JP2009166305A - 表面保護用ポリオレフインフイルムおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ロール巻き形状に優れ、貼り合わせ加工適性に優れた保護フイルムを提供すること。
【解決手段】 中心線平均粗さRaが0.05〜0.5μmの二軸延伸ポリプロピレン樹脂フィルムを含む基層(A層)と、ポリオレフィン樹脂を含みかつ一軸方向に延伸されてなる自己粘着層(B層)とを含み、100℃の長手方向の熱収縮率が0〜2.5%である表面保護用ポリオレフィンフィルムとする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリオレフイン系樹脂を含む表面保護用ポリオレフィンフイルムに関するものであり、詳しくは、光学材料用シート、液晶表示部材、表面仕上げ加工後のプラスチックあるいは金属部材、筐体等の表面の傷つき防止、汚染防止の目的で、該表面に貼り付けて使用される表面保護用ポリオレフィンフイルムに関する。
従来から、光学材料用シート、液晶表示部材、表面仕上げ加工後のプラスチックあるいは金属部材、筐体等の表面キズや汚染を防止し、その価値や機能を保全する目的で、表面保護フイルムは幅広い分野で使用されている。
このような表面保護フイルムは、それぞれの材料の搬送・加工工程等においては該表面に適度な粘着力で付着していることで保護機能を発揮し、次工程乃至は最終工程で該表面を使用する際には、容易に基材から剥離し、粘着剤等の異物が残留しないことが求められる。特に光学用部材等の保護フイルムとして用いる場合は、保護フイルムを貼り合わせた状態での外観検査の際に基材フイルムの欠点と誤認するような光学的な異物が少ないこと、相手基材への形状転写、付着、汚染等が問題となるフィッシュアイ、樹脂粉等の低減が重要な技術課題である。
また、該フイルムが粘着性を有する基材であるために、該フイルムロールを巻出す際の剥離力を低く制御できないと、基材への貼り合わせ加工適性が損なわれる可能性があるという問題もある。
前者については、フイルム基材からの発塵を低減するために、例えば、基材フイルムとして剛性に優れる直鎖状ポリエチレンと低密度ポリエチレンとをブレンドする技術が提案されている(特許文献1)。また、低フィッシュアイの基材としてプロピレン系ブロック共重合体の添加剤を制限する提案もなされている(特許文献2)。
また、後者の対策としては、粘着層を特定の表面粗さの基材上に形成することで、低剥離性を実現する提案がなされている(特許文献3)。
しかしながら、基材としてエチレン系成分をベースとしたり、エチレン系成分が含まれている場合、異物・フィッシュアイ等の光学的な異物を除去することができず、保護フイルムを貼り合わせて基材を検査する際の障害になるという問題を有していた。
また、基材の表面を粗面化する技術においては、粗大な突起が形成された場合に、該突起が粘着層に転写しラミネート時に空気を噛み込んだり、あるいは、貼り合わせ加工時に粗大突起が削れて異物となるという問題を有していた。
特開平5−98219号公報 特開2007−270005号公報 特開平5−229082号公報
本発明は、基材フイルムの異物・フィッシュアイを低減し、緻密な面形状を有する基層(A層、離型層)と自己粘着性を有する自己粘着層(B層、ポリオレフイン層)とを配置することにより、粘着時の空気噛み混み等の問題を軽減し、貼り合わせ加工適性を向上せしめた表面保護用ポリオレフィンフィルムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明は、以下の構成からなる。
1.中心線平均粗さRaが0.05〜0.5μmの二軸延伸ポリプロピレン樹脂フィルムを含む基層(A層)と、ポリオレフィン樹脂を含みかつ一軸方向に延伸されてなる自己粘着層(B層)とを含み、100℃の長手方向の熱収縮率が0〜2.5%である表面保護用ポリオレフィンフィルム。
2.基層(A層)中の二軸延伸ポリプロピレン樹脂フィルムに含まれるポリプロピレン樹脂の分子量分布(Mw/Mn)が7以上でありかつ融点が163〜169℃である、上記1に記載の表面保護用ポリオレフィンフィルム。
3.基層(A層)が、Ac層と最表面を構成するAs層との少なくとも2層から構成され、二軸延伸ポリプロピレン樹脂フィルムに含まれるポリプロピレン樹脂が実質的にエチレン系成分を含まず、かつ高溶融張力ポリプロピレンおよびポリブテン1の少なくともいずれかを含む、上記1または2に記載の表面保護用ポリオレフインフイルム。
4.自己粘着層(B層)中に含まれるポリオレフイン樹脂の分子量分布(Mw/Mn)が4以下である、上記1〜3のいずれかに記載の表面保護用ポリオレフインフイルム。
5.基層(A層)の厚みが5〜18μmである、上記1〜4のいずれかに記載の表面保護用ポリオレフインフイルム。
6.基層(A層)を構成する樹脂シートを一軸延伸した後、この上に自己粘着層(B層)を構成する樹脂を溶融押出し、次いでこれらを前記一軸延伸の方向と直角の方向に延伸する、上記1〜5のいずれかに記載の表面保護用ポリオレフインフイルムの製造方法。
本発明の表面保護用ポリプロピレンフイルムは、二軸延伸ポリプロピレン樹脂フイルムを基層に含み、離型性を有する粗面化表面の粗さを最適化することで以下の効果を奏するものである。
1.本発明フイルムをロール状に巻き取った際に巻姿の均一性に優れ、巻出し時の搬送しわの発生が軽減できる。
2.表面形状が粘着面側に転写しにくいため、保護基材との貼り合わせ時の合わせ面への空気の噛み込みが軽減できる。
以下、本発明の表面保護用ポリプロピレンフイルム(以下、本発明フイルムという)を詳細に説明する。
1.本発明フイルムの層構成
本発明フイルムは、基層(以下、A層)と自己粘着層(以下、B層)の少なくとも2層を含んでいるが、その機能を損なわない範囲で第三の樹脂層が含まれていてもよい。また、A層および/又はB層は、本発明の目的に反しない限り、それぞれ複層構成になっていてもよい。以下にA層、B層について詳細に説明する。
2.A層(基層)
前述の通り、A層は本発明フイルムの機械的な特性を付与する基層としての機能を有する。このため、適度な剛性、優れた寸法安定性が求められる二軸延伸ポリプロピレン樹脂フイルムを含んでいることが重要である。この二軸延伸ポリプロピレン樹脂フイルムに含まれるポリプロピレン樹脂としては、メルトマスフローレートが1〜20g/10分、融点が163〜169℃が好ましく用いられるが、特に好ましくは、メルトマスフローレートが2〜10g/10分、融点が164〜168℃、質量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で定義される分子量分布(Mw/Mn)が7以上、特に好ましくは8〜15である分子量分布を有するポリプロピレン樹脂であることが好ましい。このようなポリプロピレン樹脂は、適宜触媒を選択することによって得られるが、融点制御のためには触媒に加えて電子供与体の選定と添加量が制御要因として挙げられ、分子量分布を広げるためには、複数のリアクターを用いて製造することが挙げられる。
ポリプロピレン樹脂として上記の特性を有する樹脂を用いると、特に、フイルムの剛性・熱寸法安定性が向上できることから、A層の厚みを薄膜化でき、例えば従来厚みが20μm程度必要であったものが、18μm以下に薄膜化でき、保護フイルムの軽量化が可能となり、マテリアルハンドリングの向上、輸送効率の向上を通じて、総合的なコストダウンに繋がる。A層の厚みとしては、特に下限を設けるものでは無いが、実用上は5μm以上であることがハンドリング性に優れるので好ましい。A層の厚みは5〜18μmであることが好ましく、より好ましくは7〜16μmである。
更に、異物あるいはフィッシュアイを低減する観点からは、該ポリプロピレン樹脂の触媒残査は70ppm以下(質量基準、以下同様)であることが好ましく、特に好ましくは50ppm以下、特に好ましくは30ppm以下である。
このように触媒残査を低減するためには、ポリプロピレン樹脂の重合方法として、溶媒法または塊状法を用いて、ポリマー中に残留する触媒量を低減する方法が好ましく用いられる。更に、得られた樹脂を適宜洗浄することにより、更に触媒残査を低減することが可能であるが、工業的には下限は10ppm程度である。
また、同様な観点から、塩素捕獲剤としては、無機系とするか、有機系である場合はなるべく添加量を低減することが好ましく、具体的にはハイドロタルサイト系を選択すること、ステアリン酸カルシウム等の有機系を使用する場合は100ppm以下、好ましくは50ppm以下としておくことが好ましい。
また、本発明フイルムには公知の酸化防止剤、結晶核剤、帯電防止剤、滑り剤、ブロッキング防止剤等の添加剤、他のポリオレフイン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等の樹脂を本発明の目的を阻害しない限り含むことができる。
A層は本発明フイルムの基層となると共に、その表面が本発明フィルムを巻き取る際に粘着性を有するB層と接するため、B層との離型性を有することが求められる。
このような離型性を付与する上で、適度な表面粗さを有することが重要であり、中心線平均粗さRaが0.05〜0.5μm、好ましくは0.04〜0.4μm、より好ましくは0.1〜0.3μmであることが重要である。更に、十点平均粗さRzは0.7〜5μm、好ましくは1〜4μmであることが好ましい。Raが0.05μmを下回ると滑り性に劣り、Raが0.5μmを超えると巻き取り性が悪化したり、ひどい場合にはB層への転写が問題となることがある。一方、Rzが0.7μmを下回ると巻き取り性が悪化し、5μmを超えるとB層への転写が問題となることがある。更に該表面粗さRaとRzとの比(Rz/Ra)は8〜28の範囲としておくことが巻き取り性と滑り性を良好とする上で好ましく、特に10〜25の範囲がよい。
このような表面形状を得るためにはエンボス加工をはじめとした機械加工による方法、無機および/または有機のフィラーを添加し延伸する方法、エチレン−αオレフイン系ブロック共重合体、エチレン−プロピレンラバー等々の種々の樹脂を適宜ブレンドし相分離構造を形成し延伸時に粗面化する方法、特定の結晶系を形成しておき、延伸工程で表面を粗面化する方法が例示される。
しかしながら、既述の通り、特定の添加剤はポリプロピレン樹脂との親和性に劣る場合があり、添加剤が加工工程で脱落する問題や、エチレン系の重合体ではゲル状物の生成に起因するフィッシュアイの問題が指摘されている。従って、エチレン系成分は実質的に含まないことが好ましい。ここでエチレン系成分を実質的に含まないとは、プロピレンとのモノマー比で2質量%以下であることを意味する。
この観点から、表面形成を行う上で特に好ましい方法としては、ポリプロピレンの結晶形態を利用する方法や親和性の高い材料とのポリマーアロイとすることである。具体的には、ポリプロピレンの結晶系を利用する方法としては、β型結晶を生成しておき、延伸工程でα型に転換する方法、分岐状構造を有するポリプロピレンを少量含ませて球晶生成を制御する方法、ブテン−1を含むポリオレフインを添加する方法等が例示され、特に長鎖分岐構造を含むポリプロピレン樹脂、ブテン−1系ポリオレフインを添加する方法が好ましい。長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂としては、高溶融張力ポリプロピレン樹脂(以下、HMS樹脂という)が商品化されているが、この中でも電子線架橋法により得られる樹脂が該樹脂中のゲル成分が少ないために好ましく用いられる。具体的にはBasell社製“HMS−PP”(PF−814)、Borealis社製Daploy HMS−PP(WB130HMS、WB135HMS等)が例示される。こうしたHMS樹脂をポリプロピレンに添加した際の特徴はポリプロピレンの溶融結晶化温度が通常110℃付近にあるのに対して、115〜130℃の範囲に上昇することである。HMS樹脂の特徴は、230℃で測定した時の溶融張力(MS)とメルトフローレート(MFR)の関係が次式
log(MS)>−0.56・log(MFR)+0.74
(ただし、MS:230℃で測定した溶融張力(cN)、MFR:メルトフローレート(g/10分))を満たすことである。すなわち、架橋構造の影響により、同一のMFRのポリプロピレン樹脂に比較して、溶融張力が上昇する。
また、ポリブテン−1系ポリオレフイン樹脂としては、三井化学(株)製“タフマー”BLシリーズ(BL4000、BL3110、BL3450等)が例示される。
A層については、同層中にポリプロピレン樹脂を含み、かつ高溶融張力ポリプロピレン樹脂(長鎖分岐構造を含むポリプロピレン樹脂)およびポリブテン1(ブテン−1系樹脂)の少なくともいずれか1種の樹脂を含んでいることが好ましい。具体的には、長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂、ブテン−1系樹脂の含有量は、ポリプロピレン樹脂100質量部に対して、1〜30質量部、好ましくは2〜15質量部である。
更に好ましい表面形状を制御する方法としては、A層を、Ac層と最表層を形成するAs層との2層構成とすることである。このとき、As層は、中心線平均粗さRaが0.05〜0.5μmの範囲にある。その他、上記したA層の好ましい表面形態を有していることも重要である。As層を構成する樹脂としては、上述の通り、ポリプロピレンとポリプロピレン樹脂との相溶性に劣る熱可塑性樹脂を添加する方法、ポリプロピレンと無機または有機の粒子を添加する方法、ポリプロピレンの結晶系を制御しえるポリオレフイン系樹脂を添加する方法等が例示される。この中で、相溶性に劣る樹脂の添加乃至は粒子の添加による方法の場合は、該添加樹脂あるいは粒子がフイルム層から脱落する恐れがあり、特に光学用途等のようにコンタミネーションを嫌う用途で使用ができない可能性がある。
この観点から、As層についてもエチレン成分の含有量はプロピレンとのモノマー比で2質量%以下であること(実質的に含まないこと)が好ましく、更に好ましくは1質量%以下である。
従って、As層の構成としては、ポリプロピレン樹脂を含み、かつ高溶融張力ポリプロピレン樹脂(長鎖分岐構造を含むポリプロピレン樹脂)およびポリブテン1(ブテン−1系樹脂)の少なくともいずれか1種の樹脂を含んでいることが好ましい。この場合、構成比率は、ポリプロピレン樹脂100質量部に対して高溶融張力ポリプロピレン樹脂およびポリブテン1の合計含有量が1〜100質量部、好ましくは2〜70質量部、特に好ましくは4〜50質量部である。
3.B層(自己粘着層)
B層は粘着性を有し、自己粘着性を有するポリオレフイン樹脂を含む。このようなポリオレフィン樹脂としては、低分子量成分が少ないことが好ましく、この観点から分子量分布が狭いことが好ましい。具体的には、Mw/Mnは4以下であることが好ましく、特に2〜3.5であることが好ましい。また、融点が60〜120℃のポリエチレン系樹脂、または、低結晶性ポリプロピレン樹脂の少なくともいずれかを含むことが好ましい。
融点が60〜120℃のポリエチレン系樹脂としては、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンエチルアクリル酸共重合体、エチレンメチルメタアクリル酸共重合体等が例示される。また、低結晶性ポリプロピレン樹脂としては、メソペンタッド分率が80%以下のメソポリプロピレン、あるいはラセミペンタッド分率が80%以下のシンジオタクチックポリプロピレンが例示される。特に低結晶性ポリプロピレンにおいては、規則性が低下することでアタクチック成分が増加して相手基材への転写等の問題を生じる可能性があるために、低分子量成分が少ないことが好ましく、この観点から分子量分布が狭いことが好ましい。Mw/Mnは4以下であることが好ましく、特に2〜3.5であることが好ましい。このような樹脂としては住友化学(株)製“タフセレン”が例示される。また、同様の観点から超低密度ポリエチレンについても分子量分布が狭いことが好ましく、メタロセン触媒により製造される樹脂が好ましく用いられる。具体的には日本ポリエチレン(株)製“カーネル”等が例示される。
このように狭い分子量分布であると溶融押出時の溶融張力が低下するために、薄膜化が困難となりやすい。特に厚みを20μm以下として、製品幅を1,000mm以上としようとすると、押出時の厚み変動が大きく均一なフイルムを得難くなる。薄膜化する上ではシート形成後に所定の倍率で延伸することにより目的の厚みを得ることができるが、延伸配向に伴う剛性の向上による粘着性の低下や、熱収縮(特に常温収縮)が大きくなり、平面性の悪化等を招くことから、本用途においては、適用は到底困難である。通常延伸工程は樹脂のガラス転移温度や結晶の運動性が向上する温度(例えばポリプロピレンであればα分散)以上でかつ流動状態に至らない温度範囲で行われ、この結果分子配向せしめるものであるが、樹脂の流動点(具体的には融点等)以上で延伸することができれば、分子の配向を抑えながら薄膜化が可能となり、粘着特性・平面性を損なうことが無い。しかしながら、流動点以上での延伸は樹脂シートの形態が保持できないという観点から生産技術的には困難性を有するため、本発明者らは、A層をB層の延伸時の基材としても機能させ、B層を低配向のままで均一延伸を実現するものである。すなわち、まず、A層を形成する樹脂シートを一軸に延伸せしめた後にB層を形成する樹脂をA層上に溶融押出し、A層/B層の積層フイルムを形成し、該一軸延伸の方向とは直角の方向に延伸することで本発明フィルムを得るものである。この結果、B層はA層の延伸挙動によって共延伸され、通常7〜15倍に延伸される。この結果、B層は完全な溶融状態からシート化したものよりもやや配向を有するが、完全な無配向であるよりも、わずかに配向を有している方が、表面強度が向上するので好ましく、好ましい配向度は樹脂による依存性もあるので必ずしも限定できないが、ポリプロピレン系樹脂の場合、面配向係数で1×10−4〜1×10−3であることが好ましい。また、上記B層は、例えば、2層以上の積層構成としてもよく、その際、最表層に位置する層については、上記したB層と同じ態様であることが好ましい。
B層の厚みは自己粘着特性、クッション性の点から、5μm以上であることが好ましく、特に好ましくは8μm以上である。上限については特に限定されるものでは無いが、コスト等の制約から100μm以下であることが好ましく用いられる。
4.本発明フイルムの構成等
本発明フイルムは、上述の特徴を有する少なくともA層とB層とを含むが、その100℃の長手方向の熱収縮率は0〜2.5%であることが好ましく、更に好ましくは0〜2.0%、特に好ましくは0〜1.5%である。ここで長手方向とは、フイルムをロール状に巻き取った際の巻方向をいう。長手方向の熱収縮率が2.5%を超えると製品ロールが巻締まることでA層表面の形状が深くB層側に転写し、被着体に貼り合わせる際に空気を噛み込む等の問題を生じることがある。
また、長手方向と直角の方向(以下「幅方向」という)の100℃の熱収縮率は−2〜1%であることが好ましく、特に好ましくは−1.5〜0.5%である。幅方向の熱収縮率の絶対値が大きすぎるとA層とB層との寸法変化に起因するカールが大きくなり、貼り合わせ特性を損なう可能性がある。
このような熱収縮率に制御するためには、二軸延伸フイルムの製造条件を適宜選択することで可能となるが、A層を構成するポリプロピレン樹脂として融点が163℃以上の樹脂を選定することが特に好ましい。このようにするとA層の結晶化度が高まり、非晶相の拘束力が高まり、熱的な寸法安定性が向上する。
また、本発明フイルムの厚みは、適宜用途に決定されるものであり、特に限定されるものではないが、ハンドリング性と自己粘着性の観点から15μm以上であることが好ましく、更に好ましくは20μm以上である。また、A層とB層との積層比率については適宜用途・目的に応じて設定することができるが、上述の通り、ハンドリング性の観点からは少なくともA層は5μm〜18μmであることが好ましく、より好ましくは、7μm〜16μmである。
5.製造方法
以下、本発明フイルムの製造方法について一例を説明する。
押出機[a]からA層用のポリプロピレン樹脂をシート状に溶融押出し、冷却ドラム上で冷却固化する。該シートを複数の加熱ロール群を用いて130〜155℃に昇温下後にロールの周速差を利用して長手方向に4〜7倍に延伸する。こうして得られた1軸延伸フイルムを押出機[b]とラミネート装置からなる押し出しラミネート装置に導き冷却ドラム上でニップしながらB層用の樹脂Bとの積層体を形成する。この際に、樹脂Bは自己粘着性を有することから後工程である横延伸工程に支障が無いように、クリップ把持部分には樹脂Bを積層しないことが重要である。
次いで、該積層体の両端部をクリップで把持して、熱風オーブンに導き十分に予熱した後に幅方向に7〜10倍延伸し、更に必要に応じて幅方向に1〜15%リラックスをとって熱固定し二軸延伸フイルムを得る。この結果、A層は長手方向と幅方向の2つの直交する方向に延伸された二軸延伸を施されるが、B層は幅方向のみに延伸がなされるために、一軸配向性を有する。また、ポリプロピレンの主配向軸は最終延伸の方向とほぼ一致するために、B層の延伸方向はA層の主配向軸の方向とほぼ一致する。B層の配向性については、上述の通りわずかに配向を有するようにコントロールすることが好ましいが、そのためには幅方向の延伸の際の温度をB層樹脂の融点以上とすることが重要である。但し、A層の融点を超える温度ではA層の延伸がうまく行かず、厚み斑が悪化したり、破れが発生する等の問題を生じる可能性がある。
こうして得られたフイルムはスリット装置にて適宜スリットしてロール状に巻き取るが、二軸延伸直後にスリットすると常温収縮によるA層表面形状のB層表面への転写が問題となるために、スリット前エージングを20〜40℃で少なくとも12時間以上行うことが好ましい。
また、A層を最表層のAs層とAc層の2層構成とする場合には、押出機[a]にAc層用のポリプロピレン樹脂を、押出機[a’]にAs層用の樹脂を導いて、それぞれを溶融押出する。次いで、これらの2層積層(As層/Ac層)を構成可能な合流装置を有するT−ダイ装置にて、2層積層溶融シートを形成し、冷却固化した後、上述の方法を用いて、A層(As/Ac)/B層からなる本発明フイルムを得ることができる。
なお、A層あるいはAs層の表面粗さを制御するためには、上述の通り、ポリプロピレン樹脂の組成を適宜選択することの他に溶融シートの冷却温度、延伸工程の延伸温度を適宜選択することによっても制御することができる。通常溶融シートの冷却温度を上昇させるほど、また延伸温度を上昇させる程、表面粗さを大きく制御することができる。
また、A層とB層とは押出ラミ法により積層されたものであり、更なる延伸工程によって両層は実用上十分な接着力を有するが、更なる層間接着力が求められる場合には、適宜、A層とB層とを強固に結合するC層を設けることが可能である。C層はA層との層間接着力を考慮するとプロピレンを主体としたポリオレフイン系樹脂であることが好ましく、融点が100〜140℃であることが好ましく、特に好ましくは110〜130℃である。融点が100℃を下回ると縦延伸工程で粘着等の問題を生じる傾向にあり、また、融点が140℃を超えると十分な接着力得られない恐れがある。このような融点を有するポリオレフイン系樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリブテン系樹脂が例示されるが、ポリプロピレン層との接着性の観点からは、エチレンプロピレンランダム共重合体、エチレンプロピレンブテン3元共重合体、低立体規則性ポリプロピレン、等のポリプロピレン系樹脂、あるいはポリブテン系樹脂が好ましく用いられる。エチレンプロピレンランダム共重合体の場合、重合体の総質量に対しエチレンを4〜10質量%プロピレンに共重合したもの、エチレンプロピレンブテン3元共重合体の場合、エチレンを3〜10質量%、ブテンを2〜10質量%、それぞれプロピレンに共重合したものが例示され、融点は該共重合量を適宜選択することで制御できる。また低立体規則性ポリプロピレンとしてはメソペンタッド分率が80%以下のポリプロピレン樹脂が例示され、重合触媒の規則性制御によりメソペンタッド分率を制御することができる。
このようにして得られた本発明フイルムは、光学材料用シート、液晶表示部材、表面仕上げ加工後のプラスチックあるいは金属部材、筐体等の表面に貼り合わせ使用される。具体的な貼り合わせ対象基材は、ポリメチルメタアクリレート、トリアセテート、シクロオレフインポリマー、ポリカーボネート等のプラスチックシート、ガラス基材、SUS、アルミニウム、メッキ鋼板等の金属基材等、及びこれらからなる部材、成型品が例示される。
また、貼り合わせ方法としては、本発明フイルムロールからフイルムを巻き出して、相手基材と粘着面が接するようにしてニップロールで貼り合わせる方法が用いられる他、枚葉でプレスして貼り合わせる方法も例示される。
保護フイルムの剛性が低い場合、フイルムの巻出、搬送工程でしわが発生する恐れがある。また、貼り合わせの際には該保護フイルム表面に大きな摩擦力がかかることがあり、保護フイルムの基層表面(非粘着面側の表面)の耐久性に劣る場合は、樹脂表面から樹脂粉が脱落して、保護すべき基材を汚染したり、脱落粉の起因する応力集中によって基材に変形が生じる恐れがある。
本発明フイルムは、2軸延伸フイルムを基層としており、耐久性・剛性に優れるため、上述のような問題を発生しにくいという特徴を有する。
以下に実施例に基づき、本発明フィルムの好ましい態様について具体的に説明する。
特性値の測定方法、並びに効果の評価方法は次のとおりである。
(1)中心線平均粗さ(Ra)及び十点平均粗さ(Rz)
JIS B−0601(1982)により、株式会社小坂研究所製「非接触三次元微細形状測定器(ET−30HK)」及び「三次元粗さ分析装置(MODEL SPA−11)」を用いて測定した。測定数は3とし、その平均値を用いた。
詳細条件は次の通り。
測定面処理:測定面にアルミニウムを真空蒸着し、非接触法とした。
測定長:1mm
横倍率:200倍
縦倍率:20,000倍
カットオフ:0.25mm
幅方向送り速度:0.1mm/秒
長さ方向送りピッチ:10μm
長さ方向送り数:20回
(2)融点(Tm)、溶融結晶化ピーク(Tmc)(℃)
セイコー社製RDC220示差走査熱量計を用いて、以下の条件で5回の測定を行い、その内の最大値と最小値の2点を除いた残り3点の平均値をTm、Tmcとした。
<試料の調製>
検体として4±1mgを測定用のアルミパンに封入する。
<測定>
以下の(a)→(b)→(c)のステップでフィルムを溶融・再結晶・再溶融させる。
(a)溶融(1st Run):30℃→280℃(昇温速度20℃/分)
(b)再結晶化 :280℃で5分保持後に20℃/分で 30℃まで冷却
(c)再溶融(2nd Run):30℃→280℃(昇温速度20℃/分)
この際に、2nd Runで観測される融解に伴う吸熱ピーク温度をTmとし、該ピーク値が複数ある場合は最もピーク面積が大きいピークをTmとして採用する。
また、Tmcは再結晶化の際に観測される結晶化に伴う発熱ピーク温度をTmcとして、該ピーク値が複数ある場合は最もピーク面積が大きいピークをTmcとして採用する。
(3)分子量分布(Mw/Mn)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて単分散ポリスチレン基準により求めた。
数平均分子量(Mn)、質量平均分子量(Mw)はぞれぞれ、分子量校正曲線を介して得られたGPC曲線の各溶出位置の分子量(Mi)の分子数(Ni)により次式で定義される。
数平均分子量: Mn=Σ(Ni・Mi)/ΣNi
質量平均分子量:Mw=Σ(Ni・Mi2)/Σ(Ni・Mi)
分子量分布: Mw/Mn
なお、測定条件は次のようにした(< >内はメーカーを示す)。
装置: ゲル浸透クロマトグラフ GPC−150C <Waters>
検出器:示差屈折率検出器 RI 感度 32×、20% <Waters>
カラム:Shodex HT−806M(2)<昭和電工>
溶媒: 1,2,4−トリクロロベンゼン(BHT 0.1w/v%添加)<Ardrich>
流速: 1.0ml/min
温度: 135℃
試料: 溶解条件 165±5℃×10分(攪拌)
濃度 0.20w/v%
濾過 メンブレンフィルター孔径0.45μm<昭和電工>
注入量:200μl
分子量校正:単分散ポリスチレン(東ソー)を検体と同一条件で測定して得られた分子量と保持時間との関係を用い、ポリプロピレンの分子量とした。ポリスチレン基準の相対値である
データ処理:(株)東レリサーチセンター製GPCデータ処理システムによった。
(4)層構成
フィルムの断面を透過型電子顕微鏡(TEM)にて以下の条件で写真撮影し、フィルムを構成する各層の厚み構成比率(全厚みに対する割合)を測定した。表面粗さや層界面の変動により凹凸がある場合は、中心線(既述(1)項の中心線平均粗さの定義に基づく)を設定し、該中心線からの厚みを測定する。各層の厚み(μm)は次項に基づき測定された該フイルムの全厚み(μm)を乗じて求める。
装置:日本電子(株)製JEM−1200EX
観察倍率:1,000倍
加速電圧:100kV
(5)フィルム厚み
JIS C−2330(2001)の7.4.1.1.により、平均フィルム厚さを求めた。フィルム厚みは1枚で測定し、10点の平均値とした。
(6)MFR(メルトマスフローレイト)
JIS K−7210(1999)に準じて測定した。
(7)100℃の熱収縮率
ロール状フイルムから切り出されたフイルムの場合は、フイルムの巻方向を長手方向、その直角方向を幅方向とする。また、シート状のフイルム等で方向が判別できない場合は、アッベの屈折率計等を用いて、A層の配向性を測定し、主配向軸を幅方向、その直角方向を長手方向とする。
熱収縮率は、JIS Z−1712(1997)に準じて、長手方向、幅方向、それぞれの方向にフイルムを短冊状(幅10mm×測定長100mm)に切り出し、100℃の熱風オーブン中で15分間放置し放冷した後の寸法変化率を読みとり、100分率でもとめる。
(8)実用特性評価
A.評価方法
サンプルフイルムを幅1,200mm、長さ1,000mのロール状に巻き取り、室温にて3日間エージングする。次いで、巻き返し装置を用いて当該ロールを巻き返した際の搬送状態を評価し「巻出し性」とした。同時に該巻き返し装置のフイルム搬送工程に東レ(株)製“トレシー”を巻き付けた固定バーを設置して、非粘着面側を擦過して、キズの発生状況を評価し「耐擦過性」とした。
また、本ロール状物の巻芯部からサンプルフイルムをカットシート状にを切り出しアクリル版に貼り合わせた際の状態を評価し「貼合せ性」とした。
それぞれの3評価の評価判定(ランク)は以下の通りであり、2以上であれば問題無く使用することができる。
B.評価基準
(a)巻出し性
ランク1:搬送時、巻き取りロール共にシワが発生する。
ランク2:搬送時にシワが確認されたが、巻き取りロールにシワは無い。
ランク3:搬送、巻き取りロールいずれもシワ無く良好である。
(b)耐擦過性
ランク1:フイルム擦過キズが多発し、“トレシー”に付着物が確認された。
ランク2:擦過キズが僅かに発生したが、“トレシー”に付着物が確認されない。
ランク3:擦過キズの発生が無く、“トレシー”に付着物が確認されない。
(c)貼合せ性
ランク1:エア噛みの発生個数が6個/100cm以上
ランク2:エア噛みの発生個数が0.5個/100cm以上6個/100cm未満
ランク3:エア噛みの発生個数が0.5個/100cm未満
以下、実施例、比較例に基づいて、本発明について説明する。
(実施例1)
A層用樹脂として、サンアロマー製ポリプロピレン樹脂PL500A(Mw/Mn=6、融点=164℃)100質量部と高溶融張力ポリプロピレン樹脂HMS PF−814 10質量部をチップブレンドした樹脂(以下樹脂PP1)を準備し、押出機[a]より250℃で溶融押出し、60℃の冷却ドラム上にエアー圧で密着させ冷却固化させた。次いで、該シートを加熱ロールにて順次加熱し140℃に予熱した後に、周束差を設けた1対のロール間で長手方向に4.6倍延伸し、直ちに30℃の金属ロールで冷却し、一軸延伸フイルムを得た。
B層用樹脂として、直鎖状低密度ポリエチレン住友化学(株)製“スミカセン”Hiα XS764(MFR=7.5g/10分)(以下樹脂PE1)を準備し、押出機[b]を用いてシート状に溶融押し、ラミネート装置を用いて、25℃の金属ロール上にゴムロールでニップしながら、前記一軸延伸フイルム上にラミネートし、PP1/PE1からなる積層フイルムを得た。このとき、フイルム厚みはそれぞれ150μm/100μmとなり、PE1のフイルム幅はPP1のフイルム幅に対して両端ぞれぞれが50mm狭くなるようにラミネートした。
次いで該積層フイルムの両端(PP1の両端)をクリップで把持して155℃で幅方向に9.5倍延伸し、160℃で幅方向に8%のリラックスを取りながら熱固定し、エッジをトリミングした後、フイルムロールとして巻き取った。
こうして得られたフイルムの厚みは30μmであり、A層/B層のそれぞれの厚みは18μm/12μmであった。得られたフイルムの特性を表1、2に示すが、巻出し性、耐擦過性、貼合せ性いずれも優れていた。
(実施例2)
A層をAc層/As層の2層構成とすべく、Ac層用樹脂として前出のPL500Aのみの構成(樹脂PP2)、As層用樹脂としてPL500A 100質量部と高溶融張力ポリプロピレン樹脂HMS PF814 20質量部をチップブレンドした樹脂(PPs1)を準備し、2台の押出機[a]、[a’]を用いて、2層合流Tダイより樹脂PPs1/PP2からなる積層シートとして溶融押出しした。次いで該シートを実施例1と同様にして冷却、1軸延伸して、全厚み150μmの一軸延伸フイルムを得た。次いで、実施例1と同様に押出ラミネート装置を用いて、B層用樹脂としてエチレンメチルメタアクリレート共重合体 住友化学(株)製“アクリフト”WH303(MFR=7g/10分)(以下E2)を該一軸延伸フイルム上にラミネート並びに横方向に延伸し、A層(As層/Ac層)/B層からなる積層フイルムを得た。こうして得られたフイルムの特性は表1、2に示す通りであり、実用特性として優れていた。
(実施例3)
実施例2において、Ac層の厚みが10μmとなるように押出機[a]の押出量を調整すると共にA層(As/Ac層)のキャストシートを得て、B層の厚みが30μmとなるように押出機[b]の押出量を調整すると共にB層のキャストシートを得た以外は、実施例2と同様にして積層シートを得た。こうして得られたフイルムの厚みは42μmであり、A層/B層のそれぞれの厚みは12μm/30μmであった。得られたフイルムの特性を表1、2に示すが、巻出し性、耐擦過性、貼合せ性いずれも優れていた。
(実施例4〜6)
Ac層用樹脂としてサンアロマー製ポリプロピレン樹脂HA722J(Mw/Mn=9、融点=167℃)(樹脂PP3)、As層用樹脂として以下の3種の樹脂を準備した。
PPs2:HA722J 100質量部 + HMS PF814 10質量部
PPs3:HA722J 100質量部 + HMS PF814 20質量部
PPs4:HA722J 100質量部 + HMS PF814 30質量部
以下、As層樹脂を変更して、実施例2と同様に1軸延伸フイルムを得て、B層樹脂としてPE2をラミネート、横延伸を行い、A層/B層がそれぞれ13μm/12μmの積層フイルム3水準を得た(PPs2:実施例4、PPs3:実施例5、PPs4:実施例6に対応)。特性は表1、2に示すとおり優れていた。
(実施例7)
実施例4において、Ac層の厚みが18μmとなるように押出機[a]の押出量を調整すると共にA層(As/Ac層)のキャストシートを得て、B層用樹脂として日本ポリエチレン(株)製超低密度ポリエチレン“カーネル”KF360T(E3)を用いた以外は、実施例4と同様にして、積層フイルムを得た。こうして得られたフイルムの厚みは35μmであり、A層/B層のそれぞれの厚みは20μm/15μmであった。こうして得られたフイルムは、表1,表2に示すとおり優れていた。
(実施例8)
実施例6において、Ac層の厚みが7μmとなるように押出機[a]の押出量を調整すると共にA層(As/Ac層)のキャストシートを得る際の冷却ドラム温度を70℃とした以外は、実施例6と同様にして延伸並びにラミネートを行い、全厚み22μmの積層フイルムを得た。
こうして得られたフイルムはやや剛性に劣り、搬送時のシワが目立ったため、巻き出し性の評価がランク2となったものの、その他の特性は良好であり、実用特性に優れていた。
(実施例9)
実施例6において、As層用樹脂としてHA722J 100質量部と三井化学(株)製ポリブテン1樹脂“タフマー”BL4000 15質量部とをチップブレンドした樹脂(以下樹脂PPs5)を用いた以外は実施例6と同様にしてフィルムを得た。こうして得られたフイルムは、表2に示すとおり優れていた。
(比較例1)
実施例1において、A層樹脂としてPP2を用いた以外は実施例1と同様にして、積層フイルムを得た。こうして得られたフイルムのA層表面は中心線平均粗さが0.03μmと平滑化しており、横延伸後に巻き取られたフイルムでブロッキング現象を発生させた。
(比較例2)
実施例2において、As層用の樹脂として、エチレンプロピレンブロック共重合体(PPs6)を用いた以外は実施例2と同様にして積層フイルムを得た。中心線平均粗さが0.6と粗れており、貼り合わせ特性に問題があった。B層表面を顕微鏡観察した結果、As層表面形状転写と思われる凹凸が観察された。
(比較例3)
実施例6において、Ac層樹脂としてエチレン0.6質量部を有するミニランダムポリプロピレン樹脂(以下PP4)を用い、横延伸後の熱固定温度を140℃とした以外は実施例6と同様にして積層フイルムを得た。こうして得られたフイルムの長手方向の熱収縮率は2.8%と大きく、フイルムを巻出した際の抵抗が大きくしわが発生し、巻出し性はランク1となった。また、貼合せ性評価においてもエア噛みが散見され、ランク2の評価となった(表1、2参照)
Figure 2009166305
Figure 2009166305
表面傷、汚染を嫌うシート、物品等の表面保護フイルムとして幅広く使用することができる。

Claims (6)

  1. 中心線平均粗さRaが0.05〜0.5μmの二軸延伸ポリプロピレン樹脂フィルムを含む基層(A層)と、ポリオレフィン樹脂を含みかつ一軸方向に延伸されてなる自己粘着層(B層)とを含み、100℃の長手方向の熱収縮率が0〜2.5%である表面保護用ポリオレフィンフィルム。
  2. 基層(A層)中の二軸延伸ポリプロピレン樹脂フィルムに含まれるポリプロピレン樹脂の分子量分布(Mw/Mn)が7以上でありかつ融点が163〜169℃である、請求項1に記載の表面保護用ポリオレフィンフィルム。
  3. 基層(A層)が、Ac層と最表面を構成するAs層との少なくとも2層から構成され、二軸延伸ポリプロピレン樹脂フィルムに含まれるポリプロピレン樹脂が実質的にエチレン系成分を含まず、かつ高溶融張力ポリプロピレンおよびポリブテン1の少なくともいずれかを含む、請求項1または2に記載の表面保護用ポリオレフインフイルム。
  4. 自己粘着層(B層)中に含まれるポリオレフイン樹脂の分子量分布(Mw/Mn)が4以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の表面保護用ポリオレフインフイルム。
  5. 基層(A層)の厚みが5〜18μmである、請求項1〜4のいずれかに記載の表面保護用ポリオレフインフイルム。
  6. 基層(A層)を構成する樹脂シートを一軸延伸した後、この上に自己粘着層(B層)を構成する樹脂を溶融押出し、次いでこれらを前記一軸延伸の方向と直角の方向に延伸する、請求項1〜5のいずれかに記載の表面保護用ポリオレフインフイルムの製造方法。
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