mm/secの範囲内の値とすることが好ましい。
3.除電手段
本発明としての画像形成装置を構成する除電手段としては、従来公知の除電手段を用いることができる。例えば、除電ランプ、除電チャージャ等が用いられ、それぞれ露光光源、帯電手段等で使用されるものが利用できる。
4.クリーニング手段
本発明としての画像形成装置を構成するクリーニング手段としては、従来公知のクリーニング手段を用いることができる。例えば、ウレタンゴムなどの弾性材料からなる板状のクリーニングブレードのエッジを、電子写真感光体に圧接させて残留トナーを掻取るようなものが挙げられる。また、クリーニング部材をブレードとローラとで構成し、当該ローラとして、その表面に研磨剤を有する研磨剤付ローラ等が挙げられる。
5.転写手段
また、本発明の画像形成装置を構成する転写手段が、電子写真感光体に対して接触配置されていることが好ましい。この理由は、チャージャ等を用いる非接触方式の転写手段を用いた場合と比較して、転写電流を低く抑えることができるのみならず、オゾン発生量を抑えることもできるためである。そして、一方で、本発明においては、既に電荷発生剤の項において記載したように、感光層における電荷発生剤としてのチタニルフタロシアニン結晶の分散性が良好であるため、転写時における感光体への電流のリークを効果的に抑制し、黒筋及び黒点等の発生を防止することができるためである。
(合成例1)チタニルフタロシアニン結晶の製造
(1)チタニルフタロシアニンAの製造
アルゴン置換したフラスコ中に、o−フタロニトリル22g(0.17モル)と、チタンテトラブトキシド25g(0.073モル)と、尿素2.28g(0.038モル)とキノリン300gとを加え、攪拌しつつ150℃まで昇温した。次に、反応系から発生する蒸気を系外へ留去しながら215℃まで昇温した後、この反応温度を維持しつつさらに2時間、攪拌して反応させた。
(2)チタニルフタロシアニン結晶Aの製造
(2)−1 酸処理前工程
上述したチタニルフタロシアニン化合物の製造で得られた青紫色の固体10gを、N,N−ジメチルホルムアミド100ミリリットル中に加え、攪拌しつつ130℃に加熱して2時間、攪拌処理を行った。次に、2時間経過した時点で加熱を停止し、23±1℃まで冷却した後、攪拌を停止し、この状態で12時間、液を静置して安定化処理を行った。次いで、安定化された液をガラスフィルターによってろ別し、得られた固体をメタノールで洗浄した後、真空乾燥して、チタニルフタロシアニン化合物の粗結晶9.83gを得た。
(2)−2 酸処理工程
上述した酸処理前工程で得られたチタニルフタロシアニンの粗結晶5gを、濃硫酸100ミリリットルに加えて溶解した。次に、この溶液を、氷冷下の水中に滴下したのち室温で15分間攪拌し、さらに23±1℃付近で30分間、静置して再結晶させた。次に、上述した液をガラスフィルターによって濾別し、得られた固体を洗浄液が中性になるまで水洗した後、乾燥させずに水が存在した状態で、クロロベンゼン200ミリリットル中に分散させて50℃に加熱して10時間攪拌した。次いで、液をガラスフィルターによって濾別したのち、得られた固体を50℃で5時間、真空乾燥させて、式(3)で表される無置換のチタニルフタロシアニンの結晶(青色粉末)4.1gを得た。
(3)光学特性及び熱特性
(3)−1 CuKα特性X線回折スペクトル測定
また、得られた、製造後60分以内のチタニルフタロシアニン0.3gを、テトラヒドロフラン5g中に分散させ、温度23±1℃、相対湿度50〜60%RHの条件下、密閉系中で7日間、保管した後、X線回折装置(理学電機(株)製のRINT1100)のサンプルホルダーに充填して測定を行った。なお、得られた結果は図5に示す。
X線管球:Cu
管電圧:40kV
管電流:30mA
スタート角度:3.0°
ストップ角度:40.0°
走査速度:10°/分
(3)−2 示差走査熱量分析
また、示差走査熱量計(理学電機(株)製のTAS−200型、DSC8230D)を用いて、得られたチタニルフタロシアニン結晶の示差走査熱量分析を行った。測定条件は下記の通りである。
サンプルパン:アルミニウム製
昇温速度:20℃/分
(4)チタニルフタロシアニン結晶Bの製造
チタニルフタロシアニン化合物を製造する際に尿素を用いなかったほかは、チタニルフタロシアニン結晶Aと同様にチタニルフタロシアニン結晶を製造した。得られた結果は図7、及び図8に示す。
実施例1
得られたチタニルフタロシアニン結晶4重量部を、式(8)で表される正孔輸送剤(HTM−1)50重量部と、式(4)で表される電子輸送剤(ETM−A)30重量部と、結着樹脂である粘度平均分子量が30,000であるポリカーボネート樹脂(Resin-A)100重量部とを、800重量部のテトラヒドロフランとともに、ボールミルを用いて50時間混合、分散させて感光層用の塗布液を製造した。
◎:感度が120V未満である。
○:感度が120V以上150V未満である。
×:感度が150V以上である。
また、得られた電子写真感光体を、温度20℃湿度60%の条件下でオレイン酸トリグリセリドに120分間浸漬させた後、感光体表面に発生したクラックを計測し、クラック成長速度(mm/min)として評価した。
◎:クラック成長速度が、2(mm/min)未満の値である。
○:クラック成長速度が、2〜4(mm/min)未満の値である。
△:クラック成長速度が、4〜6(mm/min)未満の値である。
×:クラック成長速度が、6(mm/min)以上の値である。
実施例2〜13
正孔輸送剤と電子輸送剤を表1に示す組み合わせとした以外は、実施例1と同様に行った。
実施例1〜3におけるチタニルフタロシアニンAをチタニルフタロシアニンBに変えた以外は実施例1〜3と同様に行った。
実施例1における正孔輸送剤を下記式(17)または(18)で表されるHTM−10またはHTM−11に変えた以外は実施例1と同様に行った。
さらに正孔輸送剤として、特定の化合物を用いたので、チタニルフタロシアニンの分散性が向上し、さらには、耐クラック性も良好となった。
10´:単層型感光体
10´´:単層型感光体
12:導電性基体
14:感光層
16:バリア層
18:保護層
20:積層型感光体
20´:積層型感光体
20´´:積層型感光体
22:電荷輸送層
24:電荷発生層
25:中間層
Claims (6)
- 導電性基体と、前記導電性基体の表面に、直接にまたは中間層を介して形成された感光層とを備える電子写真感光体であって、
前記感光層が、少なくとも結着樹脂と電荷発生材料と正孔輸送材料を含有するとともに、前記電荷発生材料が、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に最大のピークを有するとともに、示差走査熱量分析において、吸着水の気化に伴なうピーク以外に270〜400℃の範囲内に、1つのピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を少なくとも含有し、前記正孔輸送剤が下記一般式(1)で表されることを特徴とする、電子写真感光体。
[式中、Ra〜Rgは、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20アルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜30のアリール基、またはRa〜Reのうち、隣接する二つの置換基同士が炭化水素環構造を形成してもよく、X1は下記式(2a)で表される基を示し、X2は下記式(2b)で表される基を示し、mおよびtは同一又は異なって1〜3の整数である。]
[式(2a)、(2b)中、Rh、Ri、Rj及びRkは、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜30のアリール基を示し、Rm及びRnは、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜30のアリール基を示し、q及びrは同一または異なって0〜5の整数を示す。ただし、qが2以上の時、Rmは異なる基であっても良く、rが2以上の時、Rnは異なる基であっても良い。o及びpは同一または異なって1または2の整数である。] - 前記チタニルフタロシアニン結晶が前記CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=26.2°にピークを有さないことを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記チタニルフタロシアニン結晶を有機溶媒中に7日間浸漬した後に回収したチタニルフタロシアニン結晶が、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、少なくともブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に最大ピークを有するとともに、26.2°にピークを有さないことを特徴とする請求項1乃至2に記載の電子写真感光体。
- 前記有機溶媒が、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、トルエン、1,4−ジオキサン、及び1−メトキシ−2−プロパノールからなる群の少なくとも1種であることを特徴とする請求項3に記載の電子写真感光体。
- 請求項1〜4記載の電子写真感光体を有し、前記電子写真感光体の周囲に少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、及び転写手段が順次配置されたことを特徴とする画像形成装置。
- 前記電子写真感光体におけるプロセススピードを100〜250mm/secの範囲内の値とすることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
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