JP2005173292A - 電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法、および画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 結着樹脂と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、電荷発生剤と、を含む感光体層を備えた電子写真感光体およびその製造方法、並びにそのような電子写真感光体を備えた画像形成装置であって、感光体層に含まれる電子輸送剤として、カルボン酸エステル基を有するペリレンキノン誘導体を使用する。
【選択図】 図1
Description
しかしながら、有機感光体で用いられる材料のなかでも、電子輸送剤は、一般に感度特性が不十分であって、有機感光体として使用した場合に、十分な感度特性を発揮することが困難であるという問題が見られた。
また、特許文献2に記載されたペリレン顔料およびピレン化合物は、ともに高い電荷移動度を有し、これら二つの化合物を併用して感光体に使用した場合に、高い感度特性が得られた。しかし、結着樹脂との相溶性が低いため、耐久性が不十分であり、さらに、それぞれを単独で使用した場合は、電荷発生剤からの電子の注入性が低く、感度特性が不十分であるという問題が見られた。
そこで、本発明者らは、電子輸送剤として特定構造を有するペリレンキノン誘導体を使用することにより、幅広い種類の電荷発生剤、正孔輸送剤、および電子輸送剤を併用しても、感度特性および耐久性に優れているという事実を発見し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の目的は、上述した技術的な問題を解決し、感度特性および耐久性に優れた電子写真感光体、その製造方法およびそのような電子写真感光体を備えた画像形成装置を提供することにある。
(A)結着樹脂と、正孔輸送剤と、電子輸送剤としてのカルボン酸エステル基(−COOR1(R1は、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基))を有するペリレンキノン誘導体と、溶媒と、を混合分散して単層型用塗布液、あるいは複数の積層型用塗布液を作成する工程
(B)単層型用塗布液、あるいは複数の積層型用塗布液を導電性基材上に塗布する工程
(C)単層型用塗布液、あるいは複数の積層型用塗布液を塗布した導電性基材を乾燥させる工程
すなわち、所定のカルボン酸エステル基を有するペリレンキノン誘導体は、電荷移動度が高いとともに、結着樹脂との相溶性に優れ、感度特性および耐久性が優れた電子写真感光体を得ることができる。
第1の実施形態は、結着樹脂と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、電荷発生剤と、を含む感光体層を備えた電子写真感光体であって、電子輸送剤として、所定のカルボン酸エステル基を有するペリレンキノン誘導体を含む電子写真感光体である。
(1)基本的構成
図2に示すように、単層型感光体10は、導電性基体12上に単一の感光体層14を設けたものである。
この感光体層は、電子輸送剤としての所定のカルボン酸エステル基を有するペリレンキノン誘導体と、結着樹脂と、正孔輸送剤と、電荷発生剤と、さらに必要に応じてレベリング剤等を適当な溶媒に溶解または分散させ、得られた塗布液を導電性基体上に塗布し、乾燥させることにより形成することができる。かかる単層型感光体は、単独の構成で正負いずれの帯電型にも適用可能であるとともに、層構成が簡単であって、生産性に優れているという特徴がある。
(2)−1 種類
各成分を分散させるための結着樹脂は、従来、感光体層に使用されている種々の樹脂を使用することができる。例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂;シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、その他架橋性の熱硬化性樹脂;エポキシアクリレート、ウレタン−アクリレート等の光硬化型樹脂等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
特に、ポリカーボネート樹脂は、透明性や耐熱性に優れているばかりか、機械的特性や正孔輸送剤との相溶性にも優れていることから好ましい結着樹脂である。
(3)−1 種類
本発明の電子写真感光体に好適な正孔輸送剤の種類としては、従来、感光体に使用されている種々の正孔輸送剤を挙げることができる。
このような正孔輸送剤としては、高い正孔輸送能を有する種々の化合物、例えば下記の一般式(HTM−1〜HTM−13)で表される化合物等があげられる。
正孔輸送剤の添加量に関し、結着樹脂100重量部に対して、10〜150重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる正孔輸送剤の添加量が10重量部未満の値になると、感度が低下して、実用上の弊害が生じる場合があるためである。一方、かかる正孔輸送剤の添加量が150重量部を超えた値になると、正孔輸送剤が結晶化しやすくなり、感光体として適正な膜が形成されない場合があるためである。
したがって、かかる正孔輸送剤の添加量を20〜100重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、30〜80重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(4)−1 種類
本発明の電子写真感光体に好適な電子輸送剤の種類としては、所定のカルボン酸エステル基を有するペリレンキノン誘導体を使用することが好ましい。
この理由は、特定の電子輸送剤を導入することにより、かかる電子輸送剤は、構造中に二重結合を多く含み、さらに縮合環を含んでいるという構造上の特徴から、高い電荷移動度を有し、さらに電荷発生剤から電子輸送剤への電子の注入性に優れているため、優れた感度特性を得ることができる。また、所定のカルボン酸エステル基を有することにより、結着樹脂および正孔輸送剤との相溶性および溶解性が高まることから、優れた耐久性を得られるためである。
この理由は、下記一般式(1)で表される所定のカルボン酸エステル基を有するペリレンキノン誘導体を導入することにより、広い共役平面を有する構造をとるため、安定性が向上し、感度特性および耐久性がさらに優れた電子写真感光体を提供することができるためである。
さらに、このような構造であれば、合成が比較的容易であり、所定のカルボン酸エステル基を有するペリレンキノン誘導体を比較的高い収率で生産することができるためである。
この理由は、かかる電子輸送剤が、室温で液体であることにより、結着樹脂、正孔輸送剤、および電荷発生剤との相溶性が良くなり、優れた耐久性を得ることができるためである。さらに、感光体の塗布液を作製する工程において、かかる感光体剤料を混合分散させるのが容易になるため、塗布液を短時間で容易に作製することができる。
さらに、かかる電子輸送剤の粘度(25℃の条件で、ブッルクフィールズ粘度計を用いて測定した粘度)0.001〜100Pa・sとすることが好ましい。この理由は、かかる電子輸送剤の粘度が0.001Pa・s未満であると、導電性基材に塗布液を塗布する工程において、液だれを生じる可能性があり、均一に薄い膜を塗布するのが困難になるためである、また、100Pa・sを超えると、塗布液を混合分散するのが困難になり、相溶性が悪くなるという問題があるためである。
したがって、かかる電子輸送剤の粘度を0.005〜10Pa・sの範囲内の値とすることがより好ましい。
この理由は、このような特定の置換基を含むことにより、電荷発生剤からの電荷の注入性に優れており、また置換基による立体障害が少なく構造上安定に保たれることにより、高い感度特性を、長時間使用時においても安定して提供することができる。さらに、このような置換基であれば、比較的導入が容易であって所定のカルボン酸エステル基を有するペリレンキノン誘導体を、比較的高い収率で生産することができるためである。
また、これらの電子輸送剤のうち、電界強度が5×105v/cmにおける電子移動度が1.0×10-8cm2/V/sec以上である化合物がより好ましい。
また、電子写真感光体を構成するにあたり、結着樹脂100重量部に対して、電子輸送剤の添加量を、10〜100重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる複数の電子輸送剤の添加量が10重量部未満の値になると、感度が低下して、実用上の弊害が生じる場合があるためである。一方、かかる複数の電子輸送剤の添加量が100重量部を超えた値になると、電子輸送剤が結晶化しやすくなり、感光体として適正な膜が形成されない場合があるためである。
したがって、電子輸送剤の添加量を20〜80重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
この理由は、かかる全ETM/全HTMの比率がかかる範囲外の値になると、感度が低下して、実用上の弊害が生じる場合があるためである。
したがって、かかる全ETM/全HTMの比率を0.5〜1.25の範囲内の値とすることがより好ましい。
(5)−1 種類
本発明の電子写真感光体に使用される電荷発生剤としては、無金属フタロシアニン(τ型またはX型)、チタニルフタロシアニン(α型またはY型)、ヒドロキシガリウムフタロシアニン(V型)、およびクロロガリウムフタロシアニン(II型)からなる群から選択される少なくとも一つの化合物を含むことが好ましい。
この理由は、電荷発生剤の種類を特定することにより、正孔輸送剤および電子輸送剤を併用した場合に、感度特性、電気特性および安定性等がより優れた電子写真感光体を提供することができるためである。
これらの電荷発生剤のうち、具体的に、下記式(9)〜(12)で表されるフタロシアニン系顔料(CGM−A〜CGM−D)を使用することがより好ましい。
一方、ハロゲンランプ等の白色の光源を備えた静電式複写機等のアナログ光学系の画像形成装置に使用する場合には、可視領域に感度を有する感光体が必要となるため、例えばペリレン系顔料やビスアゾ顔料等が好適に用いられる。
また、電荷発生剤の添加量を、結着樹脂100重量部に対して、0.2〜40重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる複数の電荷発生剤の添加量が0.2重量部未満の値になると、量子収率を高める効果が不十分となり、電子写真感光体の感度、電気特性、安定性等を向上させることができなくなるためである。一方、かかる複数の電荷発生剤の添加量が40重量部を超えた値になると、赤外ないし近赤外領域に波長を有する光に対する吸光係数を大きくする効果が不十分となり、感光体の感度特性、電気特性、および安定性等を向上させることができない場合があるためである。
したがって、電荷発生剤の添加量を0.5〜20重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
B)を用いる場合には、下記式(13)で表される分散補助剤(例えば、C.IPigmentOrange16)を添加してもよい。
この理由は、かかる電荷発生剤(CGM−B)と分散補助剤(C.IPigmentOrange16)をあわせて用いることにより、塗工溶液中でのCGM−Bの分散性を向上させ、塗工溶液のポットライフを長くすることができるためである。
なお、式(13)で表される分散補助剤を使用する場合、その添加量を、全電荷発生剤100重量部に対して、30〜200重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる分散補助剤の添加量が30重量部未満の値になると、CGM−Bの塗工溶液中での分散性が不十分になり、感光体として適正な膜か製造されないためである。一方、かかる分散補助剤が200重量部を超えると、かかる電荷発生剤の量子収率を高める効果が不十分となり、電子写真感光体の感度特性、電気特性、および安定性等を向上させることができなくなるためである。
また、感光体層には、上記各成分のほかに、電子写真特性に悪影響を与えない範囲で、従来公知の種々の添加剤、例えば酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、一重項クエンチャー、紫外線吸収剤等の劣化防止剤、軟化剤、可塑剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、アクセプター、ドナー等を配合することができる。また、感光体層の感度を向上させるために、例えばテルフェニル、ハロナフトキノン類、アセナフチレン等の公知の増感剤を電荷発生剤と併用してもよい。
また、単層型感光体における感光体層の厚さは、通常、5〜100μmの範囲内の値であり、好ましくは10〜50μmの範囲内の値である。
そして、このような感光体層が形成される導電性基体としては、導電性を有する種々の材料を使用することができ、例えば鉄、アルミニウム、銅、スズ、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、真鍮等の金属や、上記金属が蒸着またはラミネートされたプラスチック材料、ヨウ化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で被覆されたガラス、あるいはカーボンブッラク等の導電性微粒子を分散してなるプラスッチク材料等があげられる。
また、導電性基体の形状は、使用する画像形成装置の構造に合わせて、シート状、ドラム状等のいずれであってもよく、基体自体が導電性を有するか、あるいは基体の表面が導電性を有していればよい。また、導電性基体は、使用に際して十分な機械的強度を有するものが好ましい。さらに、感光体層を形成する場合には、結着樹脂と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、電荷発生剤と、を適当な溶剤とともに、例えばロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカー、超音波分散機等を用いて分散混合した後塗布して乾燥させればよい。
(1)基本的構造
図3(a)に示すように、積層型感光体20は、導電性基体12上に、蒸着または塗布等の手段によって、電荷発生剤を含有する電荷発生層24を形成し、次いでこの電荷発生層24上に、一般式(1)で表されるカルボン酸エステル基を有するペリレンキノン誘導体(電子輸送剤)等の少なくとも1種と結着樹脂とを含む塗布液を塗布し、乾燥させて電荷輸送層22を形成することによって作製される。
ただし、電荷発生層24は、電荷輸送層22に比べて膜厚がごく薄いため、その保護のためには、図3(a)に示すように、電荷発生層24の上に電荷輸送層22を形成することがより好ましい。
なお、電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤、結着剤等については、単層型感光体と同様の内容とすることができる。
なお、積層型感光体における感光体層の厚さに関しては、電荷発生層が0.01〜5μm程度、好ましくは0.1〜3μm程度であり、電荷輸送層が2〜100μm、好ましくは5〜50μm程度である。
第2の実施形態は、結着樹脂と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、電荷発生剤と、を含む単層型感光体層あるいは積層型感光体層を備えた電子写真感光体の製造方法であって、下記工程(A)〜(C)を含む電子写真感光体の製造方法である。
(A)結着樹脂と、正孔輸送剤と、電子輸送剤としてのカルボン酸エステル基(−COOR1(R1は、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基))を有するペリレンキノン誘導体と、溶媒と、を混合分散して単層型用塗布液、あるいは複数の積層型用塗布液を作成する工程
(B)単層型用塗布液、あるいは複数の積層型用塗布液を導電性基材上に塗布する工程
(C)単層型用塗布液、あるいは複数の積層型用塗布液を塗布した導電性基材を乾燥させる工程
単層型の感光体層を形成するにあたり、結着樹脂と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、電荷発生剤と、を溶媒に添加して単層型用塗布液を作成する工程(A)と、作成した単層型用塗布液を導電性基材上に塗布する工程(B)と、かかる単層型用塗布液を塗布した導電性基材を乾燥する工程(C)と、を含むことが好ましい。
結着樹脂と、電荷発生剤と、電子輸送剤と、正孔輸送剤と、を溶媒に添加して、例えば、ロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカー、超音波分散機等を用いて分散混合し、塗布液とすることが好ましい。
より具体的には、固形分濃度が10〜30重量%の塗布液を作成することが好ましい。この理由は、塗布液の固形分濃度は10重量%未満の値になると、被膜欠陥を生じるおそれがあるためであり、一方、塗布液の固形分濃度は30重量%を超えると、層むらが生じやすくなり、感光体として均一な厚さを有する薄膜を形成することが困難となる場合があるためである。
さらに、電子輸送剤や電荷発生剤等の分散性や、感光体層表面における平滑性を良くするために、塗布液を作成する際に、界面活性剤やレベリング剤等を添加することも好ましい。
また、塗布工程を実施するにあたり、導電性基体上に、塗布液を直接的に塗布することも好ましいし、あるいは、バリア層を介して間接的に塗布することも好ましい。
また、塗布方法としては、均一な厚さの感光体層を形成するために、例えば、スピンコーター、アプリケーター、スプレーコーター、バーコーター、ディップコーター、ドクターブレード等を用いることが好ましい。
また、塗布工程の後、乾燥工程において、高温乾燥機や減圧乾燥機等を用いて、例えば、60℃〜150℃の乾燥温度で乾燥させることが好ましい。この理由は、かかる乾燥温度が60℃未満の値になると、乾燥時間が過度に長くなって、均一な厚さを有する感光体層を効率的に形成することが困難になる場合があるためである。一方、かかる乾燥温度が150℃を超えると、感光体が熱分解する場合があるためである。
(1)製造方法
本発明の積層型感光体層の製造方法に関し、複数の積層型用塗布液を作成して、それぞれ塗布および乾燥させる必要があるが、基本的には、単層型感光体の製造方法に準じて、作成することができる。
以下、積層型感光体層の製造方法に関し、単層型感光体の製造方法と異なる点を中心に説明する。
塗布液作成工程は、例えば、結着樹脂と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、溶媒と、からなる電荷輸送層用塗布液、および結着樹脂と、電荷発生剤と、溶媒と、からなる電荷発生層用塗布液と、をそれぞれ作成する工程である。
なお、塗布液作成工程に使用する装置や、固形分濃度等の条件については、単層型感光体の製造方法に準じることができる。
第1塗布工程および第1乾燥工程と、第2塗布工程および第2乾燥工程とを設けて、複数層からなる感光体層を形成することが好ましい。例えば、第1塗布工程および第1乾燥工程により、図3(a)に示すように、基体12の上に、電荷発生層24を形成し、次いで、第2塗布工程および第2乾燥工程により、電荷発生層24の上に、電荷輸送層22を形成することがより好ましい。
なお、塗布工程および乾燥工程の条件については、単層型感光体の製造方法に準じることができる。
第3の実施形態は、第1の実施形態の電子写真感光体(以下、単に、感光体と称する場合がある。)を備えるとともに、電子写真感光体の周囲に、帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程をそれぞれ配置し、画像形成を行うことを特徴とした画像形成装置である。なお、この画像形成装置の例では、電子写真感光体として、単層型感光体を用いた場合を想定して説明する。
(1)構成
第3の実施形態の画像形成方法を実施するにあたり、図4に示すような画像形成装置である複写機30を好適に使用することができる。かかる複写機30は、画像形成ユニット31、排紙ユニット32、画像読取ユニット33、及び原稿給送ユニット34を備えている。また、画像形成ユニット31には、画像形成部31a及び給紙部31bがさらに備えられている。そして、図示された例では、原稿給送ユニット34は、原稿載置トレイ34a、原稿給送機構34b、及び原稿排出トレイ34cを有しており、原稿載置トレイ34a上に載置された原稿は、原稿給送機構34bによって画像読取位置Pに送られた後、原稿排出トレイ34cに排出される。
一方、給紙部31bに積載された記録用紙(以下、単に用紙と呼ぶ。)Sは、一枚ずつ画像形成部31aに送られる。この画像形成部31aには、像担持体である感光体ドラム41が備えられており、さらに、この感光体ドラム41の周囲には、帯電器42、露光器43、現像器44、及び転写ローラ45、並びにクリーニング装置46が、感光体ドラム41の回転方向に沿って配置されている。
そして、上述したように転写が行われた後、感光体ドラム41に残留する残留トナー(及び紙粉)については、クリーニング装置46で除去される。すなわち、感光体ドラム41がクリーニングされる一方、残留トナーについては、廃トナーコンテナ(図示せず)に回収されることになる。
本発明の電子写真感光体に含まれる式(2)で表されるペリレンキノン誘導体の合成を、下記反応式(1)に沿って、下記(a)〜(f)に示すように行なった。
(1)電子写真感光体の作成
超音波分散機内に、電荷発生剤として、式(9)で表されるX型無金属フタロシアニン(CGM−A)を3重量部と、正孔輸送剤として、式(14)で表されるスチルベン誘導体(HTM−A)を50重量部と、電子輸送剤として、式(2)で表されるペリレンキノン誘導体(ETM−Aと称する)を50重量部と、結着樹脂として、式(15)で表される粘度平均分子量50,000の共重合ポリカーボネート樹脂(Resin−A)を100重量部と、溶媒としてのテトラヒドロフラン800重量部に対して添加した。次いで、超音波分散機を用いて1時間混合分散して、単層型感光体層用の塗布液を作成した。得られた塗布液を、導電性基材(アルミニウム素管)上に、ディップコート法にて塗布し、100℃、30分間の条件で熱風乾燥して、膜厚15μmの単層型感光体層を有する電子写真感光体を得た。
得られた電子写真感光体の感度特性を評価した。すなわち、得られた電子写真感光体について、ドラム感度試験機(GENTEC社製)を用いて、700Vになるように帯電させ、次いで、ハロゲンランプの光からハンドパルスフィルターを用いて取り出した波長780nmの単色光(半値幅:20nm、光量:16μW/cm2)を露光(照射時間:80msec)した。そして、露光開始から330msec経過した時点での表面電位(残留電位)を測定し、それを感度とした。得られた結果を表1に示す。
実施例1の塗布液中に、電荷発生剤として、式(9)で表されるX型無金属フタロシアニン(CGM−A)かわりに、式(10)で表されるY型チタニルフタロシアニン(CGM−B))を3重量部添加したほかは、実施例1と同様に単層型感光体を作成して、評価した。
実施例1の塗布液中に、電子輸送剤として、式(2)で表されるペリレンキノン誘導体のかわりに、下記式(16)〜(18)で表される電子輸送剤(ETM−B〜D)をそれぞれ50重量部添加したほかは、実施例1と同様に単層型感光体を作成し、評価した。
実施例1の塗布液中に、電荷発生剤として式(9)で表されるX型無金属フタロシアニンかわりに、式(10)で表されるY型チタニルフタロシアニン(CGM−B)を3重量部添加し、電子輸送剤として、式(2)で表されるペリレンキノン誘導体のかわりに、式(16)〜(18)で表される電子輸送剤(ETM−B〜D)をそれぞれ50重量部添加したほかは、実施例1と同様に単層型感光体を作成し、評価した。
したがって、本発明の電子写真感光体は、複写機やプリンタ等の各種画像形成装置における低コスト化、高速化、高性能化等に寄与することが期待される。
12:導電性基体
14:感光体層
16:バリア層
18:保護層
20:積層型感光体
22:電荷輸送層
24:電荷発生層
30:複写機
31:画像形成ユニット
31a:画像形成部
31b:給紙部
32:排紙ユニット
33:画像読取ユニット
33a:光源
33b:光学素子
34:原稿給送ユニット
34a:原稿載置トレイ
34b:原稿給送機構
34c:原稿排出トレイ
41:感光体ドラム
42:帯電器
43:露光源
44:現像器
45:転写ローラ
46:クリーニング装置
Claims (8)
- 結着樹脂と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、電荷発生剤と、を含む感光体層を備えた電子写真感光体であって、
前記電子輸送剤として、カルボン酸エステル基(−COOR1(R1は、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基))を有するペリレンキノン誘導体を含むことを特徴とする電子写真感光体。 - 前記ペリレンキノン誘導体として、下記一般式(1)で表されるペリレンキノン誘導体を含むことを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
(一般式(1)中のR2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10およびR11は、互いに独立した、カルボン酸エステル基(−COOR1(R1は、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基))、炭素数1〜6の置換または非置換のアルキル基、炭素数6〜12の置換または非置換のアリール基、炭素数6〜12の置換または非置換のアラルキル基、炭素数3〜10の置換または非置換のシクロアルキル基、炭素数1〜6の置換または非置換のアルコキシ基、またはヒドロキシル基であり、ただし、カルボン酸エステル基を一つ以上含んでいる。) - 前記電子輸送剤が、室温で液状であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真感光体。
- 前記電子輸送剤の添加量を、前記結着樹脂100重量部に対して、10〜100重量部の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
- 前記感光体層が、単層型であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
- 結着樹脂と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、電荷発生剤と、を含む単層型感光体層あるいは積層型感光体層を備えた電子写真感光体の製造方法において、下記工程(A)〜(C)を含むことを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
(A)結着樹脂と、正孔輸送剤と、電子輸送剤としてのカルボン酸エステル基(−COOR1(R1は、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基))を有するペリレンキノン誘導体と、溶媒と、を混合分散して単層型用塗布液、あるいは複数の積層型用塗布液を作成する工程
(B)単層型用塗布液、あるいは複数の積層型用塗布液を導電性基材上に塗布する工程
(C)単層型用塗布液、あるいは複数の積層型用塗布液を塗布した導電性基材を乾燥させる工程 - 請求項1〜6のいずれかに記載の電子写真感光体を備えるとともに、当該電子写真感光体の周囲に、帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程を実施するための部位を配置したことを特徴とする画像形成装置。
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