JP2004133230A - 有機感光体を備えている画像形成装置 - Google Patents

有機感光体を備えている画像形成装置 Download PDF

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Jun Azuma
東 潤
Hiroyuki Ueda
上田 博之
Takashi Nagashima
永島 高志
Masatada Watanabe
渡辺 征正
Junichiro Otsubo
大坪 淳一郎
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Abstract

【課題】正帯電型有機感光体を使用し、転写手段及び紙分離手段の少なくとも一方が負極性の電位が印加された画像形成装置において、高品質の転写紙を用いた場合には勿論のこと、低品質の転写紙を用いた場合にも、長期間にわたって安定して良質の画像を形成することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】有機感光体の周囲に、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及びクリーニング手段が配置され、転写手段及び分離手段の少なくとも一方が負極性の電位が印加された画像形成装置において、前記クリーニング手段は、少なくともファーブラシを備え、該ファーブラシのブラシ材は、感光体の最表面層のバインダー樹脂に対して帯電列で正の帯電系列である高分子を植毛したブラシであり、前記正帯電型有機感光体は、酸素透過係数が40cc・m/m・atm・day(20℃)以下のバインダー樹脂を用いて少なくとも表面層が形成されていることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法により画像形成が行われる画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複写機、ファクシミリ、プリンターなどの電子写真法による画像形成装置において採用される現像方法は、デジタル機の普及に伴い、現在、反転現像法が主流となっている。また、オゾン等の放電生成物の生成量を少なくして画像形成を行い得ることから、感光体としては、正帯電型の有機感光体が注目され、実用されている。
【0003】
例えば、上記のような正帯電型の有機感光体を用いた画像形成装置では、一般に、以下のようにして画像形成が行われる。
感光体(正帯電型有機感光体)を正極性に一様に主帯電し、所定の画像情報に基づいての光照射により画像露光して静電潜像を形成する。この場合、光照射部が画像部となり、光が照射されない部分が画像のバックグラウンド部となる。
上記で形成された静電潜像を、現像バイアス電圧が印加された状態で反転現像方式により現像し、感光体表面にトナー像を形成する。即ち、現像剤として使用されるトナー粉末は、感光体の帯電極性と同じ正極性に帯電されており、光照射されて電位が低下した部分にトナーが付着する。
このようにして感光体表面に形成され且つ正極性に帯電されているトナー像は、転写ローラや転写用のコロナ帯電器を用い、静電力を利用して転写紙に転写される。
この転写紙は負極性に帯電されているため、正に帯電されている感光体に引き寄せられ紙搬送を妨げる場合があるので、必要に応じて紙分離手段を用いる場合がある。
トナー像が転写した転写紙は、定着装置に導入され、熱、圧力により、トナー像の転写紙表面への定着が行われる。一方、転写終了後においては、感光体表面に残存するトナーがクリーニングされ、さらに必要により除電(除電光の照射)が行われ、これにより、画像形成行程の1サイクルが完了し、次の画像形成が行われる(例えば特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−159838号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、最近では、コスト軽減や資源の再利用のため、転写紙として、安価な紙や再生紙等の低品質の紙が多く利用されるようになってきている。
しかるに、有機感光体を使用し、転写手段及び紙分離手段の少なくとも一方が負極性の電位が印加される画像形成装置において、上記のような低品質の紙を転写紙として用いると、得られる画像品質が短期間で低下し、長期間にわたって良質の画像を得ることが困難となっていた。
【0006】
従って、本発明の目的は、有機感光体を使用し、転写手段及び紙分離手段の少なくとも一方が負極性の電位が印加される画像形成装置において、高品質の転写紙を用いた場合には勿論のこと、低品質の転写紙を用いた場合にも、長期間にわたって安定して良質の画像を形成することが可能な画像形成装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、低品質の転写紙を用いた場合に短期間で画像品質の低下が生じる原因について鋭意研究した結果、転写紙中に充填剤或いは表面処理剤として使用されるタルクに画像品質低下の要因があることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、有機感光体の周囲に、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及びクリーニング手段が配置され、さらに必要により転写手段に隣接して紙分離手段が隣接され、転写手段及び紙分離手段の少なくとも一方が負極性の電位が印加される画像形成装置において、
前記クリーニング手段は、ファーブラシを備えており、該ファーブラシのブラシ材は、感光体の最表面層のバインダー樹脂に対して帯電列で正の帯電系列である高分子を植毛したブラシであり、
前記有機感光体は、酸素透過係数が40cc・m/m・atm・day(20℃)以下のバインダー樹脂を用いて少なくとも表面層が形成されていることを特徴とする画像形成装置が提供される。
【0008】
本発明においては、
前記バインダー樹脂が、ポリカーボネート或いはポリエステルであること、
(2)前記クリーニング手段は、ファーブラシと、感光体の移動方向に対して該ファーブラシよりも下流側に配置されているクリーニングブレードとから構成されること
(3)前記ファーブラシのブラシ材は、ポリアミドからなっていること
(4)前記ファーブラシのブラシ材が非導電性であること、
(5)前記帯電が正帯電で前記転写手段が負の電荷を付与する反転現像方式の画像形成装置であり、かつ前記有機感光体が、電荷発生剤、正孔輸送剤及び電子輸送剤を前記バインダー樹脂中に分散させてなる単層の感光層を有する単層型感光体であること、
が好適である。
【0009】
本発明において第1の特徴は、クリーニング手段として、ブラシ材が感光体の最表面層のバインダー樹脂に対して帯電列で正の帯電系列である高分子を植毛したブラシから形成されているファーブラシを配置したことにある。
【0010】
即ち、本発明者等の研究によると、低品質の転写紙には、表面処理剤或いは充填剤として多量のタルクが配合されており、反転現像による画像形成を繰り返し行うと、タルクが感光体表面に付着する。このタルクは、マイナスに帯電し易いという性質を有している。
しかるに、例えば、正帯電型の画像形成装置において反転現像を行った場合には、正極性に帯電されているトナー像を転写紙表面に移行するために、負極性のバイアス電位が印加された転写手段(例えば、転写チャージャ、転写ローラ)が使用され、或いは転写紙の背面(トナー像が転写される面とは反対側の面)が負極性にコロナ帯電され、この結果、タルクは負極性に帯電しており、感光体表面(特に非露光部の暗電位部)に対して大きな付着力を示す。一般に、感光体表面に付着したタルクは、クリーニングブレードにより除去されるのであるが、正帯電型の感光体を用いて反転現像を行った場合には、上記のようにタルクが負極性に帯電して感光体表面に強く付着しており、しかも非常に細かい粒子であるため、クリーニングブレードをすり抜けたり、あるいはクリーニングブレードにより感光体表面に擦り付けられてしまい、反転現像による画像形成を繰り返していくうちに、感光体表面にタルクが蓄積し、フィルミングが生じてしまう。このようなタルクのフィルミングが生じると、感光体の表面電位が変化してしまい、良質の画像を得ることが困難となってしまうわけである。
【0011】
しかるに、本発明によれば、ブラシ材が感光体の最表面層のバインダー樹脂に対して正の摩擦帯電系列である高分子を植毛したブラシであるファーブラシを使用し、好ましくはクリーニングブレードを下流側に配置することにより、タルクのフィルミングを有効に防止することが可能となる。
ブラシ材の高分子はポリアミドであることが好ましい。ポリアミドは、摩擦帯電極系列がプラス側に大きく偏っているだけでなく、ポリアミド自身が耐摩耗性に優れており、かつ硬度的には低いため感光体に対しての耐傷性ならびに耐摩耗性にも優れている。このため、本発明のブラシ材として極めて好適である。ブラシ材が感光体の最表面層のバインダー樹脂に対して帯電列で正の帯電系列である高分子を植毛したブラシは、感光体との摩擦接触により正極性に帯電する。この結果、負極性に帯電したタルクは、ファーブラシにより感光体表面から引き離されて回収され、或いは感光体表面に残ったタルクも、感光体表面との付着力が低下しているため、クリーニングブレードにより容易に回収されるのである。
帯電系列とは2つの物体を接触させたときの、帯電極性の順列を表す。例えば、物体Aと物体Bを接触(摩擦)させた場合、Aが正極性に帯電、Bが負極性に帯電したとするならば、(+)A>B(−)ということとなる。材料毎にこれらの序列化した物が摩擦帯電系列である。環境によって序列が変わる場合があるが、通常、主な高分子に関して序列は以下の表1に示す通りである。
【0012】
【表1】
Figure 2004133230
【0013】
例えば、感光層の最表面層のバインダー樹脂がポリカーボネートで、クリーニングブラシがポリアミドの場合、ポリカーボネートに対して、ポリアミドは大きく帯電系列がプラスに偏っているのがわかる。
本発明がこれらの要件を満たしているかどうか簡単に確認するためには、クリーニングブラシと感光体のみを接触させた状態で、駆動をかけた場合、感光体が負に帯電することを確認すればよい。
尚、ブラシ材がポリアミドから形成されていたとしても、導電剤が配合されて導電性を示す場合には、ファーブラシの軸等はグラウンドされた機枠に保持されているため、摩擦電荷はグラウンドに逃げてしまうため、タルクの除去効果は低下してしまう。従って、ファーブラシのブラシ材は非導電性であることが好ましい。
【0014】
また、本発明の第二の特徴は、有機感光体の少なくとも表面層が、酸素透過係数が40cc・m/m・atm・day(20℃)以下のバインダー樹脂を用いて形成されていることである。
【0015】
画像形成を繰り返すことにより生じる画質の劣化要因としては、上述したタルクの付着以外に、オゾンやNOxなどの放電生成物が挙げられる。即ち、画像形成に際して行われる各種帯電工程で発生するオゾンやNOxなどにより、感光体表面に形成されている感光層が劣化し、この結果、感光体の表面電位の変動等を生じてしまう。特に、感光体表面にタルクが付着していると、このような放電生成物による感光層の劣化が顕著となる。これは、オゾンやNOxなどの放電生成物がタルクに吸着されやすく、表面に付着したタルクを介して感光層中に放電生成物が浸透していき、感光層中の電荷発生剤や電荷輸送剤を酸化劣化させるためと思われる。
しかるに、本発明によれば、少なくとも感光体の表面層が酸素透過係数が40cc・m/m・atm・day(20℃)以下である酸素遮断性に優れたバインダー樹脂を用いて形成されているため、オゾンやNOxなどの放電生成物の感光層中への浸透が有効に抑制され、この結果、これら放電生成物による感光層の劣化(表面電位の変動)を有効に防止することができるのである。
【0016】
例えば、後述する実施例における実験結果を示す表2によると、酸素透過係数が40cc・m/m・atm・day(20℃)以下のバインダー樹脂を用いて感光層が形成されている感光体が使用されている実験例1〜6では、オゾン及びNOxを含む雰囲気中に感光体を10時間暴露した後に帯電を行った場合、感光体表面にタルクが付着しているときの表面電位の変動は、タルクが付着していない場合に比して、20V以下である。一方、酸素透過係数が上記範囲よりも大きなバインダー樹脂を用いて感光層が形成されている感光体が使用されている実験例7〜11では、感光体表面にタルクが付着しているときの表面電位の変動は、タルクが付着していない場合に比して、約30V以上である。
このような実験結果から、酸素透過係数が40cc・m/m・atm・day(20℃)以下のバインダー樹脂を用いて感光層(表面層)が形成されている感光体を用いたときの優れた効果が理解される。
【0017】
また、本発明によれば、上記のような酸素遮断性の良好なバインダー樹脂を用いることにより、タルクの付着自体を有効に抑制できるという予想外の利点が発現する。
即ち、実施例における実験結果を示す表2には、画像形成を繰り返し行ったとき、タルクのフィルミングが生じるまでの耐刷枚数が示されているが、酸素透過係数が40cc・m/m・atm・day(20℃)以下のバインダー樹脂が使用されている実験例1〜6では、それよりも酸素透過係数の大きいバインダー樹脂を用いている実験例7〜11に比して、耐刷枚数が大きく、タルクのフィルミングが生じにくくなっていることが理解される。
このように、酸素遮断性の良好なバインダー樹脂を用いることにより、タルクの付着が抑制される理由は未だ不明であるが、おそらく、タルクの如き酸化物が付着による感光体の帯電能の低下は、純粋なタルク如き酸化物にNOx、オゾン等の活性ガスが作用することで大きく促進されるためでと思われる。そのため、酸素遮断性の良好なバインダー樹脂を用いて、耐ガス性を向上した感光体は、同じようにタルクが付着しても帯電能の低下が小さく抑えられていると考えられる。
【0018】
【発明の実施形態】
本発明の画像形成装置の全体構造の概略を図1に示す。以下の発明の形態は正帯電反転現像方式で感光体は正帯電単層型感光体に関してものだが本発明はこれに限定されるものではない。
この画像形成装置は、正帯電型の有機感光体ドラム1を備えており、この有機感光体ドラム1の周囲には、主帯電を行うための帯電手段2、画像露光を行うための光学系3、現像装置4、転写手段5、クリーニング手段6及び除電手段7が配置されており、感光体ドラム1と転写手段との間に転写紙(図示せず)が通過し、この転写紙上に、感光体ドラム1の表面に形成されたトナー像が転写されるようになっている。さらに、図示されていないが、転写紙の排出側経路には、定着装置が設けられており、転写紙上に形成されたトナー像の定着が行われるように構成されている。
【0019】
帯電装置2としては、コロトロン、スコロトロン等のコロナ帯電器や、導体ローラなどが使用され、画像形成に際しては、この帯電装置により、感光体ドラム1の表面が正極性に主帯電される。かかる主帯電は、その表面電位が+200V〜+1000Vの範囲となる程度に行われる。
【0020】
上記の主帯電後に、光学系3により、所定の画像情報に基づいて、レーザ光等の光を照射することにより画像露光が行われる。この光照射により、光が照射された部分の電位が低下し、静電潜像が形成される。
【0021】
現像装置4は、例えば内部に多数の磁極を有するマグネットを備えた現像ローラを備えており、この現像ローラにより、正極性に帯電されたトナーを含有する現像剤を、例えば穂切ブレード等により厚み調整して感光体ドラム1表面に供給し、反転現像方式により上記静電潜像を現像し、感光体ドラム1表面にトナー像を形成する。即ち、光が照射されて電位が低下した部分に正帯電したトナーが付着してトナー像が形成される。
現像剤としては、非磁性或いは磁性のトナーからなる一成分系現像剤、非磁性或いは磁性のトナーと磁性キャリヤ(例えば鉄粉、フェライトなど)とからなる二成分系現像剤が使用される。現像は、接触現像で行ってもよいし、非接触現像で行ってもよい。また、現像に際しては、一般に、+50〜900V程度の現像バイアス電位が現像ローラに印加される。
【0022】
転写手段5としては、転写ローラやコロナ帯電器が使用される。
転写ローラを用いた場合には、この転写ローラに負極性の転写バイアス電位を印加し、この転写ローラと感光体ドラム1との間に転写紙を通過させることにより、プラス帯電しているトナー像を転写紙上に転写する。
一方、コロナ帯電器を用いた場合には、転写紙の背面を負極性に帯電させ、転写紙の表面にプラス帯電しているトナー像を転写紙上に転写する。この場合には、転写用のコロナ帯電器とセットで分離用の交流コロナ帯電器を使用することが好ましい。即ち、トナー像を転写紙表面に転写した後に、転写紙の背面を交流コロナ帯電することにより、転写紙を感光体ドラム1表面から引き離し、転写紙の感光体ドラム1への巻き付きを防止する。
【0023】
上記の転写終了後、トナー像が転写された転写紙は、図示されていない定着装置内に導入され、熱及び圧力により、トナー像が転写紙表面に定着される。
【0024】
一方、転写終了後の感光体ドラム1は、クリーニング手段6により、クリーニングされ、表面に残存するトナー及び表面に付着したタルクの除去が行われる。このクリーニング手段6は、クリーニングブレード6aとファーブラシ6bとからなっており、ファーブラシ6bは、感光体ドラム1の回転方向に対して、クリーニングブレード6aよりも上流側に配置されており、ファーブラシ6bにより表面に付着したタルクをクリーニングした後に、クリーニングブレード6aによるクリーニングが行われるようになっている。本発明において、クリーニング手段はファーブラシだけでのクリーニングも適用範囲内であるが、クリーニングブレードを有さないファーブラシによるクリーニングでは感光体に付着したトナーを回収効率が低いことと、また、十分な回収効率を確保するためにファーブラシの接触圧を上げると、駆動の際、感光体に対して傷が入りやすくなってしまうために、クリーニングブレードも併設することが好ましい。即ち、感光体の最表面層のバインダー樹脂に対して帯電列で正の帯電系列である高分子を植毛したブラシ以外のブラシを用いた場合、もしくはクリーニングブラシを有さない場合は、感光体ドラム1表面にタルクが付着した状態でブレードクリーニングが行われることになり、タルクが感光体ドラム1表面に擦り付けられてしまい、感光体ドラム1表面に強固に付着して、そのクリーニングが困難となってしまうからである。
【0025】
また、本発明において、ファーブラシ6bのブラシ材は、感光体の最表面層のバインダー樹脂に対して帯電列で正の帯電系列である高分子を植毛したブラシであることが必要である。材質としてはポリアミドで、且つ非導電性であることが好ましい。
ブラシ材を非導電性とすることにより、例えば感光体ドラム1との摩擦接触によりブラシ材が摩擦帯電し、この摩擦電荷はグラウンドに逃げず、有効に保持される。即ち、ブラシ材が非導電性であるということは、有効に摩擦帯電が行われることを意味するものであり、一般に、ブラシ材の体積抵抗が1014Ω以上であればよい。
また、ブラシ材をポリアミド製とすることにより、このブラシ材を、タルクの帯電極性(マイナス)とは対極のプラスに摩擦帯電することができる。即ち、ポリアミドは、摩擦帯電系列がプラス側に大きく偏った樹脂であり、感光体との摩擦接触により正極性に帯電する。これにより、マイナスに帯電したタルクは、ファーブラシ6bにより感光体ドラム1表面から容易に回収されるのである。尚、このようなポリアミドとしては、これに限定されるものではないが、例えばナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6/6・6共重合体、ナイロン6・10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン13等を挙げることができる。
また、ブラシ材の径や密度は、適度な柔軟性を有し且つ感光体ドラム1からのタルクの掃き取りを有効に行い得るように、用いるブラシ材の材質に応じて適宜設定される。
【0026】
また、クリーニングブレード6aとしては、従来公知のもの、例えばポリウレタン等のゴムブレードが使用され、感光体ドラム1表面に圧接して設けられ、これにより、感光体ドラム1表面に残存するトナー及び掃き取られずに残ったタルクや再付着したタルクが掻き取られる。
【0027】
上記のようにして感光体ドラム1表面のクリーニングが行われた後、除電手段7により感光体ドラム1表面の除電が行われ、これにより、画像形成の一サイクルが完了する。除電手段としては、除電用のコロナ帯電器、除電用の帯電ローラ或いは除電用ランプなどが使用される。
以上、本発明は正帯電反転現像方式の画像形成装置に関して、説明したが、転写手段もしくは分離手段において、少なくとも一方が負極性の電位が印加された画像形成および紙搬送が行われる画像形成装置であれば、負帯電型の画像形成装置であっても良い。
例えば、負帯電型の正転現像型画像形成装置の場合、転写手段は負極性の電位が印可されるので、負極性に帯電したタルクは、負帯電型感光体の露光部(明電位部)に付着することとなる。また、負帯電型の反転現像型画像形成装置の場合においては、転写手段は正極性の電位が印可されるが、必要に応じて、分離手段として負極性の電位が印可されるものがある。
これらに関しては本発明の範囲内となる。
ただし、通常、「露光部面積<非露光部面積」であることと、「分離手段の電位の印可量<転写手段の電位の印可量 」であることから、本発明の効果を最大限に引き出すのは、正帯電反転現像方式の画像形成装置に関してであり、加えて、それに備え付けられる有機感光体は、感度およびライフを通じての安定性の面から正帯電単層型感光体であることが好ましい。
【0028】
[有機感光体ドラム]
−バインダー樹脂−
本発明において、有機感光体ドラム1としては、感光層の少なくとも表面層が、酸素透過係数が40cc・m/m・atm・day(20℃)以下の酸素遮断性の良好なバインダー樹脂を用いて形成されているものが使用され、この限りにおいて、有機感光体ドラム1表面に形成される感光層は、電荷輸送剤(CTM)と電荷発生剤(CGM)とを含有する単一の層からなる単層型感光層であってもよいし、電荷発生剤を含有する電荷発生層(CGL)と電荷輸送剤を含有する電荷輸送層(CTL)とからなる積層型感光層であってもよい。この場合において、積層型感光層においては、少なくとも上層(通常、電荷輸送層)が上記バインダー樹脂により形成されていることが必要であり、下層(通常、電荷発生層)のバインダー樹脂としては、酸素透過係数が上記範囲よりも高いものを使用することもできる。しかしながら、上層及び下層同士の接着性等の見地から、上層及び下層共に、上記の酸素遮断性の良好なバインダー樹脂を用いて形成されているのが最も好適である。
【0029】
既に述べた通り、本発明で用いる感光体ドラム1は、上記のような酸素透過係数が一定値以下の酸素遮断性が良好なバインダー樹脂を用いて感光層の少なくとも上層が形成されていることにより、オゾンやNOx等の放電生成物の感光層中への浸透が有効に防止され、タルクが付着した場合の表面電位(主帯電電位)の変動が抑制される。
このようなバインダー樹脂としては、酸素透過係数が上記範囲内にある限り、任意の樹脂を使用することができるが、感光層中に配合される電荷発生剤や電荷輸送剤等の各種剤の分散性が良好であり、耐摩耗性などの特性に優れていることから、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂(特に芳香族ポリエステル樹脂)の中から酸素透過係数が上記範囲内にあるものを選択して用いることが好ましい。かかるバインダー樹脂の一例を示すと、以下の通りである。
【0030】
下記式(1)で表される構成単位からなるポリカーボネート樹脂。
【化1】
Figure 2004133230
式中、R〜Rは、炭素数が4以下の低級アルキル基であり、RとRとは、互いに結合して脂肪族環を形成していてもよい。
【0031】
下記式(2)で表される繰り返し単位を有する共重合ポリカーボネート。
【化2】
Figure 2004133230
式中、Rは、水素原子または炭素数4以下の低級アルキル基であり、R及びRは、炭素数が4以下の低級アルキル基であり、RとRとは、互いに結合して脂肪族環を形成していてもよい。
【0032】
下記式(3)で表される繰り返し単位を有する共重合ポリカーボネート。
【化3】
Figure 2004133230
式中、Rは、炭素数4以下の低級アルキル基、特にメチル基である。
【0033】
下記式(4)で表される繰り返し単位を有する芳香族ポリエステル(ポリアリレート)。
【化4】
Figure 2004133230
【0034】
上述した酸素遮断性の良好なバインダー樹脂の分子量は、その種類によっても異なるが、一般に粘度平均分子量(PC−A換算)で1万乃至20万、好ましくは18,000乃至80,000の範囲にあるのがよい。
【0035】
−電荷発生剤−
感光層形成に使用する電荷発生剤としては、例えば、セレン、セレン−テルル、アモルファスシリコン、ピリリウム塩、アゾ系顔料、ジスアゾ系顔料、アンサンスロン系顔料、フタロシアニン系顔料、インジコ系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、ペリレン系顔料、キナクリドン系顔料等が例示され、所望の領域に吸収波長域を有するよう、一種または二種以上混合して用いられる。これらの中でも、フタロシアニン顔料、ペリレン系顔料、ビスアゾ顔料等が好適である。
【0036】
−電荷輸送剤−
電荷輸送剤としては、それ自体公知の電子輸送剤と正孔輸送剤とを組み合わせで使用するのがよい。
例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロム無水コハク酸、無水フタル酸、3−ニトロ無水フタル酸、4−ニトロ無水フタル酸、無水ピロメリット酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸等のカルボン酸エステル誘導体、フタルイミド、4−ニトロフタルイミド、ナフタルイミド、ベンゼンテトラカルボン酸ジイミド化合物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド化合物等のイミド化合物、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、マロノニトリル等のシアノ化合物、o−ニトロ安息香酸、トリニトロフルオレノン、トリニトリチオキサントン、ジニトロベンゼン、ニジトロアントラセン、ジニトロアクリジン、ニトロアントラキノン、ジニトロアントラキノン等のニトロ化合物、クロルアニル、ブロモアニル、ベンゾキノン系化合物、ジフェノキノン系化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、スチルベンキノン系化合物、ジナフトキノン化合物、アゾキノン化合物等のキノン系化合物などの電子吸引性物質を挙げることができる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。
【0037】
一方、正孔輸送剤としては、例えば次のものが知られており、これらの正孔輸送剤も、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ピレン;
N−エチルカルバゾール、N−イソプロピルカルバゾール、N−メチル−N−フェニルヒドラジノ−3−メチリデン−9−カルバゾール、N,N−ジフェニルヒドラジノ−3−メチリデン−9−エチルカルバゾール、などのカルバゾール化合物;
N,N−ジフェニルヒドラジノ−3−メチリデン−10−エチルフェノチアジン;
N,N−ジフェニルヒドラジノ−3−メチリデン−10−エチルフェノキサジン;
p−ジエチルアミノベンズアルデヒド−N,N−ジフェニルヒドラゾン、p−ジエチルアミノベンズアルデヒド−α−ナフチル−N−フェニルヒドラゾン、p−ピロリジノベンズアルデヒド−N,N−ジフェニルヒドラゾン、1,3,3−トリメチルインドレニン−ω−アルデヒド−N,N−ジフェニルヒドラゾン、p−ジエチルベンズアルデヒド−3−メチルベンズチアゾリノン−2−ヒドラゾン、などのヒドラゾン塩;
2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジゾール;
1−フェニル−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリン、1−[キノニル(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリン、1−[ピリジル(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリン、1−[6−メトキシ−ピリジル(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリン、1−[ピリジル(3)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリン、1−[レピジル(3)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリン、1−[ピリジル(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−4−メチル−5−(p−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリン、1−[ピリジル(2)]−3−(α−メチル−p−ジエチルアミノスチリル)−3−(p−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリン、1−フェニル−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−4−メチル−5−(p−ジエチルアミノフフェル)ピラゾリン、スピロピラゾリン、などのピラゾリン化合物;
2−(p−ジエチルアミノスチリル)−3−ジエチルアミノベンズオキサゾール、2−(p−ジエチルアミノフェニル)−4−(p−ジメチルアミノフェニル)−5−(2−クロロフェニル)オキサゾール、などのオキサゾール系化合物;
2−(p−ジエチルアミノスチリル)−6−ジエチルアミノベンゾチアゾールなどのチアゾール系化合物;
ビス(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタンなどのトリアリ−ルメタン系化合物;
1,1−ビス(4−N,N−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)ヘプタン、1,1,2,2−テトラキス(4−N,N−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)エタン、などのポリアリールアルカン類;
N,N´−ジフェニル−N,N´−ビス(メチルフェニル)ベンジジン、N,N´−ジフェニル−N,N´−ビス(エチルフェニル)ベンジジン、N,N´−ジフェニル−N,N´−ビス(プロピルフェニル)ベンジジン、N,N´−ジフェニル−N,N´−ビス(ブチルフェニル)ベンジジン、N,N´−ビス(イソプロピルフェニル)ベンジジン、N,N´−ジフェニル−N,N´−ビス(第2級ブチルフェニル)ベンジジン、N,N´−ジフェニル−N,N´−ビス(第3級ブチルフェニル)ベンジジン、N,N´−ジフェニル−N,N´−ビス(2,4−ジメチルフェニル)ベンジジン、N,N´−ジフェニル−N,N´−ビス(クロロフェニル)ベンジジンなどのベンジジン系化合物;
フェニレンジアミン誘導体;
ジアミノナフタレン誘導体;
ジアミノフェナントレン誘導体;
トリフェニルアミン;
ポリ−N−ビニルカルバゾール;
ポリビニルピレン;
ポリビニルアントラセン;
ポリビニルアリクジン;
ポリ−9−ビニルフェニルアントラセン;
ピレン−ホルムアルデヒド樹脂;
エチルカルバゾールホルムアルデヒド樹脂。
【0038】
−単層型感光層−
本発明において、有機感光体ドラム1上に形成される単層型感光層は、電荷発生剤(CGM)と電荷輸送剤(CTM)を前述した酸素遮断性の高いバインダー樹脂中に分散させることにより形成される。
かかる単層型感光層において、電荷発生剤(CGM)は、樹脂固形分100重量部当たり0.1乃至20重量部、特に0.5乃至10重量部の範囲の量で感光層中に含有されるのがよく、一方、電荷輸送剤(CTM)の内、電子輸送剤(ET)は、樹脂固形分100重量部当たり5乃至200重量部、特に10乃至100重量部の範囲の量で感光層中に含有されるのがよい。
また、電子輸送剤(ET)と正孔輸送剤(HT)とは、重量比で、ET:HT=10:1乃至1:10、特に1:5乃至3:1の範囲にあるのが最もよい。
かかる単層型感光層において、その初期厚みは、一般に2乃至100μm、特に5乃至50μmの厚みに設けることが、電子写真学的特性の点及び耐久寿命の点で好ましい。
本発明は、単層型感光層を有する感光体を用いた場合に最も優れた効果が発現する。即ち、単層型感光層は、表面層に全ての剤が分布しているため、積層型の感光層に比して放電生成物の影響が大きいが、本発明によれば、前述した酸素遮断性の高いバインダー樹脂を用いることにより、放電生成物の影響を有効に回避し得るからである。
【0039】
−積層型感光層−
本発明においては、感光層は積層型であってもよく、導電性基板側から、電荷発生層−電荷輸送層の順に積層された層構造を有していてもよいし、また、電荷輸送層−電荷発生層の順に積層された層構造を有していてもよい。
この場合、少なくとも表面側に位置する層は、前述した酸素遮断性の高いバインダー樹脂を用いて形成されていることが必要であり、下層は、酸素遮断性の低いバインダー樹脂を用いて形成されていてもよいが、両層の接着性等を考慮すれば、下層も、上層と同様、前述した酸素遮断性の高いバインダー樹脂を用いて形成されているのがよい。
また、電荷発生剤は、電荷発生層中の樹脂固形分100重量部当たり、5乃至1000重量部、特に30乃至500重量部の量で含有されるのがよい。電荷輸送剤は、電荷輸送層の樹脂固形分100重量部当たり、10乃至300重量部、特に30乃至200重量部の量で含有されるのがよい。通常、電荷輸送剤は正孔輸送剤・電子輸送剤のいずれかの場合が多いが、ライフを通じての安定性を向上するために必要に応じて正孔輸送剤と電子輸送剤の両方を配合しても良い。
電荷発生層及び電荷輸送層の厚みは、層構成によっても異なるが、一般に、電荷発生層は、0.01乃至5μm、特に0.1乃至3μmの範囲にあるのがよく、電荷輸送層は2乃至100μm、特に5乃至50μmの範囲にあるのがよく、何れの場合においても、感光層の初期厚み(電荷発生層と電荷輸送層との合計厚み)は、25乃至100μm、特に30乃至100μmの厚みに設けるのがよい。
【0040】
−感光層の作成−
上述した感光層の形成に用いる感光層形成用組成物には、電子写真学的特性に悪影響を及ぼさない範囲で、それ自体公知の種々の配合剤例えば、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、一重項クエンチャー、UV吸収剤、軟化剤、表面改質剤、消泡剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、アクセプター、ドナー等を配合させることができる。
【0041】
また、感光層の表面側の層に、感光層の耐久性向上を目的に、全固形分当たり0.1乃至50重量%の立体障害性フェノール系酸化防止剤を配合してもよい。
【0042】
感光層を設ける導電性基板としては、導電性を有する種々の材料が使用でき、例えば、アルミニウム、銅、錫、白金、金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、インジウム、ステンレス鋼、真鍮等の金属単体や、上記金属が蒸着またはラミネートされたプラスック材料、ヨウ化アルミニウム、酸化錫、酸化インジウム等で被覆されたガラス、カーボンブラック等の導電性微粒子が分散されたプラスチック材料等が例示される。は本発明の感光体では、通常のアルミニウム素管が好適に用いられ、引き抜き管をそのまま用いても、また引き抜いた後、切削加工や鏡面加工したものを用いてもどちらもよく使用される。さらに、それらに膜厚が1乃至50μmとなるようにアルマイト処理を施した素管を用いても良い。
【0043】
感光体を形成させるには、電荷発生剤、電子輸送剤及び結着樹脂の組み合わせ、電荷発生剤と結着樹脂との組み合わせ、或いは電子輸送剤と結着樹脂等の組み合わせを、従来公知の方法、例えば、ロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェイカーあるいは超音波分散器等を用いて塗布用組成物を調製し、従来公知の塗布手段により塗布し、必要により積層し、乾燥すればよい。
【0044】
塗布液を形成するのに使用する溶剤としては、種々の有機溶剤が使用でき、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類、n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族系炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等、種々の溶剤が例示され、一種または二種以上混合して用いられる。塗布液の固形分濃度は単層型感光体や積層型感光体の電荷輸送層の場合、一般に5乃至50%とするのがよい。積層型感光体の電荷発生層の場合、一般に1乃至10%とするのがよい。
【0045】
また、上述した単層或いは積層型の感光層は、これを直接導電性基板上に形成してもよいが、下引き層を介して形成することもできる。
このような下引き層としては、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリアミド、メラミン、フェノール、セルロース、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリスチレン等の高分子膜を例示することができる。下引き層の厚みは、0.01μm乃至20μmの範囲が好ましい。下引き層に導電性を付与するために、金、銀、アルミ等の金属粉末、酸化チタン、酸化スズ等の酸化金属粉末、カーボンブラック等の導電性微粉末を分散させることもできる。またこれら酸化金属微粉末はポリジメチルシロキサン等の有機の表面処理、アルミナ等の異種金属酸化物等の無機の表面処理をしても良い。
【0046】
【実施例】
本発明を次の実験例で説明する。
【0047】
[感光体の作成]
以下の実験例において、電荷発生剤及び電荷輸送剤(電子輸送剤及び正孔輸送剤)として以下のものを使用した。
【0048】
電荷発生剤:
X型無金属フタロシアニン
【0049】
正孔輸送剤(HTM−1):
下記式で表されるもの。
【化5】
Figure 2004133230
【0050】
電子輸送剤(ETM−1):
下記式で表されるジフェノキノン化合物。
【化6】
Figure 2004133230
【0051】
電子輸送剤(ETM−2):
下記式で表されるナフトジフェノキノン化合物。
【化7】
Figure 2004133230
【0052】
(実験例1)
バインダー樹脂として、酸素透過係数が22.7cc・m/m・atm・day(20℃)であり、以下の構成単位からなるポリカーボネート(resin−1)を用いた。
ポリカーボネート(resin−1):
【化8】
Figure 2004133230
【0053】
下記処方により、上記のポリカーボネート(resin−1)、電荷発生剤、電子輸送剤、正孔輸送剤、酸化防止剤、及びレベリング剤(ジメチルシリコンオイル)をテトラヒドロフランに溶解乃至分散させて塗布液を調製した。
ポリカーボネート(resin−1): 100重量部
電荷発生剤: 3.3重量部
正孔輸送剤(HTM−1): 50重量部
電子輸送剤(ETM−1): 10重量部
電子輸送剤(ETM−2): 30重量部
酸化防止剤: 5重量部
レベリング剤: 0.1重量部
上記の塗布液をアルミ素管に塗布し、乾燥することにより、厚みが30μmの単一分散型感光層を備えた感光体ドラムを作製した。
【0054】
(実験例2)
バインダー樹脂として、酸素透過係数が9.4cc・m/m・atm・day(20℃)であり、以下の構成単位からなるポリカーボネート(resin−2)を用いた以外は、実験例1と全く同様にして単一分散型感光層を備えた感光体ドラムを作製した。
ポリカーボネート(resin−2):
【化9】
Figure 2004133230
【0055】
(実験例3)
バインダー樹脂として、酸素透過係数が38.2cc・m/m・atm・day(20℃)であり、以下の構成単位からなる共重合ポリカーボネート(resin−3)を用いた以外は、実験例1と全く同様にして単一分散型感光層を備えた感光体ドラムを作製した。
共重合ポリカーボネート(resin−3):
【化10】
Figure 2004133230
【0056】
(実験例4)
バインダー樹脂として、酸素透過係数が24.7cc・m/m・atm・day(20℃)であり、以下の構成単位からなる共重合ポリカーボネート(resin−4)を用いた以外は、実験例1と全く同様にして単一分散型感光層を備えた感光体ドラムを作製した。
ポリカーボネート(resin−4):
【化11】
Figure 2004133230
【0057】
(実験例5)
バインダー樹脂として、酸素透過係数が11.2cc・m/m・atm・day(20℃)であり、以下の構成単位からなるポリアリレート(resin−5)を用いた以外は、実験例1と全く同様にして単一分散型感光層を備えた感光体ドラムを作製した。
ポリアリレート(resin−5):
【化12】
Figure 2004133230
【0058】
(実験例6)
バインダー樹脂として、酸素透過係数が22.8cc・m/m・atm・day(20℃)であり、以下の構成単位からなるポリアリレート(resin−6)を用いた以外は、実験例1と全く同様にして単一分散型感光層を備えた感光体ドラムを作製した。
ポリアリレート(resin−6):
【化13】
Figure 2004133230
【0059】
(実験例7)
バインダー樹脂として、酸素透過係数が94.0cc・m/m・atm・day(20℃)であり、以下の構成単位からなる共重合ポリカーボネート(resin−7)を用いた以外は、実験例1と全く同様にして単一分散型感光層を備えた感光体ドラムを作製した。
共重合ポリカーボネート(resin−7):
【化14】
Figure 2004133230
【0060】
(実験例8)
バインダー樹脂として、酸素透過係数が122.2cc・m/m・atm・day(20℃)であり、以下の構成単位からなるポリカーボネート(resin−8)を用いた以外は、実験例1と全く同様にして単一分散型感光層を備えた感光体ドラムを作製した。
ポリカーボネート(resin−8):
【化15】
Figure 2004133230
【0061】
(実験例9)
バインダー樹脂として、酸素透過係数が143.3cc・m/m・atm・day(20℃)であり、以下の構成単位からなるポリカーボネート(resin−9)を用いた以外は、実験例1と全く同様にして単一分散型感光層を備えた感光体ドラムを作製した。
ポリカーボネート(resin−9):
【化16】
Figure 2004133230
【0062】
(実験例10)
バインダー樹脂として、酸素透過係数が40.5cc・m/m・atm・day(20℃)であり、以下の構成単位からなるポリカーボネート(resin−10)を用いた以外は、実験例1と全く同様にして単一分散型感光層を備えた感光体ドラムを作製した。
ポリカーボネート(resin−10):
【化17】
Figure 2004133230
【0063】
(実験例11)
バインダー樹脂として、酸素透過係数が532.5cc・m/m・atm・day(20℃)であり、以下の構成単位からなるポリカーボネート(resin−11)を用いた以外は、実験例1と全く同様にして単一分散型感光層を備えた感光体ドラムを作製した。
ポリカーボネート(resin−11):
【化18】
Figure 2004133230
【0064】
尚、以上の実験例1〜11において、バインダー樹脂の酸素透過係数は、ASTM−D1434に準拠して、以下のようにして測定した。
ジクロロメタン800gに、シリコーンオイル(信越シリコーン株式会社製KF−96−50CS)0.1gと、バインダー樹脂100gとを溶解させてバインダー樹脂溶液を調製する。
このバインダー樹脂溶液を、浸漬法により、直径60mmのテフロン製円筒管に塗布する。ついで、130℃、45分間、熱風乾燥を行い、徐冷後、該円筒管からバインダー樹脂を剥離し、膜厚25μmのバインダー樹脂フィルムを作製する。
このフィルムについて、株式会社東洋製作所製のガス透過率測定装置(GTRTESTER)を用いて、温度20℃、湿度50%の環境下で酸素透過係数を測定した。
【0065】
実験例1〜11で作製された単層型有機感光体を、京セラミタ製デジタル複写機「Creage 7340」の改造機(主帯電器としてスコロトロン(正帯電)、転写手段として負極性の電荷を印可する転写チャージャ、及び現像剤として二成分系磁性現像剤を使用)に装着した。
また、上記改造機には、ナイロン製の非導電性ブラシ(体積抵抗1014Ω−cm以上)を有するファーブラシを図1に示されているようにクリーニングブレードと共に取り付けた。
上記の改造機を使用し、感光体表面の一部にタルクを付着させた後、オゾンを0.5ppm及びNOxを2ppm含有するする雰囲気に感光体を10時間暴露した。
暴露前及び暴露後の感光体について、同じ条件で主帯電を行い、暴露後の感光体のタルクが付着している部分及び付着していない部分について、表面電位の低下を測定し、その結果を表1に示した。
【0066】
また、転写紙として、タルクを2〜5重量%含有する低品位の紙(A4サイズ)を使用し、主帯電電位を+700V、現像バイアス電圧を+550Vに設定して、転写紙を通して反転現像による画像形成サイクルを繰り返し行い、タルクのフィルミングが行うまでの耐刷枚数を測定した。その結果を表1に示す。尚、実験例1〜6で作製された感光体を用いた場合には、10万枚の画像形成サイクルを繰り返したときにもフィルミングは生じていなかった。
さらに比較のために、ファーブラシを、ポリエステル製の導電性ブラシ(体積抵抗10〜1010Ω−cm)を有するものに取り換えて、上記と同じ試験を行い、その結果を表2に示した。
【0067】
【表2】
Figure 2004133230
【0068】
【発明の効果】
本発明によれば、有機感光体を使用し、転写手段及び紙分離手段の少なくとも一方が負極性の電位が印加される画像形成装置において、転写紙に由来するタルクの付着及びタルクに起因する表面電位の低下を有効に防止することができる。従って、タルクの付着が多くみられる低品質の転写紙を用いて画像形成を行った場合にも、長期間にわたって安定して良質の画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成装置の構造を示す概略図。

Claims (6)

  1. 有機感光体の周囲に、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及びクリーニング手段が配置され、さらに必要により転写手段に隣接して紙分離手段が隣接され、転写手段及び紙分離手段の少なくとも一方が負極性の電位が印加される画像形成装置において、
    前記クリーニング手段は、ファーブラシを備えており、該ファーブラシのブラシ材は、感光体の最表面層のバインダー樹脂に対して帯電列で正の帯電系列である高分子を植毛したブラシであり、
    前記有機感光体は、酸素透過係数が40cc・m/m・atm・day(20℃)以下のバインダー樹脂を用いて少なくとも表面層が形成されていることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記バインダー樹脂が、ポリカーボネート或いはポリエステルである請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記クリーニング手段は、ファーブラシと、感光体の移動方向に対して該ファーブラシよりも下流側に配置されているクリーニングブレードとから構成される請求項1に記載の画像形成装置。
  4. 前記ファーブラシのブラシ材は、ポリアミドからなっている請求項1に記載の画像形成装置。
  5. 前記帯電手段が正帯電であり、前記転写手段が負の電荷を付与する反転現像方式の画像形成装置であり、かつ前記感光体が少なくとも電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤およびバインダー樹脂を同一層に含有した感光層を有する単層型である請求項1に記載の画像形成装置。
  6. 前記ファーブラシのブラシ材が非導電性である請求項1に記載の画像形成装置。
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