JP5266037B2 - 単層型電子写真感光体及び画像形成装置 - Google Patents

単層型電子写真感光体及び画像形成装置 Download PDF

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本発明は、単層型電子写真感光体及び画像形成装置に関する。特に、所定条件下にて測定される耐ガス性を規定することにより、帯電電位を比較的高い値に設定した場合であっても、優れた帯電安定性を保持できる単層型電子写真感光体及び画像形成装置に関する。
従来、画像形成装置等に用いられる電子写真感光体として、結着樹脂、電荷発生剤及び電荷輸送剤等からなる有機感光体が使用されている。かかる有機感光体は、従来の無機感光体に比べて、製造が容易であるとともに、感光体材料の選択肢が多様であることから、構造設計の自由度が高いという利点がある。
一方、有機感光体は、主に帯電工程において発生するNOxやオゾン等の酸化性ガスに暴露されると、感光層中の材料が化学変化しやすく、その結果、帯電特性が低下しやすいという問題が見られた。
そこで、かかる感光層における耐ガス性の問題を解決すべく、感光層中に、酸化防止剤を含有させる方法が広く用いられている(例えば、特許文献1)。
すなわち、特許文献1には、イオン化ポテンシャルが5.1eV以下の電荷輸送物質と、酸化防止剤とを、感光層に含有させた電子写真感光体が開示されている。
特開2007−72139号公報
しかしながら、特許文献1における電子写真感光体では、使用するにつれて酸化防止剤が消費されてしまうことから、特に、帯電電位を600V以上の比較的高い値に設定した場合には、優れた耐ガス性を長期間維持することが困難であるという問題が見られた。
そこで、本発明者らは、鋭意検討した結果、単層型電子写真感光体において、所定条件下にて測定される耐ガス性を規定することにより、酸化防止剤を使用せずとも、感光層における耐ガス性を効果的に向上させることができることを見出した。
そして、このように感光層における耐ガス性を効果的に向上させることにより、帯電電位を比較的高い値に設定した場合であっても、優れた帯電安定性を効果的に保持できることを見出した。
すなわち、本発明の目的は、比較的高い帯電電位に設定した場合であっても、優れた帯電安定性を保持できる単層型電子写真感光体及び画像形成装置を提供することにある。
本発明によれば、帯電電位の値が600〜1000Vの範囲内の値である画像形成装置に搭載される電子写真感光体であって、基体上に電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤及び結着樹脂を同一層に含む感光層を有する単層型電子写真感光体であるとともに、結着樹脂が、下記一般式(1)で表わされる、一種類のポリカーボネート樹脂のみからなり、かつ、電子輸送剤の分子量が、300〜500の範囲内の値であり、正孔輸送剤の分子量が、400〜680の範囲内の値であり、さらに、24ppmのNO2ガス雰囲気下にて48時間放置する前後における単層型電子写真感光体の帯電電位(V)を、それぞれX及びYとした場合に、下記(1)で表わされるNO2雰囲気暴露後の帯電電位低下率(%)の値が、6.7%以下であることを特徴とする単層型電子写真感光体が供給され、上述した問題を解決することができる。
|(X−Y)/X|×100(%) (1)

(一般式(1)中、複数の置換基Ra及びRbは、それぞれ独立した水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4の置換または非置換のアルキル基、もしくは炭素数6〜30の置換または非置換のアリール基であり、添字p及びqは、それぞれ独立した0〜4の整数であり、置換基Rc及びRdは、それぞれ独立した水素原子もしくは炭素数1〜2の置換または非置換のアルキル基であって、それぞれ種類が異なる非対称関係にあり、Wは、単結合、−O−、−CO−であり、添字k及びlは、0.05<l/(k+l)<0.6の関係式を満足するモル比である。)
すなわち、単層型電子写真感光体において、上述したNO2雰囲気暴露後の帯電電位低下率の値を規定することにより、所望の耐ガス性を有する単層型電子写真感光体を、安定的に得ることができる。
これにより、酸化防止剤を使用することなく、感光層における耐ガス性を効果的に向上させることができ、ひいては、600〜1000Vといった比較的高い帯電電位に設定した場合であっても、優れた帯電安定性を効果的に保持することができる。
また、電子輸送剤の分子量を、このように構成することにより、結着樹脂と、電子輸送剤と、の相溶性をさらに向上させることができるとともに、感光層のきめを細かくすることができることから、感光層に対する酸化性ガスの侵入を効果的に抑制することができる。
さらに、正孔輸送材の分子量を、このように構成することにより、結着樹脂と、正孔輸送剤と、の相溶性をさらに向上させることができるとともに、感光層のきめをより細かくすることができることから、感光層に対する酸化性ガスの侵入をさらに効果的に抑制することができる。
また、結着樹脂を、このように構成することにより、結着樹脂と、電荷発生剤及び電荷輸送剤と、の相溶性を向上させることができる。
その結果、感光層内にまで酸化性ガスが侵入しにくくなって、感光層における耐ガス性をより向上させることができる。
また、本発明の単層型電子写真感光体を構成するにあたり、結着樹脂が、一般式(1)で表わされるポリカーボネート樹脂のみからなるとともに、置換基Rcが水素原子であって、置換基Rdが炭素数1〜2のアルキル基であることが好ましい。
このように構成することにより、結着樹脂と、電荷発生剤及び電荷輸送剤と、の相溶性をさらに向上させることができる。
また、本発明の単層型電子写真感光体を構成するにあたり、電荷発生剤が、チタニルフタロシアニン結晶であることが好ましい。
このように構成することにより、結着樹脂と、電荷発生剤と、の相溶性をさらに向上させることができる。
また、本発明の別の態様は、電子写真感光体の周囲に、帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を有する画像形成装置であって、帯電手段による電子写真感光体表面における帯電電位が600〜1000Vの範囲内の値であるとともに、電子写真感光体が、基体上に電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤及び結着樹脂を同一層に含む感光層を有する単層型電子写真感光体であり、結着樹脂が、下記一般式(1)で表わされる、一種類のポリカーボネート樹脂のみからなり、電子輸送剤の分子量が、300〜500の範囲内の値であり、正孔輸送剤の分子量が、400〜680の範囲内の値であり、
かつ、24ppmのNO2ガス雰囲気下にて48時間放置する前後における単層型電子写真感光体の帯電電位(V)を、それぞれX及びYとした場合に、下記計算式(1)で表わされるNO2雰囲気暴露後の帯電電位低下率(%)の値が、6.7%以下であることを特徴とする画像形成装置である。
|(X−Y)/X|×100(%) (1)

(一般式(1)中、複数の置換基Ra及びRbは、それぞれ独立した水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4の置換または非置換のアルキル基、もしくは炭素数6〜30の置換または非置換のアリール基であり、添字p及びqは、それぞれ独立した0〜4の整数であり、置換基Rc及びRdは、それぞれ独立した水素原子もしくは炭素数1〜2の置換または非置換のアルキル基であって、それぞれ種類が異なる非対称関係にあり、Wは、単結合、−O−、−CO−であり、添字k及びlは、0.05<l/(k+l)<0.6の関係式を満足するモル比である。)
すなわち、本発明の画像形成装置であれば、帯電電位を比較的高い値に設定するとともに、帯電安定性に優れた所定の単層型電子写真感光体を搭載していることから、繰り返し画像形成を行った場合であっても、高品質画像を安定的に形成することができる。
また、本発明の画像形成装置を構成するにあたり、帯電手段が、非接触型の帯電手段であることが好ましい。
このように構成した場合、帯電工程における酸化性ガスの発生量が増加するものの、本発明であれば、耐ガス性に優れた所定の単層型電子写真感光体を搭載していることから、感光層表面を劣化させることなく、繰り返し画像形成を行った場合であっても、高品質画像を安定的に形成することができる。
また、本発明の画像形成装置を構成するにあたり、現像同時クリーニング方式の画像形成装置であることが好ましい。
このように構成した場合、一般に、感光層表面の残留トナーや異物がクリーニングされにくくなるが、本発明であれば、感光層における耐ガス性に優れた所定の単層型電子写真感光体を搭載していることから、感光層表面に残留トナーや異物が残っていても、感光層表面が劣化しにくく、したがって、繰り返し画像形成を行った場合であっても、高品質画像を安定的に形成することができる。
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、帯電電位の値が600〜1000Vの範囲内の値である画像形成装置に搭載される電子写真感光体であって、基体上に電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤及び結着樹脂を同一層に含む感光層を有する単層型電子写真感光体であり、かつ、結着樹脂が、下記一般式(1)で表わされる、一種類のポリカーボネート樹脂のみからなり、電子輸送剤の分子量が、300〜500の範囲内の値であり、正孔輸送剤の分子量が、400〜680の範囲内の値であり、24ppmのNO2ガス雰囲気下にて48時間放置する前後における単層型電子写真感光体の帯電電位(V)を、それぞれX及びYとした場合に、下記計算式(1)で表わされるNO2雰囲気暴露後の帯電電位低下率(%)の値が、6.7%以下であることを特徴とする単層型電子写真感光体である。
|(X−Y)/X|×100(%) (1)

(一般式(1)中、複数の置換基Ra及びRbは、それぞれ独立した水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4の置換または非置換のアルキル基、もしくは炭素数6〜30の置換または非置換のアリール基であり、添字p及びqは、それぞれ独立した0〜4の整数であり、置換基Rc及びRdは、それぞれ独立した水素原子もしくは炭素数1〜2の置換または非置換のアルキル基であって、それぞれ種類が異なる非対称関係にあり、Wは、単結合、−O−、−CO−であり、添字k及びlは、0.05<l/(k+l)<0.6の関係式を満足するモル比である。)
すなわち、図1に示すように、NO2雰囲気暴露後の帯電電位低下率の値を6.7%以下とすることにより、帯電電位を比較的高い値に設定した場合であっても、感光層における耐ガス性を向上させることができ、ひいては、優れた帯電安定性を効果的に保持することができる単層型電子写真感光体である。
以下、第1の実施形態としての単層型電子写真感光体について、構成要件ごとに、具体的に説明する。
なお、本発明の単層型電子写真感光体は、単層型電子写真感光体を帯電させる際の帯電電位が600〜1000Vの範囲内の値である画像形成装置に搭載されてなることを特徴とするが、かかる構成要件については、第2の実施形態において具体的に説明する。
1.基本的構成
本発明の電子写真感光体10は、図2(a)に示すような、基体12上に、電荷発生剤と、電荷輸送剤と、結着樹脂と、からなる単層型感光層14を設けた単層型電子写真感光体10であることを特徴とする。
なお、図2(b)に例示するように、この感光層14と、基体12と、の間に、中間層16を形成した単層型電子写真感光体10´とすることもできる。
2.基体
また、基体の構成材料としては、種々の材料を使用することができる。
例えば、鉄、銅、スズ、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、及び真鍮などの金属にて形成された基体や、上述の金属が蒸着またはラミネートされたプラスチック材料からなる基体、あるいはヨウ化アルミニウム、アルマイト、酸化スズ、及び酸化インジウムなどで被覆されたガラス製の基体などが例示される。
すなわち、基体自体が導電性を有するか、あるいは基体の表面が導電性を有していればよく、また、使用に際して、充分な機械的強度を有していればよい。
3.中間層
また、図2(b)に示すように、基体12上に、所定の結着樹脂を含有する中間層16を設けてもよい。
この理由は、基体と感光層との密着性を向上させるとともに、この中間層内に所定の微粉末を添加することで、入射光を散乱させて、干渉縞の発生を抑制し、さらに、カブリや黒点の原因となる非露光時における基体から感光層への電荷注入を抑制することができるためである。この微粉末としては、光散乱性、分散性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、亜鉛華、硫化亜鉛、鉛白、リトポン等の白色顔料や、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の体質顔料としての無機顔料やフッ素樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子、スチレン樹脂粒子等を用いることができる。
また、この中間層の膜厚を0.1〜50μmの範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、中間層厚が厚くなりすぎると、感光体表面に残留電位が生じやすくなり、電気特性を低下させる要因となる場合があるためである。その一方で、中間層厚が薄くなりすぎると、基体表面の凹凸を十分緩和させることができなくなり、基体と感光層との密着性を得ることができなくなる場合があるためである。
したがって、中間層の膜厚を、0.1〜50μmの範囲内の値とすることが好ましく、0.5〜30μmの範囲内の値とすることがより好ましい。
4.感光層
(1)結着樹脂
本発明の電子写真感光体に使用する結着樹脂は、特にポリカーボネート樹脂を含むことが好ましく、ポリカーボネート樹脂の中でも、特に下記一般式(1)で表される、一種類のポリカーボネートのみからなること特徴とする。但し、一般式(2)〜(4)は、参考例としてのポリカーボネート樹脂である。
(一般式(1)中、複数の置換基Ra及びRbは、それぞれ独立した水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4の置換または非置換のアルキル基、もしくは炭素数6〜30の置換または非置換のアリール基であり、添字p及びqは、それぞれ独立した0〜4の整数であり、置換基Rc及びRdは、それぞれ独立した水素原子もしくは炭素数1〜2の置換または非置換のアルキル基であって、それぞれ種類が異なる非対称関係にあり、Wは、単結合、−O−、−CO−であり、添字k及びlは、0.05<l/(k+l)<0.6の関係式を満足するモル比である。)
(一般式(2)中、複数の置換基Re及びRfは、それぞれ独立した水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4の置換または非置換のアルキル基、もしくは炭素数6〜30の置換または非置換のアリール基であり、添字r及びsは、それぞれ独立した0〜4の整数であり、添字m及びnは、0.05<n/(n+m)<0.6の関係式を満足するモル比である。)
(一般式(3)中、複数の置換基Rgは、水素原子、炭素数1〜4の置換または非置換のアルキル基、あるいは炭素数6〜30の置換または非置換のアリール基であり、添字tは、0〜4の整数である。)
(一般式(4)中、複数の置換基Rhは、水素原子、炭素数1〜4の置換または非置換のアルキル基、あるいは炭素数6〜30の置換または非置換のアリール基であり、添字uは、0〜4の整数である。)
この理由は、これらのポリカーボネート樹脂であれば、電荷発生剤及び電荷輸送剤と、の相溶性を向上させることができるためである。
その結果、感光層内にまで酸化性ガスが侵入しにくくなって、感光層における耐ガス性をより向上させることができるためである。
なお、一般式(1)〜(4)中に示す置換基における置換基としては、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、もしくは炭素数6〜30のアリール基等が挙げられる。
また、一般式(1)及び(2)における添字k〜nは、共重合成分のモル比を表しており、例えば、kが85、lが15の場合はモル比が85:15であることを表している。かかるモル比は、例えばNMRによって算出することができる。
ここで、一般式(1)で表わされるポリカーボネート樹脂の具体例としては、下記式(5)〜(9)で表わされるポリカーボネート樹脂(Resin−1〜5)を挙げることができる。
すなわち、一般式(1)で表わされるポリカーボネート樹脂としては、下記式(5)〜(8)に示すように、置換基Rcが水素原子であって、置換基Rdが炭素数1〜2のアルキル基であるものがより好ましく、置換基Rdがメチル基であるものがさらに好ましい。
この理由は、このようにすることにより、結着樹脂と、電荷発生剤及び電荷輸送剤と、の相溶性をさらに向上させることができるためである。
また、参考例であるが、一般式(2)で表わされるポリカーボネート樹脂の具体例としては、下記式(10)で表わされるポリカーボネート樹脂(Resin−6)を挙げることができる。
また、参考例であるが、一般式(3)及び(4)で表わされるポリカーボネート樹脂の具体例としては、下記式(11)及び(12)で表わされるポリカーボネート樹脂(Resin−7〜8)を挙げることができる。
また、結着樹脂の粘度平均分子量を15,000〜80,000の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、結着樹脂の粘度平均分子量が15,000未満の値となると、感光層の機械的強度が過度に低下する場合があるためである。一方、結着樹脂の粘度平均分子量が80,000を超えた値となると、結着樹脂と、電荷発生剤及び電荷輸送剤と、の相溶性が過度に低下して、酸化性ガスが感光層内に侵入しやすくなり、耐ガス性を保持することが困難となる場合があるためである。
したがって、結着樹脂の粘度平均分子量を18,000〜75,000の範囲内の値とすることがより好ましく、20,000〜70,000の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(2)電荷発生剤
また、本発明の電子写真感光体に使用可能な電荷発生剤としては、例えば、フタロシアニン系顔料;ジスアゾ顔料;ジスアゾ縮合顔料、モノアゾ顔料、ペリレン系顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、トリスアゾ顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、ピリリウム塩、アンサンスロン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、キナクリドン系顔料等の、従来公知の電荷発生剤の一種単独又は2種以上の組み合わせが挙げられる。
また、上述した顔料の中でも、特に下記式(13)で表わされるチタニルフタロシアニン化合物の結晶を用いることが好ましい。
この理由は、チタニルフタロシアニン結晶であれば、結着樹脂と、電荷発生剤と、の相溶性をさらに向上させることができるためである。
また、かかるチタニルフタロシアニン結晶は、光学特性として、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に主ピークを有することが好ましい(第1の光学特性)。
また、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=26.2°にピークを有さないことが好ましい(第2の光学特性)。
さらに、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=7.2°にピークを有さないことが好ましい(第3の光学特性)。
この理由は、かかる第1の光学特性を備えない場合には、このような光学特性を有するチタニルフタロシアニン結晶と比較して、結晶安定性、電荷発生能及び分散性が著しく低下する傾向にあるためである。逆に言えば、第1の光学特性、より好ましくは、第2の光学特性及び第3の光学特性を備えることにより、結晶安定性、電荷発生能及び分散性を向上させることができるためである。
また、かかるチタニルフタロシアニン結晶は、熱特性として、示差走査熱量分析において、吸着水の気化に伴なうピーク以外に270〜400℃の範囲内に、1つのピークを有することが好ましい。
この理由は、かかる光学特性及び熱特性を有するチタニルフタロシアニン結晶であれば、結晶安定性、電荷発生能及び分散性を、さらに向上させることができるためである。
なお、吸着水の気化に伴うピーク以外のピークであって、270〜400℃の範囲内に現れる1つのピークは、290〜400℃の範囲内に現れることがより好ましく、300〜400℃の範囲内に現れることがさらに好ましい。
なお、上述した光学特性及び熱特性を有するチタニルフタロシアニン結晶を得るためには、チタニルフタロシアニン化合物を合成する際に、材料物質としてのチタンテトラブトキシド等のチタンアルコキシドまたは四塩化チタンの添加量を、他の材料物質としてのo−フタロニトリルまたはその誘導体、もしくは1,3−ジイミノイソインドリンまたはその誘導体1モルに対して、0.40〜0.53モルの範囲内の値とすることが好ましく、0.42〜0.50モルの範囲内の値とすることがより好ましい。
さらに、かかるチタニルフタロシアニン化合物の合成を、尿素化合物の存在下にて行うことが好ましく、その際、尿素化合物の添加量を、o−フタロニトリルまたはその誘導体、もしくは1,3−ジイミノイソインドリンまたはその誘導体1モルに対して、0.1〜0.95モルの範囲内の値とすることが好ましく、0.2〜0.8モルの範囲内の値とすることがより好ましい。
また、電荷発生剤の添加量を、結着樹脂100重量部に対して、0.2〜40重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、電荷発生剤の添加量が0.2重量部未満の値になると、量子収率を高める効果が不十分となり、電子写真感光体の感度特性、電気特性、安定性等を向上させることができなくなるためである。一方、電荷発生剤の添加量が40重量部を超えた値になると、可視光における赤色領域、近赤外領域、あるいは赤外領域に波長を有する光に対する吸光係数を大きくする効果が不十分となり、感光体の感度特性、電気特性、及び安定性等を向上させることができない場合があるためである。
したがって、電荷発生剤の添加量を0.5〜20重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、1〜10重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(3)電子輸送剤
また、本発明の電子写真感光体に用いられる電子輸送剤としては、特に制限されるものではないが、例えば、ジフェノキノン誘導体、ナフトキノン誘導体、ベンゾキノン誘導体、ジナフトキノン誘導体のほか、アントラキノン誘導体、マロノニトリル誘導体、チオピラン誘導体、チオキサントン誘導体、フルオレノン誘導体、アントラセン誘導体、アクリジン誘導体、アントアラキノン誘導体、アントラキノン誘導体、テトラシアノエチレン、チオキサントン誘導体、ニトロベンゼン誘導体、アクリジン誘導体、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロモ無水マレイン酸等の電子受容性を有する化合物の1種単独又は2種以上の組み合わせが挙げられる。
また、電子輸送剤の分子量を300〜500の範囲内の値とすることを特徴とする
この理由は、電子輸送剤の分子量をかかる範囲とすることにより、結着樹脂と、電子輸送剤と、の相溶性をさらに向上させることができるとともに、感光層のきめを細かくすることができることから、感光層に対する酸化性ガスの侵入を効果的に抑制することができるためである。
すなわち、電子輸送剤の分子量が300未満の値となると、結着樹脂に対する相溶性を向上させることはできるものの、十分な電子輸送能を得ることが困難となる場合があるためである。一方、電子輸送剤の分子量が500を超えた値となると、結着樹脂に対する相溶性が低下して、感光層のきめが粗くなり、ひいては感光層に対して酸化性ガスが侵入しやすくなる場合があるためである。
したがって、電子輸送剤の分子量を300〜450の範囲内の値とすることがより好ましく、300〜400の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、電子輸送剤の添加量を、結着樹脂100重量部に対して、10〜100重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる電子輸送剤の添加量が10重量部未満の値になると、感度が低下して、実用上の弊害が生じる場合があるためである。一方、かかる電子輸送剤の添加量が100重量部を超えると、結晶化しやすくなる場合があるためである。
したがって、結着樹脂100重量部に対して、電子輸送剤の添加量を20〜80重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、30〜70重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(4)正孔輸送剤
また、本発明の電子写真感光体に用いられる正孔輸送剤としては、特に制限されるものではないが、例えば、ベンジジン系化合物、フェニレンジアミン系化合物、ナフチレンジアミン系化合物、フェナントリレンジアミン系化合物、オキサジアゾール系化合物(例えば2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールなど)、スチリル系化合物(例えば、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセンなど)、カルバゾール系化合物(例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾールなど)、有機ポリシラン化合物、ピラゾリン系化合物(例えば、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリンなど)、ヒドラゾン系化合物、トリフェニルアミン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、トリアゾール系化合物、ブタジエン系化合物、ピレン−ヒドラゾン系化合物、アクロレイン系化合物、カルバゾール−ヒドラゾン系化合物、キノリン−ヒドラゾン系化合物、スチルベン系化合物、スチルベン−ヒドラゾン系化合物、及びジフェニレンジアミン系化合物などが好適に使用される。これらはそれぞれ単独で使用される他、2種以上を併用することもできる。
また、正孔輸送剤の分子量を400〜680の範囲内の値とすることを特徴とする
この理由は、正孔輸送剤の分子量をかかる範囲とすることにより、結着樹脂と、正孔輸送剤と、の相溶性をさらに向上させることができるとともに、感光層のきめをより細かくすることができることから、感光層に対する酸化性ガスの侵入をさらに効果的に抑制することができるためである。
すなわち、正孔輸送剤の分子量が400未満の値となると、結着樹脂に対する相溶性を向上させることはできるものの、十分な正孔輸送能を得ることが困難となる場合があるためである。一方、正孔輸送剤の分子量が680を超えた値となると、結着樹脂に対する相溶性が低下して、感光層のきめが粗くなり、ひいては感光層に対して酸化性ガスが侵入しやすくなる場合があるためである。
したがって、正孔輸送剤の分子量を400〜680の範囲内の値とすることがより好ましく、450〜650の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、正孔輸送剤の添加量を、結着樹脂100重量部に対して、10〜100重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、正孔輸送剤の含有量を、かかる範囲とすることによって、かかる正孔輸送剤が感光層中で結晶化することを効果的に抑制しつつ、優れた電気特性を得ることができるためである。
すなわち、正孔輸送剤の含有量が10重量部未満の値となると、感度が低下して、実用上の弊害が生じる場合があるためである。一方、正孔輸送剤の含有量が100重量部を超えた値となると、かかる正孔輸送剤が過度に結晶化しやすくなって、感光層としての適正な膜を形成することが困難となる場合があるためである。
したがって、正孔輸送剤の含有量を20〜90重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、30〜80重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(5)膜厚
また、感光層の厚さは、5〜100μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、感光層の厚さが5μm未満の値となると、感光層を均一に形成することが困難となったり、機械的強度が低下する場合があるためである。一方、感光層の厚さが100μmを超えた値となると、感光層が基体から剥離しやすくなる場合があるためである。
したがって感光層の厚さを10〜50μmの範囲内の値とすることがより好ましく、15〜45μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
5.NO2雰囲気暴露後の帯電電位低下率
本発明においては、24ppmのNO2ガス雰囲気下にて48時間放置する前後における単層型電子写真感光体の帯電電位(V)を、それぞれX及びYとした場合に、下記計算式(1)で表わされるNO2雰囲気暴露後の帯電電位低下率(%)の値が、6.7%以下であることを特徴とする。
|(X−Y)/X|×100(%) (1)
この理由は、かかる所定条件下にて測定される耐ガス性の値としての|(X−Y)/X|×100(%)の値、すなわち、NO2雰囲気暴露後の帯電電位低下率の値を所定の範囲に規定することにより、所望の耐ガス性を有する単層型電子写真感光体を、安定的に得ることができるためである。
これにより、酸化防止剤を使用することなく、感光層における耐ガス性を効果的に向上させることができ、ひいては、600〜1000Vといった比較的高い帯電電位に設定した場合であっても、優れた帯電安定性を効果的に保持することができるためである。
すなわち、NO2雰囲気暴露後の帯電電位低下率が6.7%を超えた値となると、帯電電位を600〜1000Vといった比較的高い値に設定し、かつ、例えば、1500枚以上の耐久印字を行った際に、その前後における帯電電位の変化を十分に抑制することが困難となる場合があるためである。一方、NO2雰囲気暴露後の帯電電位低下率の値が過度に小さな値となると、感光層の機械的強度が不十分となったり、所定の電位差からなる静電潜像を形成することが困難となる場合がある。
したがって、NO2雰囲気暴露後の帯電電位低下率を、1〜6.7%の範囲内の値とすることがより好ましく、3〜6.7%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、NO2雰囲気暴露後の帯電電位低下率の値の測定条件は、以下の通りである。
(1)初期帯電電位X(V)の測定
すなわち、初期帯電電位X(V)の測定は、例えば、GENTEC(株)製のドラム感度試験機に対し、測定対象としての単層型電子写真感光体を組み付け、流れ込み電流を7μAとしたときの帯電電位を測定し、初期帯電電位X(V)とする。
また、帯電方式としては、コロトロン方式とし、電子写真感光体の回転速度は31rpmで実施する。
また、このときの環境条件としては、温度20℃、相対湿度45%とする。
(2)NO2雰囲気下での放置
次いで、初期帯電電位X(V)を測定した後の単層型電子写真感光体を、24ppmのNO2ガス雰囲気下、すなわち、NO2濃度が24ppmである空気中にて48時間放置して、感光層をNO2に対して暴露させる。
また、このときの環境条件としては、温度20℃、相対湿度45%とする。
なお、NO2ガス雰囲気は、縦350mm、横350mm、高さ400mmである直方体型の容器中(体積49000cm3)において調製した。
また、NO2ガス濃度24ppmとは、単層型電子写真感光体を暴露させる際の初期濃度を意味し、単層型電子写真感光体を暴露させている間は、濃度の調節を行わないものとする。
(3)NO2雰囲気下にて放置後の帯電電位Y(V)の測定
次いで、NO2雰囲気下にて放置後の単層型電子写真感光体を、初期帯電電位X(V)を測定する場合と同様に、ドラム感度試験機に対して組み付けるとともに、帯電電位を測定し、NO2雰囲気下での放置後の帯電電位Y(V)とする。
(4)NO2雰囲気暴露後の帯電電位低下率の算出
最後に、得られたX及びYの値を、計算式(1)に代入して、NO2雰囲気暴露後の帯電電位低下率(%)を算出する。
次いで、図1を用いて、NO2雰囲気暴露後の帯電電位低下率と、耐久印字時における帯電安定性と、の関係を説明する。
すなわち、図1には、横軸にNO2雰囲気暴露後の帯電電位低下率(%)を採り、縦軸に1500枚耐久印字後における帯電電位(V)の値から初期帯電電位(V)の値を引いて得た電位差(V)(以下、耐久印字後の電位差と記載する)を採った特性曲線A及びBが示してある。
ここで、特性曲線Aは、帯電手段に対する印加電圧を、初期における帯電電位の値が850Vとなる印加電圧に設定し、1500枚の耐久印字を実施した場合の特性曲線である。
一方、特性曲線Bは、帯電手段に対する印加電圧を、初期における帯電電位の値が450Vとなる印加電圧に設定し、1500枚の耐久印字を実施した場合の特性曲線である。
なお、単層型電子写真感光体及び画像形成装置の構成、並びに耐久印字後の電位差の測定条件等の詳細については、実施例において記載する。
まず、特性曲線Aを見ると、NO2雰囲気暴露後の帯電電位低下率の値が所定の値を超えた範囲では、その増加にともなって、耐久印字後の電位差の値が、急激に低下し、帯電安定性を保持できなくなってしまうことが理解される。
より具体的には、NO2雰囲気暴露後の帯電電位低下率の値が8%以下の範囲では、耐久印字後の電位差の値は−30V以上の値を保持しているが、NO2雰囲気暴露後の帯電電位低下率の値が8%を超えると、耐久印字後の電位差の値が急激に減少し始めることがわかる。
そして、NO2雰囲気暴露後の帯電電位低下率の値が10%の時には、耐久印字後の電位差の値が−40V前後にまで低下し、さらに、NO2雰囲気暴露後の帯電電位低下率の値が15%の時には、耐久印字後の電位差の値が−50V未満の値にまで低下してしまうことがわかる。
一方、特性曲線Bを見ると、特性曲線Aの場合と同様に、NO2雰囲気暴露後の帯電電位低下率の値が増加するのにともなって、耐久印字後の電位差の値が低下しているものの、その低下割合は非常に緩やかであるとともに、単調である。
したがって、NO2雰囲気暴露後の帯電電位低下率の値が15%の時であっても、耐久印字後の電位差の値は、未だ−30V以上の値を安定的に保持している。
以上より、NO2雰囲気暴露後の帯電電位低下率の値は、帯電電位を比較的高い値に設定した場合において、特異的に、耐久印字後の電位差の値との間に臨界的相関関係を有することが理解される。
したがって、NO2雰囲気暴露後の帯電電位低下率の値を所定以下の値に規定することは、帯電電位を比較的高い値に設定した場合において、特異的に、優れた帯電安定性の保持に寄与することが理解される。
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、電子写真感光体の周囲に、帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を有する画像形成装置であって、帯電手段による電子写真感光体表面における帯電電位が600〜1000Vの範囲内の値であるとともに、電子写真感光体が、基体上に電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤及び結着樹脂を同一層に含む感光層を有する単層型電子写真感光体であり、結着樹脂が、下記一般式(1)で表わされる一種類のポリカーボネート樹脂のみからなり、電子輸送剤の分子量が、300〜500の範囲内の値であり、前記正孔輸送剤の分子量が、400〜680の範囲内の値であり、
かつ、24ppmのNO2ガス雰囲気下にて48時間放置する前後における単層型電子写真感光体の帯電電位(V)を、それぞれX及びYとした場合に、下記計算式(1)で表わされるNO2雰囲気暴露後の帯電電位低下率(%)の値が、6.7%以下であることを特徴とする画像形成装置である。
|(X−Y)/X|×100(%) (1)

(一般式(1)中、複数の置換基Ra及びRbは、それぞれ独立した水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4の置換または非置換のアルキル基、もしくは炭素数6〜30の置換または非置換のアリール基であり、添字p及びqは、それぞれ独立した0〜4の整数であり、置換基Rc及びRdは、それぞれ独立した水素原子もしくは炭素数1〜2の置換または非置換のアルキル基であって、それぞれ種類が異なる非対称関係にあり、Wは、単結合、−O−、−CO−であり、添字k及びlは、0.05<l/(k+l)<0.6の関係式を満足するモル比である。)
以下、第2の実施形態としての画像形成装置について、具体的に説明する。
1.基本的構成
第2の実施形態としての画像形成装置としては、図3に示すような複写機30を好適に使用することができる。かかる複写機30は、画像形成ユニット31、排紙ユニット32、画像読取ユニット33、及び原稿給送ユニット34を備えている。また、画像形成ユニット31には、画像形成部31a及び給紙部31bがさらに備えられている。そして、図示された例では、原稿給送ユニット34は、原稿載置トレイ34a、原稿給送機構34b、及び原稿排出トレイ34cを有しており、原稿載置トレイ34a上に載置された原稿は、原稿給送機構34bによって画像読取位置Pに送られた後、原稿排出トレイ34cに排出される。
そして、原稿が原稿読取位置Pに送られた段階で、画像読取ユニット33において、光源33aからの光を利用して、原稿上の画像が読み取られる。すなわち、CCD等の光学素子33bを用いて、原稿上の画像に対応した画像信号が形成される。
一方、給紙部31bに積載された記録用紙(以下、単に用紙と呼ぶ。)Sは、一枚ずつ画像形成部31aに送られる。この画像形成部31aには、像担持体である電子写真感光体41が備えられており、さらに、この電子写真感光体41の周囲には、帯電手段42、露光手段43、現像手段44、及び転写ローラ45、並びにクリーニング手段46が、電子写真感光体41の回転方向に沿って配置されている。
これらの構成部品のうち、電子写真感光体41は、図中、実線矢印で示す方向に回転駆動されて、帯電手段42により、その表面が均一に帯電される。その後、前述の画像信号に基づいて、露光手段43により電子写真感光体41に対して露光プロセスが実施され、この電子写真感光体41の表面において静電潜像が形成される。
この静電潜像に基づき、現像手段44によりトナーを付着させて現像し、電子写真感光体41の表面にトナー像を形成する。そして、このトナー像は、電子写真感光体41と転写ローラ45とのニップ部に搬送される用紙Sに転写像として転写される。次いで、転写像が転写された用紙Sは、定着ユニット47に搬送されて、定着プロセスが行われる。
また、定着後の用紙Sは、排紙ユニット32に送られることになるが、後処理(例えば、ステイプル処理等)を行う際には、用紙Sは中間トレイ32aに送られた後、後処理が行われる。その後、用紙Sは、画像形成装置の側面に設けられた排出トレイ部(図示せず)に排出される。一方、後処理を行わない場合には、用紙Sは中間トレイ32aの下側に設けられた排紙トレイ32bに排紙される。なお、中間トレイ32a及び排紙トレイ32bは、いわゆる胴内排紙部として構成されている。
次いで、上述したように転写が行われた後、電子写真感光体41に残留する残留トナー(及び紙粉)については、クリーニング手段46で除去される。すなわち、電子写真感光体41がクリーニングされる一方、残留トナーについては、廃トナーコンテナ(図示せず)に回収されることになる。
一方、本発明の場合、後述するように、クリーニング手段を省略し、現像手段において現像と同時にクリーニングを実施する、所謂現像同時クリーニングとすることもできる。
以下、本発明における主要な構成要素である電子写真感光体、帯電手段及び現像手段について、より具体的に説明する。
2.電子写真感光体
本発明においては、電子写真感光体として、所定の単層型電子写真感光体を用いることを特徴とする。
すなわち、基体上に電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤及び結着樹脂を同一層に含む感光層を有する単層型電子写真感光体であり、結着樹脂が、上述した一般式(1)で表わされる、一種類のポリカーボネート樹脂のみからなり、かつ、電子輸送剤の分子量が、300〜500の範囲内の値であり、正孔輸送剤の分子量が、400〜680の範囲内の値であり、さらに、24ppmのNO2ガス雰囲気下にて48時間放置する前後における単層型電子写真感光体の帯電電位(V)を、それぞれX及びYとした場合に、下記計算式(1)で表わされるNO2雰囲気暴露後の帯電電位低下率(%)の値が、6.7%以下であることを特徴とする単層型電子写真感光体を用いることを特徴とする。
|(X−Y)/X|×100(%) (1)
なお、かかる所定の単層型電子写真感光体についての説明は、第1の実施形態において説明したため、省略する。
3.帯電手段
本発明における帯電手段は、帯電対象としての単層型電子写真感光体の感光層表面における帯電電位を、600〜1000Vの範囲内の値に帯電させることを特徴とする。
この理由は、このように帯電電位を比較的高い値とすることにより、感光層の露光後電位と、帯電電位と、の差を大きくすることができることから、鮮明な高品質画像を安定的に形成することができるばかりか、さらなる高速画像形成にも対応することができるためである。
一方、帯電電位を比較的高い値とした場合、帯電手段から生じる酸化性ガスが増加することとなるため、有機材料から構成されている感光層の酸化劣化が問題となる。
具体的には、耐久印字を行った際に、帯電安定性を保持することが困難となる。
この点、本発明においては、耐ガス性に優れた所定の単層型電子写真感光体を用いていることから、かかる問題点を憂慮することなく、帯電電位を比較的高い値とすることが可能となる。
ここで、感光層表面における帯電電位の数値範囲について説明すると、かかる値が600V未満の値となると、露光後電位と、帯電電位と、の差を大きくすることが困難となって、特に、高速画像形成に対応することが困難となる場合がある。一方、感光層表面における帯電電位が1000Vを超えた値となると、帯電手段から発生する酸化性ガスの量が過度に増加して、所定の単層型電子写真感光体を用いているにもかかわらず、十分に帯電安定性を保持することが困難となる場合がある。
したがって、感光層表面における帯電電位を、625〜975Vの範囲内の値とすることがより好ましく、650〜950Vの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、かかる帯電手段としては、スコロトロン、コロトロン等のような非接触型の帯電手段を用いることが好ましい。
この理由は、かかる非接触型の帯電手段を用いた場合、帯電工程における酸化性ガスの発生量がさらに増加するものの、本発明であれば、耐ガス性に優れた所定の単層型電子写真感光体を搭載していることから、感光層表面を劣化させることを効果的に抑制でいるためである。
その結果、繰り返し画像形成を行った場合であっても、高品質画像を安定的に形成することができるためである。
また、かかる非接触型の帯電手段に対して印加される印加電圧としては、1〜10kVの範囲内の値とすることが好ましく、2〜9kVの範囲内の値とすることがより好ましい。
なお、その他の帯電手段としては、所定の帯電電位を実現可能であれば、特に制限されるものではなく、帯電ローラや帯電ブラシ等のような接触型の帯電手段を用いてもよい。
4.現像手段
また、本発明における現像手段を、現像同時クリーニング方式の現像手段とすることが好ましい。
この理由は、現像同時クリーニング方式の現像手段であれば、一般に、感光層表面の残留トナーや異物がクリーニングされにくくなるが、本発明であれば、感光層における耐ガス性に優れた所定の単層型電子写真感光体を搭載していることから、感光層表面に残留トナーや異物が残留していても、感光層表面が劣化しにくく、したがって、繰り返し画像形成を行った場合であっても、高品質画像を安定的に形成することができるためである。
また、本発明であれば、帯電電位の値を比較的高い値としていることから、感光層表面に対して残留トナーや異物が残留している場合であっても、比較的安定的に感光層表面を所定のレベルにまで帯電させることができるためである。
以下、本発明を実施例によって、より詳細に説明するが、言うまでもなく、特に理由なく、本発明はこれらの記載内容に限定されるものではない。
[実施例1]
1.電子写真感光体の製造
(1)感光層の形成
容器内に、後述する製造方法にて製造した電荷発生剤としての式(13)で表されるチタニルフタロシアニン(CGM−1)の結晶3重量部と、下記式(14)で表される正孔輸送剤(HTM−1)50重量部と、下記式(15)で表される電子輸送剤(ETM−1)30重量部と、結着樹脂としての粘度平均分子量30,000の式(5)で表わされるポリカーボネート樹脂(Resin−1)100重量部と、溶剤としてのテトラヒドロフラン800重量部と、を収容し、これらの混合物を得た。次いで、かかる混合物につき、ボールミルを用いて50時間混合分散し、感光層用塗布液を得た。
次いで、得られた感光層用塗布液を、直径30mm、長さ254mmのアルミニウム基体上に、ディップコート法にて塗布した後、100℃、40分間の条件下で熱風乾燥し、膜厚が25μmの感光層を形成し、単層型電子写真感光体を得た。
(2)チタニルフタロシアニン結晶の製造
なお、電荷発生剤としての式(13)で表されるチタニルフタロシアニン(CGM−1)の結晶は、以下のようにして製造した。
(2)−1 粗チタニルフタロシアニン結晶の合成
まず、アルゴン置換したフラスコ中に、o−フタロニトリル22g(0.17mol)と、チタンテトラブトキシド25g(0.073mol)と、キノリン300gと、尿素2.28g(0.038mol)を加え、撹拌しつつ150℃まで昇温した。
次いで、反応系から発生する蒸気を系外へ留去しながら215℃まで昇温したのち、この温度を維持しつつさらに2時間、撹拌して反応させた。
次いで、反応終了後、150℃まで冷却した時点で反応混合物をフラスコから取り出し、ガラスフィルターによってろ別し、得られた固体をN,N−ジメチルホルムアミド、およびメタノールで順次洗浄したのち真空乾燥して、粗チタニルフタロシアニン結晶としての青紫色の固体24gを合成した。
(2)−2 酸処理前工程
上述したチタニルフタロシアニン化合物の製造で得られた青紫色の固体10gを、N,N−ジメチルホルムアミド100ミリリットル中に加え、撹拌しつつ130℃に加熱して2時間、撹拌処理を行った。
次いで、2時間経過した時点で加熱を停止し、さらに、23±1℃まで冷却した時点で撹拌も停止し、この状態で12時間、液を静置して安定化処理を行った。そして安定化された後の上澄みをガラスフィルターによってろ別し、得られた固体をメタノールで洗浄したのち真空乾燥して、チタニルフタロシアニン化合物の粗結晶9.83gを得た。
(2)−3 酸処理工程
上述した酸処理前工程で得られたチタニルフタロシアニンの粗結晶5gを、濃硫酸100ミリリットルに加えて溶解した。
次に、この溶液を、氷冷下の水中に滴下したのち室温で15分間攪拌し、さらに23±1℃付近で30分間、静置して再結晶させた。
次に、上述した液をガラスフィルターによって濾別し、得られた固体を洗浄液が中性になるまで水洗した後、乾燥させずに水が存在した状態で、クロロベンゼン200ミリリットル中に分散させて50℃に加熱して10時間攪拌した。
次いで、液をガラスフィルターによって濾別したのち、得られた固体を50℃で5時間、真空乾燥させて、式(13)で表される無置換のチタニルフタロシアニンの結晶(青色粉末)4.1gを得た。
(2)−4 チタニルフタロシアニン結晶の評価
(X線回折測定)
得られたチタニルフタロシアニン結晶0.3gを、テトラヒドロフラン5g中に分散させ、温度23±1℃、相対湿度50〜60%の条件下、密閉系中で24時間、保管したのちテトラヒドロフランを除去して、X線回折装置(理学電機(株)製のRINT1100)のサンプルホルダーに充填して測定を行った。得られたスペクトルチャートを、図4に示す。また、かかるスペクトルチャートは、ブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に最大ピークを有するとともに、26.2°にピークを有さない特徴を有していることから、得られたチタニルフタロシアニン結晶が、安定した所定の結晶型を有していることが確認できた。この理由は、ブラッグ角2θ±0.2°=27.2°におけるピークは、上述した所定の結晶型に特有のピークであり、26.2°におけるピークは、β型結晶に特有のピークであるためである。
なお、テトラヒドロフラン中に分散させる前の段階においても、図4に示すのと同様のスペクトルチャートが測定された。
かかるX線回折の測定の条件は、下記の通りとした。
X線管球:Cu
管電圧:40kV
管電流:30mA
スタート角度:3.0°
ストップ角度:40.0°
走査速度:10°/分
(示差走査熱量計測定)
また、示差走査熱量計(理学電機(株)製のTAS−200型、DSC8230D)を用いて、得られたチタニルフタロシアニン結晶の示差走査熱量分析を行った。得られた示差走査分析チャートを、図5に示す。また、かかるチャートにおいては、吸着水の気化にともなうピーク以外に、296℃において1つのピークが確認された。
なお、測定条件は下記の通りとした。
サンプルパン:アルミニウム製
昇温速度:20℃/分
2.評価
(1)NO2雰囲気暴露後の帯電電位低下率の評価
得られた単層型電子写真感光体におけるNO2雰囲気暴露後の帯電電位低下率を、下記工程(a)〜(d)を行うことにより評価した。
(a)初期帯電電位X(V)の測定
すなわち、得られた単層型電子写真感光体を、ドラム感度試験機(GENTEC(株)製)に対して組み付け、流れ込み電流を7μAとしたときの帯電電位を測定し、初期帯電電位X(V)とした。得られた結果を表1に示す。
より具体的には、帯電方式をコロトロン方式とし、単層型電子写真感光体の回転速度は31rpmとし、環境条件を、温度20℃、相対湿度45%とした。
そして、単層型電子写真感光体を2〜4回転させる間における帯電電位の平均値をとって、初期帯電電位X(V)とした。
(b)NO2雰囲気下での放置
次いで、初期帯電電位X(V)を測定した後の単層型電子写真感光体を、24ppmのNO2ガス雰囲気下、すなわち、NO2濃度が24ppmである空気中にて48時間放置して、感光層をNO2に対して暴露させた。
また、このときの環境条件としては、温度20℃、相対湿度45%とした。
なお、NO2ガス雰囲気は、縦350mm、横350mm、高さ400mmである直方体型の容器中(体積49000cm3)において調製した。
また、NO2ガス濃度24ppmは、単層型電子写真感光体を暴露させる際の初期濃度であり、単層型電子写真感光体を暴露させている間は、濃度の調節を行わなかった。
(c)NO2雰囲気下にて放置後の帯電電位Y(V)の測定
次いで、NO2雰囲気下にて放置後の単層型電子写真感光体を、初期帯電電位X(V)を測定したのと同様に、ドラム感度試験機に対して組み付けるとともに、帯電電位を測定し、NO2雰囲気下での放置後の帯電電位Y(V)とした。得られた結果を表1に示す。
(d)NO2雰囲気暴露後の帯電電位低下率の算出
最後に、得られたX及びYの値を、計算式(1)に代入して、NO2雰囲気暴露後の帯電電位低下率(%)を算出した。得られた結果を表1に示す。
(2)オゾン雰囲気暴露後の帯電電位低下率の評価
また、得られた単層型電子写真感光体におけるオゾン雰囲気暴露後の帯電電位低下率を評価した。
すなわち、単層型電子写真感光体を、24ppmのNO2ガス雰囲気にて48時間放置する代わりに、10ppmのオゾンガス雰囲気下にて6時間放置したほかは、NO2雰囲気暴露後の帯電電位低下率の評価と同様にして、オゾン雰囲気暴露後の帯電電位低下率(%)を評価した。得られた結果を表1に示す。
(3)耐久印字後の電位差の評価
また、得られた単層型電子写真感光体における耐久印字後の電位差を評価した。
すなわち、得られた単層型電子写真感光体を、カラー画像形成装置(京セラミタ(株)製、KM−C3232)に対して組み付けた。
次いで、低温低湿環境下(温度:10℃、相対湿度:20%)にて、印字率20%のテキスト画像を、1500枚印字し、その前後における帯電電位(V)を、それぞれ測定するとともに、1500枚印字後の帯電電位の値から、初期帯電電位の値を引いて、帯電電位の低下(V)を算出した。得られた結果を表1に示す。
また、その他の画像形成条件は、以下に示す通りである。
帯電方式 :スコロトロン帯電方式(帯電電位:850V)
露光方式 :レーザ光源露光方式(露光量:0.5μJ/cm2
現像剤 :非磁性一成分現像剤(重合法)
転写方式 :中間転写ベルト方式
画像形成速度:160mm/s
なお、低温低湿環境(温度:10℃、相対湿度:20%)は、よりオゾンやNOx等の酸化性ガスが発生しやすい環境条件である。
また、帯電電位を450Vとしたほかは、上述したのと同じ条件にて、さらに、耐久印字後の電位差の評価を行った。得られた結果を表1に示す。
(4)感度の評価
また、得られた単層型電子写真感光体における感度を評価した。
すなわち、得られた単層型電子写真感光体を、常温常湿条件下(温度:20℃、相対湿度:50%)にて、ドラム感度試験機(GENTEC(株)製)を用いて、帯電電位が850Vになるように帯電させ、次いで、白色光からバンドパルスフィルターを用いて取り出した波長780nmの単色光(半値幅:20nm、露光量:0.3μJ/cm2)を電子写真感光体表面に対して露光した(照射時間50msec)。次いで、露光後350msec経過後の電位を測定し、感度(V)とした。得られた結果を表1に示す。
(5)露光メモリの評価
また、得られた単層型電子写真感光体における露光メモリを評価した。
すなわち、得られた単層型電子写真感光体を、カラー画像形成装置(京セラミタ(株)製、KM−C3232)に対して組み付けた。
次いで、常温常湿条件下(温度:20℃、相対湿度:50%)にて、単層型電子写真感光体における未露光部分の表面電位、及び露光部分の次帯電工程実施後の表面電位を測定し、その差を露光メモリ(V)とした。得られた結果を表1に示す。
なお、帯電及び露光条件等は、上述した画像形成条件(帯電電位:850V)と同様の条件とした。
(6)転写メモリの評価
また、得られた単層型電子写真感光体における転写メモリを評価した。
すなわち、得られた単層型電子写真感光体を、カラー画像形成装置(京セラミタ(株)製、KM−C3232)に対して組み付けた。
次いで、常温常湿条件下(温度:20℃、相対湿度:50%)にて、単層型電子写真感光体における転写バイアスを印加しない時の表面電位、及び転写バイアス印加時の次帯電工程実施後の表面電位を測定し、その差を転写メモリ(V)とした。得られた結果を表1に示す。
なお、帯電及び転写条件等は、上述した画像形成条件(帯電電位:850V)と同様の条件とした。
[実施例2]
実施例2では、感光層を形成する際に、電子輸送剤として、下記式(16)で表わされる化合物(ETM−2)を用いたほかは、実施例1と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
参考例3]
参考例3では、感光層を形成する際に、結着樹脂として、粘度平均分子量45,000の式(10)で表わされるポリカーボネート樹脂(Resin−6)を用いたほかは、実施例2と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
参考例4]
参考例4では、感光層を形成する際に、結着樹脂として、粘度平均分子量55,000の式(11)で表わされるポリカーボネート樹脂(Resin−7)を用いたほかは、実施例2と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
参考例5]
参考例5では、感光層を形成する際に、結着樹脂として、粘度平均分子量60,000の式(12)で表わされるポリカーボネート樹脂(Resin−8)を用いたほかは、実施例2と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
参考例6]
参考例6では、感光層を形成する際に、電子輸送剤として、下記式(17)で表わされる化合物(ETM−3)を用いたほかは、実施例1と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例1]
比較例1では、感光層を形成する際に、電子輸送剤として、下記式(18)で表わされる化合物(ETM−4)を用いたほかは、実施例1と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
参考例7]
参考例7では、感光層を形成する際に、電子輸送剤として、下記式(19)で表わされる化合物(ETM−5)を用いたほかは、実施例1と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
参考例8]
参考例8では、感光層を形成する際に、電子輸送剤として、下記式(20)で表わされる化合物(ETM−6)を用いたほかは、実施例1と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例2]
比較例2では、感光層を形成する際に、電子輸送剤として、下記式(21)で表わされる化合物(ETM−7)を用いたほかは、実施例1と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
参考例9]
参考例9では、感光層を形成する際に、電子輸送剤として、下記式(22)で表わされる化合物(ETM−8)を用いたほかは、実施例1と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例3]
比較例3では、感光層を形成する際に、電子輸送剤として、下記式(23)で表わされる化合物(ETM−9)を用いたほかは、実施例1と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
参考例10]
参考例10では、感光層を形成する際に、電子輸送剤として、下記式(24)で表わされる化合物(ETM−10)を用いたほかは、実施例1と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例11]
実施例11では、感光層を形成する際に、電子輸送剤として、下記式(25)で表わされる化合物(ETM−11)を用いたほかは、実施例1と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例4]
比較例4では、感光層を形成する際に、電子輸送剤を添加しなかったほかは、実施例1と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例5]
比較例5では、感光層を形成する際に、電子輸送剤として、下記式(26)で表わされる化合物(ETM−12)を用いたほかは、実施例1と同様に単層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
本発明によれば、単層型電子写真感光体において、所定条件下にて測定される耐ガス性を規定することにより、酸化防止剤を使用せずとも、感光層における耐ガス性を効果的に向上させることができるようになった。
その結果、帯電電位を比較的高い値に設定した場合であっても、優れた帯電安定性を効果的に保持できるようになった。
したがって、本発明にかかる単層型電子写真感光体及び画像形成装置は、複写機やプリンター等の各種画像形成装置における長寿命化や、画像品質の安定化に著しく寄与することが期待される。
図1は、NO2雰囲気暴露後の帯電電位低下率と、耐久印字後の電位差と、の関係を説明するために供する図である。 (a)〜(b)は、本発明の単層型電子写真感光体の構成を説明するために供する図である。 図3は、本発明の画像形成装置の構成を説明するために供する図である。 図4は、実施例で用いたチタニルフタロシアニン結晶(テトラヒドロフラン中で、7日間貯蔵後)のCuKα特性X線回折スペクトルである。 図5は、実施例で用いたチタニルフタロシアニン結晶の示差走査熱量分析チャートである。
符号の説明
10:単層型感光体、10´:中間層を有する単層型感光体、12:導電性基体、14:感光体層、16:中間層、30:複写機、31:画像形成ユニット、31a:画像形成部、31b:給紙部、32:排紙ユニット、33:画像読取ユニット、33a:光源、33b:光学素子、34:原稿給送ユニット、34a:原稿載置トレイ、34b:原稿給送機構、34c:原稿排出トレイ、41:感光体ドラム、42:帯電器、43:露光源、44:現像器、45:転写ローラ、46:クリーニング装置

Claims (8)

  1. 帯電電位の値が600〜1000Vの範囲内の値である画像形成装置に搭載される電子写真感光体であって、
    基体上に電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤及び結着樹脂を同一層に含む感光層を有する単層型電子写真感光体であるとともに、
    前記結着樹脂が、下記一般式(1)で表わされる、一種類のポリカーボネート樹脂のみからなり、かつ
    前記電子輸送剤の分子量が、300〜500の範囲内の値であり、
    前記正孔輸送剤の分子量が、400〜680の範囲内の値であり、
    さらに、24ppmのNO2ガス雰囲気下にて48時間放置する前後における単層型電子写真感光体の帯電電位(V)を、それぞれX及びYとした場合に、下記(1)で表わされるNO2雰囲気暴露後の帯電電位低下率(%)の値が、6.7%以下であることを特徴とする単層型電子写真感光体。
    |(X−Y)/X|×100(%) (1)

    (一般式(1)中、複数の置換基Ra及びRbは、それぞれ独立した水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4の置換または非置換のアルキル基、もしくは炭素数6〜30の置換または非置換のアリール基であり、添字p及びqは、それぞれ独立した0〜4の整数であり、置換基Rc及びRdは、それぞれ独立した水素原子もしくは炭素数1〜2の置換または非置換のアルキル基であって、それぞれ種類が異なる非対称関係にあり、Wは、単結合、−O−、−CO−であり、添字k及びlは、0.05<l/(k+l)<0.6の関係式を満足するモル比である。)
  2. 前記結着樹脂が、一般式(1)で表わされるポリカーボネート樹脂のみからなるとともに、置換基Rcが水素原子であって、置換基Rdが炭素数1〜2のアルキル基であることを特徴とする請求項1に記載の単層型電子写真感光体。
  3. 前記電荷発生剤が、チタニルフタロシアニン結晶であることを特徴とする請求項1または2に記載の単層型電子写真感光体。
  4. 前記電子輸送剤が、下記式(15)、式(16)または式(25)で表される化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の単層型電子写真感光体。


  5. 前記帯電電位の値を850〜1000Vの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の単層型電子写真感光体。
  6. 電子写真感光体の周囲に、帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を有する画像形成装置であって、
    前記帯電手段による電子写真感光体表面における帯電電位が600〜1000Vの範囲内の値であり、
    前記電子写真感光体が、基体上に電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤及び結着樹脂を同一層に含む感光層を有する単層型電子写真感光体であるとともに、
    前記結着樹脂が、下記一般式(1)で表わされる一種類のポリカーボネート樹脂のみからなり、かつ
    前記電子輸送剤の分子量が、300〜500の範囲内の値であり、
    前記正孔輸送剤の分子量が、400〜680の範囲内の値であり、
    さらに、24ppmのNO2ガス雰囲気下にて48時間放置する前後における単層型電子写真感光体の帯電電位(V)を、それぞれX及びYとした場合に、下記計算式(1)で表わされるNO2雰囲気暴露後の帯電電位低下率(%)の値が、6.7%以下であることを特徴とする画像形成装置
    |(X−Y)/X|×100(%) (1)

    (一般式(1)中、複数の置換基Ra及びRbは、それぞれ独立した水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4の置換または非置換のアルキル基、もしくは炭素数6〜30の置換または非置換のアリール基であり、添字p及びqは、それぞれ独立した0〜4の整数であり、置換基Rc及びRdは、それぞれ独立した水素原子もしくは炭素数1〜2の置換または非置換のアルキル基であって、それぞれ種類が異なる非対称関係にあり、Wは、単結合、−O−、−CO−であり、添字k及びlは、0.05<l/(k+l)<0.6の関係式を満足するモル比である。)
  7. 前記帯電手段が、非接触型の帯電手段であることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
  8. 前記画像形成装置が、現像同時クリーニング方式の画像形成装置であることを特徴とする請求項6または7に記載の画像形成装置。
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